2b.「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和
吉田友和(よしだともかず)
1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行にして夫婦で世界一周旅行を敢行。旅の過程を一冊にまとめた『世界一周デート』で、2005年に旅行作家としてデビュー。「週末海外」というライフスタイルを提唱。国内外を旅しながら、執筆活動を続けている。その他、『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』(講談社)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『LCCで行く! アジア新自由旅行』(幻冬舎)、『めざせプチ秘境!』(角川書店)、『3日もあれば海外旅行』(光文社)など著書多数。
旅行作家★吉田友和 Official Web
しりとりで旅する 第44回 吉田友和
ね 猫
病院通いがここのところ続いている。患者は自分ではない。うちで飼っている猫である。病院が嫌いなのは人間も猫も変わらないようだ。連れて行くのにケージへ入れようとすると、懸命に抵抗を試みる。そのときの必死さは鬼気迫るものがある。もうすぐ14歳。人間でいえば70歳ぐらいに該当するそうだが、力強い抵抗ぶりからは、高齢による衰えのようなものは感じられない。
旅に出ると、各地でさまざまな登場人物が現れる。いい人もいれば、悪い輩もいる。旅という物語を彩るキャラクターのような存在なのだが、考えたら人間だけでなく、猫も多い気がする。猫とはいえ、中には忘れられないほどの、印象的な出会いもあるほどだ。自分が猫好きであるがゆえに、無意識のうちに探し歩いているのだろうか。