4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第29回 ベルリン

ベルリンの旅行ガイド
ベルリン (トリップアドバイザー提供)

ドイツ連邦共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

ロンドン、パリと並ぶ欧州の文化的中心で、モダンで洗練された街並みが広がる。
近代では激動の歴史を経験し、二度の大戦と街中がガレキと化した市街戦を経て不死鳥のごとく発展、分断都市となった冷戦時代を経て1989年に東西ベルリンが統合、新生ドイツの首都となった。
現在ベルリンには180以上の美術館・博物館と50を超える劇場があり、いずれも第一級のレベルを誇る。歴史建造物や戦争史跡などの史跡にも事欠かない一方、現代アートやカウンターカルチャーの聖地でもあり、常に新たなムーブメントが生まれているエネルギッシュな街として観光客が絶えない。

ベルリン市は東京23区の1.5倍と広く、観光名所やショッピングエリアが市外に散在している。ここでは、必見のスポットを効率よく巡るプランを紹介する。もちろん1日では見尽くせない。
ベルリン
※A-ブランデンブルグ門(Brandenburger Tor)、B-アレクサンダー・プラッツ(Alexanderplatz)、C-博物館島(Museum Island)、D-ハッケシェ・ヘーフェ(Die Hackeschen Hoefe)、E-ジャンダルメンマルクト(Gendarmenmarkt)、F-ホロコースト記念館(The Holocaust Memorial)、G-ベルナウア通り(Bernauer Street)、H-ドイツ連邦議会議事堂(Reichstag Building)、I-ソニーセンター、J-カイザー・ウィルヘルム教会(Kaiser Wilhelm Memorial Church)
(出典:Google)

ベルリンはブランデンブルグ門から大きく東西に分かれる。
西に延びるのが6月17日通り、東に延びるのが菩提樹(リンデン)の並木道ウンター・デン・リンデン。
ベルリンの旅行ガイド
ブランデンブルグ門 (トリップアドバイザー提供)


ベルリンの街歩きは東側、ミッテ地区から。
ベルリン中央駅から地下鉄に乗り、アレクサンダー・プラッツ駅で降りると、あたり一帯はベルリンの中心であるミッテ地区(Gartenstraße)のど真ん中。
駅前は東ドイツ時代に国の威信をかけて作られた広大なアレクサンダー広場(プラッツ)、どこかレトロなテレビ塔を望む一帯には史跡やミュージアムといった観光名所から、路地裏のショッピングエリアに小さなクラブまで、昼の顔も夜の顔も区別なく多くの人が行き交う。

街歩きが楽しいエリアで、ホテルも多い。観光客はカフェめぐりやお土産探し、夜遊びまでこの地区のお世話になる。
駅のすぐそばにあるガレリア・カウホーフは東ドイツ時代から続く由緒正しきデパートで、最上階のフードコートからは広場を一望できる。

シュプレー川沿い、大聖堂が見えてきたらミュージアムが集まる博物館島。
博物館島に渡る前に、対岸の旧東ドイツ(DDR;Deutsche Demokratische Republik)をテーマとしたDDR博物館に寄ってみよう。秘密警察の盗聴システムを見せる部屋や当時の料理を出すレストランなど、その手の展示が好きな方にはたまらない場所で、郷愁を誘うのかドイツ人にも大ウケとのこと。
DDR Museum
DDR Museum (トリップアドバイザー提供)

博物館島は、プロイセン家の至宝を集めた旧博物館、新博物館、旧国立美術館、ボーデ博物館、ペルガモン博物館、大聖堂が一箇所に集まった中州で、世界文化遺産に登録されている。
Berlin Cathedral
Berlin Cathedral (トリップアドバイザー提供)

中でも最大の展示規模を誇るのがペルガモン博物館。古代ローマやイスラムの巨大な遺跡を展示しており、トルコで建造された「ゼウスの大祭壇」や、古代バビロニアの「イシュタール門」が代表的。
Pergamon Museum
Pergamon Museum (トリップアドバイザー提供)

アレクサンダー・プラッツに戻り、ハッケシャー・マルクト駅で下車。一帯のハッケシェ・ヘーフェは雑貨やギャラリーの集まるエリアとして人気。
あたりはユダヤ人街の痕跡を残し、旧女学校の建物がレストランに改装されている。
また、劇場やギャラリー、しゃれたレストランも多い。
Die Hackeschen Hoefe
Die Hackeschen Hoefe (トリップアドバイザー提供)

オーラニエンガー通り沿いには1938年のユダヤ人迫害事件「水晶の夜」で大きな被害を受け、再建された新シナゴーグがある。アルハンブラ宮殿に範をとったという壮麗なファサードは威厳がある。
ここからフリードリヒ通りまで歩き、森鴎外記念館を見学してもいい。
Neue Synagoge Berlin - Centrum Judaicum
Neue Synagoge Berlin – Centrum Judaicum (トリップアドバイザー提供)

フリードリヒ通りを南に歩くと、ウンター・デン・リンデンと直交する。
ブランデンブルグ門を背に歩くとドイツ歴史博物館のあるベベール広場、そしてベルリンで最も美しいと称されるジャンダルメンマルクト広場へ。高級ブティックやデパートが建ち並び、教会のフランスドームとドイツドームが威厳を添える。クリスマスマーケットの時期は欧州でも有数の賑わいとなる。
Gendarmenmarkt
Gendarmenmarkt (トリップアドバイザー提供)


ブランデンブルグ門の周辺は戦争や分断時代の史跡・ミュージアムが多い。
門のすぐ南に突然現れる静謐な異空間がホロコースト記念館。
直方体の石が無数に拡がる光景は多くの来訪者に強い印象を残す。地下には強制収容所に関する情報が展示されている。
The Holocaust Memorial
The Holocaust Memorial (トリップアドバイザー提供)

さらに南に向かうと同じくユダヤ迫害の悲劇を展示したトポグラフィ・オブ・テラー。秘密警察ゲシュタポ本部の跡地というロケーションが迫力を醸し出す。展示も生々しい。
トポグラフィ・オブ・テラーの真正面にある巨大な建物はEUを牛耳る連邦財務省。かつての第三帝国航空省本拠であり、異様な圧力を感じる。
近くのフリードリヒ通り沿いにはかつての東西検問所跡を改装した壁博物館があるので、あわせて訪れたい。
Topography of Terror
Topography of Terror (トリップアドバイザー提供)


ブランデンブルグ門から北東へ。
地下鉄(Uバーン)のベルナウアー・シュトラーセ駅を出ると、かつての西ベルリンと東ベルリンの境界となっていたベルナウア通り。
この一帯、プレンツラウアー・ベルク地区は東ドイツ時代から芸術家や反体制運動家が住み着いていたエリアで、現在でも、アーティスト、ミュージシャン、ゲイなどの個性豊かな面々が集う。デザインギャラリーやおしゃれなショップ、バーなどが林立する流行の発信地である一方、緑が多くのどかでリラックスできる。
Prenzlauer Berg
Prenzlauer Berg (トリップアドバイザー提供)

ベルナウア通りを南西に進むと壁の歴史を展示したベルリン・ウォール・メモリアルがある。
Memorial of the Berlin Wall
Memorial of the Berlin Wall (トリップアドバイザー提供)


さらに進んで、ベルリン中央駅のあたりからが旧西ベルリン側。
ベルリン中央駅は、東西に分かれていた不便なベルリンの鉄道事情を解消すべく鉄道大国ドイツの威信をかけて作られた巨大な駅で、一見の価値あり。

ブランデンブルグ門を西に超えると、ユニークなドームを持つライヒスターク(ドイツ連邦議会議事堂)。
6月17日通りの向こうには女神像を抱く戦勝記念塔が見える。この塔が見えるあたりから街歩きを始めるのもおすすめ。
Reichstag Building
Reichstag Building (トリップアドバイザー提供)

門の南に向かうとポツダム広場。
第2次大戦以前から繁華街だったが、市街戦で灰燼となった。ベルリンの壁崩壊後に再開発が進み、今ではソニーセンターがランドマークとなる現代的なエリアとなっている。
Sony Center
Sony Center (トリップアドバイザー提供)

ポツダム広場から西に向かうと巨大なショッピングセンターのアルカーデン、ベルリンフィル、ベルリン絵画館(Gemaeldegalerie)などの名所がある。
ベルリン絵画館はヨーロッパの中世~近世のコレクションで世界有数。ボッティチェッリ、アルブレヒト・デューラー、ラファエロ、パウル・ルーベンス、レンブラント、そしてフェルメールといった日本でもお馴染みの巨匠達が惜しげもなく展示されている。
Gemaeldegalerie
Gemaeldegalerie (トリップアドバイザー提供)

絵画館から西に向かうとバウハウス資料館がある。建築好きならば、郊外デッサウのバウハウス本校と合わせて訪れたい。
Bauhaus Archive
Bauhaus Archive (トリップアドバイザー提供)

さらに西、ベルリン動物園とツォー駅を超えるとベルリン有数の繁華街クーダム(Kurfurstendam)へ。西ベルリン時代からの目抜き通りで、デパートや高級ブティック、レストランが立ち並ぶ。
古典様式の見事な駅舎を誇るヴィッテンベルグ・プラッツ駅前の巨大デパート、カーデーヴェー(KaDeWe)も必見だ。6階の食品売場には世界の食が集まる。
Kaufhaus des Westens (KaDeWe)
Kaufhaus des Westens (KaDeWe) (トリップアドバイザー提供)

クーダムの起点は市街戦の爪痕を示すカイザー・ウィルヘルム教会。青いステンドグラスが美しい。
Kaiser Wilhelm Memorial Church
Kaiser Wilhelm Memorial Church (トリップアドバイザー提供)

そして、クーダムの先にはベルリンの激動の歴史を紹介する博物館「ザ・ストーリー・オブ・ベルリン」がある。こちらの名物展示は3,000人を収容できる本物の核シェルター。
カイザー・ウィルヘルム教会の崩れた尖塔とこのミュージアムを巡ると、数々の危機を乗り越えてきたベルリン市民のたくましさを感じずにはいられない。
Story of Berlin
Story of Berlin (トリップアドバイザー提供)


ここまでは中心部の名所を紹介してきたが、音楽や夜遊びの盛んなスポットは周辺エリアにも点在している。
上で紹介したプレンツラウアー・ベルクの他、クロイツベルグのコトブサー・トーア駅付近はトルコ移民の集まる賑やかなエリアで、こちらも新たなカルチャーの発信地。その南側、ノイケルン地区もトルコ人街だが、学生やアーティストが多く住む活気にあふれたエリアとなっている。
Kreuzberg
Kreuzberg (トリップアドバイザー提供)


郊外観光で人気なのは、ザクセン王国の古都ドレスデンや、サンスーシ宮殿やポツダム宣言でお馴染みのポツダム。そしてバウハウスの本拠地デッサウも見逃せない。
いずれもベルリンから日帰りで行くことができる。

ドレスデンの見どころはツヴィンガー宮殿や緑の丸天井。ドレスデンもやはり空爆で灰燼と化したが、無数の残骸をコンピューターの駆使により組み合わせ見事に再建された聖母教会は新たなランドマークとなっている。
Frauenkirche
Frauenkirche (トリップアドバイザー提供)

ベルリンから1時間程度で行けるのがザクセンハウゼン収容所跡。
190ヘクタール(東京ドーム40個分)という広大な敷地に20万人以上の人が収容され、5万人もの犠牲者が出たと言われている。
Sachsenhausen Concentration Camp
Sachsenhausen Concentration Camp (トリップアドバイザー提供)

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Hofbrau Munchen Berlin
Hofbrau Munchen Berlin (トリップアドバイザー提供)

ベルリンはドイツの郷土料理から移民のもたらした世界の食まで選択肢は広い。特に移民の味はもはや新たなベルリンの伝統食となりつつある。
大都市だけあり、ミシュランガイド掲載のファインダイニングも10以上ある。一方で、ヨーロッパの他の都市と比べ外食は意外にリーズナブル。駅や繁華街のフードコートでボリュームたっぷりのサンドイッチにコーヒーを追加しても数ユーロ。

ドイツの伝統料理といえばソーセージや酢漬けのキャベツなどの保存食が思い浮かぶが、ベルリンでも本場の味を堪能できる。ベルリン名物は豚スネを豪快に煮た「アイスバイン」や肉団子のホワイトソース煮「ケーニヒ・スベルガークロプセ」など、全般に温かい煮込みものが多い。
B級グルメの「カリーヴルスト」もベルリン発祥。ビール片手に頬張ればベルリンっ子の仲間入り。

トルコ移民が多いことから、中東料理やケバブ、豆のコロッケ「ファラフェル」も親しまれている。屋台で提供するファーストフードとしてのドネルケバブはベルリンで発明されたという説も。

環境や健康に意識の高いベルリン市民の嗜好を反映して、オーガニックフードの人気も高い。

Currymitte Berlin
Currymitte Berlin (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
ドイツ行きの直行便はJAL、ANA、ルフトハンザが運行しているが、ベルリン便はない(フランクフルト、ミュンヘン、もしくはデュッセルドルフ便となる)。

中東系のカタールやエディハドが安めで、燃油込みで10万円程度。カタールはドーハ乗り継ぎ、エディハドはアブダビでエア・ベルリンに接続する。アエロフロートやスカンジナビア航空も安め。いずれも所要時間は長めで、空港泊が必要になる場合も。

所要時間が短めなのはJAL、ANAの日系やルフトハンザ、フィンエアー、オーストリア航空など。このあたりは所要15時間以内に到着するが、運賃も17万円程度とやや高め。

日程に余裕があればヨーロッパの適当な都市に飛んでLCCでベルリン入り、という手もある。

(パッケージツアー)
時期によっては最安で2人参加5日間10万というプランも見つかる。
15万円程度出せばミュンヘンやワルシャワを周遊するツアーも。

(空港)
ベルリンの空港は現在2つ。

テーゲル国際空港(TXL)はベルリン中心の北西約8kmに位置する。エア・ベルリンのハブ空港となっており、主にヨーロッパ主要都市からの便が発着。
空港からはタクシーで市の中心まで約20分。30ユーロ程度。
X9番の急行バスならツォー駅まで約20分。TXLジェットエクスプレスバスならアレクサンダー広場まで40分ほど。料金は2.6ユーロ。市バスの場合、109番と128番の市バスがツォー駅まで所要約25分。

シェーネフェルト国際空港(SXF)はベルリン郊外の南東部・ブランデンブルク州との境界に位置しており、市街地との距離は約25km。旧東ベルリン空港で、主にアエロフロートや東欧便、イージージェットなどLCCの発着空港となっている。
空港からはタクシーで市の中心まで約40分。40ユーロ程度。
快速列車「エアポート・エクスプレス」ならベルリン中央駅まで所要30分程度。3.2ユーロ。

シェーネフェルト空港は新空港のブランデンブルク国際空港(BER)として拡張の予定であるが、2012年予定だった開港は遅れており、2016年以降となる見込み。


地理と気候

ヨーロッパの冬は寒さが厳しいため、一般には夏の6月から9月頃までがベストシーズンだが、冬の街並みも美しい。
冬のイベントとしてはドイツ名物のクリスマスマーケットがあり、この時期を目当てに訪れる観光客も多い。

時差はマイナス8時間。日本の正午が午前4時。3月の最終日曜から10月最終日曜までサマータイムで、時差はマイナス7時間となる。日本の正午が午前5時。


(画像:Google提供)


言語と通貨

ベルリンではおおむね英語が通じる。旧東ドイツエリアでは通じにくいことも。

通貨はユーロ(EUR)。1ユーロ=136円(14年9月時点)。
概ね1ユーロ=150円と覚えておけば使いすぎない。

物価は日本並みと考えていればよい。中級ホテルが1万円、高級ホテルで2万円程度。
外食ランチは安食堂やサンドイッチで3~4ユーロ、レストランなら日本よりやや高めで8~15ユーロ(欧州の他の大都市よりは安め)。カフェが2.5~4ユーロ程度。タクシー初乗り3ユーロ。水500ml(コンビニ)で1ユーロ程度。
商品価格には7~19%の消費税が含まれている。

両替は万国共通で、ATMの国際キャッシングが便利。
現金の場合は日本円を現地の市中で替えるのが鉄則。
ドイツは意外に現金主義。クレジットカードはホテルやレストラン、デパートでは問題無く使えるが、ローカルのお店では使えないことも多い(他のお客が使っているように見えてもデビットカードだったりする)。

チップの習慣がある。レストラン・カフェは10%程度。タクシーなら10~15%程度だが、おつりを渡したり端数の切り上げでも良い。ポーターやルームサービスで1ユーロ。


治安とビザ

ドイツの治安は全般に良好だが、ベルリンでは観光地特有の犯罪が少なくない。
空港や駅、ホテルのロビー、観光スポットでの窃盗・置き引き・スリ・ひったくりなどに注意。北部・東部・北東部は全般に治安が悪いとされている。
特に主要駅、ウンター・デン・リンデン通り、クーダム、アレクサンダー・プラッツなどの繁華街では身の回り品に注意し、夜間の一人歩きは避けること。

ホームレス風の労務者や全身タトゥーの若者、ゲイのカップルなどバラエティに富んだ人が集う街だが、彼らが危険ということはなく、見た目で判断するとベルリンを楽しめない。
ただし、明らかにネオナチ風の風体をした集団(スキンヘッド、黒っぽい服装、十字や拳マークのシンボリックなTシャツなど)には近づかないこと。特に、最近ではイスラエルのパレスチナ自治区ガザへの攻撃に対する抗議行動が活発化していることから、便乗した拝外主義者の行動が活発化する可能性がある。

(出典:Wikipedia;ネオナチのシンボル)

また、クラブやバーでは麻薬の使用や取引が常態化している他、昏睡強盗などの被害も報告されている。

90日以内の観光・出張滞在はビザ不要。


市内交通

(タクシー)
ぼったくりなどは無く、メーター制で安心して利用できる。英語も通じるので安心。
初乗り3ユーロ、1km毎に2ユーロ(7kmまで)、7kmを超えると1km毎に1.3ユーロ。
チップは料金の10~15%程度。他に、大きな荷物がある場合や日曜日・夜間の割増あり。

(近郊鉄道・地下鉄・トラム・市バス)
市内公共交通機関は近郊鉄道のSバーン、地下鉄のUバーン、トラムおよび市バス、フェリー。
Sバーンは山手線のような環状線と郊外に延びる15のラインがある。Uバーンは10線。

料金体系はすべて共通で、ゾーン制となっている。ベルリン中心部、Sバーン環状線の域内がAゾーン。その外周、テーゲル国際空港を含むエリアがBゾーン。さらにその外周、シェーネフェルト国際空港やポツダムを含むエリアがCゾーン。

チケットは、シングルチケットとデイパス(週間・月間・年間もある)、旅行者向けのカードがある。
シングルチケットはABゾーンもしくはBCゾーン2.6ユーロ、ABCゾーン3.2ユーロ。有効時間2時間で、この時間内ならば市内公共交通機関は乗り放題(バスからUバーンに乗り換える場合でも追加の初乗運賃無は必要ない)。
近距離の場合(S・Uバーン3駅まで、市バス・トラムは6停留所まで、かつゾーンAB内かBもしくはC内)は有効時間設定無しの使い切りで1.5ユーロ。
デイパスはABゾーン6.7ユーロ、BCゾーン7ユーロ、ABCゾーン7.2ユーロ。一週間チケットはABゾーン28.8ユーロ、BCゾーン29.7ユーロ、ABCゾーン35.6ユーロ。

旅行者向けのカードは2種類。
ベルリン・ウェルカムカードはベルリンとポツダム市内の公共交通機関が乗り放題となり、一部のミュージアムやレストランなどが割引となる。48時間有効のABCゾーンカードが20.5ユーロ、5日間有効のABCゾーンカードが37.5ユーロ。
ベルリン・シティツアーカードはウェルカムカードと割引対象施設や特典が異なる。48時間有効のABCゾーンカードが18.9ユーロ、5日間有効のABCゾーンカードが35.9ユーロ。

(鉄道)
Berlin Hauptbahnhof
Berlin Hauptbahnhof (トリップアドバイザー提供)

鉄道大国ドイツの威信をかけた欧州最大規模の駅、ベルリン中央駅はショッピングセンターが併設された巨大施設で、一日過ごせる。Sバーン、Uバーンも発着する他、シェーネフェルト国際空港を利用した場合にはエアポート・エクスプレスがこちらに到着する。

ドイツの鉄道網は大変充実しており、フランクフルト経由で出入国する場合やハンブルク、ミュンヘンなどに移動するにも利便性が高い。国際列車によりパリやウィーンとも結ばれている。

(レンタカー・レンタサイクル)
「郊外に出たい」「アウトバーンを走りたい」、そんな時はレンタカーも選択肢。
フォルクスワーゲンミニを24位時間借りた場合の相場は8,000円程度、ゴルフなら1万円程度、7人乗りのフォルクスワーゲン・トゥーランで1万2千円程度。
なお、アウトバーンが最高速度無制限なのは規制・標識がない区間だけで、ベルリン市内ではおおむね80km/hか100km/hに制限されている。

多くの道路で自転車専用路が設けられている。多くは赤い色で区分けされているのですぐ分かる。レンタル自転車は24時間で12ユーロ程度。鉄道やバスへの持ち込みも可能(混雑時間帯除く;ベルリンABゾーンは1.7ユーロ、ABC全ゾーンは2.3ユーロ)。


ホテル

Hotel Adlon Kempinski
Hotel Adlon Kempinski (トリップアドバイザー提供)

重厚な建築の5つ星ホテル、郊外の古城ホテルから前衛的なデザインホテルまで、宿の選択肢は多い。古い石造りの建物をセンス良くリノベーションしたミニホテルに泊まるのも面白い。ミッテにはKGBのオフィスを改装した「ラックス11」や壁中にストリート・ペインティングが施された「ヴァインマイスター」などユニークなホテルもある。

ベルリンはイベントの多い街で、年を通して展示会や祭が開かれている。
1月はミュージアムに入り放題のミュージアム・ナイト、2月はベルリン国際映画祭、4月はイースタオ-、6月にデザインフェスティバル、秋は展示会シーズンで混み合い、ベルリン音楽祭やオクトーバーフェストもこの時期。冬はアドベントとクリスマスマーケット。

ホテル代は高級ホテルでも2万円程度、中級ホテルなら1万円程度と欧州の都市ではやや割安。ゲストハウスなら3千円~といったところ。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ドイツの通信事業者はMobile、Vodafone、O2、T-E-plusの4社に加え、FONIC、Congstar、O.TEL.O、Alice、AlditalkなどのMVNO(回線利用業者)が無数にある。

ドイツを拠点とする最大手T-Mobileの場合、月間250メガバイトで9.95ユーロ。最大8MBit/s。追加500メガのオプション「Speed​​On L」を追加するとさらに9.95ユーロ。
Vodafoneの場合、プリペイドの「Mobiles Internet ohne Vertrag」が30日間1ギガで14.99ユーロ、5ギガで34.99ユーロ。いずれも最大7.2MBit/s。
O2の場合、「O2 Go Prepaid」プランが1日3.5ユーロ。1ギガまでは最大7.2MBit/sで、以降64kBit/s。「O2 Go Prepaid XL」プランが月間35ユーロ。7.5ギガまで14.4MBit/sで、以降64kBit/s。
E-plusのプリペイドプランでデータ通信に適したものはサイトで見当たらなかった。

MVNOでは以下の通り。
FONICの場合、月間1ギガで19.95ユーロ。1ギガまでは最大7.2MBit/sで、以降32kBit/s。
Congstarの場合、30日250メガの「Prepaid Smart L」が14.99ユーロ。
O.TEL.Oの場合、月間300メガで8.99ユーロ。

こうして比較すると、短期滞在ならO2の「O2 Go Prepaid」、1週間程度の滞在で1ギガ程度ならFONICかVodafone、めいっぱい使いたいならO2の「O2 Go Prepaid XL」といったところ。

(WiFi)
レストラン、カフェ、交通機関、公共施設など様々な場所で無料のWiFiが提供されている。
マクドナルドやスターバックス、アインシュタインカフェ(Einstein Kaffee)などのチェーンではWiFi目当ての客がラップトップを開く光景がお馴染み。

4. 世界あの街この街: ベルリン


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第29回 ベルリン

ベルリンの旅行ガイド
ベルリン (トリップアドバイザー提供)

ドイツ連邦共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

ロンドン、パリと並ぶ欧州の文化的中心で、モダンで洗練された街並みが広がる。
近代では激動の歴史を経験し、二度の大戦と街中がガレキと化した市街戦を経て不死鳥のごとく発展、分断都市となった冷戦時代を経て1989年に東西ベルリンが統合、新生ドイツの首都となった。
現在ベルリンには180以上の美術館・博物館と50を超える劇場があり、いずれも第一級のレベルを誇る。歴史建造物や戦争史跡などの史跡にも事欠かない一方、現代アートやカウンターカルチャーの聖地でもあり、常に新たなムーブメントが生まれているエネルギッシュな街として観光客が絶えない。

ベルリン市は東京23区の1.5倍と広く、観光名所やショッピングエリアが市外に散在している。ここでは、必見のスポットを効率よく巡るプランを紹介する。もちろん1日では見尽くせない。
ベルリン
※A-ブランデンブルグ門(Brandenburger Tor)、B-アレクサンダー・プラッツ(Alexanderplatz)、C-博物館島(Museum Island)、D-ハッケシェ・ヘーフェ(Die Hackeschen Hoefe)、E-ジャンダルメンマルクト(Gendarmenmarkt)、F-ホロコースト記念館(The Holocaust Memorial)、G-ベルナウア通り(Bernauer Street)、H-ドイツ連邦議会議事堂(Reichstag Building)、I-ソニーセンター、J-カイザー・ウィルヘルム教会(Kaiser Wilhelm Memorial Church)
(出典:Google)

ベルリンはブランデンブルグ門から大きく東西に分かれる。
西に延びるのが6月17日通り、東に延びるのが菩提樹(リンデン)の並木道ウンター・デン・リンデン。
ベルリンの旅行ガイド
ブランデンブルグ門 (トリップアドバイザー提供)


ベルリンの街歩きは東側、ミッテ地区から。
ベルリン中央駅から地下鉄に乗り、アレクサンダー・プラッツ駅で降りると、あたり一帯はベルリンの中心であるミッテ地区(Gartenstraße)のど真ん中。
駅前は東ドイツ時代に国の威信をかけて作られた広大なアレクサンダー広場(プラッツ)、どこかレトロなテレビ塔を望む一帯には史跡やミュージアムといった観光名所から、路地裏のショッピングエリアに小さなクラブまで、昼の顔も夜の顔も区別なく多くの人が行き交う。

街歩きが楽しいエリアで、ホテルも多い。観光客はカフェめぐりやお土産探し、夜遊びまでこの地区のお世話になる。
駅のすぐそばにあるガレリア・カウホーフは東ドイツ時代から続く由緒正しきデパートで、最上階のフードコートからは広場を一望できる。

シュプレー川沿い、大聖堂が見えてきたらミュージアムが集まる博物館島。
博物館島に渡る前に、対岸の旧東ドイツ(DDR;Deutsche Demokratische Republik)をテーマとしたDDR博物館に寄ってみよう。秘密警察の盗聴システムを見せる部屋や当時の料理を出すレストランなど、その手の展示が好きな方にはたまらない場所で、郷愁を誘うのかドイツ人にも大ウケとのこと。
DDR Museum
DDR Museum (トリップアドバイザー提供)

博物館島は、プロイセン家の至宝を集めた旧博物館、新博物館、旧国立美術館、ボーデ博物館、ペルガモン博物館、大聖堂が一箇所に集まった中州で、世界文化遺産に登録されている。
Berlin Cathedral
Berlin Cathedral (トリップアドバイザー提供)

中でも最大の展示規模を誇るのがペルガモン博物館。古代ローマやイスラムの巨大な遺跡を展示しており、トルコで建造された「ゼウスの大祭壇」や、古代バビロニアの「イシュタール門」が代表的。
Pergamon Museum
Pergamon Museum (トリップアドバイザー提供)

アレクサンダー・プラッツに戻り、ハッケシャー・マルクト駅で下車。一帯のハッケシェ・ヘーフェは雑貨やギャラリーの集まるエリアとして人気。
あたりはユダヤ人街の痕跡を残し、旧女学校の建物がレストランに改装されている。
また、劇場やギャラリー、しゃれたレストランも多い。
Die Hackeschen Hoefe
Die Hackeschen Hoefe (トリップアドバイザー提供)

オーラニエンガー通り沿いには1938年のユダヤ人迫害事件「水晶の夜」で大きな被害を受け、再建された新シナゴーグがある。アルハンブラ宮殿に範をとったという壮麗なファサードは威厳がある。
ここからフリードリヒ通りまで歩き、森鴎外記念館を見学してもいい。
Neue Synagoge Berlin - Centrum Judaicum
Neue Synagoge Berlin – Centrum Judaicum (トリップアドバイザー提供)

フリードリヒ通りを南に歩くと、ウンター・デン・リンデンと直交する。
ブランデンブルグ門を背に歩くとドイツ歴史博物館のあるベベール広場、そしてベルリンで最も美しいと称されるジャンダルメンマルクト広場へ。高級ブティックやデパートが建ち並び、教会のフランスドームとドイツドームが威厳を添える。クリスマスマーケットの時期は欧州でも有数の賑わいとなる。
Gendarmenmarkt
Gendarmenmarkt (トリップアドバイザー提供)


ブランデンブルグ門の周辺は戦争や分断時代の史跡・ミュージアムが多い。
門のすぐ南に突然現れる静謐な異空間がホロコースト記念館。
直方体の石が無数に拡がる光景は多くの来訪者に強い印象を残す。地下には強制収容所に関する情報が展示されている。
The Holocaust Memorial
The Holocaust Memorial (トリップアドバイザー提供)

さらに南に向かうと同じくユダヤ迫害の悲劇を展示したトポグラフィ・オブ・テラー。秘密警察ゲシュタポ本部の跡地というロケーションが迫力を醸し出す。展示も生々しい。
トポグラフィ・オブ・テラーの真正面にある巨大な建物はEUを牛耳る連邦財務省。かつての第三帝国航空省本拠であり、異様な圧力を感じる。
近くのフリードリヒ通り沿いにはかつての東西検問所跡を改装した壁博物館があるので、あわせて訪れたい。
Topography of Terror
Topography of Terror (トリップアドバイザー提供)


ブランデンブルグ門から北東へ。
地下鉄(Uバーン)のベルナウアー・シュトラーセ駅を出ると、かつての西ベルリンと東ベルリンの境界となっていたベルナウア通り。
この一帯、プレンツラウアー・ベルク地区は東ドイツ時代から芸術家や反体制運動家が住み着いていたエリアで、現在でも、アーティスト、ミュージシャン、ゲイなどの個性豊かな面々が集う。デザインギャラリーやおしゃれなショップ、バーなどが林立する流行の発信地である一方、緑が多くのどかでリラックスできる。
Prenzlauer Berg
Prenzlauer Berg (トリップアドバイザー提供)

ベルナウア通りを南西に進むと壁の歴史を展示したベルリン・ウォール・メモリアルがある。
Memorial of the Berlin Wall
Memorial of the Berlin Wall (トリップアドバイザー提供)


さらに進んで、ベルリン中央駅のあたりからが旧西ベルリン側。
ベルリン中央駅は、東西に分かれていた不便なベルリンの鉄道事情を解消すべく鉄道大国ドイツの威信をかけて作られた巨大な駅で、一見の価値あり。

ブランデンブルグ門を西に超えると、ユニークなドームを持つライヒスターク(ドイツ連邦議会議事堂)。
6月17日通りの向こうには女神像を抱く戦勝記念塔が見える。この塔が見えるあたりから街歩きを始めるのもおすすめ。
Reichstag Building
Reichstag Building (トリップアドバイザー提供)

門の南に向かうとポツダム広場。
第2次大戦以前から繁華街だったが、市街戦で灰燼となった。ベルリンの壁崩壊後に再開発が進み、今ではソニーセンターがランドマークとなる現代的なエリアとなっている。
Sony Center
Sony Center (トリップアドバイザー提供)

ポツダム広場から西に向かうと巨大なショッピングセンターのアルカーデン、ベルリンフィル、ベルリン絵画館(Gemaeldegalerie)などの名所がある。
ベルリン絵画館はヨーロッパの中世~近世のコレクションで世界有数。ボッティチェッリ、アルブレヒト・デューラー、ラファエロ、パウル・ルーベンス、レンブラント、そしてフェルメールといった日本でもお馴染みの巨匠達が惜しげもなく展示されている。
Gemaeldegalerie
Gemaeldegalerie (トリップアドバイザー提供)

絵画館から西に向かうとバウハウス資料館がある。建築好きならば、郊外デッサウのバウハウス本校と合わせて訪れたい。
Bauhaus Archive
Bauhaus Archive (トリップアドバイザー提供)

さらに西、ベルリン動物園とツォー駅を超えるとベルリン有数の繁華街クーダム(Kurfurstendam)へ。西ベルリン時代からの目抜き通りで、デパートや高級ブティック、レストランが立ち並ぶ。
古典様式の見事な駅舎を誇るヴィッテンベルグ・プラッツ駅前の巨大デパート、カーデーヴェー(KaDeWe)も必見だ。6階の食品売場には世界の食が集まる。
Kaufhaus des Westens (KaDeWe)
Kaufhaus des Westens (KaDeWe) (トリップアドバイザー提供)

クーダムの起点は市街戦の爪痕を示すカイザー・ウィルヘルム教会。青いステンドグラスが美しい。
Kaiser Wilhelm Memorial Church
Kaiser Wilhelm Memorial Church (トリップアドバイザー提供)

そして、クーダムの先にはベルリンの激動の歴史を紹介する博物館「ザ・ストーリー・オブ・ベルリン」がある。こちらの名物展示は3,000人を収容できる本物の核シェルター。
カイザー・ウィルヘルム教会の崩れた尖塔とこのミュージアムを巡ると、数々の危機を乗り越えてきたベルリン市民のたくましさを感じずにはいられない。
Story of Berlin
Story of Berlin (トリップアドバイザー提供)


ここまでは中心部の名所を紹介してきたが、音楽や夜遊びの盛んなスポットは周辺エリアにも点在している。
上で紹介したプレンツラウアー・ベルクの他、クロイツベルグのコトブサー・トーア駅付近はトルコ移民の集まる賑やかなエリアで、こちらも新たなカルチャーの発信地。その南側、ノイケルン地区もトルコ人街だが、学生やアーティストが多く住む活気にあふれたエリアとなっている。
Kreuzberg
Kreuzberg (トリップアドバイザー提供)


郊外観光で人気なのは、ザクセン王国の古都ドレスデンや、サンスーシ宮殿やポツダム宣言でお馴染みのポツダム。そしてバウハウスの本拠地デッサウも見逃せない。
いずれもベルリンから日帰りで行くことができる。

ドレスデンの見どころはツヴィンガー宮殿や緑の丸天井。ドレスデンもやはり空爆で灰燼と化したが、無数の残骸をコンピューターの駆使により組み合わせ見事に再建された聖母教会は新たなランドマークとなっている。
Frauenkirche
Frauenkirche (トリップアドバイザー提供)

ベルリンから1時間程度で行けるのがザクセンハウゼン収容所跡。
190ヘクタール(東京ドーム40個分)という広大な敷地に20万人以上の人が収容され、5万人もの犠牲者が出たと言われている。
Sachsenhausen Concentration Camp
Sachsenhausen Concentration Camp (トリップアドバイザー提供)

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Hofbrau Munchen Berlin
Hofbrau Munchen Berlin (トリップアドバイザー提供)

ベルリンはドイツの郷土料理から移民のもたらした世界の食まで選択肢は広い。特に移民の味はもはや新たなベルリンの伝統食となりつつある。
大都市だけあり、ミシュランガイド掲載のファインダイニングも10以上ある。一方で、ヨーロッパの他の都市と比べ外食は意外にリーズナブル。駅や繁華街のフードコートでボリュームたっぷりのサンドイッチにコーヒーを追加しても数ユーロ。

ドイツの伝統料理といえばソーセージや酢漬けのキャベツなどの保存食が思い浮かぶが、ベルリンでも本場の味を堪能できる。ベルリン名物は豚スネを豪快に煮た「アイスバイン」や肉団子のホワイトソース煮「ケーニヒ・スベルガークロプセ」など、全般に温かい煮込みものが多い。
B級グルメの「カリーヴルスト」もベルリン発祥。ビール片手に頬張ればベルリンっ子の仲間入り。

トルコ移民が多いことから、中東料理やケバブ、豆のコロッケ「ファラフェル」も親しまれている。屋台で提供するファーストフードとしてのドネルケバブはベルリンで発明されたという説も。

環境や健康に意識の高いベルリン市民の嗜好を反映して、オーガニックフードの人気も高い。

Currymitte Berlin
Currymitte Berlin (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
ドイツ行きの直行便はJAL、ANA、ルフトハンザが運行しているが、ベルリン便はない(フランクフルト、ミュンヘン、もしくはデュッセルドルフ便となる)。

中東系のカタールやエディハドが安めで、燃油込みで10万円程度。カタールはドーハ乗り継ぎ、エディハドはアブダビでエア・ベルリンに接続する。アエロフロートやスカンジナビア航空も安め。いずれも所要時間は長めで、空港泊が必要になる場合も。

所要時間が短めなのはJAL、ANAの日系やルフトハンザ、フィンエアー、オーストリア航空など。このあたりは所要15時間以内に到着するが、運賃も17万円程度とやや高め。

日程に余裕があればヨーロッパの適当な都市に飛んでLCCでベルリン入り、という手もある。

(パッケージツアー)
時期によっては最安で2人参加5日間10万というプランも見つかる。
15万円程度出せばミュンヘンやワルシャワを周遊するツアーも。

(空港)
ベルリンの空港は現在2つ。

テーゲル国際空港(TXL)はベルリン中心の北西約8kmに位置する。エア・ベルリンのハブ空港となっており、主にヨーロッパ主要都市からの便が発着。
空港からはタクシーで市の中心まで約20分。30ユーロ程度。
X9番の急行バスならツォー駅まで約20分。TXLジェットエクスプレスバスならアレクサンダー広場まで40分ほど。料金は2.6ユーロ。市バスの場合、109番と128番の市バスがツォー駅まで所要約25分。

シェーネフェルト国際空港(SXF)はベルリン郊外の南東部・ブランデンブルク州との境界に位置しており、市街地との距離は約25km。旧東ベルリン空港で、主にアエロフロートや東欧便、イージージェットなどLCCの発着空港となっている。
空港からはタクシーで市の中心まで約40分。40ユーロ程度。
快速列車「エアポート・エクスプレス」ならベルリン中央駅まで所要30分程度。3.2ユーロ。

シェーネフェルト空港は新空港のブランデンブルク国際空港(BER)として拡張の予定であるが、2012年予定だった開港は遅れており、2016年以降となる見込み。


地理と気候

ヨーロッパの冬は寒さが厳しいため、一般には夏の6月から9月頃までがベストシーズンだが、冬の街並みも美しい。
冬のイベントとしてはドイツ名物のクリスマスマーケットがあり、この時期を目当てに訪れる観光客も多い。

時差はマイナス8時間。日本の正午が午前4時。3月の最終日曜から10月最終日曜までサマータイムで、時差はマイナス7時間となる。日本の正午が午前5時。


(画像:Google提供)


言語と通貨

ベルリンではおおむね英語が通じる。旧東ドイツエリアでは通じにくいことも。

通貨はユーロ(EUR)。1ユーロ=136円(14年9月時点)。
概ね1ユーロ=150円と覚えておけば使いすぎない。

物価は日本並みと考えていればよい。中級ホテルが1万円、高級ホテルで2万円程度。
外食ランチは安食堂やサンドイッチで3~4ユーロ、レストランなら日本よりやや高めで8~15ユーロ(欧州の他の大都市よりは安め)。カフェが2.5~4ユーロ程度。タクシー初乗り3ユーロ。水500ml(コンビニ)で1ユーロ程度。
商品価格には7~19%の消費税が含まれている。

両替は万国共通で、ATMの国際キャッシングが便利。
現金の場合は日本円を現地の市中で替えるのが鉄則。
ドイツは意外に現金主義。クレジットカードはホテルやレストラン、デパートでは問題無く使えるが、ローカルのお店では使えないことも多い(他のお客が使っているように見えてもデビットカードだったりする)。

チップの習慣がある。レストラン・カフェは10%程度。タクシーなら10~15%程度だが、おつりを渡したり端数の切り上げでも良い。ポーターやルームサービスで1ユーロ。


治安とビザ

ドイツの治安は全般に良好だが、ベルリンでは観光地特有の犯罪が少なくない。
空港や駅、ホテルのロビー、観光スポットでの窃盗・置き引き・スリ・ひったくりなどに注意。北部・東部・北東部は全般に治安が悪いとされている。
特に主要駅、ウンター・デン・リンデン通り、クーダム、アレクサンダー・プラッツなどの繁華街では身の回り品に注意し、夜間の一人歩きは避けること。

ホームレス風の労務者や全身タトゥーの若者、ゲイのカップルなどバラエティに富んだ人が集う街だが、彼らが危険ということはなく、見た目で判断するとベルリンを楽しめない。
ただし、明らかにネオナチ風の風体をした集団(スキンヘッド、黒っぽい服装、十字や拳マークのシンボリックなTシャツなど)には近づかないこと。特に、最近ではイスラエルのパレスチナ自治区ガザへの攻撃に対する抗議行動が活発化していることから、便乗した拝外主義者の行動が活発化する可能性がある。

(出典:Wikipedia;ネオナチのシンボル)

また、クラブやバーでは麻薬の使用や取引が常態化している他、昏睡強盗などの被害も報告されている。

90日以内の観光・出張滞在はビザ不要。


市内交通

(タクシー)
ぼったくりなどは無く、メーター制で安心して利用できる。英語も通じるので安心。
初乗り3ユーロ、1km毎に2ユーロ(7kmまで)、7kmを超えると1km毎に1.3ユーロ。
チップは料金の10~15%程度。他に、大きな荷物がある場合や日曜日・夜間の割増あり。

(近郊鉄道・地下鉄・トラム・市バス)
市内公共交通機関は近郊鉄道のSバーン、地下鉄のUバーン、トラムおよび市バス、フェリー。
Sバーンは山手線のような環状線と郊外に延びる15のラインがある。Uバーンは10線。

料金体系はすべて共通で、ゾーン制となっている。ベルリン中心部、Sバーン環状線の域内がAゾーン。その外周、テーゲル国際空港を含むエリアがBゾーン。さらにその外周、シェーネフェルト国際空港やポツダムを含むエリアがCゾーン。

チケットは、シングルチケットとデイパス(週間・月間・年間もある)、旅行者向けのカードがある。
シングルチケットはABゾーンもしくはBCゾーン2.6ユーロ、ABCゾーン3.2ユーロ。有効時間2時間で、この時間内ならば市内公共交通機関は乗り放題(バスからUバーンに乗り換える場合でも追加の初乗運賃無は必要ない)。
近距離の場合(S・Uバーン3駅まで、市バス・トラムは6停留所まで、かつゾーンAB内かBもしくはC内)は有効時間設定無しの使い切りで1.5ユーロ。
デイパスはABゾーン6.7ユーロ、BCゾーン7ユーロ、ABCゾーン7.2ユーロ。一週間チケットはABゾーン28.8ユーロ、BCゾーン29.7ユーロ、ABCゾーン35.6ユーロ。

旅行者向けのカードは2種類。
ベルリン・ウェルカムカードはベルリンとポツダム市内の公共交通機関が乗り放題となり、一部のミュージアムやレストランなどが割引となる。48時間有効のABCゾーンカードが20.5ユーロ、5日間有効のABCゾーンカードが37.5ユーロ。
ベルリン・シティツアーカードはウェルカムカードと割引対象施設や特典が異なる。48時間有効のABCゾーンカードが18.9ユーロ、5日間有効のABCゾーンカードが35.9ユーロ。

(鉄道)
Berlin Hauptbahnhof
Berlin Hauptbahnhof (トリップアドバイザー提供)

鉄道大国ドイツの威信をかけた欧州最大規模の駅、ベルリン中央駅はショッピングセンターが併設された巨大施設で、一日過ごせる。Sバーン、Uバーンも発着する他、シェーネフェルト国際空港を利用した場合にはエアポート・エクスプレスがこちらに到着する。

ドイツの鉄道網は大変充実しており、フランクフルト経由で出入国する場合やハンブルク、ミュンヘンなどに移動するにも利便性が高い。国際列車によりパリやウィーンとも結ばれている。

(レンタカー・レンタサイクル)
「郊外に出たい」「アウトバーンを走りたい」、そんな時はレンタカーも選択肢。
フォルクスワーゲンミニを24位時間借りた場合の相場は8,000円程度、ゴルフなら1万円程度、7人乗りのフォルクスワーゲン・トゥーランで1万2千円程度。
なお、アウトバーンが最高速度無制限なのは規制・標識がない区間だけで、ベルリン市内ではおおむね80km/hか100km/hに制限されている。

多くの道路で自転車専用路が設けられている。多くは赤い色で区分けされているのですぐ分かる。レンタル自転車は24時間で12ユーロ程度。鉄道やバスへの持ち込みも可能(混雑時間帯除く;ベルリンABゾーンは1.7ユーロ、ABC全ゾーンは2.3ユーロ)。


ホテル

Hotel Adlon Kempinski
Hotel Adlon Kempinski (トリップアドバイザー提供)

重厚な建築の5つ星ホテル、郊外の古城ホテルから前衛的なデザインホテルまで、宿の選択肢は多い。古い石造りの建物をセンス良くリノベーションしたミニホテルに泊まるのも面白い。ミッテにはKGBのオフィスを改装した「ラックス11」や壁中にストリート・ペインティングが施された「ヴァインマイスター」などユニークなホテルもある。

ベルリンはイベントの多い街で、年を通して展示会や祭が開かれている。
1月はミュージアムに入り放題のミュージアム・ナイト、2月はベルリン国際映画祭、4月はイースタオ-、6月にデザインフェスティバル、秋は展示会シーズンで混み合い、ベルリン音楽祭やオクトーバーフェストもこの時期。冬はアドベントとクリスマスマーケット。

ホテル代は高級ホテルでも2万円程度、中級ホテルなら1万円程度と欧州の都市ではやや割安。ゲストハウスなら3千円~といったところ。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ドイツの通信事業者はMobile、Vodafone、O2、T-E-plusの4社に加え、FONIC、Congstar、O.TEL.O、Alice、AlditalkなどのMVNO(回線利用業者)が無数にある。

ドイツを拠点とする最大手T-Mobileの場合、月間250メガバイトで9.95ユーロ。最大8MBit/s。追加500メガのオプション「Speed​​On L」を追加するとさらに9.95ユーロ。
Vodafoneの場合、プリペイドの「Mobiles Internet ohne Vertrag」が30日間1ギガで14.99ユーロ、5ギガで34.99ユーロ。いずれも最大7.2MBit/s。
O2の場合、「O2 Go Prepaid」プランが1日3.5ユーロ。1ギガまでは最大7.2MBit/sで、以降64kBit/s。「O2 Go Prepaid XL」プランが月間35ユーロ。7.5ギガまで14.4MBit/sで、以降64kBit/s。
E-plusのプリペイドプランでデータ通信に適したものはサイトで見当たらなかった。

MVNOでは以下の通り。
FONICの場合、月間1ギガで19.95ユーロ。1ギガまでは最大7.2MBit/sで、以降32kBit/s。
Congstarの場合、30日250メガの「Prepaid Smart L」が14.99ユーロ。
O.TEL.Oの場合、月間300メガで8.99ユーロ。

こうして比較すると、短期滞在ならO2の「O2 Go Prepaid」、1週間程度の滞在で1ギガ程度ならFONICかVodafone、めいっぱい使いたいならO2の「O2 Go Prepaid XL」といったところ。

(WiFi)
レストラン、カフェ、交通機関、公共施設など様々な場所で無料のWiFiが提供されている。
マクドナルドやスターバックス、アインシュタインカフェ(Einstein Kaffee)などのチェーンではWiFi目当ての客がラップトップを開く光景がお馴染み。