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4. 世界あの街この街: ベルリン


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第29回 ベルリン

ベルリンの旅行ガイド
ベルリン (トリップアドバイザー提供)

ドイツ連邦共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

ロンドン、パリと並ぶ欧州の文化的中心で、モダンで洗練された街並みが広がる。
近代では激動の歴史を経験し、二度の大戦と街中がガレキと化した市街戦を経て不死鳥のごとく発展、分断都市となった冷戦時代を経て1989年に東西ベルリンが統合、新生ドイツの首都となった。
現在ベルリンには180以上の美術館・博物館と50を超える劇場があり、いずれも第一級のレベルを誇る。歴史建造物や戦争史跡などの史跡にも事欠かない一方、現代アートやカウンターカルチャーの聖地でもあり、常に新たなムーブメントが生まれているエネルギッシュな街として観光客が絶えない。

ベルリン市は東京23区の1.5倍と広く、観光名所やショッピングエリアが市外に散在している。ここでは、必見のスポットを効率よく巡るプランを紹介する。もちろん1日では見尽くせない。
ベルリン
※A-ブランデンブルグ門(Brandenburger Tor)、B-アレクサンダー・プラッツ(Alexanderplatz)、C-博物館島(Museum Island)、D-ハッケシェ・ヘーフェ(Die Hackeschen Hoefe)、E-ジャンダルメンマルクト(Gendarmenmarkt)、F-ホロコースト記念館(The Holocaust Memorial)、G-ベルナウア通り(Bernauer Street)、H-ドイツ連邦議会議事堂(Reichstag Building)、I-ソニーセンター、J-カイザー・ウィルヘルム教会(Kaiser Wilhelm Memorial Church)
(出典:Google)

ベルリンはブランデンブルグ門から大きく東西に分かれる。
西に延びるのが6月17日通り、東に延びるのが菩提樹(リンデン)の並木道ウンター・デン・リンデン。
ベルリンの旅行ガイド
ブランデンブルグ門 (トリップアドバイザー提供)


ベルリンの街歩きは東側、ミッテ地区から。
ベルリン中央駅から地下鉄に乗り、アレクサンダー・プラッツ駅で降りると、あたり一帯はベルリンの中心であるミッテ地区(Gartenstraße)のど真ん中。
駅前は東ドイツ時代に国の威信をかけて作られた広大なアレクサンダー広場(プラッツ)、どこかレトロなテレビ塔を望む一帯には史跡やミュージアムといった観光名所から、路地裏のショッピングエリアに小さなクラブまで、昼の顔も夜の顔も区別なく多くの人が行き交う。

街歩きが楽しいエリアで、ホテルも多い。観光客はカフェめぐりやお土産探し、夜遊びまでこの地区のお世話になる。
駅のすぐそばにあるガレリア・カウホーフは東ドイツ時代から続く由緒正しきデパートで、最上階のフードコートからは広場を一望できる。

シュプレー川沿い、大聖堂が見えてきたらミュージアムが集まる博物館島。
博物館島に渡る前に、対岸の旧東ドイツ(DDR;Deutsche Demokratische Republik)をテーマとしたDDR博物館に寄ってみよう。秘密警察の盗聴システムを見せる部屋や当時の料理を出すレストランなど、その手の展示が好きな方にはたまらない場所で、郷愁を誘うのかドイツ人にも大ウケとのこと。
DDR Museum
DDR Museum (トリップアドバイザー提供)

博物館島は、プロイセン家の至宝を集めた旧博物館、新博物館、旧国立美術館、ボーデ博物館、ペルガモン博物館、大聖堂が一箇所に集まった中州で、世界文化遺産に登録されている。
Berlin Cathedral
Berlin Cathedral (トリップアドバイザー提供)

中でも最大の展示規模を誇るのがペルガモン博物館。古代ローマやイスラムの巨大な遺跡を展示しており、トルコで建造された「ゼウスの大祭壇」や、古代バビロニアの「イシュタール門」が代表的。
Pergamon Museum
Pergamon Museum (トリップアドバイザー提供)

アレクサンダー・プラッツに戻り、ハッケシャー・マルクト駅で下車。一帯のハッケシェ・ヘーフェは雑貨やギャラリーの集まるエリアとして人気。
あたりはユダヤ人街の痕跡を残し、旧女学校の建物がレストランに改装されている。
また、劇場やギャラリー、しゃれたレストランも多い。
Die Hackeschen Hoefe
Die Hackeschen Hoefe (トリップアドバイザー提供)

オーラニエンガー通り沿いには1938年のユダヤ人迫害事件「水晶の夜」で大きな被害を受け、再建された新シナゴーグがある。アルハンブラ宮殿に範をとったという壮麗なファサードは威厳がある。
ここからフリードリヒ通りまで歩き、森鴎外記念館を見学してもいい。
Neue Synagoge Berlin - Centrum Judaicum
Neue Synagoge Berlin – Centrum Judaicum (トリップアドバイザー提供)

フリードリヒ通りを南に歩くと、ウンター・デン・リンデンと直交する。
ブランデンブルグ門を背に歩くとドイツ歴史博物館のあるベベール広場、そしてベルリンで最も美しいと称されるジャンダルメンマルクト広場へ。高級ブティックやデパートが建ち並び、教会のフランスドームとドイツドームが威厳を添える。クリスマスマーケットの時期は欧州でも有数の賑わいとなる。
Gendarmenmarkt
Gendarmenmarkt (トリップアドバイザー提供)


ブランデンブルグ門の周辺は戦争や分断時代の史跡・ミュージアムが多い。
門のすぐ南に突然現れる静謐な異空間がホロコースト記念館。
直方体の石が無数に拡がる光景は多くの来訪者に強い印象を残す。地下には強制収容所に関する情報が展示されている。
The Holocaust Memorial
The Holocaust Memorial (トリップアドバイザー提供)

さらに南に向かうと同じくユダヤ迫害の悲劇を展示したトポグラフィ・オブ・テラー。秘密警察ゲシュタポ本部の跡地というロケーションが迫力を醸し出す。展示も生々しい。
トポグラフィ・オブ・テラーの真正面にある巨大な建物はEUを牛耳る連邦財務省。かつての第三帝国航空省本拠であり、異様な圧力を感じる。
近くのフリードリヒ通り沿いにはかつての東西検問所跡を改装した壁博物館があるので、あわせて訪れたい。
Topography of Terror
Topography of Terror (トリップアドバイザー提供)


ブランデンブルグ門から北東へ。
地下鉄(Uバーン)のベルナウアー・シュトラーセ駅を出ると、かつての西ベルリンと東ベルリンの境界となっていたベルナウア通り。
この一帯、プレンツラウアー・ベルク地区は東ドイツ時代から芸術家や反体制運動家が住み着いていたエリアで、現在でも、アーティスト、ミュージシャン、ゲイなどの個性豊かな面々が集う。デザインギャラリーやおしゃれなショップ、バーなどが林立する流行の発信地である一方、緑が多くのどかでリラックスできる。
Prenzlauer Berg
Prenzlauer Berg (トリップアドバイザー提供)

ベルナウア通りを南西に進むと壁の歴史を展示したベルリン・ウォール・メモリアルがある。
Memorial of the Berlin Wall
Memorial of the Berlin Wall (トリップアドバイザー提供)


さらに進んで、ベルリン中央駅のあたりからが旧西ベルリン側。
ベルリン中央駅は、東西に分かれていた不便なベルリンの鉄道事情を解消すべく鉄道大国ドイツの威信をかけて作られた巨大な駅で、一見の価値あり。

ブランデンブルグ門を西に超えると、ユニークなドームを持つライヒスターク(ドイツ連邦議会議事堂)。
6月17日通りの向こうには女神像を抱く戦勝記念塔が見える。この塔が見えるあたりから街歩きを始めるのもおすすめ。
Reichstag Building
Reichstag Building (トリップアドバイザー提供)

門の南に向かうとポツダム広場。
第2次大戦以前から繁華街だったが、市街戦で灰燼となった。ベルリンの壁崩壊後に再開発が進み、今ではソニーセンターがランドマークとなる現代的なエリアとなっている。
Sony Center
Sony Center (トリップアドバイザー提供)

ポツダム広場から西に向かうと巨大なショッピングセンターのアルカーデン、ベルリンフィル、ベルリン絵画館(Gemaeldegalerie)などの名所がある。
ベルリン絵画館はヨーロッパの中世~近世のコレクションで世界有数。ボッティチェッリ、アルブレヒト・デューラー、ラファエロ、パウル・ルーベンス、レンブラント、そしてフェルメールといった日本でもお馴染みの巨匠達が惜しげもなく展示されている。
Gemaeldegalerie
Gemaeldegalerie (トリップアドバイザー提供)

絵画館から西に向かうとバウハウス資料館がある。建築好きならば、郊外デッサウのバウハウス本校と合わせて訪れたい。
Bauhaus Archive
Bauhaus Archive (トリップアドバイザー提供)

さらに西、ベルリン動物園とツォー駅を超えるとベルリン有数の繁華街クーダム(Kurfurstendam)へ。西ベルリン時代からの目抜き通りで、デパートや高級ブティック、レストランが立ち並ぶ。
古典様式の見事な駅舎を誇るヴィッテンベルグ・プラッツ駅前の巨大デパート、カーデーヴェー(KaDeWe)も必見だ。6階の食品売場には世界の食が集まる。
Kaufhaus des Westens (KaDeWe)
Kaufhaus des Westens (KaDeWe) (トリップアドバイザー提供)

クーダムの起点は市街戦の爪痕を示すカイザー・ウィルヘルム教会。青いステンドグラスが美しい。
Kaiser Wilhelm Memorial Church
Kaiser Wilhelm Memorial Church (トリップアドバイザー提供)

そして、クーダムの先にはベルリンの激動の歴史を紹介する博物館「ザ・ストーリー・オブ・ベルリン」がある。こちらの名物展示は3,000人を収容できる本物の核シェルター。
カイザー・ウィルヘルム教会の崩れた尖塔とこのミュージアムを巡ると、数々の危機を乗り越えてきたベルリン市民のたくましさを感じずにはいられない。
Story of Berlin
Story of Berlin (トリップアドバイザー提供)


ここまでは中心部の名所を紹介してきたが、音楽や夜遊びの盛んなスポットは周辺エリアにも点在している。
上で紹介したプレンツラウアー・ベルクの他、クロイツベルグのコトブサー・トーア駅付近はトルコ移民の集まる賑やかなエリアで、こちらも新たなカルチャーの発信地。その南側、ノイケルン地区もトルコ人街だが、学生やアーティストが多く住む活気にあふれたエリアとなっている。
Kreuzberg
Kreuzberg (トリップアドバイザー提供)


郊外観光で人気なのは、ザクセン王国の古都ドレスデンや、サンスーシ宮殿やポツダム宣言でお馴染みのポツダム。そしてバウハウスの本拠地デッサウも見逃せない。
いずれもベルリンから日帰りで行くことができる。

ドレスデンの見どころはツヴィンガー宮殿や緑の丸天井。ドレスデンもやはり空爆で灰燼と化したが、無数の残骸をコンピューターの駆使により組み合わせ見事に再建された聖母教会は新たなランドマークとなっている。
Frauenkirche
Frauenkirche (トリップアドバイザー提供)

ベルリンから1時間程度で行けるのがザクセンハウゼン収容所跡。
190ヘクタール(東京ドーム40個分)という広大な敷地に20万人以上の人が収容され、5万人もの犠牲者が出たと言われている。
Sachsenhausen Concentration Camp
Sachsenhausen Concentration Camp (トリップアドバイザー提供)

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Hofbrau Munchen Berlin
Hofbrau Munchen Berlin (トリップアドバイザー提供)

ベルリンはドイツの郷土料理から移民のもたらした世界の食まで選択肢は広い。特に移民の味はもはや新たなベルリンの伝統食となりつつある。
大都市だけあり、ミシュランガイド掲載のファインダイニングも10以上ある。一方で、ヨーロッパの他の都市と比べ外食は意外にリーズナブル。駅や繁華街のフードコートでボリュームたっぷりのサンドイッチにコーヒーを追加しても数ユーロ。

ドイツの伝統料理といえばソーセージや酢漬けのキャベツなどの保存食が思い浮かぶが、ベルリンでも本場の味を堪能できる。ベルリン名物は豚スネを豪快に煮た「アイスバイン」や肉団子のホワイトソース煮「ケーニヒ・スベルガークロプセ」など、全般に温かい煮込みものが多い。
B級グルメの「カリーヴルスト」もベルリン発祥。ビール片手に頬張ればベルリンっ子の仲間入り。

トルコ移民が多いことから、中東料理やケバブ、豆のコロッケ「ファラフェル」も親しまれている。屋台で提供するファーストフードとしてのドネルケバブはベルリンで発明されたという説も。

環境や健康に意識の高いベルリン市民の嗜好を反映して、オーガニックフードの人気も高い。

Currymitte Berlin
Currymitte Berlin (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
ドイツ行きの直行便はJAL、ANA、ルフトハンザが運行しているが、ベルリン便はない(フランクフルト、ミュンヘン、もしくはデュッセルドルフ便となる)。

中東系のカタールやエディハドが安めで、燃油込みで10万円程度。カタールはドーハ乗り継ぎ、エディハドはアブダビでエア・ベルリンに接続する。アエロフロートやスカンジナビア航空も安め。いずれも所要時間は長めで、空港泊が必要になる場合も。

所要時間が短めなのはJAL、ANAの日系やルフトハンザ、フィンエアー、オーストリア航空など。このあたりは所要15時間以内に到着するが、運賃も17万円程度とやや高め。

日程に余裕があればヨーロッパの適当な都市に飛んでLCCでベルリン入り、という手もある。

(パッケージツアー)
時期によっては最安で2人参加5日間10万というプランも見つかる。
15万円程度出せばミュンヘンやワルシャワを周遊するツアーも。

(空港)
ベルリンの空港は現在2つ。

テーゲル国際空港(TXL)はベルリン中心の北西約8kmに位置する。エア・ベルリンのハブ空港となっており、主にヨーロッパ主要都市からの便が発着。
空港からはタクシーで市の中心まで約20分。30ユーロ程度。
X9番の急行バスならツォー駅まで約20分。TXLジェットエクスプレスバスならアレクサンダー広場まで40分ほど。料金は2.6ユーロ。市バスの場合、109番と128番の市バスがツォー駅まで所要約25分。

シェーネフェルト国際空港(SXF)はベルリン郊外の南東部・ブランデンブルク州との境界に位置しており、市街地との距離は約25km。旧東ベルリン空港で、主にアエロフロートや東欧便、イージージェットなどLCCの発着空港となっている。
空港からはタクシーで市の中心まで約40分。40ユーロ程度。
快速列車「エアポート・エクスプレス」ならベルリン中央駅まで所要30分程度。3.2ユーロ。

シェーネフェルト空港は新空港のブランデンブルク国際空港(BER)として拡張の予定であるが、2012年予定だった開港は遅れており、2016年以降となる見込み。


地理と気候

ヨーロッパの冬は寒さが厳しいため、一般には夏の6月から9月頃までがベストシーズンだが、冬の街並みも美しい。
冬のイベントとしてはドイツ名物のクリスマスマーケットがあり、この時期を目当てに訪れる観光客も多い。

時差はマイナス8時間。日本の正午が午前4時。3月の最終日曜から10月最終日曜までサマータイムで、時差はマイナス7時間となる。日本の正午が午前5時。


(画像:Google提供)


言語と通貨

ベルリンではおおむね英語が通じる。旧東ドイツエリアでは通じにくいことも。

通貨はユーロ(EUR)。1ユーロ=136円(14年9月時点)。
概ね1ユーロ=150円と覚えておけば使いすぎない。

物価は日本並みと考えていればよい。中級ホテルが1万円、高級ホテルで2万円程度。
外食ランチは安食堂やサンドイッチで3~4ユーロ、レストランなら日本よりやや高めで8~15ユーロ(欧州の他の大都市よりは安め)。カフェが2.5~4ユーロ程度。タクシー初乗り3ユーロ。水500ml(コンビニ)で1ユーロ程度。
商品価格には7~19%の消費税が含まれている。

両替は万国共通で、ATMの国際キャッシングが便利。
現金の場合は日本円を現地の市中で替えるのが鉄則。
ドイツは意外に現金主義。クレジットカードはホテルやレストラン、デパートでは問題無く使えるが、ローカルのお店では使えないことも多い(他のお客が使っているように見えてもデビットカードだったりする)。

チップの習慣がある。レストラン・カフェは10%程度。タクシーなら10~15%程度だが、おつりを渡したり端数の切り上げでも良い。ポーターやルームサービスで1ユーロ。


治安とビザ

ドイツの治安は全般に良好だが、ベルリンでは観光地特有の犯罪が少なくない。
空港や駅、ホテルのロビー、観光スポットでの窃盗・置き引き・スリ・ひったくりなどに注意。北部・東部・北東部は全般に治安が悪いとされている。
特に主要駅、ウンター・デン・リンデン通り、クーダム、アレクサンダー・プラッツなどの繁華街では身の回り品に注意し、夜間の一人歩きは避けること。

ホームレス風の労務者や全身タトゥーの若者、ゲイのカップルなどバラエティに富んだ人が集う街だが、彼らが危険ということはなく、見た目で判断するとベルリンを楽しめない。
ただし、明らかにネオナチ風の風体をした集団(スキンヘッド、黒っぽい服装、十字や拳マークのシンボリックなTシャツなど)には近づかないこと。特に、最近ではイスラエルのパレスチナ自治区ガザへの攻撃に対する抗議行動が活発化していることから、便乗した拝外主義者の行動が活発化する可能性がある。

(出典:Wikipedia;ネオナチのシンボル)

また、クラブやバーでは麻薬の使用や取引が常態化している他、昏睡強盗などの被害も報告されている。

90日以内の観光・出張滞在はビザ不要。


市内交通

(タクシー)
ぼったくりなどは無く、メーター制で安心して利用できる。英語も通じるので安心。
初乗り3ユーロ、1km毎に2ユーロ(7kmまで)、7kmを超えると1km毎に1.3ユーロ。
チップは料金の10~15%程度。他に、大きな荷物がある場合や日曜日・夜間の割増あり。

(近郊鉄道・地下鉄・トラム・市バス)
市内公共交通機関は近郊鉄道のSバーン、地下鉄のUバーン、トラムおよび市バス、フェリー。
Sバーンは山手線のような環状線と郊外に延びる15のラインがある。Uバーンは10線。

料金体系はすべて共通で、ゾーン制となっている。ベルリン中心部、Sバーン環状線の域内がAゾーン。その外周、テーゲル国際空港を含むエリアがBゾーン。さらにその外周、シェーネフェルト国際空港やポツダムを含むエリアがCゾーン。

チケットは、シングルチケットとデイパス(週間・月間・年間もある)、旅行者向けのカードがある。
シングルチケットはABゾーンもしくはBCゾーン2.6ユーロ、ABCゾーン3.2ユーロ。有効時間2時間で、この時間内ならば市内公共交通機関は乗り放題(バスからUバーンに乗り換える場合でも追加の初乗運賃無は必要ない)。
近距離の場合(S・Uバーン3駅まで、市バス・トラムは6停留所まで、かつゾーンAB内かBもしくはC内)は有効時間設定無しの使い切りで1.5ユーロ。
デイパスはABゾーン6.7ユーロ、BCゾーン7ユーロ、ABCゾーン7.2ユーロ。一週間チケットはABゾーン28.8ユーロ、BCゾーン29.7ユーロ、ABCゾーン35.6ユーロ。

旅行者向けのカードは2種類。
ベルリン・ウェルカムカードはベルリンとポツダム市内の公共交通機関が乗り放題となり、一部のミュージアムやレストランなどが割引となる。48時間有効のABCゾーンカードが20.5ユーロ、5日間有効のABCゾーンカードが37.5ユーロ。
ベルリン・シティツアーカードはウェルカムカードと割引対象施設や特典が異なる。48時間有効のABCゾーンカードが18.9ユーロ、5日間有効のABCゾーンカードが35.9ユーロ。

(鉄道)
Berlin Hauptbahnhof
Berlin Hauptbahnhof (トリップアドバイザー提供)

鉄道大国ドイツの威信をかけた欧州最大規模の駅、ベルリン中央駅はショッピングセンターが併設された巨大施設で、一日過ごせる。Sバーン、Uバーンも発着する他、シェーネフェルト国際空港を利用した場合にはエアポート・エクスプレスがこちらに到着する。

ドイツの鉄道網は大変充実しており、フランクフルト経由で出入国する場合やハンブルク、ミュンヘンなどに移動するにも利便性が高い。国際列車によりパリやウィーンとも結ばれている。

(レンタカー・レンタサイクル)
「郊外に出たい」「アウトバーンを走りたい」、そんな時はレンタカーも選択肢。
フォルクスワーゲンミニを24位時間借りた場合の相場は8,000円程度、ゴルフなら1万円程度、7人乗りのフォルクスワーゲン・トゥーランで1万2千円程度。
なお、アウトバーンが最高速度無制限なのは規制・標識がない区間だけで、ベルリン市内ではおおむね80km/hか100km/hに制限されている。

多くの道路で自転車専用路が設けられている。多くは赤い色で区分けされているのですぐ分かる。レンタル自転車は24時間で12ユーロ程度。鉄道やバスへの持ち込みも可能(混雑時間帯除く;ベルリンABゾーンは1.7ユーロ、ABC全ゾーンは2.3ユーロ)。


ホテル

Hotel Adlon Kempinski
Hotel Adlon Kempinski (トリップアドバイザー提供)

重厚な建築の5つ星ホテル、郊外の古城ホテルから前衛的なデザインホテルまで、宿の選択肢は多い。古い石造りの建物をセンス良くリノベーションしたミニホテルに泊まるのも面白い。ミッテにはKGBのオフィスを改装した「ラックス11」や壁中にストリート・ペインティングが施された「ヴァインマイスター」などユニークなホテルもある。

ベルリンはイベントの多い街で、年を通して展示会や祭が開かれている。
1月はミュージアムに入り放題のミュージアム・ナイト、2月はベルリン国際映画祭、4月はイースタオ-、6月にデザインフェスティバル、秋は展示会シーズンで混み合い、ベルリン音楽祭やオクトーバーフェストもこの時期。冬はアドベントとクリスマスマーケット。

ホテル代は高級ホテルでも2万円程度、中級ホテルなら1万円程度と欧州の都市ではやや割安。ゲストハウスなら3千円~といったところ。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ドイツの通信事業者はMobile、Vodafone、O2、T-E-plusの4社に加え、FONIC、Congstar、O.TEL.O、Alice、AlditalkなどのMVNO(回線利用業者)が無数にある。

ドイツを拠点とする最大手T-Mobileの場合、月間250メガバイトで9.95ユーロ。最大8MBit/s。追加500メガのオプション「Speed​​On L」を追加するとさらに9.95ユーロ。
Vodafoneの場合、プリペイドの「Mobiles Internet ohne Vertrag」が30日間1ギガで14.99ユーロ、5ギガで34.99ユーロ。いずれも最大7.2MBit/s。
O2の場合、「O2 Go Prepaid」プランが1日3.5ユーロ。1ギガまでは最大7.2MBit/sで、以降64kBit/s。「O2 Go Prepaid XL」プランが月間35ユーロ。7.5ギガまで14.4MBit/sで、以降64kBit/s。
E-plusのプリペイドプランでデータ通信に適したものはサイトで見当たらなかった。

MVNOでは以下の通り。
FONICの場合、月間1ギガで19.95ユーロ。1ギガまでは最大7.2MBit/sで、以降32kBit/s。
Congstarの場合、30日250メガの「Prepaid Smart L」が14.99ユーロ。
O.TEL.Oの場合、月間300メガで8.99ユーロ。

こうして比較すると、短期滞在ならO2の「O2 Go Prepaid」、1週間程度の滞在で1ギガ程度ならFONICかVodafone、めいっぱい使いたいならO2の「O2 Go Prepaid XL」といったところ。

(WiFi)
レストラン、カフェ、交通機関、公共施設など様々な場所で無料のWiFiが提供されている。
マクドナルドやスターバックス、アインシュタインカフェ(Einstein Kaffee)などのチェーンではWiFi目当ての客がラップトップを開く光景がお馴染み。

4. 世界あの街この街: バンクーバー


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第28回 バンクーバー

Vancouver Downtown
Vancouver Downtown (トリップアドバイザー提供)

カナダ国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

カナダ西部最大の都市で、高層ビルとビクトリア調の建築が調和する、美しい街並みが特長。
英エコノミスト誌の「世界一暮らしやすい街」ランキングでは上位の常連。
留学やワーキングホリデーなどで日本人在住者も多く、初めての海外でも安心。
街歩きや新鮮なシーフード、中華街でのグルメも人気だが、ハイキング、カヌーといったアウトドア・アクティビティもこの街の楽しみ。

バンクーバー市自体の面積(広域バンクーバー;Metro Vancouver)は2,887km2と、東京都(2,188km2)よりも広いが、観光客が集う中心部・ダウンタウンは意外にコンパクト。
ダウンタウンの道は直交が基本。北西のスタンレー・パークと南東のBCプライスを一直線に結ぶのがバンクーバー最大の目抜き通りであるロブソンストリート。この通りにウォーターフロント側で平行するジョージアストリートと、北東から南西に延びロブソンと直交するグランビルストリートを覚えておけば迷うことはない。

Google マップ
(出典:Google;A-ロブソンストリート、B-ウォーターフロント/ギャスタウン、C-チャイナタウン、D-グランビルアイランド、E-イェールタウン、F-メインストリート、G-スタンレーパーク、H-キツラノ)

街歩きはダウンタウンから。ロブソンストリートは通りの両側にショップやレストランがずらりと並び、夜でもにぎやか。
Robson Street
Robson Street (トリップアドバイザー提供)

バンクーバー美術館はロブソン通り沿い。石造りの重厚な建物に反してモダンアートを多く展示している。カナダの自然を描いた画家、エミリー・カーのコレクションが目玉。中にはカフェもありまったりできる。
Vancouver Art Gallery
Vancouver Art Gallery (トリップアドバイザー提供)

バンクーバー美術館でロブソンストリートはグランビルストリートと直交している。そのまま北上しウォーターフロント側に出れば展示場のカナダ・プレイスを初めとした白亜の建物群と海、そしてロッキー山脈を遠景に望む美しい光景が見られる。
海岸沿いに建つハーバーセンターはバンクーバーで最も高い建物。最上階はバンクーバー・ルックアウトという高さ167mの展望台で、市街を一望できる。ダウンタウンの高層ビルから山々、遠くのバンクーバー島まで360度のパノラマを楽しめ、市街の位置関係把握にも便利。チケットは終日有効で、夜は夜景を見に再訪してもいい。
Vancouver Lookout
Vancouver Lookout (トリップアドバイザー提供)

ウォーターフロントから東に歩くと、バンクーバー発祥の地ガスタウン(ギャスタウン)。
19世紀の火事により街はさびれゴーストタウン化していたものの60年代に再開発が進み、今では往時以上の活気を誇る観光地となっている。おしゃれなアパレルショップやこだわりのカフェなど、若者に人気の店が軒を連ねる。
Gastown
Gastown (トリップアドバイザー提供)

ガスタウンから東に向かうとチャイナタウン。バンクーバーは中国系移民が多く、チャイナタウンも北米屈指の規模を誇る。
朱塗りの門をくぐると漢字と赤黄の看板で彩られた異世界となる。もちろん中華料理の名店もこのエリア。
Chinatown
Chinatown (トリップアドバイザー提供)

また、チャイナタウンにはギターの神様、ジミ・ヘンドリックスが子供の頃暮らしていた祖母の家があり、現在はシェアハウスとして開放されている。かつて食堂だったハウスのキッチン部分はJimi Hendrix Shrine(ジミヘン神社)として6月~8月まで一般公開されており、手作り感あるポップな風情にオーナーのジミヘン愛を感じずにはいられない。

なお、後述するがチャイナタウン周辺はホームレスが闊歩するドヤ街めいたエリアに隣接しており、夜は治安は良くない。ガスタウンから移動するなら夜間は歩かずタクシーを使おう。

グランビルストリートに戻り、南西に向かうとイェールタウン。
海岸沿いの倉庫街がリノベーションされ、赤煉瓦やガラスの瀟洒なビル群に生まれ変わった。一帯はおしゃれなカフェや最新のレストランが集まり、夜は一層人通りが増える人気スポットとなっている。
Yaletown
Yaletown (トリップアドバイザー提供)

イェールタウンを超え、グランビル・ブリッジを渡ると橋の下にはグランビル・アイランドという市場街があり、対岸からフェリーで行くこともできる。
近郊で採れた野菜やメープルシロップといった農産品、近海物のサーモン、ベーコンやパンといったデリまであらゆる食がそろう。レストランや地ビール工場もあり、海辺を見下ろしながらの一杯は最高。
2013-08-20 11.45.55(tabinote提供)

グランビル・アイランドを出てグランビル通りを西に向かうとキツラノ地区へ。
こちらは学生街・ヒッピータウンとして名を馳せたエリアで、現在はイェールタウン同様に再開発されおしゃれなエリアに変貌している。ヒッピーカルチャーを反映し、オーガニックスーパーやヨガスタジオなどが多いのも特徴。博物館やビーチもあり、一日中のんびり過ごせる。
Vancouver Maritime Museum
Vancouver Maritime Museum (トリップアドバイザー提供)

東に戻り、イェールタウンの南東、チャイナタウンからちょうど真南に延びるのがメインストリート。
こちらにも個性的な店が多く集まり、ウィンドウショッピングや散策に最適な通りとなっている。
アウトドア好きならバンクーバー生まれのブランド、マウンテン・エキップメント・コープの直営店があるのも見逃せない。
Main Street
Main Street (トリップアドバイザー提供)


そして、バンクーバーといえばスタンレーパーク。
カナダ総督のダービー・スタンレー16世にちなんで名付けられた市民の憩いの場で、総面積は400万m2にもおよぶ。周囲はシーウォールという長さ8.8kmのトレイルで囲まれており、内部には豊かな原生林や湖の他、ビーチやカフェ、レストラン、巨大な水族館がある。ハイキングやレンタサイクルでのトレイル一周ツアーも楽しい。
Stanley Park
Stanley Park (トリップアドバイザー提供)

Vancouver Aquarium
Vancouver Aquarium (トリップアドバイザー提供)


さて、バンクーバーの楽しみは郊外観光、アウトドアのアクティビティにあると言っても過言では無い。

大自然の中でのウォーキングやハイキング、サイクリングは定番で、ジップラインやシーカヤックなども豊富に現地ツアーがある。
北部のカピラノ吊り橋は人気スポット。ダウンタウンからの無料シャトルバスでわずか15分、原生林が生い茂る渓谷に到着する。一帯は自然公園となっており、ハイキングや断崖遊歩道など冒険が楽しめる。
Capilano Suspension Bridge Park
Capilano Suspension Bridge Park (トリップアドバイザー提供)

バンクーバーの北120kmに位置するウィスラーは冬期オリンピックの舞台ともなった世界有数のスキーリゾートで、冬はもちろん春から秋にかけてもハイキングやゴルフ、釣り、カヌー、ラフティング、トレイルラン、トレッキング、乗馬など豊富なアクティビティが待っている。中でも懸垂氷河と氷河湖を一望するジョフリー・レイクスのトレッキングはここでしか味わえない体験。
Whistler
Whistler (トリップアドバイザー提供)

フェリーでバンクーバー島に向かい数泊するのも楽しい。
州都ビクトリアは通常の飛行機や長距離バスでも向かうことが出来るが、ここはぜひ水上飛行機で訪れてみたい。ビクトリアの街は英国風の美しい街並みが拡がり、シーフードを目当てにのんびり滞在するのもよいし、フェリーでオルカウォッチングや釣りを体験するのも人気。
Victoria
Victoria (トリップアドバイザー提供)

バンクーバー島の南に浮かぶのはソルト・スプリング島。豊かな自然と由緒正しいヒッピーカルチャーの伝統が特徴で、“オーガニック・アイランド”の異名を持つ。オーガニック野菜やアーティストの作品が並ぶ土曜市の日には、大勢の観光客が島外から訪れる。
Salt Spring Island
Salt Spring Island (トリップアドバイザー提供)

そして、日程に余裕があればぜひ北方のカナディアン・ロッキーへ。
夏は氷河を遠景にグリズリーやムースを観察したり、トレッキングを楽しむのもよい。
北緯60度を超え、ユーコン準州に入れば極北の世界。冬はオーロラ鑑賞が体験できる。
Grassi Lakes
Grassi Lakes (トリップアドバイザー提供)

Whitehorse
Whitehorse (トリップアドバイザー提供)

\カナダ/がお得!体験談が豊富な現地ツアーサイト VELTRA / Alan1.net


Cardero's Restaurant and Live Bait Marine Pub
Cardero’s Restaurant and Live Bait Marine Pub (トリップアドバイザー提供)

セレブも多く、山海の幸に恵まれたバンク-バーは北米有数の美食都市。
多様な移民の食文化が融合し、豊かな地元の食材をふんだんに用いたテイストはウエストコースト料理、ウェストコースト・フュージョンと呼ばれ、世界的な評判を獲得しているレストランも多い。
人気店は近海産の新鮮なシーフードや地元の有機野菜、広大な平原で育った牛や鳥、野生動物、オーガニックワインなど様々な特徴をアピールしている。
特にガスタウンやキツラノのあたりにはモダンなレストランが多い。

ホテルや高級レストランばかりではなく、移民による伝統料理もレベルが高い。
中国系移民が多いこともあり、特に中華のレベルは高い。また、タイ、インド、中東などのレストランも質が高い。和食もスシからラーメンまで選択肢は多い。
欧州系移民の伝統料理が並ぶ店も多く、イタリア、フランス、ベルギー、ギリシャなどの名店がそろう。
また、ストリートフードもおいしいと評判。
ホットドックやケバブ、ハンバーガーなどはリーズナブルでボリュームもたっぷり。

Salam Bombay
Salam Bombay (トリップアドバイザー提供)

さらにジャンクフード好きの人は地元民の大好きな「POUTINE」も試してみよう。ポテトフライにチーズとグレービーソースをたっぷりかけたこの逸品。カロリー計算などといった野暮なことは言わずビールといっしょに流し込もう。
2013-08-19 16.01.22
(tabinote提供)


日本からの行き方

(空路)
成田および羽田から毎日直行便が運行している。
エアカナダは成田を17時発、所要9時間で日付変更線をまたぎ、同日10時に到着する。
JALは成田を18時発、同日11時半着する。
羽田の場合はANAが22時発、同日15時着。
安い時期なら往復10万円を切る。

関空の直行便は無い。羽田/成田まで移動するか、経由便を使うことになる。
経由便の場合、デルタやシンガポール航空などいくつかの選択肢があるが、直行便が十分安いためにあまりメリットはない。

(パッケージツアー)
時期によっては最安で10万を切るツアーもある。直行便利用の場合は最安で13万円程度。
ホテル代が高めなため、パックツアー検討の余地は大きい。

(空港)
バンクーバー国際空港は市街ダウンタウンの南西15km、フレイザー川がジョージア海峡に注ぎ込む巨大な中州に位置している。
ガラス張りの吹き抜けが美しい空港は機能的で、スカイトラックスのワールド・エアポート・アワードでも上位の常連。

空港からはスカイトレインがダウンタウンまで所要25分。運賃は平日18:30まではゾーン2の料金(後述)4カナダドルプラス空港割り増し料金5カナダドルで合計9カナダドル。平日18:30以降および土日宿は均一料金2.75カナダドルプラス5カナダドルで7.75カナダドル。ダウンタウンから移動の予定があれば、空港内のセブンイレブンで一日乗車券か10枚綴り回数券を買うとよい。一日乗車券は9.75カナダドル。
始発は午前5時、終電は1時前。

夜行バスN10は午後10時から午前4時半頃まで運行。スカイトレインの終電以降はこちらを利用する。ダウンタウンまで約30分。料金は4カナダドル。

もちろんタクシーを使ってもよい。メーター制で安心して利用可能。ダウンタウンまで34~36カナダドル程度。固定料金のリムジンもあり、セダンならダウンタウンまで45カナダドル、6人乗りで53カナダドル。
また、宿に駐車場があれば空港からレンタカーを借りていくという手もある。


地理と気候

カナダでもほぼ最南端に位置し、温暖で過ごしやすい。雨が少なく晴天の多い6~9月がベストシーズンとなる。夏でも湿度が低く快適。高緯度のため夜9時頃まで明るく、昼が長い。
一転して11月から3月までは降水量が多くなり、特に11月~1月は曇りか雨の日が多い。ウィンタースポーツやオーロラ観光でにぎわうシーズンでもある。

カナダは広大な国土を反映して6つの時間帯に分かれる。バンクーバーと日本の時差はマイナス17時間。日本の正午が前日の午後7時。3月の第2日曜から11月の第1日曜まではサマータイムで、時差はマイナス16時間となる。日本の正午が前日の午後8時。


(画像:Google提供)


言語と通貨

英語が基本。
バンクーバーはアジア系住民の割合が高く、白人が57%に対してアジア系は35%程度を占める。うち中国系が18%)。したがって中国語やカタコトの移民も多い。英語が不得意でも臆せず行動したい。

通貨はカナダドル(CAD)。1カナダドル=94.3円(14年8月時点)。
概ね1カナダドル=100円と覚えておけばよい。

物価は日本並みと考えていればよい。中級ホテルでも1万円、外食はランチ千円、夕食2千円程度。カフェが500円。タクシー初乗り300円強。ミネラルウォーター140円程度。食料品はやや安め。
商品価格には、ブリティッシュコロンビアの場合12%の州税(HST:ハーモナイズドセールスタックス)が付加される。

両替は万国共通で、ATMの国際キャッシングが便利。
現金の場合は日本円を現地の市中で替えるのが鉄則。
クレジットカードは必須。ホテルやレンタカーのデポジット(預かり金≒身分証明)としてカードを求められることも多い。カードの通用度は非常に高く、店舗やレストランはもちろんミュージアムの入場料やタクシーでも使える。

アメリカ同様チップの習慣があり、レストランやタクシーでは会計の10~15%程度。ルームメイクに1カナダドル程度。ガイドにも数カナダドル程度。
レストランの会計にサービス料が含まれていれば払う必要は無い。


治安とビザ

治安は一般に良好とされているが、風光明媚なイメージに気を緩めてはいけない。
犯罪の温床となるという理由で市内に公衆トイレがないという事実からも、安全とはいえないことがわかる。旅行者を狙ったスリや置き引きは頻発している。

バンクーバーで最も注意すべきは麻薬。北米の麻薬天国とも呼ばれ、マリファナは半公認状態ともいわれる。もちろん大麻もエクスタシーも覚醒剤もすべて違法であり、麻薬を使うことはもちろん中毒患者がひきおこすトラブルにも注意。
ガスタウン~チャイナタウンを結ぶヘイスティングス通りやコロンビア通り一帯は「先進国最大のスラム街」(by国連)と称されており、昼間からホームレスや薬物中毒者、アルコール中毒者、娼婦が徘徊するエリアで、HIVポジティブの割合も高いという。繁華街に近いが、昼間でも近寄らない方が無難。
そもそもバンクーバーはヒッピーカルチャーの伝統があり、カナダで最も暖かく土地なためにホームレスが集まりやすい。このような背景からホームレスと麻薬が循環する構造を生んでいる。
バンクーバー治安
(出典:Google;A-ギャスタウン、B-インサイト、C-チャイナタウン)

(参考動画)
Vancouver Downtown East Hastings

エリアの中心にあるのが北米初の公共薬物自己注射施設「Insight」。医療関係者が待機しており、麻薬中毒患者に適切なサイクルでの使用や新しい注射針の使用を促すなど、日本では考えられない手法をとる更生施設。前述通り薬物使用は違法だが、ここでは特区として許可されている。
バンクーバー治安_Insight
(出典:Google)

こうした現実が犯罪率の高さにもつながっている。バンクーバーの強盗発生率は日本の約58倍、性犯罪は約10倍、暴行・傷害は約18倍におよぶ(13年1月~11月)。くれぐれも気を引き締めて行動することが重要。

また、意外に注意が必要なのはタバコ。
ブリティッシュコロンビア州では禁煙法により公共の場やレストランでの喫煙が全面的に禁止されている。それどころか建物の出入り口、開放中の窓及び空気口から6メートル以内が禁煙となっており、ほとんど自宅や大自然の中でしか吸えない状態。タバコの価格も高く、1箱10カナダドル程度。違反した場合の罰金は最大2,000カナダドルとなっている。愛煙家の方はご注意を。


6ヶ月以内の観光滞在であればビザは不要。
長期滞在の場合は、以下の在フィリピンカナダ大使館まで申請を。在日カナダ大使館は東京・赤坂にあるが、査証部は閉鎖されフィリピンに移管された。


市内交通

(タクシー)
メーター制で、日本で乗るのと同様に安心して利用できる。
初乗り3.35カナダドル、1kmごとに1.92カナダドル。降車時に10%~15%のチップを渡す。

(スカイトレイン・シーバス・市バス)
Translink社が市内軽鉄道のスカイトレイン、400人乗りのフェリー・シーバス、市内バスの3つの交通機関を運営しており、料金体系やチケットも共通。乗車時のチケットは他の交通機関への乗り換え時にも使うので無くさないこと。
SkyTrain
SkyTrain (トリップアドバイザー提供)

料金はゾーン制で、通過エリアによって料金が変わる。ゾーンは3つで、市街地はほとんどゾーン1に収まる。
(ゾーンマップ)

(出典:Translink)

料金はシングルチケットが平日始発から18:30までゾーン1が2.75カナダドル、ゾーン2が4カナダドル、ゾーン3が5.5カナダドル。
平日18:30以降と土日祝はどこまで行ってもゾーン1と同じ、2.75カナダドルの均一料金。

他に、一日乗車券、月間パス。10枚綴りの回数券がある。
一日乗車券はゾーン乗り放題で9.75カナダドル、月間パスはゾーン1で91カナダドル、ゾーン2で124カナダドル、ゾーン3で170カナダドル。10枚綴り回数券はゾーン1で21カナダドル、ゾーン2で31.5カナダドル、ゾーン3で42カナダドル。

一日乗車券や回数券は、乗車前にTicket Validatorと呼ばれる機械で利用時間を打刻しないと不正乗車と見なされる。抜き打ちの検札があり、無賃乗車と見なされた場合や紛失の場合、理由のいかんにかかわらず173カナダドルの罰金。

(鉄道)
郊外や東海岸、ロッキー山脈など長距離移動には鉄道を利用する。
鉄道駅はチャイナタウンの南側およそ1kmにあるパシフィック・セントラル駅。スカイトレインのメイン駅すぐそば。カナダ横断鉄道VIAやシアトルからのアムトラックが発着する。
観光列車のロッキーマウンテニア鉄道はパシフィック・セントラル駅近くの専用駅から発車する。
ウィスラー行きのBC鉄道はノース・バンクーバー駅から出発。ウォーターフロントからシーバスで北に移動する。

(レンタカー・レンタサイクル)
カナダは広く、郊外観光ならレンタカーがあると便利。
市中や空港にはHertz、AVIS、Budgetといった大手業者のカウンターがある。
年齢は25歳以上、クレジットカードと国際免許証が必要。
料金システムは24時間単位で日本と殆ど同じだが、走行距離に応じたマイレージ料金を併用している場合もある。
ちなみに相場は、AVISでセダンを1日借りて70カナダドル、ジープ・チェロキーで100カナダドル、8人乗りのシボレー・サバーバンで230カナダドルといったところ。

バンクーバーは自転車に優しい街で、ダウンタウンの中心部にも自転車専用道が通っている。クロスバイクを8時間借りた場合24カナダドル程度、3日なら63カナダドル程度。


ホテル

近年はホテルの建設ラッシュで、高級ホテルから日本人オーナーのゲストハウスまでそろっている。
カナダ西海岸は年間通してイベントが多く、春はガーデンツアーやハイキング、夏はフィッシングやホエールウォッチング、秋から冬はウィンタースポーツやオーロラ鑑賞の中継地としてにぎわうため、ディスカウント・シーズンは明確でない模様。
ただしやはり夏の方が人手は多く、6月~9月頃がハイシーズン。

ホテル代は高めで、高級ホテルなら一泊2万円以上、中級ホテルでも1万円以上が目安。ゲストハウスが3千円~といったところ。治安面での心配はあるがダウンタウン東側にも安宿が点在している。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
カナダの通信事業者はRogers、Bell、TELUS、Windなど。
米国同様、プリペイドSIMの購入が難しい国の1つ。プランも主に通話やメッセージに特化しておりネットは高め。
短期間であれば無線ルーターを日本からレンタルして行くか、海外パケット定額を利用した方が良いかもしれない。

RogersでプリペイドSIMを購入する場合、まともにインターネットを利用したければ高くつく。「Talk, Text and Internet 65」プランがが1ギガ/月で65.75カナダドル。
もしくは、既存のプランにインターネット接続を追加するということもできる。1ギガぽっちにそんなに払えないという場合はこちらで。ただし、1ギガ/月で30カナダドル、2ギガ/月で50カナダドルなど、いずれにせよあまり安くない。いわゆるUSBスティックやルーターを用いたサービスを提供してる。

Bellの場合、インターネット接続が含まれたプリペイドプランがサイトに見当たらない。いわゆるUSBスティックやルーターを用いたサービスを提供しているようだが、月額契約ベースの模様。この場合も2ギガ/月で45カナダドル程度と安くない。

Telusの場合、月間以外にも一週間、2週間といった短期間有効なプリペイドプランがある。
良心的、と思いきや7日間有効100メガ通話無制限のプランが25カナダドル。14日間250メガ通話無制限で50カナダドル、1ヶ月300メガ通話夜間のみが40カナダドルなど、やはりどれも割高。

Windの場合、月額35カナダドルでデータ無制限のプランがある。
というわけで、旅行者にとってはWind一択。

(WiFi)
レストラン、カフェ、交通機関、公共施設など様々な場所で無料のWiFiが提供されている。パスワードの無いフリーWiFiも多い。

4. 世界あの街この街: ウブド


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第27回 バリ・ウブド

Balifriend Tour
Balifriend Tour (トリップアドバイザー提供)

インドネシア共和国国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

美しいビーチとエキゾチックな文化風土で有名な世界的観光地バリ。
バリ島は南部がビーチリゾート、北部が高原・山岳地帯となっている。
西部はジャワ島に隣接し、ビーチからトレッキングまで幅広く大自然を堪能できるエリア。
東部は聖地アグン山をはじめとする史跡やビーチの他、離島ツアーの拠点としても人気。
ウブドは広大な島の中心部にあり、バリの伝統芸能と芸術の中心地。
豊かな自然体験や高級リゾート、物価の安さを活かした長期滞在まで楽しみ方は幅広い。
インドネシア バリ島 ギャニャール Ubud  ウブド   Google マップ
(地図-Googleマップ)

ウブドの街歩きは王宮前から。中心部に王宮や史跡、ミュージアムが点在し、郊外には豊かな自然が拡がっている。
Ubud Palace から Petanu River Villa   Google マップ
(地図-Googleマップ;A:Ubud王宮/ウブド市場/Saraswati Temple、B:プリ・ルキサン美術館、C:ブランコ美術館、D:プラダラムブントゥユン寺院、E:モンキーフォレスト、F:テガララン ライステラス、G:Elephant Cave、H:Tegenungan Waterfall)

王宮の前、Jl.Raya Ubud通りを越えるとそこは市場になっている。生鮮からお土産までそろうエネルギッシュなマーケットで、アジアの熱気を実感する。
Pasar Ubud
Pasar Ubud (トリップアドバイザー提供)

王宮の西側にはサラスワティ寺院(ウォーターパレス)。湖面に蓮の葉が浮かび、その向こうには静かに寺院がたたずんでいる。カフェでまったりするのも良い。
Saraswati Temple
Saraswati Temple (トリップアドバイザー提供)

さて、せっかくウブドに来たならバリ美術を巡ってみたい。中心部からほど近くにあるプリ・ルキサン美術館はバリ絵画の名作を集めている。
Museum Puri Lukisan
Museum Puri Lukisan (トリップアドバイザー提供)

画家、アントニオ・ブランコの住居跡に建てられたブランコ美術館も人気のスポット。アトリエの跡がそのまま保存されている。
Don Antonio Blanco Museum
Don Antonio Blanco Museum (トリップアドバイザー提供)

この他にもバリ絵画のコレクター、ステジャ・ネカ氏のコレクションを展示したネカ美術館や、南部にある総合芸術コンプレックスのARMAなど興味深い施設がそろっている。
街中至る所にギャラリーもあり、気に入った絵画があれば買うこともできる(値段交渉は根気が必要…)。


王宮から南に延びるJl. Monkey Forest通りはホテルやショップ、レストランがところ狭しと軒を連ねるウブドでも最も賑やかなエリア。
通りを北に向かうと、プラダラムブントゥユン寺院。この寺院では巨大な竹筒によるガムラン(ジェゴグ)が有名で、腹の底が震えるような重低音のガムランと舞踊を体験できる。
Pura Dalem Bentuyung Temple
Pura Dalem Bentuyung Temple (トリップアドバイザー提供)

Jl. Monkey Forest通りの南端がモンキー・フォレスト。多くの猿が棲息する自然保護区になっており、エサやりも体験できる。それどころかエサを奪い取ってくる勢いの猿も多いので要注意。
Monkey Forest
Monkey Forest (トリップアドバイザー提供)

そして、その近くにあるのがテガララン・ライステラス。
アジアの原風景のような美しい棚田は癒しムード満点。
Tegalalang Rice Terrace
Tegalalang Rice Terrace (トリップアドバイザー提供)

さらに東部、郊外に向かうと通称「像の洞窟」こと「ゴア・ガジャ」。
ヒンドゥー寺院であること以外、いつ何のために建造されたかということまでよくわかっていないというミステリアスな史跡ながら、洞窟入り口の「魔女ランダ」像のインパクトがすばらしく、バリ島のランドマークとなっている。
商売の神、ガネーシャ像もあるので気になる方は是非。
Elephant Cave
Elephant Cave (トリップアドバイザー提供)

「ゴア・ガジャ」を見物したら滝に涼みに行くこともできる。
トゥグヌンガン滝は高さ25m、鬱蒼とした熱帯林の中で水煙が立ち上る様は涼をよぶ。
Tegenungan Waterfall
Tegenungan Waterfall (トリップアドバイザー提供)

観光地を駆け足で紹介したが、ウブドの魅力は観光地の活気や便利さと、アジアのゆるさが絶妙に混じり合っているところ。特に目的地を決めず、市場を歩いたり、田園でなごんだり、カフェで涼んだり、そんな休日をのんびり過ごしてみたい。
Cafe Wayan & Bakery
Cafe Wayan & Bakery (トリップアドバイザー提供)


郊外観光では、王のお墓が祀られているという渓谷の寺院、グヌン・カウィ石窟が外せない。
11世紀に遡るという遺跡は圧倒的なスケールで、数百段の階段を降りていくと岩山が掘り抜かれた巨大な石窟寺院にたどりつく。インドのエローラ石窟の影響をうけたとも言われており、バリの歴史が濃密に詰まっている。
Gunung Sari Dance
Gunung Sari Dance (トリップアドバイザー提供)

ウブドからわずか1時間、デンパサールはバリの州都。
バザールの賑わいやヒンドゥー寺院などの見どころも多い。お土産を買うならウブドよりも選択肢が多いかも。
Denpasar Bird Market
Denpasar Bird Market (トリップアドバイザー提供)

続いて、ウブドから離れてバリの代表的な観光スポットをいくつか。

ウブドとデンパサールの中間あたり、タナロット寺院は海に浮かぶ寺院。満潮時には島となり、干潮時には歩いて渡ることができるという、フランスのモン・サン・ミシェルに匹敵するような寺院。夕暮れに浮かぶ寺院のシルエットはバリのポストカードで絶好のモチーフとなっている。
タナロット寺院
タナロット寺院 (トリップアドバイザー提供)

南部のバドゥン半島、南西端の崖にそびえ建つウルワトゥ寺院も名刹として名高い。
10世紀に遡るバリ島最古の寺院ながら、大自然の雄大さをそのまま祀ったようなワイルドさが魅力。夕陽やケチャ鑑賞のスポットとしてもお馴染み。一帯は世界的なサーフスポットでもある。
ウルワトゥ寺院
ウルワトゥ寺院 (トリップアドバイザー提供)

珍スポットに食指が動く諸兄にはGWKカルチュラルパークがおすすめ。240ヘクタール(東京ドーム50個分以上)というとてつもなく広い敷地に巨大な像やシアターが点在し、フードコートや絶景ポイントもあって一日過ごせる。ともすればがっかりスポットになりがちなコンセプトでも、スケールが大きければ立派な名所となるというお手本。
Garuda Wisnu Kencana Cultural Park
Garuda Wisnu Kencana Cultural Park (トリップアドバイザー提供)

もし山に興味があるならばトレッキングの機会も豊富。
西部国立公園は豊富な野生動物と熱帯の鳥を眺めるバードウォッチングが人気で、1,500m級の高地は意外に過ごしやすい。
北部の景勝地キンタマーニは、雄大な裾野を広げるバトゥール山とカルデラ湖の大パノラマが楽しめる。

そして、体力に自信があればバリ島最高峰のアグン山へ。3,031mの高峰ながら日帰り登頂も可能。雲海が拡がる絶景は感動の一言。

アグン山
アグン山
(トリップアドバイザー提供)

VELTRA


d'Alas warung
d’Alas warung (トリップアドバイザー提供)

バリは世界的な観光地であり、インドネシア料理、バリ料理はもちろん世界中の料理が楽しめる。
インドネシア風チャーハンの「ナシ・ゴレン」、様々なおかずのぶっかけ飯「ナシ・チャンプル」、焼きそばの「ミー・ゴレン」、鶏のスープ「ソト・アヤム」などが有名。
西スマトラのパダン料理はローカルでも人気の料理。CNNが「世界一美味しい料理」と認定して話題となったレンダンはその代表格。牛肉をココナツミルクとタマネギで煮込んだコク深い煮込み料理。他にも、豪快に鶏を揚げた「アヤム・ゴレン」や串焼きのサテなどが名物。

バリのローカルテイストが味わいたければ地元の人が利用する屋台や食堂へ。イスラムの戒律を踏襲し牛肉・鶏肉中心のインドネシア料理に対し、ヒンドゥーの多いバリ島では豚肉も常食する。ココナツミルクは控えめでスパイスの効いた強めの味付けが特徴。代表的な料理は、ダイナミックな豚の丸焼き(「バビ・グリン」)、魚介のサテ、バナナの葉で魚介や鶏肉を蒸し焼きにした料理など。


日本からの行き方

(空路)
直行便の場合、フラッグキャリアのガルーダ・インドネシア航空が成田、羽田、関空からデンパサール国際空港までそれぞれ毎日1便運航している。ANAとのコードシェアとなっている。
ガルーダ・インドネシア航空の場合、機内でビザ発給・入国審査が可能なため非常に便利。
直行便なら往路・復路が7時間程度。エアバスA330-300で快適。
オフシーズンで7~8万円台。

経由便の場合、エアアジア、マレーシア航空、キャセイパシフィックなど。最安値で5~6万円程度。
エアアジアはキャンペーンをうまく利用できれば安い。バリ往復4万円から。

(海路)
ジャワのクタパンからバリ島までフェリーで30分程度。

(パッケージツアー)
バリの場合、個人手配よりもパッケージツアーのお得度が高い。
パッケージツアーの場合は3泊4日、ガルーダ・インドネシア航空直行便を使ったツアーが5万円台。
高級リゾートホテルに滞在するプランでも割安で、ホテル代はもちろん航空券代を下回ることもある。

(空港)
バリ島の空港はデンパサール国際空港(ングラ・ライ国際空港)。
2013年9月に近代的な新国際線ターミナルがオープンした。ガルーダ・インドネシア航空の他シンガポール航空、タイ国際航空など多くの国際線が乗り入れている。
ウブドまではおよそ40km、タクシーで1時間程度。定額制のエアポート・タクシーが20万ルピア程度。
空港着が深夜・早朝の場合、朝の9時頃までタクシーカウンターが開かないため交渉制となる(定額の1.5倍程度となる)。

割安な移動手段としては、デンパサールの南に位置するバリ最大の繁華街、クタとウブドを往復するシャトルバス(プラマバス)がある。片道5万ルピア。空港へは乗り入れていないので、クタのジャラン・レギャン通りのプラマ社に向かい(5万ルピア程度)、そこからウブドを目指すことになる。1日2便で効率は悪いが、クタに寄る都合があれば便利。


地理と気候

バリ島は東京都の2.5倍ほどの広さにビーチ、渓谷、標高3,000mのアグン山までダイナミックな自然が存在している。
赤道直下の熱帯性気候。東南アジアでは冬がベストシーズンとなることが多いが、バリの場合11月~3月が雨季。
ベストシーズンは4月~10月の乾季で、天候が安定し過ごしやすい。
ただし、雨期もみずみずしい稲穂の風景や露天に山盛りとなるフルーツなど、魅力的な季節。
バリの新年、ニュピの日は観光客も外出できなくなる。2015年は3月21日、2016年は3月9日がニュピにあたる。

年間通して温暖で、街中にも安宿にもランドリーサービスがあるため軽装でOK。日差しが強いので日焼け止めや帽子、サングラスは必須。

日本との時差はマイナス1時間。日本の正午が午前11時。サマータイムはない。
インドネシア自体には西部、中央部(バリ島含む)、東部と3つの時間帯がある。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はインドネシア語。現地の人が日常的に使っているのはバリ語。
観光客は英語で問題無い。
バリ語はヒンズーのカースト制を反映した敬語表現が特徴で、身分ごとに単語が異なるなど難易度が高い(間違えると非礼にあたる)。インドネシア語で簡単なコミュニケーションがとれれば行動の幅も広がる。

通貨はインドネシアルピア。1インドネシアルピア=0.0087円(14年8月時点)。
概ね100ルピア=1円と覚えておけばよい。

スーパーマーケットや外国人向けのお土産屋は定価制だが、ほとんどは交渉制。
ミネラル・ウォーターが3000ルピア、食堂で一食5万~10万ルピア程度、レストランの夕食が15万ルピア、ビールが4万ルピア程度。市中スパのボディ・マッサージ1時間が30万ルピア、ホテル・スパなら50万ルピア程度。

両替は万国共通で、ATMの国際キャッシングが便利。
現金の場合は日本円を現地の市中で替えるのが鉄則。
ビザ代(後述)のUSドルがあると便利。ホテルなどはドル建ての場合もあるが、そのようなホテル・店はクレジットカードが通用することが多いので、わざわざバリ島で使うために多額の米ドルを持って行く必要は無い。

チップの習慣はないが、ポーターやホテルのハウスキーパーに2万ルピア程度。ガイドやドライバーに2万~5万程度。
レストランはサービス料が載っているので払う必要は無い。


治安とビザ

観光地特有のスリ、ひったくり、スキミング、ぼったくり物売りの他、いかさま賭博や麻薬といったリゾートにありがちな犯罪も報告されている。また、ルピアは桁が多いので、両替時のピンハネは日常茶飯事。
日本語で親しげに話しかけてきた相手とトランプする羽目になった場合は100%詐欺。早くその場を離れたい。
男性は美人局、女性は痴漢やジゴロに注意。
インドネシアでは麻薬は厳罰であり、個人使用・旅行者であっても実刑をくらう。

よく報告されている症状は下痢と日射病。デング熱に罹ると旅行が台無しになる。


インドネシア入国にはビザが必要。
バリ島の場合、30日までの観光ビザ(アライバルビザ)を空港到着時に取得できる。費用はこれまで25US$だったが、7月にUS$35へ値上がりしたばかり。
パスポートの残存期間要6ヶ月以上、査証欄に見開き2ページ以上の空白ページがあること、千US$相当の現金または有効なクレジットカードを所持していることが条件。


市内交通

(タクシー・ベモ)
多くの街で旅行者の最も身近な足はタクシーだが、ウブドの場合メータータクシーは走っておらず、個人営業のタクシー(一応ウブド村公認)や送迎車、ホテル専属のタクシーが存在する。
個人営業のタクシーは交渉制、たいていふっかけてくるが、ふっかけられても安いのでついつい言い値に応じてしまうという日本人観光客も多い。しかし、その行動は彼らを増長させていき、後にバリを訪れる旅行者に不利益を与えることとなる。ここは相場を把握した上で利用したい。

乗り合いの小型ワンボックスがベモ。路線やスケジュールは決まっていない。
市内の近距離ならばせいぜい1,000ルピアだが、外国人はふっかけられることが多い。とりあえず1,000ルピア程度払ってあとはシカトという手も…。ベモの車内ではスリが報告されており、身辺に気を配っておくこと。

(クルマのチャーター・レンタサイクル・バイク)
最もおすすめなのはレンタルバイク。レンタサイクルも安い。Jl. Monkey Forest通りにはレンタバイク業者が軒を連ねている。
自転車の場合1日20,000ルピア程度、バイクが50,000ルピア程度とほぼ数百円で借りることができる。長期割引があることも多い。郊外の農道をバイクで走るのは楽しい。

運転手・エアコン付のクルマを1日8時間程度チャーターした場合、車種や立ち寄り地にも寄るが5千円程度から。日本語ガイドを付けても追加2千円程度。ストレスなく移動でき、郊外の観光地を効率的に移動するなら便利。

なお、レンタカーはインドネシアの免許が必要となり、本来国際免許証で運転することはできない。
しかし借りることはできる模様…。
実際にはレンタルの証明書があれば咎められないという話や、取り締まりがあってもかなりザルという噂もあり、借りる際に業者のお兄さんによく確認しておきたい。公的には無免許運転ということになるので、事故の時は面倒なことになる。
交通マナーは東南アジア特有の悪さで、急発進や逆走、派手な追い越しなどが目白押し。さらに道路事情が悪いため、慢性的に渋滞している。運転には十分注意すること。


ホテル

ONEWORLD retreats Kumara
ONEWORLD retreats Kumara (トリップアドバイザー提供)

高級リゾートホテルからゲストハウスまで、宿は充実している。
年末年始の他、ラマダン明けもインドネシア人で混み合う。
東南アジアでは6~7月に学校が休みになる場合が多く、この時期もハイシーズンとなる。

高級リゾートホテルは一泊2万円以上だが、設備は豪華。中級ホテルやバンガローは3千円程度から。格安パックツアーにもよく使われる。ゲストハウスは千円未満のところもある。
リゾートホテルはサヤンやクデワタンなどの郊外に、ゲストハウスや中級ホテルはJl. Monkey Forest通りやジャラン・ビスマ通りなど中心部にも多い。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
インドネシアの携帯業者はテレコムセル(Telkomsel)、Axis、Indosat、XLなど。
バリ島でカバーエリアが広いと評判なのはTelkomselとXL。

TelkomselのプリペイドSIMカードはsimPATIというブランド名で提供されており、1週間~30日で数ギガ程度の様々なプランがある。XLの場合、スマートフォン向けの「XmartPlan Android」が使いやすい。
いずれも、料金は利用時間などの前提条件が複雑なため、カウンターで滞在日数と「Unlimited Internet」というように告げて確認すること。使い放題1ヶ月程度でもたいしてかからない。

(WiFi)
旅行者が行く様なレストラン、カフェはもちろん、スパやローカル食堂など様々な場所で無料のWiFiが提供されている。店員に言ってパスワードをもらおう。

4. 世界あの街この街: クアラルンプール


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第25回 クアラルンプール


クアラルンプール (トリップアドバイザー提供)

マレーシア・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

エアアジアの就航でマレーシアへの日本人渡航者は2012年に前年比21.5%増を記録。
東南アジア有数の国際都市で、高層ビルや近代的な建物、ショッピングセンターとモスクや露店が共存する街並みはエネルギーにあふれている。史跡やアウトドア、トレッキングなど熱帯の大自然も手軽に体験できる。中華とアジアが絶妙に融合したマレーシア料理も評価が高い

クアラルンプールの街歩きで起点となるのはKLセントラル駅。駅を中心として、すぐ北にクアラルンプール鉄道駅とチャイナタウン、レイクガーデンといった歴史あるエリア。
KLセントラルの東が一番の繁華街ブキッ・ビンタン、北東がペトロナスツインタワーのKLCC地域で、ショッピングセンターやオフィスのある近代的なエリア。
あとは北のチョウキット地区、南のミッドバレーを覚えておけば迷うことは無い。
クアラルンプール地図
(地図:A-KLセントラル駅、B-チャイナタウン、C:ブキッ・ビンタン、D-ペトロナスツインタワー、E:チョウキット、F:ミッドバレー)

まずはKLセントラルから時計回りに市内の名所を一周したい。
KLセントラルから北東に向かい、白亜の駅舎が美しいマレーシア鉄道駅を経てチャイナタウンへ。
南北に伸びるプタリン通り(Petaling)がメインストリート。夕方からはナイトマーケットがはじまり、屋台が通りを埋め尽くす(ただし店じまいは早め)。
プタリン通りに並行するスルタン通り(Sultan)沿いはいわゆるパッカー街になっており、安宿やレストラン、両替、旅行代理店、カフェといった旅行者に嬉しいスポットももれなく揃っており、利用価値の高いエリア。

チャイナタウン – クアラ ルンプール (トリップアドバイザー提供)

チャイナタウンの一角にはマレーシア最大のヒンドゥー寺院、スリ・マハマリアマン(Sri Mahamariamman)がある。ヒンドゥー寺と関帝廟すぐ近く向かい合うのは他民族国家のマレーシアならでは。
(さらに北に向かうと巨大モスクのマスジッド・ジャメ(Masjid Jamek)、インド人街、更に白亜のキリスト教会が点在する)

Sri Mahamariamman (トリップアドバイザー提供)

チャイナタウンの北側、LRT線路沿いにあるのは有名な土産処のセントラル・マーケット。様々なショップやフードコートがぎっしり詰まっている。

セントラル マーケット (トリップアドバイザー提供)

さらに北に向かうと川の向こうにマスジッド・ジャメが望める。

Masjid Jamek (トリップアドバイザー提供)

マスジッド・ジャメ駅の北は商店街や映画館、そごうなどがならぶ繁華街となっており、インド人街、マレー人街を抜けて活気ある商店街、チョウキット(Chow Kit)にたどり着く。
どこかよそ行き・観光客向けの印象があるチャイナタウンに比べるとぐっとローカルな生鮮中心の市場で、アジアのリアルな雰囲気を感じることができる。夕方はナイトマーケットが始まる。雑多な雰囲気でスリに注意。

チョーキット市場 (トリップアドバイザー提供)

Kin Kin Restaurant (トリップアドバイザー提供)

東側に足を伸ばすとクアラルンプールのビジネス街、KLCC一帯。
ペトロナスツインタワーのお膝元でもある。タワーの中にはショッピングピングセンターのスリアKLCCがあり、伊勢丹や紀伊國屋目当ての在留邦人も見かける。
センター内のペトロサインス(Petrosains)はタワーの保有者、ペトロナス(マレーシア国営石油)にちなんだユニークな石油の科学館。
この一帯はオフィス街であるが高級ホテルも集中しており、国立美術館や水族館、広大なKLCC公園、さらにはツーリズムセンターもある。観光客の利用価値が高いエリア。

クアラ・ルンプール・シティ・ センター (KLCC) (トリップアドバイザー提供)

KLCCの南はクアラルンプール一の繁華街、ブキッ・ビンタン(Bukit Bintang)。
タワーから空中歩道でダイレクトに来ることが出来る。
高級ブランドショップやレストランから地元向けの屋台、パッカー宿までが集まるエネルギッシュなエリア。朝市の屋台を巡ってもいいし、緑のロット10やベルジャヤ・タイムズスクエアなどの巨大ショッピングセンターでフードコートを散策するのもいい。

KLCC – Bukit Bintang Walkway (トリップアドバイザー提供)

ベルジャヤ・タイムズ・スクウェア (トリップアドバイザー提供)

最後に再びクアラルンプール鉄道駅に戻り、今度は西側へ。
周辺は歴史的な建物が残るエリアで、クラシックな様式の建物やモスクが点在する。
レイクガーデンでは
あたりは国立博物館、オーキッド・ガーデンなど見どころが多いが、レイクガーデンの敷地内にある国立モスクとマレーシア・イスラム美術館は見逃せない。イスラム美術のすばらしさに圧倒させられる。

イスラム美術館 (トリップアドバイザー提供)

ショッピングセンターに興味があれば、ブキッ・ビンタンのモール群だけではなく、チョウキット方面PWTCにあるサンウェイ・プトラホール、そしてミッドバレーのミッドバレー・メガモールも体験しておきたい。どのモールもアジアの消費パワーを感じずにはいられない規模で、1つのモールだけでも終日楽しめる。


郊外観光では、ヒンドゥー教の聖地バトゥ洞窟(Batu)が有名。
毎年1月の大祭タイプーサム(Thaipusam)は教徒達が信心を証明するために針を身体に刺しまくるといったハードな苦行を行う。その手のイベントが好物な方なら日程を確認しておきたい。

バツー洞窟 (トリップアドバイザー提供)

もうすこしほっこり系では、スズ製品のロイヤル・セランゴール工場(Royal Selangor)や、シャー・アラム(Shah Alam)のブルーモスクが人気。

ロイヤル スランゴール ショールーム (トリップアドバイザー提供)

スルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・シャー・モスク (トリップアドバイザー提供)

もちろん大自然も堪能できる。
クアラ・セランゴール(Kuala Selangor)は現地ツアーでも行きやすい。
マングローブの保護林を散策し、昼間はバードウォッチング、夕方はマラッカ海峡に沈む夕陽を眺め、夜は無数のホタルに癒やされよう。

クアラセランゴール自然公園 (トリップアドバイザー提供)

VELTRA



新峰肉骨茶 (トリップアドバイザー提供)


Kin Kin Restaurant (トリップアドバイザー提供)

イスラム教を国教としており、お酒はおおっぴらには飲めない雰囲気がある。お酒のない飲食店も多い。
しかし、外国人には規制は無く、中華料理店にいけばまず間違いなくアルコールにありつくことができる。
コンビニやスーパーでは冷えたビールも売っており、国産のウイスキーすらある。値段は高めで、タイガーや輸入のギネス、ハイネケンが350ml缶で8~10リンギット(240~300円程度)と日本よりも高い。

豚肉もイスラム的にはタブーであるが、中華系移民が創造した肉骨茶(バクテー)はマレーシアを対外的に代表するメニューとなっている。

中華料理と東南アジアのスパイスが組み合わさったニョニャ料理(Nyonya、娘惹 – 海峡中国人)またはプラナカン料理(Peranakan – 中国系の混血、マレー人起源)、印度系移民の本格的なロティやカレーなども楽しめる。
マレーシア料理の特長として、唐辛子、ココナツミルク、海老の多用がある。主食は麺、米飯が中心で、中華醤油とエビの風味がたまらない福建麺やココナツミルク・カレー風味のラクサ、マレー風チャーハンのナシ・ゴレン、濃い中国醤油で炒めた焼きそばミーゴレン、焼き鳥サティなどは日本でもおなじみ。
甘辛くコクのある風味で、日本人の口にもあう。


日本からの行き方

(空路)
クアラルンプールまでの所要時間は直行便で7~8時間。多くの場合、エアアジアXが最安となる。繁忙期でなければ往復6万円程度、キャンペーンならば3万円を切ることも。往路は機内泊で現地早朝着、復路も現地午後発となっている。東京の場合、羽田発という利便性や、現地滞在時間の長さも魅力で、週末海外にも最適。
関空便もあり、復路が現地朝発となっている。先ごろ就航した名古屋セントレア便は往路夕方発現地深夜着、復路は関空同様現地朝発。
他には成田からマレーシア航空とJAL便がある。
経由便はキャセイパシフィック、ベトナム航空、大韓航空、中国南方航空などがあるが、おおむねエアアジアの方が安い。

(陸路)
マレー半島をバンコクなどから南下するのはバックパッカーに人気のポピュラーなルート。バンコクから国境のハジャイやバターワースを経由してKLセントラルに向かう路線があり、おおむね2泊3日程度。寝台列車の利用となり、費用は寝台のグレードにより異なる。
国際バスもあり、こちらの方が鉄道よりも安く、おおむね3千円程度。直行なので一泊程度で着く。

他に、シンガポールからバスで入るルートやインドネシアからマラッカにフェリーで入るルートもある。

(パッケージツアー)
いわゆる現地フリーのツアーは5泊で6万円程度。直行便であればエアアジアの航空券代を下回る可能性も。マラッカやペナンなどリゾートを組み合わせた企画も多い。

(空港)
クアラルンプールの玄関口はクアラルンプール国際空港(KLIA)。
エアアジアおよび国営マレーシア航空のハブ空港となっている。かつてエアアジアが利用していたLCC専用のターミナル(LCCT)は、新設された第2ターミナルKLIA2に機能を移管した。
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(画像:tabinote)

KLIA2は2014年5月開港。近代的な設備とショッピングセンターやフードコートを備えた巨大な空港ターミナルとなり、KLIAや市街とのアクセスも大幅に改善された。2014年6月現在、出国手続き後の搭乗口施設は一部建設中のところが残っている。
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(KLIA2のフードコート -画像:tabinote)

空港は市街地から南西70kmとやや距離があるが、アクセスは良い。
もっとも便利なのはKLIA、KLIA2とKLセントラル駅を結ぶ鉄道(KLIAエクスプレス、KLIAトランジット)。所要30分で35リンギット。かつては鉄道の乗り入れはKLIAのみだったが、KLIA2開港に合わせKLIA2駅が新設された。
KLセントラル駅は空港コード(IATA:XKL)が割り当てられており、マレーシア航空、キャセイパシフィック航空などは駅でチェックインが可能。出国の際にも駅でチェックインできる。
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(KLIA2駅 -画像:tabinote)

空港バスは所要1時間~1時間半。およそ15分おきに出ており、費用も10RMと安い。赤い車体のSKYBUSがメジャーで、エアアジアのチケット予約時に同時にバスチケットも購入できる。マラッカまでの長距離バスも20リンギット強と驚きの安さ。

荷物が多ければタクシーも便利。プリペイドクーポン制で、目的地の区域ごとに定額料金となっている。赤もしくは赤白のバジェットタクシーと青いプレミアム、さらにラグジュアリーというグレードもあり、バジェットが市内中心まで110RM、プレミアムが120RM、ラグジュアリーが200RM程度。所要1時間程度。
タクシーは後述の「市内交通」を参照のこと。

かつてKLIAとLCCTは離れておりシャトルバスで30分程度かかったが、KLIA2はKLIAからわずか1.5km、シャトルバスで約5分と移動が短縮されている。

この他、LCCのファイヤフライ、マリンドエアなどが拠点とするスバン空港がある。市街から南西へ15kmと近く、タクシーでも移動しやすい。


地理と気候

マレーシアはマレー半島側とボルネオ島側に大きく分かれ、クアラランプールはマレー半島の南に位置する。典型的な熱帯性気候で、年間通して昼は30度以上となる。11月から2月頃までが雨季。3月から10月までが乾季であるが、どの時期でもスコールが起こり蒸し暑い。やはり乾期、特に9月から10月あたりが比較的過ごしやすい。
日本との時差はマイナス1時間。日本の正午が午前11時。サマータイムはない。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はマレーシア語だが、イギリス統治の名残から英語の通用度は非常に高い。また、中国系の人々には中国語(普通語)が通じる。
マレーシアは世界でも有数の多民族国家で、マレー系をマジョリティとし、中国系やインド系、それぞれの混血など多様な人種が行き交う。
イスラム教を国教としているが、イギリス統治時代の名残でキリスト教徒も一定数おり、中国系は仏教、インド系はヒンドゥー教を信仰するなど宗教的にも多様な共存をはたしている。

物価は上がってきているが、まだまだ安い方と言える。
交通機関、ホテル、食事という旅行者の3大支出はおおむね低い。
タクシーは初乗り3~6RM、バスも市内なら1~3RM、マラッカまでの長距離バスも25RM程度と驚くほど安い。ホテルは外資系の5つ星ブランドでも他国に比べると相対的に安く、節約旅行でも帰国日くらい豪華に…といった楽しみも。食事は屋台なら10RM、レストランなら50RM程度とアジアの中ではやや高めか。アルコールは割高。

Tripadvisorの「旅行者物価指数」によると、クアラルンプールの滞在費はバンコクと同程度。

通貨はマレーシア・リンギット(RM)。1マレーシアリンギット=31.6円(14年6月時点)。
おおむね30円と覚えておけばよかったが、円安で上がり気味。
2015年4月から消費税(GST:Goods and Service Tax)導入の予定。税率は6%。

両替は万国共通でATMによる国際キャッシングが手軽。

日本国内でマレーシアリンギットに両替できる場所は成田の両替所などに限られ、レートも悪い。
マレーシア到着後、空港のATMでまとめて降ろすか、市内までの移動費のみ調達し両替商が集まる地区(チャイナタウン、ブキッビンタン)で大目に換金するのがベストだが、市内ならばたいしたレート差はない。時間節約のためにもATMがおすすめ。
再両替のレートが悪いため、あまり一度に多く両替しない方がよい。

クレジットカードが通じる場面は多い。VISAかマスター推奨。

イギリス統治を経ている割にはチップの習慣が薄い。ポーターには2RM程度、ガイドやサービスチャージの乗っていないレストランでは1割程度が期待される。


(画像:Wikipedia)


治安とビザ

東南アジアの中でも治安の良い方だが、当然ながら犯罪発生率自体は日本よりも高く、年々悪化傾向と言われている。
スリ、置き引き、ひったくりなど観光地に特有のトラブルに注意。窃盗、詐欺、いかさま賭博、クレジットカードのスキミングも多く報告されている。カードを利用したら利用履歴にしばらく注意しておきたい。

ほとんどのタクシーはメーターを備えているものの、交渉にもちこまれることが多く、おおむねマナーは良くない。相場の数倍をふっかけてきたり、渋滞で勝手に割増料金を設定するのも日常茶飯事。ブルーのプレミアタクシーなら安心できる。
白タクにはトラブルが付きものと考えて、利用する時は自己責任で。たとえ交渉がスムーズに進んでも無事支払って降りるまで油断しない方が良い。

麻薬への取り締まりは非常に厳しく、最高刑は死刑。


市内交通

(鉄道)
空港からKLセントラル駅を結んでいるのはKLIAエクスプレス、またはKLIAトランジット。
このKLセントラルを中心に、放射状に郊外に路線が延びるのがクアラルンプールの鉄道網。

LRT(Light Rail Transit)は市内の主要スポットを結ぶ高架鉄道。アンパン・ライン(Ampang)とクラナ・ジャヤ・ライン(Kelana Jaya)の2路線。アンパン・ラインはアンパンとスリ・ブタリン(Sri Petaling)に別れる。
また、モノレールが1路線ある。

郊外に伸びているのがKTMコミューター。

キップはトークン制。
駅は乗り換えがあまり考えられておらず、乗り場同士が離れていたり、相互接続が悪い場合も。駅も意外に広い。時間に余裕をもって行動した方がよい。

(タクシー)
タクシーは2種類。赤もしくは赤白のバジェットタクシーと青いプレミアム。さらに高いラグジュアリーというグレードもある。
バジェットでもメーターが一応付いており、その場合初乗り2kmで3RM。ただしメーターを使わず交渉制となることが多い。ふっかけてくる場合も多く料金トラブルは付きもの。タクシースタンドにいるバジェットタクシーはメーターで行ってくれる。
プレミアムは初乗り6RMと高いが、必ずメーターを使いぼったくりの心配も無い(深夜割り増しなど加算の場合あり)。
空港やKLセントラルでは距離制に応じたクーポン制になっている。

(バス)
バスは市内移動で1~3RM程度と安い。
最大手のラピッドKLの場合、同じ路線なら一日同じキップで乗降することができる。


ホテル

5つ星ホテルからゲストハウスまで宿の選択肢は豊富。
マレーシアは中華文化とイスラム文化が共存しており、中国の旧正月と(春節)とイスラムの断食明け(ラマダン明け)は混み合う。他に、スクールホリデーというまとまった日数の学校休暇があり、この時期は繁忙期となる。

クアラルンプールのホテル代は比較的安く、特に世界的な一流ブランドのホテルでも他国に比べ安め。通常他国では一泊2万円3万円といった一流チェーンでも1万円台なこともありお手頃。

3つ星ホテルなら5千円程度。ゲストハウスなら個室でも2千円程度からある。

エアアジアが経営するTuneホテルは空港LCCT、メダントゥンクエリアにあり、エアコンなど必要な設備を後から買い足していくLCC方式。素の料金はかなり安い。


The Majestic Hotel Kuala Lumpur (トリップアドバイザー提供)


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
後述のとおりWiFiが充実しているので、短期滞在や郊外・離島などに行く用が無ければWiFiとローミング(国内通信会社の海外データ定額)で済ますという手もある。
モバイル通信の通信速度はキャリア・場所によりだいぶバラツキがある模様。LTEも一部で普及している。

旅行者も問題無くプリペイドSIMを購入できる。
大手携帯会社はTimecel、Digi、Maxis、TM Touch。ネット上で情報が多いのはDiGi、Maxisでこの2社がおすすめ。

Digiの場合、スマートフォン向けの「DG Prepaid SmartPlan」が25RM。有効期限は25日で200MB。LTE対応の「DG SmartPlan」の場合、2Gの「DG SmartPlan 50」が50RM。
Maxisの場合、「1Day Pass」が100MBで2RM、500MBまで5RM。1ヶ月プランが3Gで68RM。

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(Maxisのカウンター -画像:tabinote)

(WiFi)
WiFi環境は非常に充実している。チェーンのファーストフード、カフェではWiFiが提供されている他、クアラルンプールでは新規に開業するレストランでWiFi提供が義務づけられている。
空港、駅などの公共機関はもちろん、KLIA Expressなど鉄道車内でもWiFiを提供している場合がある。

4. 世界あの街この街: マカオ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第24回 マカオ

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(画像:tabinote-聖ポール天主堂)

中華人民共和国マカオ特別行政区・区旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

ポルトガル統治の影響が残る瀟洒な街並み、煌めくネオン、郊外の素朴な風景やガジュマルの街路樹。聖と俗が混在する街マカオ。
聖ポール天主堂や華麗な歴史地区、素朴な華人の住居地を散策したり、カジノやナイトライフを楽しんだりと過ごし方は幅広い。名物のマカオ料理やショッピングも人気。

広東語で「香港が街ならマカオは一本の通り(ぐらいに狭く、人々が互いを見知っている)」、と称されるように、もともとはこじんまりした地域。戦乱・動乱にあまり巻き込まれずにきたという歴史もあり、ギラついたカジノのイメージとは裏腹にローカル住民は和を重んじる穏やかな人々が多い。
しかし、1999年の中国返還、2002年のカジノライセンス開放、2005年の世界遺産登録を経て、今や世界有数の観光都市となった。域外からの流入者も増加している。

マカオは中国大陸・珠海とつながる北部のマカオ半島、橋でつながった南部の島に分かれる。北部は世界遺産の歴史地区やリスボアに代表されるカジノホテル、マカオタワーなど観光名所があつまる。南の島部は空港がある他、ひなびた街並みやビーチなど素朴な光景が広がる癒やしスポットだったが、ザ・ベネチアン・マカオ(埋め立て地のコタイに位置)に代表されるリゾートホテルなども増加している。

香港からの日帰りも十分可能だが、できれば数日滞在してのんびり散策してみたい。マカオ半島は南北4km程度、街区は1km四方。島部も数キロ程度で、徒歩でも十分に見て歩ける。ただし坂が多いので、スニーカーやウォーキングシューズを推奨。
イベントも和洋豊富で、イースターやクリスマス、新年、春節、中秋節など常に賑わっている。
マカオ   Google マップ
(画像:Google)

まずは北部のマカオ半島から。
なんとなく歩いているだけでも名所を巡れるのがマカオのいいところ。とりあえずのおすすめはセナド広場。ホテルまたはフェリー乗り場から適当にタクシーに乗ればすぐに到着する。グランドリスボア行きのシャトルバスに乗ってもいいし、歩いても大してかからない。
東西文化の調和した街並みは「マカオ歴史地区」として世界遺産に認定されており、その象徴がセナド広場と聖ポール天主堂跡。春節や中秋節には中華風の飾り付けが華やかで、異国情緒あふれる。近隣にはポルトガル時代の教会、史跡が多く、コロニアルな雰囲気が漂う。
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(画像:tabinote-セナド広場)

広場から北に歩くとマカオのシンボル・聖ポール天主堂跡が現れる。
正面の壁面一枚残して焼け落ち、現存するのは一枚の壁。地下のミュージアムには殉教者や聖職者の遺骨が残り、日本人信者の骨も眠っている。遠い昔にマカオくんだりまで来て永眠した日本人信者の心境がいやがおうにも思い起こされ、信仰というパワーのすごさを実感せずにはいられなくなってしまう施設。
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(画像:tabinote-聖ポール天主堂前)

天主堂から南下しマカオタワー方面へ。
道すがらも、聖ヨセフ修道院、聖ローレンス教会などの歴史的建造物がある。
丘の上に立つのがペンニャ教会。晴れた日なら教会の裏手、西望洋山からマカオタワー越しに緑と青の見事な光景がおがめる。
教会を越えるとマカオの守り神である媽閣廟にたどり着く。
ペンニャ教会からの眺望
ペンニャ教会からの眺望 (トリップアドバイザー提供)

マー コ ミュウ (媽閣廟)
マー コ ミュウ (媽閣廟) (トリップアドバイザー提供)

媽閣廟からすぐ近くにはマカオタワー。
高さ338メートルの電波塔で、ショッピングモールや映画館を有するする観光地だが、一番の目玉は地上233メートルという世界最高地点からのバンジージャンプ。命綱をつけて展望台を回遊するスカイウォークも地味に怖いと評判。
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(画像:Luiz Eduardo-flicker)

半島の北部も味わい深い。
レッドマーケット(紅街市)はマカオ庶民の台所で、生鮮品店が集まり、アジアの雰囲気が漂う。
屋台の集まる通りやワインの品揃え豊富なスーパーもあり、散策が楽しいエリア。
東南方向に歩くとロープウェイがあり、頂上はマカオ最高峰(海抜91m)の要塞と教会跡。ここから南部を望む光景はマカオ随一で、教会には見事なフレスコ画も。
ギア要塞
ギア要塞 (トリップアドバイザー提供)

南の島部は素朴な街歩きにぴったり。
タイパ島へはタクシーでもバスでも向かうことができる。澳門友誼大橋は徒歩でもわたれるが、タクシーでタイパ村・官也街に向かうのが便利。水色に塗られた東西折衷様式の家屋やせまい路地を抜けると露天が続き、庶民的な雰囲気。
官也街 Rua do Cunha
官也街 Rua do Cunha (トリップアドバイザー提供)

コロアネ村はザビエル教会くらいしか観光地のない、純粋なマカオ地元民の土地。
観光客も少なく、中国の漁村にトリップしたような雰囲気。喧噪のマカオ市街からわずか30分以内で静寂にひたれる。
コロアネ島
コロアネ島 (トリップアドバイザー提供)


さて、せっかくマカオにいるんだからカジノに行かないともったいない!
海外旅行の醍醐味を非日常とハプニングに求める人にとって、カジノはまさにそのようなエッセンスを凝縮した場所。

ドッグレースのようなアミューズメント色の強いもの、セレブの雰囲気濃厚な豪華カジノ、昔ながらの鉄火場(減りつつある)まで、様々な施設があるマカオ。
マカオの大型施設は、カジノ、ホテル、シアター、フードコートやショッピングモールなどを複合した巨大アミューズメント施設になっていることが多く、ギャンブルに興味がなくても十分に楽しめる。ベネチアンの豪華フードコートは一見の価値あり。
もちろんテーブルに付けばあっという間に時間が過ぎていく。
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(画像:tabinote-カジノ)

ただし中国本土の好景気を反映し、カジノのレートはラスベガスなどと比べても高くなっており最低でも100HKD(約1300円)の賭け金は必要。くれぐれも熱くならないように。
ちなみにこの写真は5000HKDチップ、1枚で約65000円だ。このチップが通常のカジノフロアでも普通に乱れ飛んでおり、ハイローラーしか足を踏み入れることのできないVIPエリアではさらに桁が違うらしい。
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(画像:tabinote-カジノチップ)

マカオのカジノで盛んなゲームは圧倒的にバカラ。欧米で盛んなブラックジャックやポーカーのテーブルは隅に追いやられている。とは言えルールは「親」、「子」どちらかに賭けるだけと極端に単純なので初心者でもすぐに覚えることができる(それが問題でもあるのだが)。

カジノホテルが多く集まるのはマカオ半島側。老舗のリスボアやWynnといった場所なら、初めてでも比較的スムーズに体験できる。
タイパとコロアネの間、埋め立て地のコタイ地区も外せない。コタイはベネチアン・マカオ・リゾートやCODといった超大型リゾート施設が建つマカオの副都心。
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(画像:tabinote-グランド・リスボア)

COD内のショー、水舞間は、美しい舞台演出と人間業とは思えないパフォーマンスが話題となり、プラチナチケットとなっている。
水舞間 House of the Dancing Water
水舞間 House of the Dancing Water (トリップアドバイザー提供)


参考:脳汁あふれる!マカオ・カジノ堪能ツアー -tabinote

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佛笑樓
佛笑樓 (トリップアドバイザー提供)

マカオの食はミシュランの星付きから豪華絢爛なフードコート、庶民的な食堂までバラエティに富んでいる。ジャンルも東南アジア、中華、日本食、欧州など世界の食が集まる。

マカオ料理は、旧宗主国ポルトガルと地元広州、そして東南アジアのテイストが融合した独特なもの。
ポルトガル系の住民は、家庭で独自にアレンジされたポルトガル風の料理を食することが多い。ポルトガル料理の食材としては魚介、豚肉、米、チーズやワインの多用に特徴があり、調理法としては煮込みやグリルが多いが、マカオではスパイスやココナツミルクが取り入れられるなどアジア風にアレンジされている。
中華系では香港のテイストに近く、エビのそばや土鍋ご飯、おかゆなどのレベルが高い。

マカオ料理で有名なものは、干し鱈の煮込みやコロッケ、アフリカンチキン、鳩のロースト、魚介のカレーなど。まさに無国籍。デザートはポルトガル仕込みの濃厚な物が多い。エッグタルトやライス・プディングなどが名高い。

なお、マカオ土産の名品といえばオイスターソース。19世紀に李錦記の創業者、李錦裳が生み出したもので、マカオ移住後に本格普及した。マカオ半島には元祖の李錦記が店を構える他、現在唯一マカオでの製造を続けるやはり創業100年超の老舗、榮甡蚝油莊がある。

安德魯咖啡館の写真
安德魯咖啡館 (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
香港を経由していくのがもっとも一般的。
香港行きは日系、中華系、アジア系など多くの便があり、選択肢は豊富。
東京(羽田/成田)から香港国際空港まで、直行便なら往路が5時間~5時間30分、復路は4時間程度。関西国際空港の場合往路4時間半、復路3時間半程度。

東京からはJAL、ANA、キャセイパシフィックの他、香港エクスプレス、デルタ航空が就航。関空からはANA、キャセイパシフィック、エアインディア、ピーチ・アビエーション。福岡便も多くキャセイ、ドラゴン航空、香港エクスプレスが直行便を運行。

時期にもよるが、キャンペーンを利用すればLCCの香港エクスプレスが最も安い。往復で燃油込み15,000円程度とちょっとした国内線よりも安くなることがある。
関空が利用できればピーチ・アビエーションが安定的に安い。片道1万円程度で、キャンペーン併用なら驚くほど安く行けることもある。関空からも香港エクスプレスがあり、条件がととのえばピーチよりも安い。

マカオへは直行便もあり、マカオ航空が成田、関空からそれぞれ週4便。費用は安い時期なら6万円程度。

香港直行便が十分安いのであまりうまみはないが、台北や釜山、マニラやバンコクからの空路もある。

(陸路/海路)
香港経由の場合、フェリーでマカオに向かう。
香港国際空港からダイレクトに高速船のターボジェットが運航しており、所要50分、246香港ドル。
上環のフェリーターミナルからは所要55分、148香港ドル。上環からマカオ半島では無くタイパに運行向かうコタイジェットの便もある。尖沙咀側からはファーストフェリーが運航している。

香港までのエアチケットが取れない場合には、中国からフェリーでマカオに向かうルートもある。
深センや広州から直接高速船、ターボジェットが出ており、所要60分(深セン)~80分(広州)。費用は180香港ドル(広州)~80分(深セン)。もちろん鉄道や長距離バスで香港に入り、フェリーで行くことも可能。
珠海からバスで向かうこともできる。

(パッケージツアー)
パッケージツアーの場合は2泊3日、マカオ航空直行便で6万円程度。1名参加なら9万円前後になる。

(空港)
直行便で来た場合、マカオ国際空港に到着。
空港からの足はタクシー、市内バス。ホテル行きのシャトルバスに潜り込んで市街に入ることも可能。
空港を起点としたマカオ初となる鉄道(軽軌鉄路)の建設が計画されている。


地理と気候

大陸に接するマカオ半島と、島部に別れているのは香港と同様。総面積は30平方キロメートル弱で、府中市と同じ程度。
緯度・経度共に香港に近いのだが、香港よりも暑く感じることが多い。春から夏に掛けて蒸し暑く、曇天が続く。
ベストシーズンは雨の少ない10月~3月。雨が少なく乾燥し、過ごしやすい。

日本との時差はマイナス1時間。日本の正午が午前11時。サマータイムはない。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はポルトガル語と中国語(普通話)、広東語。
ただし概ね英語が通じる。タクシー、郊外などでは英語が通じないこともあるが、筆談でなんとかなる。

通貨はパタカ。1パタカ=12.8円(14年6月時点)。
香港ドルとのレートはほぼ1:1で、香港ドルも広く使われている。

物価は超ピンキリ。
豪華ホテルに泊まり美食とスパ、カジノに明け暮れればあっという間にお金が飛んでいく。
一方安宿で地元のローカル食堂を利用すればそれほどかからない。
安宿は3千円台、タクシー初乗りは200円、スタバのラテが350円、ペットボトルの水が30円、青島ビールの缶が40円程度。
高級レストランでワインをつけないなら一食3,000円程度から。

両替は香港ドルがあれば不要だが、必要であれば市中の両替所やATMの国際キャッシングを利用する。
伝統的に、もっともレートが良いのはカジノ内の両替所と言われている。
パタカはマカオの外では両替できないので、使い切れるようこまめに引き出す/両替するのがよい。
クレジットカードの通用度は香港に比べ低い。ローカルの店ではほとんど通用しない。

チップの習慣はないが、高級レストランで1割程度、ベルボーイに10パタカ程度。


治安とビザ

治安は全般に安全とされており、夜中の1人歩きでもまず問題無い。対日感情も良好。

カジノやフェリーターミナルなど、人が多い場所ではスリや置き引きなどに注意。また、いかさま賭博や風俗関連のぼったくりなども報告されている。
禁煙エリアにて喫煙した場合には600パタカ、ゴミ捨てや痰を吐いた場合には500パタカの罰金。

出入境ゲートやカジノ内は撮影禁止。


観光目的の場合3ヵ月間以内の滞在はビザ免除。
2013年7月よりマカオへは出入国カードの記載が不要となり、パスポートへの捺印もなくなった。代わりに入国記録として、名前、パスポート番号、入国日、滞在期限が記載された紙をイミグレーションで受け取ることとなる。


市内交通

(タクシー)
taxi
(画像:tabinote)

マカオの場合、実はホテルの送迎シャトルバスでかなり街中までいけてしまうという実態がある。
ホテルの場所さえ把握しておけば、フェリー乗り場や空港から行き先に近いホテルのシャトルバスに乗ってしまうと楽。
市中は歩いてもそれほどかからない。もちろん宿泊客以外でもOK。

それでも、やはりタクシーは便利な乗り物。
色は黒もしくは黄色、ツートンもある。初乗り料金は1.6kmまで15パタカ、以後230mごとに1.5パタカ。トランクに荷物を載せる場合や半島から島方面に行く場合は要追加料金(トランクは荷1つにつき3パタカ、マカオ~コロアネ島は5パタカ、コロアネ島~タイパ島2パタカ)。
一応メーター制ではあり、マカオはせまいのでぼったくりも聞かないが、大陸上がりのドライバーが多くサービスは期待できない。英語が通じないことも多い。メーターは端数繰り上げで、勝手にチップとして徴収される。支払いは香港ドルでもパタカでも問題無い。
1時間チャーターしたら200香港ドル(パタカ)程度。

(バス)
市内バスは3社によって運行されているが(新福利 Transmac、澳巴 TCM、維澳蓮運 Reolian)、均一料金で利用しやすい。
マカオ半島内は3.2パタカ、半島からタイパ島までは4.2パタカ、コロアネ島までは6.4パタカ。タイパ・コロアネ内は2.8パタカ。
支払いは香港ドルの小銭でもパタカでも可能だが、マカオパス(澳門通)というSuica・パスモに相当するICカードもある。


ホテル

マカオは外資系のグローバルブランドやリスボアのような老舗など、豪華ホテルでおなじみ。
カジノの収益を期待してか、ゴージャスかつ広々とした居室の割には意外にリーズナブルだったりするので、ホテルステイを目的に行くのも良い。日本ならどう考えても3万円から5万円クラスの部屋が1万円台ということも珍しくない。
ただし、中国本土客の増加に伴いレートは上がり気味。

マカオには安宿もあり、セナド広場からリスボアにむかう途上は「○○賓館」「○○酒店」といった中華系の安宿が軒を連ねる。一泊三千円程度。セナド広場から西に向かった福隆エリアにも宿が密集している。

マカオのホテルでは、外資系豪華ホテルから安宿まで区別無く、風俗施設を併設していることが多い。安宿の場合は夜通しノックに悩まされることになる。

MGM グランド マカオ
MGM グランド マカオ (トリップアドバイザー提供)


イベントの時期はホテルも混み合う。
2月は春節で中国人客が増加する。街は中華風の装飾で華やかに彩られる。
5~6月はマカオ芸術祭があり、聖ポール天主堂へのプロジェクションマッピングが人気。

(画像:macautourism.gov)

6月には端午節にあわせてドラゴンボートフェスティバルが開催され、レースも行われる。
9月の中秋節は無数のランタンが水に浮かぶ幻想的な光景が見られる。
毎年11月には市街公道を走るマカオグランプリがあり、世界中から観光客が集まる。同時期にマカオ・タワー向かいの西灣湖広場でグルメイベント「フードフェスティバル」が催され、100以上の屋台が集まるなどこちらも人気。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
sim
(画像:tabinote)

マカオの代表的な携帯会社は香港資本の3(three)、Smartone、そしてマカオ地元のCTM。
フェリーターミナルや空港では自販機でSIMを購入でき、大変便利。

香港から来て香港threeのSIMを入手している場合は、そのままローミングで使うこともできるが、意外に高い。
threeでのSIM購入時にショップカウンターでマカオにも行きたい旨を伝えると該当するSIMを用意してくれるが、ローミング料金は1日100HKドル程度と、日本からWiFiルーターを借りていくよりも高くつく。

マカオ滞在が長い場合には、マカオ地元のSIMを購入した方が安く済む。
threeの場合、30日間有効の3G通信SIMが200香港ドル(パタカ)、プラス168香港ドル(パタカ)で7日間の無制限データ通信。7日間有効のSIMは100香港ドル(パタカ)、プラス100香港ドル(パタカ)で24時間の無制限データ通信。
SmartoneのプリペイドSIMは180日有効。100香港ドル(パタカ)で24時間の無制限データ通信。three、CTMと比べるとやや魅力に欠ける。
CTMはプリペイドのバリエーションも豊富。220香港ドル(パタカ)のBEST Mobile Broadband Day Passは5日間の無制限データ通信が可能で、5日程度の旅行者にとっては魅力的。通常のプリペイドSIMに、30日有効の無制限データ通信をつけると500香港ドル(パタカ)。

(WiFi)
公共施設や観光地では、マカオ行政府直営の公衆無線LAN、WiFi GOが利用できる。
空港ではCTMが無料WiFiを提供している。

他に、ホテル、カジノ、カフェなどが独自にWiFiを提供していることもあり、ネット関連の心配は無い。

4. 世界あの街この街: ハノイ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第23回 ハノイ

旧市街
旧市街 (トリップアドバイザー提供)

ベトナム社会主義共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

フランス植民地時代の建物と中華風の建物が共存するユニークな街並み、ヘルシーなベトナム料理、キッチュな雑貨など人気の観光スポット。街歩きやグルメの他、ハロン湾を中心とする北部ベトナム観光の拠点でもある。

ハノイの語源は河内、その名の通り河川と湖に彩られた街。
ベトナム北部は地理的・歴史的に中国との関係が強く、ベトナム戦争時代は中国のバックアップを受けた北ベトナムことベトナム民主共和国として、欧米のバックアップを受けた南ベトナムと交戦した。
ハノイの市街には中国の影響を感じさせる寺院、廟、公園などが多く残っており、簡単な中国語が通じることも多い。
一方でハノイ大教会を初め、フランスネオゴシック様式の瀟洒な建物も多く残る。

そんなハノイの魅力はやはり街歩き。
中でもホアンキエム湖の北側に広がる旧市街は市場やカフェが多く、ホテルも集中していることから旅行者が巡る中心的な場所。
旧市街の西側はホー・チ・ミン廟やタンロン遺跡など史跡が集まる観光エリア。
旧市街の南側は博物館や高級ホテルが集まる繁華街。そのさらに南には市場や路地が広がる生活感あふれるエリアが広がる。
ハノイGoogle-マップ
(画像:Google)

旧市街は古くから栄えた商業地で、狭い路地に古い商店や露店が連なり、行き交う人とバイクが絶えないハノイを象徴するエリア。
一帯は「ハノイ36通り」と呼ばれる歴史保護地区となっており、それぞれの通りには「銀通り」「綿通り」などの名前がついている。特に賑やかなドンスアン市場はシルクや生鮮品が集まる一大マーケットで、周辺では週末ナイトマーケットが催される。
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(画像:tabinote)

Dong Xuan Market
Dong Xuan Market (トリップアドバイザー提供)

旧市街の西側にはランドマークのホー・チ・ミン廟。内部には民族の父、ホー・チ・ミンの遺体が安置されている。夜はライトアップされ厳かな雰囲気が漂う。近隣にはホー・チ・ミン宅(ホーおじさんの家屋)、ホー・チ・ミン博物館などホー・チ・ミン関連の施設が集まる。
意外な見どころはホー・チ・ミン廟の裏、B52が墜落した池の跡。濁った池から機体の残骸が顔を出している。
Ho Chi Minh Mausoleum
Ho Chi Minh Mausoleum (トリップアドバイザー提供)

Huu Tiep Lake and the Downed B-52
Huu Tiep Lake and the Downed B-52 (トリップアドバイザー提供)

近くには11世紀に遡るベトナム歴代王朝の遺跡、昇龍(タンロン)遺跡がある。
ユネスコの世界遺産に登録され、現在でも発掘が続いている。
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(画像:Wikipedia)

Hanoi Flag Tower
Hanoi Flag Tower (トリップアドバイザー提供)

旧市街の南側はハノイ大教会(St. Joseph’s Cathedral)やオペラハウス(Nha Hat Lon)を中心とした繁華街エリア。ホテルやレストラン、雑貨店が集中するエリアで、ベトナムの雑貨探しに最適。
ハノイのツアーに必ず含まれる水上人形劇もホアンキエム湖の周辺、北端にある。
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(画像:tabinote)

Opera House (Nha Hat Lon)
Opera House (Nha Hat Lon) (トリップアドバイザー提供)


ベトナム戦争の遺構や博物館も多い。ミリタリー好き、現代史好きのみならず、東欧や中国のプロパガンダアートに興味のある方にもおすすめ。
ベトナム軍事歴史博物館はタンロン遺跡に隣接している。当時の戦車やジェット機、ヘリコプター、自走砲などが展示されており、友軍のソ連製や中国製の他、鹵獲された米軍の兵器も展示されている。

市中心からは少し離れるが、南西側にあるのは空軍博物館。ミグや米軍機の残骸など飛行機関連の展示はさすがに充実。
Vietnam Military History Museum
Vietnam Military History Museum (トリップアドバイザー提供)

軍事関連施設のハイライトは、実は歴史博物館ではなく、ホアロー収容所跡。
歴史博物館の近隣、ハノイ駅東側にある。
もともとはフランスがつくった刑務所で、ベトナム人の政治犯を中心に投獄・拷問された施設。ベトナム戦争中はもっぱら米兵捕虜を収容する施設となり、皮肉たっぷりに「ハノイ・ヒルトン」とも呼ばれた。
この施設は広島の広島平和記念資料館、カンボジアのキリング・フィールド、ドイツのアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所などに匹敵する、人類史の暗黒面をたっぷりと体験できる負の戦争遺構で、ハノイに行くならば必見。
Hoa Lo Prison
Vietnam Hoa Lo Prison (トリップアドバイザー提供)
※衝撃的な展示が多い施設です。写真はマイルドなものを選びました。


軍事関連施設を見てどんより重厚な気持ちになった後は、北部の自然を楽しむ郊外観光も体験してみたい。
ハノイの南110km、ニンビンは石灰岩の絶景で有名なタムコック観光の拠点都市。ハノイからのツアーも豊富で日帰り観光も可能。
Tam Coc
Tam Coc (トリップアドバイザー提供)

タムコックと並ぶベトナム最大の景勝地がハロン湾。クルーズや洞窟巡りなど、やはりハノイからのツアーが豊富に出ている。
11~4月は晴天が期待でき、夏ならば島で泳ぐことも可能。
冒険好きならハードなトレッキングやロッククライミングも体験できるカットバ島がおすすめ。
Cat Ba Island
Cat Ba Island (トリップアドバイザー提供)

VELTRA


Pho-Beef-Noodles-2008
(画像:Wikipedia)

生野菜やハーブをたっぷりと使うのが特徴で、健康によく見た目に美しいベトナム料理は日本でもすっかりおなじみ。

ホー・チ・ミンのある南部の味がココナッツミルクやスパイスの効いた東南アジア風なのに対し、ハノイが位置する北部は薄味のやさしい味付け。中華料理と米の多用が特徴で、米飯と炒め物の定食やぶっかけご飯が定番。
そして、ハノイ名物といえば日本でもお馴染みのフォー。日本でもお馴染みのスープ麺の他、タレとあえるような平麺やフォー生地をカットせず春巻き的に使って肉や野菜を巻いたフォークオンなどバラエティに富んでいる。
屋台では5万ドンもあれば好きなおかずを選んで定食やフォーを頼むことが出来る。
最近ではバインミーや豆腐料理、シーフードなどが流行し、外資系のチェーン店も増えている。

ハノイでは至る所にカフェがあり、昔ながらのベトナムコーヒーだけではなく欧米系の本格ドリップコーヒーも広まりつつある。暑い国だけあり、冷たいフレッシュジュースやアイスジャスミンティーなども人気。


日本からの行き方

(空路)
ハノイへは成田からJAL、ベトナム航空が毎日直行便を運行している。
羽田の拡張に伴い、14年3月30日からANAが毎日運行している他、7月1日からベトナム航空便も就航。
成田のベトナム航空は朝発、現地午後着。JALは夕方発・現地夜着。いずれも往路所要6時間程度。復路はベトナム航空・JAL共に深夜発・朝着となっており、週末海外旅行にも適している。
羽田のANAは朝発・現地正午着。復路は午後発、夜羽田着

関空からはベトナム航空が毎日運行。午前に出て午後早くハノイに到着する。他、中部国際空港、福岡空港からも便がある。

直行便が安いので、よほどの掘り出しものでなければ直行便に軍配が上がる。乗り継ぎの場合、ホー・チ・ミンやダナンなどベトナム内の都市が経由地となるベトナム航空便が安い。
ホー・チ・ミンから国内線で向かう方法もある。日本からホー・チ・ミンへの空路はハノイ便以上に豊富で、毎日直行便が運航している。
ホー・チ・ミンからハノイまではベトジェットなどのLCCで数千円。

(陸路)
上級者向けの陸路ルート。所要時間もかかり体力も必要。
ホー・チ・ミンから入った場合、ハノイまでの1,700kmに渡って鉄道が通じている。通称南北統一鉄道。ホー・チ・ミンから乗った場合、ハノイまで所要30時間以上。
フエからは12時間、ニャチャンからは24時間。

近隣国の中国、カンボジア、ラオスから国際バスや鉄道で入国できる。
中国の場合は南寧からハノイへの国際鉄道がある。

ラオスは最も長くベトナムと国境を接している。ビエンチャンからハノイ、フエ、ダナンなどに国際バスが運行している。

(パッケージツアー)
ソウルやバンコクと並んで格安ツアーの目玉になりやすいベトナム。3~4日間程度のツアー(実質現地1日半~2日程度)が燃油込みで4万円程度からあり、航空券代を下回るものも。
ホテルを別に予約したとしても、パッケージツアーを調べておくと思わぬ掘り出しものに出会えるかも。

(空港)
ハノイの玄関口はノイバイ国際空港。
ハノイ市内から北に35km、ターミナルは1つで、国内線と国際線で共用となっている。2015年に新ターミナルが開港予定。

タクシーは後述の「市内交通」を参照のこと。
ベトナムのタクシー(特に空港タクシー)はぼったくりで悪名高い。
空港から市内まで、おおむね15USドル程度(25万ベトナム・ドン、空港道路通行料含む)。カウンターでチケットを購入する。客引きについていかず、タクシー乗り場から正規業者の車に乗ること。
空港に乗り入れが許可されている正規の業者はノイバイタクシー(Noi Bai)、エアポートタクシー(Airport)、ベトサインタクシー(Viet Thanh)、ダイナムタクシー(Dai Nam)、サンバイタクシー(San Bay)の5社のみ。
所要40~45分程度。

安く市街に行きたい場合は市バス。安いだけでは無く安全でもある。
ターミナル出口のすぐ右、市バス7-17番が市内行き。料金は1人5,000ベトナム・ドン(30円程度)と格安。所要約1時間、5時から22時まで運行。

他に乗り合いのミニバスがあり、市内まで約3万ドン程度。乗客が乗り込み満員となった時点で発車。


地理と気候

ベトナムは東南アジア、インドシナ半島の東側海側を占め、国土は南北1,700km、東西600kmにおよぶ。
ハノイは北部に位置し、11月~3月頃の冬は涼しくて快適。夜は冷え込むことも。
4月から5月にかけて霧雨が多くなり、6~9月は雨季で雨が多く暑い。10月は台風シーズン。

日本との時差はマイナス2時間。日本の正午が午前10時。サマータイムはない。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はベトナム語。
フランス領であったがフランス語の通じる可能性は高くない。
英語は観光客向けの商店、カフェでは通じる。若者に通じる場合もある。

ベトナムはもともと漢字文化圏であったが公的な使用は廃止され、現在は声調(声の上がり下がりで語を示すルール)を表記できるクオック・グーというアルファベットが用いられる。ベトナム語の声調は6種類あり、語順によって意味が変わる文法の独特さもあって日本人が習得するハードルは高い。
実際には、ハノイではむしろ漢字の看板も多く残り、中国語はフランス語以上に通じる。ただし中国との関係悪化や歴史的経緯もあり、ハノイ人の中国人への印象は必ずしも良好ではない。

物価は諸外国の中でも屈指の安さであったが、インフレと円安でうまみはうすれてきた。
それでも、交通機関、ホテル、食事という旅行者の3大支出はおおむね低い水準をキープしている。
Tripadvisorの「旅行者物価指数」によると、ハノイのディナー代は各都市の中で最低レベル。タクシーも初乗り50円、ホテルはドミトリーなら数百円から、3つ星でも5,000円未満。食費の安さはありがたく、麺類やローカル食堂なら1食100円程度ということも。

もっとも何事もピンキリで、高級ホテルになれば1泊1万以上、食事もレストランなら日本と変わらない値段になることも。

通貨はベトナム・ドン(VND)。1ベトナム・ドン=0.0048円(14年6月時点)。
1万ドン=50円、2万ドン=100円=1USドルと覚えておくと便利。
物品には10%の消費税(VAT:Value Added tax)がかかる。
ちなみに1人あたりGDPの比較では、ベトナムは日本のおよそ1/20未満。日本の100円はベトナムの2,000円程度の価値がある、と考えておくと使いすぎないかもしれない。

両替は万国共通でATMによる国際キャッシングが手軽。両替手数料が数パーセントかかる。

日本国内でベトナム・ドンに両替することは出来ない。ハノイで日本円も問題無く両替できる。
市中に両替所は多く、レートは
 両替所>銀行>ホテル
となる。ツーリストが集まるホアンキエム湖周辺には両替商が多い。

クレジットカードが通じる場面は多い。VISAかマスター推奨。

ベトナム・ドンは再両替のレートが悪いため、あまり一度に多く両替しない方がよい。
いっそベトナム・ドンに両替せず、USドルとクレカでなんとかしてしまうという手もある。USドルが通じる店は多く、そもそも高級ホテルなどはドル建て表示の場合もある(ただし、通達により将来的にはベトナム・ドン払いに統合されていく模様)。
一般にドンの方がレートは良く、両替もUSドルからより日本円からの方がレートが良い。

チップの習慣は無いが、たかってくる事例は多数。旅行者に頼んでもいないサービスを押し売りしUSドルのチップを請求されたら、1USドルのチップはおよそ2万ドンの価値であることを思い起こしたい。彼/彼女のそのサービスに2万ドンの価値があるか…?
市中で2万ドンあったら何が買えるか把握しておくとよいかも。


(画像:Vietnam Navi)


治安とビザ

全般に治安状況は良いが、ぼったくりタクシーや置き引き、土産物屋でのぼったくりや両替トラブルなど、旅行者からあの手この手で収奪しようと待ち構える輩も多い。
窃盗、詐欺、いかさま賭博、ひったくりの他、性風俗・売春にまつわる被害も多い。
繁華街や駅、ショッピングセンターではスリ、ひったくりに注意。夜間の1人歩きは避ける。

ほとんどのタクシーはメーター制だが、正規の業者をまねた偽装白タクなどトラブルは多い。白タク、バイタク、シクロにはトラブルが付きものと考えて、利用する時は自己責任で。たとえ交渉がスムーズに進んでも無事支払って降りるまで油断しない方が良い。
なお、交通事情は非常に悪く、慢性的に渋滞している。

軍事施設(鉄道、駅、港湾、橋梁なども含まれる)、軍人、警官などにカメラを向けない方が良い。

宗教上・慣習上の注意として人の頭に触れないこと(特にこどもの頭をなでたりしないこと)。寺院で肌を露出する服装は避ける。政治的な話題も避けた方が良い。

南シナ海での中国との領有権問題に絡んで、抗議デモが発生している。
ベトナムではデモは比較的コントロールされているものの、ハノイの中国大使館前は緊張感が漂う。
このような場面に遭遇したら近づかないのが無難。


市内交通

Hanoi Traffic
(画像:Snipergirl-flickr)

(タクシー)
ハノイ市内には地下鉄がなく、タクシーは旅行者にとって移動の主役。
正規のタクシーは車体に社名と電話番号の表記があり、天井にTAXIの表記がある。

殆どのタクシーはメーター制。
白タク、偽業者の中にはメーターを倒さず、旅行者からふったくろうとするドライバーがいる。正規の業者でも、ドライバーによってそういったぼったくりタクシーの事案が報告されている。以下の信頼できるタクシー意外乗らない方が無難。

ハノイで多い正規業者はMai Linhタクシー、Hanoiタクシーなど。

Mai Linhタクシー

(画像:hantaxi.com)
写真は白地に緑のサインだが、オールグリーンのクルマもある。
http://www.mailinh.vn/

Vinasunタクシー

(画像:Vinasun Taxi)
車体は白、緑と赤のライン・
http://www.vinasuntaxi.com/contact-us

料金は安い。会社によって異なるものの初乗り2キロがおおむね1万2000ドン。

ベトナムタクシーの注意
・上述通り、知らない業者、怪しいタクシーは避ける。そっくりな会社ロゴを貼っている偽タクシーもいる。ロゴがチープ、車体がボロボロか古いなどのタクシーも避けること。知らない会社のタクシーであれば、電話番号が覚えやすい表記かどうかも判断材料(8111 111 や 27 27 27 27など)。長年同じ番号で営業している目安となる。
・メーターはゼロが2つもしくは3つ省略されている(「20」と表記されている隣に「x1000VND」とあれば、20×1000=2万ドンということ、「X100VND」ということもある)ことがある。勝手に「20だから20万ドンだ」「20米ドルだ」などと偽る悪徳タクシーがいるので注意。
・メーターの回転が異常な速さの場合は速攻で降りる。通常1km7,000ドン程度。
・空港と観光地はデンジャラスゾーン。旅行者からぼったくろうとタクシーが待ち構えている。空港はプリペイドカウンターがあるので、そこで手配すると安全。また、到着階ではなく出国階に移動しお客を乗せてきたタクシーをひろうという手も。観光地も少し歩いて、離れた場所で信頼できる流しのタクシーをつかまえるか、ホテルなどでタクシーに乗る。
・地図が読めない、おつりの計算が苦手なドライバーが多いとされている。ぼったくりではなく単なる間違いの可能性もあるのでそのあたりは大目に見る寛容さも必要。地図よりも住所を書いたカードの方がよい。

(バイクタクシー)
値段は交渉制でいろいろとモメる可能性があり、ガイドブックなどでも利用しないよう促す記述が多い。
しかし、慢性的な渋滞のハノイでつかいこなせればこれほど便利なものはないのも確か。料金交渉やトラブルをうけながせるような状況であれば利用するのも悪くない。

おおむね、料金は同距離をタクシーで行く場合の2/3程度を交渉の目安に。
外国人の場合はどうしても現地人よりも相場が高めだが、1kmで1万ドン、1時間貸し切りで10万ドン程度。

料金交渉が面倒であれば1USドル札を沢山もっておくと良い。市内であれば大抵の場所は1ドル(2万ドン相当)で行ってくれる。

自転車リヤカーのシクロは完全に観光客向け。
市内の決まったルートを周遊する。

(バス)
市内バスは5,000ドン~10,000ドン。郊外行きの場合は2万ドンの路線も。
ドライバーは英語が通じない。自分の乗る路線のバス停で手を上げてバスを止め乗車。乗る際に、行き先バス停名のメモ(ベトナム語)を見せておくと降りるバス停で教えてくれる。

路線の変更は頻繁に行われる。
バス料金に外国人枠の料金は無い。


ホテル

外資系の高級ホテルから安宿まで選択肢は広い。
リーズナブルな宿としては、ハノイの中心部に多いミニホテル、ゲストハウスがある。古い家屋をリノベーションしたものも多く、清潔でエアコン、ホットシャワー、WiFi完備の宿が15USドル程度から利用できる。ホアンキエム湖周辺は安宿含めホテルの多いエリア。

40ドル程度の宿なら、広々としたダブルの居室でゆったり過ごせる。もちろんWiFi装備。
居室にバスタブや冷蔵庫、施設内にスパやプール、ビジネスセンターを備えた高級ホテルになると100ドル以上。

客室はツインルームが多い。
ホテルによってはルームチャージ制ではなく1人か2人かで値段が異なる場合がある。
また、一般に15%の税金がかかるが、含まれている場合も。
支払いは政府よりベトナム・ドンで支払うよう通達が出ているが、USドル表記のところもまだ多い模様。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ベトナムはプリペイドが主流で、旅行者も問題無くSIMを購入できる。
ベトナムの携帯会社は最大手のMobiFone、VinaPhone、Viettel Mobile、ロシアとの合弁Gmobile (Beeline)など。

後述の通り、無線LAN網が充実しているため、インターネット接続のみであればそちらを選択するという手も。市中の3G回線は実用的な速さだが、上限容量の速度制限にひっかかると何も出来なくなるほど遅い。
中国の金盾システムと同様、インターネット接続は政府によって監視されており、FacebookやLineなど、SNSの接続に制限がでる場合がある。

SIMは市中の携帯ショップや個人経営の店まで多くの場所で取り扱っているが、英語が通じる可能性を考え空港で購入し設定までまかせてしまった方が良い。通話がいらないのであればデータ通信のみのプランを選択。

料金はきわめて安い。

MobiFoneの場合、
・D1パッケージ:150M/日:8000ドン/日
・MIUパッケージ:600M/月:7万ドン/月
・BMIUパッケージ:3G/月:20万ドン月
など。
MobifoneのSIMが挿さっていれば、携帯から「9393」で24時間の日本語サポートを受けることが出来る。

VinaPhoneの場合、
・M50パッケージ:500M/月:5万ドン/月
・M120パッケージ:1.5G/月:12万ドン/月
・MAX200パッケージ:無制限/月:20万ドン/月(ただし3G以上は32kb/s制限)
など。

Viettel Mobileの場合、
・MI50パッケージ:450M/月(以降50kbごとに75ドン):5万ドン/月
・MIMaxパッケージ:無制限/月:7万ドン/月(ただし600M以上は速度制限)
・Dmax200パッケージ:無制限/月:20万ドン/月(ただし3G以上は速度制限)
など。

(WiFi)
WiFiの充実度はすばらしく、ほとんどのカフェ、レストランでWiFiが利用できる。
ケンタッキー、ロッテリア、ピザハットなどの外資チェーンはもちろん、現地系であってもチェーン店ならばほぼ確実にWiFiが通じている。パスワードはテーブルに置いてある場合もあれば、店員に告げて受け取る場合もある。

ノイバイ国際空港では4階のカフェテリアでWiFiを提供している。
ホテルは高級ホテルでも安宿でもおおむね無料でWiFiを提供している。

4. 世界あの街この街: 成都


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第22回 成都


成都 (トリップアドバイザー提供)

中華人民共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

三国志の蜀の都。郊外のパンダ繁育基地、麻婆豆腐に代表される四川料理の本場。歴史好きから大自然、グルメまで見所に事欠かない。また、美人の産地としても名高く、麻雀好きののんびりした土地柄とあわせて街歩きが楽しい。郊外に観光地も多く、長期滞在もおすすめ。
九寨溝、楽山といった中国中西部の観光地や雲南・チベット旅行の玄関という一面もあり、欧米からの個人旅行者も多い。

成都   Google マップ
(地図:A-武候祠、B-文殊院、C-寛窄巷子、D-杜甫草堂、E-春熙路)

成都は三国以前から長い歴史を持ち、古来から「天府国」と呼ばれ栄えてきた。その歴史は古蜀から数えても2,300年、長江文明時代から数えれば5,000年をほこる世界でも屈指の古都。成都という名称も2,000年もの間変わったことがないという。

歴史&ミステリー好きであれば、いきなり郊外だが三星堆遺跡へ。
紀元前2,000年にもさかのぼるというこの遺跡から発掘された青銅の仮面や彫像は、まったくもって今日の中華文明との関連が感じられないドラッギー&宇宙的なもので、中国古代文明の奥深さを認識させられる。
Masque-de-bronze-Sanxingdui
(Wikipedia;青銅縦目仮面)

つづいては市内へ。
市内西部にある金沙遺跡は三星堆遺跡につづく時代のものとされ、こちらも黄金マスクやマンモスの牙などスケールの大きな出土品が展示されている。

金沙遺跡博物館 (トリップアドバイザー提供)

さらに時代はぐっと遡り三国時代へ。
成都の武候祠(ぶこうし)には劉備玄徳の墓地があり、吉川英治、横山光輝、コウ・シブサワファンはもちろん、有名人のお墓ゲッターにも欠かせないスポット。もちろん関羽、張飛の義兄弟や、巨大な諸葛亮像も鎮座している。
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諸葛亮像 (写真:tabinote)

祠の周囲は錦里(じんり)というレトロスポットとなっており、ストリートフードを食べながらぶらつくのが楽しい。中国のあちこちでみかけるお土産の定番「張飛牛肉」(ビーフジャーキー)はこちらが本場で、コスプレ張飛がたまに出没する。
錦里周辺はチベット街になっており、黄色の僧衣を来たチベット僧が多い。お土産選びにもおすすめ。
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張飛牛肉 (写真:tabinote)

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錦里 (写真:tabinote)

成都には、錦里同様に、歴史あふれる街並みを散策できるスポットが多い。
武候祠からもほど近い寛窄巷子(くぁんざい・しゃんず)は伝統的な街並みを再生した人気のエリアで、バーやカフェも多く、若者やツーリストの憩いの場となっている。

寛窄巷子 (トリップアドバイザー提供)

市の北部、文殊院は寺院の周辺に古い家屋やホテル、レストラン、お土産屋が集中しており、散策が楽しいエリア。長期滞在にもおすすめな和みスポット。
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文殊院 (写真:tabinote)

成都一の繁華街は春熙路。日本のイトーヨーカ堂や伊勢丹もある巨大ショッピングストリートで、百貨店やブランドショップ、レストランが軒を連ねる。日本食が恋しくなったら伊勢丹のレストラン街に行くもいい。ヨーカ堂の地下はお土産選びに最適。
ちなみに、「春熙路」で中国語検索するとやたらと「美女が多い」だの「美女だらけ」だのという情報がひっかかってくる。
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春熙路 (写真:tabinote)

成都は世界で最もショッピングモールの建設が盛んな都市で、現在建設中のモール面積は320万平方メートル(東京ドーム68個分、イオンレイクタウン13個分)。2013年だけで7つのショッピングモールがオープンし、その総面積は100万平方メートルとか。
その極めつけともいうべき、超弩級の存在が新世紀環球中心。市のおよそ中心部にあり、単一の建築物としては世界最大の規模。中にはショッピングモールの他、ホテルやミュージアムなどがそろっている。

新世紀環球中心 (トリップアドバイザー提供)

再び郊外へ。
成都で最も人気のスポットは北にタクシーで1時間、郊外の成都パンダ繁育研究基地。
ここでジャイアントパンダが群れあいじゃれ合う姿を見るためだけに成都に来る人も多い。
基地は実際の生育環境を模しており、山歩きに近い場所もある。歩きやすい靴で。
子パンダを抱いて写真を撮ることも可能だが、数万円のお布施を要求される。
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成都パンダ繁育研究基地 (写真:tabinote)

成都から西に65km、青城山は道教発祥の地として知られ、2000年に世界遺産に認定された。中国人にも人気は高く、幽玄な雰囲気の景勝地となっている。
付近の都江堰(とこうえん)は古代の巨大堤防権ダムで、こちらも堂々たる世界文化遺産。

青城山 (トリップアドバイザー提供)

世界最大の磨崖仏で有名な楽山大仏は成都から1時間半。803年に民衆の手によって建造されたという由緒正しき大仏で、こちらも世界遺産に認定されている。

楽山大仏 (トリップアドバイザー提供)

そして、成都郊外観光最大の目玉はカルスト地形の名勝、九寨溝と黄龍。
この世の物とは思えない、と称される絶景で、とくに紅葉の時期は圧巻。
実際に行った人の評価も非常に高い。
現地は標高3,000m程度となり、高山病に注意。

九寨溝 (トリップアドバイザー提供)


黄龍風景区 (トリップアドバイザー提供)

長期滞在なら、いっそトレッキングやチベット観光という選択肢も。
市内には多くのツアー会社があり、日本から手配するよりも格段に安い(ただし若干の中国語力or英語力を要する)。

成都から200km、四姑娘山は標高3,000m以上の本格的なトレッキングが楽しめる名所。煙った成都とは異なり抜けるような青空と冠雪の山々、森林と高山植物の織りなす美しい自然が楽しめる。チベット色も非常に濃厚なので、ラサに行く暇はないがチベット文化を堪能したいという方にもおすすめ。

四姑娘山 (トリップアドバイザー提供)



陳麻婆豆腐 (トリップアドバイザー提供)

山海の幸に恵まれ「天府」の異名をほこる成都。
成都の名物は辛くてしびれる四川料理と、小喫と呼ばれるストリートフード。
高温多湿でどんよりした気候が生み出した四川テイストは中国のみならず世界的に有名で、5つ星ホテルの洗練された名店から気軽な食堂まで、こぞってレベルは高い。中国語では「川菜」と表記している場合が多い。
代表的な四川料理は、麻辣と呼ばれる唐辛子と花椒が効いたもの。
麻婆豆腐、担担麺(本場は汁無し)などは日本でもお馴染みだが、回鍋肉、青椒肉絲、バンバンジー、宮保鶏丁(鶏とカシューナッツ炒め)といった辛くないものもある。

是非試してほしいのは火鍋で、真っ赤なスープにキノコ(やはり名物)や肉を入れた滋養あふれるもの。
火鍋のようなスープで肉や魚を煮込んだ料理もあり、水煮魚、夫妻肺片などと呼ばれる。


夫妻肺片 (トリップアドバイザー提供)

胃腸に自信の無い方もご安心を。
上掲通り辛くない料理のバリエーションも豊富で、ツーリストが集まる土地柄から各国の料理がある。また、素食と呼ばれるベジタリアン中華のお店も多い。


日本からの行き方

(空路)
直行便はANAと中国国際航空(ANAコードシェア便)が運行。意外にリーズナブルで、ANAのエコ割なら最安で4万円程度から利用できることも。成田発は1日2便で、朝に出る中国国際航空は同日夕方着、ANA便は夕方発で同日夜着。
他に、中部国際空港からの中国国際航空便、広島空港からの中国東方航空便もある(広島と成都は友好都市となっており、定期便がある)。

経由便ならば仁川、北京、上海などを経る便が一般的。4~5万円程度から。
上海に滞在し成都まで国内線を利用する場合、上海までLCCの春秋航空か中国東方を利用すれば3~4万円程度。上海-成都間が3万円程度で合わせて7万台。

(陸路)
成都は中国南西部の中核都市で、西安や昆明、重慶といった西部大都市との連絡は充実している。
西安から成都まで、鉄道なら13時間程度、バスで12時間程度。
重慶からは鉄道なら4時間程度、バスで5時間程度。重慶とは新幹線が通じており、所要2時間。

(パッケージツアー)
ANA直行便を利用したツアーが多い。シーズンにもよるが3泊4日で9万円程度。または2名から催行などの制約があることも。

(空港)
成都市の南西15kmに位置する成都双流国際空港は2つのターミナルを持ち、中国でも北京、上海浦東、広州白雲に続く4番目の規模を誇る。

空港から市内まではリムジンバスかタクシーを利用。
シャトルバスは市内の主要スポット、成都北駅、ホテルなどを経由する。料金10~12元。朝6時頃から19時まで(以下1号線は22時、2号線は20時最終)。
国際線の第1ターミナル3号出口を出るとバス停があるので迷うことはない。
機場専線1号線が岷山飯店まで、高速道路を使い所要30分程度。2号線は錦江賓館などを通って成都北駅まで、所要90分。3号線は成都東駅まで、やはり高速道で45分程度。4号線は新会展中心まで、40分程度。

宿にダイレクトにつきたければタクシー。市街中心部まで所要30分、50元程度。
バス、タクシー共に渋滞がひどい昼間の時間帯はより時間がかかる。

地理と気候

日本との時差はマイナス1時間。
辛い四川料理は成都の蒸し暑い気候の中で発展したもの。亜熱帯気候に属し、湿度が高く雲が多めで、カラっと晴れるような日は少ない。7~8月は雨が多い。

ベストシーズンは3~6月、または9月~11月頃。ただし10月1日の国慶節付近はホテルや観光地も混み合う。
1~2月でも東京の冬よりは過ごしやすい。九寨溝観光なら5月~11月頃。7月以降は水量が増えて美しく、秋には紅葉も楽しめる。


(画像:Google提供)

言語と通貨

公用語は中国語(普通話)。
外国人が多い店、レストラン、ホテルなどは英語が通じることも多いが、一般・街中ではあまり期待できない。
タクシーは中国語オンリーと考えて良い。中国語(簡体字表記)の地図か、筆談ができるようにペンと紙をもっていればOK。日本の漢字と現地の漢字は異なるため地名が日本語表記の地図は通じない場合も。

通貨は人民元(RMB)。1人民元=16.4円(14年5月時点)。概ね1人民元=15円と見ておけば良い。

物価はピンキリだが、四川省自体がやや貧しいこともあり貧乏旅行も十分可能。食事や宿は北京や上海に比べて相当リーズナブル。ホテルは古い寺院をリノベーションした雰囲気のある宿が5千円程度で利用できる。
タクシーは初乗り8~9元、1kmにつき1.9元。ガソリン代が1回乗車につき1元だったが廃止された模様。

両替はATMによる国際キャッシングか、日本か空港内の銀行など到着地で少額を両替し、レートの良い市内の銀行で必要な分を都度両替するのがお勧め。
外国人が行くような店ではクレジットカードも通じる。
チップ文化は無い。


(Wikipedia提供)

ビザと治安

中国を代表する大都市かつ観光地であるが、その割に治安は良い方。夜の1人歩きも多い。
ただし、あくまで外国としては安全ということであり、繁華街、観光地、夜間や裏通りなどには注意が必要。
空港の白タクが報告されている。また、サウナやカラオケバーで鼻の下を伸ばした男性がぼったくり被害にあう例も多い模様。

反日デモで有名になったが、特段反日感情が強い地域ではない。イトーヨーカー堂が支持され、市内中心に巨大なキャンパスを構える四川大学は日中国交正常化の1972年にいち早く日本語学科を設置するなど、むしろ親日的な土地柄。

観光目的の場合、15日以内の滞在はビザ免除。16日以上の滞在では観光ビザの申請を。

市内交通

(タクシー)
街中を普通に流しのタクシー(ひすい色のサンタナが多い)が走っており、料金が安いので地元の人もちゅうちょせず使う。

初乗りは2kmで9元。以降1kmごとに1.9元。

(地下鉄/鉄道)
成都地下鉄は2010年9月開通、中国西部地域で初めての地下鉄となった。
現在は市街を南北に貫く1号線と東西に延びる2号線が開通している。2015年までに3号線、4号線、7号線が開通する予定。

始発は6時半、終電が23時半頃。料金は2~6元程度。
切符はICカード形式になっている。利用の仕方は日本と同じ。
乗車前に保安検査がある。

「天府通」というスイカやパスモ同様のリチャージ式カードがあり、市内の地下鉄駅、キオスクなどでカードを作ることできる。デポジットは20元。

中国は列車大国で、全土を鉄道が結んでいる。
西安や昆明などの西部地域はもちろん、沿岸まで鉄道が通じている。
成都駅といえば一般的には成都北駅をさす。地下鉄1号線の「火車北駅」と接続している。駅舎は非常に巨大。
他に、成都東駅、成都南駅(1号線の「火車南駅」)がある。

(バス)
バスは縦横無尽に市内を結んでおり、使いこなせれば便利。
エアコンバスが一回2元。
ただし渋滞は非常に激しく、時間は読みにくい。

成都は西部地域の要衝でもあり、長距離バスのターミナルともなっている。九寨溝や楽山行きには直行バスが便利。

ホテル

ホテル代はおおむね安め。外資系の5つ星ホテルでも1.5万円程度。5千円も出せば豪華で広い部屋に泊まれる。
日本のビジネスホテルに近い形態のシングル中心のホテル(経済型酒店)も豊富で、ツインが3千円程度。

一般に国慶節(10月1日)、春節(旧正月)の季節は混み合い価格も上昇する。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
路上の携帯会社のカウンター、家電量販店、売店、コンビニ等でSIMが購入できる。
成都双流国際空港には携帯会社のカウンターはない。
大手の事業者はChina Unicom(中国聯通)、China Mobile(中国移動)など。

中国の場合は、アクティベートやリチャージの度にSMSでのやりとりがあり、中国語のメッセージを解釈する必要があるためSIMの利用はややハードルが高い。携帯会社のカウンターで設定してもらうことをおすすめする。ゲストハウスのスタッフに頼むという方法もある。

中国国内からYouTubeやFacebook・TwitterなどのSNSに接続する場合には閲覧規制がかかる。GmailなどGoogleの各種サービスも遅い傾向。日本の携帯を海外パケット放題でそのまま使うか、近隣国(香港など)でSIMを買い国際ローミングすれば接続制限を回避できる。VPN(Virtual Private Network)で回避する方法もあるが、うまくいかないこともある。

(Wifi)
無料のWiFiを開放しているカフェも多い。各国同様、スターバックスでも使える。
欧米ツーリストの多い開放的な土地柄から、「Facebook OK」などの看板を掲げたゲストハウスも多い。

4. 世界あの街この街: チェンマイ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第21回 チェンマイ:Chiang Mai


チェンマイ (トリップアドバイザー提供)

タイ国旗

【画像:Wikipedia提供】


見どころと特徴

タイ北部に位置する古都で、バンコクに次ぐ規模を誇る。史跡巡りや街歩きの他、サファリやトレッキング、少数民族巡りなど郊外観光の拠点でもある。
バンコクに比べのんびりしており、料理教室などのカルチャーやグルメも人気。
夜空に無数の灯籠を飛ばすロイ・クラートン祭りや春の水かけ祭りソンクラーンなど、イベントも盛ん。


チェンマイはタイ第2の都市※、とはいうものの人口27万人、面積は150km2とコンパクト。
広域都市圏人口が1,500万人に迫るバンコクとは比較にならないが、その分自然が豊かでのんびりしている。気候も南部よりは過ごしやすく、長期滞在にも人気が高い。

※人口は東北部の玄関都市ナコーンラーチャシーマーが40万人とチェンマイを上回るが、歴史的な経緯からバンコクに次ぐとされている。ちなみに、微妙な比較だが人口・面積共に日本の都市で規模が近いのは兵庫県加古川市(人口27万人、面積140m2)。

チェンマイの中心は、1.5km四方の堀と塀に囲まれた旧市街。さらにその外側を7km四方の環状路・スーパーハイウェイが囲んでいる。

街歩きの中心となるのは旧市街。
旧市街を歩いていると仏教史跡はイヤでも目に入ってくる。まずはマーケットを散策したい。
マーケットが並び特に賑やかなエリアは東側の「ターペー門」(Thapae)と南の「チェンマイ門」。
ターペー門から旧市街の塀の外、東に向かうターペー通り沿いはホテルやゲストハウスが密集している。
ターペー通りと直交するチャン・クラン通り(Chang Klang)沿いはナイトマーケット。このナイトマーケットがチェンマイ観光のハイライトと言っても過言では無い。3階建てのナイトバザールビル、ショッピングセンターのカレー・ナイトバザール(Kalare Night Bazaar)、通りの南側アヌサーン市場(Talat Anusarn)などのあたりを中心に夜店が建ち並び賑わう。
通りの北側、ワローロット市場(Kat Luang)のあたりは食料品が並び、昼から地元民で賑わっている。

ナイト バザール (トリップアドバイザー提供)

Kalare Night Bazaar (トリップアドバイザー提供)

(地図)


ターペー門から塀の中西側、市街の中心に向かって伸びるラチャダムヌーン通り(Ratchadamnoen)はサンデーマーケットで有名。露店が建ち並び、屋台メシや雑貨、マッサージ、果てはライブ演奏や大道芸など夏祭りの様相。一方チェンマイ門から城壁の外に伸びるウアラーイ通りはサタデーマーケットの舞台となる。銀製品の店が多く、ワット・シースパン(Wat Sri Suphan)という銀の寺もある。

Wat Sri Suphan (トリップアドバイザー提供)

史跡やミュージアムを見るなら、再びラチャダムヌーン通り沿いから市街の中心部へ向かう。
細かい石畳状の通り沿いには商店が建ち並び、ところどころに古い寺院が点在している。市街の中心あたり、通り沿いにはチェンマイを統治したランナー朝の建築を紹介するランナー建築センター、ワット・パンタオ(Wat Phantao)、巨大なワット・チェディー・ルアン(Wat Chedi Luang)などがある。一方北側には芸術文化センターや、チェンマイ最古の寺院ワット・チェン・マン(Wat Chiang Man)など。

芸術文化センター・三王像広場 (トリップアドバイザー提供)

ワット・チェディルアン (トリップアドバイザー提供)

ラチャダムヌーン通りの西端終点、黄金の三角屋根は市内最大の寺院ワット・プラ・シン(Wat Phra Sing)の礼拝堂。

ワット プラ シン (トリップアドバイザー提供)

城壁の外側にも寺院やマーケットが点在している。
ワット・プラ・シンをつっきってスアン・ドーク門(Suan Dok)を出ると旧市街の東側。ラチャダムヌーン通りはステープ通り(Suthep)と名を変え、広い並木道となる。
通りをしばらく行った南側には広大なワット・スアン・ドーク(Wat Suan Dok)寺院の境内。寺院の正面北側はチェンマイ大学の施設(Meeting Room)。

ワット・スアン・ドーク (トリップアドバイザー提供)

大学施設の向こう側、キャンパスにそって北に延びるのはニマーンヘミン通り(Nimmanhaemin)。キャンパスの緑を超えると個性的なショップやカフェが集まるショッピングエリアとなっている。

Sahara Thai (トリップアドバイザー提供)

ニマーンヘミン通りに直交するフアイケーオ通り(Huay Keao)から再び旧市街に向かうと、巨大なショッピングセンター、カードスワンケーオ(Kad Suan Kaew)がある。

Kad Suan Kaew Shopping Centre (トリップアドバイザー提供)

更に外側、スーパーハイウェイ沿いは巨大なショッピングセンターなど郊外型の店舗が点在する。バイクでハイウェイ沿いや、さらに郊外へとあてもなくのんびり向かうのも楽しい。


郊外の見どころでは、まず市街の西側にある巨大な寺院ワット・プラタート・ドイ・ステープ(Wat Phra That Doi Suthep)。
そしてメーサ・エレファントキャンプも人気が高い。

ワット・プラタートドーイステープ (トリップアドバイザー提供)


メーサー エレファント キャンプ (トリップアドバイザー提供)

タイ北部のアクティビティといえばトレッキング。日帰りのカジュアルなツアーでも十分アウトドア気分が味わえ、少数民族の村に訪れることもできる。
あいにくというか幸いにというか、タイ最高峰のドーイ・インタノン(Doi Inthanon;2,556m)は頂上まで車道が通じている。純粋な山登りを味わうならタイ第2峰のドーイ・パーホムポック(Doi Pha Hom Pok)やチェンマイ北部のドーイ・チェンダオ(Doi Chiang Dao)。いずれもチェンマイから豊富に現地発着ツアーが出ている。山登りに疲れたらサンカムペーン温泉(San Kamphaeng)で疲れを癒やそう。

Doi Ang Khang (トリップアドバイザー提供)

さらにタイの北へ向かうツアーもあり、女性が首を長く伸ばす風習でおなじみカレン族の村や、白亜の名物寺ワット・ローン・クン(Wat Rong Khun)、アヘン栽培で名をはせたゴールデントライアングルなど、その手のスポットが好きな方々も楽しめることうけあい。

ワット・ロンクン (トリップアドバイザー提供)


アヘン博物館 (トリップアドバイザー提供)

4月であればタイの旧正月、バンコクでもおなじみの水かけ祭り(ソンクラーンフェスティバル;Songkran)で賑わう。
そして11月はローイ・クラトン(Loy Krathong)。チェンマイのローイ・クラトンは川に流す形式では無く、夜空に無数の天灯(コムローイ;Komloy)を飛ばす幻想的な光景が有名で、世界中から観光客が集う。

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(写真:tabinote)

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(写真:青木大地)

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Lemongrass Thai Restaurant (トリップアドバイザー提供)

辛くて酸っぱいトムヤンクンでおなじみタイ料理。
チェンマイのあるタイ北部の料理は、ココナツミルク控えめながらコクのあるしっかりした味付けと、もち米の常食が特徴。
本来タイ北部の料理はマイルドな味付けだが、激辛でおなじみ東北部イサーン料理の名店も多い。イサーン料理はタイ人が皆大好きな味で、評判のいい店はいつも賑わっている。
チェンマイ/イサーン名物といえば、カレー風味の麺「カオソーイ」、激辛ソーセージ、肉と野菜をあえた「ラープ」、タレに漬けて香ばしく焼いたタイ式焼き鳥の「ガイヤーン」、青パパイヤのサラダ「ソムタム」など。
宮廷都市の趣を味わうなら名物料理「カントーク」がある。間仕切りのある丸いお膳に様々なおかずがならぶ人気料理。
激辛が苦手でも心配なく。世界の旅行者が集うことから各国料理の店も豊富で、日本料理店も増えている。

Thai Orchid Cookery School (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
チェンマイへの直行便はなく、バンコク経由で入る場合と、近隣国から入るルートがある。

バンコクまでは直行便で最安6万円程度。総額で7万円程度。バンコクからはタイ国際航空、エアアジア、ノックエアなど国内線が豊富に出ており、バンコクから1万円ほど。所要1時間。
バンコク便は日系、タイ系、米系、中華系、アジア系など多くの選択肢があり、日本の地方空港からもタイ国際もしくはJAL便がある。直行便であればデルタかタイ国際がおおむね安い。HISのジェットアジアチャーター便があればそちらが最安となることも。
羽田発なら深夜発でバンコクに早朝到着するなど週末トリップにも最適。

近隣国からなら、台北や北京、香港、クアラルンプールなどを経由する便が一般的。
ほとんどの場合、エアアジアのクアラルンプール経由が最安値となり、乗り換え時間も短い(羽田を深夜出て翌夕方チェンマイ着)。シーズンにもよるがエアアジアなら総額4万円程度でおさまる。
バンコクに寄る用事がなければ、費用的にはエアアジアのクアラルンプール経由一択となる。

(パッケージツアー)
パッケージツアーはバンコクに比べそれほど安くなく、4泊5日で燃油込みで7万円程度から。祭りの時期はより高め。

(陸路から)
やはりバンコクからバス、鉄道で行くことができる。
長距離夜行バスの場合所要10時間程度、寝ている間にチェンマイに到着する。費用は2等450バーツ程度、豪華VIPバスで900バーツ程度。

バンコクとチェンマイを結ぶ鉄道はタイ国鉄北線。クルンテープ駅からチェンマイ駅まで所要12時間程度。2等席700バーツ程度、個室寝台で2000バーツ程度。

タイ国鉄には20日間有効の外国人向け乗り放題パス(Visit Thailand Rail Pass)がある。フワランポーン駅で購入できる。急行・寝台料金込みのレッドパスが3000バーツ、含まないブルーパスが1500バーツ。

ラオスからの国際バスもある。
ラオス、ミャンマーなど隣国から陸路で入国する場合はビザ免除日数が15日となる。

(空港)
空港はチェンマイの中心部より4km程度と近い。エアポートタクシーで旧市街まで定額120バーツ、15分程度。

地理と気候

日本との時差は2時間。日本の正午が午前10時。

タイは熱帯に属し、年間を通じて暑い。
一方、チェンマイは南西にはタイ最高峰ドーイ・インタノンを擁し、北にも2,000m級が連なる山がちのエリアにある。チェンマイの標高自体は海抜300m程度。
バンコクに比べて北に位置することもあり、乾季の12月~1月は朝晩の気温が10度程度まで下がることも。一方で昼は30度近くまで上がる。

快適なのは10月半ば~2月半ばの乾期で、湿度が低くさわやか。
2月後半~5月半ばまでは暑期となり、湿度・気温共に上昇。昼の気温が40度を超える日も珍しくない。5月半ばを過ぎると雨期に突入し、熱帯特有の激しい雨がふる。道が泥流になることもあるので、履き物に注意。


【画像:Google提供】

言語と通貨

公用語はタイ語。看板を読んだりぼったくりを防止するためにも、数字くらいは覚えていけると便利。
タイ数字 (Thailingual)

ホテル、中級以上のレストラン、観光地の施設やガイドとのやりとりでは英語が通じる。

通貨はバーツ。1タイバーツ=3.2円(14年4月時点)。
物価はバンコクやプーケットといった大都市・リゾートに比べれば安め。
外食はタイ料理屋なら50バーツ程度と、日本円で150円程度から。日本食レストランは少し高く100バーツを超える。とは言え300バーツあればちょっとしたぜいたくが味わえる。
他、ミネラルウォーターは500mlで7~8バーツ、ビールは350ml缶で30バーツ。
ホテル代もバンコクの2/3程度、3つ星ホテルで4,000円程度。2,000円程度の手ごろなホテルでも清潔で快適。
マッサージも安い。1時間で100バーツ程度と日本の1/10以下。

商品代金には7%の物品税(Value-Added Tax)が上乗せされているが、同日に同一のお店で2,000バーツ以上購入した場合には払い戻しの制度がある。手続きは出国時にチェンマイ国際空港、もしくはバンコクの空港で。


【画像:Wikipedia提供】

両替は万国共通でATMによる国際キャッシングが手軽。
市内には両替商が多くあり、銀行よりもレートは良い(とはいえ旅行者が一度に両替する程度の金額であれば、気にするほどの差はでない)。

日本国内ではレートが悪いので、必ずタイ到着後に空港のATMでまとめておろすか、市内までの移動費のみ調達し市内の両替商で両替すること。

チェーン店や高級な土産店ではクレジットカードが使えることが多い。
チップはほとんど必要無いが、ポーターには10バーツ程度。ガイドやサービスチャージの無い高級なレストランでは1割程度。

ビザと治安

治安は全般に安全とされているが、スリ、詐欺などが横行している。
チェンマイの場合ナイトバザール、ワローロット市場などでは周囲に注意すること。

2008年には反タクシン派の「市民民主化同盟」(PAD、「黄シャツ」)による空港占拠、2009年にはタクシン元首相支持派の「反独裁民主戦線」(UDD、「赤シャツ」)によるデモが発生している。
2013年末から続く反政府デモ(赤シャツ)は2014年4月時点でも継続中。
チェンマイはタクシン元首相の出身地でありデモが拡大する可能性は低いものの、バンコク経由で入出国する際には情報収集しておくこと。

公共交通機関や密閉した建てものでの喫煙は禁じられており、違反すると2,000バーツの罰金。

観光目的の場合、30日以内の滞在はビザ免除(空路の出国航空券が必要)、陸路は15日以内。

市内交通

(タクシー・トゥクトゥク)
車体が青と黄に塗られたメータータクシーは初乗り2kmで40バーツ…、となっているが、実際にメーターで行ってくれることは少ない。
流しのタクシーを拾うことは難しく、空港やショッピングセンター、ホテルなどで待機している。半日貸し切って800バーツ程度が目安。

三輪タクシーのトゥクトゥクは交渉制。タクシーよりは安い。最低50バーツ程度。
運転は荒いが安くて手軽、個人旅行者がお世話になることが多い。

ソンテウ
トラックの荷台を客席に改造した乗り合いタクシ-。
赤いソンテウはタクシー的に行き先を指定できる。旧市街の移動ならおおむね20バーツ程度。赤以外のソンテウはルートの数字が付いており決まった路線を運行するバス的な乗り物。15バーツ程度。

レンタルバイク
公共交通機関があまり発達していないため、レンタルバイクがあればぐっと行動範囲が拡がる。チェンマイはコンパクトで、朝の旧市街を除けばそれほど渋滞もひどくないし、郊外観光も容易となる。
レンタル屋はターペー門やナイトバザールなど至る所にあり、ホテルにデリバリーしてくれるところもある。パスポートを預けて借りる場合が多い。
ヘルメット装着と常時のヘッドライト点灯が義務づけられている。メットは店で借りられるが、汚なさが気になるなら新品を買ってもたいしてかからない(もしくは帽子の上からかぶる!)。

100ccのスクーターで1日100バーツ程度、ベスパやビックスクーターなら200~300バーツ程度。借りる際にはガソリン残量を確認し、返却時のルールと最寄りのガソリンスタンドを教えてもらおう。

ホテルとシーズン

安ホテルなら500バーツ~、中級ホテルが1,000バーツ~、高級ホテルが2,000バーツ以上といったところ。ゲストハウス個室は300バーツを切るものも。
全般にホテルは安めで、祭りの時期を除けば空いている。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
代表的なモバイル通信事業者はアドバンスト・インフォ・サービス(AIS)、DTAC、True Moveなど。

各社共に旅行者向けのパッケージがあり、たとえばDTACの Happy Tourist SIMは299バーツで7日間の無制限インターネット接続。850/1800/2100MHz対応。AISは1Gのハイスピード(とはいえLTEではなく3G)+7日間無制限(ただし64kbps)。
True Move Hはなんとチェンマイ国際空港で同様のSIMを無料配布している。

コンビニの他、ナイトバザール南端のパンティッププラザなどに旅行者向けのSIMがそろっている。
設定は店員にしてもらうのが無難。

(Wifi)
カフェやレストラン、公共施設などでWiFiが整備されており、ほとんどが無料。
パスワードが必要な場合は店員に聞けば教えてもらえる。

AISがタイ情報技術通信省(ICT)と組んで無料のWiFiホットスポットを設置している。1ヶ月で最大5時間利用できる。また、SIMを持っていれば携帯会社のWiFiを利用できる。

4. 世界あの街この街: ホーチミン


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第20回 ホーチミン

ドンコイ通りの写真
ドンコイ通り (トリップアドバイザー提供)

ベトナム社会主義共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

フランス植民地時代の美しい街並み、ヘルシーなベトナム料理、キッチュな雑貨などが楽しめる人気の観光スポット。街歩きやショッピング、グルメの他、メコン川日帰りツアーで郊外の素朴な村や自然を体感することができる。

ホーチミンは旧称サイゴン、1976年の南北統一とともに初代大統領にちなんで改称した。市街は面積およそ2,100km2と東京23区程度の広さだが、旅行者がおとずれる中心地区は1km程度の範囲に集中している。
とはいえ、とくだん目立つ史跡や観光名所があるわけではなく、もっぱら街歩きを楽しみたい街。猥雑な市場やバイク群、活気あふれる近代的なモール、植民地時代の瀟洒な建物など街マニアには満足度が高い。もちろん物価の安さもうれしい。

ホーチミンの中心街は格子状に街路が直交しており、慣れれば容易だが最初は意外に迷いやすい。ドンコイ通りとサイゴン川、ドンコイ通りに直交するレロイ通りとベンタイン市場のロータリ-、9月23日公園と隣接するファングラー通りあたりの位置関係を覚えておけば迷うことは無い。ドンコイ通りは高さ265メートルのビテクスコ・フィナンシャルタワーのふもとと覚えておこう。

ホーチミンGoogle マップ(地図-A:ドンコイ通り、B:ベンタイン市場、C:ファングーラオ通り、D:ビテクスコ・フィナンシャルタワー)

ドンコイ通り(Dong Khoi)はホーチミンのシャンゼリゼ通りとも称される最大の目抜き通り。フランス統治時代の洋館や近代的なショッピングセンター、ブランドショップなどが軒をつらねる。通りはサイゴン川に面した名物ホテル、マジェスティックから始まり、オペラ座(市民劇場)を経てサイゴン大教会、中央郵便局まで続く。
2012-09-11 15.47.39
(写真tabinote:ドンコイ通り/サイゴン オペラ ハウス)

2012-09-13 00.12.01
(写真tabinote:サイゴン中央郵便局)

ドンコイ通りの北側に並行するハイバーチュン通り(Hai Ba Trung)沿いは外国人向けのレストランやバーが並ぶ憩いの通り。よそ行きのドンコイ散策に疲れたらここに避難。

オペラ座からドンコイ通りに直交して南西に延びるのはもう一つの目抜き通りであるレロイ通り(Le Loi)。人民委員会裏の通りはパスター通り(Pasteur)と呼ばれ、雑貨店やアパレルが密集するショッピングストリート。
レロイ通りから国営百貨店をすぎてまっすぐ進むとホーチミンの台所、ベンタイン市場(Cho Ben Thanh Market)へ。観光向けの部分もあり値段はふっかけてくることが多い。

ベンタイン市場の写真
ベンタイン市場 (トリップアドバイザー提供)

市場の向こう側に拡がる賑やかな細長い公園が9月23日公園。公園沿いはファングラー通り(Pham Ngu Lao)で、南に並行するブイビエン通り(Bui Vien)、直交するデタム通り(De Tham)一帯と共に安宿街を形成している。万国の安宿街に共通するゆるい雰囲気のただよう居心地のよいエリア。カフェでくつろいだり安い現地ツアーを探したりはこの辺りで。
ファングーラオ通りの写真
ファングーラオ通り (トリップアドバイザー提供)

ここで、歴史・ミリタリー好きにおすすめしたいのは戦争証跡博物館(Bao Tang Chung Tich Chien Tranh)とヤンシン市場(Dan Sinh Market)。
前者はサイゴン大教会の西側、文化公園に隣接するベトナム戦争の資料館。朽ちた砲弾や焼け野原となった大地の映像、鹵獲された戦車やヘリなど、生々しい展示は必見。
戦争証跡博物館の写真
戦争証跡博物館 (トリップアドバイザー提供)

ヤンシン市場はデタム通りの近く、昔の秋葉原を彷彿とさせる、電機部品や工具の市場。ミリタリーグッズも多く、ジッポーや軍装品が手に入る。

ベンタイン市場での値段交渉にうんざりしたら、タクシーで南西の5区、チョロン地区(Cho Lon)に行ってみよう。この一帯は華僑の住むチャイナタウン。地区の東西にはそれぞれアンドン市場(Cho An Dong)、ビンタイ市場(Cho Binh Tay)という巨大な市場があり、ベンタイン市場よりはるかに安く買い物ができる。
中華街 (チョロン) - 5 区の写真
中華街 (チョロン) – 5 区 (トリップアドバイザー提供)


郊外観光で代表的なのはビーチリゾートのニャチャン(Nha Trang)やブンタウ)(Vung Tau)、高原リゾートのダラット(Dalat)など。メコンデルタの街ミトー(My Tho)はメコン川クルーズの起点として訪れる観光客も多い。

Ann Tours - Private Day Toursの写真
Ann Tours – Private Day Tours (トリップアドバイザー提供)

そして、前出の戦争証跡博物館と並んで是非訪れて欲しいのがホーチミン市街から70km、クチにある巨大な地下トンネル。全長250kmにもおよぶ手彫りのトンネルで、ゲリラ戦の過酷さを一時だけだが体験することが出来る。ホーチミンからの日帰りツアーも多い。
クチトンネル(ベンユォック)の写真
クチトンネル(ベンユォック) (トリップアドバイザー提供)

VELTRA


ベンタイン市場の写真
ベンタイン市場 (トリップアドバイザー提供)

生野菜やハーブをたっぷりと使うのが特徴で、健康によく見た目に美しいベトナム料理は日本でもすでにおなじみ。伝統的に中華料理の影響を受けながらも、脂っこさや辛さは控えめ。かつ米食文化で、うまみや発酵食品を上手に利用するなど、日本人にもなじみやすい要素が揃っている。フランス統治の影響から、バケットやコーヒーなどの質も高い。

ホーチミンのある南部はいわゆる東南アジアのテイストに近く、生春巻きやパパイヤサラダが代表格。ココナッツミルクの効いた比較的マイルドなカレーも南部風。
北部の料理は米飯としょっぱいおかずという日本に似たテイスト。
ただし、フエ料理といえば魚介や薬膳など高級食材を美しく盛りつけた宮廷料理。

ホーチミン市内にはおしゃれなレストラン、フードコート、レベルの高いフランス料理や中華料理店などが豊富。
屋台もおいしく、申し訳ないほど安い。フォーの専門店や、好きなおかずを盛りつけてもらう総菜屋(クアンコム)など名前もわからないメニューの数々に目移りしてしまう。ベトナム風サンド、バインミーは1個でお腹いっぱいになる。
食の好奇心が旺盛な方もご安心を。野生動物やヘビなど、日本では難しい食材の専門店も探せば見つかる。

Saigon Street Eatsの写真
Saigon Street Eats (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
ホーチミンへのアクセスは良好で、JAL、ANA、ベトナム航空が毎日成田からタンソンニャット国際空港まで、直行便を運行している。
ベトナム航空は朝発、現地午後着と夜発。翌深夜着の1日2便。JALとANAは夕方発・現地夜着。往路所要7時間程度。
関空からもベトナム航空の直行便が毎日就航しており、午前発・午後着。他、中部国際空港、福岡空港からも便がある。

乗り継ぎの場合、東南アジアの都市や中国・台湾などが経由地になる。直行便も安いのでよほどの掘り出しものでなければ直行便に軍配が上がる。
ハノイから国内線で向かう方法もある。ハノイへの便も豊富で毎日JAL、ベトナム航空の直行便が就航している。
ハノイからホーチミンまではLCCが安い。

(陸路)
上級者向けの陸路ルート。所要時間もかかり体力も必要。

ハノイから入った場合、ホーチミンまでの1,700kmに渡って鉄道が通じている。通称南北統一鉄道。ハノイから乗った場合、ホーチミンまで所要30時間以上。
近隣国の中国、カンボジア、ラオスから国際バスや鉄道で入国できる。
中国の場合は南寧からハノイへの国際鉄道がある。
ラオスは最も長くベトナムと国境を接している。ビエンチャンからハノイ、フエ、ダナンなどに国際バスが運行している。
カンボジアの南側はホーチミンに近く、プノンペンとホーチミンの距離はわずか300km程度。直行バスで所要6時間程度。

(パッケージツアー)
ソウルやバンコクと並んで格安ツアーの目玉になりやすいベトナム。3~4日間程度のツアー(実質現地1日半~2日程度)が燃油込みで4万円程度からあり、航空券代を下回るものも。
ホテルを別に予約したとしても、パッケージツアーを調べておくと思わぬ掘り出しものに出会えるかも。

(空港)
ホーチミンの玄関口はタンソンニャット国際空港。かつては南ベトナム軍の管理下にあり、サイゴン国際空港と呼ばれた。
2007年に国際線の新ターミナル(ターミナル2)が開設され近代的な設備に生まれ変わっている。
ホーチミン市の北西、市街から8キロという好立地で、交通機関がそれほど整備されていないにもかかわらず空港アクセスは良い。タクシー、バス、ホテルの送迎などを使って市内にアクセスする。2015年には地下鉄が開業する予定。

タクシーは後述の「市内交通」を参照のこと。
空港タクシーは旅行者からぼったくろうと手ぐすね引いている。
プリペイドタクシーは比較的安全とされる。料金はメーターの場合市中心までおおよそ6USドル(約12万ドン)、プリペイドの場合8~10USドル(約16万~20万ドン)程度。
ただし、6ドルでスムーズに行ってくれるドライバーは少ない。出口で空港道路通行料5千ドンを払う必要がある(プリペイドの場合上乗せされているケースがあるらしいが、旅行者の証言によりかなり異なる)。所要20~30分程度。

安く市街に行きたい場合は市バス。安いだけでは無く安全でもある。
乗り場は国際線ターミナル到着フロア、ビルの右斜め前。
朝6時から午後6時40分まで、20分おきに運行しており、料金は5,000ドン(25円程度)と格安。荷物のサイズによって追加料金がとられる場合がある。終点はベンタイン市場近くのベンタイン・バスターミナル(=サイゴン・バス・ステーション)。所要30分程度。


地理と気候

ベトナムは東南アジア、インドシナ半島の東側海側を占め、国土は南北1,700km、東西600kmにおよぶ。ホーチミンはほぼ最南端で、北緯10度の赤道付近。典型的な熱帯性気候で、年間通して平均30度以上。
乾季の12月~4月がベストシーズン。5月から11月は雨季で雨が多い。

日本との時差はマイナス2時間。日本の正午が午前10時。サマータイムはない。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はベトナム語。
フランス領であったがフランス語の通じる可能性は高くない。
英語は観光客向けの商店、カフェでは通じる。若者に通じる場合もある。
漢字文化圏であったが公的な使用は廃止され、現在は声調(声の上がり下がりで語を示すルール)を表記できるクオック・グーというアルファベットが用いられる。ベトナム語の声調は6種類あり、語順によって意味が変わる文法の独特さもあって日本人が習得するハードルは高い。

物価は諸外国の中でも屈指の安さであったが、インフレと円安でうまみはうすれてきた。
それでも、交通機関、ホテル、食事という旅行者の3大支出はおおむね低い水準をキープしている。
Tripadvisorの「旅行者物価指数」によると、ハノイの場合(ホーチミンは記載が無い)ディナー代は各都市の中で最低レベル。タクシーも初乗り50円、ホテルはドミトリーなら数百円から、3つ星でも5,000円未満。食費の安さはありがたく、麺類やローカル食堂なら1食100円程度ということも。

もっとも何事もピンキリで、高級ホテルになれば1泊1万以上、食事もレストランなら日本と変わらない値段になることも。

通貨はベトナム・ドン(VND)。1ベトナム・ドン=0.0049円(14年4月時点)。
1万ドン=50円、2万ドン=100円=1USドルと覚えておくと便利。
物品には10%の消費税(VAT:Value Added tax)がかかる。
ちなみに1人あたりGDPの比較では、ベトナムは日本のおよそ1/20未満。日本の100円はベトナムの2,000円程度の価値がある、と考えておくと使いすぎないかもしれない。

両替は万国共通でATMによる国際キャッシングが手軽。両替手数料が数パーセントかかる。

日本国内でベトナム・ドンに両替することは出来ない。ホーチミン市内で日本円も問題無く両替できる。
市中に両替所は多く、レートは
 両替所>銀行>ホテル
となる。ツーリストが集まるドンコイ通りには多くの両替商がある。

クレジットカードが通じる場面は多い。VISAかマスター推奨。

ベトナム・ドンは再両替のレートが悪いため、あまり一度に多く両替しない方がよい。
いっそベトナム・ドンに両替せず、USドルとクレカでなんとかしてしまうという手もある。USドルが通じる店は多く、そもそも高級ホテルなどはドル建て表示の場合もある(ただし、通達により将来的にはベトナム・ドン払いに統合されていく模様)。
一般にドンの方がレートは良く、両替もUSドルからより日本円からの方がレートが良い。

チップの習慣は無いが、たかってくる事例は多数。旅行者に頼んでもいないサービスを押し売りしUSドルのチップを請求されたら、1USドルのチップはおよそ2万ドンの価値であることを思い起こしたい。彼/彼女のそのサービスに2万ドンの価値があるか…?
市中で2万ドンあったら何が買えるか把握しておくとよいかも。


(画像:Vietnam Navi)


治安とビザ

全般に治安状況は良いが、ぼったくりタクシーや置き引きなど観光地に特有のトラブルは多い。窃盗、詐欺、いかさま賭博、ひったくりの他、性風俗・売春にまつわる被害も多い。
パスター通り、ドンコイ通り、ベンタィン市場などの繁華街や駅、ショッピングセンターではスリ、ひったくりに注意。夜間の1人歩きは避ける。

ほとんどのタクシーはメーター制だが、正規の業者をまねた偽装白タクなどトラブルは多い。白タク、バイタク、シクロにはトラブルが付きものと考えて、利用する時は自己責任で。たとえ交渉がスムーズに進んでも無事支払って降りるまで油断しない方が良い。
なお、交通事情は非常に悪く、慢性的に渋滞している。

軍事施設(鉄道、駅、港湾、橋梁なども含まれる)、軍人、警官などにカメラを向けない方が良い。

宗教上・慣習上の注意として人の頭に触れないこと(特にこどもの頭をなでたりしないこと)。寺院で肌を露出する服装は避ける。政治的な話題も避けた方が良い。


市内交通

2012-09-15 10.13.00
(写真tabinote)

(タクシー)
ホーチミンは地下鉄がなく(2020年開業予定)、現状旅行者にとってタクシーが移動の主役。
正規のタクシーは車体に社名と電話番号の表記があり、天井にTAXIの表記がある。もちろんメーター制。

白タク、偽業者の中にはメーターを倒さず、旅行者からふったくろうとするドライバーがいる。正規の業者でも、ドライバーによってそういったぼったくりタクシーの事案が報告されている。以下の信頼できるタクシー意外乗らない方が無難。

安全とされるのは、Vinasunタクシー、Mai Linhタクシー。

Vinasunタクシー

(画像:Vinasun Taxi)
車体は白、緑と赤のライン・
http://www.vinasuntaxi.com/contact-us

Mai Linhタクシー

(画像:hantaxi.com)
写真は白地に緑のサインだが、オールグリーンのクルマもある。
http://www.mailinh.vn/

他にSaigon Tourist、黄色い車体のVinaタクシーなども比較的評判がよいとされるが、媒体・体験者により評価にだいぶバラツキがある。

Saigon Tourist

(画像:Saigon Tourist)
http://saigontourist-stt.net/taxi/

Vinaタクシー

(画像:vietnamtravel.org)

料金は安い。会社によって異なるものの初乗り2キロがおおむね1万2000ドン~1万5000ドン。

ベトナムタクシーの注意
・上述通り、知らない業者、怪しいタクシーは避ける。そっくりな会社ロゴを貼っている偽タクシーもいる。ロゴがチープ、車体がボロボロか古いなどのタクシーも避けること。知らない会社のタクシーであれば、電話番号が覚えやすい表記かどうかも判断材料(8111 111 や 27 27 27 27など)。長年同じ番号で営業している目安となる。
・メーターはゼロが2つもしくは3つ省略されている(「20」と表記されている隣に「x1000VND」とあれば、20×1000=2万ドンということ、「X100VND」ということもある)ことがある。勝手に「20だから20万ドンだ」「20米ドルだ」などと偽る悪徳タクシーがいるので注意。
・メーターの回転が異常な速さの場合は速攻降りる。通常1km7,000ドン程度。
・空港と観光地はデンジャラスゾーン。旅行者からぼったくろうとタクシーが待ち構えている。空港はプリペイドカウンターがあるので、そこで手配すると安全。また、到着階ではなく出国階に移動しお客を乗せてきたタクシーをひろうという手も。観光地も少し歩いて、離れた場所で信頼できる流しのタクシーをつかまえるか、ホテルなどでタクシーに乗る。
・地図が読めない、おつりの計算が苦手なドライバーが多いとされている。ぼったくりではなく単なる間違いの可能性もあるのでそのあたりは大目に見る寛容さも必要。地図よりも住所を書いたカードの方がよい。

(バイクタクシー)
値段は交渉制でいろいろとモメる可能性があり、ガイドブックなどでも利用しないよう促す記述が多い。
しかし、慢性的な渋滞のホーチミンでつかいこなせればこれほど便利なものはないのも確か。料金交渉やトラブルをうけながせるような状況であれば利用するのも悪くない。

おおむね、料金は同距離をタクシーで行く場合の2/3程度を交渉の目安に。
ファングーラオからドンコイ通りまでおおむねタクシー1メーターの距離2km、1万~1万2千ドン程度。

料金交渉が面倒であれば1USドル札を沢山もっておくと良い。市内であれば大抵の場所は1ドルで行ってくれる。

観光案内や、男性の場合はマッサージ(風俗)を持ちかけてくるケースが多い。多くの場合はトラブルにつながるので自己責任で。

自転車リヤカーのシクロは完全に観光客向け。
料金交渉は根気が要ることも。

(バス)
市内バスはどこまで行っても均一で5,000ドン。使いこなせれば大変便利。
ドライバーは英語が通じない。自分の乗る路線のバス停で手を上げてバスを止め乗車。乗る際に、行き先バス停名のメモ(ベトナム語)を見せておくと降りるバス停で教えてくれる。

空港からの152番はエアコンバス。
普通の市バスにはエアコン無しのものもあり、混雑の中悪路を数時間過ごすのはなかなかハード。

バス料金に外国人枠の料金は無い。


ホテル

代表的なホテル街は目抜き通りのドンコイ通り。創業1925年の名物ホテル、マジェスティックやシェラトンをはじめ高級ホテルが多い。
安宿が集まるのはブイビエン通り・デタム通り。世界の安宿街に共通して安いメシ屋やツアー会社、ネットカフェなどが多く、長期滞在して情報収集するには便利。

高級ホテルは1泊100ドル以上。
中級で50ドル以上。このグレードでも1人なら十分な広さの快適な部屋に泊まれる。1泊30ドル程度のホテルはミニホテル、エコノミーホテルなどと呼ばれるが、清潔でビジネスセンターなどをそなえたものもある。
いわゆるドミトリー、ゲストハウスはそれほど多くないが、1泊10ドル程度。

客室はツインルームが多い。ルームチャージ制ではなく1人か2人かで値段が異なる。また、一般に15%の税金がかかる。

ホテル マジェスティック サイゴンの写真
ホテル マジェスティック サイゴン (トリップアドバイザー提供)


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ベトナムはプリペイドが主流で、旅行者も問題無くSIMを購入できる。
ベトナムの携帯会社は最大手のMobiFone、VinaPhone、Viettel Mobile、ロシアとの合弁Gmobile (Beeline)など。

後述の通り、無線LAN網が充実しているため、インターネット接続のみであればそちらを選択するという手も。市中の3G回線は実用的な速さだが、上限容量の速度制限にひっかかると何も出来なくなるほど遅い。

SIMは市中の携帯ショップや個人経営の店まで多くの場所で取り扱っているが、英語が通じる可能性を考え空港で購入し設定までまかせてしまった方が良い。通話がいらないのであればデータ通信のみのプランを選択。

料金はきわめて安い。

MobiFoneの場合、
・D1パッケージ:150M/日:8000ドン/日
・MIUパッケージ:600M/月:7万ドン/月
・BMIUパッケージ:3G/月:20万ドン月
など。
MobifoneのSIMが挿さっていれば、携帯から「9393」で24時間の日本語サポートを受けることが出来る。

VinaPhoneの場合、
・M50パッケージ:500M/月:5万ドン/月
・M120パッケージ:1.5G/月:12万ドン/月
・MAX200パッケージ:無制限/月:20万ドン/月(ただし3G以上は32kb/s制限)
など。

Viettel Mobileの場合、
・MI50パッケージ:450M/月(以降50kbごとに75ドン):5万ドン/月
・MIMaxパッケージ:無制限/月:7万ドン/月(ただし600M以上は速度制限)
・Dmax200パッケージ:無制限/月:20万ドン/月(ただし3G以上は速度制限)
など。

(WiFi)
WiFiの充実度はすばらしく、ほとんどのカフェ、レストランでWiFiが利用できる。
ケンタッキー、ロッテリア、スターバックス、ピザハットなどの外資チェーンはもちろん、現地系であってもチェーン店ならばほぼ確実にWiFiが通じている(※)。パスワードはテーブルに置いてある場合もあれば、店員に告げて受け取る場合もある。

ホテルは高級ホテルでも安宿でもおおむね無料でWiFiを提供している。

※ちなみにマクドナルドは14年2月にベトナム第1号店が開業したばかり。

4. 世界あの街この街: マラケシュ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第19回 マラケシュ

Marrakech Photos
This photo of Marrakech is courtesy of TripAdvisor

モロッコ王国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

イスラムのエキゾチックで美しい街並みやスパ、ショッピングなどの魅力が広まり、ヨーロッパから手軽に行けるリゾートとして近年日本からの旅行者も急増している。タジン鍋をはじめとして、色鮮やかで奥深いモロッコ料理にハマる旅行者も多い。世界遺産の市街地散策の他、砂漠のツアーや熱気球、4,000m級のアトラス山脈超えなど自然を体感するアクティビティも人気がある。
北アフリカの観光地、エジプトやアルジェリアが政変などで観光客を減らす中、注目度は拡大中。

カサブランカの空港から鉄道で向かった場合、マラケシュの駅があるのは新市街(ゲリーズ;Gueliz)。いくつかの広場を中心に大通りが放射状に延びる意外に現代的な街並み。駅も近代的で美しい。
新市街には現代的なカフェや値札の付いたスーパーもあるので、旧市街の喧噪に疲れたらここに宿を取るという手もある。
Station Marrakeshの写真
Station Marrakesh (トリップアドバイザー提供)

駅から南東方面に徒歩20~30分でメディナ(Medina)と呼ばれる旧市街に出る。
駅から大通り(ハッサン2世通り;Ave. Hassan II)を東に向かい、放射状の交差点が11月16日広場(Pl. du 16 Novembre)。モハメド5世通り(Ave. Mohammed V)を南東に向かうと、旧市街の城壁が現れる。
バスで向かう場合には11月16日広場のマクドナルドからバスが出ている(1番;クトゥビア行)。
モロッコ   Google マップ
(地図:左側赤枠が駅、右手青枠が旧市街)

マラケシュはゲームやマンガなどファンタジー世界でおなじみの城壁都市。旧市街を取り囲むその壁は意外なほど高い。
マラケシュの写真
マラケシュ (トリップアドバイザー提供)

門をくぐると赤茶けた街並み、民族衣装、路上を行き交う物売りが現れ、モロッコに来たと実感する。
旧市街はまるごと世界遺産となっており、モスクや宮殿などいくつかの見事な史跡もある。
しかし、モロッコの楽しみは街歩き。狭く入り組んだ路地を歩き、市場(スーク)を眺めて歩けば一日二日すぐに過ぎてしまう。
地図を見るとわかる通り、わかりやすい目抜き通りは限られており、非常に迷いやすい。どうしても迷いたくなければGoogleマップ必須だが、できれば時間に余裕をもって迷い歩き自体を楽しむくらいの余裕が欲しい。
ランドマークは高さ77mの尖塔(ミナレット)を誇るクトゥビア。迷ったらクトゥビアを目印に。
Marrakech Photos
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メディナの中心にある巨大な市場がジャマ・エル・フナ広場。
古くは11世紀から各国の商人・旅人が交易し、公開処刑場でもあったという巨大な市場で、モロッコ最大の見どころと言っても過言ではない。
特に夕方以降の盛り上がりは素晴らしく、ありとあらゆる物売り、大道芸、屋台が建ち並び賑わう様は壮観の一言。
ジャマ・エル・フナ広場の写真
ジャマ・エル・フナ広場 (トリップアドバイザー提供)

住人や旅行者の会話、物売りのかけ声、大道芸の音楽が渾然一体となる中で、無数の屋台から煙や肉を焼く臭いが立ち上る。祭りの夜店のクライマックスを数十倍にもしたようなスケールとエネルギーに圧倒される。
ジャマ・エル・フナ広場の写真
ジャマ・エル・フナ広場 (トリップアドバイザー提供)

フナ広場から北はスーク街となっており、世界最大の市場ともいわれる。
皮革、布、貴金属、調理道具、絨毯などの市がならび、地元の人も購入に来るが観光客をねらった呼び込みも多い。土産物などを買う場合には、しつこいアラブ式の価格交渉が必要になる。彼らの言う「ラストプライス」は信じてはいけない。余裕をもって気長に交渉するのが手。
Marrakech Photos
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広場とスークの外部には、観光スポットや史跡が点在する。
スーク街を北に抜けると、雑踏と喧噪から一転して静謐な神学校の史跡、凝りに凝った見事な彫刻で有名なアリー・ブン・ユースフ・マドラサが現れる。
アリー・ブン・ユースフ・マドラサ (神学校)の写真
アリー・ブン・ユースフ・マドラサ (神学校) (トリップアドバイザー提供)

アリー・ブン・ユースフ・マドラサの周辺には、マラケシュ博物館、伝統工芸館などの観光スポットが集まっている。市場巡りに疲れたら休憩するにもいい。
マラケシュ博物館の写真
マラケシュ博物館 (トリップアドバイザー提供)

さらに北東に向かうと、革なめし職人の作業場がある。大量の皮原料をなめす一大地区で、円形の水槽や染料に混じって職人達が働いている。
Photos of Tanneries, Marrakech
This photo of Tanneries is courtesy of TripAdvisor

一方、ジャマ・エル・フナ広場の南は安宿街となっている。
安宿街を超えると国王も宿泊するというバイア宮殿。繊細なモザイク装飾は気が遠くなるようなスケール。宮殿には工芸博物館が隣接している。
バイア宮殿の写真
バイア宮殿 (トリップアドバイザー提供)

さらに南、アグノウ門を超えると王宮、王家の墳墓といった史跡がある。
The south door, the most beautiful - Picture of Marrakech, Marrakech-Tensift-El Haouz Region
This photo of Marrakech is courtesy of TripAdvisor

旧市街の喧噪にも史跡にも疲れたら、新市街の癒やしスポット、メナラ庭園へ。
12世紀に造られた巨大庭園で、碧い空に冠雪のアトラス山脈、オリーブの緑が鮮やか。
Photos of Menara Gardens and Pavilion, Marrakech
This photo of Menara Gardens and Pavilion is courtesy of TripAdvisor

マラケシュ近郊では、アトラス山脈を巡るツアーやデザート・サファリの人気が高い。宿で車をチャーターしたり、現地の旅行会社でツアーに参加するのが一般的。
アトラス山脈の最高峰はトゥブカル山、4,167mの標高を誇るが夏場であれば難易度は低いという。
そこまで行かなくとも、麓の村々や名滝ファティマなど見どころは多い。
High Atlas Mountainsの写真
High Atlas Mountains (トリップアドバイザー提供)

アトラス山脈を越えると砂漠の世界。オアシス都市ワルザザート、カスバ街道にも日程に余裕があればぜひ訪れたい。
ワルザザートの写真
ワルザザート (トリップアドバイザー提供)

もちろん、カサブランカやフェズといった北側の都市にも見どころは多い。
マラケシュの迷路を体験していれば馴染めるはず。
フェス旧市街の写真
フェズ旧市街 (トリップアドバイザー提供)

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マラケシュのスーク (市場)の写真
マラケシュのスーク (市場) (トリップアドバイザー提供)

マラケシュは観光地だけあり、高級レストランから屋台までバリエーションは豊富。
中東と欧州の文化が混じり合った多様な食文化は伝統とヘルシーさが評価され、日本食より一足先にユネスコの無形文化遺産(地中海料理)にも認定された。
モロッコ料理は野菜や豆を豊富に使い、スパイスも控えめで得優しい味のものが多い。日本でもメジャーなクスクス、タジン鍋やケバブ、モロッコスープのハリーラなどが代表的。

高級レストランや星付きホテルのレストランでは予約が必要な場合もある。柔らかい羊の煮込みやメロンのスープなど、見た目も美しい洗練されたモロッコ料理を楽しめる。価格は500ディルハム程度になることも。
ケバブの気軽な屋台なら一食50ディルハム程度でお腹いっぱいになる。1人用の小さなタジン鍋を炭火にかけて並べるタジン専門店、ハリーラの屋台など路上で食べるのも楽しい。

フランス統治の名残もありパンのレベルは高く、本場仕込みのクロワッサンから粉のワイルドな風味が味わえるクレープなど、バリエーションも豊富。カフェも街中に無数にあり、エスプレッソからモロッコ名物のミント・ティーまでそろう。

アルコールはホテル内のバーなど限られた場所で提供される。
また、スーパーにワインやビールが打っているのでホテルの部屋で飲むこともできる。


日本からの行き方

(空路)
モロッコ行きの直行便は無く、欧州や中東を経由することとなる。価格と搭乗時間のバランスが良いのは中東系や欧州系。
エディハドやブリティッシュ・エアウェイズがそれぞれアブダビ、ロンドン、などを経由してマラケシュまで13万円程度。所要20~40時間。20時間程度の便は17万円程度となる。

直接マラケシュに向かうよりも、カサブランカから入国した方が安い。このルートであればエディハド、カタール航空が10万円を切る他、トルコ航空も安い。所要20時間程度のフライトでも10万円程度。
カサブランカからマラケシュまでは後述の鉄道・バスで移動する。

また、ヨーロッパの各都市からマラケシュやカサブランカまでの空路も豊富。パリからマラケシュまではイージージェットなどで所要3時間、1.5万円程度で往復できる。

日程に余裕があれば、スペインもしくは欧州行の安いチケットを取り、フェリーで向かうという手段もある。例えばトルコ航空を利用した場合、イスタンブールに数泊滞在、バルセロナやマドリードなどスペインの魅力的な都市を巡り、フェリーでモロッコのタンジェへ向かうというルートも可能。

(海路)
スペインとモロッコを隔てる地中海のジブラルダル海峡はわずか15km。
もっともメジャーな航路はスペインの南端アルへシラス(Algeciras)を出るフェリーで、モロッコ側のタンジェ(Tanger Med)まで30ユーロ程度、2時間半。スペインのバルセロナやバレンシアからの航路もある。
復路はフェリーがよく遅れるため、オープンチケットも購入できる。

また、パリからマラケシュやカサブランカに向かう国際バスがある。運航はヨーロッパで多くの長距離バスを走らせているユーロライン社。パリのガリエーニ(Gallieni)マラケシュまでの場合所要41時間で往復200ユーロ程度から。また、モロッコ国営バスCTMもスペインやフランス各地からバスを出している。

(陸路)
モロッコに陸路から入国する場合、やはり北アフリカ有数の観光地であったアルジェリアからのルートがあったものの、同国の政変以来状況は不安定。依然として外務省からもアルジェリアは「渡航延期」もしくは「渡航の是非を検討」が推奨されている状態で、陸路での入国は困難な状態。

モロッコ国内の移動、カサブランカやタンジェからマラケシュまでは鉄道もしくはバスを使う。

鉄道の場合カサブランカからは3時間、タンジェからは11時間。タンジェからの夜行列車はあまり安全では無いため昼間の移動を推奨。チケットは窓口で直接購入する。カサブランカからマラケシュまで1等車で200ディルハム程度。時間は正確で時刻表通り運行する。

バスの場合は国営バスCTM、民営バスの双方があり、民営はよくバスターミナルで客引きをしている。タンジェからマラケシュまで10時間・220ディルハム程度、カサブランカからは3時間半・85ディルハム。

  • モロッコ国鉄(フランス語)
    右上で「Gare départ」に発駅、「Gare d’arrivée」着駅を入力し、日付を選んで検索することで時刻表が表示される。マラケシュはMARRAKECH、カサブランカのムハンマド5世国際空港はAEROPORT MED V、カサブランカ駅はCASA VOYAGEURS、タンジェはTANGERを選択する。

  • CTM

(パッケージツアー)
トルコ航空、カタール航空での5泊6日プラン(機中2泊)で12万円程度。フェズやカサブランカに滞在するプランが多い。1人参加なら17万以上。

(空港)
モロッコ最大の空港はカサブランカのムハンマド5世国際空港(Aeroport international Mohammed V;CMN)。市街地からは30kmほど離れている。銀行、両替、免税店など一通りの施設は揃っている。
空港からカサブランカ市街まではタクシーで250~300ディルハム程度。
空港からマラケシュまでは鉄道が通じており、ターミナル1の1階が駅につながっている。発車後20~30分してロアジス(L’ oasis)駅に到着するのでそこでマラケシュ行きに乗り換えとなる。

マラケシュ・メナラ空港(Marrakech Menara Airport;RAK)は市街地から6km。短距離のプチタクシーは普通車・メーター制で市街地まで100ディルハム程度。グランタクシーはメルセデスで交渉制。
空港と市街を結ぶ循環バスが20ディルハム。


地理と気候

日本との時差はマイナス9時間。日本の正午が午前3時。サマータイムはマイナス8時間となり、日本の正午が午前4時。
サマータイムの時期は毎年変わるので以下を参照。

アフリカとはいえ、北部はそれほど暑くなく、昼夜の寒暖差は大きい。真夏は最高気温が40度に達することもあるが、湿気が低く過ごしやすい。
最高気温が30度を超えない10月~5月頃が過ごしやすく、国土が緑で染まる春(3月~5月)がベストシーズン。
なお、2014年のラマダン(断食月)は6月28日~7月28日まで。この間食事ができる場所は限られる。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はアラビア語。フランス語も広く通用する。タンジェなど北部ではスペイン語も。
英語はあまり通じない。都市部や若者には通じることもあるというレベル。ただし物売りは簡単な英語(単語連呼レベル)で売り込んでくることも。
公共物や店の看板、WEBサイトなどはアラビア語もしくはフランス語のみの場合がほとんど。
タクシードライバーは殆どの場合英語は通じない。

通貨はモロッコディルハム(MAD)。1モロッコディルハム=12.6円(14年3月時点)。およそ13円と覚えておけばよい。

物価は全般に安い。特に食事と交通費は日本の1/2~1/4という感覚。ただし、モロッコは西アジアや中東同様に交渉で値段が決まる場合が多く、リーズナブルな旅ができるかどうかは交渉次第。
相場としては、タクシー初乗り6ディルハム。ミネラルウォーター7ディルハム、食事は20~50ディルハム(サンドイッチなら10ディルハム程度)、高級レストランなら100~300ディルハム。
ホテルは観光地らしくピンキリであるが、清潔でお湯の使える中級ホテルがシングル200~400ディルハム程度。
イスラム教国の中ではアルコールの縛りはゆるやかな方であるが、やはりホテルなど限られた場所でしか提供されず、値段も高め(1本20ディルハム程度)。

高額商品には消費税がかかる他、高級ホテルはサービス税が上乗せされている。

両替は万国共通でATMによる国際キャッシングが有利。小さい街にもATMが普及している。
カサブランカのムハンマド5世国際空港およびマラケシュ・メナラ空港のそれぞれに銀行および両替所がある。市内にも両替商は多い。空港と市内および銀行と両替商間のレート差もそれほど無い。
日本円も問題無く両替出来る。高級ホテルではユーロ払いになっていることも。
両替時のレシートは必ず保管しておくこと。ディルハムは国外に持ち出すことはできないため、再両替にレシートが必要となる。再両替のレートは悪いので使い切り推奨。ATMでも両替商でも一気に大金を両替せずこまめに行った方がよい。

クレジットカードが通じる場面は多い。VISAかマスター推奨。5%の手数料を別途加算される場合がある。
大きな銀行ならクレジットカードでキャッシングすることもできる(キャッシュ・アドバンス)。

チップの習慣は根強い。ポーターには5~10ディルハム程度。高級レストランでは料金の1割程度(会計にサービス料が含まれていれば不要)。


(Wikipedia提供)


ビザと治安

アフリカの中では凶悪犯罪が少ない方ではあるが、観光地特有のひったくり、スリ、悪徳ガイドなどの被害は多く、物売りのしつこさや値段交渉を巡るトラブルも多い。
典型的な悪徳ガイドの手口は、「私はガイドではない」「お金は要らない」「日本語(英語)を勉強したい」などの言葉でこちらの警戒心を解き、土産物屋に連れて行くというもの。
子供も油断できない。ガイドを買って出た少女にお礼を言ってチップでもと財布を開けると、「お金はいらないのでここで弟のミルクを買って欲しい」と言われて入った食料品店はどれも法外な値段…、もちろん、その少女の親にマージンが払われる仕組みとなっている。

セクハラ被害も多い。男女交際があまりオープンでない国情から、外国人女性が欲求の対象として狙われやすい。特に、おとなしくお金持ちと見なされている日本人女性は格好のカモ。強引なつきまといや痴漢行為から情熱的・紳士的な接近まで手口は多様なので十分注意すること。
また、屋外・公共の場での飲酒は法律で禁止されている。

また、夜間や早朝の1人歩き、フーリガンなど風防の危険なグループに近づくのは避けること。ひったくりだけではなく、強盗や暴行事件も発生している。
広場、米国関連施設などの付近では小規模なデモが発生する場合がある。デモ隊や抗議とみられる群衆にも近づかないこと。

90日以内の観光目的滞在はビザ不要。
空路でモロッコに入りヨーロッパ経由でタンジェから出国する場合、出国審査で「空路でモロッコに入った場合空路でないと出国できない規定だ」と言われ足止めされる事例や、警官に金品を要求される被害が報告されている。そのような規定もなく金品を払う必要も一切無いので、被害にあった場合には在モロッコ大使館に連絡を(+212-0537-63-17-82 ~ 84)。


市内交通

(タクシー)
マラケシュの市内交通の主役。
短距離のプチタクシー(Petit Taxi)と、長距離・乗り合いのグランタクシー(Grand Taxi)がある。
プチタクシーはベージュの車体でメーター制。運転手を含め4人乗りで、同じ方向であれば乗客が乗っていても相乗りできる(メーターをチェックしておくこと)。初乗り1.4ディルハム、最低料金が6ディルハム、21時以降は50%増しとなる。
ドライバーがメーターを倒さない場合には、交渉するか降りる。ただし観光地のドライバーは強気で混雑のためつかまらないことも多く、すこしくらい高くても乗ってしまった方が得な場合も(仮に倍の料金でも日本円で数百円)…。

グランタクシーは7人乗り(乗客は6名)の乗合専門タクシーで、もっぱら長距離用。メルセデスが多い。
専用の乗り場でタクシーが待機しており、定員に達したら出発する。料金は割り勘となる。狭く不潔な場合もあるので、2人分を払い2席を占有すれば快適にすごせる。もちろん1台チャーターすることも可能。

Travel cheaply in Petite Taxis everywhere in Marrakech - マラケシュ、マラケシュ ル ガリアの写真
マラケシュ ル ガリア (トリップアドバイザー提供)

(バス)
バスの場合は国営バスCTM、民営バスの双方があり、民営はよくバスターミナルで客引きをしている。タンジェからマラケシュまで10時間・220ディルハム程度、カサブランカからは3時間半・85ディルハム。


ホテルとシーズン

世界有数の観光都市だけあり、宿の選択肢は多い。バックパッカー向けの安宿からアフリカ大陸でも有数の超高級ホテルまでそろっている。
ホテルの性質は新市街と旧市街で大きく分かれる。新市街は高級ホテル中心で、旧市街は安宿が多い。

モロッコのホテルには、リヤドと呼ばれる伝統的な家屋を改修したいわゆるB&B的なタイプがある。たいていは旧市街の込み入った路地沿いにあり、タクシーも場所を知らないか、そもそも前まで車が行けないことがほとんど。建物は改装済みとはいえ古く、日当たりも悪く水回りも整っていないことが多い。
しかし、数世紀前の建築が美しくリノベーションされたリヤドは魅力的で、内装や家具、料理などにオーナーのセンスが光る人気の施設も多い。たっぷりの工夫が凝らされた朝食や宿泊者同士のコミュニケーションも魅力で、親切な宿の場合オーナーが現地の過ごし方やツアーの相談などにのってくれることも。できれば評判のいい宿に3泊くらいしてのんびり過ごしたい。
欧州が観光シーズンとなる夏や、ラマダン明けにはやや混み合う傾向。安宿は慢性的に混んでいるので予約を推奨。人気のリヤドはすぐに埋まってしまう。

3つ星レベルの、清潔でお湯の使えるホテルが250~400ディルハム(3000~6000円)程度。エアコン付きで設備も充実した4つ星クラスは1万円程度見ておいた方が良い。高級ホテルではユーロ建てが多く、100~200ユーロ(1.5万円~2万円)程度。ドミトリーやユースホステルであれば1,000円を下回るものもある。
リヤドは規模や改装の度合いなどにより幅があり、2,000円程度から1万円を超えるものまで。

モロッコの場合お湯は貴重で、よほど高いホテルでなければ日本人が満足するような湯量は望めない。お湯付きにはこだわらずハマムで汗を流すのがリーズナブル。街中のハマムであれば一回10ディルハム程度から。ホテルのスパは500ディルハム以上するので注意。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
マラケシュは非常に迷いやすいので、手元のスマートフォンでGoogleマップを閲覧できれば心強い。現地でプリペイドSIMを購入するのが予算的にはベストだが、自信がなければ日本からWiFiルーターを借りるか、ローミングサービスの利用も検討を。

現地でSIMを買う場合、モロッコの大手携帯会社はMaroc Telecom、Medi、Wana Corporate(inwi)。うちMaroc Telecomが最大手。
カサブランカのムハンマド5世国際空港ではターミナルを出てすぐMaroc Telecomのカウンターがある他、市内各地に携帯ショップがある。外国人がプリペイドSIMを購入するにはパスポートが必要。設定は購入時に店員に依頼するのが無難(空港のショップは英語が通じる)。

各社プリペイドSIMの価格は20~50ディルハム程度。

(WiFi)
多くの場所でWiFiが通じており、Wifiマークを貼った外国人向けのカフェも多い。