3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

Profile
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青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

Facebook

3b. 世界一周ノート 第31回:エジプト-その2

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ピラミッドまではホテルからローカルミニバンを乗り継いで向かった。言葉は全く通じなかったけれど、手で三角形を作るとすぐに話は通じた。ホテルや客引きに言われたツアーの価格からすればかなり安上がりにピラミッドまで辿り着けた僕は、地図も情報もない中で少し達成感で浮かれてしまっていた。
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本当にピラミッドの前にあったKFCのルーフトップに腰を下ろすと、目の前に広がる光景は嘘のようで、それでも砂漠は強い太陽光を浴びてゆらゆらと蜃気楼を生んでいた。
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チキンを食べ終えて、僕は入場ゲートへと向かった。
バンコクで手に入れた学生証を見せて入場料を支払うと、すぐにガイド客引きが寄って来た。僕は敷地内を自分で歩いて周るつもりだったのだけれど、「馬に乗せてやる」という言葉が妙に引っかかり、気付けば馬に乗って砂漠を走ることになっていた。料金は700円。交通費を節約できたことが僕を乗馬へと駆り立てた。
人気のない砂漠(既にこのあたりで何かおかしい)を馬に乗って駆けると、気持ちが良かった。通常とは逆のアングルでピラミッドを見ることもでき、ガイドのおじさんも親切だった。
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ある程度写真を撮り終えるとおじさんが豹変した。「俺は親切だ。楽しんだだろ?特別な時間だっただろ?」と質問を浴びせてきた。曖昧に返事を続ける僕に、ついにおじさんは「チップ」をよこせと言った。砂漠のど真ん中だった。
僕は灼熱の砂漠のど真ん中でおじさんを拒んでいた。「700円と言ったはずだ!」と。するとおじさんは「馬は1匹700円だ。俺のと合わせて1400円だ」と言った。そしておじさんは「払わなければこの場で降ろす」とも言った。どこだかわからないピラミッドの裏手の砂漠で一人になってしまう恐怖たるやなかったけれど、僕は売り言葉に買い言葉で「ここで降ろしてくれ!」と言った。おじさんは呆れ果て、馬を急いで走らせて、僕をピラミッドの麓の日陰に連れて行った。そして長い押し問答が始まった・・・
どれくらい経ったろうか。ピラミッドの麓で僕らは不毛なやり取りをしていた。思えば自分がケチっているのは700円で、そのために随分と長い時間変なストレスを受けている。そう考えるとどうでもよくなって、僕は根負けし、おじさんに1500円を払った。僕からすれば寛大にチップを付けたつもりでいたけれど、おじさんは「これじゃあ足りない」と言った・・・エジプト人!
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おじさんに別れを告げて、僕は1人ピラミッドの周りを歩き出した。皆、観光客は楽しそうに写真を撮ったりしていた。僕はと言えば、2000円にも満たない金額のことで凹んでいた。この旅を始めてからこんなみじめな気持ちの連続のような気がした。だからせめて陽気に振る舞おうと、スフィンクスの前ではしっかりとポーズをとった。
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エジプトを出国し、いよいよ僕はアフリカ大陸南部へと向かった。ビザの関係、流行中のエボラ出血熱、何より時間がなかったため、いっきに南アフリカへと僕は飛んだ。
世界最大のパワースポット、ピラミッドを詣でた割に僕の運気はだだ下がりで、トランジットのエチオピアでは運搬中にバックパックから小銭入れを盗まれた。荒んだ気持ちのまま、僕は遂に世界一の犯罪都市、ヨハネスブルグへと辿り着いた。
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次回、ケープタウン喜望峰、最南端へ。を記します。


世界一周ノート
上海→杭州→南寧→ハノイ→ホーチミン→シェムリアプ→チェンマイ→ルアンパバーン→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島→マニラ→シンガポール→ジョホールバル→シドニー→チェンナイ→ムンバイ→アグラ→デリー→バラナシ→ブッダガヤ→コルカタ→ダージリン→ポカラ→ルンビニ→ガヤ→カトマンズ→ポカラ→イスタンブール→カッパドキア→パムッカレ→ボドラム→ギアテネ→メテオラ→ソフィア→ブタペスト→ザコパネ→クラクフ→サラエヴォ→ザグレブ→ヴェネチア→ローマ→ミラノ→バルセロナ→タンジェ→フェズ→マラケシュ→カサブランカ→カイロ→ギザ→アジスアベベ→ヨハネスブルグ・・・以降、アメリカ、南米と巡りました

3b. 世界一周ノート 第31回:エジプト-その2


3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

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青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

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3b. 世界一周ノート 第31回:エジプト-その2

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ピラミッドまではホテルからローカルミニバンを乗り継いで向かった。言葉は全く通じなかったけれど、手で三角形を作るとすぐに話は通じた。ホテルや客引きに言われたツアーの価格からすればかなり安上がりにピラミッドまで辿り着けた僕は、地図も情報もない中で少し達成感で浮かれてしまっていた。
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本当にピラミッドの前にあったKFCのルーフトップに腰を下ろすと、目の前に広がる光景は嘘のようで、それでも砂漠は強い太陽光を浴びてゆらゆらと蜃気楼を生んでいた。
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チキンを食べ終えて、僕は入場ゲートへと向かった。
バンコクで手に入れた学生証を見せて入場料を支払うと、すぐにガイド客引きが寄って来た。僕は敷地内を自分で歩いて周るつもりだったのだけれど、「馬に乗せてやる」という言葉が妙に引っかかり、気付けば馬に乗って砂漠を走ることになっていた。料金は700円。交通費を節約できたことが僕を乗馬へと駆り立てた。
人気のない砂漠(既にこのあたりで何かおかしい)を馬に乗って駆けると、気持ちが良かった。通常とは逆のアングルでピラミッドを見ることもでき、ガイドのおじさんも親切だった。
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僕は灼熱の砂漠のど真ん中でおじさんを拒んでいた。「700円と言ったはずだ!」と。するとおじさんは「馬は1匹700円だ。俺のと合わせて1400円だ」と言った。そしておじさんは「払わなければこの場で降ろす」とも言った。どこだかわからないピラミッドの裏手の砂漠で一人になってしまう恐怖たるやなかったけれど、僕は売り言葉に買い言葉で「ここで降ろしてくれ!」と言った。おじさんは呆れ果て、馬を急いで走らせて、僕をピラミッドの麓の日陰に連れて行った。そして長い押し問答が始まった・・・
どれくらい経ったろうか。ピラミッドの麓で僕らは不毛なやり取りをしていた。思えば自分がケチっているのは700円で、そのために随分と長い時間変なストレスを受けている。そう考えるとどうでもよくなって、僕は根負けし、おじさんに1500円を払った。僕からすれば寛大にチップを付けたつもりでいたけれど、おじさんは「これじゃあ足りない」と言った・・・エジプト人!
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おじさんに別れを告げて、僕は1人ピラミッドの周りを歩き出した。皆、観光客は楽しそうに写真を撮ったりしていた。僕はと言えば、2000円にも満たない金額のことで凹んでいた。この旅を始めてからこんなみじめな気持ちの連続のような気がした。だからせめて陽気に振る舞おうと、スフィンクスの前ではしっかりとポーズをとった。
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エジプトを出国し、いよいよ僕はアフリカ大陸南部へと向かった。ビザの関係、流行中のエボラ出血熱、何より時間がなかったため、いっきに南アフリカへと僕は飛んだ。
世界最大のパワースポット、ピラミッドを詣でた割に僕の運気はだだ下がりで、トランジットのエチオピアでは運搬中にバックパックから小銭入れを盗まれた。荒んだ気持ちのまま、僕は遂に世界一の犯罪都市、ヨハネスブルグへと辿り着いた。
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次回、ケープタウン喜望峰、最南端へ。を記します。


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上海→杭州→南寧→ハノイ→ホーチミン→シェムリアプ→チェンマイ→ルアンパバーン→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島→マニラ→シンガポール→ジョホールバル→シドニー→チェンナイ→ムンバイ→アグラ→デリー→バラナシ→ブッダガヤ→コルカタ→ダージリン→ポカラ→ルンビニ→ガヤ→カトマンズ→ポカラ→イスタンブール→カッパドキア→パムッカレ→ボドラム→ギアテネ→メテオラ→ソフィア→ブタペスト→ザコパネ→クラクフ→サラエヴォ→ザグレブ→ヴェネチア→ローマ→ミラノ→バルセロナ→タンジェ→フェズ→マラケシュ→カサブランカ→カイロ→ギザ→アジスアベベ→ヨハネスブルグ・・・以降、アメリカ、南米と巡りました