カテゴリー別アーカイブ: 2017/05/23号 Vol.087

tabinoteメールマガジン 2017/5/23号 Vol.087

Contents

1. 旅行業界最新ニュース
2. タビノート/下川裕治
3a. ミャンマー音楽紀行2017 その2
3b. バルカン半島訪問記2 -コソボ- —
4. 旅の本屋 のまど イベント情報
5. 編集後記


1. 旅行業界最新ニュース

ピーチ、ビットコインでの決済サービスを導入へ

ピーチ・アヴィエーションとビットポイントジャパンは、インターネット上の仮想通貨であるビットコインを利用した決済サービスを年内に導入すると発表。手数料は従来のクレジットカード決済などより割安になる見込み。ビットコインによる決済は日本の航空会社ではじめてとなる。

ユナイテッド航空、日本路線のB747が終了

ユナイテッド航空は、ジャンボジェットの愛称で親しまれたボーイングB747型機の日本路線への投入を6月で、米国含む全路線でも10月で終了、退役とすることを発表した。B747は世界的にも退役が進んでおり、日本では2014年を最後に旅客路線では全機が退役、最近もKLMオランダ航空、キャセイパシフィック航空などが日本路線への投入を終了しており、もはや見かけるのがレアな機体となっている。

デルタ航空、LAXで大規模なターミナル変更作業を終了

デルタ航空は、ロサンゼルス国際空港(LAX)での発着ターミナルを第5、第6ターミナルから第2、第3ターミナルに変更する作業を終了させた。「LAX ON THE MOVE」と名付けられたこの作業は、デルタ航空の他にもエアカナダ、ジェットブルーなど21の航空会社が移動する大規模なものとなった。
LAX ON THE MOVE

ピーチ、札幌発着3路線を9月からスタート

ピーチ・アヴィエーションは、9月24日より、札幌(新千歳)~仙台、福岡、台北(桃園)の3路線を開設すると発表した。ピーチがすでに発表した2018年度の新千歳空港の拠点化や、北海道路線の拡充に先立ち、ネットワークを強化するもの。これにより、新千歳空港発着路線は、大阪/関西線をあわせた4路線に拡大する。

ボーイングB737MAXが日本初飛来

ボーイングの小型旅客機B737シリーズの最新機種となるB737MAXがはじめて日本に飛来した。この機体はボーイングが初めて航空会社へ引き渡すことになったマレーシアのLCCマリンド・エアのもので、クアラルンプールへ向かう途中の寄港となった。
20170523

tabinote執筆の市場ガイドが刊行!

このほど、tabinoteが執筆した「世界の美しい市場」(エクスナレッジ)が刊行された。なじみ深いアジアや欧米の市場から南米やアフリカのエキゾチックな市場まで、世界各地のフォトジェニックな市場を紹介している。ベッドサイドで気軽に眺める写真本を意図しているが、市場の地図や営業情報など旅の計画づくりに役立つ実用情報も充実している。

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2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

タイ・ライオンエアが出てこない日本の空

 最近のタイを中心にした旅を思い浮かべてみる。どのLCCに乗ったのだろうか。ウドンターニー、チャンラーイ、ウボンラーチャターニー、ヤンゴン……。すべてタイ・ライオンエアだった。
 LCCはやはり安さで選んでしまう。ウドンターニー空港へは、航空券を買わずに着いた。3つあるブースを全部まわった。タイ・エアアジア、ノックエア、タイ・ライオンエア。それぞれの料金を比べて、タイ・ライオンエアになった。バンコクへの片道が2500円ぐらいだった。これなどは露骨な料金比較である。いまのタイを中心にした中短距離路線を比較していくと、タイ・ライオンエア、タイ・エアアジア、ノックエアの順に高くなっていくことが多い。
 しかしLCCは運賃だけが選択要素ではない。就航時間がその次の要素になるだろうか。この時点で、かつてはタイ・ライオンエアが候補から落ちていくことが多かった。
 安いが運航する時間帯がよくなく、便数も少なかった。
「やっぱりタイ・エアアジアか」
 と思うことは多かった。
 しかし最近はタイ・ライオンエアが残ってくるのだ。着実に便数が増えているのだろう。
 ミャンマーを歩きながら、ある夜、タイのバンコクに向かう航空券を買おうと思った。午後まで用事があったので、夕方以降の便を探した。そこでもタイ・ライオンエアが顔をのぞかせていた。
 予約もスムーズに進んだ。
 1年ほど前のウボンラーチャターニーの夜を思い起こしていた。翌日、バンコクに戻るタイ・ライオンエアの便を予約しようと思ったのだが、支払いの画面で何回か止まってしまった。しばらく間を置き、再度、予約を入れて、やっと買うことができた記憶がある。しかし、ミャンマーではそんなこともなかった。
 着実にスムーズになっていた。そして便数も予想より早いペースで増えている。
 タイ・ライオンエアは、インドネシアの資本とタイ資本でつくられた航空会社だ。客室乗務員の服装もインドネシア風だ。
アジアの空のダイナミズムが伝わってくる。
 しかし日本のLCCに動きはない。日本航空の子会社のジェットスター、全日空の子会社のピーチとバニラ。この3社を追うLCCがなかなか登場してこない。競争の論理が生まれにくい。これから日本のLCCは高くなっていくのかもしれない。
 LCCを育てる根本的な土壌。アジアの自由さの反面、日本の硬直性が気になる。
 なぜ日本は、いつもこうなってしまうのだろうか。

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ライオンエアの機内。ごく普通のLCC。その雰囲気が伝わってくる

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3a. ミャンマー音楽紀行2017 その2

昨年に引き続き2号にわたってミュージシャン村上巨樹さんのミャンマー旅行記を連載します。
(注:本事例は2017年2月時点の予約可能なプランおよび費用にもとづいています。)

Profile
村上巨樹

村上巨樹

岩手県在住。ギター奏者/作曲家/イベントオーガナイザー。自身のリーダーバンドte_riは今年活動10周年を迎える。日本の放浪芸とミャンマー音楽を研究中。

7日目(2月28日)


 朝7時に起床。外からかすかに音楽が聞こえるので飛び起きる。ホテルの外に出ると、遠くの方から歌謡曲が聞こえる。ホテルの人に聞くと「祭りだよ。もう始まってて9時か10時には終わるよ」。

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 慌てて朝食食べて、バイクタクシーに乗って音の聞こえる方へ。
 着いた村では生演奏ではなく音源だけが流れていた。聞くと祭りは明日だと言う。これは行ってみよう。
ホテルに戻ろうとすると、バイクタクシーの兄ちゃんが「俺の村で今日結婚式あるよ。見にくる?近いよ」と。是非是非!

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 着くとちょうど練り歩きをやってた。

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 なんだこの山車は!スピーカー紐でくくってる。

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 後ろには打楽器。

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 山車の1つ後ろには発電機。これで音響設備やマイクに電気を供給。

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 荷台に座ってる赤い帽子のおじさんがキーボードを弾く。歌手は曲ごとに入れ替わる。

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 おっちゃん!

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 花嫁さん。華やかな水牛と共に。

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 打楽器奏者も練り歩く。

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 結婚式会場。

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 音響機材に書かれてるミャンマー文字のデザインが秀逸。

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 風船売り。

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 別の山車。

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ラジオ?

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踊りもある。
 会場のおじさんに聞いたら「式は2時から」。かなり時間あるので、一旦バガンを散策することに。

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宿でeバイクをレンタル。1日8000チャット(約800円)。最大時速40キロでほぼスクーター。

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バガンの地図。

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このエリアは右上のニャウンウー、左上のオールドバガン、左下のニューバガンの3つに分けられる。俺のホテルはニューバガン。

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 ニューバガン〜オールドバガンはeバイクで15分ほど。

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 広大なエリアに、雨後のたけのこのように仏塔遺跡が点在する。eバイク使わないと無理。観光客向けの馬車があるけど、風情楽しみたい人向けかな。

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 まだ時間あるのでニャウンウーまで足を延ばす。静かな観光客向けのオールドバガンとは違い、賑わっている。

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 適当なレストランで食事。付け合わせがめっちゃ辛かった。
 昼食を食べ終え14時に村を再訪。すると楽器を片付け始めていた。え、どういうこと!?おっちゃんに聞くと「もう終わったよ」えー!マジで?うなだれたまま宿に戻る。

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 夜はニャウンウーにある観光客向けのレストランへ。目的は人形劇。
 食事はカレー、紅茶、コーヒーで計8500チャット(約850円)。

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 マンダレーと同じく、サインワインの劇伴あり。終演後、プレイヤーの方々少し話すことができた。伝統楽器の作り方や日本の楽器との共通項など。日本から来たと言うと、なんとスキヤキを演奏してくれた。

8日目(3月1日)

 朝7時起床。若干腹の調子が悪い。なんか悪いもの食べたかな。屋上で朝食を取っていると、どこからか音楽が聞こえる。昨日教えられた村祭りだろうか?宿の人に行くと「いえ、あれは近所の寺が寄付を募ってるんです」。音楽の使われ方も色々なんだな。受付でeバイクを手配してもらい、早速昨日の村に出発。

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村へはバイクで5分ほど。隠れている白い建物は寺。

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スピーカーを積んだ山車。まだ準備中。祭りは9時から。

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 昨日と同じく、後部に打楽器。

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 遊ぶちびっこ。
 寺の裏側からも音楽が聞こえて来た。

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 行ってみると会場が設営されていた。どうやら寺の表が行列のスタート地点で、裏のここがゴールらしい。

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 受付で寄付を納めると、朝食を振る舞ってくれた。

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祭りスタート。行列についていく。

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 行列は村内の路地を練り歩く。

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 近所の人たちも一目見ようと集まって来た。

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 山車はみんなで押す。
 やがてゴールの会場に到着。参加者やその家族が記念写真を撮っていた。山車から楽器が取り外されたので、祭りはこれで終わりのよう。eバイクに乗ってホテルに帰る。
 やばい、腹の調子がおかしい。胃もたれっぽいから油にやられたかな。正露丸飲んで1時間ほど仮眠する。当初はタクシーをチャーターして少し離れた村に行こうと思ったけど、大事をとって取りやめることに。正午にチェックアウト。

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 バガンで昼食。油ものはできるだけ食べたくないけど仕方ない。ハンバーガー3000チャット(約300円)、レモンティー2000チャット(約200円)。生野菜だけ食べたい。
 eバイクに乗ってニャウンウーを散策。すると遠くの方から音楽が聞こえてきた。なんだろう。気になって音の鳴る方へ。

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 音が鳴っていたのはここ。お寺…なのか?しかし大音量。

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 サインワインが生演奏やってる!一気にテンション上がる。どうやら今夜村祭りで、今はリハーサル中。

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 若いプレイヤー。ドラムセットも演奏するそう。

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 鈴とカスタネットでテンポを司る役目。楽団のリーダー。

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 ミャンマーの伝統楽器、フネー。日本でいうところのチャルメラ。

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 円環状に並ぶ金属打楽器、チーワイン。
 写真を撮ってると、会場にいたおばあちゃんに声かけられた。「あんたどこから来たんだ」「日本から。ミャンマーの音楽が好きで調べてるんです」「ヨクキタ!」えっ、おばあちゃん日本語しゃべれるの!?

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 日本語喋るおばあちゃん・モモさんとお孫さん。お孫さんが化粧してるのは、今夜の祭りに出るから。モモさんとても親切で、カタコトの日本語でサインワインを解説してくれた。18時に本番だそうで、一旦離れる。

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 ニャウンウーの端にある川。これはマンダレーと繋がっているそうで、船旅が盛んなよう。

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 ビーチバレーのコート発見。
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 気付くと日没間際。絶景。

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 18時、祭りの会場を再訪。が、まだ準備中。

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 照明の準備中。
 モモさんに聞いたら「19時からぼちぼち始まるよ」とのこと。今夜バスに乗らなきゃ行けないのでその時間だと見れないな。残念だけど本番見ずに宿へ戻る。
 eバイクを返却し、フロントに預けていた荷物を受け取る。そうこうしてるうちにピックアップのバスが来た。今夜は深夜バスに乗りヤンゴンへ移動。

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 今回利用したのは高級バス会社JJエクスプレス。バガン〜ヤンゴン間が19ドル(約2100円)。予約はJJエクスプレスのフェイスブックページで可能。

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 ミネラルウォーターと軽食のサービスあり。

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 車内は3列シート。冷房地獄なので上着必須。

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 途中寄ったサービスエリアのような場所。相変わらず腹痛なので何も食べず。

9日目(3月2日)


 朝6時ヤンゴン中央駅到着。適当なタクシーを捕まえて宿へ。チェックインは14時からだったけど体力が限界だったのでどうにかアーリーチェックイン可能か聞いてみた。結果NG。でも「屋上にデッキがあるので、そこなら休んでていいですよ」。ありがたい。

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 宿に別料金支払い、朝食を食べる。最高の眺めなんだけど、スイカとオレンジジュースしか喉を通らない。あとこの景色を見ると、いかにヤンゴンが都会かがわかる。

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 フロントで見つけたヒップホップイベントのチラシ。船上イベント。受付の兄ちゃんに聞いたら「ヤンゴンのクラブシーンは、クラブでやるか船でやるかの2択」だそう。面白いな。

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 「地球の歩き方」に乗っていたマッサージ店・ゲンキーに行ってみる。睡眠不足と旅疲れを回復。90分13000チャット(約1300円)。日本人が関係しているそう。ロビーに日本経済新聞あった。

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 大型書店へ。あれ?閉まってる。

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 ボージョーアウンサンマーケットも閉まってる。聞いたら今日は祝日だそう。失敗した。ミャンマー最終日だから買い物しようと思ったのに。

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 昼食は寿司。その名も「オイシイスシ」。

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 見えにくいけど、寿司職人のゆるキャラが「はい、おいしいよ!」と言ってる。

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 久々の日本食。味噌汁が体にしみる。酢飯ではないのでおにぎりっぽさはある。

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 午後イチでカセットを再訪。頼んでいたCDやカセットを購入。おばあちゃんに「明日日本に帰ります。また来年来ます」と言ったら「じゃあせっかくだから、今夜夕食一緒にどう?ご馳走するよ」。せっかくのご好意なのでいただくことにする。
 一旦宿に戻ってチェックイン。

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ダウンタウンの中心にあるスーレーパヤーへ。

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せっかくなのでお参り。

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18時、カセット屋のご家族と寿司屋へ。

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寿司以外のメニューもある。

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記念写真。ごちそうさまでした!
20時過ぎに宿に戻り、帰国に備え荷物を整理。さっさと寝る。

10日目(3月3日)

 5時半起床。昨日頼んであったタクシーに乗り、6時に宿を発つ。空港まで8000チャット(約800円)。

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 復路はエアアジア。チェックイン、出国審査、手荷物検査をさっさと済ませる。ここでジャケットを受託手荷物に入れたのが大失敗。

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 両替所で余ったチャットをドルに替える。早朝7時だけど空いてる窓口あり。

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 ゲートに向かうエスカレーター。ヤンゴン国際空港、本当に綺麗になったな。
 8時半、定刻離陸。

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 12時45分、クアラルンプール国際空港に到着。ここでトランジット。
 先日事件があっただけに空港内はものものしい。手荷物検査、X線検査を計4回受けた。相変わらず腹痛がひどいので、昼食はマクドナルドのアイスクリームのみ。

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 14時40分、離陸。ここでエアアジアの冷房地獄にやられる。ジャケットを預けてしまったので、腹痛のまま冷房に耐える。機内食でどうにか暖をとり、ひたすら到着を待つ。
 22時半、羽田空港到着。さっさと入国審査と税関を抜け、無事帰国。
 今回はなかなか長丁場だったけど、そのおかげで地方都市にも行けたしじっくり聞き込み調査も行えた。新たに知り合えた人もいるし、また来年行きたい。とりあえず、買ってきた音源が未開封なのでそこから始めよう。

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3b. バルカン半島訪問記2 -コソボ-

Profile
darklogosmall

評論同人誌サークル「暗黒通信団」の雑文書き。
貧乏ノマド独身。英語は苦手。好きな地域は中東の砂漠。元コミケスタッフ。コテコテの理系。自称高等遊民。
詳しくは http://ankokudan.org/d/d.htm?member-j.html

 
シさんによるバルカン半島旅行記の第2弾です。第1弾はこちらをご覧下さい。なお、この旅では撮影済みのデータを破損してしまったとのことで、編集部によりイメージ写真を適宜加えております。


コソボという国の認知は微妙である。聞いたことないか、または空爆や戦争しか思いつかない。その昔セルビアから独立宣言をして、今や多くの国が独立を認めているのだが、当のセルビアが独立を認めていないので、外国からコソボに入るとコソボからセルビアへ抜けられない。セルビア側としては「セルビアの入国印が押してないじゃないか、不正入国者だ」という扱いになるからだ。なおセルビアからコソボに入るぶんには問題ない。ただ今回は経路設計の都合、ベオグラードからいったんマケドニアへ抜けてから(セルビア的に言えば)再入国することにした。ビザいらないからってやりたい放題。11時発13時着予定の国際マイクロバスでスコピエ(マケドニア首都)からプリスティナ(コソボ首都)へ向かう。お値段320ディナール(700円)で国境検問は陸路のくせに簡単にスルーだった。

※戦時下のコソボ
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(Author : marietta amarcord from italy, 紛争により破壊された建物. 廃墟と化したコソボ。1999年.)

プリスティナは意外にも綺麗な街だ。空爆ぽさはない。バス停も新しく、人の数の割にガランとしている。「世界遺産の教会に行きたいんですけど」と窓口で聞いたら、窓口嬢が、さも「観光物件なんてそれくらいしかないもんね」と言いたげに「4番レーンだよ。ハウリアップ(急げ)!」と言われた。でも急いでいったら運ちゃんが「満員だ、ここで次のバス待て」といって乗せてくれない。そしてバスは悠々と行ってしまった。ただ待っているのもしゃくだから、昼飯として2ユーロ(コソボの通貨はユーロである。ATMからユーロが出てくるのは感動だ)でやたら大きな肉+パンの昼飯を食った。なんか見た目1kgほどもあり、これ一個で1日OKみたいな大きさである。確実にぱんちょの大盛りスパゲッティより多い。ちなみに次のバスは僕が食べ終わるのを待っていてくれて、肉塊をなんとか口に押し込んだら即発車した。市内バスは頻発しているものらしい。

※プリシュティナ市街
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(Author: Arbenllapashtica, Prishtina perspektivë nga Radio Kosova 5)

とりあえず世界遺産の教会へ行くのである。観光物件はそれくらいしかないから。だいたいこの辺だよね、と直観でバスを降り、5分ほど歩くと確かにその教会は見つかった。が、なんというかしょぼかった。単なる教会ですね、という感じで、入場料もないし、修復中だし、観光客も誰もいないし、なんでこれで世界遺産なのかは分からない。教会なので内部の写真撮影は不可。まぁ、世界遺産といってもピンキリだから、どこか旅行にいくときに、すべての世界遺産がペトラとかピラミッドとかエルサレムみたいだと思ってたら不幸になるだけだ。

※世界遺産(ついでに危機遺産)のデチャニ修道院。コソボは世界遺産条約を締約しておらず、セルビアの世界遺産に分類されている。
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(The Decani Monastery; UNESCO)

仕方ないから外側の写真だけ撮って帰るかと思ったところ、帰りのバスが見つからない。降りたところまでえっちらおっちら戻っても、そこはバス停ではないらしく、タクシー屋がニヤニヤしながら「バス停は1キロ先だよ、ミスター」とか言ってくる。少しはタクシーに乗ろうかと思っていたのに、そうまで言われたら是が非でもバスで帰るしかないので、人に聞きまくって無理やりバス停の位置を絞り出し、本当に1キロ歩き倒した。現地のマダム2人がバスを待っていたところ、ほどなく見るからに路線バスな車両が到来。しかし乗ると10分もたたずに途中で降ろされ「終点だ。このチケットを見せれば次のバスに乗れるから」といって去っていってしまった。現地人も心外らしく、あれやこれや抗議をするが聞き入れてもらえない。「おたく観光客?ひどいねぇ」と(かなり)怪しげな英語で云われ、そうだそうだと同調する。友情というのはともに困難を克服することで生まれるんだって、少年ジャンプで習っただろ。

※コソボのバス
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(Author : Andy Mabbett, A bus in Pristina, Kosovo.)

仕方ないから、その次のバスに乗ると、郊外の謎の山の頂上に連れて行かれ、現地人2人組とまたも抗議をすると、結局市内までそのまま乗せてくれることになった。抗議内容は現地語なので意味はわからない。そもそもここ、ほとんど英語が通じない。周辺諸国に比べてキリル文字がなくて読みやすいのだけど、英語はベオグラードのほうがよほど通じた。なんかロシア語とも違う感じの謎の言語で困惑したから、あとで宿の人に聞いたらアルバニア語の一種らしい。でもイエス・ノーはダーとニェなので、そこはロシア語ぽい。大丈夫、言葉が通じないくらい、冒険者にとって何の問題でもない。ドラクエの勇者だって通訳なしで全世界を旅してるじゃないか。

結局バスはバスターミナルではなく、予約していた宿から50mのところまで、0.5ユーロで連れて行ってくれた。結果オーライで良しとする。本来はバスターミナルから市の中心まではタクシー2ユーロがかかるのだ。

宿はビルの4F。エレベータもないので、でかい荷物を荷物満載の働きアリみたいに運ぶ。宿のスタッフは、僕を日本人だと認識すると、途端に目を輝かせ「この曲を知っているか」とBluetoothでアニソンを流し始めた。「ルパン三世ですね。日本人なら誰でも知ってます(キリッ)」という。話せばかなりの日本アニメ好きで、ワンピースやナルト的なものから手塚治虫まで幅広く押さえているギークなのであった。「Parasyte…なんだっけ」といわれたので「イブ?」と聞けば、「No, right hand!」とかいうので、「寄生獣?」「That’s!」となる。そんな会話が延々1時間続いた。寄生獣の英語版タイトルなんて知りませんがな。そもそも、コソボは(英語がろくに通じないくせに)ネットは速くて、日本にあるWindowsのリモートデスクトップがサクサク動いたりする。国内向けのwifiより速いのではないか。

15時くらいには宿についたので、郵便局からいくらかの知人宛てに手紙を出して、街をだらだらした。コソボなんて凄くヤバそうな感じのところから手紙を出したらインパクトあるじゃん。でも実際には極めて平和な街である。不謹慎にも爆撃の跡などを期待するのだが、ベオグラードと違って、そういうものは見当たらず、活気もあるし、なんだか新しい植民惑星の街みたいだった。通貨がユーロでネットが速くきれいな街。文句ない。

あけて翌日は雨だった。
AccuWeatherの天気予報では曇りとかいっていたが、実際は土砂降りスコールだ。使えない天気予報だな。朝食は8時からだと昨晩スタッフは言っていたが、朝8時にキッチンにいても明かりすらついておらず、誰もいなく、何もなかった。眠そうなスタッフに「朝ごはんって此処?」と聞くと、「今からマーケットに行って何か買ってくるから5分待って」といって買い出しにでかけていった。ドン引きだよ。30分くらいしてまたキッチンに行ったら、テーブルの上にパンが置いてあって外人たちがバターを塗って食べていた、パン、牛乳、ストロベリーティーだけの簡素な朝飯をご一緒させてもらう。会話なし。

プリスティナの街をよく見てから旅立とうと思ったが、雨がひどくて無理である。特に凄い必見物件があるわけではないし、見るだけなら昨日見たからいいやと、いきなりタクシーを呼んでもらってバス停へ。ちょうどプリズレン行きのバスが発車するところだったので飛び乗った。途中で晴れてくる。道が悪いのか事実上の一車線のためか、バスはゆっくりだ。

コソボには首都プリスティナの他にいくつか世界遺産を擁する街があって、その一つがプリズレンである。ティラナ(アルバニア首都)行きの経路上にあるので観光経路として無駄がない。ネット掲載の旅行記ではティラナ行きのバスは朝7時台しかないことになっているが、宿のオタクによるとプリスティナ発ティラナ行きのバスはそれ以外にもたくさんあるらしい。14時、14時半、15時発あたりが良いとのこと。

そしてそのプリズレン。長距離バス停は街のすぐ外れにあり、中心までは歩いていける距離である。ちなみにそのバス停のトイレはアラブ式であり、プリズレンにはたくさんのモスクがある。オスマントルコの時代のものだそうだ。ティラナ行き国際バスの時刻を聞くと15時発と17時半発を示された。それしかないらしい。しかし15時の便は高速道路上のバス停に停まるのでそこまではタクシーで行けとか、いやバス会社が15時にバス停から高速道路まで運んでくれるので、そこのカフェテリア前で待てとか説明が二転三転する。もともと言語に不自由するところだし、15時に高速道路なのに15時にカフェテリアで待ってたら論理的に間に合うわけがないので、最初に確かめるべく、そのカフェテリア前に行くと、「ティラナ!ティラナ!」とタクシー屋が吠えていた。これはあかん。諸外国のタクシー屋って、どこでも凄くクズ感を出している。

まぁ何とかなるだろうと冒険者然としたおおらかさでとりあえず観光に出る。なんせティラナ行きのバスまで3時間以上あるのだ。プリズレンは小さな町なので観光は全て徒歩でなんとかなる。しかし、どれもしょぼい。城壁は遠目に素晴らしいが、荷物が重いので登れない。というか、見るからに登る気を削ぐ高さである。その山の中腹に教会が立っていたりして、アフガニスタンあたりの山岳民族かよといいたくなる。

※プリズベン城壁からの夜景
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(Author : Arben Llapashtica, Kalaja e Prizrenit)

とりあえず話を聞くべくして入ったツーリストインフォメーションでは逆にやたら気合の入ったアンケートを食らった。観光物件が延々と列挙され、見たかどうかに始まり、今後観光客を増やすにはどうしたらいいかまで、まるでミステリーショッパーですかというくらいに詳細なコメント欄が並んでいる。ついていけないので全部にExcellentをつけていく自分はアンケートの誤差要因かもしれない。

世界遺産の生神女教会はしまっていたが、あとできくと9時から14時だけ空いているらしい。「地球の歩き方」にはジョージ教会で鍵を預かってるとか書いてあるが、そのジョージ教会に行ったら「知らん」と門前払いされた。歩き方の偽情報にいちいち腹を立ててはいけないよ、そういう本なんだから達観したまえ。文句があるなら素直にロンプラを読むことだ。なおツーリストインフォメーション様によれば、しまってる場合は向かいの警官詰め所に頼んで鍵開け人を召喚するのが正しいらしい。結局よくわからないが、たまたま鍵があいていたので猫のように滑り込んだら、一応中を見ることはできた。たしかに古くてカッコいい教会なのだけど、内装はボロボロで保存状態は良くない。これを見て感動しろというのは少し無理かも。14時に定時で教会を追い出され、そのままバス停に向かう。果たして15時過ぎにバス会社の乗用車が高速道路の脇にある雑貨屋のようなところまで運んでくれた。バスはその雑貨屋にだいたい20分遅れで来た。大陸時間バンザイ。

※世界遺産の正神女教会
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(Author: Graciela Gonzalez Brigas, The church of the Holy Virgin of Ljevisa)

コソボは出国手続きが存在しなく、アルバニアの入国手続だけが存在した。しかもスタンプすら押してくれない(入国も出国も!)。さすがは国民全部がねずみ講に引っかかった国というか。なおアルバニア語のトイレはVC GRA(女性用)とVC BURRA(男性用)と表記されている。間違えると怖いアルバニア人のオバサンに怒られる。しっかり覚えよう。

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4. 旅の本屋 のまど イベント情報:
 5月25日 上原善広さん スライド&トークイベント
 6月16日 武藤北斗さん スライド&トークイベント

Profile
プロフィール

旅の本屋 のまど

東京・西荻窪にある旅の本屋です。音楽、映画、思想、料理、宗教など、さまざまなジャンルから「旅」を感じさせてくれる本をセレクトしています。「旅」に関するイベントも定期的に開催中!
所在地:〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-12-10司ビル1F
営業時間:12:00 ~ 22:00 定休日:水曜日
HP:http://www.nomad-books.co.jp/


新刊「カナダ 歴史街道をゆく」発売記念
◆ノンフィクション作家 上原善広さん  スライド&トークイベント◆
「知られざるカナダの魅力を巡る旅」

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新刊『カナダ 歴史街道をゆく』(文藝春秋)の発売を記念して、著者でノンフィクション作家の上原善広さんをゲストにお迎えして、知られざるカナダの魅力とその歴史についてスライドを眺めながらたっぷりと語っていただきます。「日本の路地を旅する」、「被差別の食卓」などこれまでに国内・海外の路地や被差別部落に関する著作が多数ある上原さんが今回注目したのは、カナダ。2017年、建国150周年を迎えるカナダは、建国以来、世界中からの移民を受け入れ、多民族主義を宣言し、異なるルーツの人びとが幸福に共存する道を選んできました。本書では、その広大な国土を、上原さんが、一年目はプリンス・エドワード島からウィニペグまで、二年目は東端の地ニューファンドランドを起点に、鉄道でトロントからバンクーバー、さらに北上して北極圏のタクトヤクタックまで踏破した記録が綴られています。カナダ全土に張り巡らされた「トランス・カナダ・トレイル」(TCT)という古い街道や廃線になった線路跡などのトレイルを自転車でめぐったり、先住民と共にユーコンで狩りをしたりするなど、長年、世界を駆け巡って現地を取材してきた上原さんならではの、カナダの歴史を通して体感したカナダの「今」のお話が聞けるはずです。普段あまりトークイベントをしない上原さんの話を生で聞けるチャンスですよ。上原さんのファンの方はもちろん、カナダの歴史や文化に興味のある方やカナダ旅行の予定がある方はぜひご参加ください!
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※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。


上原善広(うえはらよしひろ)

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1973(昭和48)年、大阪府生まれ。東京都在住。大阪体育大学卒業後、ノンフィクション作家となる。2010年、『日本の路地を旅する』(文春文庫)で第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年第18回雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。2017年『一投に賭けるー溝口和洋 最後の無頼派アスリート』(角川書店)で第27回ミズノ・スポーツライター賞優秀賞受賞。著作は『被差別の食卓』(新潮新書)、『被差別のグルメ』(新潮新書)、『異邦人』(文春文庫)、『発掘狂騒史ー岩宿から神の手まで』(新潮文庫)など多数。

◆上原善広ブログ「全身ノンフィクション作家」
http://u-yosihiro.at.webry.info/


【開催日時】  5月25日(木)   19:30 ~ (開場19:00)
【参加費】   1000円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】  旅の本屋のまど店内  
【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、
 お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627
 e-mail :info@nomad-books.co.jp
 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
※定員になり次第締め切らせていただきます。
【お問い合わせ先】
 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
 http://www.nomad-books.co.jp
 主催:旅の本屋のまど
 協力:文藝春秋


新刊「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」発売記念
◆武藤北斗さん  スライド&トークイベント◆
「小さなエビ工場の世界を変える働き方」

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好きな時間に出勤・退勤できて、事前に連絡も必要なし、嫌いな作業もしなくていい!?
これまでの「仕事」や「働き方」の常識をひっくり返すような新しい取り組み「フリースケジュール制」を導入し、大きな注目を集めているパプアニューギニア海産。同社の新しい働き方とその背景にある考え方をまとめた書籍『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』(イースト・プレス刊)発売を記念して、本書の著者で、パプアニューギニア海産の経営者・工場長である武藤北斗さんのトーク・イベントを開催します。
パプアニューギニア産のおいしくて安全な天然エビを、現地の人々の生活を守りながら30年以上も輸入してきた同社は、いわばフェアトレードの先駆けと言える会社です。しかし、2011年3月の東日本大震災による大津波で宮城県石巻市の工場は流され、その後起こった原発事故も大きなきっかけとなり大阪への移転を余儀なくされました。それまで持っていた多くのものをなくして、家族とともに大阪に移り、いちから会社を建て直す中で、武藤さんは自らの生き方と、社会のありかたを見つめ直しました。それまで「あたりまえ」の働き方と言われてきたことは、本当に「あたりまえ」だったのだろうか? 小さなエビ工場から始まった、小さな「働きかた改革」は、試行錯誤を繰り返しながら実にユニークな変化を見せていきます……。

今回のトークショーでは、武藤さんが本の中では語りつくせなかった細かな心の変化、現在進行形の様々な改革などを、参加者の方との質疑応答を交えながらお話しいただきます。また今回は、パプアニューギニアの天然エビと途上国との密接な関係や、資本主義経済の中でないがしろにされていく食の安全性についてのこだわりなど、「働き方」だけにとどまらないテーマにも触れていただきます。ひとりひとりが変わることで、社会は変わる。この小さなエビ工場から始まった「働き方改革」には、世界を変えるための大きなヒントが隠されています。多くのみなさまのご来場をお待ちしています!なお、当日は、パプアニューギニア海産の天然エビフライの試食会も行います。(数量に限りがあるため、なくなり次第終了)

※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。


武藤北斗(むとうほくと)

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1975年福岡県生まれ。パプアニューギニア海産工場長。3児の父。小さな頃から引越しを繰り返し小学校は3校に通う。小学校4年から高校卒業までは東京暮らし。芝浦工業大学金属工学科を卒業後、築地市場の荷受けに就職しセリ人を目指す。夜中2時に出勤し12時間働く生活を2年半過ごす。その後㈱パプアニューギニア海産に就職し、天然えびの世界にとびこむ。2011年の東日本大震災で石巻にあった会社が津波により流され、福島第一原発事故の影響もあり1週間の自宅避難生活を経て大阪への移住を決意。震災による二重債務を抱えての再出発。現在は大阪府茨木市の中央卸売市場内で会社の再建中。東日本大震災で「生きる」「死ぬ」「働く」「育てる」などを真剣に見つめ考えるようになり、「好きな日に働ける」「嫌いな作業はやる必要はない」など、固定概念に囚われず人が持ち得る可能性を引き出すことに挑戦している。

◆武藤北斗さんツイッター
https://twitter.com/hokut0


【開催日時】  6月16日(金)   19:30 ~ (開場19:00)  
【参加費】   1000円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】  旅の本屋のまど店内
【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、
 お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627
 e-mail :info@nomad-books.co.jp
 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
 ※定員になり次第締め切らせていただきます。
【お問い合わせ先】
 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
 http://www.nomad-books.co.jp
 主催:旅の本屋のまど 
 協力:イーストプレス

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5. 編集後記

tabinoteワタベです。
長らくジワジワ告知してきましたtabinote執筆・エクスナレッジ刊の「世界の美しい市場」、いよいよ発売となりました!
欧米のスタイリッシュな市場、匂い立ちそうなアジアの熱気あふれる市場、南米の色彩豊かな市場などなど、一度は訪れてみたい世界の市場を美麗な写真と共にご紹介しています。もちろんtabinoteだけにガイド情報もバッチリ。妄想旅行に、旅先選びの参考に、ぜひご活用下さい。

さて、今号のニュースはピーチづいてますね。ビットコインの手数料も気になります。札幌線が拡充してきて、関空-札幌-アジアというルートも現実的になってきました。

現在ミャンマー全鉄道制覇という孤独なチャレンジを続けてらっしゃる下川さんのエッセイはタイ・ライオンエアについて。次々新しいエアラインが登場してくる海外の状況が羨ましくもありますね。日系LCCよりも春秋、スクート、香港エクスプレスあたりの方が勢いを感じます。

旅行記は前回に引き続き村上巨樹さんによるミャンマー音楽旅行。結婚式から現地人の招待による食事まで、取材・調査目的とはいえこの行動力は圧巻です。こういう、自分の興味関心を深掘りするような旅行は面白いですよね。
続いては半常連となりつつあるシさんのバルカン半島旅行記。あまり訪れた人もいないであろうコソボの様子を伝えて下さいました。確かにプリシュティナは西側の援助資金がバンバン入ってとても立派な街になっているようです。建築マニアには国立図書館も有名。興味のある方は検索してみて下さい。

旅の本屋 のまどでは、5/25にノンフィクション作家・上原善広さんによるカナダの魅力をめぐトークイベント、6/16にパプアニューギニア海産の武藤北斗さんによるトークイベントが開催されます。今後の生き方・働き方のヒントとなるかも!


tabinoteサイトでは過去の有料メルマガ連載をアップしており、無料でご覧いただけます
連載:下川裕治さん
連載:柳下毅一郎さん
連載:水谷さるころさん

次回第88号は2017年6月20日(火)の発行予定です。


発行:有限責任事業組合tabinote
https://tabinote.jp

※本メルマガの連載原稿または寄稿、告知などの著作権は著者・情報発信元に帰属します。その他の著作権および全ての編集著作権はtabinoteに帰属します。記事の引用・転載は出典を明記いただくとともに、諸関連法規の定めに従っていただきますようお願いいたします。

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1. 旅行業界最新ニュース  2017/4/25号 Vol.086


1. 旅行業界最新ニュース

ピーチ、ビットコインでの決済サービスを導入へ

ピーチ・アヴィエーションとビットポイントジャパンは、インターネット上の仮想通貨であるビットコインを利用した決済サービスを年内に導入すると発表。手数料は従来のクレジットカード決済などより割安になる見込み。ビットコインによる決済は日本の航空会社ではじめてとなる。

ユナイテッド航空、日本路線のB747が終了

ユナイテッド航空は、ジャンボジェットの愛称で親しまれたボーイングB747型機の日本路線への投入を6月で、米国含む全路線でも10月で終了、退役とすることを発表した。B747は世界的にも退役が進んでおり、日本では2014年を最後に旅客路線では全機が退役、最近もKLMオランダ航空、キャセイパシフィック航空などが日本路線への投入を終了しており、もはや見かけるのがレアな機体となっている。

デルタ航空、LAXで大規模なターミナル変更作業を終了

デルタ航空は、ロサンゼルス国際空港(LAX)での発着ターミナルを第5、第6ターミナルから第2、第3ターミナルに変更する作業を終了させた。「LAX ON THE MOVE」と名付けられたこの作業は、デルタ航空の他にもエアカナダ、ジェットブルーなど21の航空会社が移動する大規模なものとなった。
LAX ON THE MOVE

ピーチ、札幌発着3路線を9月からスタート

ピーチ・アヴィエーションは、9月24日より、札幌(新千歳)~仙台、福岡、台北(桃園)の3路線を開設すると発表した。ピーチがすでに発表した2018年度の新千歳空港の拠点化や、北海道路線の拡充に先立ち、ネットワークを強化するもの。これにより、新千歳空港発着路線は、大阪/関西線をあわせた4路線に拡大する。

ボーイングB737MAXが日本初飛来

ボーイングの小型旅客機B737シリーズの最新機種となるB737MAXがはじめて日本に飛来した。この機体はボーイングが初めて航空会社へ引き渡すことになったマレーシアのLCCマリンド・エアのもので、クアラルンプールへ向かう途中の寄港となった。
20170523

1. 旅行業界最新ニュース  2017/5/23号 Vol.087


1. 旅行業界最新ニュース

ピーチ、ビットコインでの決済サービスを導入へ

ピーチ・アヴィエーションとビットポイントジャパンは、インターネット上の仮想通貨であるビットコインを利用した決済サービスを年内に導入すると発表。手数料は従来のクレジットカード決済などより割安になる見込み。ビットコインによる決済は日本の航空会社ではじめてとなる。

ユナイテッド航空、日本路線のB747が終了

ユナイテッド航空は、ジャンボジェットの愛称で親しまれたボーイングB747型機の日本路線への投入を6月で、米国含む全路線でも10月で終了、退役とすることを発表した。B747は世界的にも退役が進んでおり、日本では2014年を最後に旅客路線では全機が退役、最近もKLMオランダ航空、キャセイパシフィック航空などが日本路線への投入を終了しており、もはや見かけるのがレアな機体となっている。

デルタ航空、LAXで大規模なターミナル変更作業を終了

デルタ航空は、ロサンゼルス国際空港(LAX)での発着ターミナルを第5、第6ターミナルから第2、第3ターミナルに変更する作業を終了させた。「LAX ON THE MOVE」と名付けられたこの作業は、デルタ航空の他にもエアカナダ、ジェットブルーなど21の航空会社が移動する大規模なものとなった。
LAX ON THE MOVE

ピーチ、札幌発着3路線を9月からスタート

ピーチ・アヴィエーションは、9月24日より、札幌(新千歳)~仙台、福岡、台北(桃園)の3路線を開設すると発表した。ピーチがすでに発表した2018年度の新千歳空港の拠点化や、北海道路線の拡充に先立ち、ネットワークを強化するもの。これにより、新千歳空港発着路線は、大阪/関西線をあわせた4路線に拡大する。

ボーイングB737MAXが日本初飛来

ボーイングの小型旅客機B737シリーズの最新機種となるB737MAXがはじめて日本に飛来した。この機体はボーイングが初めて航空会社へ引き渡すことになったマレーシアのLCCマリンド・エアのもので、クアラルンプールへ向かう途中の寄港となった。
20170523

tabinote執筆の市場ガイドが刊行!

このほど、tabinoteが執筆した「世界の美しい市場」(エクスナレッジ)が刊行された。なじみ深いアジアや欧米の市場から南米やアフリカのエキゾチックな市場まで、世界各地のフォトジェニックな市場を紹介している。ベッドサイドで気軽に眺める写真本を意図しているが、市場の地図や営業情報など旅の計画づくりに役立つ実用情報も充実している。

2. 連載:「タビノート」 下川裕治  2017/05/23号 Vol.087


2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

タイ・ライオンエアが出てこない日本の空

 最近のタイを中心にした旅を思い浮かべてみる。どのLCCに乗ったのだろうか。ウドンターニー、チャンラーイ、ウボンラーチャターニー、ヤンゴン……。すべてタイ・ライオンエアだった。
 LCCはやはり安さで選んでしまう。ウドンターニー空港へは、航空券を買わずに着いた。3つあるブースを全部まわった。タイ・エアアジア、ノックエア、タイ・ライオンエア。それぞれの料金を比べて、タイ・ライオンエアになった。バンコクへの片道が2500円ぐらいだった。これなどは露骨な料金比較である。いまのタイを中心にした中短距離路線を比較していくと、タイ・ライオンエア、タイ・エアアジア、ノックエアの順に高くなっていくことが多い。
 しかしLCCは運賃だけが選択要素ではない。就航時間がその次の要素になるだろうか。この時点で、かつてはタイ・ライオンエアが候補から落ちていくことが多かった。
 安いが運航する時間帯がよくなく、便数も少なかった。
「やっぱりタイ・エアアジアか」
 と思うことは多かった。
 しかし最近はタイ・ライオンエアが残ってくるのだ。着実に便数が増えているのだろう。
 ミャンマーを歩きながら、ある夜、タイのバンコクに向かう航空券を買おうと思った。午後まで用事があったので、夕方以降の便を探した。そこでもタイ・ライオンエアが顔をのぞかせていた。
 予約もスムーズに進んだ。
 1年ほど前のウボンラーチャターニーの夜を思い起こしていた。翌日、バンコクに戻るタイ・ライオンエアの便を予約しようと思ったのだが、支払いの画面で何回か止まってしまった。しばらく間を置き、再度、予約を入れて、やっと買うことができた記憶がある。しかし、ミャンマーではそんなこともなかった。
 着実にスムーズになっていた。そして便数も予想より早いペースで増えている。
 タイ・ライオンエアは、インドネシアの資本とタイ資本でつくられた航空会社だ。客室乗務員の服装もインドネシア風だ。
アジアの空のダイナミズムが伝わってくる。
 しかし日本のLCCに動きはない。日本航空の子会社のジェットスター、全日空の子会社のピーチとバニラ。この3社を追うLCCがなかなか登場してこない。競争の論理が生まれにくい。これから日本のLCCは高くなっていくのかもしれない。
 LCCを育てる根本的な土壌。アジアの自由さの反面、日本の硬直性が気になる。
 なぜ日本は、いつもこうなってしまうのだろうか。

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ライオンエアの機内。ごく普通のLCC。その雰囲気が伝わってくる

3a. tabinote旅行記 ミャンマー音楽紀行2017 その2


3a. ミャンマー音楽紀行2017 その2

昨年に引き続き2号にわたってミュージシャン村上巨樹さんのミャンマー旅行記を連載します。
(注:本事例は2017年2月時点の予約可能なプランおよび費用にもとづいています。)

Profile
村上巨樹

村上巨樹

岩手県在住。ギター奏者/作曲家/イベントオーガナイザー。自身のリーダーバンドte_riは今年活動10周年を迎える。日本の放浪芸とミャンマー音楽を研究中。

7日目(2月28日)


 朝7時に起床。外からかすかに音楽が聞こえるので飛び起きる。ホテルの外に出ると、遠くの方から歌謡曲が聞こえる。ホテルの人に聞くと「祭りだよ。もう始まってて9時か10時には終わるよ」。

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 慌てて朝食食べて、バイクタクシーに乗って音の聞こえる方へ。
 着いた村では生演奏ではなく音源だけが流れていた。聞くと祭りは明日だと言う。これは行ってみよう。
ホテルに戻ろうとすると、バイクタクシーの兄ちゃんが「俺の村で今日結婚式あるよ。見にくる?近いよ」と。是非是非!

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 着くとちょうど練り歩きをやってた。

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 なんだこの山車は!スピーカー紐でくくってる。

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 後ろには打楽器。

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 山車の1つ後ろには発電機。これで音響設備やマイクに電気を供給。

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 荷台に座ってる赤い帽子のおじさんがキーボードを弾く。歌手は曲ごとに入れ替わる。

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 おっちゃん!

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 花嫁さん。華やかな水牛と共に。

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 打楽器奏者も練り歩く。

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 結婚式会場。

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 音響機材に書かれてるミャンマー文字のデザインが秀逸。

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 風船売り。

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 別の山車。

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ラジオ?

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踊りもある。
 会場のおじさんに聞いたら「式は2時から」。かなり時間あるので、一旦バガンを散策することに。

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宿でeバイクをレンタル。1日8000チャット(約800円)。最大時速40キロでほぼスクーター。

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バガンの地図。

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このエリアは右上のニャウンウー、左上のオールドバガン、左下のニューバガンの3つに分けられる。俺のホテルはニューバガン。

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 ニューバガン〜オールドバガンはeバイクで15分ほど。

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 広大なエリアに、雨後のたけのこのように仏塔遺跡が点在する。eバイク使わないと無理。観光客向けの馬車があるけど、風情楽しみたい人向けかな。

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 まだ時間あるのでニャウンウーまで足を延ばす。静かな観光客向けのオールドバガンとは違い、賑わっている。

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 適当なレストランで食事。付け合わせがめっちゃ辛かった。
 昼食を食べ終え14時に村を再訪。すると楽器を片付け始めていた。え、どういうこと!?おっちゃんに聞くと「もう終わったよ」えー!マジで?うなだれたまま宿に戻る。

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 夜はニャウンウーにある観光客向けのレストランへ。目的は人形劇。
 食事はカレー、紅茶、コーヒーで計8500チャット(約850円)。

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 マンダレーと同じく、サインワインの劇伴あり。終演後、プレイヤーの方々少し話すことができた。伝統楽器の作り方や日本の楽器との共通項など。日本から来たと言うと、なんとスキヤキを演奏してくれた。

8日目(3月1日)

 朝7時起床。若干腹の調子が悪い。なんか悪いもの食べたかな。屋上で朝食を取っていると、どこからか音楽が聞こえる。昨日教えられた村祭りだろうか?宿の人に行くと「いえ、あれは近所の寺が寄付を募ってるんです」。音楽の使われ方も色々なんだな。受付でeバイクを手配してもらい、早速昨日の村に出発。

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村へはバイクで5分ほど。隠れている白い建物は寺。

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スピーカーを積んだ山車。まだ準備中。祭りは9時から。

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 昨日と同じく、後部に打楽器。

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 遊ぶちびっこ。
 寺の裏側からも音楽が聞こえて来た。

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 行ってみると会場が設営されていた。どうやら寺の表が行列のスタート地点で、裏のここがゴールらしい。

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 受付で寄付を納めると、朝食を振る舞ってくれた。

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祭りスタート。行列についていく。

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 行列は村内の路地を練り歩く。

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 近所の人たちも一目見ようと集まって来た。

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 山車はみんなで押す。
 やがてゴールの会場に到着。参加者やその家族が記念写真を撮っていた。山車から楽器が取り外されたので、祭りはこれで終わりのよう。eバイクに乗ってホテルに帰る。
 やばい、腹の調子がおかしい。胃もたれっぽいから油にやられたかな。正露丸飲んで1時間ほど仮眠する。当初はタクシーをチャーターして少し離れた村に行こうと思ったけど、大事をとって取りやめることに。正午にチェックアウト。

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 バガンで昼食。油ものはできるだけ食べたくないけど仕方ない。ハンバーガー3000チャット(約300円)、レモンティー2000チャット(約200円)。生野菜だけ食べたい。
 eバイクに乗ってニャウンウーを散策。すると遠くの方から音楽が聞こえてきた。なんだろう。気になって音の鳴る方へ。

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 音が鳴っていたのはここ。お寺…なのか?しかし大音量。

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 サインワインが生演奏やってる!一気にテンション上がる。どうやら今夜村祭りで、今はリハーサル中。

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 若いプレイヤー。ドラムセットも演奏するそう。

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 鈴とカスタネットでテンポを司る役目。楽団のリーダー。

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 ミャンマーの伝統楽器、フネー。日本でいうところのチャルメラ。

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 円環状に並ぶ金属打楽器、チーワイン。
 写真を撮ってると、会場にいたおばあちゃんに声かけられた。「あんたどこから来たんだ」「日本から。ミャンマーの音楽が好きで調べてるんです」「ヨクキタ!」えっ、おばあちゃん日本語しゃべれるの!?

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 日本語喋るおばあちゃん・モモさんとお孫さん。お孫さんが化粧してるのは、今夜の祭りに出るから。モモさんとても親切で、カタコトの日本語でサインワインを解説してくれた。18時に本番だそうで、一旦離れる。

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 ニャウンウーの端にある川。これはマンダレーと繋がっているそうで、船旅が盛んなよう。

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 ビーチバレーのコート発見。
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 気付くと日没間際。絶景。

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 18時、祭りの会場を再訪。が、まだ準備中。

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 照明の準備中。
 モモさんに聞いたら「19時からぼちぼち始まるよ」とのこと。今夜バスに乗らなきゃ行けないのでその時間だと見れないな。残念だけど本番見ずに宿へ戻る。
 eバイクを返却し、フロントに預けていた荷物を受け取る。そうこうしてるうちにピックアップのバスが来た。今夜は深夜バスに乗りヤンゴンへ移動。

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 今回利用したのは高級バス会社JJエクスプレス。バガン〜ヤンゴン間が19ドル(約2100円)。予約はJJエクスプレスのフェイスブックページで可能。

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 ミネラルウォーターと軽食のサービスあり。

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 車内は3列シート。冷房地獄なので上着必須。

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 途中寄ったサービスエリアのような場所。相変わらず腹痛なので何も食べず。

9日目(3月2日)


 朝6時ヤンゴン中央駅到着。適当なタクシーを捕まえて宿へ。チェックインは14時からだったけど体力が限界だったのでどうにかアーリーチェックイン可能か聞いてみた。結果NG。でも「屋上にデッキがあるので、そこなら休んでていいですよ」。ありがたい。

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 宿に別料金支払い、朝食を食べる。最高の眺めなんだけど、スイカとオレンジジュースしか喉を通らない。あとこの景色を見ると、いかにヤンゴンが都会かがわかる。

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 フロントで見つけたヒップホップイベントのチラシ。船上イベント。受付の兄ちゃんに聞いたら「ヤンゴンのクラブシーンは、クラブでやるか船でやるかの2択」だそう。面白いな。

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 「地球の歩き方」に乗っていたマッサージ店・ゲンキーに行ってみる。睡眠不足と旅疲れを回復。90分13000チャット(約1300円)。日本人が関係しているそう。ロビーに日本経済新聞あった。

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 大型書店へ。あれ?閉まってる。

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 ボージョーアウンサンマーケットも閉まってる。聞いたら今日は祝日だそう。失敗した。ミャンマー最終日だから買い物しようと思ったのに。

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 昼食は寿司。その名も「オイシイスシ」。

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 見えにくいけど、寿司職人のゆるキャラが「はい、おいしいよ!」と言ってる。

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 久々の日本食。味噌汁が体にしみる。酢飯ではないのでおにぎりっぽさはある。

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 午後イチでカセットを再訪。頼んでいたCDやカセットを購入。おばあちゃんに「明日日本に帰ります。また来年来ます」と言ったら「じゃあせっかくだから、今夜夕食一緒にどう?ご馳走するよ」。せっかくのご好意なのでいただくことにする。
 一旦宿に戻ってチェックイン。

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ダウンタウンの中心にあるスーレーパヤーへ。

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せっかくなのでお参り。

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18時、カセット屋のご家族と寿司屋へ。

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寿司以外のメニューもある。

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記念写真。ごちそうさまでした!
20時過ぎに宿に戻り、帰国に備え荷物を整理。さっさと寝る。

10日目(3月3日)

 5時半起床。昨日頼んであったタクシーに乗り、6時に宿を発つ。空港まで8000チャット(約800円)。

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 復路はエアアジア。チェックイン、出国審査、手荷物検査をさっさと済ませる。ここでジャケットを受託手荷物に入れたのが大失敗。

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 両替所で余ったチャットをドルに替える。早朝7時だけど空いてる窓口あり。

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 ゲートに向かうエスカレーター。ヤンゴン国際空港、本当に綺麗になったな。
 8時半、定刻離陸。

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 12時45分、クアラルンプール国際空港に到着。ここでトランジット。
 先日事件があっただけに空港内はものものしい。手荷物検査、X線検査を計4回受けた。相変わらず腹痛がひどいので、昼食はマクドナルドのアイスクリームのみ。

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 14時40分、離陸。ここでエアアジアの冷房地獄にやられる。ジャケットを預けてしまったので、腹痛のまま冷房に耐える。機内食でどうにか暖をとり、ひたすら到着を待つ。
 22時半、羽田空港到着。さっさと入国審査と税関を抜け、無事帰国。
 今回はなかなか長丁場だったけど、そのおかげで地方都市にも行けたしじっくり聞き込み調査も行えた。新たに知り合えた人もいるし、また来年行きたい。とりあえず、買ってきた音源が未開封なのでそこから始めよう。

3b. バルカン半島訪問記2 -コソボ-


3b. バルカン半島訪問記2 -コソボ-

Profile
darklogosmall

評論同人誌サークル「暗黒通信団」の雑文書き。
貧乏ノマド独身。英語は苦手。好きな地域は中東の砂漠。元コミケスタッフ。コテコテの理系。自称高等遊民。
詳しくは http://ankokudan.org/d/d.htm?member-j.html

 
シさんによるバルカン半島旅行記の第2弾です。第1弾はこちらをご覧下さい。なお、この旅では撮影済みのデータを破損してしまったとのことで、編集部によりイメージ写真を適宜加えております。


コソボという国の認知は微妙である。聞いたことないか、または空爆や戦争しか思いつかない。その昔セルビアから独立宣言をして、今や多くの国が独立を認めているのだが、当のセルビアが独立を認めていないので、外国からコソボに入るとコソボからセルビアへ抜けられない。セルビア側としては「セルビアの入国印が押してないじゃないか、不正入国者だ」という扱いになるからだ。なおセルビアからコソボに入るぶんには問題ない。ただ今回は経路設計の都合、ベオグラードからいったんマケドニアへ抜けてから(セルビア的に言えば)再入国することにした。ビザいらないからってやりたい放題。11時発13時着予定の国際マイクロバスでスコピエ(マケドニア首都)からプリスティナ(コソボ首都)へ向かう。お値段320ディナール(700円)で国境検問は陸路のくせに簡単にスルーだった。

※戦時下のコソボ
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(Author : marietta amarcord from italy, 紛争により破壊された建物. 廃墟と化したコソボ。1999年.)

プリスティナは意外にも綺麗な街だ。空爆ぽさはない。バス停も新しく、人の数の割にガランとしている。「世界遺産の教会に行きたいんですけど」と窓口で聞いたら、窓口嬢が、さも「観光物件なんてそれくらいしかないもんね」と言いたげに「4番レーンだよ。ハウリアップ(急げ)!」と言われた。でも急いでいったら運ちゃんが「満員だ、ここで次のバス待て」といって乗せてくれない。そしてバスは悠々と行ってしまった。ただ待っているのもしゃくだから、昼飯として2ユーロ(コソボの通貨はユーロである。ATMからユーロが出てくるのは感動だ)でやたら大きな肉+パンの昼飯を食った。なんか見た目1kgほどもあり、これ一個で1日OKみたいな大きさである。確実にぱんちょの大盛りスパゲッティより多い。ちなみに次のバスは僕が食べ終わるのを待っていてくれて、肉塊をなんとか口に押し込んだら即発車した。市内バスは頻発しているものらしい。

※プリシュティナ市街
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(Author: Arbenllapashtica, Prishtina perspektivë nga Radio Kosova 5)

とりあえず世界遺産の教会へ行くのである。観光物件はそれくらいしかないから。だいたいこの辺だよね、と直観でバスを降り、5分ほど歩くと確かにその教会は見つかった。が、なんというかしょぼかった。単なる教会ですね、という感じで、入場料もないし、修復中だし、観光客も誰もいないし、なんでこれで世界遺産なのかは分からない。教会なので内部の写真撮影は不可。まぁ、世界遺産といってもピンキリだから、どこか旅行にいくときに、すべての世界遺産がペトラとかピラミッドとかエルサレムみたいだと思ってたら不幸になるだけだ。

※世界遺産(ついでに危機遺産)のデチャニ修道院。コソボは世界遺産条約を締約しておらず、セルビアの世界遺産に分類されている。
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(The Decani Monastery; UNESCO)

仕方ないから外側の写真だけ撮って帰るかと思ったところ、帰りのバスが見つからない。降りたところまでえっちらおっちら戻っても、そこはバス停ではないらしく、タクシー屋がニヤニヤしながら「バス停は1キロ先だよ、ミスター」とか言ってくる。少しはタクシーに乗ろうかと思っていたのに、そうまで言われたら是が非でもバスで帰るしかないので、人に聞きまくって無理やりバス停の位置を絞り出し、本当に1キロ歩き倒した。現地のマダム2人がバスを待っていたところ、ほどなく見るからに路線バスな車両が到来。しかし乗ると10分もたたずに途中で降ろされ「終点だ。このチケットを見せれば次のバスに乗れるから」といって去っていってしまった。現地人も心外らしく、あれやこれや抗議をするが聞き入れてもらえない。「おたく観光客?ひどいねぇ」と(かなり)怪しげな英語で云われ、そうだそうだと同調する。友情というのはともに困難を克服することで生まれるんだって、少年ジャンプで習っただろ。

※コソボのバス
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(Author : Andy Mabbett, A bus in Pristina, Kosovo.)

仕方ないから、その次のバスに乗ると、郊外の謎の山の頂上に連れて行かれ、現地人2人組とまたも抗議をすると、結局市内までそのまま乗せてくれることになった。抗議内容は現地語なので意味はわからない。そもそもここ、ほとんど英語が通じない。周辺諸国に比べてキリル文字がなくて読みやすいのだけど、英語はベオグラードのほうがよほど通じた。なんかロシア語とも違う感じの謎の言語で困惑したから、あとで宿の人に聞いたらアルバニア語の一種らしい。でもイエス・ノーはダーとニェなので、そこはロシア語ぽい。大丈夫、言葉が通じないくらい、冒険者にとって何の問題でもない。ドラクエの勇者だって通訳なしで全世界を旅してるじゃないか。

結局バスはバスターミナルではなく、予約していた宿から50mのところまで、0.5ユーロで連れて行ってくれた。結果オーライで良しとする。本来はバスターミナルから市の中心まではタクシー2ユーロがかかるのだ。

宿はビルの4F。エレベータもないので、でかい荷物を荷物満載の働きアリみたいに運ぶ。宿のスタッフは、僕を日本人だと認識すると、途端に目を輝かせ「この曲を知っているか」とBluetoothでアニソンを流し始めた。「ルパン三世ですね。日本人なら誰でも知ってます(キリッ)」という。話せばかなりの日本アニメ好きで、ワンピースやナルト的なものから手塚治虫まで幅広く押さえているギークなのであった。「Parasyte…なんだっけ」といわれたので「イブ?」と聞けば、「No, right hand!」とかいうので、「寄生獣?」「That’s!」となる。そんな会話が延々1時間続いた。寄生獣の英語版タイトルなんて知りませんがな。そもそも、コソボは(英語がろくに通じないくせに)ネットは速くて、日本にあるWindowsのリモートデスクトップがサクサク動いたりする。国内向けのwifiより速いのではないか。

15時くらいには宿についたので、郵便局からいくらかの知人宛てに手紙を出して、街をだらだらした。コソボなんて凄くヤバそうな感じのところから手紙を出したらインパクトあるじゃん。でも実際には極めて平和な街である。不謹慎にも爆撃の跡などを期待するのだが、ベオグラードと違って、そういうものは見当たらず、活気もあるし、なんだか新しい植民惑星の街みたいだった。通貨がユーロでネットが速くきれいな街。文句ない。

あけて翌日は雨だった。
AccuWeatherの天気予報では曇りとかいっていたが、実際は土砂降りスコールだ。使えない天気予報だな。朝食は8時からだと昨晩スタッフは言っていたが、朝8時にキッチンにいても明かりすらついておらず、誰もいなく、何もなかった。眠そうなスタッフに「朝ごはんって此処?」と聞くと、「今からマーケットに行って何か買ってくるから5分待って」といって買い出しにでかけていった。ドン引きだよ。30分くらいしてまたキッチンに行ったら、テーブルの上にパンが置いてあって外人たちがバターを塗って食べていた、パン、牛乳、ストロベリーティーだけの簡素な朝飯をご一緒させてもらう。会話なし。

プリスティナの街をよく見てから旅立とうと思ったが、雨がひどくて無理である。特に凄い必見物件があるわけではないし、見るだけなら昨日見たからいいやと、いきなりタクシーを呼んでもらってバス停へ。ちょうどプリズレン行きのバスが発車するところだったので飛び乗った。途中で晴れてくる。道が悪いのか事実上の一車線のためか、バスはゆっくりだ。

コソボには首都プリスティナの他にいくつか世界遺産を擁する街があって、その一つがプリズレンである。ティラナ(アルバニア首都)行きの経路上にあるので観光経路として無駄がない。ネット掲載の旅行記ではティラナ行きのバスは朝7時台しかないことになっているが、宿のオタクによるとプリスティナ発ティラナ行きのバスはそれ以外にもたくさんあるらしい。14時、14時半、15時発あたりが良いとのこと。

そしてそのプリズレン。長距離バス停は街のすぐ外れにあり、中心までは歩いていける距離である。ちなみにそのバス停のトイレはアラブ式であり、プリズレンにはたくさんのモスクがある。オスマントルコの時代のものだそうだ。ティラナ行き国際バスの時刻を聞くと15時発と17時半発を示された。それしかないらしい。しかし15時の便は高速道路上のバス停に停まるのでそこまではタクシーで行けとか、いやバス会社が15時にバス停から高速道路まで運んでくれるので、そこのカフェテリア前で待てとか説明が二転三転する。もともと言語に不自由するところだし、15時に高速道路なのに15時にカフェテリアで待ってたら論理的に間に合うわけがないので、最初に確かめるべく、そのカフェテリア前に行くと、「ティラナ!ティラナ!」とタクシー屋が吠えていた。これはあかん。諸外国のタクシー屋って、どこでも凄くクズ感を出している。

まぁ何とかなるだろうと冒険者然としたおおらかさでとりあえず観光に出る。なんせティラナ行きのバスまで3時間以上あるのだ。プリズレンは小さな町なので観光は全て徒歩でなんとかなる。しかし、どれもしょぼい。城壁は遠目に素晴らしいが、荷物が重いので登れない。というか、見るからに登る気を削ぐ高さである。その山の中腹に教会が立っていたりして、アフガニスタンあたりの山岳民族かよといいたくなる。

※プリズベン城壁からの夜景
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(Author : Arben Llapashtica, Kalaja e Prizrenit)

とりあえず話を聞くべくして入ったツーリストインフォメーションでは逆にやたら気合の入ったアンケートを食らった。観光物件が延々と列挙され、見たかどうかに始まり、今後観光客を増やすにはどうしたらいいかまで、まるでミステリーショッパーですかというくらいに詳細なコメント欄が並んでいる。ついていけないので全部にExcellentをつけていく自分はアンケートの誤差要因かもしれない。

世界遺産の生神女教会はしまっていたが、あとできくと9時から14時だけ空いているらしい。「地球の歩き方」にはジョージ教会で鍵を預かってるとか書いてあるが、そのジョージ教会に行ったら「知らん」と門前払いされた。歩き方の偽情報にいちいち腹を立ててはいけないよ、そういう本なんだから達観したまえ。文句があるなら素直にロンプラを読むことだ。なおツーリストインフォメーション様によれば、しまってる場合は向かいの警官詰め所に頼んで鍵開け人を召喚するのが正しいらしい。結局よくわからないが、たまたま鍵があいていたので猫のように滑り込んだら、一応中を見ることはできた。たしかに古くてカッコいい教会なのだけど、内装はボロボロで保存状態は良くない。これを見て感動しろというのは少し無理かも。14時に定時で教会を追い出され、そのままバス停に向かう。果たして15時過ぎにバス会社の乗用車が高速道路の脇にある雑貨屋のようなところまで運んでくれた。バスはその雑貨屋にだいたい20分遅れで来た。大陸時間バンザイ。

※世界遺産の正神女教会
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(Author: Graciela Gonzalez Brigas, The church of the Holy Virgin of Ljevisa)

コソボは出国手続きが存在しなく、アルバニアの入国手続だけが存在した。しかもスタンプすら押してくれない(入国も出国も!)。さすがは国民全部がねずみ講に引っかかった国というか。なおアルバニア語のトイレはVC GRA(女性用)とVC BURRA(男性用)と表記されている。間違えると怖いアルバニア人のオバサンに怒られる。しっかり覚えよう。

4. 旅の本屋 のまど:イベント情報


4. 旅の本屋 のまど イベント情報:
 5月25日 上原善広さん スライド&トークイベント
 6月16日 武藤北斗さん スライド&トークイベント

Profile
プロフィール

旅の本屋 のまど

東京・西荻窪にある旅の本屋です。音楽、映画、思想、料理、宗教など、さまざまなジャンルから「旅」を感じさせてくれる本をセレクトしています。「旅」に関するイベントも定期的に開催中!
所在地:〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-12-10司ビル1F
営業時間:12:00 ~ 22:00 定休日:水曜日
HP:http://www.nomad-books.co.jp/


新刊「カナダ 歴史街道をゆく」発売記念
◆ノンフィクション作家 上原善広さん  スライド&トークイベント◆
「知られざるカナダの魅力を巡る旅」

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新刊『カナダ 歴史街道をゆく』(文藝春秋)の発売を記念して、著者でノンフィクション作家の上原善広さんをゲストにお迎えして、知られざるカナダの魅力とその歴史についてスライドを眺めながらたっぷりと語っていただきます。「日本の路地を旅する」、「被差別の食卓」などこれまでに国内・海外の路地や被差別部落に関する著作が多数ある上原さんが今回注目したのは、カナダ。2017年、建国150周年を迎えるカナダは、建国以来、世界中からの移民を受け入れ、多民族主義を宣言し、異なるルーツの人びとが幸福に共存する道を選んできました。本書では、その広大な国土を、上原さんが、一年目はプリンス・エドワード島からウィニペグまで、二年目は東端の地ニューファンドランドを起点に、鉄道でトロントからバンクーバー、さらに北上して北極圏のタクトヤクタックまで踏破した記録が綴られています。カナダ全土に張り巡らされた「トランス・カナダ・トレイル」(TCT)という古い街道や廃線になった線路跡などのトレイルを自転車でめぐったり、先住民と共にユーコンで狩りをしたりするなど、長年、世界を駆け巡って現地を取材してきた上原さんならではの、カナダの歴史を通して体感したカナダの「今」のお話が聞けるはずです。普段あまりトークイベントをしない上原さんの話を生で聞けるチャンスですよ。上原さんのファンの方はもちろん、カナダの歴史や文化に興味のある方やカナダ旅行の予定がある方はぜひご参加ください!
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※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。


上原善広(うえはらよしひろ)

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1973(昭和48)年、大阪府生まれ。東京都在住。大阪体育大学卒業後、ノンフィクション作家となる。2010年、『日本の路地を旅する』(文春文庫)で第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年第18回雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。2017年『一投に賭けるー溝口和洋 最後の無頼派アスリート』(角川書店)で第27回ミズノ・スポーツライター賞優秀賞受賞。著作は『被差別の食卓』(新潮新書)、『被差別のグルメ』(新潮新書)、『異邦人』(文春文庫)、『発掘狂騒史ー岩宿から神の手まで』(新潮文庫)など多数。

◆上原善広ブログ「全身ノンフィクション作家」
http://u-yosihiro.at.webry.info/


【開催日時】  5月25日(木)   19:30 ~ (開場19:00)
【参加費】   1000円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】  旅の本屋のまど店内  
【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、
 お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627
 e-mail :info@nomad-books.co.jp
 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
※定員になり次第締め切らせていただきます。
【お問い合わせ先】
 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
 http://www.nomad-books.co.jp
 主催:旅の本屋のまど
 協力:文藝春秋


新刊「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」発売記念
◆武藤北斗さん  スライド&トークイベント◆
「小さなエビ工場の世界を変える働き方」

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好きな時間に出勤・退勤できて、事前に連絡も必要なし、嫌いな作業もしなくていい!?
これまでの「仕事」や「働き方」の常識をひっくり返すような新しい取り組み「フリースケジュール制」を導入し、大きな注目を集めているパプアニューギニア海産。同社の新しい働き方とその背景にある考え方をまとめた書籍『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』(イースト・プレス刊)発売を記念して、本書の著者で、パプアニューギニア海産の経営者・工場長である武藤北斗さんのトーク・イベントを開催します。
パプアニューギニア産のおいしくて安全な天然エビを、現地の人々の生活を守りながら30年以上も輸入してきた同社は、いわばフェアトレードの先駆けと言える会社です。しかし、2011年3月の東日本大震災による大津波で宮城県石巻市の工場は流され、その後起こった原発事故も大きなきっかけとなり大阪への移転を余儀なくされました。それまで持っていた多くのものをなくして、家族とともに大阪に移り、いちから会社を建て直す中で、武藤さんは自らの生き方と、社会のありかたを見つめ直しました。それまで「あたりまえ」の働き方と言われてきたことは、本当に「あたりまえ」だったのだろうか? 小さなエビ工場から始まった、小さな「働きかた改革」は、試行錯誤を繰り返しながら実にユニークな変化を見せていきます……。

今回のトークショーでは、武藤さんが本の中では語りつくせなかった細かな心の変化、現在進行形の様々な改革などを、参加者の方との質疑応答を交えながらお話しいただきます。また今回は、パプアニューギニアの天然エビと途上国との密接な関係や、資本主義経済の中でないがしろにされていく食の安全性についてのこだわりなど、「働き方」だけにとどまらないテーマにも触れていただきます。ひとりひとりが変わることで、社会は変わる。この小さなエビ工場から始まった「働き方改革」には、世界を変えるための大きなヒントが隠されています。多くのみなさまのご来場をお待ちしています!なお、当日は、パプアニューギニア海産の天然エビフライの試食会も行います。(数量に限りがあるため、なくなり次第終了)

※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。


武藤北斗(むとうほくと)

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1975年福岡県生まれ。パプアニューギニア海産工場長。3児の父。小さな頃から引越しを繰り返し小学校は3校に通う。小学校4年から高校卒業までは東京暮らし。芝浦工業大学金属工学科を卒業後、築地市場の荷受けに就職しセリ人を目指す。夜中2時に出勤し12時間働く生活を2年半過ごす。その後㈱パプアニューギニア海産に就職し、天然えびの世界にとびこむ。2011年の東日本大震災で石巻にあった会社が津波により流され、福島第一原発事故の影響もあり1週間の自宅避難生活を経て大阪への移住を決意。震災による二重債務を抱えての再出発。現在は大阪府茨木市の中央卸売市場内で会社の再建中。東日本大震災で「生きる」「死ぬ」「働く」「育てる」などを真剣に見つめ考えるようになり、「好きな日に働ける」「嫌いな作業はやる必要はない」など、固定概念に囚われず人が持ち得る可能性を引き出すことに挑戦している。

◆武藤北斗さんツイッター
https://twitter.com/hokut0


【開催日時】  6月16日(金)   19:30 ~ (開場19:00)  
【参加費】   1000円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】  旅の本屋のまど店内
【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、
 お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627
 e-mail :info@nomad-books.co.jp
 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
 ※定員になり次第締め切らせていただきます。
【お問い合わせ先】
 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
 http://www.nomad-books.co.jp
 主催:旅の本屋のまど 
 協力:イーストプレス

編集後記 2017/05/23号 Vol.087


5. 編集後記

tabinoteワタベです。
長らくジワジワ告知してきましたtabinote執筆・エクスナレッジ刊の「世界の美しい市場」、いよいよ発売となりました!
欧米のスタイリッシュな市場、匂い立ちそうなアジアの熱気あふれる市場、南米の色彩豊かな市場などなど、一度は訪れてみたい世界の市場を美麗な写真と共にご紹介しています。もちろんtabinoteだけにガイド情報もバッチリ。妄想旅行に、旅先選びの参考に、ぜひご活用下さい。

さて、今号のニュースはピーチづいてますね。ビットコインの手数料も気になります。札幌線が拡充してきて、関空-札幌-アジアというルートも現実的になってきました。

現在ミャンマー全鉄道制覇という孤独なチャレンジを続けてらっしゃる下川さんのエッセイはタイ・ライオンエアについて。次々新しいエアラインが登場してくる海外の状況が羨ましくもありますね。日系LCCよりも春秋、スクート、香港エクスプレスあたりの方が勢いを感じます。

旅行記は前回に引き続き村上巨樹さんによるミャンマー音楽旅行。結婚式から現地人の招待による食事まで、取材・調査目的とはいえこの行動力は圧巻です。こういう、自分の興味関心を深掘りするような旅行は面白いですよね。
続いては半常連となりつつあるシさんのバルカン半島旅行記。あまり訪れた人もいないであろうコソボの様子を伝えて下さいました。確かにプリシュティナは西側の援助資金がバンバン入ってとても立派な街になっているようです。建築マニアには国立図書館も有名。興味のある方は検索してみて下さい。

旅の本屋 のまどでは、5/25にノンフィクション作家・上原善広さんによるカナダの魅力をめぐトークイベント、6/16にパプアニューギニア海産の武藤北斗さんによるトークイベントが開催されます。今後の生き方・働き方のヒントとなるかも!


tabinoteサイトでは過去の有料メルマガ連載をアップしており、無料でご覧いただけます
連載:下川裕治さん
連載:柳下毅一郎さん
連載:水谷さるころさん

次回第88号は2017年6月20日(火)の発行予定です。


発行:有限責任事業組合tabinote
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