Contents

1. 旅行業界最新ニュース
2a. 連載:「タビノート」 下川裕治
2b. 連載:「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和
2c. 連載:「柳下毅一郎のアウト・オブ・ディス・ワールド」 柳下毅一郎
3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その4
3b. 世界一周ノート 第23回:インド バラナシ
4. 世界あの街この街:ルアンパバーン
5. 旅の本屋 のまど イベント情報:1月29日(木)常見藤代さん
6. 編集後記


1. 旅行業界最新ニュース

タイガーエア・台湾、成田~台北線に就航か

台北に拠点を置くタイガーウェイズとチャイナエアラインの合弁によるLCC、タイガーエア・台湾が、3月に東京/成田線に就航の予定と台湾の中時電子報が報じた。同社は今後、台北から釜山、済州、ホーチミン、ハノイなどにも路線を広げる予定。

アシアナ航空が第二のLCCを年内に設立か

アシアナ航空が、エアプサンに続く第二のLCCを年内に設立する方針だと韓国メディアが報じた。報道によると拠点は仁川・金浦を予定し、国内線及び短距離国際線に就航するという。現在韓国にはエアプサン(アシアナ系)、ジンエアー(大韓航空系)、イースタージェット、チェジュ航空、ティーウェイ航空と5つのLCCが存在し、もしこの報道が事実だとすると6社目となる。

エアライン安全度ランキング発表。1位はキャセイ

ドイツのJACDECが発表する2015年度エアライン安全度ランキングによると、1位は香港のキャセイパシフィック航空、2位がUAEのエミレーツ航空、3位が台湾のエバー航空。以下、エアカナダ、KLM、エアニュージーランド、カンタス、海南航空、ジェットブルー、エティハド航空と続いた。なお日本からはANAが11位にランクされた。

スカイマーク、ANA傘下入りとの報道も否定

1月9日、スカイマークがANAに対して出資を要請する検討に入ったと読売新聞が報道したが、同社は報道を完全否定。「現時点でANAに対して出資を要請する検討に入った事実はなく、決定した事実もない」とコメントした。ただ、スカイマークが経営危機に陥っており、JAL、ANA両社とコードシェア提携などを検討していることは事実であり、搭乗率も激減している。今後の報道が注目される。

ユナイテッド、ルフトハンザで受託手荷物制限の緩和

ユナイテッド航空、ルフトハンザ・ドイツ航空は、1月8日発券分から、エコノミークラスの受託手荷物個数を従来の23kgまでのもの1個から2個に変更した。以前は2個めより追加料金がかかっていたため、かなり大幅な緩和だ。

アメリカン航空、羽田就航か?

米大手航空会社で唯一羽田に就航していないアメリカン航空が、ロサンゼルス~羽田線の解説を運輸省に申請した。日米の合意により羽田空港のアメリカ便は1日4枠に制限されており、現在デルタ航空がロサンゼルス便、シアトル便、ユナイテッド航空がサンフランシスコ便、ハワイアン航空がホノルル便を運行している。今回の申請はデルタ航空シアトル便の再分配を求めたもの。

セブパシフィック航空、燃油サーチャージを廃止

フィリピンのセブパシフィック航空は同国航空当局の通達を受け、1月9日の予約分から国際線及びフィリピン国内線の燃油サーチャージを廃止した。それまで成田~マニラ便では片道5000円の燃油サーチャージがかかっていた。他の航空会社にも広がることを祈ろう。

エアアジア機墜落。崩れるLCCの安全神話

12月28日、乗客と乗務員162人を乗せ、インドネシア・スラバヤからシンガポールに向かって離陸したエアアジア・マレーシア機がジャワ海で墜落した。1月12日、インドネシア捜索救助庁がフライトレコーダーを回収、墜落原因の調査を始める。
この事故を機にLCCの安全性についての議論が起こるのは必至。今号の下川さんの記事も参照してほしい。

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2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

アジアの移動はエアアジアがなければ難しい?

 昨年の末、エアアジアが墜落した。正確にいうと、エアアジア・インドネシア。スラバヤからシンガポールに向かう便だった。
 LCCが日本に就航したとき、「安全なのか」という質問を何回も浴びせられた。その発想の背後には、「安かろう悪かろう」という心理があった。  これだけ安いのだから、整備に手を抜き、機材も古いのではないか……と。飛行機の安全基準は、各国で決められていて、LCCや既存の航空会社という違いではない。安全かどうか……という質問は、日本航空や全日空が安全か、という質問と同じだと答えていた。


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2b.「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和

Profile
プロフィール

吉田友和(よしだともかず)

1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行にして夫婦で世界一周旅行を敢行。旅の過程を一冊にまとめた『世界一周デート』で、2005年に旅行作家としてデビュー。「週末海外」というライフスタイルを提唱。国内外を旅しながら、執筆活動を続けている。その他、『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』(講談社)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『LCCで行く! アジア新自由旅行』(幻冬舎)、『めざせプチ秘境!』(角川書店)、『3日もあれば海外旅行』(光文社)など著書多数。
旅行作家★吉田友和 Official Web

しりとりで旅する 第37回 吉田友和

ゆ 夢

 もう10年以上も前の話になるが、チベットを旅していたときのことだ。ガイドブックに「野犬に注意」と書かれていたのを読んで眠りについたら、犬に噛まれる夢を見て「うわあああ」と情けない声を上げながら飛び起きた。隣で寝ていた奥さんは、何事かと驚いたらしい。夢の内容なんてすぐに忘れてしまうものだが、あまりにお馬鹿な展開で、いまでも我が家で語り草となっている。
 僕はよく夢を見る。ほとんど毎日と言っていい。内容は様々だし、すぐに忘却してしまうのだが、旅をしている夢がとにかく多い。旅先で寝ていても、またどこか別の場所を旅する夢を見たりする。犬に噛まれる、なんて悪夢にもしばしば見舞われるが、夢の中でも大好きな旅にまみれていられるのは幸せなことなのかもしれない。


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2c.「柳下毅一郎のアウト・オブ・ディス・ワールド」 柳下毅一郎

Profile
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柳下毅一郎(やなした・きいちろう)

1963年大阪府生まれ。英米文学翻訳家・映画評論家。多摩美術大学講師。訳書にR・A・ラファティ『第四の館』(国書刊行会)、アラン・ムーア/J・H・ウィリアムズIII『プロメテア 1』(小学館集英社プロダクション)など。著書に『新世紀読書大全』(洋泉社)、『皆殺し映画通信』(カンゼン)など。編書に『女優林由美香』(洋泉社)など。

Twitter

柳下毅一郎のアウト・オブ・ディス・ワールド 第1回

 tabinoteから旅行記を依頼され、快諾したのはいいのだが、それ以来あまり旅行に行くこともなくどうしたものかと思いあぐねていたのである。ところが友人ーーここでは仮にY氏としておくーーがアムステルダムに行ってきたというので、これ幸いと旅行記を頼んでみたのである。彼の快諾を得てここで発表させていただくことにする。なお、友人であるわたしが言うのもなんだが、Y氏は嘘ばっかり言っていてまったくもって信用できない人間であるので、彼の原稿は一切信用しないでいただきたい。すなわち、以下の記述はすべてフィクションであり、現実の出来事とは一切関係ありません。

 アムステルダムのCannabis Cupは今年で27回目を迎える歴史と伝統を誇るイベントである・・・


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3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その4

 
tabinoteワタベです。今年6月のキナバル山登山、数回に渡ってレポートします。今回が4回目となります。

前号まではこちらをご覧下さい。
 その1:上陸編
 その2:徘徊編
 その3:とりつき編

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(画像:tabinote)


三日目:ラバン・ラタ

標高3,001m、5km地点を越えて更に進む。

ひたすら登り続けていよいよ八合目にあたるラバン・ラタ小屋(Laban Rata;3,273m)。
9時50分。午前7時半にスタートしたので所要2時間20分、目標通過タイムの午前10時に間に合った!
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(画像:tabinote)

ラバン・ラタ小屋は高級リゾートホテルグループのステラが運営するハイソな山小屋。普通はツアーでしか宿泊できず、個別予約しようとしても最低3万円は下らない。
さすがに内部は快適そうで、高度3,000mからキナバルの岩肌と下界を臨むグッドビュー。
ビュッフェコーナーやバーまである。ビールは25リンギット(750円くらい!)とさすがにお高い。
10分ほど休憩。ガイドは持参したパンを、私は柿の種で補給。
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(画像:tabinote)

宿泊者は年配の白人が多く、上下完璧な登山着にハイカットの登山靴、トレッキングポールといったフル装備。
現地人並みの軽装でピーナッツをぼりぼり食べている私はいかにも場違いだった。

さて、ラバン・ラタでの休憩を終え、意を決して先に進む。


ラバン・ラタの裏から始まる登山ルートは延々と続く木の階段
見ただけで気力が萎える…。
1.5~2段飛ばしくらいの絶妙な高さの急階段が果てなく続いており、一歩毎に体力を奪い取っていく。

写真では十分に伝わらないのが残念なこの傾斜…。
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(画像:tabinote)

なんとか止まらず登ろうと思ったが、心拍数が推定180くらいに上がってきた。
ぜぇぜぇ。

しかしこの高度でなんちゅう階段だよ。マジで45度くらいあるのでは…。
ぜぇぜぇ。

登山マラソンの人はこれを走って上がるのか?信じられない…。
ぜぇぜぇ。

間違いなくこれまで最長の階段。いつまで続くんだろう…。

たまらず休憩。

おかしい、休んでもずーっと心臓がバクバクしたままで、心拍数が下がらない。
いやー、これはキツイ…。

もしかして、これは低酸素状態というやつでは…?
とにかくいくら吸っても肺の空気が足りないような感覚。

もう標高3,000mオーバー、既に私にとっては未知の高度である。
吸ってダメなら吐いてみよう、ということで、空手にある呼吸法「息吹」を試してみる。
息吹とは全身(特に下腹の丹田)に力を溜めつつ、腹の底から一気に呼気を吐く呼吸法。なんでも思う存分吐いた後は新鮮な空気を取り込めて呼吸がラクになるとか。
「カーッ!!」
息を吐いた瞬間、色彩がネガフィルムのように反転し暗くなった。
典型的な貧血時の症状。ヤバイ、やり方が悪かったのか余計苦しくなった…。

とにかく膝に手をついて休み、ひたすら呼気を吐いて身体が酸素を取り入れるのを待った。
徐々に呼吸が整っていくが、しかし行く手にそびえるのは壁のような階段。
せめて今が1/3とか1/2とかわかれば気力もわくのだが…、あとどのくらい続くのかわからないのでペース配分もできない。いつまで続くんだ!

少し息が落ち着いてくる。
もしかしたらオーバーペースだっただけかもしれない。
ガイドは後からゆっくりと登ってくる。あのペースで行けばいいのか。
息をととのえてゆっくり、ゆっくり登ると徐々に心拍が落ち着いてきた。
大丈夫、低酸素状態ならこんなに早く慣れないはずだ。

長い間かけてようやく階段地獄を抜ける。
いやー、今思い起こしてもこの階段が一番きつかった。


登頂

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(画像:tabinote)

さて、階段を越えると同時に森林限界。
緑は下方に遠ざかり、灰色の岩肌がむき出しになって果てしなく上方へと続いている。
足元は平滑な岩場になった。
日本の山のように土も赤い火山岩もない、一面の灰色。
ここから高度にしてあと600mくらいか?いよいよキナバル山のラスボス面だ。
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(画像:tabinote)

このあたりからはもうすべすべの岩場。
平滑な岩肌は油断すると滑る。靴の裏全体の摩擦力を利用するように根気よく登るが、全然スピードがでない。
何カ所かロープがはってあり、それを頼りに登るも全身の力をもっていかれるようでかえって疲労。
ロープは使わずに、ジグザグ登りの方が体力を消耗しないと判断し足だけで登る(その代わり歩行距離は増える…)。

「雨が降ったら登山中止」の意味がわかった。ここまで来ると斜度20度か30度はある平滑な急坂で、流れる水を遮る土も木も無い。雨が降ったらツルツルだろう
空は時折分厚い雲が出て油断できないが、ここまで来たら天気保って欲しいなと祈るばかり。
ひたすらこんな斜面が続く(場所によっては勾配25度~30度あります)。
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(画像:tabinote)

7km地点。標高3,653mのSayat Sayat小屋へ到着。ゴールまであと1,700m。
Sayat Sayatには登山口と同様に登山者のチェックゲートがある。無人だったためそのまま通過。
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(画像:tabinote)

このあたりから疲労感がなくなってきた。
ジグザグゆっくり登りのおかげか、階段やロープで失ったスタミナが回復してくる。


更に登る。
キナバル山を象徴するサウス・ピーク(3,933m)の麓。標高3,776m。
富士山の最高地点・剣が峰と同じ高さまで来たが…、あいにく霧でサウス・ピークどころかほとんど何も見えず。
このあたりにドンキー・イヤーという奇岩があるはずなんだけど、何も見えず。

青い服はガイド。
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(画像:tabinote)

8km地点、標高3,929m。ゴールまであと700m。富士山の高さを超えた。
ラバン・ラタまではいい感じだったのにその後だいぶスローペースになってしまった。
現在11時30分、ここまで来れば13時という制限時間内の登頂成功は確実。
今雨が降ってもシカトして登ってやる!

柿の種と水の補給を済ませ、最後のスパート(といってもトボトボ歩くだけ)。
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(画像:tabinote)

最後の案内表記。8.5km地点、標高4,008m。
ゴールまであと200m、高さにしてあと87m。
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(画像:tabinote)

ここから頂上までがまたキツかった…。
完全に手を使わないと登れないうず高い岩場。
急に霧が深くなり、自分と手元周辺くらいしか見えなくなってきた。
手間取りながらもなんとか登ると、頂上を示す看板が見えた。

そして、いよいよ標高4,095mの最高地点ロウズ・ピーク到着!
時間は11時50分。所要4時間20分、やったぜ間に合った!
スタート時間が早かったとはいえ後続にも抜かれず、この日一番乗り。
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(画像:tabinote)

さて、山頂の向こう側にはさぞかし感動の絶景が…と思ったら何も見えない!
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(画像:tabinote)

雲で視界は360度見事なほど乳白色。
あれれ、こんなはずでは…。

せっかく苦労して登ったのに、無念!
このストリートビューで私の落胆をお察し下さい。
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(あと1回だけ続きます)

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3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

Profile
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青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

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第22回:インド バラナシ

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アグラからデリーを経由してガンジス河へ、僕はインドを北上する列車旅を続けていた。

各都市の滞在は3日程度で、全然時間が足りなくて、やはりインドは広大で、旅行者にとってそれだけ魅力的な場所であるらしかった。アグラ・デリーは観光資源に富んでいて、安宿の設備も安定していたので、僕は特に不自由なく散歩をすることができた。
フマユーン廟もクトゥブ・ミナールも、列車の長い列もスラムも、慣れてしまえばそれは日常風景に成り下がり、いよいよインドという刺激が僕を侵食してしまったみたいだった。
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ガンジス河での沐浴は僕の旅行計画のハイライトでも有り、どうしてもやりたいことの一つだった。だから聖地バラナシは憧れの地であったし、僕にとって旅人の帰結点の様な勝手なイメージを抱いていた。
それなのに僕は夜行列車を降りた時から体調が悪かった。
安宿エリアは道が複雑に入り組んでいて不衛生で、僕は迷い込んで、客引きに囲まれながらホテルを決めた。ホテルは当たりだったけれど、部屋に入るなりすぐに寝込んでしまった。
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目が覚めて夕食を求めて近所を歩くと、氾濫するハングル文字に気が付いた。安食堂でも韓国料理のメニューが並んでいる。おかげで僕はおかゆの様な食べ物を発見でき、怠さを促すことができた。そこかしこに点在するバングラッシー屋にもハングルが躍っている・・・
後々の滞在で見聞きしたところによると、バラナシの街は韓国人旅行者(特に処方箋目当て)のメッカとなっているらしい。
「聖地」という理由にかこつけて、半合法的に扱われるそれらの商品を、普段海外でハメを外さない韓国人が謳歌していたのだ。
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途端、僕の中でバラナシは何だか汚らわしい場所のように思えてきてしまった。
客引きたちはバングラッシーとハシシを売ることで頭がいっぱいで、川の畔でゆっくりチャイを飲むことすらできなかった。
毎晩行われるガートでの儀式も、死を待つ物乞いも、流れる死体も、朝日と共に行われる沐浴も、決して神聖なものではなく、淡々と日常的に行われていた。
そしてそのすぐ傍らには聖地の名産品を売り歩く輩が闊歩しているのだった。
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僕は忘れる度に何度もこの感覚を思い返した。そう、この混沌こそがインドなのだと!

体調が悪く、簡単なお薬を処方した僕がガートでぼんやりしていると、ある日本語堪能な客引きがしつこく声をかけてきたので、適当にあしらうと彼は怒り始め、僕に暴言を浴びせ始めた。
「お兄ちゃん、そういうの良くないよ!神様見てるよ!次の人生で罰が当たるよ!」と。
何だかとってもショックだった。聖地の横でそんなことをしている男に僕は人格を否定され続けた。薬のせいで微睡んで、微睡んで、頭がおかしくなりそうだった。僕はこの旅で何をしているんだろうか?・・・
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結局、僕の体調は回復せず、バラナシでの沐浴は1度きりになってしまった。それも、腹痛でホテルまでの帰り道に牛の横で失禁するという散々なおまけ付きだった。
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気付けばインド滞在可能の30日がせまっていた。このままバラナシを北上してネパールに抜けるルートが一般的だったけれど、僕はもう少し足を伸ばすことにした。
ブッダガヤ・カルカッタ・ダージリン・・・深夜特急や三島由紀夫の描いた世界を生で確認する必要があった。
僕はまだインドの何物をも掴めていない、そんな焦りがあった。

次回はカーリー寺院・山羊の断頭儀式、ダージリン・トイトレイン、ネパール入国を記します。


世界一周ノート
とりあえずの予定コース:上海→杭州→南寧→ハノイ→ホーチミン→シェムリアプ→チェンマイ→ルアンパバーン→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島→マニラ→シンガポール→ジョホールバル→シドニー→チェンナイ→ムンバイ→アグラ→デリー→バラナシ・・・。以降ネパール、トルコ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、南米と巡る予定

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4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第37回 ルアンパバーン

Living at a different Pace (Luang Prabang, Laos)
(Wat Xieng Thong、提供:Jean-Marie Hullot; Flickr)

ラオス人民民主共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

美しい街並みと、とろけそうに優しい人々。
ルアンパバーン(ルアンプラバンとも)は最後の桃源郷とも称されるラオス随一の観光都市。
伝統的な仏教様式と植民地時代のコロニアル様式が融合したユニークな景観は世界遺産登録されており、保存状態のよさもあいまって評価が高い。のんびり街歩きやスパ、雑貨あさりなどゆったりすごすのもいいし、郊外のトレッキングや川下り、エレファントツアーなどのアクティブ系も人気。

ルアンパバーンはラオス北部のメコン川沿いにあり、14世紀にはラーンサーン王朝が幕を開け、18世紀から20世紀にかけてルアンパバーン王国の首都であった由緒ある古都。その後フランス領時代を経て、現在の東洋と西洋・自然が混じり合った独自の街並みが形成された。
世界遺産という派手な記号につられて訪れたツーリストも、いつしか静かでゆったりしたラオスの空気にハマってしまいリピーターになるという。

Luang Prabang
(地図Google;A-サッカリン通り[Sakkaline]、B-シーサワンウォン通り[Sisavangvong]、C-チャオファーグム通り[Chao Fa Ngum]、D-ワット・シェントーン、E-ワット・マイ・スワナプーマハム、F-ロイヤルパレス[国立博物館]、G-伝統芸術民族センター、H-UXO不発弾処理プロジェクト)

ルアンパバーンの中心部はメコン川とナムカーン川に囲まれた半島部分。
半島を北東から南西に貫く一本の通りは、北からサッカリン通り、シーサワンウォン通り、チャオファーグム通りと名づけられている。
見どころはこの通り沿いに集まり、散策が楽しい。
朝はサッカリン通りの裏に朝市が建ち、托鉢の僧が行き交う。活気ある露店にはメコン川の魚や肉、野菜などが並んでいる。

一方夜にはシーサワンウォン通りが歩行者天国となり、夜市が並ぶ。
銀細工や刺繍など雑貨が多く、こちらもツーリストで賑わう。
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Luang Prabang Market(画像:Wikipedia)

半島の端にあるのはルアンパバーン一の格式を誇るワット・シェントーン(Wat Xieng Thong)寺院。王家の菩提寺でもあった。壁を彩る装飾やレリーフ、モザイク画など壮麗な建物。シーサワヌォン王の逝去時に使われた黄金の霊柩車も見物できる。

Golden City Temple (Wat Xieng Thong)

シーサワンウォン通り沿いにある五層の屋根を持つ巨大な寺院はワット・マイ・スワナプーマハム(Wat Mai Suwannaphumaham)、通称ワットマイ。1796年建立と比較的新しいが、ルアンパバーンの仏教芸術の頂点とも称される豪華絢爛な造り。

Wat Mai Suwannapumaram (トリップアドバイザー提供)

ワットマイのすぐ隣はかつての王宮。現在はラオス国立博物館となっている。
白亜の建物はラオス様式とフランスのボザール様式が融合したもの。
世界各国からの贈呈品や黄金仏、王族の部屋などが公開されている。

Royal Palace (トリップアドバイザー提供)

伝統芸術民族センター(The Traditional Arts and Ethnology Centre)は少数民族の文化や風俗を紹介するミュージアム。併設のショップはセンスの良い民芸品が売られており、隣接するダラート・ダーラー市場と合わせてお土産探しに最適。

Traditional Arts and Ethnology Centre (トリップアドバイザー提供)

なお、ダラート・ダーラー市場では日本人に高確率でおばちゃんが●●を売りに来る。ラオスの場合はどこを歩いていても声がけされてしまうのだが、野菜を売ってるようなおばちゃんまで●●を扱っているところが特徴的。なお、そこら中に●●が流通しているラオスであるが当然違法なので手を出さないこと。

内戦の爪痕、不発弾の資料館がUXOラオス不発弾処理プロジェクト・ビジターセンター。不発弾の実物や被害の様子が展示されている。

UXO Laos Visitor Center (トリップアドバイザー提供)

夕暮れがちかづいたらプーシー(Phousi)に登ってみよう。場所はシーサワンウォン通りがチャオファーグム通りに名前を変えるあたり。プーシーは高さ150m程の小高い丘で、海抜は700mあり市街を一望できる。
328段の階段を上がると頂上には夕陽に輝く黄金の仏塔が待っている。
夕暮れ時は絶景を見ようと集まった地元民やツーリストで賑わう。

Mount Phousi (トリップアドバイザー提供)

Mount Phousi (トリップアドバイザー提供)

プーシーは18時に閉まる。その後はビールを片手に再びナイト・マーケットに繰り出そう。


郊外観光の中でも人気が高いのはタート・クアンシー(Tat KuangSi)。
市街から南に約30km、青緑の美しい水をたたえた景勝地で、滝を眺めてもいいし、絶景の中での贅沢な川遊びも楽しめる。
2014年にオープンしたばかりのバタフライガーデンは蝶が放たれた広大な庭園で、フィッシュスパやカフェなどリラックスできる。

Kuang Si Falls (トリップアドバイザー提供)

Kuang Si Falls Butterfly Park (トリップアドバイザー提供)

パクウー洞窟(Pak Ou Caves)はメコン川を北上、およそ35kmさかのぼった先にある洞窟。陸路なら市街から1時間、船なら2時間程度。「タム・ティン・ルム」と「タム・ティン・トゥン」の2つに分かれており、タム・ティン・ルムには、4,000体以上ともいわれる膨大な数の仏像が安置され、現在でも寄進される仏像の数は増え続けている。タム・ティン・トゥンは真っ暗な洞窟内に仏像が浮かび上がり、静謐な雰囲気が漂う。


Pak Ou Caves (トリップアドバイザー提供)

アクティブ派には川下りやトレッキング、オフロードバイクツアーなどが人気。
そこまで本格的でなくとも、船を半日チャーターしメコン川を下るだけでも冒険気分が味わえるし、エレファントライドなら自分で歩かなくても済む。

Elephant Village Sanctuary Day Trips (トリップアドバイザー提供)
 
 
【ラオス】個人旅行の強い味方、空港送迎から日本語ガイドまで VELTRAにおまかせ!



Tum Tum Cheng (トリップアドバイザー提供)

ラオスの食はベトナム、タイ東北部、中華料理をほどよくミックスしたテイストで、アジアの中では辛さ控えめ。パンやサンドイッチにはベトナム同様フランスの影響が見られる。
食材はもち米とハーブの多用が特徴。内陸国であるがメコン川の恵みがあるため魚もよく食卓に登場する。

代表的なメニューは粗く刻んだ肉をハーブとライムジュースで味付けしたラープ。タイ料理でもお馴染みのメニューだが、ラオスが本場。鶏肉や豚、レアの牛肉、魚やアヒルのラープまで多彩なバリエーションがある。
他には麺類も豊富で、タイ風、ベトナム風のフォー、中華風の焼きそばや和え麺など毎日でも飽きない。
タイやベトナムでお馴染みのメニューに加え、肉や魚をシンプルに炭火で焼いたり揚げたりしたメニューも多い。
ルアンパバーンの名物料理はハーブと肉を煮込んだラオス風シチューのオ・ラームやメコン川の海苔を揚げたカイ・ペーンなど。

欧米のツーリストも多いので、ハンバーガー、ピザを提供するカフェも多い。本格的なフランス料理店もある。

ラオスのビールといえばビア・ラーオ。
フランス資本で建設されカールスバーグの出資を受けたという本場欧州仕込みの濃厚な風味は氷で割ってよしそのままでよしの万能選手。
国内シェア90%以上とも言われる国民飲料で、東南アジアでもっとも美味しいとの呼び声も高い。


River Spiritr (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
日本からの直行便はなく、周辺の東南アジア諸国から入る。
なんといっても空路が豊富なのはタイ経由。バンコク、チェンマイ、ウドンターニーあたりから空路が通じている。
LCCでタイに入り、そこからバンコク・エアウェイズでルアンパバーンに入れればかなり安く済む。

ベトナム、カンボジアからのルートも多い。特にベトナム航空は日本からの往復で5万円を切るなどLCCよりも安いことがある。

エアアジアという手もある。クアラルンプールからヴィエンチャンまで直行便が就航している。ヴィエンチャンからルアンパバーンまでは空路なら1時間かからないし、バスでも一晩で着く。

ラオスの国内線移動は時間変更や遅延、欠航が日常茶飯事。ヴィエンチャンからの移動も一筋縄ではいかないことがあり、余裕をもってスケジューリングしておきたい。

(陸路)
周辺国の主な都市とをつなぐ国際バスがある。
チェンマイからは所要18時間。ウドンターニー便やハノイ便もある。
陸路で入国する場合でも、国境ポイントでビザを取得できる。

(空港)
ルアンパバーン国際空港(Luang Prabang International Airport;LPQ)は市街地の北西約4km。こぢんまりとした規模だが改修したばかりで新しい。たいした設備はないが、バンコク・エアウェイズのラウンジがある。

国際線はラオス国営航空、タイ・スマイル、バンコク・エアウェイズ、ベトナム航空、中国東方航空(昆明)が就航している。

市街地まではプリペイドの定額タクシーで、5万キップ(または7USドル)。




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地理と気候

ラオスはインドシナ半島の内陸深くにある内陸国。東にタイ、北に中国、西にタイとミャンマー、南にカンボジアと接している。
ルアンパバーンはラオス北部の山あい、メコン川のほとりにある。

11~4月は乾季で、空が青く比較的涼しい。5~10月は雨季となり、8~9月で雨量が最も多くなる。乾季のルアンパバーンは山あいでかなり冷え込むため上着を持参のこと。
基本的には乾季が観光に適しているが、滝やメコン川の雄大な眺めを見るならあえて雨季を選ぶのもいい。ホテルも雨季は安め。

日本との時差はマイナス2時間。日本の正午がラオスの10時。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はラオス語(ラオ語)。タイ語もそれなりに通じる模様。
フランス領ではあったがフランス語が通じることはほとんどない。観光分野では英語の通用度が高い。

通貨はキップ、あるいはキープ(LAK)。
補助通貨としてアット(Att;1キップ=100アット)がある。
1キップ=0.15円(14年12月時点)。おおむね10,000キップで150円くらいと覚えておけばよい。

米ドル、タイバーツも通じるが、日本円を現地でキップに両替するのが有利。現地での再両替レートは良くないので都度両替すること。
現地には豊富にATMがあるが、紙幣が出てこないこともあるので現金の持参を推奨。
ホテルは米ドル建ての場合もある。

物価はホテルを除きかなり安め。
ミネラルウォーターが2,000K(キップ)、ローカルレストランで麺などが1万キップ、レストランが5万キップキップ。ホテルはゲストハウスで15USドル、3つ星ホテルなら40~80USドル程度。

クレジットカードの通用度は低く、外国人が行くような高級レストランやショップ、ホテルに限られる。

チップは基本不要。ベルボーイやガイドに1ドル程度。高級ホテルでは10%の税金が加算される。


(画像:banknotenews.com)

ビザと治安

15日以内の観光滞在はビザ不要。16日以上であればビザ申請を。
アライバルビザもあるのでそれほど神経質になる必要はない。
外国人は、常にパスポートの携帯が義務付けられている。警官の検問時にパスポートがないと延々と尋問されたり拘束されることもあるので注意。

油断は禁物だが、ぼったくりやしつこい客引きのいないルアンパバーンはゆったりと過ごせる街。
ラオス自体、一党独裁の体制が続いており基本的に治安はよいが、近年銃器を用いるような凶悪犯罪も増加している。また、ホテル・ゲストハウスでの盗難も報告されている。

毎年2月から4月頃までの間は山焼き・野焼きの影響で煙害が発生する。マスク携行を推奨。

ヴィエンチャンとルアンパバーンの間の山岳地帯は反政府武装勢力の拠点であり、基本的に外国人は入境できない。外務省は「渡航の是非を検討」扱いとしている。


市内交通

コンパクトな街であり、徒歩でほとんどの所に行けてしまう。
徒歩以外の手段はトゥクトゥクかレンタサイクルが便利。
タクシーは上述の空港タクシーやツアー用のもののみで、街中を流していることはない(仮にあったとしても普通の乗用車なので見分けが付かないらしい)。

また、メコン川沿いを運行する船や長距離バスもある。船は目的地へのクルマがセットになったツアーがパッケージされていることが多い。

(トゥクトゥク)
他国でもよく見る三輪バイクタイプのトゥクトゥクと、郊外観光に向くワゴン車やピックアップトラックの荷台を改造した多人数乗りのタイプがある。料金は交渉制で、市内ならおおむね一回5,000~1万キップ程度。

(レンタサイクル・バイク)
1日24時間借りて2万キップ程度。ギア付のMTBなら5万キップ程度になる。

(船)
交渉制、半日で25~30USドル程度が目安。


ホテル

高級5つ星リゾートからゲストハウスまで宿の選択肢は豊富で、到着してから宿を探しても何とかなる。
ルアンパバーンの場合は伝統的な造りの建物に緑を配したリゾートホテルが多い。川沿いなど眺めがいい場所は高めとなる。

適度にきれいで広めの3つ星クラスで5,000円程度、もちろんエアコン、WiFi付で十分快適。
更に安いクラスなら3,000円程度。このクラスでもエアコン、WiFiはもちろん朝食付も見つかる。

ゲストハウスならばドミトリーで1,000円未満、個室でも2,000円を切る。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ラオスの携帯事業者は最大手のLao Telecom(Laotel)、ETL、Unitel、ロシア系Beelineの4社。外国人でも自由にプリペイドSIMを購入できる。

Laotelのプリペイドプランは1日1ギガで5,000キップ。1ヶ月5ギガで5万キップ、同使い放題で25万キップ。4Gのプランもある模様だがルアンパバーンでの電波状況は未知。

ETLの場合1日300Mで5,000キップ、1週間400Mで1万キップ、1ヶ月2ギガで5万キップなど。

Unitelの場合、1日125Mのパッケージが5,000キップ、1週間250Mで1万キップ、1ヶ月1ギガで4万キップ、同5ギガで10万キップなど。

Beelineは最大21Mbpsの4GUSBモデムとSIMのセットを用意しており、35万キップ。その他3日で500メガのホットプランが1万キップ、1週間500メガで2万5千キップ、1ヶ月1.5ギガで10万キップ、1.2ギガのデータ専用で5万キップなど様々なプランがある。

短期滞在ならBeelineの3日プラン、1週間ならETL、1ヶ月ならLaotelの5ギガプランがお得といったところか。

日本からWiFiルーターを借りていった場合は5日間で7,500円程度と高め。できれば現地でSIMを調達したい。

(WiFi)
ルアンパバーンは旅行者天国。多くのカフェやゲストハウスにはWiFiステッカーが貼ってある。もちろん店員からパスワードさえもらえば無料でつなげ、回線品質もそこそこ。

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5. 旅の本屋 のまど イベント情報:1月29日(木)常見藤代さん スライド&トークイベント

Profile
プロフィール

旅の本屋 のまど

東京・西荻窪にある旅の本屋です。音楽、映画、思想、料理、宗教など、さまざまなジャンルから「旅」を感じさせてくれる本をセレクトしています。「旅」に関するイベントも定期的に開催中!
所在地:〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-12-10司ビル1F
営業時間:12:00 ~ 22:00 定休日:水曜日
HP:http://www.nomad-books.co.jp/


新刊「女ひとり、イスラム旅」発売記念
◆ノンフィクション写真作家 常見藤代さん  スライド&トークイベント◆
「イスラム圏、女ひとり旅の楽しみ方」

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新刊『女ひとり、イスラム旅』(朝日新聞出版)の発売を記念して、写真家でノンフィクション作家の常見藤代さんをお迎えして、女性が一人で旅したイスラムの国々の魅力についてスライドと動画を眺めながらたっぷりと語っていただきます。前作『女ノマド、一人砂漠に生きる』では、エジプトの砂漠で一人で遊牧するホシュマン族の女性との遊牧生活の実体験を描いた常見さん。新刊では、チュニジア、ヨルダン、パキスタン、モロッコ、オマーン、エジプト、シリアといったこれまで取材してきたイスラムの国々で出会った様々な現地の人々との交流を通じて、常見さんが垣間見た知られざるイスラムの習慣やエピソードが綴られています。今回のイベントでは、女性である常見さんが一人でイスラム諸国を旅した際の貴重なお話が聞けるはずです。常見さんのファンの方はもちろん、イスラム教やイスラム文化に興味のある方はぜひご参加くださいませ!

※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。


常見藤代(つねみふじよ)

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群馬県生まれ。上智大学法学部卒業。3年半の会社勤務の後、写真のテーマを求めて、アジア・アフリカを放浪。その過程でイスラム文化に興味を持ち、エジプトにてアラビア語を学ぶ。以後フリーの写真家として、エジプトをはじめとする中東諸国を取材し、現地の人びとの暮らしに根ざしたルポを雑誌や写真展で発表している。著書に「砂漠のサイーダさん」(福音館書店)、「女ノマド、一人砂漠に生きる」(集英社)がある。

◆常見藤代さんHP
http://f-tsunemi.com/


【開催日時】  1月29日(木)   19:30 ~ (開場19:00)
【参加費】   900円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】  旅の本屋のまど店内
【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、
 お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627
 e-mail :info@nomad-books.co.jp
 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
 ※定員になり次第締め切らせていただきます。
【お問い合わせ先】
 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
 http://www.nomad-books.co.jp
 主催:旅の本屋のまど
 協力:朝日新聞出版

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6. 編集後記

 
tabinoteワタベです。2015年もtabinoteメールマガジンをよろしくお願いいたします。

前号は年末座談会でしたので連載の準備がなく、編集部もだいぶ充電させていただきました。その甲斐あって今号からようやく柳下毅一郎さんの新連載を開始することができました。
柳下さんのお名前はメルマガ創刊時点(13年7月)からクレジットされており、実に1年半近く経過。このまま不掲載が続いたら訴えられるのでは…と心配していた矢先でしたので原稿が届いたとの知らせにホッとしました。
そして中身も、全文をご覧いただければおかわりの通りの超問題作です。完全フィクションですが…。

さて、ニュースはもろもろありますが、気になるのはエアアジアの墜落事故ですね。下川さんもさすがの所感をお寄せいただいています。ぜひご覧下さい。

吉田さんはベトナムで迎えた新年の模様をタイムリーにお伝えいただきました。大盛り上がりだったようですが、見事にアジアっぽいオチが付いています。ベトナムは日本と同じ大乗仏教と聞きますが、除夜の鐘とかは無い模様です。

旅行記はキナバル4回目です。今号でなんとか登頂まで行きました。
長い旅行記でしたが、次回下山編で終了となります。今度は乾季に登ってみたいですね。

青木さんの旅行記はインド3回目、バラナシ編です。
バラナシはインド旅行で最大の目玉のはずですが、私の周辺でもあまりいい印象を聞きません。しつこい物売りとかぼったくられたとか、ある意味インドの縮図なんでしょうか。
次号ダージリンは素晴らしい場所です。青木さんがどんな印象を持ったかはわかりませんが…。

「世界あの街」はラオスの古都ルアンパバーンです。
物価も安く見どころ多くぼったくりが少ないなど、地味ながらリピーターの多いラオス、この機会に計画をたててみてはいかがでしょうか。ビアラオ飲みたい…。

西荻のまどさんでは、常見藤代さんによる「女ひとり、イスラム旅」発売記念トークイベントが1/29に開催されます。何かと情報の少ないイスラム圏の旅、タイムリーな話題も聞けるかもしれません。

以上、今号はインドネシア、ベトナム、オランダ、マレーシア、インド、ラオスと見事に広がりのある内容。ハッパの話が多いのは偶然です。
次号でいよいよ40号となります。柳下さんに続いて新連載の告知もできるかもしれません。

次回は1月27日(火)の発行予定です。


tabinoteが旅程調査を担当した「一度行ってみたい 世界の絶景」(洋泉社ムック)。もうご覧いただけましたでしょうか?美しい写真と旅の達人インタビュー、実用的な行き方ガイドで構成された情報量満載の一冊です。ぜひ店頭で手にとってみて下さいね。

166031
一度は行ってみたい世界の絶景(洋泉社)

★特設ページ★


発行:有限責任事業組合tabinote
https://tabinote.jp

※本メルマガの連載原稿または寄稿、告知などの著作権は著者・情報発信元に帰属します。その他の著作権および全ての編集著作権はtabinoteに帰属します。記事の引用・転載は出典を明記いただくとともに、諸関連法規の定めに従い行っていただきますようお願いいたします。

次回は1月27日(火)の発行予定です。

tabinoteメールマガジン 2015/01/13号 Vol.039 無料版

Contents

1. 旅行業界最新ニュース
2a. 連載:「タビノート」 下川裕治
2b. 連載:「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和
2c. 連載:「柳下毅一郎のアウト・オブ・ディス・ワールド」 柳下毅一郎
3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その4
3b. 世界一周ノート 第23回:インド バラナシ
4. 世界あの街この街:ルアンパバーン
5. 旅の本屋 のまど イベント情報:1月29日(木)常見藤代さん
6. 編集後記


1. 旅行業界最新ニュース

タイガーエア・台湾、成田~台北線に就航か

台北に拠点を置くタイガーウェイズとチャイナエアラインの合弁によるLCC、タイガーエア・台湾が、3月に東京/成田線に就航の予定と台湾の中時電子報が報じた。同社は今後、台北から釜山、済州、ホーチミン、ハノイなどにも路線を広げる予定。

アシアナ航空が第二のLCCを年内に設立か

アシアナ航空が、エアプサンに続く第二のLCCを年内に設立する方針だと韓国メディアが報じた。報道によると拠点は仁川・金浦を予定し、国内線及び短距離国際線に就航するという。現在韓国にはエアプサン(アシアナ系)、ジンエアー(大韓航空系)、イースタージェット、チェジュ航空、ティーウェイ航空と5つのLCCが存在し、もしこの報道が事実だとすると6社目となる。

エアライン安全度ランキング発表。1位はキャセイ

ドイツのJACDECが発表する2015年度エアライン安全度ランキングによると、1位は香港のキャセイパシフィック航空、2位がUAEのエミレーツ航空、3位が台湾のエバー航空。以下、エアカナダ、KLM、エアニュージーランド、カンタス、海南航空、ジェットブルー、エティハド航空と続いた。なお日本からはANAが11位にランクされた。

スカイマーク、ANA傘下入りとの報道も否定

1月9日、スカイマークがANAに対して出資を要請する検討に入ったと読売新聞が報道したが、同社は報道を完全否定。「現時点でANAに対して出資を要請する検討に入った事実はなく、決定した事実もない」とコメントした。ただ、スカイマークが経営危機に陥っており、JAL、ANA両社とコードシェア提携などを検討していることは事実であり、搭乗率も激減している。今後の報道が注目される。

ユナイテッド、ルフトハンザで受託手荷物制限の緩和

ユナイテッド航空、ルフトハンザ・ドイツ航空は、1月8日発券分から、エコノミークラスの受託手荷物個数を従来の23kgまでのもの1個から2個に変更した。以前は2個めより追加料金がかかっていたため、かなり大幅な緩和だ。

アメリカン航空、羽田就航か?

米大手航空会社で唯一羽田に就航していないアメリカン航空が、ロサンゼルス~羽田線の解説を運輸省に申請した。日米の合意により羽田空港のアメリカ便は1日4枠に制限されており、現在デルタ航空がロサンゼルス便、シアトル便、ユナイテッド航空がサンフランシスコ便、ハワイアン航空がホノルル便を運行している。今回の申請はデルタ航空シアトル便の再分配を求めたもの。

セブパシフィック航空、燃油サーチャージを廃止

フィリピンのセブパシフィック航空は同国航空当局の通達を受け、1月9日の予約分から国際線及びフィリピン国内線の燃油サーチャージを廃止した。それまで成田~マニラ便では片道5000円の燃油サーチャージがかかっていた。他の航空会社にも広がることを祈ろう。

エアアジア機墜落。崩れるLCCの安全神話

12月28日、乗客と乗務員162人を乗せ、インドネシア・スラバヤからシンガポールに向かって離陸したエアアジア・マレーシア機がジャワ海で墜落した。1月12日、インドネシア捜索救助庁がフライトレコーダーを回収、墜落原因の調査を始める。
この事故を機にLCCの安全性についての議論が起こるのは必至。今号の下川さんの記事も参照してほしい。

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2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

アジアの移動はエアアジアがなければ難しい?

 昨年の末、エアアジアが墜落した。正確にいうと、エアアジア・インドネシア。スラバヤからシンガポールに向かう便だった。
 LCCが日本に就航したとき、「安全なのか」という質問を何回も浴びせられた。その発想の背後には、「安かろう悪かろう」という心理があった。  これだけ安いのだから、整備に手を抜き、機材も古いのではないか……と。飛行機の安全基準は、各国で決められていて、LCCや既存の航空会社という違いではない。安全かどうか……という質問は、日本航空や全日空が安全か、という質問と同じだと答えていた。


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2b.「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和

Profile
プロフィール

吉田友和(よしだともかず)

1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行にして夫婦で世界一周旅行を敢行。旅の過程を一冊にまとめた『世界一周デート』で、2005年に旅行作家としてデビュー。「週末海外」というライフスタイルを提唱。国内外を旅しながら、執筆活動を続けている。その他、『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』(講談社)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『LCCで行く! アジア新自由旅行』(幻冬舎)、『めざせプチ秘境!』(角川書店)、『3日もあれば海外旅行』(光文社)など著書多数。
旅行作家★吉田友和 Official Web

しりとりで旅する 第37回 吉田友和

ゆ 夢

 もう10年以上も前の話になるが、チベットを旅していたときのことだ。ガイドブックに「野犬に注意」と書かれていたのを読んで眠りについたら、犬に噛まれる夢を見て「うわあああ」と情けない声を上げながら飛び起きた。隣で寝ていた奥さんは、何事かと驚いたらしい。夢の内容なんてすぐに忘れてしまうものだが、あまりにお馬鹿な展開で、いまでも我が家で語り草となっている。
 僕はよく夢を見る。ほとんど毎日と言っていい。内容は様々だし、すぐに忘却してしまうのだが、旅をしている夢がとにかく多い。旅先で寝ていても、またどこか別の場所を旅する夢を見たりする。犬に噛まれる、なんて悪夢にもしばしば見舞われるが、夢の中でも大好きな旅にまみれていられるのは幸せなことなのかもしれない。


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2c.「柳下毅一郎のアウト・オブ・ディス・ワールド」 柳下毅一郎

Profile
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柳下毅一郎(やなした・きいちろう)

1963年大阪府生まれ。英米文学翻訳家・映画評論家。多摩美術大学講師。訳書にR・A・ラファティ『第四の館』(国書刊行会)、アラン・ムーア/J・H・ウィリアムズIII『プロメテア 1』(小学館集英社プロダクション)など。著書に『新世紀読書大全』(洋泉社)、『皆殺し映画通信』(カンゼン)など。編書に『女優林由美香』(洋泉社)など。

Twitter

柳下毅一郎のアウト・オブ・ディス・ワールド 第1回

 tabinoteから旅行記を依頼され、快諾したのはいいのだが、それ以来あまり旅行に行くこともなくどうしたものかと思いあぐねていたのである。ところが友人ーーここでは仮にY氏としておくーーがアムステルダムに行ってきたというので、これ幸いと旅行記を頼んでみたのである。彼の快諾を得てここで発表させていただくことにする。なお、友人であるわたしが言うのもなんだが、Y氏は嘘ばっかり言っていてまったくもって信用できない人間であるので、彼の原稿は一切信用しないでいただきたい。すなわち、以下の記述はすべてフィクションであり、現実の出来事とは一切関係ありません。

 アムステルダムのCannabis Cupは今年で27回目を迎える歴史と伝統を誇るイベントである・・・


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3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その4

 
tabinoteワタベです。今年6月のキナバル山登山、数回に渡ってレポートします。今回が4回目となります。

前号まではこちらをご覧下さい。
 その1:上陸編
 その2:徘徊編
 その3:とりつき編

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(画像:tabinote)


三日目:ラバン・ラタ

標高3,001m、5km地点を越えて更に進む。

ひたすら登り続けていよいよ八合目にあたるラバン・ラタ小屋(Laban Rata;3,273m)。
9時50分。午前7時半にスタートしたので所要2時間20分、目標通過タイムの午前10時に間に合った!
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(画像:tabinote)

ラバン・ラタ小屋は高級リゾートホテルグループのステラが運営するハイソな山小屋。普通はツアーでしか宿泊できず、個別予約しようとしても最低3万円は下らない。
さすがに内部は快適そうで、高度3,000mからキナバルの岩肌と下界を臨むグッドビュー。
ビュッフェコーナーやバーまである。ビールは25リンギット(750円くらい!)とさすがにお高い。
10分ほど休憩。ガイドは持参したパンを、私は柿の種で補給。
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(画像:tabinote)

宿泊者は年配の白人が多く、上下完璧な登山着にハイカットの登山靴、トレッキングポールといったフル装備。
現地人並みの軽装でピーナッツをぼりぼり食べている私はいかにも場違いだった。

さて、ラバン・ラタでの休憩を終え、意を決して先に進む。


ラバン・ラタの裏から始まる登山ルートは延々と続く木の階段
見ただけで気力が萎える…。
1.5~2段飛ばしくらいの絶妙な高さの急階段が果てなく続いており、一歩毎に体力を奪い取っていく。

写真では十分に伝わらないのが残念なこの傾斜…。
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(画像:tabinote)

なんとか止まらず登ろうと思ったが、心拍数が推定180くらいに上がってきた。
ぜぇぜぇ。

しかしこの高度でなんちゅう階段だよ。マジで45度くらいあるのでは…。
ぜぇぜぇ。

登山マラソンの人はこれを走って上がるのか?信じられない…。
ぜぇぜぇ。

間違いなくこれまで最長の階段。いつまで続くんだろう…。

たまらず休憩。

おかしい、休んでもずーっと心臓がバクバクしたままで、心拍数が下がらない。
いやー、これはキツイ…。

もしかして、これは低酸素状態というやつでは…?
とにかくいくら吸っても肺の空気が足りないような感覚。

もう標高3,000mオーバー、既に私にとっては未知の高度である。
吸ってダメなら吐いてみよう、ということで、空手にある呼吸法「息吹」を試してみる。
息吹とは全身(特に下腹の丹田)に力を溜めつつ、腹の底から一気に呼気を吐く呼吸法。なんでも思う存分吐いた後は新鮮な空気を取り込めて呼吸がラクになるとか。
「カーッ!!」
息を吐いた瞬間、色彩がネガフィルムのように反転し暗くなった。
典型的な貧血時の症状。ヤバイ、やり方が悪かったのか余計苦しくなった…。

とにかく膝に手をついて休み、ひたすら呼気を吐いて身体が酸素を取り入れるのを待った。
徐々に呼吸が整っていくが、しかし行く手にそびえるのは壁のような階段。
せめて今が1/3とか1/2とかわかれば気力もわくのだが…、あとどのくらい続くのかわからないのでペース配分もできない。いつまで続くんだ!

少し息が落ち着いてくる。
もしかしたらオーバーペースだっただけかもしれない。
ガイドは後からゆっくりと登ってくる。あのペースで行けばいいのか。
息をととのえてゆっくり、ゆっくり登ると徐々に心拍が落ち着いてきた。
大丈夫、低酸素状態ならこんなに早く慣れないはずだ。

長い間かけてようやく階段地獄を抜ける。
いやー、今思い起こしてもこの階段が一番きつかった。


登頂

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(画像:tabinote)

さて、階段を越えると同時に森林限界。
緑は下方に遠ざかり、灰色の岩肌がむき出しになって果てしなく上方へと続いている。
足元は平滑な岩場になった。
日本の山のように土も赤い火山岩もない、一面の灰色。
ここから高度にしてあと600mくらいか?いよいよキナバル山のラスボス面だ。
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(画像:tabinote)

このあたりからはもうすべすべの岩場。
平滑な岩肌は油断すると滑る。靴の裏全体の摩擦力を利用するように根気よく登るが、全然スピードがでない。
何カ所かロープがはってあり、それを頼りに登るも全身の力をもっていかれるようでかえって疲労。
ロープは使わずに、ジグザグ登りの方が体力を消耗しないと判断し足だけで登る(その代わり歩行距離は増える…)。

「雨が降ったら登山中止」の意味がわかった。ここまで来ると斜度20度か30度はある平滑な急坂で、流れる水を遮る土も木も無い。雨が降ったらツルツルだろう
空は時折分厚い雲が出て油断できないが、ここまで来たら天気保って欲しいなと祈るばかり。
ひたすらこんな斜面が続く(場所によっては勾配25度~30度あります)。
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(画像:tabinote)

7km地点。標高3,653mのSayat Sayat小屋へ到着。ゴールまであと1,700m。
Sayat Sayatには登山口と同様に登山者のチェックゲートがある。無人だったためそのまま通過。
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(画像:tabinote)

このあたりから疲労感がなくなってきた。
ジグザグゆっくり登りのおかげか、階段やロープで失ったスタミナが回復してくる。


更に登る。
キナバル山を象徴するサウス・ピーク(3,933m)の麓。標高3,776m。
富士山の最高地点・剣が峰と同じ高さまで来たが…、あいにく霧でサウス・ピークどころかほとんど何も見えず。
このあたりにドンキー・イヤーという奇岩があるはずなんだけど、何も見えず。

青い服はガイド。
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(画像:tabinote)

8km地点、標高3,929m。ゴールまであと700m。富士山の高さを超えた。
ラバン・ラタまではいい感じだったのにその後だいぶスローペースになってしまった。
現在11時30分、ここまで来れば13時という制限時間内の登頂成功は確実。
今雨が降ってもシカトして登ってやる!

柿の種と水の補給を済ませ、最後のスパート(といってもトボトボ歩くだけ)。
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(画像:tabinote)

最後の案内表記。8.5km地点、標高4,008m。
ゴールまであと200m、高さにしてあと87m。
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(画像:tabinote)

ここから頂上までがまたキツかった…。
完全に手を使わないと登れないうず高い岩場。
急に霧が深くなり、自分と手元周辺くらいしか見えなくなってきた。
手間取りながらもなんとか登ると、頂上を示す看板が見えた。

そして、いよいよ標高4,095mの最高地点ロウズ・ピーク到着!
時間は11時50分。所要4時間20分、やったぜ間に合った!
スタート時間が早かったとはいえ後続にも抜かれず、この日一番乗り。
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(画像:tabinote)

さて、山頂の向こう側にはさぞかし感動の絶景が…と思ったら何も見えない!
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(画像:tabinote)

雲で視界は360度見事なほど乳白色。
あれれ、こんなはずでは…。

せっかく苦労して登ったのに、無念!
このストリートビューで私の落胆をお察し下さい。
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(あと1回だけ続きます)

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3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

Profile
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青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

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第22回:インド バラナシ

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アグラからデリーを経由してガンジス河へ、僕はインドを北上する列車旅を続けていた。

各都市の滞在は3日程度で、全然時間が足りなくて、やはりインドは広大で、旅行者にとってそれだけ魅力的な場所であるらしかった。アグラ・デリーは観光資源に富んでいて、安宿の設備も安定していたので、僕は特に不自由なく散歩をすることができた。
フマユーン廟もクトゥブ・ミナールも、列車の長い列もスラムも、慣れてしまえばそれは日常風景に成り下がり、いよいよインドという刺激が僕を侵食してしまったみたいだった。
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ガンジス河での沐浴は僕の旅行計画のハイライトでも有り、どうしてもやりたいことの一つだった。だから聖地バラナシは憧れの地であったし、僕にとって旅人の帰結点の様な勝手なイメージを抱いていた。
それなのに僕は夜行列車を降りた時から体調が悪かった。
安宿エリアは道が複雑に入り組んでいて不衛生で、僕は迷い込んで、客引きに囲まれながらホテルを決めた。ホテルは当たりだったけれど、部屋に入るなりすぐに寝込んでしまった。
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目が覚めて夕食を求めて近所を歩くと、氾濫するハングル文字に気が付いた。安食堂でも韓国料理のメニューが並んでいる。おかげで僕はおかゆの様な食べ物を発見でき、怠さを促すことができた。そこかしこに点在するバングラッシー屋にもハングルが躍っている・・・
後々の滞在で見聞きしたところによると、バラナシの街は韓国人旅行者(特に処方箋目当て)のメッカとなっているらしい。
「聖地」という理由にかこつけて、半合法的に扱われるそれらの商品を、普段海外でハメを外さない韓国人が謳歌していたのだ。
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途端、僕の中でバラナシは何だか汚らわしい場所のように思えてきてしまった。
客引きたちはバングラッシーとハシシを売ることで頭がいっぱいで、川の畔でゆっくりチャイを飲むことすらできなかった。
毎晩行われるガートでの儀式も、死を待つ物乞いも、流れる死体も、朝日と共に行われる沐浴も、決して神聖なものではなく、淡々と日常的に行われていた。
そしてそのすぐ傍らには聖地の名産品を売り歩く輩が闊歩しているのだった。
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僕は忘れる度に何度もこの感覚を思い返した。そう、この混沌こそがインドなのだと!

体調が悪く、簡単なお薬を処方した僕がガートでぼんやりしていると、ある日本語堪能な客引きがしつこく声をかけてきたので、適当にあしらうと彼は怒り始め、僕に暴言を浴びせ始めた。
「お兄ちゃん、そういうの良くないよ!神様見てるよ!次の人生で罰が当たるよ!」と。
何だかとってもショックだった。聖地の横でそんなことをしている男に僕は人格を否定され続けた。薬のせいで微睡んで、微睡んで、頭がおかしくなりそうだった。僕はこの旅で何をしているんだろうか?・・・
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結局、僕の体調は回復せず、バラナシでの沐浴は1度きりになってしまった。それも、腹痛でホテルまでの帰り道に牛の横で失禁するという散々なおまけ付きだった。
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気付けばインド滞在可能の30日がせまっていた。このままバラナシを北上してネパールに抜けるルートが一般的だったけれど、僕はもう少し足を伸ばすことにした。
ブッダガヤ・カルカッタ・ダージリン・・・深夜特急や三島由紀夫の描いた世界を生で確認する必要があった。
僕はまだインドの何物をも掴めていない、そんな焦りがあった。

次回はカーリー寺院・山羊の断頭儀式、ダージリン・トイトレイン、ネパール入国を記します。


世界一周ノート
とりあえずの予定コース:上海→杭州→南寧→ハノイ→ホーチミン→シェムリアプ→チェンマイ→ルアンパバーン→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島→マニラ→シンガポール→ジョホールバル→シドニー→チェンナイ→ムンバイ→アグラ→デリー→バラナシ・・・。以降ネパール、トルコ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、南米と巡る予定

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4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第37回 ルアンパバーン

Living at a different Pace (Luang Prabang, Laos)
(Wat Xieng Thong、提供:Jean-Marie Hullot; Flickr)

ラオス人民民主共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

美しい街並みと、とろけそうに優しい人々。
ルアンパバーン(ルアンプラバンとも)は最後の桃源郷とも称されるラオス随一の観光都市。
伝統的な仏教様式と植民地時代のコロニアル様式が融合したユニークな景観は世界遺産登録されており、保存状態のよさもあいまって評価が高い。のんびり街歩きやスパ、雑貨あさりなどゆったりすごすのもいいし、郊外のトレッキングや川下り、エレファントツアーなどのアクティブ系も人気。

ルアンパバーンはラオス北部のメコン川沿いにあり、14世紀にはラーンサーン王朝が幕を開け、18世紀から20世紀にかけてルアンパバーン王国の首都であった由緒ある古都。その後フランス領時代を経て、現在の東洋と西洋・自然が混じり合った独自の街並みが形成された。
世界遺産という派手な記号につられて訪れたツーリストも、いつしか静かでゆったりしたラオスの空気にハマってしまいリピーターになるという。

Luang Prabang
(地図Google;A-サッカリン通り[Sakkaline]、B-シーサワンウォン通り[Sisavangvong]、C-チャオファーグム通り[Chao Fa Ngum]、D-ワット・シェントーン、E-ワット・マイ・スワナプーマハム、F-ロイヤルパレス[国立博物館]、G-伝統芸術民族センター、H-UXO不発弾処理プロジェクト)

ルアンパバーンの中心部はメコン川とナムカーン川に囲まれた半島部分。
半島を北東から南西に貫く一本の通りは、北からサッカリン通り、シーサワンウォン通り、チャオファーグム通りと名づけられている。
見どころはこの通り沿いに集まり、散策が楽しい。
朝はサッカリン通りの裏に朝市が建ち、托鉢の僧が行き交う。活気ある露店にはメコン川の魚や肉、野菜などが並んでいる。

一方夜にはシーサワンウォン通りが歩行者天国となり、夜市が並ぶ。
銀細工や刺繍など雑貨が多く、こちらもツーリストで賑わう。
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Luang Prabang Market(画像:Wikipedia)

半島の端にあるのはルアンパバーン一の格式を誇るワット・シェントーン(Wat Xieng Thong)寺院。王家の菩提寺でもあった。壁を彩る装飾やレリーフ、モザイク画など壮麗な建物。シーサワヌォン王の逝去時に使われた黄金の霊柩車も見物できる。

Golden City Temple (Wat Xieng Thong)

シーサワンウォン通り沿いにある五層の屋根を持つ巨大な寺院はワット・マイ・スワナプーマハム(Wat Mai Suwannaphumaham)、通称ワットマイ。1796年建立と比較的新しいが、ルアンパバーンの仏教芸術の頂点とも称される豪華絢爛な造り。

Wat Mai Suwannapumaram (トリップアドバイザー提供)

ワットマイのすぐ隣はかつての王宮。現在はラオス国立博物館となっている。
白亜の建物はラオス様式とフランスのボザール様式が融合したもの。
世界各国からの贈呈品や黄金仏、王族の部屋などが公開されている。

Royal Palace (トリップアドバイザー提供)

伝統芸術民族センター(The Traditional Arts and Ethnology Centre)は少数民族の文化や風俗を紹介するミュージアム。併設のショップはセンスの良い民芸品が売られており、隣接するダラート・ダーラー市場と合わせてお土産探しに最適。

Traditional Arts and Ethnology Centre (トリップアドバイザー提供)

なお、ダラート・ダーラー市場では日本人に高確率でおばちゃんが●●を売りに来る。ラオスの場合はどこを歩いていても声がけされてしまうのだが、野菜を売ってるようなおばちゃんまで●●を扱っているところが特徴的。なお、そこら中に●●が流通しているラオスであるが当然違法なので手を出さないこと。

内戦の爪痕、不発弾の資料館がUXOラオス不発弾処理プロジェクト・ビジターセンター。不発弾の実物や被害の様子が展示されている。

UXO Laos Visitor Center (トリップアドバイザー提供)

夕暮れがちかづいたらプーシー(Phousi)に登ってみよう。場所はシーサワンウォン通りがチャオファーグム通りに名前を変えるあたり。プーシーは高さ150m程の小高い丘で、海抜は700mあり市街を一望できる。
328段の階段を上がると頂上には夕陽に輝く黄金の仏塔が待っている。
夕暮れ時は絶景を見ようと集まった地元民やツーリストで賑わう。

Mount Phousi (トリップアドバイザー提供)

Mount Phousi (トリップアドバイザー提供)

プーシーは18時に閉まる。その後はビールを片手に再びナイト・マーケットに繰り出そう。


郊外観光の中でも人気が高いのはタート・クアンシー(Tat KuangSi)。
市街から南に約30km、青緑の美しい水をたたえた景勝地で、滝を眺めてもいいし、絶景の中での贅沢な川遊びも楽しめる。
2014年にオープンしたばかりのバタフライガーデンは蝶が放たれた広大な庭園で、フィッシュスパやカフェなどリラックスできる。

Kuang Si Falls (トリップアドバイザー提供)

Kuang Si Falls Butterfly Park (トリップアドバイザー提供)

パクウー洞窟(Pak Ou Caves)はメコン川を北上、およそ35kmさかのぼった先にある洞窟。陸路なら市街から1時間、船なら2時間程度。「タム・ティン・ルム」と「タム・ティン・トゥン」の2つに分かれており、タム・ティン・ルムには、4,000体以上ともいわれる膨大な数の仏像が安置され、現在でも寄進される仏像の数は増え続けている。タム・ティン・トゥンは真っ暗な洞窟内に仏像が浮かび上がり、静謐な雰囲気が漂う。


Pak Ou Caves (トリップアドバイザー提供)

アクティブ派には川下りやトレッキング、オフロードバイクツアーなどが人気。
そこまで本格的でなくとも、船を半日チャーターしメコン川を下るだけでも冒険気分が味わえるし、エレファントライドなら自分で歩かなくても済む。

Elephant Village Sanctuary Day Trips (トリップアドバイザー提供)
 
 
【ラオス】個人旅行の強い味方、空港送迎から日本語ガイドまで VELTRAにおまかせ!



Tum Tum Cheng (トリップアドバイザー提供)

ラオスの食はベトナム、タイ東北部、中華料理をほどよくミックスしたテイストで、アジアの中では辛さ控えめ。パンやサンドイッチにはベトナム同様フランスの影響が見られる。
食材はもち米とハーブの多用が特徴。内陸国であるがメコン川の恵みがあるため魚もよく食卓に登場する。

代表的なメニューは粗く刻んだ肉をハーブとライムジュースで味付けしたラープ。タイ料理でもお馴染みのメニューだが、ラオスが本場。鶏肉や豚、レアの牛肉、魚やアヒルのラープまで多彩なバリエーションがある。
他には麺類も豊富で、タイ風、ベトナム風のフォー、中華風の焼きそばや和え麺など毎日でも飽きない。
タイやベトナムでお馴染みのメニューに加え、肉や魚をシンプルに炭火で焼いたり揚げたりしたメニューも多い。
ルアンパバーンの名物料理はハーブと肉を煮込んだラオス風シチューのオ・ラームやメコン川の海苔を揚げたカイ・ペーンなど。

欧米のツーリストも多いので、ハンバーガー、ピザを提供するカフェも多い。本格的なフランス料理店もある。

ラオスのビールといえばビア・ラーオ。
フランス資本で建設されカールスバーグの出資を受けたという本場欧州仕込みの濃厚な風味は氷で割ってよしそのままでよしの万能選手。
国内シェア90%以上とも言われる国民飲料で、東南アジアでもっとも美味しいとの呼び声も高い。


River Spiritr (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
日本からの直行便はなく、周辺の東南アジア諸国から入る。
なんといっても空路が豊富なのはタイ経由。バンコク、チェンマイ、ウドンターニーあたりから空路が通じている。
LCCでタイに入り、そこからバンコク・エアウェイズでルアンパバーンに入れればかなり安く済む。

ベトナム、カンボジアからのルートも多い。特にベトナム航空は日本からの往復で5万円を切るなどLCCよりも安いことがある。

エアアジアという手もある。クアラルンプールからヴィエンチャンまで直行便が就航している。ヴィエンチャンからルアンパバーンまでは空路なら1時間かからないし、バスでも一晩で着く。

ラオスの国内線移動は時間変更や遅延、欠航が日常茶飯事。ヴィエンチャンからの移動も一筋縄ではいかないことがあり、余裕をもってスケジューリングしておきたい。

(陸路)
周辺国の主な都市とをつなぐ国際バスがある。
チェンマイからは所要18時間。ウドンターニー便やハノイ便もある。
陸路で入国する場合でも、国境ポイントでビザを取得できる。

(空港)
ルアンパバーン国際空港(Luang Prabang International Airport;LPQ)は市街地の北西約4km。こぢんまりとした規模だが改修したばかりで新しい。たいした設備はないが、バンコク・エアウェイズのラウンジがある。

国際線はラオス国営航空、タイ・スマイル、バンコク・エアウェイズ、ベトナム航空、中国東方航空(昆明)が就航している。

市街地まではプリペイドの定額タクシーで、5万キップ(または7USドル)。




tabinoteメンバーも愛用!空港滞在時間が長くなりがちな節約旅行でこそ、ラウンジのありがたさが身にしみます。海外旅行には必携の「プライオリティ・パス」
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地理と気候

ラオスはインドシナ半島の内陸深くにある内陸国。東にタイ、北に中国、西にタイとミャンマー、南にカンボジアと接している。
ルアンパバーンはラオス北部の山あい、メコン川のほとりにある。

11~4月は乾季で、空が青く比較的涼しい。5~10月は雨季となり、8~9月で雨量が最も多くなる。乾季のルアンパバーンは山あいでかなり冷え込むため上着を持参のこと。
基本的には乾季が観光に適しているが、滝やメコン川の雄大な眺めを見るならあえて雨季を選ぶのもいい。ホテルも雨季は安め。

日本との時差はマイナス2時間。日本の正午がラオスの10時。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はラオス語(ラオ語)。タイ語もそれなりに通じる模様。
フランス領ではあったがフランス語が通じることはほとんどない。観光分野では英語の通用度が高い。

通貨はキップ、あるいはキープ(LAK)。
補助通貨としてアット(Att;1キップ=100アット)がある。
1キップ=0.15円(14年12月時点)。おおむね10,000キップで150円くらいと覚えておけばよい。

米ドル、タイバーツも通じるが、日本円を現地でキップに両替するのが有利。現地での再両替レートは良くないので都度両替すること。
現地には豊富にATMがあるが、紙幣が出てこないこともあるので現金の持参を推奨。
ホテルは米ドル建ての場合もある。

物価はホテルを除きかなり安め。
ミネラルウォーターが2,000K(キップ)、ローカルレストランで麺などが1万キップ、レストランが5万キップキップ。ホテルはゲストハウスで15USドル、3つ星ホテルなら40~80USドル程度。

クレジットカードの通用度は低く、外国人が行くような高級レストランやショップ、ホテルに限られる。

チップは基本不要。ベルボーイやガイドに1ドル程度。高級ホテルでは10%の税金が加算される。


(画像:banknotenews.com)

ビザと治安

15日以内の観光滞在はビザ不要。16日以上であればビザ申請を。
アライバルビザもあるのでそれほど神経質になる必要はない。
外国人は、常にパスポートの携帯が義務付けられている。警官の検問時にパスポートがないと延々と尋問されたり拘束されることもあるので注意。

油断は禁物だが、ぼったくりやしつこい客引きのいないルアンパバーンはゆったりと過ごせる街。
ラオス自体、一党独裁の体制が続いており基本的に治安はよいが、近年銃器を用いるような凶悪犯罪も増加している。また、ホテル・ゲストハウスでの盗難も報告されている。

毎年2月から4月頃までの間は山焼き・野焼きの影響で煙害が発生する。マスク携行を推奨。

ヴィエンチャンとルアンパバーンの間の山岳地帯は反政府武装勢力の拠点であり、基本的に外国人は入境できない。外務省は「渡航の是非を検討」扱いとしている。


市内交通

コンパクトな街であり、徒歩でほとんどの所に行けてしまう。
徒歩以外の手段はトゥクトゥクかレンタサイクルが便利。
タクシーは上述の空港タクシーやツアー用のもののみで、街中を流していることはない(仮にあったとしても普通の乗用車なので見分けが付かないらしい)。

また、メコン川沿いを運行する船や長距離バスもある。船は目的地へのクルマがセットになったツアーがパッケージされていることが多い。

(トゥクトゥク)
他国でもよく見る三輪バイクタイプのトゥクトゥクと、郊外観光に向くワゴン車やピックアップトラックの荷台を改造した多人数乗りのタイプがある。料金は交渉制で、市内ならおおむね一回5,000~1万キップ程度。

(レンタサイクル・バイク)
1日24時間借りて2万キップ程度。ギア付のMTBなら5万キップ程度になる。

(船)
交渉制、半日で25~30USドル程度が目安。


ホテル

高級5つ星リゾートからゲストハウスまで宿の選択肢は豊富で、到着してから宿を探しても何とかなる。
ルアンパバーンの場合は伝統的な造りの建物に緑を配したリゾートホテルが多い。川沿いなど眺めがいい場所は高めとなる。

適度にきれいで広めの3つ星クラスで5,000円程度、もちろんエアコン、WiFi付で十分快適。
更に安いクラスなら3,000円程度。このクラスでもエアコン、WiFiはもちろん朝食付も見つかる。

ゲストハウスならばドミトリーで1,000円未満、個室でも2,000円を切る。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ラオスの携帯事業者は最大手のLao Telecom(Laotel)、ETL、Unitel、ロシア系Beelineの4社。外国人でも自由にプリペイドSIMを購入できる。

Laotelのプリペイドプランは1日1ギガで5,000キップ。1ヶ月5ギガで5万キップ、同使い放題で25万キップ。4Gのプランもある模様だがルアンパバーンでの電波状況は未知。

ETLの場合1日300Mで5,000キップ、1週間400Mで1万キップ、1ヶ月2ギガで5万キップなど。

Unitelの場合、1日125Mのパッケージが5,000キップ、1週間250Mで1万キップ、1ヶ月1ギガで4万キップ、同5ギガで10万キップなど。

Beelineは最大21Mbpsの4GUSBモデムとSIMのセットを用意しており、35万キップ。その他3日で500メガのホットプランが1万キップ、1週間500メガで2万5千キップ、1ヶ月1.5ギガで10万キップ、1.2ギガのデータ専用で5万キップなど様々なプランがある。

短期滞在ならBeelineの3日プラン、1週間ならETL、1ヶ月ならLaotelの5ギガプランがお得といったところか。

日本からWiFiルーターを借りていった場合は5日間で7,500円程度と高め。できれば現地でSIMを調達したい。

(WiFi)
ルアンパバーンは旅行者天国。多くのカフェやゲストハウスにはWiFiステッカーが貼ってある。もちろん店員からパスワードさえもらえば無料でつなげ、回線品質もそこそこ。

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5. 旅の本屋 のまど イベント情報:1月29日(木)常見藤代さん スライド&トークイベント

Profile
プロフィール

旅の本屋 のまど

東京・西荻窪にある旅の本屋です。音楽、映画、思想、料理、宗教など、さまざまなジャンルから「旅」を感じさせてくれる本をセレクトしています。「旅」に関するイベントも定期的に開催中!
所在地:〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-12-10司ビル1F
営業時間:12:00 ~ 22:00 定休日:水曜日
HP:http://www.nomad-books.co.jp/


新刊「女ひとり、イスラム旅」発売記念
◆ノンフィクション写真作家 常見藤代さん  スライド&トークイベント◆
「イスラム圏、女ひとり旅の楽しみ方」

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新刊『女ひとり、イスラム旅』(朝日新聞出版)の発売を記念して、写真家でノンフィクション作家の常見藤代さんをお迎えして、女性が一人で旅したイスラムの国々の魅力についてスライドと動画を眺めながらたっぷりと語っていただきます。前作『女ノマド、一人砂漠に生きる』では、エジプトの砂漠で一人で遊牧するホシュマン族の女性との遊牧生活の実体験を描いた常見さん。新刊では、チュニジア、ヨルダン、パキスタン、モロッコ、オマーン、エジプト、シリアといったこれまで取材してきたイスラムの国々で出会った様々な現地の人々との交流を通じて、常見さんが垣間見た知られざるイスラムの習慣やエピソードが綴られています。今回のイベントでは、女性である常見さんが一人でイスラム諸国を旅した際の貴重なお話が聞けるはずです。常見さんのファンの方はもちろん、イスラム教やイスラム文化に興味のある方はぜひご参加くださいませ!

※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。


常見藤代(つねみふじよ)

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群馬県生まれ。上智大学法学部卒業。3年半の会社勤務の後、写真のテーマを求めて、アジア・アフリカを放浪。その過程でイスラム文化に興味を持ち、エジプトにてアラビア語を学ぶ。以後フリーの写真家として、エジプトをはじめとする中東諸国を取材し、現地の人びとの暮らしに根ざしたルポを雑誌や写真展で発表している。著書に「砂漠のサイーダさん」(福音館書店)、「女ノマド、一人砂漠に生きる」(集英社)がある。

◆常見藤代さんHP
http://f-tsunemi.com/


【開催日時】  1月29日(木)   19:30 ~ (開場19:00)
【参加費】   900円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】  旅の本屋のまど店内
【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、
 お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627
 e-mail :info@nomad-books.co.jp
 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
 ※定員になり次第締め切らせていただきます。
【お問い合わせ先】
 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
 http://www.nomad-books.co.jp
 主催:旅の本屋のまど
 協力:朝日新聞出版

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6. 編集後記

 
tabinoteワタベです。2015年もtabinoteメールマガジンをよろしくお願いいたします。

前号は年末座談会でしたので連載の準備がなく、編集部もだいぶ充電させていただきました。その甲斐あって今号からようやく柳下毅一郎さんの新連載を開始することができました。
柳下さんのお名前はメルマガ創刊時点(13年7月)からクレジットされており、実に1年半近く経過。このまま不掲載が続いたら訴えられるのでは…と心配していた矢先でしたので原稿が届いたとの知らせにホッとしました。
そして中身も、全文をご覧いただければおかわりの通りの超問題作です。完全フィクションですが…。

さて、ニュースはもろもろありますが、気になるのはエアアジアの墜落事故ですね。下川さんもさすがの所感をお寄せいただいています。ぜひご覧下さい。

吉田さんはベトナムで迎えた新年の模様をタイムリーにお伝えいただきました。大盛り上がりだったようですが、見事にアジアっぽいオチが付いています。ベトナムは日本と同じ大乗仏教と聞きますが、除夜の鐘とかは無い模様です。

旅行記はキナバル4回目です。今号でなんとか登頂まで行きました。
長い旅行記でしたが、次回下山編で終了となります。今度は乾季に登ってみたいですね。

青木さんの旅行記はインド3回目、バラナシ編です。
バラナシはインド旅行で最大の目玉のはずですが、私の周辺でもあまりいい印象を聞きません。しつこい物売りとかぼったくられたとか、ある意味インドの縮図なんでしょうか。
次号ダージリンは素晴らしい場所です。青木さんがどんな印象を持ったかはわかりませんが…。

「世界あの街」はラオスの古都ルアンパバーンです。
物価も安く見どころ多くぼったくりが少ないなど、地味ながらリピーターの多いラオス、この機会に計画をたててみてはいかがでしょうか。ビアラオ飲みたい…。

西荻のまどさんでは、常見藤代さんによる「女ひとり、イスラム旅」発売記念トークイベントが1/29に開催されます。何かと情報の少ないイスラム圏の旅、タイムリーな話題も聞けるかもしれません。

以上、今号はインドネシア、ベトナム、オランダ、マレーシア、インド、ラオスと見事に広がりのある内容。ハッパの話が多いのは偶然です。
次号でいよいよ40号となります。柳下さんに続いて新連載の告知もできるかもしれません。

次回は1月27日(火)の発行予定です。


tabinoteが旅程調査を担当した「一度行ってみたい 世界の絶景」(洋泉社ムック)。もうご覧いただけましたでしょうか?美しい写真と旅の達人インタビュー、実用的な行き方ガイドで構成された情報量満載の一冊です。ぜひ店頭で手にとってみて下さいね。

166031
一度は行ってみたい世界の絶景(洋泉社)

★特設ページ★


発行:有限責任事業組合tabinote
https://tabinote.jp

※本メルマガの連載原稿または寄稿、告知などの著作権は著者・情報発信元に帰属します。その他の著作権および全ての編集著作権はtabinoteに帰属します。記事の引用・転載は出典を明記いただくとともに、諸関連法規の定めに従い行っていただきますようお願いいたします。

次回は1月27日(火)の発行予定です。