2c.「柳下毅一郎のアウト・オブ・ディス・ワールド」 柳下毅一郎
柳下毅一郎(やなした・きいちろう)
1963年大阪府生まれ。英米文学翻訳家・映画評論家。多摩美術大学講師。訳書にR・A・ラファティ『第四の館』(国書刊行会)、アラン・ムーア/J・H・ウィリアムズIII『プロメテア 1』(小学館集英社プロダクション)など。著書に『新世紀読書大全』(洋泉社)、『皆殺し映画通信』(カンゼン)など。編書に『女優林由美香』(洋泉社)など。
柳下毅一郎のアウト・オブ・ディス・ワールド 第3回
注:以下の記述はすべてフィクションであり、現実の出来事とは一切関係ありません。
もちろんそんなことばかりしていたわけじゃない。judgeの本分を忘れずに、決めるときには決めないと。Cannabis Cupのパンフレットにはコンテスト参加店26店のマップがあり、それを片手にバーホップできる。参加店でJudgeパスを見せると、たいていはJudge向けのお勧め銘柄一パックを10ユーロくらいで売ってくれる。とりあえず前年優勝から押さえるか……とGreenhouseへ。Greenhouseは種屋でもあるので、いわばcannabis cupは自社製品の見本市、当然採算度外視で強力なのが来る。市内にはいくつも店舗があるのだが、参加店舗は一店だけ。HaarlemerstraatにあるGreenhouse Unitedだ。ちなみにこのHaalemerstraatは中央駅からほど近いが、ヘッドショップとコーヒーショップが並ぶラリパッパ通りとして有名である。