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1. 旅行業界最新ニュース  2017/8/22号 Vol.90


1. 旅行業界最新ニュース

カタール、ビザ免除へ

カタール(国)は、日本を含む80カ国の国民に対しビザ免除での入国を許可することを発表した。滞在期間はフランス、ドイツ、スペインなど33カ国が180日、日本、アメリカ、香港など47カ国が30日間となっている。これによりこれまでは入国審査時にQR100(約3000円)のトランジットビザが必要だったドーハ空港からのカタール入国が無料となる。

ルフトハンザ機内で男児誕生

7月26日、ボゴタ発フランクフルト行きのルフトハンザ航空LH543便でブルガリア人女性が男児を出産した。離陸後陣痛が始まった女性は、乗り合わせた3人の医師と客室乗務員の助けで、北大西洋高度39,000フィート上空で無事出産。男児は医師の1人と同じ「ニコライ」と名付けられたという。ルフトハンザ航空の機内での出産は、1965年以降11人目。

セントレア、新ターミナルの工事を公告

8月10日、中部国際空港(セントレア)は新旅客ターミナルビル工事の公告を開始した。今年3月に発表した新ターミナルビルの計画によると、連絡通路を含めて延べ面積は約45,000平方メートル、主にLCCの利用を想定しておりスポット数は合計10スポットとなる予定。工事完了は2019年7月を予定している。

シンガポール・チャンギ空港に和食専門フードコート

全日空商事は、シンガポール・チャンギ空港に日本食フードコート「JAPAN GOURMET HALL SORA」を11月上旬に開業すると発表した。場所はターミナル2の搭乗口前ロビーエリアとなり、席数は約290席。ラーメンや丼ものなど6店舗を予定しており、帰国前に一足早く和食を楽しむことができるようになる。

エア・ベルリンが破産申請。運行は継続

ベルリンとデュッセルドルフを拠点に多数のヨーロッパ路線を運行するドイツ第二2位の航空会社エア・ベルリンが8月15日に破産申請を行った。エティハド航空による財政支援が打ち切りになったことによるもので、今後はルフトハンザグループとドイツ連邦政府の支援で経営再建を目指すという。

ジェットスター、那覇~シンガポール線に就航

ジェットスター・アジア航空は、11月より那覇~シンガポール線に週3便就航することを発表した。使用機材はエアバスA320、価格は片道12000円から。那覇からの東南アジア路線はピーチ・アビエーションのバンコク便に続き2路線目となる。

ダイヤ
2:20 シンガポール → 8:30 那覇(3K791)運航日:月金日
9:30 那覇 → 13:40 シンガポール(3K792)運航日:月金日

2. 連載:「タビノート」 下川裕治  2017/08/22号 Vol.090


2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

那覇空港がLCCのハブという流れ

 LCCの那覇空港ハブ化が進んでいる。現在、ピーチ・アビエーションは、那覇空港から、台北、香港、ソウル、バンコク路線に就航している。それぞれ1日1便、台北路線は1日2便体制だ。ピーチ・アビエーションが好調なのだろうか。ジェットスター・ジャパンも那覇―シンガポール路線の就航を発表した。
 7月にバンコクから那覇までピーチ・アビエーションに乗った。那覇には朝着くが、出発は午前1時台という、ややつらい時刻。所要時間は4時間半ほど。LCCだから食事のサービスもないから、まあ寝てしまえば……というスケジュールである。
 しかし安い。僕は直前に買ったので7000円ほどだったが、もっと早く予約を入れれば4000円台になるらしい。もっとも就航のキャンペーンがまだ続いているのかもしれない。今後は1万円ぐらいに落ち着くかもしれないが。
 その便の乗客は152人だった。全座席数は180。集客率は80%を超えていた。乗ってみてわかったが、乗客の8割はタイ人だった。残りの1割が欧米人、そして1割が日本人。つまり日本にやってくるタイ人のための便という感がある。
 隣に座っていたタイ人に訊いてみた。
「那覇で乗り換えて大阪まで行きます。家族5人の日本旅行です。航空券代? 正確に覚えていないけど、たぶん往復で7000バーツぐらい。娘がとってくれました。安くて助かります」
 7000バーツは日本円に換算すると2万3000円ほど。キャンペーンをうまく使ったのかもしれないが、LCCの大阪直行便より安い。
 那覇空港で見ていると、タイ人の多くが、那覇での乗り換えだった。那覇空港をハブ的に使っているのだ。
 那覇空港のハブ化には伏線がある。全日空が貨物のハブ空港に使っているのだ。那覇は東アジアからなら2時間ほどの距離。ここで荷物を積み替えるわけだ。
 日本のLCCもこの応用である。最大の利点は、これまで国内線で使っていた機材をそのまま使えることだ。ピーチ・アビエーションが国内線で使っているのはエアバスA320。中型機である。長距離飛行はできないが、バンコクまで4時間半なら運航できる。
 機材の統一は、LCCにとって経費の節減につながる。アジアのLCCであるエアアジアやスクートが大型機を導入し、長距離路線に進出しているが、日本路線などでは苦戦している。それを計算にいれた那覇のハブ化という計画が読み取れる。
 今後、乗り換えというデメリットを超えるほどの運賃を提示できるか、どうか。鍵を握るのは集客率ということだろうか。


那覇空港では写真撮影は禁止。徒歩でターミナルに行くが風が強く、トラブルの原因になるためだとか

2. 連載:「タビノート」 下川裕治  2017/07/25号 Vol.089


2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

アメリカの航空界はアジアに抜かれた?

当然LCCがあると思っていた。飛行時間は1時間ほど。結ぶ都市はトロントとシカゴ。両都市とも人口は多い。
 アジアの感覚からすると、レガシーキャリアとLCCが競合する路線でもある。ビジネスマンはレガシーキャリアを使い、観光客や若者はLCC。きちんと住み分けもできるような気がした。
 トロントの宿でネットをつなぎ航空券を探した。一般的な検索サイトを調べてみる。
 LCCがない……。
 表示されるのは、ユナイテッドエクスプレス、エア・カナダ、アメリカン航空といったレガシーキャリアばかりなのだ。
 一般的な検索サイトではLCCが表示されないことがたまにある。そこでアメリカとカナダのLCCのサイトで調べてみた。
 やはりなかった。
 時期の問題もあったのかもしれないが、この路線にはLCCが入りこめないでいるようだった。レガシーキャリアが固めているのだろうか。
 しかたなくユナイテッドエクスプレスの便にした。片道3万円を超えていた。かなり高い。各社の運賃も横並びである。
 トロントのピアソン国際空港。カナダからアメリカに向かう場合は、カナダ側でアメリカの入国手続きをすることが多い。アメリカの入国審査は非効率だ。審査ブースに向かう前に、機械で登録するのだが、この機械がうまく作動しない。何回かトライすると、やっと登録が終わることが多い。しかし今回は3回目で、直接、審査ブースに行くように案内が出た。
 審査ブースでは、機械の登録がすんでいない場合は出国カードを書けといわれた。ところが出国カードが見つからない。待たされること30分。ようやく手元に出国カードが届いた。
 ターミナル内を延々と歩き、シカゴ行きユナイテッドエクスプレスの搭乗口に着いた。するとそこにいた職員はこういった。
「預ける荷物はありますか?」
「……?」
 僕はチェックインをすませていた。当然、そこで荷物を預けている。どうもカナダ人やアメリカ人は、直接、この搭乗口までくることができるらしい。
 小さな飛行機だった。40人ほどでいっぱいなる小型機。機内の案内にはEMB145と書かれていた。調べるとエンブラエルというブラジルのメーカーがつくった飛行機だった。
 通路を挟んで1席と2席。体重のバランスが悪いのか、移動させられる乗客がいた。
 シカゴにはあっという間に着いたが、なにかアジアに比べると、10年遅れた世界に映ってしかたなかった。
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その場で荷物を預ける乗客は、自分でベルトコンベアーに乗せる

1. 旅行業界最新ニュース  2017/7/25号 Vol.089


1. 旅行業界最新ニュース

スクート、関空~ホノルル線に就航

7月25日にタイガーエアと合併したスクートは、シンガポール~関空~ホノルル便の年内就航を新たに発表した。現在スクートはシンガポール~バンコク~関空、シンガポール~台北~関空線をそれぞれ週3便運行しているが、あらたにシンガポール直行便も加わることになる。

JALがベトジェットエアと提携

JALはベトナムのLCCベトジェットエアと提携し共同運行を行うと発表した。JALは以前ベトナムのフラッグキャリア、ベトナム航空と提携していたが、2016年に出資を行ったANAに奪われている。ベトジェットエアはベトナム航空とサービス水準が異なるLCCであるが、JALは近年ジェットブルーやジェットスター・ジャパンなどLCCとの関係を深めている。

ニュージーランド航空が羽田就航

ニュージーランド航空は7月21日、羽田~オークランド線に週3便就航した。機材はボーイング787-9だがニュージーランドが夏になる12月8日からは座席数の多いボーイング777-200ERに変更する。将来的にはデイリー就航を目指すという。

タイムテーブル
7月21日から10月29日まで
14:50 オークランド > 23:00 羽田(NZ91)運航日:水金日
01:00 羽田 > 14:40 オークランド(NZ92)運航日:月木土

10月29日から18年3月24日まで
23:05 オークランド > 05:55(+1) 羽田(NZ91)運航日:水金日
22:05 羽田 > 12:40(+1) オークランド(NZ92)運航日:月木土

エールフランス、新航空会社「Joon」を発表

エールフランス航空は、新航空会社「Joon」の発足を発表、ウェブサイトが公開された。就航都市はまだ発表されていないが、今秋から中距離路線の就航をスタートし、中短距離18路線、アジアを含む長距離10路線を段階的に就航させていくという。機材はエアバスA320、A340、A350を使用する予定。
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図版:Joon

LINEで外貨両替が可能に

LINEの運営するモバイル決済サービス「LINE Pay」は7月24日より、LINE Payの専用画面から外貨両替の申込みと購入ができるサービス「LINE Pay外貨両替」を開始した。外貨の購入はLINE Payの残高もしくはPay-easyによる金融機関口座より行ない、SBJ銀行の羽田空港、福岡空港、博多港の4つの窓口か日本郵便での宅配で受け取ることができる。対応通貨は韓国ウォン、米ドル、中国元、ユーロの4種類。韓国ウォンは100,000ウォン、米ドルは100ドル、中国元は100元、ユーロは100ユーロが最低利用金額となる。
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図版:LINE Pay

デルタ航空、A350を初受領。成田線に投入

デルタ航空はエアバスの最新鋭機A350-900を受領、初号機は10月30日より成田~デトロイト線に就航する。デルタ航空はA350-900を25機発注しており、年内にそのうち5機を受領する予定。ビジネスクラス「デルタ・ワン スイート」は、スライド式ドアのある個室型となっている。また、デルタ初のプレミアムエコノミークラス「デルタ・プレミアム」の設定もある。
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図版:デルタ航空

1. 旅行業界最新ニュース  2017/6/20号 Vol.088


1. 旅行業界最新ニュース

スクートとタイガーエアーが合併

シンガポール航空傘下のLCC、スクートとタイガーエアは7月25日より合併することが発表された。合併後も両者の運行スケジュールに変更はないがブランド・、ウェブサイトと共にすべてスクートに統合される。また、タイガーエアの機材は来年中頃を目処にスクート塗装に切り替えられるという。

アシアナ航空、関空にA350就航

アシアナ航空は6月15日より、関空~ソウル(仁川)線の運行機材を従来のA330-300型機から最新鋭機のA350-900に変更した。これにより提供座席が従来の290席から331席(ビジネス28席、プレミアムエコノミー36席、エコノミー247席)に増えた。関空にA350型機を就航させた航空会社はベトナム航空、チャイナエアライン、キャセイパシフィック航空に続いてアシアナ航空が4社目となる。

キャセイドラゴン航空、羽田~香港便が運休

キャセイパシフィック航空は2017年冬ダイヤを発表。傘下のキャセイドラゴン航空(旧香港ドラゴン航空)の羽田~香港便を運休し、羽田~香港便はキャセイパシフィック航空運航便の1日2往復のみとなる。また、成田~香港便に関しては台北(桃園)経由便を1往復増便し1日6往復となる。

燃油サーチャージ、軒並み値下げ

燃油原価の下落を受け、JAL、ANAを始めとする航空会社の多くが8月、9月発券分の燃油サーチャージを値下げすると発表した。例を挙げるとJAL、ANA共に北米・欧州・中東・オセアニアが7000円(以下片道)から3500円に、タイ、シンガポール、マレーシアが3000円から1500円に、中国・台湾・香港が1000円から500円に、韓国線が300円から200円となる。

ピーチ、4期連続増収増益

ANA傘下のLCC、ピーチアヴィエーションは2017年3月期決算を発表、純利益が前期比80.1%増の49億4400万円で、2013年度より4期連続で黒字を達成した。また、有償ベースの平均搭乗率は85.4%、有償旅客数は約513万人。機材数は18機で就航率は99.2%となっている。今後もインバウンドの好調を受け国際線を強化していく考えだ。

ジェットスター・パシフィックが関空~ハノイ・ダナン線就航

ベトナムのジェットスター・パシフィック航空は、9月初旬より関空~ハノイ、関空~ダナンの両路線に就航すると発表した。機材はエアバスA320型機、同社が日本に乗り入れるのはこれがはじめて、同時に関空とベトナムを結ぶ初のLCCとなる。

2. 連載:「タビノート」 下川裕治  2017/06/20号 Vol.088


2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

キャセイパシフィック航空の安定感

月に1回のペースでバンコクを往復している。利用する航空会社はさまざまだ。LCCグループ、直行便グループ、経由便グループに大別できるだろうか。その都度、安い航空会社を選ぶことが基本だ。
 6月はキャセイパシフィック航空を使った。安かったからだ。
 経由便にも何社かがあるが、キャセイパシフィックに使うとわかると、やはりほッとする。飛行機に乗るというストレスがぐっと減る気がする。
 経由便には、キャセイパシフィック航空のほかに、台湾のチャイナエアライン、ベトナム航空、中国東方航空、香港の香港航空などがある。そのなかでは、キャセイパシフィック航空に圧倒的な安定感がある。それは直行便のタイ国際航空や日系2社をもしのぐ気がする。
 便数が多いという面が大きいのだろうが、なにかのトラブルが起きても、どこか慌てない気風があるように思う。それが経験なのかもしれないが
 チャイナエアラインは、ヨーロッパからの便にバンコクから乗ることがある。遅れが起きると、スタッフは動揺する。足どりが落ち着かない。キャセイパシフィック航空はインドからの便を利用することもある。やはり遅れなどのトラブルはあるのだが、スタッフはどんと構えている。慌てないのだ。
 バンコクの空港で体験することだから、スタッフの多くはタイ人である。香港のスタッフではない。それなのに彼らは動揺しない。
 今回もチェックインをすませ、搭乗待合室にいた乗客が体調を壊し、搭乗をとりやめることになった。この処理はなかなか大変だと思う。手続きの問題もあるが、預けた荷物をとり出さなくてはならない。出発直前だったから当然、遅れにつながる。
 しかしスタッフたちは慌てない。案内放送も落ち着いている。30分ほど遅れて離陸したが、その遅れは、香港の空港の乗り継ぎで簡単に吸収してしまった。
 最近のアジアの大空港はどこも混み合っている。バンコク、香港、台北、ソウル、羽田、成田、上海、北京……。出発時に遅れることが多い。「空港混雑のため」という機内放送を聞くことは多い。とくに上海と北京は恒常的に遅れる。
 各社とも苦労しているのだろうが、そういう環境のなかで、キャセイパシフィックの落ち着きは心強い。特別なことをしている風でもないのだが、なにかがうまく機能しているのだろう。そのあたりは、ひとりの乗客にも伝わってくる。

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キャセイパシフィック航空に派手さはない。香港の気風だろうか

1. 旅行業界最新ニュース  2017/4/25号 Vol.086


1. 旅行業界最新ニュース

ピーチ、ビットコインでの決済サービスを導入へ

ピーチ・アヴィエーションとビットポイントジャパンは、インターネット上の仮想通貨であるビットコインを利用した決済サービスを年内に導入すると発表。手数料は従来のクレジットカード決済などより割安になる見込み。ビットコインによる決済は日本の航空会社ではじめてとなる。

ユナイテッド航空、日本路線のB747が終了

ユナイテッド航空は、ジャンボジェットの愛称で親しまれたボーイングB747型機の日本路線への投入を6月で、米国含む全路線でも10月で終了、退役とすることを発表した。B747は世界的にも退役が進んでおり、日本では2014年を最後に旅客路線では全機が退役、最近もKLMオランダ航空、キャセイパシフィック航空などが日本路線への投入を終了しており、もはや見かけるのがレアな機体となっている。

デルタ航空、LAXで大規模なターミナル変更作業を終了

デルタ航空は、ロサンゼルス国際空港(LAX)での発着ターミナルを第5、第6ターミナルから第2、第3ターミナルに変更する作業を終了させた。「LAX ON THE MOVE」と名付けられたこの作業は、デルタ航空の他にもエアカナダ、ジェットブルーなど21の航空会社が移動する大規模なものとなった。
LAX ON THE MOVE

ピーチ、札幌発着3路線を9月からスタート

ピーチ・アヴィエーションは、9月24日より、札幌(新千歳)~仙台、福岡、台北(桃園)の3路線を開設すると発表した。ピーチがすでに発表した2018年度の新千歳空港の拠点化や、北海道路線の拡充に先立ち、ネットワークを強化するもの。これにより、新千歳空港発着路線は、大阪/関西線をあわせた4路線に拡大する。

ボーイングB737MAXが日本初飛来

ボーイングの小型旅客機B737シリーズの最新機種となるB737MAXがはじめて日本に飛来した。この機体はボーイングが初めて航空会社へ引き渡すことになったマレーシアのLCCマリンド・エアのもので、クアラルンプールへ向かう途中の寄港となった。
20170523

2. 連載:「タビノート」 下川裕治  2017/05/23号 Vol.087


2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

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下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

タイ・ライオンエアが出てこない日本の空

 最近のタイを中心にした旅を思い浮かべてみる。どのLCCに乗ったのだろうか。ウドンターニー、チャンラーイ、ウボンラーチャターニー、ヤンゴン……。すべてタイ・ライオンエアだった。
 LCCはやはり安さで選んでしまう。ウドンターニー空港へは、航空券を買わずに着いた。3つあるブースを全部まわった。タイ・エアアジア、ノックエア、タイ・ライオンエア。それぞれの料金を比べて、タイ・ライオンエアになった。バンコクへの片道が2500円ぐらいだった。これなどは露骨な料金比較である。いまのタイを中心にした中短距離路線を比較していくと、タイ・ライオンエア、タイ・エアアジア、ノックエアの順に高くなっていくことが多い。
 しかしLCCは運賃だけが選択要素ではない。就航時間がその次の要素になるだろうか。この時点で、かつてはタイ・ライオンエアが候補から落ちていくことが多かった。
 安いが運航する時間帯がよくなく、便数も少なかった。
「やっぱりタイ・エアアジアか」
 と思うことは多かった。
 しかし最近はタイ・ライオンエアが残ってくるのだ。着実に便数が増えているのだろう。
 ミャンマーを歩きながら、ある夜、タイのバンコクに向かう航空券を買おうと思った。午後まで用事があったので、夕方以降の便を探した。そこでもタイ・ライオンエアが顔をのぞかせていた。
 予約もスムーズに進んだ。
 1年ほど前のウボンラーチャターニーの夜を思い起こしていた。翌日、バンコクに戻るタイ・ライオンエアの便を予約しようと思ったのだが、支払いの画面で何回か止まってしまった。しばらく間を置き、再度、予約を入れて、やっと買うことができた記憶がある。しかし、ミャンマーではそんなこともなかった。
 着実にスムーズになっていた。そして便数も予想より早いペースで増えている。
 タイ・ライオンエアは、インドネシアの資本とタイ資本でつくられた航空会社だ。客室乗務員の服装もインドネシア風だ。
アジアの空のダイナミズムが伝わってくる。
 しかし日本のLCCに動きはない。日本航空の子会社のジェットスター、全日空の子会社のピーチとバニラ。この3社を追うLCCがなかなか登場してこない。競争の論理が生まれにくい。これから日本のLCCは高くなっていくのかもしれない。
 LCCを育てる根本的な土壌。アジアの自由さの反面、日本の硬直性が気になる。
 なぜ日本は、いつもこうなってしまうのだろうか。

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ライオンエアの機内。ごく普通のLCC。その雰囲気が伝わってくる

3a. tabinote旅行記 ミャンマー音楽紀行2017 その2


3a. ミャンマー音楽紀行2017 その2

昨年に引き続き2号にわたってミュージシャン村上巨樹さんのミャンマー旅行記を連載します。
(注:本事例は2017年2月時点の予約可能なプランおよび費用にもとづいています。)

Profile
村上巨樹

村上巨樹

岩手県在住。ギター奏者/作曲家/イベントオーガナイザー。自身のリーダーバンドte_riは今年活動10周年を迎える。日本の放浪芸とミャンマー音楽を研究中。

7日目(2月28日)


 朝7時に起床。外からかすかに音楽が聞こえるので飛び起きる。ホテルの外に出ると、遠くの方から歌謡曲が聞こえる。ホテルの人に聞くと「祭りだよ。もう始まってて9時か10時には終わるよ」。

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 慌てて朝食食べて、バイクタクシーに乗って音の聞こえる方へ。
 着いた村では生演奏ではなく音源だけが流れていた。聞くと祭りは明日だと言う。これは行ってみよう。
ホテルに戻ろうとすると、バイクタクシーの兄ちゃんが「俺の村で今日結婚式あるよ。見にくる?近いよ」と。是非是非!

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 着くとちょうど練り歩きをやってた。

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 なんだこの山車は!スピーカー紐でくくってる。

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 後ろには打楽器。

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 山車の1つ後ろには発電機。これで音響設備やマイクに電気を供給。

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 荷台に座ってる赤い帽子のおじさんがキーボードを弾く。歌手は曲ごとに入れ替わる。

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 おっちゃん!

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 花嫁さん。華やかな水牛と共に。

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 打楽器奏者も練り歩く。

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 結婚式会場。

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 音響機材に書かれてるミャンマー文字のデザインが秀逸。

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 風船売り。

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 別の山車。

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ラジオ?

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踊りもある。
 会場のおじさんに聞いたら「式は2時から」。かなり時間あるので、一旦バガンを散策することに。

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宿でeバイクをレンタル。1日8000チャット(約800円)。最大時速40キロでほぼスクーター。

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バガンの地図。

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このエリアは右上のニャウンウー、左上のオールドバガン、左下のニューバガンの3つに分けられる。俺のホテルはニューバガン。

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 ニューバガン〜オールドバガンはeバイクで15分ほど。

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 広大なエリアに、雨後のたけのこのように仏塔遺跡が点在する。eバイク使わないと無理。観光客向けの馬車があるけど、風情楽しみたい人向けかな。

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 まだ時間あるのでニャウンウーまで足を延ばす。静かな観光客向けのオールドバガンとは違い、賑わっている。

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 適当なレストランで食事。付け合わせがめっちゃ辛かった。
 昼食を食べ終え14時に村を再訪。すると楽器を片付け始めていた。え、どういうこと!?おっちゃんに聞くと「もう終わったよ」えー!マジで?うなだれたまま宿に戻る。

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 夜はニャウンウーにある観光客向けのレストランへ。目的は人形劇。
 食事はカレー、紅茶、コーヒーで計8500チャット(約850円)。

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 マンダレーと同じく、サインワインの劇伴あり。終演後、プレイヤーの方々少し話すことができた。伝統楽器の作り方や日本の楽器との共通項など。日本から来たと言うと、なんとスキヤキを演奏してくれた。

8日目(3月1日)

 朝7時起床。若干腹の調子が悪い。なんか悪いもの食べたかな。屋上で朝食を取っていると、どこからか音楽が聞こえる。昨日教えられた村祭りだろうか?宿の人に行くと「いえ、あれは近所の寺が寄付を募ってるんです」。音楽の使われ方も色々なんだな。受付でeバイクを手配してもらい、早速昨日の村に出発。

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村へはバイクで5分ほど。隠れている白い建物は寺。

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スピーカーを積んだ山車。まだ準備中。祭りは9時から。

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 昨日と同じく、後部に打楽器。

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 遊ぶちびっこ。
 寺の裏側からも音楽が聞こえて来た。

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 行ってみると会場が設営されていた。どうやら寺の表が行列のスタート地点で、裏のここがゴールらしい。

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 受付で寄付を納めると、朝食を振る舞ってくれた。

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祭りスタート。行列についていく。

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 行列は村内の路地を練り歩く。

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 近所の人たちも一目見ようと集まって来た。

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 山車はみんなで押す。
 やがてゴールの会場に到着。参加者やその家族が記念写真を撮っていた。山車から楽器が取り外されたので、祭りはこれで終わりのよう。eバイクに乗ってホテルに帰る。
 やばい、腹の調子がおかしい。胃もたれっぽいから油にやられたかな。正露丸飲んで1時間ほど仮眠する。当初はタクシーをチャーターして少し離れた村に行こうと思ったけど、大事をとって取りやめることに。正午にチェックアウト。

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 バガンで昼食。油ものはできるだけ食べたくないけど仕方ない。ハンバーガー3000チャット(約300円)、レモンティー2000チャット(約200円)。生野菜だけ食べたい。
 eバイクに乗ってニャウンウーを散策。すると遠くの方から音楽が聞こえてきた。なんだろう。気になって音の鳴る方へ。

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 音が鳴っていたのはここ。お寺…なのか?しかし大音量。

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 サインワインが生演奏やってる!一気にテンション上がる。どうやら今夜村祭りで、今はリハーサル中。

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 若いプレイヤー。ドラムセットも演奏するそう。

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 鈴とカスタネットでテンポを司る役目。楽団のリーダー。

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 ミャンマーの伝統楽器、フネー。日本でいうところのチャルメラ。

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 円環状に並ぶ金属打楽器、チーワイン。
 写真を撮ってると、会場にいたおばあちゃんに声かけられた。「あんたどこから来たんだ」「日本から。ミャンマーの音楽が好きで調べてるんです」「ヨクキタ!」えっ、おばあちゃん日本語しゃべれるの!?

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 日本語喋るおばあちゃん・モモさんとお孫さん。お孫さんが化粧してるのは、今夜の祭りに出るから。モモさんとても親切で、カタコトの日本語でサインワインを解説してくれた。18時に本番だそうで、一旦離れる。

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 ニャウンウーの端にある川。これはマンダレーと繋がっているそうで、船旅が盛んなよう。

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 ビーチバレーのコート発見。
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 気付くと日没間際。絶景。

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 18時、祭りの会場を再訪。が、まだ準備中。

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 照明の準備中。
 モモさんに聞いたら「19時からぼちぼち始まるよ」とのこと。今夜バスに乗らなきゃ行けないのでその時間だと見れないな。残念だけど本番見ずに宿へ戻る。
 eバイクを返却し、フロントに預けていた荷物を受け取る。そうこうしてるうちにピックアップのバスが来た。今夜は深夜バスに乗りヤンゴンへ移動。

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 今回利用したのは高級バス会社JJエクスプレス。バガン〜ヤンゴン間が19ドル(約2100円)。予約はJJエクスプレスのフェイスブックページで可能。

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 ミネラルウォーターと軽食のサービスあり。

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 車内は3列シート。冷房地獄なので上着必須。

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 途中寄ったサービスエリアのような場所。相変わらず腹痛なので何も食べず。

9日目(3月2日)


 朝6時ヤンゴン中央駅到着。適当なタクシーを捕まえて宿へ。チェックインは14時からだったけど体力が限界だったのでどうにかアーリーチェックイン可能か聞いてみた。結果NG。でも「屋上にデッキがあるので、そこなら休んでていいですよ」。ありがたい。

112
 宿に別料金支払い、朝食を食べる。最高の眺めなんだけど、スイカとオレンジジュースしか喉を通らない。あとこの景色を見ると、いかにヤンゴンが都会かがわかる。

113
 フロントで見つけたヒップホップイベントのチラシ。船上イベント。受付の兄ちゃんに聞いたら「ヤンゴンのクラブシーンは、クラブでやるか船でやるかの2択」だそう。面白いな。

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 「地球の歩き方」に乗っていたマッサージ店・ゲンキーに行ってみる。睡眠不足と旅疲れを回復。90分13000チャット(約1300円)。日本人が関係しているそう。ロビーに日本経済新聞あった。

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 大型書店へ。あれ?閉まってる。

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 ボージョーアウンサンマーケットも閉まってる。聞いたら今日は祝日だそう。失敗した。ミャンマー最終日だから買い物しようと思ったのに。

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 昼食は寿司。その名も「オイシイスシ」。

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 見えにくいけど、寿司職人のゆるキャラが「はい、おいしいよ!」と言ってる。

119
 久々の日本食。味噌汁が体にしみる。酢飯ではないのでおにぎりっぽさはある。

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 午後イチでカセットを再訪。頼んでいたCDやカセットを購入。おばあちゃんに「明日日本に帰ります。また来年来ます」と言ったら「じゃあせっかくだから、今夜夕食一緒にどう?ご馳走するよ」。せっかくのご好意なのでいただくことにする。
 一旦宿に戻ってチェックイン。

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ダウンタウンの中心にあるスーレーパヤーへ。

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せっかくなのでお参り。

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18時、カセット屋のご家族と寿司屋へ。

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寿司以外のメニューもある。

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記念写真。ごちそうさまでした!
20時過ぎに宿に戻り、帰国に備え荷物を整理。さっさと寝る。

10日目(3月3日)

 5時半起床。昨日頼んであったタクシーに乗り、6時に宿を発つ。空港まで8000チャット(約800円)。

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 復路はエアアジア。チェックイン、出国審査、手荷物検査をさっさと済ませる。ここでジャケットを受託手荷物に入れたのが大失敗。

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 両替所で余ったチャットをドルに替える。早朝7時だけど空いてる窓口あり。

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 ゲートに向かうエスカレーター。ヤンゴン国際空港、本当に綺麗になったな。
 8時半、定刻離陸。

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 12時45分、クアラルンプール国際空港に到着。ここでトランジット。
 先日事件があっただけに空港内はものものしい。手荷物検査、X線検査を計4回受けた。相変わらず腹痛がひどいので、昼食はマクドナルドのアイスクリームのみ。

130
 14時40分、離陸。ここでエアアジアの冷房地獄にやられる。ジャケットを預けてしまったので、腹痛のまま冷房に耐える。機内食でどうにか暖をとり、ひたすら到着を待つ。
 22時半、羽田空港到着。さっさと入国審査と税関を抜け、無事帰国。
 今回はなかなか長丁場だったけど、そのおかげで地方都市にも行けたしじっくり聞き込み調査も行えた。新たに知り合えた人もいるし、また来年行きたい。とりあえず、買ってきた音源が未開封なのでそこから始めよう。

3a. tabinote旅行記 ミャンマー音楽紀行2017 その1


3a. ミャンマー音楽紀行2017 その1

昨年に引き続き2号にわたってミュージシャン村上巨樹さんのミャンマー旅行記を連載します。
(注:本事例は2017年2月時点の予約可能なプランおよび費用にもとづいています。)

Profile
村上巨樹

村上巨樹

岩手県在住。ギター奏者/作曲家/イベントオーガナイザー。自身のリーダーバンドte_riは今年活動10周年を迎える。日本の放浪芸とミャンマー音楽を研究中。

 2017年2月22日〜3月3日にかけてミャンマーへ一人旅に行ってきた。目的は音楽調査で、去年1月の渡航に続き2度目。前回は4泊5日でヤンゴンのみだったけど、今回は10泊11日で地方にも行く。
 引き続きミャンマー音楽の複雑怪奇な美しさに魅了されっぱなし。例えばコレ。違和感バリバリだけど、とにかく美しい。この謎にどこまで迫れるか。
https://youtu.be/S6yFOTxe_OQ

1日目(2月22日)


 19時頃、羽田空港到着。今回は往路は香港エクスプレス、往路はエアアジアを利用。本当は揃えたかったけど、この選択肢だと1日長く滞在が可能なので。

01
 早々にチェックイン。今回の荷物はリュック7キロとノートパソコンの2つを機内持ち込み。「サイズや重量、何かつっこまれるかな」と若干不安だったが、結局リュックの重さを計られただけ。サイズのチェックは無し。
 係員に言われたので復路のイーチケット、パスポート、ビザを見せる。最後「一度計ったのです、後で何か増やさないでくださいね」と念押される。
 保安検査~出国審査を済ませ搭乗ゲートへ向かう。ゲート周辺の座席にはコンセントが充実しており、今のうちにスマホを充電しておく。

02
 座席はこんな感じ。LCCならこんなもんかな。
 23時55分離陸予定だったが0時15分離陸。

2日目(2月23日)


 午前5時20分、香港国際空港に到着。ここでトランジット。香港エクスプレスはトランジットチェックインが必要。

03
 羽田空港でもらった、トランジットデスクの案内図。

04
 しかしカウンターに着いたが、係員が誰もいない。案内所に聞いたら「時間早すぎ。待ってて」と言われる。やること無いので空港内のコンビニでサンドイッチを買い朝食。1時間くらいしたら係員が来た。

05
 トランジットデスクの一覧表。
 係員にパスポート、イーチケット、ビザを見せてチェックイン終了。搭乗ゲートへ移動し次の飛行機を待つ。午前7時15分離陸。
 機内では爆睡していたので、気付いたらミャンマー上空。滑走路が渋滞していたんだろうか、1時間くらい旋回していた。午前10時、ヤンゴン国際空港に到着。

06 
 1年ぶりのヤンゴン国際空港、その新しさに驚く。なんだこれ、めっちゃキレイになってる!去年来た時には古めかしいターミナル1棟のみだったが、今では新ターミナルが2棟稼働しており、計3棟だそう。

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 高級ホテルのような内装、英語やピクトグラムが併記された案内板、ピカピカのトイレ、ケンタッキーフライドチキンもある。(ミャンマーには外国企業がほとんど無い)
 入国審査場手前にある机で入国カードと税関申告書を記入する。すると入国カードを書き終えたタイミングで空港職人のおっちゃんに「そっちは書かなくてもいいから!早く列に並んで!」と急かされる。え!税関申告書も書かなくじゃダメだろ!?結局おっちゃんに言われるまま入国審査の列に並ぶ事に。えーいいのかなぁ、これで入国拒否されたらどうするんだろう。
 結果、税関申告書未記入でも問題無し。これでいいの!?もちろん他の書類やパスポートチェックはしっかりされたけど。

08
 到着ロビーを抜けて両替。ミャンマー国内では円から現地通貨であるチャットへの両替はほぼ不可能。あらかじめ日本でドルへ両替しておく必要がある。とりあえず400ドルをチャットに両替。
 タクシー案内所で1台手配してもらう。ダウンタウンにある宿まで9000チャット(約900円)。タクシーの運ちゃんに「どこから来たんだ?」と聞かれたので「日本から。ミャンマーの音楽が好きで調べてるんだよね」と言うと、運ちゃん音楽好きだと判明。話に花が咲く。幸先いいな!

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 助手席にあったのは有名なミュージシャン・ミャンマーピーテインタンのVCD。

 宿に到着し、チェックイン。そして通訳とガイドをお願いしているウィンさんに「すみません。到着が遅れて今宿に着きました」と連絡。もうどこでもwi-fi必須。

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 ロビーにあったDJイベントのポスター。会場はなんと船。凄く気になる。

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 ウィンさん到着。ウィンさんは以前日本に住んでらっしゃったそうで日本語ペラペラ。頼もしい。近所のレストランで昼食を食べる。大量のパクチーを食べながら「あぁ、ミャンマーに来たんだなぁ」としみじみ。

 食事を済ませ、今日の目的地であるギタメイトに移動。ギタメイトとはヤンゴン唯一の私立音楽学校。前回渡航時に訪問したが、その時は誰とも会えなかった。その後メールでやり取りさせてもらい、念願叶って伺えることに。

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 ギタメイトに到着。ヴォーカル課の先生と校長先生に会い、ご挨拶を。今回の旅はまだまだ長いけど、まずはここに来れて良かった。この日は新校舎完成を記念し、ナップェーをやっていた。ナッは精霊の意で、プェーは祭り。精霊に扮した芸能者が歌や踊りを披露する儀式。日本で言うところの上棟式?

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 全ての儀式はサインワインとともに行われる。サインワインとはミャンマーの民族楽器を使ったアンサンブル。ようやく生で見れて感動。

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 サインワインを横から見た図。楽器はどれもアコースティック楽器だが音響設備あり。この音量増幅により、元来の陶酔感が倍増する。
 ナップェーも無事終わり、再び先生とあれこれ話す。実はギタメイトには明後日もう一度来るけど、それはまた2日後の日記で。タクシーに乗り宿へと帰る。

3日目(2月24日)


 午前10時、宿でウィンさんと合流。タクシーに乗り、今日の最初の目的地であるミャンマー音楽協会へ。ミャンマー音楽を研究している者としては、どうにか専門家の方にインタビューをしたいと思っていた。

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 作曲家の方々とお会いでき、インタビューをすることができた。細かい音楽用語やニュアンスをウィンさんがバシバシ訳してくれる。
 日本から持ってきた映像をパソコンで見ながら、あれこれ質問。ミャンマー音楽の謎がまた1つ解析できた。

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 インタビューの最後に記念写真を。お二方、貴重なお時間ありがとうございました!
 タクシーに乗り、カセットテープ屋へ。ここは前回渡航時に訪問済みで、その際かなり仲良しになったお店。

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 1年振りの再会。お二人ともお変わりなく元気そう。お土産のキモノロンジーを渡す。キモノロンジーとは鶴や桜をあしらった和柄の生地で、東南アジアの人に人気のお土産。売っているのは日暮里のミハマクロス。
 カセットやCDなど、資料になりそうなものやオススメを購入。幾つか店頭に無いものがあり、それは旅行最終日に再訪し受け取ることにした。

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 ウィンさんと昼食を食べ、午後は楽器屋、CD屋、カセット屋をハシゴ。(上の写真はカセット屋)日本から持ってきたパソコン映像を店員さんに見てもらいながら、欲しいブツをひたすら探す。

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 日が沈みかけた頃、タクシーに乗りシュエダゴンパヤーへ。去年は午前中に来たが、友人から「夜のほうが幻想的でキレイだよ」とアドバイスもらったので今回は夜に。結論から言うと、夜来たの正解!

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 ライトアップされたパヤーは幻想的だし、通路が熱くない(昼は直射日光のせいでホットプレート状態)。お祈りをしていたら、どこからともなく僧侶の読経が聞こえてきた。たまらない瞬間。

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 夕食は宿近くの路上レストランでチャーハンみたいなのを適当に頼む。この量で1200チャット(約120円)。

4日目(2月25日)


 この日は正午から動く。ウィンさんとホテルで合流し、とある人に会いに行く。知人から「ミャンマーレコードの研究本があるらしい」と噂を聞いていて、今から会うのはその発行者。

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 この本、かなり重い。1.5キロあり辞書レベル。中のほとんどはミャンマー語で読めないが、レコードジャケット一覧や蓄音機の新聞広告を眺めているだけで胸が熱くなる。

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 どんな音だったんだろう。

 次はレコードを扱っている店を訪問。店員に在庫見せてもらって品定め。が、去年より値上がりしている。ディスカウント交渉したがいまいち。これだったら同じ金額分カセット買ったほうがいいな。というわけで1枚も買わず。

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 去年も来たカセット屋へ。大量に陳列されている極彩色のカセット。見ているだけでテンションが高くなる。店主のおばちゃんにオススメ聞きながら品定め。「あんた去年も来たわよね」と言われてビックリ。「え!?そうです。覚えてらっしゃるんですか?」「だってウチに来る日本人はあんた含め3人しかいない」。他の2人の名前を聞いたら、そのうち1人は知人でした。狭いな。

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 タクシーでギタメイトを再訪。おとといはナップェーだったが、この日は新校舎完成記念のコンサート。おめでたい日なのでごった返している。生徒もご近所さんも多数。

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 ヴォーカル課の先生と記念写真。

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 ギタメイトマンダレー校の先生と記念写真。CDをいくつかプレゼント。写真のは小川美潮の名盤「4to3」。

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 この日は新校舎完成記念のコンサートは、ノルウェーの弦楽四重奏とギタメイトの生徒とのジョイント。本編終盤に歌われたのはルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」。いつもならスルーする曲だけど、この日は重く心に響いた。
 終演前にウィンさんとお別れ。3日間ありがとうございました!帰りはタクシーに乗って宿へ。明日朝が早いので早々に寝る。

5日目(2月26日)


 朝6時に宿を出る。手配してもらったタクシーに乗り、ヤンゴン国際空港へ。料金は10000チャット(約1000円)。
若干高いな。

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 国内線カウンターでチェックイン。評判良さげな航空会社はどこか事前に調べ、適当にエアKBZを選んでみた。ヤンゴン〜マンダレー間が114ドル。
 手荷物検査時に「そのリュック開けて」と言われた。大人しく開けると中から大量のCDが。検査官が物珍しそうに「マーマーエ(ミャンマーでは有名な古い歌手)とか聞くの?」と言ってきた。イエスと言うと「あっそう」だって。いいじゃんか別に。

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バスに乗り機体へ。

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日本車だ。

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国内線なので小型。

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4列シート。若干狭い印象。

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座席はこんな感じ。香港エクスプレスに比べ若干圧迫感あり。
8時15分、定刻離陸。

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機内食はサンドイッチ、甘味、チョコ、飲み物。まぁ朝食にはこれくらいが適量か。
1時間ちょっとでマンダレー国際空港に到着。あっという間。

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 バゲージクレームで荷物をピックアップ。手荷物検査を抜けてタクシー乗り場へ。マンダレー国際空港はダウンタウンからかなり離れている。タクシー料金も、1人での利用なら12000チャット(約1200円)となかなか。シェアタクシーだと1人4000チャット(約400円)。少しでも節約したいので、シェアタクシーを選ぶ。

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 シェアタクシー(という名のバン)に乗ったら、フランス人女性のバックパッカーが乗ってた。出発まであれこれ会話。が、なかなか出発しない。どうやら満席にならないと出発しないらしい。現状乗客はうちら2人のみ。
 彼女から「2人でシェアして普通のタクシーに乗らない?」と提案されたのでイエス。値段交渉して俺は7500チャット(約750円)、彼女は7000チャット(約700円)。が、彼女は細かい紙幣も持ってなかった。ドライバーが「お釣り無いよ」と言って揉めてる。結局俺が細かい紙幣少し持ってたので仲裁。

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俺の方が先にホテルに到着。チェックインして速攻タクシーに乗ってカセット屋に行く。

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 1軒目。ずっと探してたライブ映像集が見つかり歓喜。

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 2軒目。若者に人気のあるアーティストのVCDを購入。
 バイクタクシーに乗って宿に戻る。ヤンゴンでタクシーと言えば車だが、ここマンダレーではバイクが主流。同じ距離でもバイクだと半額になるし、そもそも車のタクシーはそんなに走っていない。

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 この旅2度目の両替。宿の近くにあって便利。

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 夜は人形劇の劇場へ。ミャンマーの人形劇はヨウッテー・ポエーと言い、国が保護している伝統芸能だ。去年ヤンゴンの劇場で見たが、その時はBGMがカラオケでがっくし。この劇場はサインワインの生演奏がちゃんとある。

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 ステージの前方にサインワインがある。てっきり人形劇だけだと思ってたけど、蓋を開けてみたら伝統舞踊とサウンガウ(竪琴)の演奏も見ることができた。ラッキー。

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 終演後、打楽器奏者と少し話すことができた。ミャンマー音楽のキーワードを1つ教えてもらう。喫茶店でジュース飲んで、宿戻って就寝。

6日目(2月27日)


 朝7時起床。ホテルが王宮のすぐ近くなので散歩してみる。

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 マンダレーの中心に鎮座する王宮。外郭を歩くがとにかくでかい。外郭は正方形で、その一片を歩くと30分かかる。

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 体操用の遊具が点在している。利用率は高い。
 せっかく散歩に出たので、この先にある朝市まで歩いてみる。

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 売り手と買い手でごった返している。

48
 雑然とした雰囲気、客寄せの声、バイクのクラクション。それらが混然一体となっている。

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 小腹が空いたのでモヒンガーを食べる。そうめんに近いミャンマーの国民食。400チャット(約40円)。

50
 ごちそうさまでした。
 バイクタクシーに乗り、宿へ戻る。
 宿の近くに昨日の人形劇シアターがあるので行ってみる。すると人形使いのおじさんが表にいて、インタビューできた。

51
 おじさん、5回も来日したそう。
 宿に戻りチェックアウト。フロントで荷物を預かってもらい、また外出。
 午後イチで昨日のカセット屋を再訪し、追加であれこれ買う。それぞれの店でラインナップは大きく異なるので、見つけたら即買うのが良い。
 「地球の歩き方」に書いてあったYMCA日本語学校に行ってみる。ボランティアで日本語を教えてらっしゃる初老の男性と会うことができた。「この先にシュエターチャウン運河があって、そこを越えると一気に景色が変わりますよ」と教えてもらった。せっかくなので行ってみる。

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 運河(というか川)にかかる橋。ここを越えると雑然度合いが一気に増す。舗装されていない道路、舞う砂煙、バラックで作られた住居。川が貧富の差を線引きしているように思える。

53
 電話帳で見つけたCD屋。収穫なし。

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 たまたま見つけたVCD屋。ここも収穫なし。
 夕方、バイクタクシーに乗り宿へ戻る。フロントの係員が「シャワー浴びますか?」と気を使ってくれた。断ったが素晴らしい。更にマンダレーでの音楽情報をあれこれ教えてもらえた。次回行きたい。ありがとう!
 17時、ピックアップトラックが迎えに来てくれた。今からバスに乗り、遺跡の町バガンへ移動。

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 トラックが市内のホテルを巡り乗客をピックアップする。今回利用したのはネットで評判の良かったOKバス。店員20人弱の小型バス。おしぼりと水のサービスあり。
 17時40分、出発。バガンまでの道はかなり悪路だが、アトラクションのようで面白い。街灯の無い道路を疾走する様は飽きない。
 途中ガソリンスタンドに立ち寄る。でもエンジン止めずに給油。いいのか?

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 営業所に立ち寄り、トイレ休憩。車内は冷房きついので上着必須。
 22時、バガンのホテルに到着しチェックイン。荷物降ろして近所のレストランでようやく夕食。

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 フィッシュカレー3000チャット(約300円)、ライス500チャット(約50円)、スプライト1000チャット(約100円)。豆は勝手に出されたけど手をつけなかった。

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 レストランの真向かいにあった仏塔。ライトアップがクリスマスツリーみたい。