2a. 連載:「タビノート」 下川裕治
月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。
下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。
飛行機には投石は届かない
いま、バングラデシュのコックスバザールという街にいる。この国の南端に近い街だ。朝10時にダッカを出発した、US-BANGLAという航空会社のプロペラ機に乗ってやってきた。1時間もかからずに着いてしまった。機内では簡単な機内食も出た。
いつもはダッカからバスを使う。10時間以上かかる夜行バスである。料金が安いということもあるのだが、飛行機の運航が安定していないということがいちばんの理由だった。かつてはビーマン・バングラデシュ航空の国内線が就航していたが、突然の運休がしばしばあった。それが前日までわからないことも多かった。バスのほうが確実だったのだ。