2a. 連載:「タビノート」 下川裕治
月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。
下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。
これもLCC効果?
1冊の本が今週、発売になる。『僕はこんな旅しかできない』(キョーハンブックス)である。僕のプライベートな話を中心にまとめているのだが、そのなかに、「食い詰めた日本人も帰国できるLCC効果」という項がある。
フィリピンで聞いた話だ。
フィリピンは優しい社会だから、金がなくなってしまった日本人を、なんとなく支えてくれるようなところがある。その男もそうだった。町の人が、わずかな金を渡して生き延びていたのだが、フィリピン人にしても、いつまでも……というのは荷が重かった。