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4. 世界あの街この街: 西安


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第39回 西安


西安 (トリップアドバイザー提供)

中華人民共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

かつて長安と呼ばれた千年の歴史を持つ古都。現在でも西域の要衝として発展が続いている。
西安は紀元前・周の時代から唐に至るおよそ2,000年の間、歴代王朝の都として栄えた歴史をもつ。秦の始皇帝や漢の武帝、唐の玄宗などゆかりの人物も多く、歴史史跡には事欠かない。
シルクロードの起点(ゴール)としても知られ、玄奘三蔵(三蔵法師)もここからインドへ旅だった。古来より東西の旅人や事物が交ってきた、まさに旅人の聖地。
兵馬俑と始皇陵があまりに有名だが街歩きも奥深い。また、郊外には自然を楽しめるスポットも多い。

西安鐘楼 から 狭西暦史博物館   Google マップ
(地図:A-鐘楼、B-回坊風情街・清真寺、C-興慶宮公園、D-大雁塔、E-陜西歴史博物館)

西安の中心部は中国でも唯一現存するという明代に建てられた城壁に囲まれている。
ゲームに出てくるような城塞都市にテンションも上がる。
城壁の内部、街の中心にあるのは高さ36mの鐘楼。鐘楼から東西南北に道が延びており、城壁と交わる地点にそれぞれ壮麗な城門がある。
高さ36mと中国でも屈指の大きさを誇る鐘楼のふもとは2000年前から変わらぬ賑やかなエリア。城壁は高さ12m、幅12~18m、四方の14Kmという圧巻のスケールで、城壁の上は車3台が並走できる広さ。歩くこともできるが一周するならレンタサイクルやリキシャーがラク。

西安の城壁 (トリップアドバイザー提供)

鼓楼の西北は、中国最大のモスク・清真寺を中心に中国のムスリム(回族)街となっている。いつも屋台から肉を焼く煙が上がる熱気あふれるエリア。羊の串焼き、イスラム風のまんじゅう、スイーツ、西域風の果物などエキゾチックな屋台がならび、活気に満ちている。


回坊風情街 (トリップアドバイザー提供)

城壁を出て東方面にあるのが興慶宮公園。特に何と言うことはない公園だが、太極拳をする老人や家族連れが集まる地元のほっこりスポット。ここには阿倍仲麻呂の記念碑が建てられている。大理石に金の文字が掘られたなかなか立派な碑で、仲麻呂の望郷詩と李白による詩(仲麻呂を詠ったもの)が刻まれている。

興慶宮公園 (トリップアドバイザー提供)

城壁を出て南東、大慈恩寺の境内に堂々とそびえるのは7層64mにもおよぶ大雁塔。
西遊記の三蔵法師こと玄奘三蔵が天竺から持ち帰った経典を保存するために建てられたもので、塔の前には巨大な玄奘像もある。一帯は玄奘の博物館や植物園などがある観光エリアで、夜はライトアップされる。

大雁塔北广場 (トリップアドバイザー提供)

その大雁塔観光エリアに隣接するのが陜西歴史博物館。中国でも故宮博物館に次ぐスケールと格式を誇るミュージアムで、見学ルートは1.5kmにもおよぶ。西安に都が置かれた間はもちろん、先史時代から新中国成立までの歴史文物を豊富に所蔵しており、中国4000年の歴史という言葉が伊達ではないと思わせる怒濤の展示。歴史に詳しくない人でも楽しめる。

陝西省歴史博物館 (トリップアドバイザー提供)


市の北東約40km、西安観光の最大の目玉が兵馬俑。
1974年に村民が偶然掘り当てたという経緯はあまりにも有名。現在では発掘が進み総面積は約2万m2におよんでいる。
写真やテレビでお馴染みだが、実物を見た人は誰しも強烈な印象を受けるらしく、数ある世界遺産の中でも非常に評価は高い。
埋葬されていた兵士の像は身長175cmとほぼ実物大。一体ずつ服装や装備、表情まで異なるという信じられない凝りようで、それが数百・数千と並ぶ様は圧巻。


秦始皇兵馬俑博物館 (トリップアドバイザー提供)

秦始皇帝陵は兵馬俑の西1.5km、兵馬俑と一体となって風景区として指定されている。
東西南北およそ350m、高さ約40mと、小山とでも言うべきスケール。

秦始皇帝陵 (トリップアドバイザー提供)

市街から北東に30km、華清池は唐の玄宗と楊貴妃が過ごした温泉地跡。お土産屋では楊貴妃にちなんだグッズや化粧品が売られている。
日中戦争当時に張学良が蒋介石を拉致した西安事変の現場としても知られ、当時の弾痕やガラスの割れた跡がそのまま残されている。

華清池 (トリップアドバイザー提供)

西安は自然を満喫できるスポットも多い。
華清池の南には標高1300mの驪山があり、ちょっとした山登りを楽しめる。そんなかったることやってらんねぇよ、という方にはロープウェーもあるのでご安心を。
山頂からは華清池を一望にできる。

驪山国家森林公園 (トリップアドバイザー提供)

翠華山は西安市街から南に約30km離れた場所に位置する、秦嶺山脈に連なる国立公園。歴代の皇帝が参拝し、詩仏・王維にも詠まれるなど古来より風光明媚な景勝地として親しまれてきた。山塊が地震などによって崩れた独特の奇観が有名で、「中国の地質地形博物館」と呼ばれる。紅葉の時期には多くの観光客が訪れる。

(画像:Agent China)

しかし、なんといっても西安の自然スポットと言えば華山。
西安から120kmとやや距離があるが、列車でも現地ツアーバスでも手軽に行くことができる。
古来より中国でも格別の格式を誇る道教の聖地として知られている険峻な山で、標高は2000m以上。まさに「ナイフリッジ」としか言い様がないような切り立った尾根道や断崖絶壁にちょこんと作られたショボイ足場をたどっていくのはスリル満点。かつて登山道や足場のない時代にこの山を駆けた修行者達のすごさが思い浮かぶ。


華山 (トリップアドバイザー提供)

珍スポ好きには西安から西120kmの法門寺。
法門寺は1800年の歴史を誇る由緒正しき名刹で珍スポと呼ぶのは憚られるのだが…、2009年に完成した仏舎利塔(合十舎利塔)のインパクトが大きくマニアの注目を浴びてしまった。
合十舎利塔は高さ150mで黄金に輝き、塔の前は巨大な参道に金ぴかの仏像が並ぶテーマパークのような光景となっている。

法門寺 (トリップアドバイザー提供)



大秦面庄 (トリップアドバイザー提供)

西安の食は、中国中西部の地理的な影響を受けており、四川料理や雲南料理につながる辛めの味付けが多い。
食材としては回族料理(イスラム食)の影響を受け、羊や牛を多用する。主食は小麦粉で、饅頭や餃子、麺が中心。また、シルクロード伝来のクミンを使用するもの特徴的、
串焼きや手軽なまんじゅうなどストリートフードも豊富だが、宮廷料理の伝統を受けついだ洗練された料理もある。
名物料理は刀削麺やビャンビャン麺といった幅広の麺、羊肉をたっぷり包んだクレープ状の肉包み(肉挟摸)、羊と春雨を煮込んだ羊肉泡摸、ラム肉のクミン焼き、甘辛い牛肉を乗せた麺、火鍋など。

西安飯庄 (トリップアドバイザー提供)

なお、ビァンビァン麺の「ビァン」は以下のように表記する。

(Wikipedia)

中華に飽きても心配ない。世界的な観光地であり、和食から欧米料理、インド料理まで何でもそろう。


日本からの行き方

(空路)
中国東方航空の直行便が成田、関西、名古屋から就航している(それぞれ上海か青島を経由)。価格もおおむね中国東方が最安となることが多い。安い時期で4万円程度。
他には大韓航空、中国国際航空の経由便などがあるが、中国東方より安くなることはほとんどない。

茨城から上海までLCCの春秋航空を利用した場合最も安い時期で2万円を切る。上海-西安を鉄道で移動すればかなり安くなるが、日程には余裕が必要。

(陸路)
北京から西安まで、高速鉄道なら早くて5時間程度、通常の列車なら13時間程度。
高速鉄道の硬座(二等席)で500元、軟座(一等席)で800元程度。通常列車の硬臥(二等寝台)で250元、軟臥(一等寝台)で400元。高速鉄道は飛行機と同じかそれ以上に高いので、よく検討してから利用したい。通常列車は旅情もあり、北京から夜行便に乗れば翌朝西安に到着する。

上海からは通常の列車ならやはり14時間程度。現在高速鉄道を建設中で、開通すれば5時間程度となる予定。

(パッケージツアー)
ツアーの種類は多く、主要な観光地を効率良く回ることができる。シーズンにもよるが3泊4日で燃油込み5万円程度から。高齢者の利用を見込んでか、ガイドがガッツリ同行する豪華ツアーが多いのも特徴。

(空港)
西安の空港は西安咸陽国際空港(XIY)。西安の北西、咸陽市に位置し、西安市街までおよそ50キロ。
すべての国際線と一部の国内線は第2ターミナルに発着する。
第3ターミナルは中国東方航空、中国南方航空、上海航空など。
第1ターミナルは現在利用されていない。

市街地までの足はリムジンバスかタクシー。
リムジンバスは西安市街や咸陽行きの線がある(15年1月時点で10路線)。
西安市街の場合は運賃26元。行き先によるが所要50~60分程度。

タクシーは緑(1.8リッター未満車)、大型の黒(1.8以上)で料金が異なる。初乗り2kmで緑色車6元、黒色車9元。以降1キロごとに緑1.5元、黒2.4元。実際には乗車ごとにプラス1元の燃油が加算され、さらに夜間加算、停車中加算、8キロ以上の場合の戻り空車補償が加わるなど、なかなか複雑な体系。
行き先によるが市街まで緑車でおおむね80~100元、黒で100~150元程度。所要時間は40~60分程度。


地理と気候

西安は陜西省の省都。中国の中央部、西北地区に位置し、かつて長安と呼ばれた中原の古都。沿岸部と内陸部を結ぶ中国西部の要衝でもある。

日本との時差はマイナス1時間。中国はすべての都市が北京時間に合わせてあり、地域時間はない。
四季が明確で日本の気候に近いが、季節毎のメリハリが大きく夏は35度近くの酷暑となり冬は氷点下。やはりベストシーズンは春か秋。春は花が咲き乱れ、秋は紅葉が美しい。
10月1日の国慶節付近はホテルや観光地も混み合う。


(画像:Google提供)

言語と通貨

公用語は中国語(普通話)。
一般的には英語の通用度は低いが、外国人が多い店、レストラン、ホテルなどは英語が通じることも多い。日本人ツーリストが多そうなお土産屋では日本語が通じたり、レストランにも日本語メニューがあったりする。

タクシーは中国語オンリーと考えて良い。中国語(簡体字表記)の地図か、筆談ができるようにペンと紙をもっていればOK。日本の漢字と現地の漢字は異なるため地名が日本語表記の地図は通じない場合も。

通貨は人民元(RMB)。1人民元=18.9円(15年2月時点)。概ね1人民元=20円と見ておけば良い。14年夏前まではおおむね1人民元=15円であったが、かなり値上がりしている。

物価はピンキリだが、西安は北京や上海に比べてかなり安い。
例えばタクシー北京が初乗り3kmで13元(3km;2kmで8元強相当)に対して西安は初乗り2kmで6元。だいたい2/3程度となっている。
食事、交通機関、宿は安め。意外にかさむのは史跡の入場料や見学料で、兵馬俑なら大人120元、大雁塔が大人50元など積み重なっていくと結構な費用となる。

両替はATMによる国際キャッシングか、日本か空港内の銀行など到着地で少額を両替し、レートの良い市内の銀行で必要な分を都度両替するのがお勧め。
現地のATMは故障やカードを受け付けないなどのトラブルも多いので、日本円・人民元問わず多少の現金を携行していった方がよい。
外国人が行くような店ではクレジットカードも通じる。
チップ文化は無い。

(Wikipedia提供)


ビザと治安

中国を代表する大都市かつ観光地であるが、治安は良い方でありあまりトラブル情報は報告されていない。
ただし、あくまで外国としては安全ということであり、繁華街、観光地、夜間や裏通りなどには注意が必要。
現地ツアー会社の中には、チケット代をぼったくったり土産物屋をえんえん巡るようなところもあるので、よく評判をチェックしておきたい。

観光目的の場合、15日以内の滞在はビザ免除。16日以上の滞在では観光ビザの申請を。


市内交通

(地下鉄)
2011年に開業した真新しい地下鉄。
市を東西に貫く1号線と、南北に貫く2号線が開業している。2018年までに6号線までの開業が計画されている。
運賃は行き先によって2元~4元。プリペイド式の「長安通」というカードがあり(SUICAや香港のオクトパスカードと同じFeliCa方式)、これを使うと割引となる。カード代は50元(うち18元がカード代、32元がチャージ分)。「長安通」は地下鉄の他バスや商店でも使うことができる。

(タクシー)
街中を普通に流しのタクシー(緑色のサンタナやシトロエン)が走っており、料金が安いので地元の人もちゅうちょせず使う。
初乗りは2kmで6元。以降1kmごとに1.5元。プラス乗車ごとに燃油代1元・さらに夜間加算、停車中加算、8キロ以上の場合の戻り空車補償がある。
メーターなのでぼったくりはない(とされている)。

公共の乗り物ではないが、三輪車やバイタクもある。価格は交渉制だが、交渉力か語学に自信があれば使ってみてもいいかもしれない。

(バス)
バスは縦横無尽に市内を結んでおり、使いこなせれば便利。
エアコン無しのワンマンバスは1元、エアコンバスは2元が相場。「長安通」も使え、割引となる。
バスはおおむね混み合い、運転も荒い。

市バスとは別に主要な観光地を巡る観光バスがある。
観光1号線から9号線まであり、料金は定額のものと従量制にわかれる。

(鉄道)
中国は列車大国で、全土を鉄道が結んでいる。
市街の中心に位置するのは西安駅。西安駅から北に13kmほど行くと中国でも最大規模を誇る西安北駅がある。西安北駅は地下鉄2号線ともつながっている。
Xi'an_North_Railway_Station
(画像:Wikipedia)

(レンタサイクル・バイク)
街をのんびり散策するのに便利。公共のレンタサイクルがあり、6:30から21時まで貸し出している。1時間以内は無料、1~2時間で1元、2~3時間で2元。3時間以上は1時間につき3元。24時間以上は30元となっている。


ホテル

中国を代表する大都市かつ観光都市でもあり、宿の選択肢は多い。ホテル代もおおむね安め。外資系の5つ星ホテルでも1.5万円程度。3つ星ホテルで5千円程度。
日本のビジネスホテルに近い形態のシングル中心のホテル(経済型酒店)も豊富で、ツインが3千円程度。

バックパッカーが多く立ち寄る街でもあり、ゲストハウスも多い。
ドミトリーが1,000円未満、個室でも1,500円~2,000円程度。
一般に国慶節(10月1日)、春節(旧正月)の季節は混み合い価格も上昇する。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
路上の携帯会社のカウンター、家電量販店、売店、コンビニ等でSIMが購入できる。
中国の場合は特にプリペイドという概念がなく(全てがプリペイド)、SIMにチャージされた金額が月々引き落とされていく仕組み。残金が足りなければ使えなくなるだけというシンプルさ。
なお、LTEはTD-LTEという独自方式なのでSIMをそのまま挿しても使えないことが多い。現地でWiFiルーターを借りればLTEの恩恵を受け取れる。

大手の事業者はChina Unicom(中国聯通)、China Telecom(中国電信)、China Mobile(中国移動)。
China Unicomの3GはW-CDMA(ドコモやソフトバンク方式)、China TelecomはCDMA2000(au方式)。China Mobileの3GはTD-SCDMAという中国独自方式となっている。持ち込むスマートフォンの対応規格を確認しておくこと。
中国の場合は、アクティベートやリチャージの度にSMSでのやりとりがあり、中国語のメッセージを解釈する必要があるためSIMの利用はややハードルが高い。携帯会社のカウンターで設定してもらうことをおすすめする。ゲストハウスのスタッフに頼むという方法もある。

China Unicomの場合、通話可能なSIMが7.99ドル(英語版ショッピングサイトは米建て価格表示)。月額20元で30元分のチャージおよび100Mのデータ、500Mの夜間専用データ通信が含まれる。12.99ドルのブランは月額25元、50元分のチャージおよび300Mのデータ、1ギガの夜間専用データ通信。39.99ドルのデータ通信専用プランは180日有効で3ギガ。

China Telecomの場合は、通話やショートメール、データ通信の組み合わせで価格が決まるプランなど様々。データは1Mあたり0.05元(1Gで50元)など。

China Mobileの場合は、国内通話50分、500Mのプランが月58元。同500分、1Gで138元、データ通信専用150Mが20元、同100元で3Gなど。LTE対応が主流でキャンペーンも多い模様だが、上述の通り中国独自形式なので注意。

中国国内からYouTubeやFacebook・TwitterなどのSNSに接続する場合には閲覧規制がかかる。GmailなどGoogleの各種サービスも制限されている。日本の携帯を海外パケット放題でそのまま使うか、近隣国(香港など)でSIMを買い国際ローミングすれば接続制限を回避できる。VPN(Virtual Private Network)で回避する方法もあるが、うまくいかないこともある。

などなど…中国でのSIM入手や使いこなしは上記の通り結構面倒なので、携帯会社の海外定額を利用するか、日本からWiFiルーターを借りて行くのも手。日本でWiFiルーターを借りた場合は1日あたり600円と比較的安め。

(Wifi)
カフェやレストランで無料WiFiが開放されている。各国同様、スターバックスでも使える。
なお、空港の無料WiFiは中国の電話番号がないと接続できない。

4. 世界あの街この街: マニラ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第38回 マニラ

マニラ首都圏の旅行ガイド
マニラ首都圏 (トリップアドバイザー提供)

フィリピン共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

スペイン統治の街並みや教会といった史跡、近代的な高層ビル群、ディープな下町など様々な顔が共存する活気ある大都市。街歩き、屋台料理、巨大なモールでのショッピング、スパ、カジノなど都会の楽しみはもちろん、ゴルフ、ダイビングといった自然を活かしたアクティビティも人気。

マニラはマニラ市とそれをとりまく広域都市群からなるマニラ首都圏の総称。首都圏のサイズは東京23区ほどもあり広大だが、観光客の行くエリアは限られている。

スペイン時代の史跡が多く集まるのはマニラ地区。
その南にはホテルやカフェの集まる旅行者の街、エルミタ&マラテ地区。更にその南東、マカティ地区は高層ビルの建ち並ぶエリアで、リトルトーキョーがある。一方マニラ地区からパッシグ川を超えて北に向かうとチャイナタウンとなる。
manila
(地図:Google、A-サン・オウガスチン教会、B-マニラ大聖堂、C-イントラムロス、D-サンチャゴ要塞・リサール記念館、E-エルミタ&マラテ地区(サンアドレスマーケット)、F-マカティ地区(リトルトーキョー)、G-チャイナタウン、I-空軍博物館)


マニラ地区は重厚な歴史の詰まったエリア。
「壁に囲われた街」という意味のイントラムロスはスペイン植民地時代に建造された城塞都市で、スペイン人とその混血が居住していた。大戦で破壊されたものの、未だに城壁やスペイン風の建物・石畳が残っている。

イントラムロスの痕跡を色濃く残すのはサン・オウガスチン教会。14世紀に遡るというフィリピン最古の教会で、重厚な石造りの建築は大戦や天災を生き残った。1993年にはフィリピン初の世界遺産として登録されている。

San Agustin Church (トリップアドバイザー提供)

マニラ大聖堂はカトリック大国フィリピンで最も権威ある教会。第二次大戦で破壊されたがその後再建された。
壮麗なファサードやステンドグラス、巨大なパイプオルガンなどが旅行者に人気。

Manila Cathedral (トリップアドバイザー提供)

Manila Cathedral (トリップアドバイザー提供)

イントラムロスの北西にあるのがサンチャゴ要塞。
城塞都市の砦として建造されたもので、スペインからの独立運動を指揮した国民的英雄であるホセ・リサールが処刑されるまでを過ごした場所で、もある。リサール記念館が併設されており、砦内の見学や記念館の展示、大戦時にフィリピン人捕虜が日本軍によって命を失った水牢など、見どころは多い。

Fort Santiago (トリップアドバイザー提供)

エルミタ&マラテ地区(Ermita and Malate)は高架鉄道U.N.アベニューとキリノ駅(Quirino)の間あたり。マニラ湾に沿った大通り(ロハス通り;Roxas)には高級ホテルやカジノ、カフェなどが並んでいる。湾の内側には巨大ショッピングセンターのロビンソンをはじめ、店舗やレストランが建ち並ぶ。キリノ駅近くのサンアドレスマーケットは有名な高級フルーツ店。

Malate District (トリップアドバイザー提供)

マカティ地区(Makati)は比較的治安もよく、日本料理店も多いなど何かと安心なエリア。物価は高めだが、近代的なショッピングセンターから夜遊びまでそろう。

Makati (トリップアドバイザー提供)

パッシグ川の北はチャイナタウン。イントラムロスから歩いて橋を渡ると中華風の入り口が見えてくる。チャイナタウンは西に向かって延びており、中華レストランや雑貨の散策などが楽しいエリア。旧正月は街が飾り付けで賑わう。
チャイナタウンに背を向けて東に向かうとキアポ(Quiapo)地区。キアポ教会と市場が有名なエリアで地元民が多い。かつて政変の舞台となったマラカニアン宮殿もこのエリアにある。

Old Manila Walks -Day Tours (トリップアドバイザー提供)


マニラ湾に面した巨大なショッピングセンターは「SMモール・オブ・エイジア」。延べ床面積は約40万平方メートル(イオンレイクタウンの1.7倍)と世界でも屈指の規模を誇る超巨大モールで、東京ドーム8個分の敷地に800のテナントが集う。モール内にアイススケートリンクもあるなどに何もかも規格外で、モールマニアならこのためだけにでも訪れたくなる。
周辺のマニラ湾沿い埋め立て地は再開発が進んでおり、巨大なカジノホテルや水族館などがある。

SM Mall of Asia Arena
(トリップアドバイザー提供)

フィリピン空軍博物館はニノイ・アキノ国際空港に隣接しており、第3ターミナルから歩いて行けるほど近い(空港ゲートでパスポートと引き替えに入場許可証を受け取る)。YS-11などマニアックな展示もあるが、ここで有名なのはなんといっても小野田寛郎元少尉に関連するもの。当時の携行品や銃など、一人で30年間を戦いぬいた記録が残されている。

Philippine Air Force–Aerospace Museum
(トリップアドバイザー提供)


エルミタ&マラテ地区には旅行会社が多く集まっている。離島巡りやゴルフなど、様々なツアーをアレンジできる。
中でもルソン島北部のバナウェは世界8番目の不思議と称される見事な棚田で有名。標高2,000mを超えるコルディエラ山脈のトレッキングも人気がある。

Banaue Rice Terraces (トリップアドバイザー提供)

ルソン島は火山地帯で、噴火で甚大な被害を出した標高1,500mのピナツボ火山、標高295m!という世界で最も低い活火山、2,000mを超える高峰までバラエティに富んでいる。
マニラの南60kmにあるタガイタイは高級リゾート、ここにあるタール山が世界で最も低い活火山。30分程度で登れ、低山だが景色も雄大。

山容の美しさで有名なのが標高2500mのマヨン火山。マニラの南東550kmにあるレガスピを拠点にして登るのが一般的。

Mayon Volcano (トリップアドバイザー提供)

ビーチリゾートも多い。マニラから南西に100km程度のナスブや南に同じく100kmのアニラオなど、透明な海でのダイビングやスノーケリングが人気。南のミンドロ島、北部のハンドレット・アイランズまで足を伸ばせば海の美しさを存分に味わえる。

Burot Beach (トリップアドバイザー提供)

もし3月~4月の復活祭の時期にフィリピンに行くようなら、ぜひマニラから北に50kmのサンフェルナンドに訪れてみよう。キリストの受難を再現する祭りが有名で、本当に皮膚が裂けるほどむち打たれ十字架に釘付けにされる信者達の姿は圧巻。心臓の弱い人は避けた方がいいかも。
12月にはランタンフェスティバルが催されるなど何かとイベントが多い街。なお、マニラの北260kmのラ・ユニオン州にもサンフェルナンドという都市があるので注意。
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(画像::Wikipedia)

移動で疲れたらスパへ。外資系のホテルなら日本の同チェーンより格段に安いのでホテルステイを目的にするのもおすすめ。もちろん市街のローカル店なら1時間500~600円とタイや中国並みの激安価格だが、最終日のみ贅沢するのもいい。

New World Manila Bay Hotel (トリップアドバイザー提供)

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This photo of Savory Chicken is courtesy of TripAdvisor

フィリピンの食は激動の歴史を反映したユニークなもの。
東南アジアの味覚がおおむね(タイ+中華+インド)÷3的なものであるのに対し、フィリピンはスペインの影響が強く辛さも控えめ。砂糖の甘みや魚醤のコク、タマリンドの酸味などを生かした味付けが特徴的。
米を主食とし、豚肉料理が多い。また、シーフードもおすすめ。

スパイスに漬けた肉のタレ焼きや魚のココナツミルク煮、マンゴーサラダなどアジア風のテイストから、ローストチキンや牛シチューといったスペイン風、麺や炒め物といった中華風などバラエティに富んでいる。海ぶどうやゴーヤ炒めなど沖縄料理に似たものも。

アメリカの影響を感じさせるのがファーストフード。
今やアジアにも進出するジョリビーはフィリピンが本場。ハンバーガーからパスタまで豊富なメニューで、フィリピン人のソウルフードとなっている。

甘味の代表格は日本でもお馴染みとなったハロハロ。
飲料はコーヒーが主流。アルコールは「サン・ミゲル」に代表されるビールやココナツの蒸留酒などがある。


Casa Manila (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
日本から近く交流も盛んなことから空路の選択肢は多く、かえってまよわしい結果となっている。

JAL、ANA、フィリピン航空のマニラ直行便が毎日数便運行している。
フィリピン航空は東京の他関空、中部、福岡便もあり、直行便では最安となることが多いが、JALやANAともそれほど変わらない(ANA便は一部フィリピン航空とコードシェアで運航)。おおむね5万~6万円程度。
デルタ航空のアメリカ発(デトロイト)日本経由マニラ便も直行便同様に利用できるがあまり安くない。
成田からはLCCのセブパシフィックがあり、直行便もしくはセブ経由便がある。LCCでありいち早く燃油を廃止(15年1月時点)したセブパシフィックであるが、残念ながらそれほど安くない(おおむねフィリピン航空の方が安い)。
関空はフィリピン航空の他、LCCのジェットスターやセブパシフィックも利用できる。
ジェットスターは直行便で往復2万円台~と安い。

関東からであればフィリピン航空か日系エアラインいずれか、関西であればジェットスター、キャンペーンが安ければセブパシフィックといったところ。

パッケージツアーも4日間のプランが6万円程度で済み、お得度が高い。

(空港)
マニラの玄関口は、ニノイ・アキノ国際空港(Ninoy Aquino International Airport、MNL)。
マニラ都心の南に約8km、マカティ都心部から約5kmと近い。

ターミナルは4つあり、それぞれ離れている。
第1ターミナルは国際線専用で、日本からはJAL便が発着する。他、ジェットスターの関空便、大韓航空や中国国際航空もこのターミナルを利用する。老朽化のためリニューアル工事中。
第2ターミナルはフィリピン航空専用。国内線・国際線を問わず全便が発着する。
第3ターミナルはANA、セブパシフィック、キャセイ便など。
第4ターミナルはエアアジア・フィリピンやタイガーエア・フィリピンなどのLCCが利用。

空港の評価はハード面・ソフト面共に最悪レベルとされ、Sleeping in Airportsによる「Worst Airports」ランキングの常連(2014年は第4位)。
老朽化しあちこち設備が壊れた第1ターミナル、イミグレーションや税関の高圧的かつ非協力的な態度や空港係員によるたかり、窃盗、ぼったくりタクシーなどがヤリ玉に上がっている。逆に行ってみたくなるという空港マニアも多いとか…。

市内までは近いためタクシーが主流。ターミナル1、2の前はロータリーとなっておりタクシーやジプニーがたむろしている。
定額制のクーポンタクシーは市街まで800ペソ程度。プリペイドではなく降車時に支払う。
黄色のエアポートタクシーは(イエロータクシー)はもう少し安く、初乗り70ペソ、市街まで500ペソ程度。
一般タクシーは初乗り40ペソだが素直にメーターで行ってくれるとは限らない。出発階まで移動し、人を乗せた後のタクシーを捕まえると良い。
また、治安面からはホテルに送迎を頼むのも手。




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地理と気候

フィリピンは大小7,000超もの島々からなる群島国家。
マニラはフィリピン諸島北部、ルソン島の中西部に位置する。

典型的な熱帯性気候で、年間を通じて昼の気温は30度以上となり暑い。
季節は乾季と雨季に分かれ、12月から4月が乾季、5~11月が雨季。ベストシーズンは湿度が低く過ごしやすい12月~2月。3月~5月は昼の暑さが厳しい。
カトリック教徒が多いため、毎年3~4月のホーリーウィーク(聖週間)とクリスマスはハイシーズンとなる。この時期レストランが休業することもあり注意。

雨季には激しいスコールが降る他、7月から10月にかけては台風の直撃をうけることも多い。

日本との時差はマイナス1時間。日本の正午がフィリピンの11時。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はタガログ語、英語。
アジアでも最も英語が通じる国の1つであり、言葉の心配は殆ど無い。識字率もほぼ100%。
街中で日本語を用い親しげに話しかけてくる相手は信用しないこと。

通貨はフィリピン・ペソ(PHP)。
センタボという補助通貨があるが(100centavos=1peso)、ほとんど使われていない。
1ペソ=2.66円(15年1月時点)。おおむね3円弱と覚えておけばよい。

日本円を現地で両替するのが最も有利。
現地での再両替レートは良くないので都度両替すること。再両替の際に両替時にもらったレシートの提示を求められることがある。
両替はごまかしが横行しているので受け取ったあとよく確認すること。

現地には豊富にATMがあり、HBSCやシティバンクなど外資系銀行の支店も多い。
しかしなぜか日本のカードを受け付けなかったり、故障している場合もあるので頼りすぎは危険。多少は現金を用意していった方がよい。
一回10,000ペソ程度の引き出し限度額が設定されている。

外食、街で購入する食品や日用品の物価はおおむね日本の1/3~1/5程度と考えればよい。
外食はローカルの食堂で50~100ペソ、モール内の比較的きれいなレストランなら500ペソ。
ミネラルウォーター20ペソ、ビールが30ペソ、マッサージ1時間200ペソ、タクシー初乗り40ペソ。

クレジットカードはホテル、レストラン、ショッピングモールなどで利用できる。

もともとチップの習慣はないが、観光に係わる人達はチップを期待しており、実際にサービスレベルに違いが出てくる。
ポーターには10ペソ程度、タクシーはおつりの端数か10~20ペソ程度、レストランなら5~10%程度(サービス料が含まれていれば不要)。
何度か行くことになったレストランやホテルのスタッフにはやや大目に渡し(50~100ペソ/回程度)、関係をよくしておくと困ったときに親切にしてくれるかもしれない。


(画像:Wikipedia)


ビザと治安

30日間以内の観光滞在ならビザ不要。入国時にツーリストビザとしてスタンプが押されるしくみ。

治安はフィリピン旅行の最大の難点。
窃盗や詐欺など旅行者が巻き込まれやすい犯罪はもちろん、毎年のように日本人の殺人事件被害者が出ている国はフィリピンくらいかも…(2008年は8件!、以降2009年3件、2010年5件、2011年1件、2012年5件、2013年1件)。
犯罪の種類は、大きく窃盗・詐欺などと強盗・殺人などの凶悪犯罪に分かれるが、窃盗犯が凶器を保有しいとも簡単に重大事案に発展するのもフィリピンの特徴。銃器が出回っており、凶悪犯は躊躇なく使う。

まずは被害件数が多いすり、置き引きに注意。
人出の多いショッピングモールや駅、空港、レストラン、ホテルロビーでの置き引き、公共交通機関(バス、ジプニーなど)でのスリ、ホテル居室での窃盗などが報告されている。
空港は鬼門で、手荷物のすり替えや置き引き、税関によるゆすりたかり、ぼったくりタクシーなどが発生している。

いかさま賭博、ぼったくりバーやポン引き、美人局(つつもたせ)の被害も多い。欲をかくとえらい目に遭う。麻薬はもちろん御法度で重罪。麻薬タレコミ者への報奨金目当てでわざと外国人を陥れる事例も報告されている。
荒っぽい犯罪としては、睡眠薬強盗、ニセ警官による強盗監禁やゆすりたかり(本物の警官が混じっていてタチが悪い)、タクシーへの強盗、タクシー運転手自身の強盗、路上強盗など。

繁華街、治安の悪いエリアでは窃盗から強盗殺人まであらゆる犯罪に注意が必要。白昼でも油断できない。特にキアポ、チャイナタウン付近。現地人が集まるナイトクラブや教会の周辺も要注意。
常に身辺に気を配ると共に、夜一人で出歩かない、多額の金銭を持ち歩かない、ホテルスタッフにはにこやかに応対する(フィリピン人はプライドが高い)など、トラブルを避ける工夫が必要。


市内交通

アジアの大都市といった感じで、運転マナーは全般に悪い。
所構わず渋滞し、昼夜問わずクラクションが鳴り響く。

(高架鉄道)
公共交通は高架軽軌道。
3線あり、Line1がマニラ湾沿いを、Line3が内陸側を南北に結んでいる。Line2は東西方向。料金は各線ごとに異なるが、1~4駅ならおおむね12ペソ程度。Line1と2の駅ではプリペイドカード(60ペソ~)を購入できる。

(タクシー)
メーター制だが、メーターを使ってくれないタクシーも多い。
大手のタクシー会社はR&E TAXI、EMP TAXIなど。個人タクシーも多く、車体側面にTAXIと表示されており屋根に看板がついている。
メーターの場合初乗り40ペソ程度、250m毎に3.5ペソ加算。
イエロータクシーはやや高く、初乗り70ペソ、300m毎に4ペソ加算。
おつりを持っていないことが多いので小銭の用意を推奨。チップは端数を切り上げる位でよい。

タクシーの評判はあまり良くない。メーターを使わない、インチキメーター、遠回りや謎チャージのぼったくりなど枚挙にいとまなく、ベトナムやインドと並び最悪の部類という声もあるほど。
安全性を重視するなら、ホテルのフロントでタクシーを呼んでもらうのがよい。また、会社のタクシーやきれいな車体のクルマも比較的安心。乗車前に行き先をにこやかに伝え(フィリピン人はプライドが高いので高圧的な態度はタブー)、だいたいの価格を聞いておければなおよい。乗車前にナンバーをスマホのカメラでこれ見よがしに撮影するなどさりげない自己防衛も役立つかも。

(ジプニー)
派手な塗装の乗り合いバス。
路線図はなく、行き先が車体に書いてある。
停留所は特になく、任意の場所で乗り降りするしくみ。
乗るときは手を上げて停まったら乗車、降りるときはドライバーに告げるか天井を叩くなどして知らせる。運賃は運転手に手渡す。料金はおおむね9ペソだが距離によって異なる。

Marikina (トリップアドバイザー提供)

(レンタサイクル・バイク)
いくつか業者があるものの、交通状態が悪いためあまりおすすめできない。


ホテル

5つ星の豪華ホテルで2万円程度、4つ星で1万円、3つ星ホテルで5千円程度が相場。
家族利用を見越して、部屋は大きめだが値段もやや高め。

ゲストハウスはドミトリーで1,500円程度、個室が2,000円程度。いわゆるドミトリーはそれほど多くなく、個室が主流。見た目が新しくても水回りが最悪だったりする。レビューを読んで納得の宿を選びたい。

ちなみに、マニラの場合ホテル内での置き引き、部屋やセーフティボックスからの窃盗もめずらしくない。繁華街に近いなど治安の悪そうな場所のホテルは避けた方が無難。マカティ地区などビジネス街に近い方が安心できる。
安宿は評判をよく見て選ぶことを推奨。上掲通りホテルスタッフには少しチップをはずんでおくとよいかも。
ただし、治安のよい場所に建つ評判の良い高級ホテルが信頼できるとも限らない模様…。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
フィリピンの携帯事業者はSmart、Globe Telecom、Sun。
海外旅行者でも携帯ショップやコンビニで容易に購入でき、パスポートも不要。ただしアクティベートには若干時間がかかる場合もあるので、購入ショップで設定してもらうのがよい。

Smartの場合は1日データ使い放題プラン(LTE)が50ペソ、7日間が299ペソ、30日間で995ペソ。2日間有効のLTEパッケージ(Jump In Sim with LTE)というものもある(15ペソ)。

Globeの場合は1日50メガプランが30ペソ、3日間250Mプランが120ペソ、30日の場合700メガで299ペソ、1.5ギガで499ペソ、3ギガで799ペソ、5ギガで999ペソ。

Sunの場合は1日45メガプランが20ペソ、70メガプランが30ペソ。30日700メガで299ペソ、1.5ギガで499ペソ。

日本からWiFiルーターを借りていった場合でも1日あたり600円と比較的安め。

(WiFi)
フィリピンではホテル、カフェ、ショッピングモールなど至る所でフリーWiFiが提供されており、接続に困ることはない。

4. 世界あの街この街: ルアンパバーン


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第37回 ルアンパバーン

Living at a different Pace (Luang Prabang, Laos)
(Wat Xieng Thong、提供:Jean-Marie Hullot; Flickr)

ラオス人民民主共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

美しい街並みと、とろけそうに優しい人々。
ルアンパバーン(ルアンプラバンとも)は最後の桃源郷とも称されるラオス随一の観光都市。
伝統的な仏教様式と植民地時代のコロニアル様式が融合したユニークな景観は世界遺産登録されており、保存状態のよさもあいまって評価が高い。のんびり街歩きやスパ、雑貨あさりなどゆったりすごすのもいいし、郊外のトレッキングや川下り、エレファントツアーなどのアクティブ系も人気。

ルアンパバーンはラオス北部のメコン川沿いにあり、14世紀にはラーンサーン王朝が幕を開け、18世紀から20世紀にかけてルアンパバーン王国の首都であった由緒ある古都。その後フランス領時代を経て、現在の東洋と西洋・自然が混じり合った独自の街並みが形成された。
世界遺産という派手な記号につられて訪れたツーリストも、いつしか静かでゆったりしたラオスの空気にハマってしまいリピーターになるという。

Luang Prabang
(地図Google;A-サッカリン通り[Sakkaline]、B-シーサワンウォン通り[Sisavangvong]、C-チャオファーグム通り[Chao Fa Ngum]、D-ワット・シェントーン、E-ワット・マイ・スワナプーマハム、F-ロイヤルパレス[国立博物館]、G-伝統芸術民族センター、H-UXO不発弾処理プロジェクト)

ルアンパバーンの中心部はメコン川とナムカーン川に囲まれた半島部分。
半島を北東から南西に貫く一本の通りは、北からサッカリン通り、シーサワンウォン通り、チャオファーグム通りと名づけられている。
見どころはこの通り沿いに集まり、散策が楽しい。
朝はサッカリン通りの裏に朝市が建ち、托鉢の僧が行き交う。活気ある露店にはメコン川の魚や肉、野菜などが並んでいる。

一方夜にはシーサワンウォン通りが歩行者天国となり、夜市が並ぶ。
銀細工や刺繍など雑貨が多く、こちらもツーリストで賑わう。
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Luang Prabang Market(画像:Wikipedia)

半島の端にあるのはルアンパバーン一の格式を誇るワット・シェントーン(Wat Xieng Thong)寺院。王家の菩提寺でもあった。壁を彩る装飾やレリーフ、モザイク画など壮麗な建物。シーサワヌォン王の逝去時に使われた黄金の霊柩車も見物できる。

Golden City Temple (Wat Xieng Thong)

シーサワンウォン通り沿いにある五層の屋根を持つ巨大な寺院はワット・マイ・スワナプーマハム(Wat Mai Suwannaphumaham)、通称ワットマイ。1796年建立と比較的新しいが、ルアンパバーンの仏教芸術の頂点とも称される豪華絢爛な造り。

Wat Mai Suwannapumaram (トリップアドバイザー提供)

ワットマイのすぐ隣はかつての王宮。現在はラオス国立博物館となっている。
白亜の建物はラオス様式とフランスのボザール様式が融合したもの。
世界各国からの贈呈品や黄金仏、王族の部屋などが公開されている。

Royal Palace (トリップアドバイザー提供)

伝統芸術民族センター(The Traditional Arts and Ethnology Centre)は少数民族の文化や風俗を紹介するミュージアム。併設のショップはセンスの良い民芸品が売られており、隣接するダラート・ダーラー市場と合わせてお土産探しに最適。

Traditional Arts and Ethnology Centre (トリップアドバイザー提供)

なお、ダラート・ダーラー市場では日本人に高確率でおばちゃんが●●を売りに来る。ラオスの場合はどこを歩いていても声がけされてしまうのだが、野菜を売ってるようなおばちゃんまで●●を扱っているところが特徴的。なお、そこら中に●●が流通しているラオスであるが当然違法なので手を出さないこと。

内戦の爪痕、不発弾の資料館がUXOラオス不発弾処理プロジェクト・ビジターセンター。不発弾の実物や被害の様子が展示されている。

UXO Laos Visitor Center (トリップアドバイザー提供)

夕暮れがちかづいたらプーシー(Phousi)に登ってみよう。場所はシーサワンウォン通りがチャオファーグム通りに名前を変えるあたり。プーシーは高さ150m程の小高い丘で、海抜は700mあり市街を一望できる。
328段の階段を上がると頂上には夕陽に輝く黄金の仏塔が待っている。
夕暮れ時は絶景を見ようと集まった地元民やツーリストで賑わう。

Mount Phousi (トリップアドバイザー提供)

Mount Phousi (トリップアドバイザー提供)

プーシーは18時に閉まる。その後はビールを片手に再びナイト・マーケットに繰り出そう。


郊外観光の中でも人気が高いのはタート・クアンシー(Tat KuangSi)。
市街から南に約30km、青緑の美しい水をたたえた景勝地で、滝を眺めてもいいし、絶景の中での贅沢な川遊びも楽しめる。
2014年にオープンしたばかりのバタフライガーデンは蝶が放たれた広大な庭園で、フィッシュスパやカフェなどリラックスできる。

Kuang Si Falls (トリップアドバイザー提供)

Kuang Si Falls Butterfly Park (トリップアドバイザー提供)

パクウー洞窟(Pak Ou Caves)はメコン川を北上、およそ35kmさかのぼった先にある洞窟。陸路なら市街から1時間、船なら2時間程度。「タム・ティン・ルム」と「タム・ティン・トゥン」の2つに分かれており、タム・ティン・ルムには、4,000体以上ともいわれる膨大な数の仏像が安置され、現在でも寄進される仏像の数は増え続けている。タム・ティン・トゥンは真っ暗な洞窟内に仏像が浮かび上がり、静謐な雰囲気が漂う。


Pak Ou Caves (トリップアドバイザー提供)

アクティブ派には川下りやトレッキング、オフロードバイクツアーなどが人気。
そこまで本格的でなくとも、船を半日チャーターしメコン川を下るだけでも冒険気分が味わえるし、エレファントライドなら自分で歩かなくても済む。

Elephant Village Sanctuary Day Trips (トリップアドバイザー提供)
 
 
【ラオス】個人旅行の強い味方、空港送迎から日本語ガイドまで VELTRAにおまかせ!



Tum Tum Cheng (トリップアドバイザー提供)

ラオスの食はベトナム、タイ東北部、中華料理をほどよくミックスしたテイストで、アジアの中では辛さ控えめ。パンやサンドイッチにはベトナム同様フランスの影響が見られる。
食材はもち米とハーブの多用が特徴。内陸国であるがメコン川の恵みがあるため魚もよく食卓に登場する。

代表的なメニューは粗く刻んだ肉をハーブとライムジュースで味付けしたラープ。タイ料理でもお馴染みのメニューだが、ラオスが本場。鶏肉や豚、レアの牛肉、魚やアヒルのラープまで多彩なバリエーションがある。
他には麺類も豊富で、タイ風、ベトナム風のフォー、中華風の焼きそばや和え麺など毎日でも飽きない。
タイやベトナムでお馴染みのメニューに加え、肉や魚をシンプルに炭火で焼いたり揚げたりしたメニューも多い。
ルアンパバーンの名物料理はハーブと肉を煮込んだラオス風シチューのオ・ラームやメコン川の海苔を揚げたカイ・ペーンなど。

欧米のツーリストも多いので、ハンバーガー、ピザを提供するカフェも多い。本格的なフランス料理店もある。

ラオスのビールといえばビア・ラーオ。
フランス資本で建設されカールスバーグの出資を受けたという本場欧州仕込みの濃厚な風味は氷で割ってよしそのままでよしの万能選手。
国内シェア90%以上とも言われる国民飲料で、東南アジアでもっとも美味しいとの呼び声も高い。


River Spiritr (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
日本からの直行便はなく、周辺の東南アジア諸国から入る。
なんといっても空路が豊富なのはタイ経由。バンコク、チェンマイ、ウドンターニーあたりから空路が通じている。
LCCでタイに入り、そこからバンコク・エアウェイズでルアンパバーンに入れればかなり安く済む。

ベトナム、カンボジアからのルートも多い。特にベトナム航空は日本からの往復で5万円を切るなどLCCよりも安いことがある。

エアアジアという手もある。クアラルンプールからヴィエンチャンまで直行便が就航している。ヴィエンチャンからルアンパバーンまでは空路なら1時間かからないし、バスでも一晩で着く。

ラオスの国内線移動は時間変更や遅延、欠航が日常茶飯事。ヴィエンチャンからの移動も一筋縄ではいかないことがあり、余裕をもってスケジューリングしておきたい。

(陸路)
周辺国の主な都市とをつなぐ国際バスがある。
チェンマイからは所要18時間。ウドンターニー便やハノイ便もある。
陸路で入国する場合でも、国境ポイントでビザを取得できる。

(空港)
ルアンパバーン国際空港(Luang Prabang International Airport;LPQ)は市街地の北西約4km。こぢんまりとした規模だが改修したばかりで新しい。たいした設備はないが、バンコク・エアウェイズのラウンジがある。

国際線はラオス国営航空、タイ・スマイル、バンコク・エアウェイズ、ベトナム航空、中国東方航空(昆明)が就航している。

市街地まではプリペイドの定額タクシーで、5万キップ(または7USドル)。




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地理と気候

ラオスはインドシナ半島の内陸深くにある内陸国。東にタイ、北に中国、西にタイとミャンマー、南にカンボジアと接している。
ルアンパバーンはラオス北部の山あい、メコン川のほとりにある。

11~4月は乾季で、空が青く比較的涼しい。5~10月は雨季となり、8~9月で雨量が最も多くなる。乾季のルアンパバーンは山あいでかなり冷え込むため上着を持参のこと。
基本的には乾季が観光に適しているが、滝やメコン川の雄大な眺めを見るならあえて雨季を選ぶのもいい。ホテルも雨季は安め。

日本との時差はマイナス2時間。日本の正午がラオスの10時。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はラオス語(ラオ語)。タイ語もそれなりに通じる模様。
フランス領ではあったがフランス語が通じることはほとんどない。観光分野では英語の通用度が高い。

通貨はキップ、あるいはキープ(LAK)。
補助通貨としてアット(Att;1キップ=100アット)がある。
1キップ=0.15円(14年12月時点)。おおむね10,000キップで150円くらいと覚えておけばよい。

米ドル、タイバーツも通じるが、日本円を現地でキップに両替するのが有利。現地での再両替レートは良くないので都度両替すること。
現地には豊富にATMがあるが、紙幣が出てこないこともあるので現金の持参を推奨。
ホテルは米ドル建ての場合もある。

物価はホテルを除きかなり安め。
ミネラルウォーターが2,000K(キップ)、ローカルレストランで麺などが1万キップ、レストランが5万キップキップ。ホテルはゲストハウスで15USドル、3つ星ホテルなら40~80USドル程度。

クレジットカードの通用度は低く、外国人が行くような高級レストランやショップ、ホテルに限られる。

チップは基本不要。ベルボーイやガイドに1ドル程度。高級ホテルでは10%の税金が加算される。


(画像:banknotenews.com)

ビザと治安

15日以内の観光滞在はビザ不要。16日以上であればビザ申請を。
アライバルビザもあるのでそれほど神経質になる必要はない。
外国人は、常にパスポートの携帯が義務付けられている。警官の検問時にパスポートがないと延々と尋問されたり拘束されることもあるので注意。

油断は禁物だが、ぼったくりやしつこい客引きのいないルアンパバーンはゆったりと過ごせる街。
ラオス自体、一党独裁の体制が続いており基本的に治安はよいが、近年銃器を用いるような凶悪犯罪も増加している。また、ホテル・ゲストハウスでの盗難も報告されている。

毎年2月から4月頃までの間は山焼き・野焼きの影響で煙害が発生する。マスク携行を推奨。

ヴィエンチャンとルアンパバーンの間の山岳地帯は反政府武装勢力の拠点であり、基本的に外国人は入境できない。外務省は「渡航の是非を検討」扱いとしている。


市内交通

コンパクトな街であり、徒歩でほとんどの所に行けてしまう。
徒歩以外の手段はトゥクトゥクかレンタサイクルが便利。
タクシーは上述の空港タクシーやツアー用のもののみで、街中を流していることはない(仮にあったとしても普通の乗用車なので見分けが付かないらしい)。

また、メコン川沿いを運行する船や長距離バスもある。船は目的地へのクルマがセットになったツアーがパッケージされていることが多い。

(トゥクトゥク)
他国でもよく見る三輪バイクタイプのトゥクトゥクと、郊外観光に向くワゴン車やピックアップトラックの荷台を改造した多人数乗りのタイプがある。料金は交渉制で、市内ならおおむね一回5,000~1万キップ程度。

(レンタサイクル・バイク)
1日24時間借りて2万キップ程度。ギア付のMTBなら5万キップ程度になる。

(船)
交渉制、半日で25~30USドル程度が目安。


ホテル

高級5つ星リゾートからゲストハウスまで宿の選択肢は豊富で、到着してから宿を探しても何とかなる。
ルアンパバーンの場合は伝統的な造りの建物に緑を配したリゾートホテルが多い。川沿いなど眺めがいい場所は高めとなる。

適度にきれいで広めの3つ星クラスで5,000円程度、もちろんエアコン、WiFi付で十分快適。
更に安いクラスなら3,000円程度。このクラスでもエアコン、WiFiはもちろん朝食付も見つかる。

ゲストハウスならばドミトリーで1,000円未満、個室でも2,000円を切る。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ラオスの携帯事業者は最大手のLao Telecom(Laotel)、ETL、Unitel、ロシア系Beelineの4社。外国人でも自由にプリペイドSIMを購入できる。

Laotelのプリペイドプランは1日1ギガで5,000キップ。1ヶ月5ギガで5万キップ、同使い放題で25万キップ。4Gのプランもある模様だがルアンパバーンでの電波状況は未知。

ETLの場合1日300Mで5,000キップ、1週間400Mで1万キップ、1ヶ月2ギガで5万キップなど。

Unitelの場合、1日125Mのパッケージが5,000キップ、1週間250Mで1万キップ、1ヶ月1ギガで4万キップ、同5ギガで10万キップなど。

Beelineは最大21Mbpsの4GUSBモデムとSIMのセットを用意しており、35万キップ。その他3日で500メガのホットプランが1万キップ、1週間500メガで2万5千キップ、1ヶ月1.5ギガで10万キップ、1.2ギガのデータ専用で5万キップなど様々なプランがある。

短期滞在ならBeelineの3日プラン、1週間ならETL、1ヶ月ならLaotelの5ギガプランがお得といったところか。

日本からWiFiルーターを借りていった場合は5日間で7,500円程度と高め。できれば現地でSIMを調達したい。

(WiFi)
ルアンパバーンは旅行者天国。多くのカフェやゲストハウスにはWiFiステッカーが貼ってある。もちろん店員からパスワードさえもらえば無料でつなげ、回線品質もそこそこ。

4. 世界あの街この街: モスクワ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第36回 モスクワ

聖ワシリイ大聖堂の写真
聖ワシリイ大聖堂 (トリップアドバイザー提供)

ロシア連邦・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

クレムリン、赤の広場、聖ワシリイ教会など壮大で豪華な史跡が数多く存在し、他の欧州の大都市とはひと味違った独特の雰囲気が人気。
美術館のように美しいというメトロやグム百貨店も評価が高い。社会主義的な史跡やアートに興味があれば、クレムリンの武器庫やレーニン廟、KGB博物館、そしてセブン・シスターズと呼ばれる高層建築を巡ってみるのもいいかも。

モスクワ市の面積は994km2と広大。東京都(23区の面積は621m2)と地図を重ねてみると、モスクワ市の市境となる大環状道路は東京外環自動車道の更に外側に位置している。クレムリンを中心に環状道路が囲み、放射状に道路が郊外に延びている構造となっている。
ただし観光客にとっての見どころは中心部に集中しており、メトロが張り巡らされているので移動は便利。
モスクワGoogle-マップ
(画像:Google、編集:tabinote)


街歩きは、クレムリンを中心に考えると迷いにくい。
まずは、クレムリンを背にして北東から。このエリアはモスクワで最も古い街区で、古い建物や城壁跡が残っている。放射状に伸びるミャスニースカヤ通り(肉屋通りの意味)およびマシ・ポリヴァエヴォイ通り目印にすると迷いにくい。旧KGB本部やモスクワ中央郵便局、工業技術博物館などいかにもロシア的な、重厚でクラシックな建物が並ぶ。
通りを北東に進むとサンクトペテルブルクに向かうレニングラード駅、その前にそびえ建つヒルトン・モスクワはセブン・シスターズ(※)と呼ばれたスターリン時代の7大高層建築の1つ。近くの運輸機関建設省(鉄道省)も同じくセブン・シスターズの1つ。
※社会主義の優位性を示すべく表現された重厚で権威的な建築様式。


ヒルトン モスクワ レニングラードスカヤ (トリップアドバイザー提供)

続いて市の北西部、クレムリンとベラルーシ駅とをつなぐモスクワ一の目抜き通り、トゥヴェルスカヤ通り(レニングラード通り)へ。街路沿いはレストランやブランドショップ、劇場、コンサートホール、博物館などが建ち並び、いつも大勢の人と車でにぎわう。ボリショイ劇場はクレムリンのちょうど真北あたり。
赤の広場を背に北西、リッツカールトンから歩き始めればモスクワ芸術座、エルモーロワ劇場など風格ある建物が並んでいる。芸術座の付近はレストラン街となっており、英語メニューも多いので安心。エリセーフスキーは帝政時代からの有名な食料品店で、華麗な内装が有名。エリセーフスキーの北にはプシーキン広場があり、ここのマクドナルドはロシア第1号店。

Yeliseev’s Food Hall (Yeliseevskiy Gastronom) (トリップアドバイザー提供)

北西部から逆時計回りに南下し市の西部へ。
プシーキン広場から環状路の美しいノヴィンスキー並木通りを西に向かう。この通りとその内側(クレムリン側)には小さな博物館が多い。ゴーリキーの家博物館、トルストイの家博物館、チェーホフの家博物館、さらにはマトリョーシカ博物館など硬軟問わず多くのミュージアムがある。
なお、すぐ近くにゴーリキー博物館、トルストイ博物館というものが別にあるのでファンの方は要注意。
ノヴィンスキー通りの外側、ひときわ高い尖塔はセブン・シスターズの文化人アパート。

アルバート通り (トリップアドバイザー提供)

そして市の南西部へ移動。ノヴィンスキー並木通りは、セブン・シスターズの一角である外務省を過ぎるとスモレンスキー通りと名を変える。この通りの内側はやはり博物館や美術館、レストランの建ち並ぶ人気のエリアで、モスクワのサン・ジェルマンと呼ばれる。このエリアのシンボルは救世主キリスト聖堂。街歩きも楽しいが、ここではせっかくなので世界に誇るモスクワの美術館を見学したい。ロシア美術の殿堂トレチャコフ美術館、ルノアールやモネなど印象派の世界的コレクションで知られるプシーキン記念美術館はこのあたり。

トレチャコフ美術館 (クリムスキー・ヴァル) (トリップアドバイザー提供)

更に南西に向かうと雀が丘と呼ばれる高台の地域になっており、展望台から市街を見渡すことが出来る。結婚式の名所としても有名。巨大な尖塔を持つモスクワ大学もこのエリア。モスクワ大学はセブン・シスターズでも最大の規模で、尖塔の高さは236mに達する。

Lomonosov Moscow State University (MGU) (トリップアドバイザー提供)

そしていよいよ中心の中の中心、クレムリンと赤の広場へ。

モスクワのクレムリン (トリップアドバイザー提供)
クレムリンは城壁で囲まれた部分だけでも面積26万平方メートル(東京ドーム5個分以上)という広大さ。宮殿、尖塔などの史跡から大統領官邸までが集まるロシアのへそ。中心部のウスペンスキー大聖堂は壮麗なフレスコ画で有名。武器庫やダイヤモンド庫といった見どころも。
赤の広場は、それを取り囲むクレムリン、レーニン廟、歴史博物館、聖ワシリイ、グム百貨店といったロシアを代表する美しい建物に囲まれている。広場の中心でのんびりと歴史を想像したい。

赤の広場 (トリップアドバイザー提供)


グム百貨店 (トリップアドバイザー提供)


郊外観光では壮麗な聖セルギエフ大修道院が有名なセルギエフ・ポサードに立ち寄りたい。市中心から北東に70kmほどで、日帰りツアーでも行くことができる。
北東方面は黄金の環と呼ばれる歴史ある街が点在し、中でもウラジミールやスズダリは世界遺産が多く残ることから観光客も多い。

セルギエフパサド (トリップアドバイザー提供)

モダンなロシアに興味があるなら、市中心から東に30kmほどのシチョルコヴォへ。ここはロシアの宇宙開発拠点で、遠心加速器に乗ってロケットの加速度(G)体験が出来る。また、近くのモニノにはロシア最大の航空博物館、モニノ空軍博物館がある。

シチョルコヴォ (Veltra提供)

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Hachapuriの写真
Hachapuri (トリップアドバイザー提供)

ロシアは土地が広大であり、食文化も多様。
有名なボルシチはウクライナの郷土料理が発祥。ビーフストロガノフやコトレータ(カツレツ)は西欧の影響が強い。餃子そっくりなペリメニや肉の串焼きなどはアジアや中東と共通性がある。
モスクワの属する西側地方では貴族的な文化が発達し、近代にフランスやオーストリアの出稼ぎコックを招き入れてきた経緯からフランス料理の影響を残した豪華な食文化が残っている。コース料理の配膳方法は、寒冷地で料理を温かいうちに個別に出すというロシアでの影響がフランスに逆輸入され、世界に広まったもの。

ロシア料理全般では、寒冷地であり保存食を多用することや、煮込み・スープ料理の豊富さに特徴がある。味付けは塩やサワークリームの風味をいかしたシンプルなもの。ビーツ、ライ麦、サワークリーム、様々な香草などは多くの皿に顔を出す食材。

ロシアを代表する飲み物は紅茶と度数の高い蒸留酒であるウォッカ。日本ではジャムを入れるとされているロシアンティーだが、現地ではジャムはお茶請けに供するものであり混ぜて飲むわけではない。実際にはコーヒーやワイン、ビールといった醸造酒も多く飲まれている。

Turandotの写真
Turandot (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
モスクワの空港は3つだが、日本からの国際便があるのは2つ、ドモジェドヴォ国際空港とシェレメチェボ国際空港。

モスクワへの直行便は日本航空の成田-ドモジェドヴォ便が週4日(月水金日)。ロシアのS7航空とのコードシェアとなっている。
ロシアのフラッグ・キャリアであるアエロフロートが成田-シェレメチェボ便を毎日運行している。
アエロフロートはモスクワを経由してロンドン、パリなどのヨーロッパ主要都市を結んでおり、高確率で欧州行きの最安値をたたき出すことで一部に有名。

また、夏期のみ(13年は5/25~9/29)トランスアエロ航空が成田-ドモジェドヴォ便を就航している。週1~2便程度。

欧州の都市を経由する場合は無数に選択肢があるが、費用的・所要時間的にモスクワ直行便が最も合理的。ポピュラーなルートはヘルシンキやウィーンなど。フィンランド航空は直行便が豊富。北欧からサンクトペテルブルグに向かい、国内線でモスクワというルートも。

(陸路・海路)
陸路で有名なのは北京とモスクワを結ぶ中露国際鉄道。総距離7,900km、5泊にわたる鉄道旅行となる。
船で中国に渡り、鉄道を使えば航空機を使わずにヨーロッパに行くことが出来る。かつては最も安くヨーロッパに向かう手段として(またはヨーロッパの旅行者がもっとも安くアジアに向かう手段として)バックパッカーに利用された。もちろん現在でも乗ることが出来る。
ロシアに直行する船舶は境港からウラジオストクに向かうものもある。

(パッケージツアー)
アエロフロート利用の4泊5日ツアーが燃油込みで最安14万円程度。サンクトペテルブルグを周遊すると20万程度になる(1人参加はいずれもプラス5万円程度)。
ホテル代の高さや後述するビザ取得の手間を考えると、パッケージツアーの利点は高い。現地フリーのツアーであれば個人旅行と自由度も大差なく、後述するバウチャー、ビザの手間も省ける。

(空港)
上述通り、モスクワの空港は3つ。

ドモジェドヴォ国際空港(DME)
JAL便が到着するモスクワ最大の空港。モスクワ中心部から南に36km。
空港からは高速鉄道(Aeroexpress)が便利。午前5時から深夜0時半まで30分おきに運行し、中心部のパヴェレツ(Paveletskaya)駅まで45分。料金は320ルーブル。
タクシーの場合は市中心部まで1~2時間程度。モスクワ市内は慢性的に渋滞している。到着ロビー内のタクシーカウンターで手配する。料金はメーターでは無く、目的地によって決まるゾーン制をとっているため定額。市中心までおおよそ2,000ルーブル。声がけしてくるのは白タク、相手にしてはいけない。
他に、マルシュルートカ(Marshrutka)という乗り合いバスや、リムジンバスがあり、それぞれ地下鉄ドモジェドフスカヤ駅までを結んでいる。所要40分程度、80ルーブル。
高速鉄道の運行時間外の到着や、地下鉄の駅からホテルが遠い場合には送迎を頼んでおいた方が無難。

シェレメチェボ国際空港(SVO)
アエロフロート便の到着する空港。モスクワ中心部より北西におよそ29km。かつては古くてサービスの悪い社会主義スタイルの権化のような空港だったが、ターミナルは近代化し高速鉄道が直結するなど、利便性を高めている。2013年にはチューリッヒやレイキャビークを抑え欧州地区のエアポート・サービス・クオリティ・アワードを受賞した。

市内への交通手段・費用・所要時間はドモジェドヴォ空港とほぼ同じ。

ヴヌコヴォ国際空港(VKO)
モスクワ中心部から南西に28km。開港は1941年と第二次大戦のまっただ中。ウクライナ、トルコなど一部の国際線と国内線がメイン。
開港こそ古いものの、改修されたターミナルは近代的で機能的。
市の中心まではやはり高速鉄道が結んでおり、アクセスに支障は無い。




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地理と気候

モスクワとの時差はマイナス5時間。日本の正午が午前7時。サマータイムは2011年に廃止され、現在は無い。

北緯55度に位置し、欧州の主要都市の中でも高緯度に位置する。内陸に位置し、冬の寒さは非常に厳しい。
ベストシーズンは夏場の6月~8月。
10月から3月は昼でもマイナス気温となる。ただしモスクワは年末年始冬の芸術祭で混み合う。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はロシア語。独特のキリル文字を用い、文法も難解な言語として知られる。

街中に英語の表示は少なく、観光客を相手にするような場所を除けば英語はほぼ通じない。ホテル、カフェ、チケット売場などが英語で問題無い。外国語が義務教育で必修化されていることから、若者には英語が通じることもある。

通貨はルーブル(RUB)。1ルーブル=2.3円(14年12月時点)。およそ2~3円と覚えておけばよい。

(Wikipedia提供)

ロシアの1人あたりGDPは日本の半分以下だが、物価はかなり高め。
Tripadvisorの「旅行者物価指数」によると、ホテル・タクシー・ディナー・カクテル代すべて東京とほぼ同じ水準となっている。

Tripadvisorは外国人料金が考慮されているかどうか不明だが、旅行代理店などを通した場合のホテル代は東京よりも遙かに高い。
比較的安いのは食品類で、ペットボトルの水が20ルーブル、牛乳が40ルーブル、ビールが30ルーブル程度。ただし外食は高めで、カフェのコーヒーが200ルーブル、ランチは600ルーブル程度が相場。タクシー代は日本とほぼ同じ。
 
商品価格には18%の消費税(VAT:Value Added Tax)が上乗せされている。旅行者向けの還付制度はない。

両替は万国共通でATMによる国際キャッシングが有利。
日本国内でロシアルーブルが両替出来る場所は、成田空港もしくはトラベレックスなど限られている。
日本円からの両替は空港で出来る可能性があるが、両替所に日本円の在庫があるかどうかは不確実。米ドルもしくはユーロを持参した方が良い。
ロシア国内ではルーブルでの支払いが義務づけられている。
再両替は紙幣のみ、両替時にもらう両替証明書が必要。再両替のレートは一般に良くない。

基本的には現金社会で、クレジットカードが使える場所は多くない。旅行者が訪れる高めのレストラン、ホテル、高級ブランド店、グム百貨店の一部の店など。その場合でもVISAかMASTERを推奨。

もともとチップの習慣はあまりなかったが、高級レストランでは代金の10%程度。サービス料が加算されていれば不要。ポーターには30~50ルーブル程度。公衆トイレは有料制。


治安

残念ながらそれほど安全とはいえない状況。
旅行者をねらった犯罪としては、スリ、置き引き、詐欺、スキミングなど。暴行や拳銃を利用した強盗事件も少なくない。夜間の1人歩きは避けること。
写真撮影に関するトラブルもあり、軍事施設や官庁、空港、駅、鉄道鉄橋などにはカメラを向けない方がよい。軍人や警察官も写真は避けた方が無難。不良警官が多く、タカリの口実をあたえるはめになる。パスポートやビザの常時携帯も必須。

民族問題を背景にしたテロが大都市でもたびたび発生しており、2010年には地下鉄で、2011年にはドモジェドヴォ国際空港で多数の死者を出す爆発が起きている。
また、排外主義的なグループがアジア系の外国人を襲うという事件も報道されている。スキンヘッドの集団やサッカーのサポーターなどには近づかないこと。
ヒットラーの誕生日(4/20)、メーデー(5/1~2)、戦勝記念日(5/9)、民族統一の日・10月革命記念日(11月初頭)は酔っ払いが増えたり排外主義的グループが活発化するなど危険な時期。


【ロシア超特別編:ビザと個人手配について】

他の情報と同様、本項はメルマガ発行時点の調査にもとづきます。他の項目にもまして、ビザや入国関連の手続きは急に制度が変わる可能性があります。出入国の手続きについては必ずご自身での確認をお願いいたします。また、以下にご紹介する「空バウチャー」での入国は自己責任でお願いいたします。

全ての旅行者はビザが必要。
ロシア個人旅行の最大の難関がビザと言われている。

観光ビザの申請には、旅行会社が発行する旅行確認書・バウチャーが必要となり、観光ルート・移動手段・宿泊場所・観光プログラム・支払済み証明などの記載が必須。このため、モスクワについてふらりと宿を探す…ということは事実上不可能となっている。

また、郵送申請不可能で直接5箇所の領事部(東京、札幌、函館、大阪、新潟の5箇所)に持ち込む必要があるというところもハードルをかさ上げしている。
さらに、申請時間は平日の9:30~12:30まで。朝から大量のパスポートを抱えた旅行代理店の担当者が順番待ちしている中、処理速度は旧ソ連さながらの非効率で、12:30になると何十名順番待ちがいようと問答無用で窓口閉鎖という理不尽さ。
ビザ申請自体は無料だが、10営業日以内の発行は4,000円、3営業日で1万円と、急ぎになるほど手数料がかさむ仕組み。

以上のような事情のため、パッケージツアーを利用するか、個人旅行であってもビザ・ホテル・移動含めた手配一式をロシアに強い旅行代理店に依頼するのが主流となっている。
旅行代理店は、鉄道やホテルの手配に加えビザ発行を1万円程度で行ってくれる。

現実に英語が通じにくく移動が難しいこともあり、パッケージツアーの利便性は高い。

難点は、ホテルの選択肢がほとんどないこと。モスクワは後述する通り世界一ホテル代が高い都市と言われるほどで、旅行会社の用意するホテルはおおむね高め。その割には古く不便な場所にあったりする。そもそも当局が「外国人が泊まってもよいホテル」をある程度高級なものにしぼっているためやむを得ないのだが、行く気が起きないほど高ければ意味が無い…。

実際にはExpediaなどで手ごろな価格のホテルもある。そういったホテルを自由に選びたい、なるべく安くあげたい、どうしてもおしきせの旅はしたくないという場合は、裏技として空バウチャーを発行してくれる代行業者の存在がある。このバウチャーに記載されたホテル・旅程を出国時にチェックするようなことはない(ではいったい何のための制度…)。
とりあえず、この空バウチャーがあれば申請書類は整うので、それを持ってロシア大使館に個人でビザ申請することは可能。
実際にビザに掲載される情報は滞在都市と滞在期間。有効期限内であれば出入国日がずれても良く、フライト情報がビザに記載されることはない(したがって入国時にチェックされるようなこともない)。ホテルの宿泊証明もビザに記載されるわけではない。したがって、バウチャーさえあれば航空便やホテルは自由に個人手配できる。

確実さを求めるならビザ申請代行業者を利用する手も。ホテルを自分で選んだ場合は、そのホテルに招待状を発行してもらい、代行業者にその情報を伝える。
ロシアビザセンターは、ホテルも航空券の予約も全く不要でビザ申請を受けてくれる。

ロシアに3日以上滞在する場合には外国人登録(レギストラーツィヤ)が必要。通常ホテルに依頼する。
知人宅などに滞在する場合には、受け入れ先に当地の郵便局・役所などでの申請を依頼する。この登録証を携帯していないことで悪徳警官にたかられたという事例も発生している。


市内交通

(タクシー)
正規のタクシーは黄色い車体、ドアや天井にサインが付いている。料金はメーター制だが各社統一されていない。20ルーブル/1km程度。
街頭には白タクの方が多い。値段は交渉制。
道路事情は悪く、慢性的に渋滞している。

(地下鉄)
モスクワのメトロは11路線、総延長300kmを超え、乗客もおよそ650万人/日と世界2位の規模(世界1位は東京;総延長330km・乗客870万人/日)。古くに建てられた駅はロシア様式の建築美が見物。
地下鉄はロシア鉄道と同じ1,520mmの超広軌だが、車両自体は日本の地下鉄と変わらない。

モスクワ メトロ (トリップアドバイザー提供)


モスクワ メトロ (トリップアドバイザー提供)

案内はロシア語のみで、薄暗く地下深い。ロシア語の路線図を持っていると便利。
キップはカード式、料金は距離にかかわらず統一で、1回券28ルーブル。10回券265ルーブル。このほかにICカード式もある。自動改札にカードをタッチしてホーム側に入る。

(鉄道)
モスクワ市内の主要駅は9つ。長距離列車のターミナル駅となっており、行き先の地名にちなんで名づけられている(レニングラード駅はレニングラード行き)。したがって、モスクワにモスクワ駅は無い。ターミナル駅は地下鉄駅と近く乗り換えは便利。

キップは、ツアー会社を経由した場合日本で発券されている。
現地の窓口でもパスポートを提示し購入は可能で、当然現地の方が大幅に安い。ただし行き先、席クラス、日付などで価格が異なる複雑な体系で、ロシア語が話せないと購入は困難。
改札はなく、直接プラットホームに向かい自分の登場する列車を待つ仕組み。駅構内にホームと列車の対応が掲載されているがロシア語なので注意。

ロシアは鉄道大国で、駅や車両は絵になるが撮影は厳禁。また、ターミナル駅周辺の治安はあまり良くない。

近郊列車であれば自動販売機でキップを購入可能。

(バス・トラム)
トラム、トローリーバス、路線バスが市内を縦横に結んでおり、キップも料金体系も共通。
キップは街のあちこちにあるキオスクで売られており、路線図も購入できる。メトロと同じく定額制で1回25ルーブル。
運転手から購入すると28ルーブルと高いが、降りるバス停で教えてくれるので便利。
先頭一番前のドアから乗車し、自動改札機にキップを通して印字、バーを押して印字後のキップを受け取り乗車する仕組み。
マルシュルートカという乗り合いバスもある。料金は30ルーブル程度で、バスのキップは使えない。

メトロ3号線終点のシチョールコフスカヤ駅に巨大な長距離バスターミナルがある。窓口でキップを買う定員制。


ホテル

ビザの件で触れた通り、モスクワのホテル代は世界一高いと言われ、清貧を常とする個人旅行者には厳しい。
イギリスのB2B旅行代理店、ホッグ・ロビンソン・グループ(Hogg Robinson Group)の調査によると、モスクワの商用利用の平均宿泊費は1泊263ユーロとニューヨークやパリを抑えて1位(ちなみに2位はナイジェリアのラゴスで234ユーロ!)。

商用で泊まるのは比較的ランクの高いホテルが多いと思われるが、個人旅行者の選択肢も少ない。最低でも概ね一泊2万円は見ておいた方が良く、一泊5万、7万というホテルもめずらしくない。

ホテルがパッケージとなったツアーであればビザの申請も含め何も考える必要は無いが、その分費用は不明瞭になる。

もう少し自由に選びたい場合は個別手配となる。旅行代理店が、外国人が宿泊可能なホテルのリストを用意しておりそこから選ぶことになる。価格は外国人料金で高めだが費用の透明性はある。ただし、ExpediaやTripadvisorなどのサイトに出ている人気のホテルがリストに無かったり、料金が違ったりといったことも。

「Expediaとかでホテルを自由に選べないの?」
もちろん可能。その場合はホテル情報をビザ代行業者に伝えるか、空バウチャーでビザ申請することになる。
モスクワ市は広いので、ネットで予約する場合は交通の便を良く確認しておきたい。
ホステルやAirbnbの場合は、ビザ申請の際の記入方法などを宿(ホスト)に確認しておこう。

宿泊時は、外国人登録(レギストラーツィヤ)の手続きを忘れずに。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ロシア全土をカバーしている携帯会社はヴィンペルコム(ブランド:Beeline)、メガフォン(Megafone、Yota[LTEネットワーク])、モバイル・テレシステムズ(MTS)など。
国土が広大なので、州(エリア)を超えるとローミング扱いになる。

後述の通り、公衆無線LAN網が充実しているため、インターネット接続のみであればそちらを選択するという手も。3Gはあまり速くない。

ネット上で「最もおすすめ」とされているのがアジアでもよく見かけるBeeline(元はロシア資本)。料金プランは、1ヶ月300メガ150ルーブル、同2ギガ390ルーブル、同3ギガ600ルーブルなど。
MTSは1日無制限50ルーブル、1ヶ月3ギガ350ルーブルなど。
Megafonは1日無制限24ルーブル(200メガ以降速度制限)、2ギガ210ルーブルなど。
初期費用(SIM代)がおおむね200ルーブル程度。

大手携帯販売店、Euroset(表記:Евросеть)の店舗がドモジェドヴォ国際空港やシェレメチェボ空港にあり、各社のプリペイドSIMを購入できる。

(Euroset看板)

モスクワでの滞在期間やモスクワ以外の滞在地(あれば)を伝え、英語表記にしたSIMフリー端末を出してプランを選んでもらい、設定まで依頼する。
シェレメチェボには、Eurosetとは別の大手販売店のSvyaznoy(Связной)がある他、Beeline、Megafon、MTSの各キャリアのカウンターもある。

(Svyaznoy社看板)

(WiFi)
WiFiの充実度は素晴らしく、カフェ、バー、鉄道駅、さらには地下鉄車内(2014年12月にサービススタートしたばかり)など、多くの場所でWiFiが通じている。他国同様にマクドナルド、スターバックスでも使える。
ホテルのWifiは有料で高いことも。

市街の多くの地点をBeeline(Gloden Telecom)による公衆無線LANがカバーしている。有料スポットと無料スポットがあり、有料プランの選択肢は、1ヶ月500ルーブル、1日100ルーブル、1時間あたり50ルーブルの3種類。

ドモジェドヴォ国際空港、シェレメチェボ空港それぞれで無線LANを提供している。

4. 世界あの街この街: ヤンゴン


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第35回 ヤンゴン

800px-The_Shwedagon_Paya_in_Yangon_(Rangoon),_Myanmar_(Burma)
(画像:Wikipedia)

ミャンマー連邦共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

漢字では「仰光」と表記する黄金の都市。
近年経済成長著しく、ビジネス需要の後押しで日本からの来訪者も急増中。金色に輝く仏塔がまぶしいシュエダゴン・パゴダに代表される仏教建築や英国様式の壮麗な建物に近代的なビルが共存する街並みは実に独特で美しい。
東南アジアを巡ってリフレッシュのはずがぼったくられまくって殺伐とした心境になってしまった旅行者にもミャンマーは優しい。押し出しの強い周辺国とは違う素朴な国民性や日本人好みの食べ物など、一度訪れたらリピートしたくなる魅力をそなえている。
ダウンタウン散策や巨仏巡りの他、湖やビーチ、古都を巡るツアーも人気がある。

ヤンゴンはかつてラングーンと呼ばれたミャンマー最大の都市(首都はネーピードー)。
ミャンマーの南端に位置し、西のベンガル湾を越えるとインドという位置関係。

ヤンゴン・セントラル駅 から Happy World Amusement Park   Google マップ
(画像:Google;A-ヤンゴン中央駅、B-聖マリア大聖堂、C:スーレーパゴダ、D:ボータタウン・パゴダ、E:シナゴーグ、F:ボーヂョー・アウンサンマーケット、G:シュエダゴォン・パゴダ、H:チャウッターヂー・パゴダ、I:ハッピーワールド)

街歩きの起点はヤンゴン中央駅。ここから南は格子状に規則正しく整備された通りが拡がり、繁華街となっている。
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(画像:Wikipedia)

駅からまっすぐ南に向かうのがスーレーパゴダ通り。通りは文字通りスーレーパゴダを貫いてヤンゴン川に通じている。ヤンゴン市街はスーレーパゴダを中心に設計されており、人通りや音楽で大変賑わっている。高さ48mの黄金の塔は街歩きの目印になる。仏塔の北にある白亜の建物はヤンゴン市庁舎。
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(画像:Wikipedia)

スーレーパゴダ通りと直行し、市を東西に貫くのがボーヂョー・アウンサン通り。ホテルやレストランが建ち並ぶ。通り沿いの東には壮麗な聖マリア大聖堂があり、西いにはヤンゴン最大の市場、ボーヂョー・アウンサンマーケットがある。土産物探しや休憩に便利で、雑貨やロンジー、有名なインレー織りの布製品などもここで揃う(値段は高め)。
Cathedral_Church,_Yangon
(画像:Wikipedia)

ボーヂョー・アウンサンマーケットの南側あたりがスパイスの香り漂うインド人街。
南北に走るシュエボンター通りはかつてマゴー・ストリート、つまりムガル通りと呼ばれていた。この一帯はムガル帝国由来のイスラム・モスクやヒンドゥー寺院がある。
インド人街のさらに西には中華街が拡がっており、その境目にはシナゴーグがある。
聖マリア聖堂からスーレーパゴダ、モスクにシナゴーグに中華寺院とこの一帯は他民族と多宗教が共存するミャンマー連邦の多様さを象徴している。旅行者にとっては各国の食がそろうグルメ通りでもある。
800px-Hindu_temple_procession_cart,_Yangon
(画像:Wikipedia)

ミャンマー川の近くは英国統治時代の重厚な建物が並んでいる風光明媚なエリア。
このエリアにあるボータタウン・パゴダは2,500年もの歴史を誇るが、第二次大戦で破壊され戦後に再建された。
不幸中の幸いにして破壊跡から失われていた宝物が多数発見されたそうで、黄金の仏舎利に展示された仏陀の遺髪もその1つ。

(画像:Yangon-rangoon.com)

チャウッターヂー・パゴダは巨大な寝釈迦像で有名。ミャンマーの仏像は白い肌にくっきりした目鼻立ちでインパクト大。

(画像:Tripadvisor)

そして、ミャンマー観光最大の見どころと言っても過言ではない黄金寺、シュエダゴン・パゴダ。
(シュエダゴン・パゴダのメイン仏塔は2014年11月から修復工事の予定。外観を損なうような工事ではなく、見学も可能)
高さ100mにもおよぶ仏塔や大小様々な建物は黄金と宝石で輝き、そのスケールには圧倒される。
なお、訪問は日没時がおすすめ。寺内は裸足が義務づけられているため日中は石畳が熱せられて足の裏を火傷しかねない。
そして何より、深い紺色の空と黄金との対比が素晴らしい。

(画像:Tripadvisor)


シュエダゴン・パゴダの近くにあるミャンマー最大のB級スポットはハッピーワールド。
ディズニー、テレタビーズ、日本アニメなどをパクリまくった展示が満載の遊園地で、好事家にもつとに有名。
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(画像:team-yellow.com)

市街の北にあるのはインヤー湖。周囲はふんだんな緑で覆われ、遊園地や高級ホテルがありのんびりできる。ダウンタウンの安宿に泊まっていても、一回くらいは湖畔のレストランに行ってみよう。ライトアップされた屋外で民族舞踊を見ながらとる食事も楽しい(そして、食い終わったら安宿に戻る)。

(画像:Tripadvisor)


ヤンゴンの北東およそ70km、バゴーはモン族の王都として栄えた古都。
シュエダゴン・パゴダを上回る高さ110mの仏塔を誇るシュエモード・パゴダやシュエターリャウン寝仏、ミャッターリャウン仏など多様な仏教史跡が有名。巨大仏マニアならヤンゴンよりも楽しめるかも。

(画像:Tripadvisor)

ヤンゴンから北東におよそ200km、チャイティーヨーはシュエダゴン・パゴダと並ぶミャンマー名物。
落ちそうで落ちない不思議な巨石は、ミャンマーの仏教徒にとってだけではなく旅行者にとっても聖地。ヤンゴンからバスや鉄道を乗り継ぎ、麓の町キンプンから山頂に登る。ハイシーズン(11~4月)にはヤンゴンからキンプンへの直行バスがあるので日帰りも不可能ではないが、通常はバゴー泊となる。せっかくなので周囲でトレッキングを楽しみながらのんびり滞在するのもいい。
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(画像:Flicker, Jaap den Dulk)

中部バガンは仏教聖地として知られ、数々の寺院がある。
アーナンダ寺院はその代表格で、黄金のレリーフで名高い。
バガンの北50kmにあるポッパ山の山麓には岩山の上に築かれたタウン・カラッという寺院がある。岩山の上を切り取ったように黄金の寺が鎮座する不思議な光景は一見の価値あり。

(画像:Tripadvisor)

日程に余裕があれば、世界最大級のミャンマー巨仏を拝んでみたい。ミャンマー中央部のマンダレーから西、モンユワには高さ130mのレイチュンセッチャー大仏や100m超えの涅槃物、仏教テーマパークなどインパクト大の展示が集まる。
参考:人類最後の望みは、この巨仏! 超弩級の大仏像を巡る旅

【ミャンマー】個人旅行の強い味方、空港送迎から日本語ガイドまで VELTRAにおまかせ!



Super 81 (トリップアドバイザー提供)

ミャンマー料理は南北に長い国土や多様な民族構成を反映し地域によって異なるが、おおむね日本人にとっても食べやすい味付けで評判はよい。
ヤンゴンの基本は東南アジア的なフレーバーだが、近隣国に比べて国境を接するインドの影響が強く、カレー(「ヒン」と呼ばれる煮込み副菜)のバラエティが豊富。ナンやビリヤニまである。カレーの辛さは抑え気味だが油脂は多めで、ごはんの進む濃厚な味つけ。
東部シャン族の料理も広く浸透している。豆腐や野菜を多用し、しょうゆの効いたあっさり味で親しみやすい。シャン州では納豆やなれずしの他、ジャポニカ米まで栽培されている。

麺料理も名物で、朝食やおやつで人気。モヒンガーという米でつくった麺が代表的だが、他にもココナツミルクの効いたタイのカオソイそっくりな中華麺使用のオンノゥ・カウスェ、トマトと鶏肉を使うシャン族の麺料理、マンダレー風のマンダレー・モンティーなど様々。


Shan Yoe Yar (トリップアドバイザー提供)

このほか揚げパン、お好み焼き、串揚げ、たこ焼きなど軽食・ストリートフードも充実している。屋台の生ジュース、サトウキビジュースは避けた方がいい。

ミャンマーはビールが有名。英国統治の伝統を汲んだ本格的な味わいの地元ブランドが多数あり、欧州でも評判が高い。東南アジアの地元ビールにありがちな薄くてさっぱりした飲み口ではなく、濃厚でアルコール度数も高め。緑のラベルが印象的なミャンマービールを筆頭に、100年以上の歴史を誇るマンダレービール、濃厚なダゴンビールなどが代表的。また、生ビールが飲めるのも嬉しい限りで、瓶ビールよりも安くコーラ並みの値段で飲める。


日本からの行き方

(空路)
便利なのはANAのヤンゴン直行便。成田-ヤンゴン便が毎日就航しており、往路所要8時間。あっという間に席が埋まるため値段はやや高め。
中華系・アジア系航空会社の経由便であればだいぶ安めで、5万円程度。台北、仁川、香港、ハノイあたりを経てヤンゴンへ向かう。

LCCの場合、エアアジアのクアラルンプール-ヤンゴン便やタイエアアジア・ノックエアのバンコク-ヤンゴン便がある。香港からは香港ドラゴン航空が就航しているが、料金は高止まりしている。

ミャンマー国際航空による関空-ヤンゴンのチャーター便は週3便。関空を13時発、プノンペンを経由して同日中にヤンゴンに到着する。
また、茨城空港からのチャーター便も不定期に運航される。

(陸路)
陸路であっても事前にビザ(後述)を日本で取得しておいた方がスムーズ。ビザ無しの場合は中国やタイの入国地点から出国しなければならない。
タイからはミャワディ、中国は雲南省との境界キュコクあたりがメジャーな国境越えポイント。他国からヤンゴンへの直行バスなどという便利なものは無く、バスやピックアップトラックを改造した相乗りバスを乗り継ぐことになる。

(空港)
Malaysia_Airlines_Rangoon
(画像:Wikipedia)

ヤンゴンの空の玄関はヤンゴン国際空港(RGN)。市外から北15kmに位置する。
ミャンマー航空、ミャンマー国際航空のハブ空港。ミャンマー国際航空をはじめエアアジアやベトナム航空、ANAが到着する国際線ターミナルと国内線ターミナルがある。

空港からの移動手段はタクシーのみ。
国際線到着ロビーにエアポートタクシーのカウンターがある。
市街まで早朝なら約30~40分、日中は渋滞状況によって2時間ちかくになることも。料金は市街まで定額7,000K。国内線ターミナルからでも同じ料金。

空港ターミナルビル外の路上で客待ちしているタクシーもあるが、乗合で1人6000~7000Kと安くないので利用価値はない。外で流しを拾えば5000K程度まで下がることもあるが、重い荷物を引いて行く手間を考えると空港タクシーがベスト。




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地理と気候

ミャンマーはインドシナ半島の西部に位置し、東にタイとラオス、北に中国、西にインドと接する。日本の1.8倍という広大な国土を誇り、気候も南北でかなり異なる。
ヤンゴンの位置する南端は熱帯性気候で、年間通じて30度以上。
5~9月は雨が多い雨季。11月~4月は乾季で、乾季の後半3~4月は気温も高め。
やはり乾季がベストシーズン。3~4月はヤンゴンでもシュエダゴンバゴダの祭りや水かけ祭りなどイベントが多く、日程を合わせて行くと一層楽しめる。

日本との時差はマイナス2時間半。日本の正午がミャンマーの9時半。


(画像:Google提供)

言語と通貨

公用語はミャンマー語だが、イギリス領であった経緯もあり英語の通用度は高く、ほぼ英語で用が足りると思って良い。観光分野では日本語可のガイドなども割に多い。

通貨はミャンマー・チャット(MMK)。K(単数形)、Ks(複数形)と表記される。補助通貨としてピャー(Pya;100ピャー=1チャット)もあるがインフレのため使われていない。
現金決済が主流であるため紙幣の種類は多く、1、5、10、20、50、100、200、500、1000、5000、1万Kと11種ある。硬貨も存在するらしい。
1ミャンマー・チャット=0.11円。だいたい10チャットで1円と覚えておけばよい。

米ドルは必須。
日本円を現地で両替することは困難であり、米ドル→チャットへの両替が基本。
米ドルがそのまま使えてしまうことも多く、ホテルや外国人の施設入場料などは米ドル建ての場合もある。チャットは食事やタクシーなどで使う。
現地でATMからキャッシングして米ドルを入手しても良いが、紙幣が出てこないこともあるので現金の持参を推奨。
札番号がCBではじまる米ドル札は、受け取りを拒否されることがある。
高額のドル札は使いにくいので1ドル札を多く持っておくと便利。

現地での両替は銀行やホテルで行うが、空港で両替するのが手っ取り早い。計数機で枚数を確認してくれるしレートも悪くない。なお、かつては「強制両替」という悪名高い制度があったが現在は廃止されている。
チャットの国外持ち出しは禁止されており、再両替が可能なのは米ドル、ユーロ、シンガポールドルに限られる。

ミャンマーの物価はホテル代を除きおおむね安め。
ローカルレストランで麺などが1,000K(チャット)、カレーや中華などで2,500K、ビールを付けると6,000K程度。ローカルブランドのビールが1缶800チャット、ミネラルウォーターが1リットルで250チャット。
タクシーを1日チャーターすると50ドル程度。

クレジットカードの通用度は低く、外国人が行くような高級レストランやショップ、ホテルに限られる。使えても手数料が高め。

チップは基本不要。ベルボーイに1ドル程度。ガイドやドライバーには1~3ドル程度。高級ホテルでは10%の税金と10%のサービス料が加算される。


(画像:banknotes.com)

ビザと治安

ミャンマー入国にはビザが必要。
観光ビザは最長28日間で、滞在期間の延長はできない。

軍政下では1人1人の観光ビザ申請に対する審査を閣僚自らが行っていたという逸話も残るが、現在はオンラインビザ(e-VISA)が利用できるようになるなどかつてのビザがめんどうな国というイメージは払拭されつつある。
オンラインビザはヤンゴン国際空港から観光目的で入国する場合のみ適用。事前にインターネットで申請しておくと空港到着時にビザが発給される仕組み。

また、ミャンマー国際航空を利用し広州・シェムリアップよりヤンゴンに入る場合のみアライバルビザの取得が可能。
制度は頻繁に変わる可能性があるので必ず各国大使館サイトで確認を。

素朴な国民性のためか、軍政の名残(with密告制)か、基本的に治安は良い。
スリや置き引き、ぼったくりなどはあるものの、周辺諸国に比べると犯罪件数、被害の度合い共にかなりおとなしい方。

北部地域など国境に接している州は外国人の立ち入りが制限されている区域があり、自由に旅行はできない。

市内交通

地下鉄やトラムなどのいわゆる公共交通機関はないため、旅行者にとっての主要移動手段はタクシーとなる。
他の東南アジア諸国同様、市内の交通状況は悪い。外貨不足でクルマは非常に高価(中古のカローラが4百万円近くで売られているというエピソードも有名)だが、なぜか市内は渋滞しまくっている。昼夜問わずクラクションがなりまくり、割り込みも多い。ヤンゴンの場合警官以外のバイクは規制されているため、ベトナムのようなバイクラッシュに悩まされることはないのが救い。

(タクシー)
流しのタクシーも多く走っており、つかまえるのに苦労することはない。許可をもらっているタクシーは屋根にTAXIの看板がついており、赤いナンバー。
料金は交渉制。メーターが付いていても使うことはまれ。徒歩5分程度の距離ならだいたい1000~1500Kが相場。
ふっかけてくることも多いが、外国人料金せいぜい1000K上乗せされる程度。
終日チャーターの場合はガソリン代抜きで50,000K程度。

バイタクはないが、自転車タクシー(サイカー)がある。同じく交渉制だが3kmで1500K程度。

(バス)
路線図はなく、ビルマ文字の複雑さもあり利用難易度は高い。
キップはなく、車掌(行き先を連呼し料金徴収をしている男性)に降りたい場所を告げて直接支払う。日本のバスを払い下げた車両やトラックの荷台を改造したピックアップトラック型のバスなど、車体はバラエティに富んでいる。

長距離バスのチケットはヤンゴン中央駅北のバス会社カウンターや、駅南のスーレーパゴダ通り沿いにあるカウンターで購入できる。長距離バスターミナルは2つあるので、どちらに乗るかを確認しておこう。
なお、チケット売場の周辺にはモグリのチケット売りや悪徳両替屋がいることがあるので注意。

(鉄道)
南のヤンゴンから空港を越えて北のミンガラドンまで約46kmを一周する環状線があり、所要3時間・料金は1ドル。窓ガラスもないものからLED照明のものまで車両は様々。
ヤンゴン駅は1954年竣工。ミャンマー伝統建築様式にのっとった壮麗な建物。寝台列車など遠方に向かうチケットは外国人専用カウンターや駅南の予約カウンターで購入する。

(レンタサイクル・バイク)
レンタサイクルの相場は一日借りて2000K程度。
移動には便利だが、道路事情は悪いので注意。未舗装の場所や舗装が崩壊している箇所も多い。

ホテル

観光需要の高まりと共にヒルトン、ペニンシュラといった外資系高級ホテルの進出が続いているが、まだまだ需要に供給がおいついていない状態で、総じて高め。5つ星ホテルなら3万円以上もザラ、3つ星クラスでも5千円~1万円とかなり割高な印象。
ゲストハウスならぐっと値が下がり、個室で2千円~程度。SIMの入手や現地ツアーなど、下手なホテルよりも融通が効く。
クラスにかかわらずヤンゴンの宿はすぐに埋まってしまう。通年で予約が必須。

かつての軍政時代は個人宅に泊まるというのは考えられなかったが現在は解禁されており、Airbnbでもヤンゴンの宿が数件ヒットする。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ミャンマーの携帯サービスはMPT(Myanmar Posts and Telecommunications;ミャンマー国営郵便・電気通信事業体)、Ooredoo(カタール資本)、Telenor(ノルウェー資本)。電波状態はMPTが最も良いとされるが、14年に参入したばかりのOoredoo、Telenorも急速にネットワークを拡大している模様。

かつては外国人のプリペイドSIM購入には制限があり、現地人でも法外な価格を払わないと入手できなかった模様(一枚3,500ドルとか…)。利権を独占していた役人が追い出され携帯通信も自由化、現在は価格も下がり外国人でもSIMを購入できるようになっている。
SIM購入にはパスポートのコピーが必要。ショッピングセンターの家電店や露店で購入できる。なお、プリペイドSIMは「Top-up card」と呼ばれている。

MPTは日本のKDDIと提携しており、11/14に発の直営店舗をオープンしたばかり(場所はBo Aung Gyaw StreetとStrand Roadの交差点にあるヤンゴン中央郵便局内)。ここで買うのがてっとり早い。
プリペイドSIMの価格は1,500チャット。1万チャットチャージすると120日、3万なら360日有効となる。データ通信は1万チャットのイニシャル・チャージが必要で、課金は時間制となっている。3G通信の場合4チャット/分、1時間で240チャット(速度不明)。

Ooredooの料金体系は一般的な容量ベース。
一日50Mのプラン390チャット、月間500Mのプランが3,900チャット、同1Gのプランで6,900チャット、2Gで12,900チャット、5Gで29,900チャット、10Gで55,900チャット。

Telenorの場合、「Smart Internet monthly pack」が使いやすい。
30日有効の容量1G、速度2Mbpsのプランで費用は6,600チャット。SIMの価格が1,500チャット。

日本からWiFiルーターを借りていった場合は3日間で3,600円~とやや高め。できれば現地で調達したい。

(WiFi)
外国人が行くようなカフェやレストランではWiFiの表記を出しているところも増えてきた。ホテルでもWiFiを提供している。
周囲の東南アジア諸国に比べ、WiFi利用が可能な施設はまだまだ少なく、回線速度や安定性なども劣る。
ヤンゴン国際空港の2階は無料WiFiが通じている。また、シュエダゴォン・パゴダには無料WiFiがあり、外国人は30分有効のカードをもらえる。

4. 世界あの街この街: シェムリアップ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第34回 シェムリアップ

Angkor_Wat_Sunrise
(画像:Wikipedia)

カンボジア王国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

アンコールワット観光の起点となる街で、近年発展がめざましい。バザールでの街歩きも人気で、物価も安いので長期滞在も。
シェムリアップの街歩きの中心はオールド・マーケット。
中心部の道は碁盤状になっているので、国道6号やシヴォタ通りといった主要道とシェムリアップ川の位置を掴んでおけばそれほど迷うことはない。
シェムリアップ国際空港 から Cambodia Landmine Museum   Google マップ
(画像:Google;A-空港、B-オールド・マーケット、C:シヴォタ通り、D:アンコールワット)

ホテルで荷物を置いたら、まずは6号沿いを通ってオールド・マーケットへ。
アジアの典型的な市場だが、地元民から観光客まで幅広い客層で活気がある。屋台で朝食を食べたり山盛りの果物や魚を見たりしながらぶらつけばいつの間にか時間が過ぎていく。雑貨やシルクなどの土産物屋も多い。

Psar Chaa – Old Market (トリップアドバイザー提供)

この界隈でおしゃれなカフェやレストランが集まる一角がパブ・ストリート。きれいめのレストランや屋台、土産物屋に両替、旅行代理店や書店までなんでもそろう観光客の御用達スポット。夜は更に賑やかになる。

Pub Street (トリップアドバイザー提供)

シヴォタ通り(Sivatha)はシェムリアップのメイン通り。ホテルやゲストハウスが多く集まり屋台が並ぶツーリストエリアとなっている。6号との交差点付近には近代的なモールやホテルが建ち並ぶ。
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Lucky Mall Shopping Center (画像:globaltravelmate.com)

なお、6号を東のシアヌーク・ヴィラ方面に歩くとオオコウモリが棲息していることで有名な木がある。日が暮れたら飛び立つ姿を見に行ってみよう。コウモリはフルーツバットと呼ばれ、カレーの材料になることも…。

夜はシヴォタ通りと南側にナイトマーケットが開く。そこからオールド・マーケットまでも近い。ビールでも飲んで早めに寝よう。
IMG_9802
(画像:angkornightmarket.com)


さて、翌朝は早起きしてアンコールワット観光。
前日に宿のフロントに頼んでチャーターしておいたトゥクトゥクに乗って、一路アンコール遺跡へ。
検問を通過してしばらくすると、遺跡をシルエットに空が赤く染まる光景が見られる。

(トリップアドバイザー提供)

ツアー客が慌ただしく見物する中、アンコール・トムも含めて一人のんびり回ろう。

Terrace of the Elephants (トリップアドバイザー提供)


Ta Prohm (トリップアドバイザー提供)

帰路、アンコール国立博物館に寄ってもいい。市中心部に戻る道沿いにあり、アンコール遺跡からの出土品を展示してある。近代的な建物でミュージアムショップもお土産探しにいい。

Angkor National Museum (トリップアドバイザー提供)


郊外にもいくつか立ち寄りたい遺跡がある。
バンテイアイ・スレイはシェムリアップから北に40kmほど。精密な細工と赤い砂岩づくりで知られ、朝日に照らされると美しく映える。小ぶりだが保存状態もよく、アンコール遺跡よりも感銘をうけるという意見も。

Banteay Srei (トリップアドバイザー提供)

アンコールワットから東に50kmほど、「東のアンコール」と称される巨大遺跡がベン・メリア。
深い森に覆われ、遺跡も修復が施されず朽ち果てかけているが、逆になんとも言えないわびさびと秘境感がある。

Beng Mealea (トリップアドバイザー提供)

日程に余裕があればぜひ訪れたいのがシェムリアップのはるか北に位置する山岳寺院プリア・ヴィヘア。
標高500m以上の地点に建造されたヒンドゥー寺院。
円錐形の美しい山の斜面に建つため標高の印象以上に高度感があり、断崖からカンボジアの大地をはるか遠くまで見渡せる。

Preah Vihear Temple (トリップアドバイザー提供)

なお、プリア・ヴィヘアはタイ国境と目と鼻の先。かねてからキナ臭い地域であったが、2008年の世界遺産登録後に緊張が高まり銃撃戦となった。現在も「渡航の是非を検討してください」状態であるが、2013年に国際司法裁判所がカンボジアへの帰属判決を出したこともあり緊張緩和の方向にある。

素晴らしいのはわかったけどもう遺跡は見飽きたな・・・、というリアリストのあなたには現代史を学べる場所がある。
地雷博物館はシェムリアップから北に35kmほど、バンテイアイ・スレイに行く途中にある。かつてクメール・ルージュの兵士であった活動家のアキ・ラー館長が独力で運営するミュージアムで、地雷撤去活動や地雷によって負傷した孤児の世話を行っている。

Cambodia Landmine Museume (トリップアドバイザー提供)

キリング・フィールドはポル・ポト時代の刑務所跡。キリング・フィールドといえばプノンペンが有名だが、シェムリアップはじめカンボジア各地にある。シェムリアップの場合は収容所跡に寺院(ワット・トメイ)が建っている。

Wat Thmey(Killing Field) (トリップアドバイザー提供)

観光に疲れたら、また街にもどって足裏でも揉んでもらおう。
夜はいたるところに屋台が建ち並び、平和のすばらしさを実感できる。
パブ・ストリートの夜は昼にも増して賑やか。

Pub Street (トリップアドバイザー提供)

VELTRA



Khmer Kitchen Restaurant (トリップアドバイザー提供)

カンボジア料理はインドシナ半島の周辺国同様、東南アジア特有のフレーバーを持っている。すわなち、魚醤や唐辛子、ココナツミルクを多用し、麺料理や炒め物に中国の影響が、スパイス使いにインドの影響が見られる。また、フランスの食文化も根を下ろしている。
一言で言うと、辛くないタイ料理、ハーブを控えたベトナム料理といったところで、魚醤のコクが効いた味は日本人にとっても親しみやすい。スープなどは特有の甘酸っぱい味付けをすることもある。

首都プノンペンでは魚介系材料が豊富な一方、シェムリアップでは肉を多用する。いわゆるゲテモノ系食材もある。

代表的な料理は、多種多様なスープ類(ソムロー)、雷魚やナマズといった淡水魚の煮物やフライ、マイルドな鳥のカレー、春巻き、クィティウというビーフン麺(スープ麺や焼きそば)、甘辛い豚肉や鶏肉を乗せたバーイ・サイッなど。
屋台にも肉乗せご飯から焼きそばや肉まん、ベトナムのバインミーと同じフランスパンのサンドイッチなど様々な選択肢がある。果物をその場で潰してつくるフレッシュジュースも現地人には人気だが、衛生面には気をつけた方がよい。

Sandan (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
現在日本からカンボジアへの定期直行便はないため、東アジア、東南アジアの都市からシェムリアップを目指すことになる。

平均的に価格が安く便数も多いのはエアアジアとベトナム航空、そして中国東方航空。価格と所要時間のバランスからはアジア系もおすすめ。
ベトナム航空では4万円台の便もあるが、乗り継ぎで一泊が必要となるような激遅便がほとんど。乗り継ぎがスムーズな便(ホーチミン経由など)なら往復共に10時間程度でたどり着くが、こうした便はおおむね高めとなっている。
エアアジアはクアラルンプール経由。安い時期なら往復で5万円を切るが、通常6万円程度。キャンペーンが利用できれば往復3万円も可能。
ベトナム航空と並びLCC以上に安いことも多い中国東方航空は、上海経由便が往復共に所要10時間程度、価格も5万円程度とバランスがよい。関空なら最安値となることも。

アジア系の航空会社では、大韓航空やキャセイパシフィックなど。いずれも6万円程度だが所要時間は短く、お得度も高い。

また、バンコクやホーチミンまでの足が安く確保できればそこからシェムリアップまではLCCで数千円程度。

(陸路)
陸路で有名なのはバンコクからの国際直通バス。カオサンの旅行代理店ではシェムリアップ行きのバスチケットを扱っており、バスのグレードによって10ドルから30ドル程度まで様々。
日程に余裕があるなら非常にお得。

ホーチミンからシェムリアップに向かうバスもあり、こちらもバスのグレードによって20ドルくらいから。トイレ、軽食、WiFi付の豪華バスなら30ドル程度。

(空港)

(画像:Wikipedia)

シェムリアップの空の玄関はシェムリアップ国際空港(REP)、別名アンコール国際空港。
カンボジアの伝統的な建築様式に倣った外観で、平屋づくりの小規模な空港だが設備は新しい。到着してイミグレーションを抜けるとカフェや携帯ショップがある。
出国ロビーには高級免税店がずらりとならび、ラウンジもある。

空港から市街までは8kmと近く、所要20分程度。
タクシーで市街まで定額9ドル。三輪バイクの場合7ドル~。空港バスはない。


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地理と気候

カンボジアはインドシナ半島の南側に位置し、東にベトナム、西にタイ、北にラオスと国境を接している。シェムリアップは巨大なトンレサップ湖の北に位置し、首都プノンペンよりもタイ国境の方が近い。

典型的な熱帯モンスーン型気候で、年間通じて30度近くとなり、雨季と乾季に分かれる。
ベストシーズンは11月~4月の乾季で、日中の気温は高いものの過ごしやすい。
雨季の旅行は暑さと蒸し暑さで体力を消耗する他、大雨で交通に支障が出ることもありできれば避けたい。ただし、雨に濡れて緑豊かなアンコールワットをみたいならばあえて雨季に行くという手も。


(画像:Google提供)

言語と通貨

公用語はクメール語(カンボジア語)。
観光客が行くような場所ではだいたい英語で用が足りる。
フランス領であったが、フランス語を話せるのは一部の高齢者など限られている。

通貨はカンボジア・リエル(KHR)。通貨記号は「៛」。補助通貨はない。
米ドルが流通しており、特に旅行者が行くような場所の支払いはおおむね米ドルで足りてしまう。リエルは1ドル以下の支払いやおつり、ローカル食堂などの支払いで利用する。
1USD=100円=4,000リエルと覚えておけばよい。1,000リエルで25円、10,000リエルで250円。高額のドル札は使いにくいので1ドル札を多く持っておくと便利。

カンボジアの物価は食費を中心におおむね安めだが、シェムリアップは観光地で何をするにも高め。アンコールワット周辺は特に高い。
物価は徐々に上がってきており、ぼったくりにも注意。
ローカルレストランの場合、おかず乗せ丼や麺のような安い食事で1~2ドル程度。夕飯でお酒を付けると10ドル程度。ビールが1本2ドル、ミネラルウォーターが1ドル。
バイタクを1日チャーターすると20ドル程度、タクシーなら25ドル程度。

日本国内でカンボジア・リエルをあらかじめ両替する場所はないため、現地での両替もしくはATMでの引き出しとなる。ATMから現地引き出すとUSドルが出てくる。
だが、上掲通り米ドルがあれば十分(リエルはおつりとして勝手に貯まっていく…)。

クレジットカードの通用度は低く、外国人が行くような高級レストランやショップ、ホテルに限られる。

チップは基本不要。ベルボーイに1ドル程度。ガイドやドライバーには1~3ドル程度。

商品・サービス代金には10%のVAT(付加価値税)が載せられている場合がある。還付制度はない。


(画像:banknotes.com)

ビザと治安

シェムリアップは観光地であるが、ビザが必要。パスポートの有効期間がカンボジア入国予定日から6カ月以上残存していることが条件。
事前にカンボジア大使館で申請する場合(郵送可)、30日のシングルビザが3,600円、マルチビザが1年で4,700円。
電子申請も可能。クレジットカードで支払いでき、37ドル。
シェムリアップ国際空港でアライバルビザも取得可能。

なお。シェムリアップ国際空港から入国した場合、少なくとも国内で1泊しなければならないという法令がある。そのため同日中の出国はできないので注意。

シェムリアップは観光地なので、引ったくりやスリ、置引き、ぼったくりなどの被害があとを絶たない。
特に、バイタクに乗っている際にひったくられたという被害が多く報告されている。また、アジアで多いいかさま賭博に巻き込まれることも。親しげに話しかけてくる相手はほぼ詐欺師。

アンコールワットで注意すべきはおしかけガイド。勝手に隣を歩き始め雑談のつもり応じていると最後に法外な料金を請求してくるのが典型的な手口。他にスリや置き引きも多い。
ガイドを利用するときにはライセンスを確認する、バイタクも登録番号が記載されたベストを着ている運転手を利用し、荷物から目を離さないなど警戒を怠らないようにすること。

国家資格のガイドライセンス(Mr. Pen Day Tours;トリップアドバイザー提供)

交通事情は悪く、事故も頻発している。
また、政治的な話題、歴史、王族の話題などはいずれも地雷なので避けた方が良い。
上掲通り、北部タイ国境のプリア・ヴィヘア寺院周辺は「渡航の是非を検討」扱いとなっている。

市内交通

地下鉄や軌道電車はおろか市内バスもないシェムリアップではタクシーかバイタク(トゥクトゥク)が主な移動手段となる。
終日チャーターするのが手軽。
市内の交通状況は非常に悪い。昼夜問わずクラクションがなりまくり、バイクが割り込んでくる。

(三輪バイク・タクシー)
一般の流しのタクシーはない。乗用車の場合は旅行会社やホテルなどを通して予約するのが主流。
終日チャーターの場合30ドル程度。

三輪バイク(トゥクトゥク)の場合は終日15ドルといったところ。
バイタクの場合は10ドル程度。いずれも交渉制。
他、ルモーというバイクに荷車をつけた2~4人乗りもある。

なお、強気でふっかけてくるドライバーが多く、上記の料金はかなり値切れた場合と考えておこう。

(バス)
市内交通というより現地ツアーとなるが、市内からアンコールワットまで遺跡見学の観光バスが運行している。日本語のガイドつきもある。

(レンタサイクル・バイク)
ホテルやゲストハウスによっては自転車を貸し出している。
市内からアンコール遺跡までは直線6km程度、自転車で1時間もかからない。一日借りていわゆるママチャリタイプなら1~2ドル程度、スポーツバイクで5ドル程度。
電気スクーターの場合一日12ドル。

運転は自己責任で。シェムリアップの交通事情や道路は良くない。

ホテル

ラッフルズやメリディアンといった高級リゾートホテルからゲストハウスまで選択肢は広い。
高級リゾートホテルでは一泊300ドル以上、プールやスパのついた4つ星クラスで100ドル程度。
そこまで出せない、という場合もご安心を。清潔で快適な中級ホテルでも50ドル程度で泊まることができる。
一方で安宿も多く、ゲストハウスなら個室でも15ドル程度で見つかる。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
シェムリアップ国際空港に携帯各社のブースがあり、外国人でもその場でSIMを購入できる。
カンボジアの携帯サービスはCellcard、Smart、Metfone、qb、Beelineなど。
回線品質はともかく、過当競争のためか東南アジアの周辺国と比べても激安で通話やデータ通信が利用できるのが特徴。

プランは頻繁に変わるので注意。

最大手Cellcardは最も電波状態が良いとされる。1ヶ月有効の3.5ギガのプリペイドツーリストSIMが5ドル。一週間1ギガでも2ドルと非常に安い。音声通話もついている(月5ドル3.5ギガカードの場合100分)。

Smartはデータ通信に注力しており旅行者にも人気。40日間有効の1.5ギガパッケージが5ドル。4G LTEにも対応している。無料残高が5ドルついてくるので、1.5ギガを使い切っても残金でデータを購入できる(たとえば1ヶ月2ギガを残高の3ドルで買えば合計3.5ギガ使える)。

Metfoneの場合月5ドルで2.5ギガなど。

qbのTravel SIM Liteは一見旅行者向け。費用はわずか1ドル、通話も3セント/分と激安だが、データは1メガ/10セントもする(1ギガ使うと100ドル)のでスマートフォンには向かない。スマホ向けはqb Passport SIMがベスト。20ドルで5ギガもしくは5ドルで2ギガ。

Beelineの場合1ギガ3ドル、3ギガ5ドルなど。

現地のSIMが安いためか、日本からWiFiルーターを借りていっても比較的安くすむ。5日間で1900円~。

(WiFi)
ほとんどのホテルやゲストハウス、カフェでフリーWiFiを提供している。
シェムリアップ国際空港のWiFiも無料。
アンコールワット遺跡など郊外では3G電波が入らない場所も多いため、Googleマップを使う場合にはWiFiでGoogleマップを見ながら地図データをキャッシュしておきたい。

4. 世界あの街この街: コロンボ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第33回 コロンボ


Seema Malaka Temple, Colombo(トリップアドバイザー提供)

スリランカ民主社会主義共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

スリランカは古代から植民地時代にかけての豊富な史跡群や大自然といった豊富でユニークな観光資源を有する他、ビーチやホテルステイ、アーユルヴェーダなどリゾート的な人気も高い。英語の通用度が高いことも好条件で、内戦終結(※)を機会にスリランカ観光の注目度は高まっている。
日本からはスリランカ航空の直行便があり、週末弾丸旅行も可能というのもポイントが高い。
※1983年から26年にわたったシンハラ人(仏教徒;人口の7割強)とタミル人(ヒンドゥー教;人口の約2割)との内戦が2009年に一応の終結を果たした。

スリランカの現在の首都はスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテであるが、かつてはコロンボが首都であり現在でも最大の都市であり続けている。コロンボの人口は75万人で、広域都市圏は200万人規模。

コロンボの街歩きは大きくフォート地区とペター地区に分かれる。
フォートもペターも隣り合っており一日で巡れるが、できればゆったり滞在したい。

Fort  Colombo
(Google;A-フォート地区、B-ダッチ・ホルスピタル、C-ペター地区、D-セントラルマーケット、E-シーマ・マラカヤ寺院、F-ナンバー11)

フォートは鉄道駅を中心に高級ホテルや行政・金融機関などのビルが建ち並ぶ。コロニアルな建築と近代的な建物が共存するエリア。駅前にはワールドバザールという土産物を扱うモールがあり、旅行者で賑わう。

フォートの南側はゴールフェイスグリーン(Galle Face Green)という広大な芝生の広場があり、市民の憩いの場所。
海沿いのゴールロード(Galle Rd.)およびマリンドライブ通りはホテルやレストラン、お土産店が並ぶ目抜き通り。政府観光局やスリランカ紅茶局などもあり、旅行者が訪れる機会が多い。

Galle Face Green (トリップアドバイザー提供)

オールド・ダッチホルピタルはフォートのほど近くにある複合施設。オランダ占領時代に東インド会社によって建造された病院跡をリノベーションしたもので、高級レストランやアーユルヴェーダサロン、センスの良いショップがそろうコロンボの流行発信地。お土産物のセンスはワールドバザールの100倍くらい良いかも…。

Dutch Hospital Complex (トリップアドバイザー提供)

一方で活気あふれる庶民の街がペター地区。行き交う人々や物売り、露店の呼び込みなどの喧噪が絶えないエネルギッシュなエリア。うず高く積まれたスパイスはお土産にもおすすめ。北部の湾沿いにはセントラルマーケットがあり、一階が魚市場になっている。

Colombo E-Tours (トリップアドバイザー提供)

ペターの南に向かうと水に囲まれたスレイブ・アイランド。
植民地時代にアフリカの奴隷が収容されていたことにちなんだ名称であるが、現在はホテルや商業施設が集まる観光エリアとなっている。特に、ベイラ湖から臨むフォート地区の高層ビル街はコロンボを代表する光景。
お寺も多く、コロンボ最大のガンガラーマ寺院(Gangaramaya)や、スリランカの誇る建築家ジェフリー・バワが設計した斬新なシーマ・マラカヤ寺院、極彩色のヒンドゥー寺院などが見物。

Temple of Sri Kailawasanathan Swami Devasthanam Kovil (トリップアドバイザー提供)


Seema Malaka Temple (トリップアドバイザー提供)

スレイブ・アイランドの南には広大なヴィハーラ・マハー・デーウィ公園(Viharamahadevi)がひろがる。一帯はシナモン・ガーデンという高級住宅地となっており、大学や博物館、大使館の集まる瀟洒なエリア。

Colombo National Museum (トリップアドバイザー提供)

このエリアで訪れたいのはジェフリー・バワの邸宅跡であるナンバー11。
見学は要予約。サイトからメールで問い合わせてみよう。なお、宿泊も可能。

また、彼の事務所を改装したパラダイス・ギャラリーも近くにある。建物の居心地とカレーの美味しさで評価が高く、短期滞在でもぜひここは訪れておきたい。

Paradise Road Galleries – The Gallery Cafe (トリップアドバイザー提供)


コロンボの位置するセイロン島南西部はビーチリゾートの本場。
ぜひ郊外観光も予定に組み込んでおきたい。

コロンボから南にバスで1時間以内、マウント・ラヴィニヤは歴代イギリス総督の避暑地として開発された由緒あるリゾート地。ビーチを見ながらのんびりとインド洋に沈む夕陽を眺めたい。

Mount Lavinia Hotel (トリップアドバイザー提供)

セイロン島のほぼ南端、ヒッカドゥワはスリランカ一のビーチリゾート。
沖合に珊瑚礁があることからマリンスポーツを中心としたリゾートとして発展し、サーファーやダイビングを目当てに多くの観光客が訪れる。
高級ホテルが建ち並ぶ一方で安宿が多いことでも知られ、バックパッカーにもやさしいゆるい雰囲気に魅せられ長期滞在する人も多い。
コロンボからクルマで2~3時間程度。

Chaaya Tranz Hikkaduwa (トリップアドバイザー提供)

コロンボの目抜き通り、ゴールロードの終点がゴール(Galle)。
ヒッカドゥワからさらに南におよそ20km。クルマでわずか30分程度。
東インド会社の建造した要塞都市が旧市街となっており、世界文化遺産に登録されている。古い街並みに夕陽があたる光景が見事。

Old Town of Galle and its Fortifications (トリップアドバイザー提供)


コロンボから北西、セイロン島の中央部にあるキャンディは仏教聖地。釈迦(仏陀)の歯を聖遺物として納めた「佛歯寺」の存在で知られ、こちらも世界文化遺産となっている。

Temple of the Tooth (Sri Dalada Maligawa) (トリップアドバイザー提供)

せっかくなのでキャンディに行くなら鉄道を利用したい。
美しい高原を車窓から眺めるコロンボーキャンディ線は風光明媚な景色で評価が高く、快適。
コロンボからの所要は2時間半~3時間程度。
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Colombo-Kandy train (Flickr, Balathasan Sayanthan)

そして、スリランカ随一の名所シギリヤ。
キャンディから直行バスで北上すること更に3時間程度、森林から突如切り立った崖が天にそびえ立つ。
シギリヤは5世紀のシンハラ王朝・カッサパ1世がアヌラーダプラから遷都したかつての首都で、王宮がシギリヤ・ロックの上にあった。
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Sigiriya (Wikipedia)

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7th Century Sigiriya frescoes (Wikipedia)

シギリヤ・ロックの高さは標高約370m。急勾配の階段を登って頂上の王宮跡に到達すると、あたり一面緑のパノラマがひろがる。
北の方に見える白い塔は、シギリヤ王宮陥落後に再び遷都されたアヌラーダプラの大仏塔。
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Ruwanwelisaya Chedi, Anuradhapura (Wikipedia)



The Sizzle, Colombo (トリップアドバイザー提供)

スリランカ料理は野菜や魚介の多用、米食、ココナッツミルクを効かせるなどの特徴がある。わかりやすい特徴としてはほぼ毎食かならずカレー(カリー)を食べることで、その頻度はインド以上とも…。
ヒンドゥー教やイスラム教と共存する多民族国家であるが、全般には仏教徒のシンハラ系が主流なため食のタブーは少ない(仏教徒でも積極的に肉をとらない人もいる)。

上述とおりカレーは国民食ともいえ、朝昼晩ほぼどのような場面でもおおむね数種類のカレーが食卓にのぼる。スリランカのカレーは一般に非常に辛いとされ、世界一ホットと称されることもある。北インドのようにバターや乳製品はほとんど使わず、たっぷりのスパイスを用いる。モルジブ・フィッシュという鰹節そっくりの調味料がカレーを含む様々な料理に使われ、深い味わいを生み出している。

食材のバリエーションは豊富で、熱帯と海に囲まれた地理的環境から、新鮮な野菜やスパイス、豊富な魚介類に恵まれている。特に高級レストランやホテルではシーフードを売りにしており、エビや巨大なカニなどが味わえる。

ストリートフードとしてはカレーコロッケ(辛い)や様々な無発酵パンのロティなど。パン屋では様々な種類のカレーパンを味わえる。レンズ豆や小麦などを揚げて魚介などの具材を乗せた揚げスナック「バデ」も好評。フレッシュなフルーツも評価が高い。

飲み物で有名なのはなんといっても紅茶。
本場のセイロンティーは熱々で砂糖をたっぷり入れる。
創業1881年のライオンビールも有名。アルコール度数が高くカラメルのように濃厚なライオンのスタウトビールは日本でもファンが多い。


Moon River Restaurant, Colombo (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
国営スリランカ航空の直行便なら成田からコロンボまで往路10時間、復路8時間。価格も9万円台と手ごろ。
成田からの往路は月・木・土・日の午後1時。コロンボからの復路は水・金・土・日の深夜0時。

スリランカ航空の場合復路が深夜便のため、週末弾丸旅行にも向いている。木金と休みを取って木曜午後の便で同日夜コロンボに到着、金土と滞在して土曜深夜0時の便に乗れば日曜の昼には東京に戻れる。月曜まで休みをとれたら日曜夜まで滞在してもいい。

コロンボはアジアや中東便も多く経由便の選択肢は広いが、スリランカ航空の直行便よりさほど安くないのが残念。中東系やシンガポール、大韓航空などで所要20時間程度。

徹底的に安く行きたいなら、中華系航空が6万円台まで下げることもある。または、どこかアジアの都市まで飛び、そこからコロンボに飛ぶ方法もある。
たとえばバンコクを起点した場合、安い時期ならエアアジアや中華系を使えばバンコクまで3万円台。バンコクからコロンボまで3万円程度。合わせて6万円でバンコクとコロンボステイを楽しめる。エアアジアも安い。クアラルンプール-コロンボ便があり所要1時間ほど。

(パッケージツアー)
パッケージツアーはコロンボ滞在にシギリヤ・ロック訪問がセットになったものが多く、最短で4日間からという弾丸ツアーも。最安10万円程度。4つ星ホテルやアーユルヴェーダ体験が付いたもので20万近くするものも。

(空港)
コロンボの玄関口はコロンボ国際空港(CMB)、別名バンダラナイケ国際空港。シンハラ語ではバンダーラナーヤカとも。
3つのターミナルがあり、国際線はターミナル1。到着ロビーには家電店や携帯ショップ、フードコートなどが並ぶ。ターミナル3は国内線、ターミナル2は建設中。

コロンボ市街からの距離はおよそ35km。空港と市街とを結ぶ高速道路が2013年に開通し、タクシーで所要20~30分程度。料金は定額制で明示されている。コロンボ市内のフォート地区まで2,600ルピー程度。エアコン付きなら2900ルピー。

空港からコロンボ市内行きのバスターミナルまで無料シャトルバスが運行されている。
バスターミナルでコロンボ市内行きに乗り換える。エアコン付きで所要30分、100ルピー。

国内中心の空港として、コロンボ空港(RML;ラトゥマラナ空港)がある。コロンボ市街から南におよそ13km。

スリランカ第2の国際空港はマッタラ・ラジャパクサ国際空港。
セイロン島の南東端に位置し、コロンボからおよそ200km。スリランカ航空の北京便やバンコク便が就航している。

地理と気候


(Google)

スリランカはインドの南、インド洋に浮かぶセイロン島の全土を占める。インドとは長さ48kmのアダムズ・ブリッジで結ばれている。
基本的には熱帯性気候で高温多湿だが、島の中央部は2,524mのピドゥルタラーガラ山を筆頭に2,000メートル級が連なり、周辺は冷涼な高原地帯もひろがる。
コロンボの位置する南西部は雨の多い湿潤地帯で、平均気温は年間通じて30度程度と暑い。モンスーンの影響で雨が多く、4月~6月、9月から11月は雨が多い。1~2月は比較的雨が少ないので、コロンボ観光やコロンボを拠点としたビーチやトレッキングに快適なベストシーズン。
2月にはガンガラーマ寺院でのナワン・ペラヘラ祭、5月にはウェーサーカ祭(灌仏会=釈迦誕生日)が行われるなどイベントを目当てにするのもよい。

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キャンディのナワン・ペラヘラ祭り(Wikipedia)

北部や東部を中心とした国土の7割程度は乾燥地帯で、雨季は1~3月、6~8月が雨の少ないベストシーズン。

言語と通貨

公用語はシンハラ語およびタミル語となっているが、イギリス統治の伝統から英語も連結語(両民族間をつなぐ言葉)として公用語に準じる地位にある。
したがって、英語の通じる度合いは高く、コロンボなど大都市では英語で生活している人も多い。
・・・しかし、旅行者は南アジア特有のなまりで苦労することが多い。

通貨はスリランカ・ルピー(LKR)。補助単位はセントだがほとんど使われなくなっている。
1スリランカ・ルピー=0.82円(14年10月時点)。概ね1円と見ておけばよい。

物価はホテル代を除けばおおむね安めで旅行者に嬉しい。特に食事・外食は安くておいしい。スナックが20~40ルピー、屋台の食事が50~70ルピー。ローカル食堂で200ルピー~。水500mlボトルが35ルピー。ビール80ルピー。
外国人が行くような高級レストランやシーフード、ワインなどは当然高い。例えばカニや海老料理なら2000ルピー、5つ星ホテルのビュッフェが3000ルピー、ワインが3000ルピー~など。
タクシーは交渉制だが初乗り3kmで100ルピー程度。
ホテルはやや高め。3つ星で70~100ドル程度、安宿の個室で3000ルピー~、ドミトリーなら900~1500ルピー。

日本国内でスリランカ・ルピーをあらかじめ両替する場所はないため、現地での両替もしくはATMでの引き出しとなる。
日本円からの両替でもレートは十分よく、わざわざUSドルを持ち込む必要は無い(ホテルや高級みやげ店ではドル建てのところもある)。
空港でも市内の銀行や両替所でもそれほどレートは変わらない。
ただし再両替はUSドル限定でレートは悪いため、こまめに両替することをおすすめ。再両替に必要なので(スリランカ・ルピーは持ち出し禁止)、レシートを受け取っておく。
ATMによる現地引き出しでも問題ないが、手数料が数百円チャージされる。

クレジットカードの通用度は低く、外国人が行くような高級レストランやショップ、ホテルに限られる。

チップは基本不要とされているが、意外にせびられる場面は多い。タクシーは不要。レストランは1割程度(サービス料が名機されていれば不要)。ポーターやルームサービスには50ルピー程度。


(画像:banknotes.com)

ビザと治安

観光立国だが、ビザが必要。
大使館のサイトにて電子ビザ(Electronic Travel Authority;ETA)の事前申請が可能。2回入国可能な30日間有効のビザが30USドル(カード決済)。アライバルビザも可能だが35ドル。

治安は全般に良好だが、観光地特有のスリや置引き、引ったくりなどは発生している。
また、最近では麻薬中毒者による路上強盗などの凶悪犯罪も増えてきている。
日本人旅行者の被害が報告されているのは、バスなど混みあう公共交通機関の車内や有名な観光地でのぼったくり、押し売り(とくに観光ガイドの押し売り)、詐欺など。親しげに近づいてくるのはたいてい金をふんだくろうとしている輩と考えて間違いない。ペター地区は夜あまり安全ではないので一人歩きを避ける。

2012年には仏像に口づけをして写真を撮ったフランス人旅行者に禁固刑が言い渡されるなど、仏教施設には敬意をもって接すること。寺院参拝は裸足で。短パン姿で施設に入ることや、仏像を背にして一緒に写真を撮ることも避けるべき。

市内交通

地下鉄や軌道電車のないコロンボではタクシーかバスが主な移動手段となる。日程によっては専用車のチャーターも検討していいかも。鉄道は市内交通ではなく都市間移動が中心。
市内の交通状況は悪く、昼夜問わずクラクションがなりまくる。

(三輪バイク・タクシー)
三輪バイク(スリーウィラー)は安くて近距離移動に便利。現地人にとってタクシーといえばこのスリーウィラーをさす。
料金は交渉制だが、おおむね1kmで100ルピー程度。ホテルや観光地にたむろしている運転手はふっかけてくることが多い。メーター付のスリーウィラーもあり、1kmで50ルピー程度が相場。ただし素直にメーターを使ってくれるとは限らない…。

乗用車のタクシーはいわゆるハイヤー的な配車制が主流で、流しのタクシーは一般的ではない。
ホテルのフロントで呼ぶか電話で手配する。
コロンボの場合軽自動のナノキャブという種類のクルマが走っており、これは流しのタクシーとして使える。
バジェット・タクシー社のナノキャブは初乗り2kmで100ルピー程度。
配車制の場合はメーターと交渉制がある。メーターの場合も会社によって異なるが、初乗り最初の3kmで100ルピー程度。
上掲通り、空港からのタクシーは特別価格になっており、2,500ルピー程度かかる。
タクシーの1日チャーター(英語の運転手兼ガイド)は小型車で1日4,000ルピー~。

(バス)
市内交通はおろか全島を通して最も重要な市民の足だが、旅行者が利用できる路線図などはなく、場合によってはバス停もない。バスの正面に行き先を示す番号表記があることはあるので、その辺の人に聞けば教えてくれる(ただし適当な答えがくることもかなりある)。乗車時に行き先を運転手に確認しておくのが最も確実。料金は車掌が回収に来る方式。降りる際はブザーかロープを引くが、車掌に降車場所を知らせておけば声がけしてくれるので安心。
ペターの中央バスステーション(Olcott Mawatha通り)が郊外バスなどのターミナルとなっている。

(レンタサイクル)
レンタサイクルの専門ショップの他、ホテル、ゲストハウスで貸し出していることがある。
街をのんびりと見て歩くには大変便利。

(鉄道)
市内観光では利用の機会がないが、都市間交通の重要な手段としてセイロン島全土に鉄道網が通じている。コロンボ-キャンディ間はドル箱路線(Main Line)で、エアコン付の一等席に軽食も出る特別列車が運行されている。高原や山脈を貫く美しい景色が楽しめることから人気が高い。
他には、空港やニゴンボ方面とをつなぐプッタラムライン(Puttalam Line)、アヌラーダプラなど北部に向かうノーザンライン(Nothern Line)、南部に向かうコーストライン(Coast Line)などがある。

ホテル


Casa Colombo (トリップアドバイザー提供)

旺盛な観光需要を背景にホテルの建設ラッシュが続いている。物価が安めのスリランカだが、供給がおいつかずホテルはやや高止まり状態。
ホテルステイを売りにしたリゾートホテルも多く、3つ星ホテルでも最低6~7千円、5つ星ホテルなら3万円以上ということもザラ。
ホステルならだいぶ価格が抑えられる。安宿の個室で3千円程度、ドミトリーなら900円~。
せっかくならバワの建てたホテルを巡ってみるのも面白い。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
スリランカの携帯サービスはDIALOG、Etisalat、Hutch、MOBITEL(Sri Lanka Telecom)、airtel。
コロンボ国際空港内に各社のブースがあり、24時間営業。その場で購入・設定すれば即時つながる。3Gが主流で、LTEはまだ普及途中。

DIALOGはネット上の情報も多く、コロンボ始めスリランカ全土で電波状況良好とされる。
3ヶ月有効、月1.5ギガのデータ通信専用SIM(MaxxaデータSIM)が249ルピー(+SIM代など初期費用)。夜間(深夜0時~8時59分)1ギガ、昼間(9時~23時59分)500メガの上限。
ツーリストプランという通話可能で1ギガ+DIALOGのWiFiエリア6時間接続が付いたプランもある。499ルピー。
一般のプリペイドプランのデータ通信は1,000キロバイトにつき1ルピー(1ギガで1,000ルピー)

Etisalatもコロンボ始めスリランカ全土で電波状況良好とされる。
1ヶ月有効、1ギガのMaxxa Data Planが199ルピー、昼間(DIALOGと同様)はプラス1ギガで月間合計2ギガ。
2.3ギガのPrepaid Data Packagesで299ルピー、ただし夜間は150メガ制限。時間帯制限無しの2ギガプランで450ルピー。

Hutchは1ヶ月有効、1ギガのValue Internetが198ルピー。5ギガのMega Internatが649ルピー。

Mobitelは750メガで通話も可能なツーリストパッケージが500ルピー。1ヶ月有効、1.5ギガのデータSIMが279ルピー。

Airtelは1ヶ月有効、1.5ギガのデータSIMが265ルピー。

(WiFi)
多くのホテルやゲストハウス、カフェでWiFiを提供している。有料がほとんど。
回線が遅くて使い物にならないという情報もちらほら。

空港のWiFiは有料で電波も弱い。ラウンジなら快適にWiFiを利用できる。ラウンジが無料となるプライオリティ・パスなどを準備していきたい。



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4. 世界あの街この街: ラサ(拉薩)


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第32回 ラサ(拉薩)


ラサ (トリップアドバイザー提供)

※以下の記事は、現地でのスムーズなご旅行のために中国政府当局の公式見解にもとづき記述しております。何卒ご理解のほどお願いいたします。

中華人民共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

昔から多くの旅人を惹きつけてきた神秘の秘境、ラサは中国・西蔵自治区の首都。青蔵鉄道の開通により陸路でもアクセスが容易となった。史跡、街歩きの他、素朴で信仰深い人々とヒマラヤの大自然が旅行者を惹きつける。


青蔵鉄道のチケットを片手に、いよいよラサへの旅が始まる。
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(画像:chinadiscovery.com;Xining=西寧、Lhasa=ラサ)

成都から一昼夜かけて西寧へ。西寧の標高は既に2,275m。
ここで深緑色の青蔵鉄道に乗り換える。

Qinghai Tibet Train (Lhasa Express) (トリップアドバイザー提供)

ラサまでは更に一昼夜。
青蔵鉄道は標高5,000mと富士山よりも高い地点を走るため、車内は航空機同様の与圧設備によって気圧が保たれ、酸素吸入器も備わっている。
発車してしばらくすると車窓からはチベット高原に沈む夕陽を眺めることができる。

夜が明けるとチベットの空が青に染まっていく。
チベットの空はとにかく青く、世界でも最も深い青色とされる。
異世界のような平原や青海湖、万年雪を抱く高峰の連なる大地を抜けていよいよラサへ。

Qinghai Tibet Train (Lhasa Express) (トリップアドバイザー提供)

二晩かけてラサ駅へ到着。ガイドと一緒にクルマに乗り込み、ホテルに荷物を置いてラサの街歩きへ。
なお、ラサのトイレは中国の標準よりもかなり汚く、扉無しも多い。街に出る前にホテルで用をたしておきたい。

Lhasa Railway Station (トリップアドバイザー提供)


ジョカン から 色拉寺站   Google マップ
(地図:Google;A-ジョカン、B-ポタラ宮、C-ノルブリンカ、D-セラ寺)

ジョカン(大昭寺)、別名トゥルナン寺は7世紀に建立されたチベット仏教の寺院。
2万5千平方メートルもの敷地には多くの堂やマニ車の並ぶ回廊があり、巡礼者や五体投地で祈るチベット仏教徒、観光客など人出が絶えない。

Jokhang Temple (トリップアドバイザー提供)

ジョカンの周辺は八角街というチベット様式の建物が残る旧市街で、ホテルやカフェ、土産物屋が並び、ラサでも最も賑やかな繁華街となっている。

Barkhor Street (トリップアドバイザー提供)

そして、いよいよラサの象徴、ポタラ宮へ。
「ポタラ」は観音菩薩が住まう聖山の意味で、歴代ダライ・ラマの居城。世界最大級の宮殿とされ、高さ117mの13階建て、総部屋数は1,000を数える。総面積は41万平方メートルにも及ぶすさまじいスケール。あまりに広大なのですべて見るには一日かかる。ツアー客は1時間の時間制限があるが、個人旅行者は制約なく好きなだけ見学できる。
宮殿内には8つの黄金と宝石で彩られたダライ・ラマの仏塔があり、中でも13代ダライ・ラマ霊塔や高さ15mと最大のダライ・ラマ5世塔はポタラ宮最大の見どころとされている。

ポタラ宮は夕暮れ時にライトアップされ、幽玄な姿となる。三脚か夜景に強いカメラを持参したい。

Potala Palace (トリップアドバイザー提供)

ノルブリンカは歴代ダライ・ラマの夏の離宮。こちらも総面積31万平方メートルとスケールが大きい。
豪華な造りの居室や謁見室、シャワー付のトイレなどがみどころ。
某ブラッド・ピット主演映画では、ノルブリンカを舞台に幼いダライ・ラマがチベットを離れるシーンが描かれた。

Norbulingka (トリップアドバイザー提供)

セラ寺は1419年に創建されたチベット仏教の大学ともいえる場所で、かつて日本人で初めてチベット入りした河口慧海や多田等観も学んだ。両氏のチベット滞在記を読んでから訪れると楽しさ倍増。

Sera Monastery (トリップアドバイザー提供)


史跡と街歩きのラサを離れ、大自然を体験するならまずはナムツォへ。
ナムツォはラサから北に130kmほど。琵琶湖の3倍という広大な面積を誇る湖で、「天の湖」との異名を持つ。
草原と碧い湖面、チベットの青空と冠雪のニェンチェンタンラ山脈が織りなす美しい光景を堪能できる。

Lake Namtso (トリップアドバイザー提供)

ヤムドゥク湖はラサの南西70km、古都シガツェに向かう途中にあるチベット仏教の聖地。
カムパ・ラという壮大な光景を楽しめる峠を越えると、茶色い大地とトルコ石とも称される澄みきった碧い湖面、鮮やかなタルチョがつくりだす絶景が待っている。

Yamdrok Yumtso Lake (トリップアドバイザー提供)

シガツェ方面に向かう街道は標高5,000mを越える峠道。
標高7,206mのノジンカンツァンから氷河(カ・ローラ)が眼前に迫る。

Karola Glacier (トリップアドバイザー提供)

西蔵自治区の西へ。
古都シガツェはラサの西250㎞に位置しラサに次ぐ都市。
かねてよりネパールなど西方との交易拠点として栄え、600年もの長い歴史を持つ。ラサ同様に名刹が多く、最大の寺院タシルンボ寺には多くの観光客や巡礼者が訪れる。弥勒仏殿には高さ26.7m、耳の大きさだけで2mにもおよぶ世界最大の金銅像が安置されている。

Tashilunpo Monastery (トリップアドバイザー提供)

日程に余裕があれば(そして乾季の旅行であれば)、ぜひツアーを組んでチョモランマ・ベースキャンプのティンリーにも訪れてみたい。天候がよければ陽光に輝くチョモランマの雄姿を眺めることができる。

Mt. Everest Base Camp (トリップアドバイザー提供)

そして、チベット仏教およびヒンドゥー教(およびジャイナ教、ボン教…)の聖地であるカイラス山(カン・リンポチェ)は西蔵自治区の最西部。
かつてはネパール経由でないとアクセス困難だったが、国道の開通によりシガツェから一泊でのツアーも可能となった。
一目見ればなぜ聖地とされているかが瞬時にわかるという威厳あふれる姿はまさに神々の座。巡礼することが各信徒の夢となっている。五体投地で巡礼する人々の姿に信仰のすごさを感じずにはいられない。
チベット仏教やヒンドゥー教徒のみならず、カイラスはバックパッカーにとっても憧れの聖地。人生で何度も行けるとは限らないチベット旅行の機会、ぜひ予定に入れておきたい。

Mount Kailash (トリップアドバイザー提供)

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(画像:tabinote)

チベット料理は中国全土(特に四川や青海、雲南)、ネパール、インドなどで広く食することができる。
高地であり作物のバラエティには乏しく、麦、キノコ、乳製品、ヤク肉が代表的な食材。

チベット食といえば、バター茶と麦焦がし(ツァンパ)が有名。かの河口慧海氏もうんざりするほど食べたというこの組み合わせ、好きになれればチベット滞在がグッと楽しくなる。バターにお茶というと奇妙に感じるかもしれないが、スープと思うと違和感のない味。ツァンパと一緒に食すると滋味が口中を満たす。

他に代表的な料理は日本でもお馴染みのチベット餃子モモ。
ネパールでもモモは広く普及しており、日本にあるインド料理屋が少なからずネパール人によって経営されているため、モモはメジャーな存在となっている。日本では羊肉が多いが、現地やネパールではヤク肉を使った本格的なモモを食べることができる。蒸したものが多いが、スープ入りや焼いたもの、揚げたものもある。
トゥクパというとろみのついたスープの麺類も代表的。塩味のけんちんうどん的なやさしい味で、肉や野菜など具沢山。炒めトゥクパもある。
連れが何人かいればギャコックという寄せ鍋も体験してみたい。宮廷料理が発祥で、キノコと肉がふんだんに入った豪華な味わい。

観光客が多いため西洋料理のレストランやカフェも多い。特にジョカン寺や北京中路のホテル沿いはツーリストに嬉しい食のエリアとなっている。


日本からの行き方

外国人がチベット(西蔵自治区)に行く場合、移動手段やホテル、史跡の入場チケットをその場で自由にアレンジしたりするいわゆる個人旅行は難しく、チベット入りから離れるまでのすべての行程をフルパッケージで旅行会社やゲストハウスなどにアレンジしてもらうか、パッケージツアーを使う必要がある。

(空路)
空路での西蔵自治区入りもツアー会社を通じてチケットの手配と現地の移動・宿泊をアレンジしてもらうことになる。
最もメジャーかつ早いのは成都からラサまで空路での移動。中国東方航空線や四川航空など路線も多い。日本から成都までは中華系航空で5万円程度。ANAの成田-成都直行便が便利で、安い時期なら6万円台。成都からラサまでの航空券自体は片道800~1,500元程度。

(陸路)
中国の各都市から、青海省の西寧を経由し青蔵鉄道を使ってラサに入ることができる。
青蔵鉄道は海抜5,000mの世界最高所を走り、鉄道ファンの憧れ。
北京からの場合は所要二晩(44時間)、チケット自体は寝台車(軟臥)で正価1,200元程度。
成都からの場合もやはり所要二晩(44時間)、チケットは寝台車(軟臥)で正価1,100元程度。
中国人にも人気のチケットなため入手は難しいが、ラサ発の方が若干入手しやすい。往路ラサ入りを空路、復路を鉄道というプランもおすすめ。

クルマの場合、雲南省や成都から入るルートがある。ツアーアレンジが必要。

西蔵自治区はいくつかの国と国境を接しているが、それら隣国からのツアーは不確実な情報が多い。
最もメジャーなのはネパールからのツアーで、中尼公路を経由しクルマで現地に入るもの。日本から予約できるツアーであればかなり安心といえる。現地の旅行代理店やゲストハウスなどで、その場で参加者を募る4WD車での相乗りツアーが催されることがある。この場合はいつツアーに足る人数が集まるかどうかがわからず、ネパールで中国ビザおよび入境許可証を入手する必要もあり、日程を見積もるのは困難となる。また、費用も4名相乗りとして1人600ドル程度~と安くはないが、標高5,000mの峠やカイラス山などの絶景を眺めながらの移動は貴重な機会となる。

(パッケージツアー)
西蔵自治区は入境許可を要するという事情から、日本からの交通手段と入境許可やガイドが一体となったパッケージツアーの利便性は高い。
日本から向かうツアーの場合、成都経由の空路5泊6日ツアーで16万円から。1人参加はプラス5万円程度。青蔵鉄道を利用するプランだと7泊8日、23万円程度。1人参加でプラス5~6万円となかなか高め。

中国入りし、チベットツアーの拠点となる街(成都や西安、昆明など)に滞在しながら現地の旅行会社に相談するという手もある。日程が読めないが、いろいろなプランを比較検討でき費用も安め。

ラサを起点とした現地ツアーを主催している会社もある。ネットで予約できるツアーでも、トレッキングやネパールへの陸路移動などバラエティに富んだツアーが多い。入境申請前に、現地ツアーの会社に予約方法やラサ入り/入境許可自体のアレンジも依頼するかどうかなど確認しておくことが必要。

(空港)
ラサの空港はラサ・クンガ空港(LXA)。
飛行機がラサに近づいてくると、天気がよければヒマラヤの雄大な姿を拝むことができる。成都から向かう場合には進行方向左側・窓際のシートを取りたい。

クンガ空港は標高3,500mと世界で最も高い場所に位置する空港の一つ。
市街地から62kmほど離れており、クルマで1時間ほどかかる。
中国国際航空や中国東方航空が北京・成都・重慶・昆明・上海・西安・重慶・広州など中国の主だった都市から定期便を運航している。カトマンズからの中国国際航空線もある。

入境申請時点でガイドとクルマが手配されていることが多いため、空港から市内・ホテルまで交通手段に迷う必要は無い。
空港シャトルバスを利用する場合は25元、タクシーなら200元程度。

地理と気候

西蔵自治区は広く、中国の省市でも新疆ウイグル自治区に次いで2番目の大きさ。
中国の西南部に日本のおよそ4倍、120万平方キロの面積を占める。

中国は遙か東の北京も西の西蔵自治区も共通時間となっており、日本との時差はマイナス1時間。
ラサとほぼ同じ経度の都市であるバングラデシュのダッカは日本との時差が3時間あるため、体感的には3時間遅れと考えておくとよい。すなわち。8時頃に日が昇り、20~21時頃に日が沈み暗くなる。

西蔵自治区は標高が高く、空気が希薄で日照時間が長く雨が少ない。
澄んだ空気で乾燥しており、11月~4月初めまでは朝晩氷点下となる。夏は6~8月にかけて25度くらいになることもあるが、湿気がなく全般に涼しい。
一般的なベストシーズンは気温が上がる5月~10月がベストシーズン。6~9月は雨が多くいため、中でも5月、10月がおすすめ。11月~4月は気温が低い他、酸素の量も少なめで高山病のリスクが増す時期。
いずれの季節でもサングラスや日焼け止めを用意していきたい。
高所に行く場合は相応の準備を。


(画像:Google提供)

言語と通貨

ラサ人口の9割はチベット語を母語とするチベット族。
中国の公用語自体は中国語(普通話)であり、観光客が訪れるようなホテル、店舗では英語もよく通じる。ガイドがいるので言語の問題であまり困ることはない。

通貨は人民元(RMB)。1人民元=17.5円(14年10月時点)。概ね1人民元=20円と見ておけば使いすぎることはない。

物価は観光地価格・外国人価格が設定されていると考えてよく、中国の平均よりもかなり高め。
特に各観光スポットへの入場料は高く、ポタラ宮はオンシーズン(5~10月)で200元、ナムツォ湖は120元もする。外食は麺など1人前で20元~40元程度。

銀行か3つ星以上のホテルで両替可能。各銀行もホテルの両替も中国銀行の出先という位置づけなのでどこで両替してもレートはほぼ同じ。
ATMによる国際キャッシングをおすすめしたいところだが、ラサの場合市中のATMが国際キャッシュカードを受け付けていないことも多い模様(たとえPlusやCirrusのステッカーが貼ってあっても)。現金を多めに用意しておいた方が無難。
クレジットカードの浸透度は中国の他の都市に比べて低く、3つ星以上のホテルくらいでしか使えない。

もともとチップ文化は無いが、チップを払った方がいろいろとスムーズな場合がある(たとえば現地の人の写真撮影など)。


(Wikipedia提供)

ビザと治安

※入境申請の条件やノービザ入境の可否など、西蔵自治区の場合状況が変わりやすくなっています。必ず旅行会社に最新の情報を確認して下さい。

これまでにも触れた通り、チベット旅行には入境許可証が必要。
日本からのパックツアーの場合には許可証が含まれており、心配する必要はない。
個人旅行の場合には、成都やラサの旅行会社、ゲストハウスなどに具体的な旅程や希望を伝え、プランが固まったら入境許可の申請を行う必要がある。申請に際してはフライト・鉄道などチベット入りのチケット予約とホテル予約、確定済みの観光スケジュールが必要。そのためホテルなどは先におさえておく必要があり、スケジュール確定後に旅程を変更することは原則できない。旅行会社とのやりとりにおおよそ2週間~1ヶ月程度みておいた方がよい。

中国入国自体は15日以内の観光滞在に限りビザ免除。ノービザでの西蔵自治区入りも一応可能で、許可証も発行される。16日以上の滞在では観光ビザの申請を。

治安の心配はそれほど気にしなくてよい。そもそもチベット族は平和である上、ラサは公安(警察)や人民解放軍による監視が行き届いている。
野良犬がうろついていることを除けば観光地特有の犯罪も少ない。

チベット旅行最大の問題は高地対策。高山病の予防として余裕のあるスケジュールを組む他、かかりつけの医師に相談の上、高山病薬としてダイアモックスやイブプロフェンを処方してもらうのも手。

写真を撮る場合にはガイドに確認を取った方が無難。特に、現地の僧侶や公安、軍のクルマなどの撮影はトラブルのタネ。
入境許可証とパスポートは常に携帯する。中国政府の公式見解にそぐわない書籍や、中国政府が言うところの「分裂主義者」の写真などは絶対に持ち込んではいけない。

デモなどの理由により突然外国人のツアー受け入れが制限されたり、外出許可が出なかったりする可能性がある。

市内交通

多くの場合は専用車をチャーターしているため市内交通は利用機会が無い。
交通手段としては、タクシーかバスがある。いずれもツアーとしての団体移動か、原則ガイドと同乗することとなる。

(タクシー・リキシャー)
市街どこでもおよそ10元程度で行くことができる。
リキシャーは交渉制。

(バス・乗り合いバス)
路線バスは1元、外国人が乗れるかどうかはガイドに要確認(市内の場合は問題なしとの情報あり)。
乗り合いバスはセラ寺など観光地行きのもの。

(レンタサイクル)
規制が無ければレンタサイクルでのんびり街を巡るという手もある。
レンタサイクルの専門ショップの他、ホテル、ゲストハウスで貸し出している。
街をのんびりと見て歩くには大変便利。

ホテル

上述通り、入境申請時点でホテルを手配しておく必要がある。
日本からツアーを利用するのでなければ、旅行会社・代理店とのやりとりの中でホテルを指定することになる。
Expediaなどのホテル予約サイトで予約し、その情報を旅行会社に伝えるという方法もあるが(チベット旅行の状況の変わりやすさを考えるとキャンセル料無料のサイトを推奨)旅行会社側には嫌がられるかもしれない。
ホテル代自体は外資系の5つ星ホテルで1.5万円程度、3つ星で6~7千円、ゲストハウスの個室で3千円程度。ドミトリーなら千円台も。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
乗り継ぎ空港、たとえば北京や成都で中国のSIMカードを入手した場合、西蔵自治区でも使うことができるがローミング扱いとなる。
ラサやシガツェでは携帯の電波状況も良好。Googleマップもラサをカバーしている。
中国の大手通信事業者といえばChina Unicom(中国聯通)かChina Mobile(中国移動)であるが、西蔵自治区ではChina Mobileの評判が良く、ラサにも沢山の店舗がある。

中国の場合は、アクティベートやリチャージの度にSMSでのやりとりがあり、中国語のメッセージを解釈する必要があるためSIMの利用はややハードルが高い。携帯ショップのカウンターで設定してもらうことをおすすめする。

中国国内からYouTubeやFacebook・TwitterなどのSNSに接続する場合には閲覧規制がかかる。GmailなどGoogleの各種サービスも遅い傾向。日本の携帯を海外パケット放題でそのまま使うか、近隣国(香港など)でSIMを買い国際ローミングすれば接続制限を回避できる。VPN(Virtual Private Network)で回避する方法もあるが、うまくいかないこともある。

(WiFi)
多くのホテルやゲストハウスでフリーWiFiを提供している。
また、外国人ツーリストが行くようなカフェやレストランでは、WiFiのマークが貼っていることが多い。

4. 世界あの街この街: ウィーン


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第31回 ウィーン

Fotolia_41341057_SS_Vienna
(Josef Muellek; Fotolia)

オーストリア共和国・国旗

(Wikipedia)


見どころと特徴

芸術と音楽の都ウィーン。神聖ローマ帝国の首都として650年に渡り欧州に君臨してきた歴史的都市。美しい世界遺産の街並みはどこを切り取っても絵になる。ミュージアムやギャラリー、劇場などどれも世界第一級の建築ばかりだが、何気ない街の商店やアパートなどの街並みも素晴らしい。カフェでまったり過ごすのも贅沢。

ウィーン市自体は横浜市程度の広さがあり、23区からなっている。
そのうち観光名所はリングと呼ばれる環状路の内側(第1区;インネレシュタット[Innere Stadt)]に集中している。リングの広さはおおむね300ヘクタールで、東京ディスニーリゾート3つ分程度。
ウィーン Google マップ
(Google;地図:A-シュテファン大聖堂、B-グラーベン、C-ケルントナー通り、D-王宮(ホーフブルグ)、E-美術史美術館、F-ウィーン国立歌劇場、G-ナッシュマルクト)

街歩きの起点となるのはランドマークのシュテファン大聖堂。聖堂の前は広場となっており、行き交う人や観光馬車などでいつも賑わっている。
Stephansdom
Stephansdom (トリップアドバイザー提供)

大聖堂前広場からはウィーンの目抜き通り、グラーベン通りとケルントナー通りが伸びている。
グラーベン通りは広く短い通りで、王宮(ホーフブルグ)へと伸びるコールマルクトに続いている。ラグジュアリーブランドや高級レストランが軒を連ねる。夏はオープンカフェが建ち並びまったり過ごすにもよい。冬はクリスマスの飾り付けが見事。高級洋菓子店の「デメル」もこの通り。
Graben and Kohlmarkt
Graben and Kohlmarkt (トリップアドバイザー提供)

王宮の壮麗な規模と調度は見もの。
歴代の王族が過ごした各部屋も豪華だが、ミヒャエル門の鉄細工や円蓋は静謐な美しさにあふれている。
Imperial Palace
Imperial Palace (トリップアドバイザー提供)

王宮から出たらケルントナー通りへ。大聖堂と国立歌劇場をつなぐ繁華街エリアで、グラーベン通りやコールマルクトよりも親しみやすい。レストランやカフェでの休憩、お土産探しなどで何度も訪れるエリア。
Kaerntnerstrasse
Kaerntnerstrasse (トリップアドバイザー提供)

ケルントナー通りの南端はウィーン国立歌劇場(国立オペラ座)。パリやミラノと並ぶ世界最高の格式を誇り、まさに音楽の都ウィーンの象徴。マーラーやカラヤンといった巨匠が歴代総監督に名を連ね、日本の小澤征爾が2010年まで音楽監督を務めたことでも知られる。
State Opera House
State Opera House (トリップアドバイザー提供)

国立歌劇場の南は庶民の台所ナッシュマルクト。ここはケルントナー通りやコールマルクトとは違って生鮮食品や屋台がならぶ気軽なスポット。旅の楽しみは市場巡り、といった方なら外せない。お土産探しにも最適。
Naschmarkt
Naschmarkt (トリップアドバイザー提供)

様々なミュージアムが集まるウィーンでも最高峰が美術史美術館。ハプスブルク家が400年間に代々秘蔵してきた美術コレクションを惜しげもなく公開している。50もの展示室を擁するその規模はヨーロッパでも最大級とされ、ブリューゲルやルーベンス、ラファエロといった教科書レベルの有名な絵画を多数収蔵している。広すぎてゆっくり歩いていたら見きれないので、日程に限りがあればポイントをおさえてくれるガイドツアーを活用したい。
Kunsthistorisches Museum
Kunsthistorisches Museum (トリップアドバイザー提供)


さて、ミュージアム天国のウィーンにおける個性派を3つほどご紹介。

ヨーロッパ、特に東欧諸国には必ずある軍事関連ミュージアム。当然ウィーンにも存在する。
第一次世界大戦の発火点となり、第二次世界大戦でもナチスに蹂躙されたオーストリアの歴史は戦争なしに語れない。
ウィーン軍事史博物館は当時の世相を伝える資料や屋外の実物戦車など気合いの入った展示で一見の価値あり。
第一次大戦の引き金をひいたサラエボ事件については、暗殺された皇太子が乗っていたクルマや血痕の残る洋服など詳細な展示がされている。第二次大戦時代も、ナチスのSS制服など隣国ドイツでは滅多に見られないハーケンクロイツがバンバン展示されていたりして刺激的。
Museum of Military History
Museum of Military History (トリップアドバイザー提供)

来訪者の評価が非常に高いのは応用美術博物館MAK。
モダンな建物内には工芸品や家具などが整然と展示され、デザインや建築に関わる人ならたまらない。意外なところではクリムトの作品があったりもする。ミュージアムショップもセンスのよいおみやげがそろうと人気。
Museum of Applied Arts
Museum of Applied Arts (トリップアドバイザー提供)

変わり種と呼ぶには語弊があるが、レオポルト美術館は美術史美術館の隣にある個性的なミュージアム。エゴン・シーレやクリムトの作品を多く所蔵している。
Leopold Museum
Leopold Museum (トリップアドバイザー提供)

ミュージアム巡りで脳と眼が疲れたら再び街へ。
市庁舎はいつも多くの人々で賑わう市民の憩いの場。建物前の広場ではオーストリア各州の物産店やフィルムコンサート、屋台村など常に何かのイベントが催されている。クリスマスマーケットは欧州でも有数の規模で、世界中から観光客が訪れる。
Rathausplatz
Rathausplatz (トリップアドバイザー提供)

環状路リングの外で立ち寄るべきはシェーンブルン宮殿。
ハプスブルク家の威光を偲ばせる壮麗な建物で、ベルサイユ宮殿にも匹敵する規模と格式を誇る(部屋数はなんと1,441!)。
楽聖モーツァルトが若干6歳の時、マリア・テレジアの前でピアノを演奏した「鏡の間」や、同じくマリア・テレジアの東洋趣味が反映された「青の中国広間」などが有名。
Schoenbrunn Palace Christmas Market
Schoenbrunn Palace Christmas Market (トリップアドバイザー提供)


郊外観光では、ウィーンの森を越えた南西にある温泉保養地バーデンを訪れてみたい。
マルクス・アウレリウスも浸かったという由緒ある名湯で、ベートーベンが好んで通ったことでも有名。プールやカジノといった施設もある。
バーデン
バーデン (トリップアドバイザー提供)

オーストリア第2の都市グラーツは、歴史地区の見事な景観や日本から輸入された大阪屏風の展示など壮麗な造りが印象的なエッゲンベルグ城など見どころが多い。
現代美術館クントハウスのユニークな建物も必見。
Kunsthaus Graz
Kunsthaus Graz (トリップアドバイザー提供)


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OPUS Restaurant
OPUS Restaurant (トリップアドバイザー提供)

オーストリアの郷土料理は隣国ドイツやチェコと似ており、肉の煮込み、サワークリームなど乳製品を使った料理、衣を付けて揚げたカツレツやフライ類、川魚料理などが特徴。
帝都ウィーンの食文化は、欧州各国の料理人や調理法をひきつけてきた歴史から洗練されており、牛肉の煮込みや子牛のフライが代表的。高級レストランでは鴨やオマールといった食材も味わえる。

酒好きならウィーンは天国。良質なワインや自家製のビールがそろい、値段も質の良いものが驚くほど安い。
お酒が苦手なら薫り高いコーヒーやデザートめぐりがおすすめ。ウィーンのコーヒーと伝統菓子は世界的に有名で、チョコレートが濃厚なザッハートルテは日本でもお馴染み。

高級店ばかりで高いんじゃないの?とご懸念の方もご安心を。
バーでの飲み食いは酒代が手ごろな分日本よりも安く済む場合もあり、街には高品質なデリやトルコ人のケバブスタンドなどがそろう。総菜とワインを買ってホテルの部屋でつまむだけでも十分に楽しい。

Steirereck
Steirereck (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
成田からウィーンへの直行便はオーストリア航空が毎日2便(土曜のみ1便)運航しており、価格も時期によっては10万程度と安め。ANAとのコードシェアとなっている。
経由便の場合はアエロフロート・ロシアや中東系、アリタリア航空等が比較的安い。
欧州はLCCや鉄道路線も充実しているので、ミュンヘンやプラハなどを経由してのんびりむかうのもおすすめ。

(陸路)
オーストリアは四方を陸に囲まれた内陸国であり、ドイツ、スイス、イタリアといった西欧諸国とスロヴェニア、ハンガリー、スロヴァキア、チェコといった東欧諸国をつないでいる。空路同様陸路でのアクセスも良好。
中でもアクセスの良い都市はプラハやブダペスト。プラハからは鉄道で4時間半、ブダペストからは2時間半程度で到着する。
チェックインや空港移動の時間などを考えると、隣国からの移動なら飛行機よりも早い場合も。
ユーレイルパスを使えば複数の国をまたいで乗り放題となる。チェコとオーストリアの2カ国パスは10日間1等車で371ユーロ。また、Eurolines社の国際高速バスも利用できる。

(パッケージツアー)
カタールやエミレーツなどの中東系で行く5泊6日ツアーが燃油込みで最安12~16万円程度。オーストリア航空直行便の場合でも13万円程度。
プラハやブダペストなど周辺都市との周遊付プランも多く、16万円くらいから。
航空チケット代とそれほど変わらないことも多く、短期滞在ならパックツアーのお得度は高い。

(空港)
ウィーン国際空港(VIE)は、市街地から南東に約20km。
歴史的に東西を結ぶハブ空港として栄え、ヨーロッパと東欧、ロシア、中東方面とを結んでいる。
ターミナルは1、1A、2の3つに加えてオーストリア航空などスターアライアンス加盟各社およびカタール・エミレーツの使うターミナル3(スターアライアンス・ターミナル)がある。
ターミナル1はエアベルリンやKLMオランダ、フィンエアーなど主に欧州便が使用。1AはイージージェットやノルウェイジアンなどのLCCが多い。成田からのオーストリア航空便はターミナル3を使用する。

空港からは、鉄道なら急行シティー・エアポート・トレイン(CAT)か、近郊電車(S-Barn)で。
CATはウィーンミッテ駅まで所要わずか16分と速くて快適だが、片道11ユーロと高い。S-Barnはミッテ駅まで所要24分、料金は市内料金の倍(4.4ユーロ)。
リムジンバスは3路線あり、所要20~45分。片道8ユーロ。
タクシーの場合は所要約30分、40~45ユーロ程度(+チップ)。市内から空港に向かう場合は、空港から空車で市内に戻る回送料が加算される場合がある(10ユーロ程度)。


地理と気候

日本との時差はマイナス8時間。日本の正午が午前4時。
3月最終日曜午前2時~10月最終日曜午前3時まではサマータイムが導入されており、時差は7時間。日本の正午が午前5時。

冬の寒さが厳しいため一般には春から秋にかけてが過ごしやすく、5月~9月ごろがベストシーズンとされるが、四季毎に楽しみがある。
春は気温がおだやかで過ごしやすい。夏は夏山シーズンで郊外観光に向くがオペラはオフシーズン。秋はオペラの開幕シーズンとなる。この時期、郊外の紅葉を楽しみにする観光客も多い。冬は街のライトアップやクリスマス、オペラなど街の賑わいを楽しむのに最適。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はドイツ語(オーストリアドイツ語)だが、英語の通用度は高い。
オーストリア人は通常義務教育段階から英語を習っているので、不自由なく英語を話すことができる。

通貨はユーロ(EUR)。1ユーロ=137.7円(14年10月時点)。およそ150円と覚えておけば使いすぎることはない。

(Wikipedia)

物価は高めで、ユーロ諸国の中でも最も高いと言われている。さらにインフレも激しい。
外食や宿泊費など観光に関する費用は日本よりも高め。
一方で食料品や生活必需品は日本よりも安めで、特にお酒はかなり安く感じるはず。
ミネラルウォーター500mlが1.5~2ユーロ、ビール1缶0.6~1ユーロ、外食が15ユーロ~(高級レストランならお50ユーロ~)。地下鉄2ユーロ、タクシー初乗り3.8ユーロ。

商品価格には10~20%の消費税(VAT:Value Added Tax)が上乗せされている。旅行者向けの還付制度がある。
免税店で一回に75ユーロ以上購入し、書類を発行してもらう(要パスポート)。帰国時に空港の免税カウンターに書類・パスポート・購入商品を提示し手続きを取る。13%分が還元される。

銀行・両替所ともに、高額な手数料を取ることで有名。どちらかといえば銀行のレートの方がまだ有利。
両替はATMによる国際キャッシングを利用するか、なるべくクレジットカードを使った方が良い。

チップの習慣が根強い。ポーターやルームサービスに1ユーロ。高級レストランで代金の5~10%程度。テーブル会計の際に切りのいい金額に切り上げて支払ってもよい。サービス料が加算されていれば不要。公衆トイレが有料制の場合、0.2~0.5ユーロ程度。

欧州にありがちなことだが、日曜・祝日は閉まる店舗が多い。


治安とビザ

治安は良好な方であるが、観光地特有のスリ、ひったくりなどは多い。
空港、ホテル、美術館などでの置き引きやスリに注意。駅ではひったくりなど荒っぽい被害も報告されている。
最近はニセ警察官による詐欺が報告されている。麻薬の取り締まりを偽ってパスポートごと貴重品を奪ったり、現金だけを抜き取ったりする手口。警官が近づいてきたら話は警察署や大使館で応じると告げ貴重品を渡さないこと。


シェンゲン協定加盟国のため、6ヶ月以内の滞在はビザ不要。


市内交通

(タクシー)
世界的な観光都市だが、ぼったくりなど悪質なタクシーはほとんどいないので安心して利用できる。
流しのタクシーはほとんどなく、タクシー乗り場(黄色の看板)から乗車するかホテル・レストランなどで呼び出してもらう。

料金はやや複雑。初乗り料金は3.8ユーロ(859m)、以降は4kmまで、1kmにつき1.42ユーロ。4km以上は1mにつき1.08ユーロ(実際には186mごとに加算)。待ち時間も加算され、夜間休日は別体系料金。
呼び出してもらった場合は2ユーロ追加。
チップは乗車料金の1割ほど。

(地下鉄・市電・バス・郊外電車)
地下鉄(U-Bahn;Uバーン)はU1、U2、U3、U4、U6の5系統。表示はドイツ語だが、各線毎に色分けされておりわかりやすい。始発は午前5時前後、終電は深夜12時頃まで。

市電(Strassenbahn;シュトラーセンバーン)はワンマン運転の路面電車。35系統があり、市内を網羅している。
バスは郊外(市電の終点から先)に向かうのに便利。リンク内では1A、2A、3Aというミニバスが平日のみ運行。
近郊電車(S-Barn)はオーストリア連邦鉄道が運営。バーデンに向かう線はバーデン線と呼ばれる。

(ウィーン交通局)

料金はゾーン制で、同一ゾーン内均一料金。ゾーンを越えると加算される。地下鉄・市電・バス・郊外電車は共通の料金体系になっている。ウィーン市内は1つのゾーン(Zone100)のため均一料金。
券売機でチケットを購入した後、改札はないので刻印機で(市電は車内で)チケットを打刻しそのままホームに向かう。車両のドアは自分で開閉する。検察にひっかかった場合、打刻を忘れていると103ユーロの罰金となるので忘れないようにしたい。

前売り乗車券は1時間以内乗り換え自由な1時間券が2.2ユーロ、車内だと2.3ユーロ。
24時間フリーパスは7.6ユーロ、48時間パスは13.3ユーロ、72時間パスは16.5ユーロ。このほか、回数券や一週間パスなど多くの種類がある。

ウィーンカードはUバーン・Sバーン・市バスが48時間または72時間乗り放題で、ミュージアムや観光名所、ショッピング、レストランで割引などの特典がある。48時間有効のカードが18.9ユーロ、72時間有効のカードが21.9ユーロ。

なお、リンクを周遊する黄色の観光用市電(ヴィエナ・リンクトラム)は公共交通機関ではなく、料金は別体系。


ホテル

Hotel Sacher Wien
Hotel Sacher Wien (トリップアドバイザー提供)
ウィーンは世界的な観光都市であり、オーストリア=ハンガリー帝国の首都にふさわしい格式のあるホテルが整っている。また、国連本部の施設が集積するなど国際会議や展示会なども多く催されるため、必然的にレートは高め。
3つ星ホテルで1万円~1万5千円、5つ星なら3万円以上、ディスカウントが適用されて2万円台が見つかるかも、といったところ。
ホステル(オーストリアではガストホフ、ペンションなどの呼称)でも、個室なら5千円以上となる。ドミトリーでようやく2千~3千円。

もちろん歴史ある地区に立つ素晴らしい建築も多いので、ホテルステイを目的に高めのところで贅沢、というのもおすすめ。

夏休み、年末年始やクリスマス、復活祭などは特に予約が取りにくいので、早めの手配を。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
オーストリアの大手携帯会社は、最大手のA1 Telekom Austria、イギリス・香港でお馴染みHutchison 3(drei)、ドイツのT-Mobile。
かつてはYesss!ブランドでプリペイドサービスを提供していたフランス系のOrangeは2012年に3に買収され、Yesss!はA1 Telekom Austriaに移管された。

プリペイドSIMの購入は簡単で、市中の通信キャリアカウンター、携帯ショップや家電店で購入できる。

A1 Telekom AustriaのB.free Internetプランの場合、10ユーロで3G、30日間有効。20ユーロで同じく3G、12ヶ月間有効。電波状況も良好との評価。

3(drei)の場合、1G・最大4MBit/sのプランが月額6ユーロ、容量無制限・最大10MBit/sのプランが18ユーロ。

T-mobileの場合、1.5GのMEGAKLAXが月額15ユーロ、2GのSMARTKLAXが月額20ユーロ。

Yesss!の場合、月額14.90ユーロで1.5G。

価格だけを見れば3が最も安い。A1 Telekom Austriaは日本語の情報が多く、12か月有効なプランもあるので再訪の予定があれば都合がいい。

(WiFi)
多くのカフェ、バー、観光案内所、公共施設などでWiFiを提供しており、場所探しに困ることはない。ウィーン国際空港では全域にわたってWiFiが通じる。
他の多くの国と同様、マクドナルド、スターバックス、バーガーキングに行けば無料WiFiを利用することができる。

4. 世界あの街この街: ブラックロック・シティ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第30回 ブラックロック・シティ

ブラックロック・シティ
ブラックロック・シティ (トリップアドバイザー提供)

バーニングマン

(画像:burningman.com)

  • 訪問目的:[アート][イベント・祭り][大自然]
  • 予算(最低価格):25万円~
  • 日程:10日間~
  • 来場者数:69,613人(2013年)

見どころと特徴

ブラックロック・シティとは毎年8月下旬に1週間だけ、アメリカ・ネバダ州の人里離れたプラヤ砂漠に突如出現する人口都市である。
その正体は、バーニングマンという巨大イベントの会場だ。世界中から人が集まり、1週間だけの街を作って共同生活を営み、会期が終わると全てを無に返して去っていくという実験的なこのイベントは、1986年にサンフランシスコ近郊のベイカーズ・ビーチで始まり、現在は毎回5万人以上の人が集まる巨大なイベントとなっている。


black rock city Center Camp   Google マップ
(地図)


会場となるプラヤ砂漠は、ネバダ州リノ市の約150km 北北東に位置する乾湖である。

ブラックロック・シティは外部の世界から完全に遮断されており、電気、水道、電話、ガスなどの生活基盤は一切整備されておらず、携帯電話などの通信手段も圏外である。 売店や食堂なども一切ない。主催者側が用意するのは、仮設トイレと氷(有料)のみである。したがって、参加者は、水、食料、衣類、住居、燃料など、をすべて事前に準備しなければならない。準備なしで参加するのは自殺行為と言えよう。

また、この街では貨幣経済が忌むべきものとされており、見返りを求めない「贈与(Give)」の精神で市民が助け合いサバイブしていく世界だ。住民たちは会期中思い思いの形で自らを表現し、楽しみ、助け合い、この一週間を過ごし、現実に帰っていくのである。

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(画像:tabinote)

ブラックロック・シティは、中心に木材で作られた巨大な人形(Manと呼ばれる)が屹立し、その周囲に扇状に市街が形成される。
ちなみにManは毎年、金曜日の夜に盛大に燃やされて無に帰っていく。このイベントが「Burnign Man」と呼ばれる所以である。

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(画像:tabinote)

参加者はBurner(バーナー)と呼ばれ、思い思いの表現活動を行なう。アート作品を展示する者、ワークショップを開く者、踊る者、歌う者、本当に様々な人々がおり、周囲を散策しているだけで飽きない。
とは言え、参加者は必ず何か表現活動をしなければいけないというわけではない。周りの人と話したり、イベントに参加したりするだけでも構わないし、あるいは単に酒を飲んでいるだけの人もたくさんいる。だがやはりなにか表現できることを考えていったほうがおもしろいだろう。

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(画像:tabinote)

ちなみに筆者(tabinote田口)たちのキャンプではメンバーの結婚パレード(プロポーズは前回のバーニングマン)を行った。全員思い思いの(破廉恥な)衣装に身を包み、テントからマンまで闊歩したのだが、途中たくさんの人達がパレードに参加してくれ、多くの人に祝福され、当人たちはもちろん筆者たち参列者にとっても忘れられないイベントになった。


バーニングマン終了後、まっすぐロサンゼルスやラスベガスに向かうのもいいが、周囲には興味深いスポットがある。

ブラックロック砂漠には多くのトレイルや温泉、自然保護区があり、トレイルを何ヶ月もかけてキャンプしながら横断する強者もいるという。枯れた平坦な砂漠湖底が超高速車の実験に最適ということで数々の記録が残されていたりもするなど、クルマ好きにも興味を引く土地。

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(画像:tabinote)

最も有名なのは、吹き出す温泉が生み出す奇観、フライガイザー。私有地内にあるため遠くから眺めるしかできないが、鉱物や温泉で棲息する藻が生み出す極彩色の光景はこの世のモノとは思えないほど。
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(画像:Wikipedia)

そして、「エリア51」ことグレーム・レイク空軍基地はラスベガスに向かう途中にある。
墜落したUFOと宇宙人を回収したという「ロズウェル事件」の舞台ともウワサされる「ムー」読者垂涎の地。
空軍管轄の区域内は立ち入りはもちろん撮影も禁止だが、現地ツアーがあったり好事家向けにUFOグッズを売ったりする売店もある模様。エリア51観光の拠点として人気のモーテル「Little A’Le’Inn」にも立ち寄ってみたい。
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(画像:Wikipedia)

VELTRA


前述したとおり会場には一切店舗などは存在しないので、参加者はあらかじめ1週間分の食料を確保しておく必要がある。最寄り都市のリノで1,2泊して食料やキャンプ用品などの準備にあてるのが普通だ。リノにはウォルマートをはじめ巨大スーパーマーケットが多数あるので、そこですべての食料・飲料・キャンプ用品(テント・寝袋・調理道具・自転車)などを準備しよう。ブラックロック・シティにゴミを残すのはご法度なので、ホットドッグや缶詰など後始末のしやすいものを選ぶといいだろう。筆者は日本からそうめんや袋ラーメンを持ち込んだ。
また、(発電機を持ち込まない限り)冷蔵庫もないので生鮮食品にも注意が必要だ。
万一食料や飲料が余った場合は会場を出る際にボランティアに寄付することができる。

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(画像:tabinote)


日本からの行き方・参加方法

(チケット購入)
通常の旅行地と異なり、チケットを入手しなければブラックロック・シティに入ることはできない。
オフィシャルサイトにチケットの予約期間と入手方法が公開されている。

2014年の場合、1月中旬から先行販売(Pre-Sale;650ドル、3,000枚限定)、2月中旬からは指定グループ向け販売(Directed Group Sale;380ドル、過去に展示実績のあるグループへの優先販売、15,000枚)、および個人向け販売(Individual Sale;380ドル、38,000枚)が開始される。

日本人が通常入手可能と思われるのは個人向け販売。38,000枚と狭き門のためあっという間に売り切れる。

4月以降はSTEP(Secure Ticket Exchange Program)という公認のチケット売買システムにより入手が可能となる。7月以降、買えなかった人の救済措置として最終セール(OMG Sale;380ドル、3,000枚)がある。

入場チケット以外に、クルマで現地に訪れる際に必要な自動車パス(Vehicle Pass;40ドル)がある。このパスがないと入場できないので注意。オートバイの場合には必要ない。

詳しくはバーニングマンオフィシャル、または日本語で詳細にバーニングマン参加方法が解説されたmagarisugi.netにて。

(アクセス方法)
拠点となる街はネバダ州のリノ。
ブラックロック・シティはリノから北に200km程度離れている。
アメリカ合衆国 ネバダ リノ から ブラック・ロック・シティ   Google マップ

リノまでの直行便はないので、ロサンゼルス、サンフランシスコ、デンバーなどを経由して向かうことになる。
便数の多さや価格からロサンゼルス便がお得。成田発ロサンゼルス行きの直行便はデルタ航空やユナイテッドで10万円台から。所要10時間程度で到着する。
日程に余裕があれば中華系、アジア系が8万円台をつけることもある。

ロサンゼルスからリノまではユナイテッド、アメリカン、デルタなど。それぞれ3万円程度。

レンタカーを借りて、陸路でリノに向かう場合は、サンフランシスコを拠点にした方がよいかもしれない。
ロサンゼルスからリノまで800km以上、所要10時間はかかり、交代での運転ならともかく1人ならサクラメントあたりで宿泊した方がいい。
サンフランシスコであればリノまで350km程度で、リノまで4時間ほど。ただしアメリカでの運転に慣れていない場合は夜の移動は避けたほうがいいだろう。

空路であれレンタカーであれ、リノまでたどり着けばブラックロック・シティまであと一歩だが、かなりの渋滞を覚悟する必要がある。

2013-08-26 08.23.48
(画像:tabinote)

さて、バーニングマンに参加するには宿泊設備やキッチンをそなえたキャンピングカー(RV)や荷物をたくさん運べるトラックの利用が便利。
リノ空港にはBudget、Hertz、AVISなどの大手レンタカーのカウンターがあり、各社のサイトにて日本から予約も可能だが、せいぜいSUVやミニバン程度で、キャンピングカーのレンタルはない。バーニングマンの時期は混み合うので、キャンピングカーを希望する場合はサンフランシスコなどで調達していくことになる。
費用の目安は、8人乗りのミニバンが100~150ドル/日、キャンピングカーが300~500ドル/日といったところ。
ちなみに、バーニングマンに参加する場合(日程でバレる)はレートが高くなったり保証金が積み増しされたりする。また、キレイに洗車して返却しないと高額なペナルティをとられることになるので要注意。ブラックロック・シティに入る前に座席や床をビニールで養生しておくのがコツ。それでも砂漠の砂は入り込んでしまうので、リノにたくさんある洗車場で砂漠の砂を払い落とそう。

レンタカーがない、運転できない、仲間がいないという場合には、Burner Expressという会場直行バスがある。サンフランシスコ、リノから期間中毎日運行。

(パッケージツアー)
物資の調達など、バーニングマンに全くの個人で参加するのは難しい。
かといって通常のパッケージツアーは存在しない。
同行者が見つからなければ、参加者を公募しているサークルなどに連絡をとる方法がある。

やはりmagarisugi.netで、現地(リノ/サンフランシスコ)発着の現地ツアーを紹介している(2015年は未定)。
magarisugi.netでも紹介されているGreen Tortoise社のバスツアーの場合、入場チケット別で909ドル。チケット手配も依頼でき、食事もセットで手軽。

また、SNS型の共同旅程構築サービス、Trippiesではバーニングマンへの参加ツアーが企画されることがある。

地理と気候

会場はネバダ州のブラックロック砂漠。
8月~9月は砂漠性気候で昼夜の寒暖差が激しい。昼は直射日光が照りつけ35度~40度、夜には5度程度になる。気温変化に対応できる服装が必要。
昼はTシャツ&短パン(または全裸)、夜はダウンジャケットとあたたかい寝袋があれば問題ないだろう。
また、大気が乾燥しており砂埃も想像を絶するひどさのため、喉の保護や給水に気を配る必要がある。サングラスと帽子は必須。

ブラックロック・シティと日本の時差はアメリカ西海岸のサマータイムが適用され、マイナス16時間となる。日本の正午が前日の午後8時。


【画像:Google提供】

言語と通貨

参加者は世界中から集まっているが、コミュニケーションは英語が基本。

会場内での宣伝・商業活動は全面的に禁止されている。

唯一の例外は氷。参加者の安全のため、センターキャンプおよび3:00、9:00プラザで氷が販売されている。1袋あたり3ドル。
また、センターキャンプでソフトドリンクも販売されている。

また、爆発物、花火、銃器、エアガンなどの持ち込みは禁止。ゴミとなって環境を汚すモノも禁止。歯を磨いたり体を洗ったりする時に出る生活排水(グレイウォーターと呼ばれる)はビニールシートなどを使って蒸発させるか保管して持ち帰る必要がある。

上掲コンセプトでも触れたように、バーニングマンは先に与え、見返りを求めない寄付と贈答の文化から成り立っている。サバイバルに必要なもの意外に、ギフトとして分け与えられるもの・コトを準備していきたい。日本ならではのアクセサリーやステッカーなどを用意しておくと便利だ。

治安とビザ

「危険なイベント」というイメージがあるかもしれないが、会場内にはセキュリティが目を光らせており、犯罪のおそれはない(カーキ色の服を着て胸にバーニングマンのロゴがついているのがセキュリティスタッフ)。本物の保安官も巡回している。
もちろん違法な薬物の使用も(建前上は)禁止されている。

独特の雰囲気や酒などにおぼれて羽目を外し、自分を見失うことが最大のリスクといえる。また、過酷な環境のため健康管理には十分に注意すること。

夜は真っ暗になるため懐中電灯・ヘッドライトは必須。

アメリカ入国にはESTA(電子渡航認証システム)による申請が必要。

観光目的の場合、アメリカへの90日以内の滞在はビザ免除。商用や第三国を経由しての入国などではビザが必要。
ビザ免除のためにはESTA(電子渡航認証システム)による事前申請が必要。ESTAは2年間有効で渡航72時間前までに申請が推奨されている。ESTAを取得していないと入国できないため早めの準備がお勧め。

市内交通

ブラックロック・シティには、いわゆる公共交通機関やタクシーの類は存在しない。会場は広いため自転車を用意しておくと便利。リノのウォルマートで120ドルくらいで買えるが、市内には中古自転車屋も存在する。会期終了後はボランティアに寄付しよう。

ホテルとシーズン

ブラックロック・シティの会場にはホテルはなく、キャンピングカーもしくはテント生活となる。テントもウォルマートで30ドルくらいからある。

リノのホテル事情は悪くない。ホテル代は中級・3つ星クラスで6千円~9千円。カジノ付の高級ホテルなら1万5千円を超える。
バーニングマン前後は多少値上がりすることもあるが、よくディスカウントされている。
ネバダ州の条例により、21歳未満の場合ホテルにひとりで泊まることはできない。

ベッド&ブレックファースト形式のいわゆる民宿や個人宅の部屋貸しサービスAirbnbの利用もお勧め。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ブラックロック・シティの中には携帯の電波は届かない。どうしても外部との接続が必要であれば衛星携帯を持ち込むしかない。

会場入り前やイベント後に携帯が必要な場合は、プリペイドSIMか国際ローミング、レンタルルーターを利用することになる。
かつて、アメリカではまともなプリペイドSIMを手に入れようと思ったらほぼT-Mobile一択であったが、AT&Tが実用的なサービスをはじめるなど選択肢が拡がってきた。
T-MobileやAT&TのSIMはBestBuyやWalMartで購入できるが、設定をまかせるなら直営店が無難。リノの空港には購入できる店舗は無く、市街に向かう必要がある。
または、amazon.comで事前に入手・セットしていくという手もある。

バーニングマン参加がメインの目的とすると、日本からレンタルルーターを借りていくのはムダが多い。プリペイドSIMの入手も簡単ではないため、結局海外パケホーダイなどの国際ローミングサービスを使うのが手軽かもしれない。

(Wifi)
ブラックロック・シティの中には、一部にフリーのWiFiスポットがあるとされているが、基本使えないと思ったほうがよい。

リノのホテルやカフェ、マクドナルドやスターバックスといったチェーン店は無料WiFiを提供している。