2a. 連載:「タビノート」 下川裕治  2016/11/15号 Vol.081


2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

中間クラスLCCという流れ

飛行機には中間クラスというものがある。主にビジネスクラスとエコノミークラスの中間として設定されることが多い。座席はビジネスクラスだが、食事はエコノミーといった感じで、中間運賃を打ち出す。
「LCCと既成の航空会社の中間クラス?」
 タイスマイル航空である。
 バンコクからミャンマーのヤンゴンまで乗った。9月下旬に航空券を買った。片道運賃で比べると、エアアジアなどの本格LCCが3000台~4000円台。タイスマイルが6000円台~7000円台。タイ国際航空が18000円前後。運賃は既存の航空会社よりはLCC寄りだったが。
 タイスマイルは2012年に飛びはじめた。独立した航空会社というより、タイ国際航空の格安ブランドという色合いが強かった。
 一説には、タイ国際航空内でもめごとがあり、一部のメンバーが新しいブランドを立ち上げたという。噂かもしれないが、タイ国際航空という会社は、一時の日本航空に似ている。内部にはいくつものグループがあるという。
 その後、少しずつ独立色を強めているように思う。しかし利用者は戸惑うことが多い。
 だめだろうと思いながら、チェックインカウンターで、ユナイテッド航空のマイレージカードを出してみた。タイ国際航空は、ユナイテッド航空と同じスターアライアンスである。
「タイ国際航空のマイレージカードしかマイルは貯まりません」
 といわれた。試しにラウンジでも尋ねてみた。
「タイスマイルはスターアライアンスには入っていないんです」
 いろいろがはっきりしたが、ヤンゴンへのフライトでは、ちゃんとした機内食が出た。無料である。シートの間隔も広く、既存のタイ国際航空と変わりはない。
 ではいったいどういう人が、この航空会社を選ぶのだろうか。運賃を優先すれば、LCCを選ぶ。しかしLCCはできれば乗りたくはない……という人はいる。だがタイ国際航空はやはり高い。そこでタイスマイルを選ぶ客層狙いというわけだ。
 中間クラスといえば中間だが、すべてが中途半端でもある。
 しかし座席は7割がた埋まっていた。
 以前、このコーナーで、マレーシアのマリンドエアーを紹介した。機内食や荷物も30キロまで無料。シートピッチは広く、シートテレビまでついているLCCである。
 これからのLCCの流れは、どこかこのあたりに集まってきそうな気がする。

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タイスマイルのバンコクーヤンゴン線の機内食。タイ国際航空の機内食に似ている?