4. 世界あの街この街: 西安


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第39回 西安


西安 (トリップアドバイザー提供)

中華人民共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

かつて長安と呼ばれた千年の歴史を持つ古都。現在でも西域の要衝として発展が続いている。
西安は紀元前・周の時代から唐に至るおよそ2,000年の間、歴代王朝の都として栄えた歴史をもつ。秦の始皇帝や漢の武帝、唐の玄宗などゆかりの人物も多く、歴史史跡には事欠かない。
シルクロードの起点(ゴール)としても知られ、玄奘三蔵(三蔵法師)もここからインドへ旅だった。古来より東西の旅人や事物が交ってきた、まさに旅人の聖地。
兵馬俑と始皇陵があまりに有名だが街歩きも奥深い。また、郊外には自然を楽しめるスポットも多い。

西安鐘楼 から 狭西暦史博物館   Google マップ
(地図:A-鐘楼、B-回坊風情街・清真寺、C-興慶宮公園、D-大雁塔、E-陜西歴史博物館)

西安の中心部は中国でも唯一現存するという明代に建てられた城壁に囲まれている。
ゲームに出てくるような城塞都市にテンションも上がる。
城壁の内部、街の中心にあるのは高さ36mの鐘楼。鐘楼から東西南北に道が延びており、城壁と交わる地点にそれぞれ壮麗な城門がある。
高さ36mと中国でも屈指の大きさを誇る鐘楼のふもとは2000年前から変わらぬ賑やかなエリア。城壁は高さ12m、幅12~18m、四方の14Kmという圧巻のスケールで、城壁の上は車3台が並走できる広さ。歩くこともできるが一周するならレンタサイクルやリキシャーがラク。

西安の城壁 (トリップアドバイザー提供)

鼓楼の西北は、中国最大のモスク・清真寺を中心に中国のムスリム(回族)街となっている。いつも屋台から肉を焼く煙が上がる熱気あふれるエリア。羊の串焼き、イスラム風のまんじゅう、スイーツ、西域風の果物などエキゾチックな屋台がならび、活気に満ちている。


回坊風情街 (トリップアドバイザー提供)

城壁を出て東方面にあるのが興慶宮公園。特に何と言うことはない公園だが、太極拳をする老人や家族連れが集まる地元のほっこりスポット。ここには阿倍仲麻呂の記念碑が建てられている。大理石に金の文字が掘られたなかなか立派な碑で、仲麻呂の望郷詩と李白による詩(仲麻呂を詠ったもの)が刻まれている。

興慶宮公園 (トリップアドバイザー提供)

城壁を出て南東、大慈恩寺の境内に堂々とそびえるのは7層64mにもおよぶ大雁塔。
西遊記の三蔵法師こと玄奘三蔵が天竺から持ち帰った経典を保存するために建てられたもので、塔の前には巨大な玄奘像もある。一帯は玄奘の博物館や植物園などがある観光エリアで、夜はライトアップされる。

大雁塔北广場 (トリップアドバイザー提供)

その大雁塔観光エリアに隣接するのが陜西歴史博物館。中国でも故宮博物館に次ぐスケールと格式を誇るミュージアムで、見学ルートは1.5kmにもおよぶ。西安に都が置かれた間はもちろん、先史時代から新中国成立までの歴史文物を豊富に所蔵しており、中国4000年の歴史という言葉が伊達ではないと思わせる怒濤の展示。歴史に詳しくない人でも楽しめる。

陝西省歴史博物館 (トリップアドバイザー提供)


市の北東約40km、西安観光の最大の目玉が兵馬俑。
1974年に村民が偶然掘り当てたという経緯はあまりにも有名。現在では発掘が進み総面積は約2万m2におよんでいる。
写真やテレビでお馴染みだが、実物を見た人は誰しも強烈な印象を受けるらしく、数ある世界遺産の中でも非常に評価は高い。
埋葬されていた兵士の像は身長175cmとほぼ実物大。一体ずつ服装や装備、表情まで異なるという信じられない凝りようで、それが数百・数千と並ぶ様は圧巻。


秦始皇兵馬俑博物館 (トリップアドバイザー提供)

秦始皇帝陵は兵馬俑の西1.5km、兵馬俑と一体となって風景区として指定されている。
東西南北およそ350m、高さ約40mと、小山とでも言うべきスケール。

秦始皇帝陵 (トリップアドバイザー提供)

市街から北東に30km、華清池は唐の玄宗と楊貴妃が過ごした温泉地跡。お土産屋では楊貴妃にちなんだグッズや化粧品が売られている。
日中戦争当時に張学良が蒋介石を拉致した西安事変の現場としても知られ、当時の弾痕やガラスの割れた跡がそのまま残されている。

華清池 (トリップアドバイザー提供)

西安は自然を満喫できるスポットも多い。
華清池の南には標高1300mの驪山があり、ちょっとした山登りを楽しめる。そんなかったることやってらんねぇよ、という方にはロープウェーもあるのでご安心を。
山頂からは華清池を一望にできる。

驪山国家森林公園 (トリップアドバイザー提供)

翠華山は西安市街から南に約30km離れた場所に位置する、秦嶺山脈に連なる国立公園。歴代の皇帝が参拝し、詩仏・王維にも詠まれるなど古来より風光明媚な景勝地として親しまれてきた。山塊が地震などによって崩れた独特の奇観が有名で、「中国の地質地形博物館」と呼ばれる。紅葉の時期には多くの観光客が訪れる。

(画像:Agent China)

しかし、なんといっても西安の自然スポットと言えば華山。
西安から120kmとやや距離があるが、列車でも現地ツアーバスでも手軽に行くことができる。
古来より中国でも格別の格式を誇る道教の聖地として知られている険峻な山で、標高は2000m以上。まさに「ナイフリッジ」としか言い様がないような切り立った尾根道や断崖絶壁にちょこんと作られたショボイ足場をたどっていくのはスリル満点。かつて登山道や足場のない時代にこの山を駆けた修行者達のすごさが思い浮かぶ。


華山 (トリップアドバイザー提供)

珍スポ好きには西安から西120kmの法門寺。
法門寺は1800年の歴史を誇る由緒正しき名刹で珍スポと呼ぶのは憚られるのだが…、2009年に完成した仏舎利塔(合十舎利塔)のインパクトが大きくマニアの注目を浴びてしまった。
合十舎利塔は高さ150mで黄金に輝き、塔の前は巨大な参道に金ぴかの仏像が並ぶテーマパークのような光景となっている。

法門寺 (トリップアドバイザー提供)



大秦面庄 (トリップアドバイザー提供)

西安の食は、中国中西部の地理的な影響を受けており、四川料理や雲南料理につながる辛めの味付けが多い。
食材としては回族料理(イスラム食)の影響を受け、羊や牛を多用する。主食は小麦粉で、饅頭や餃子、麺が中心。また、シルクロード伝来のクミンを使用するもの特徴的、
串焼きや手軽なまんじゅうなどストリートフードも豊富だが、宮廷料理の伝統を受けついだ洗練された料理もある。
名物料理は刀削麺やビャンビャン麺といった幅広の麺、羊肉をたっぷり包んだクレープ状の肉包み(肉挟摸)、羊と春雨を煮込んだ羊肉泡摸、ラム肉のクミン焼き、甘辛い牛肉を乗せた麺、火鍋など。

西安飯庄 (トリップアドバイザー提供)

なお、ビァンビァン麺の「ビァン」は以下のように表記する。

(Wikipedia)

中華に飽きても心配ない。世界的な観光地であり、和食から欧米料理、インド料理まで何でもそろう。


日本からの行き方

(空路)
中国東方航空の直行便が成田、関西、名古屋から就航している(それぞれ上海か青島を経由)。価格もおおむね中国東方が最安となることが多い。安い時期で4万円程度。
他には大韓航空、中国国際航空の経由便などがあるが、中国東方より安くなることはほとんどない。

茨城から上海までLCCの春秋航空を利用した場合最も安い時期で2万円を切る。上海-西安を鉄道で移動すればかなり安くなるが、日程には余裕が必要。

(陸路)
北京から西安まで、高速鉄道なら早くて5時間程度、通常の列車なら13時間程度。
高速鉄道の硬座(二等席)で500元、軟座(一等席)で800元程度。通常列車の硬臥(二等寝台)で250元、軟臥(一等寝台)で400元。高速鉄道は飛行機と同じかそれ以上に高いので、よく検討してから利用したい。通常列車は旅情もあり、北京から夜行便に乗れば翌朝西安に到着する。

上海からは通常の列車ならやはり14時間程度。現在高速鉄道を建設中で、開通すれば5時間程度となる予定。

(パッケージツアー)
ツアーの種類は多く、主要な観光地を効率良く回ることができる。シーズンにもよるが3泊4日で燃油込み5万円程度から。高齢者の利用を見込んでか、ガイドがガッツリ同行する豪華ツアーが多いのも特徴。

(空港)
西安の空港は西安咸陽国際空港(XIY)。西安の北西、咸陽市に位置し、西安市街までおよそ50キロ。
すべての国際線と一部の国内線は第2ターミナルに発着する。
第3ターミナルは中国東方航空、中国南方航空、上海航空など。
第1ターミナルは現在利用されていない。

市街地までの足はリムジンバスかタクシー。
リムジンバスは西安市街や咸陽行きの線がある(15年1月時点で10路線)。
西安市街の場合は運賃26元。行き先によるが所要50~60分程度。

タクシーは緑(1.8リッター未満車)、大型の黒(1.8以上)で料金が異なる。初乗り2kmで緑色車6元、黒色車9元。以降1キロごとに緑1.5元、黒2.4元。実際には乗車ごとにプラス1元の燃油が加算され、さらに夜間加算、停車中加算、8キロ以上の場合の戻り空車補償が加わるなど、なかなか複雑な体系。
行き先によるが市街まで緑車でおおむね80~100元、黒で100~150元程度。所要時間は40~60分程度。


地理と気候

西安は陜西省の省都。中国の中央部、西北地区に位置し、かつて長安と呼ばれた中原の古都。沿岸部と内陸部を結ぶ中国西部の要衝でもある。

日本との時差はマイナス1時間。中国はすべての都市が北京時間に合わせてあり、地域時間はない。
四季が明確で日本の気候に近いが、季節毎のメリハリが大きく夏は35度近くの酷暑となり冬は氷点下。やはりベストシーズンは春か秋。春は花が咲き乱れ、秋は紅葉が美しい。
10月1日の国慶節付近はホテルや観光地も混み合う。


(画像:Google提供)

言語と通貨

公用語は中国語(普通話)。
一般的には英語の通用度は低いが、外国人が多い店、レストラン、ホテルなどは英語が通じることも多い。日本人ツーリストが多そうなお土産屋では日本語が通じたり、レストランにも日本語メニューがあったりする。

タクシーは中国語オンリーと考えて良い。中国語(簡体字表記)の地図か、筆談ができるようにペンと紙をもっていればOK。日本の漢字と現地の漢字は異なるため地名が日本語表記の地図は通じない場合も。

通貨は人民元(RMB)。1人民元=18.9円(15年2月時点)。概ね1人民元=20円と見ておけば良い。14年夏前まではおおむね1人民元=15円であったが、かなり値上がりしている。

物価はピンキリだが、西安は北京や上海に比べてかなり安い。
例えばタクシー北京が初乗り3kmで13元(3km;2kmで8元強相当)に対して西安は初乗り2kmで6元。だいたい2/3程度となっている。
食事、交通機関、宿は安め。意外にかさむのは史跡の入場料や見学料で、兵馬俑なら大人120元、大雁塔が大人50元など積み重なっていくと結構な費用となる。

両替はATMによる国際キャッシングか、日本か空港内の銀行など到着地で少額を両替し、レートの良い市内の銀行で必要な分を都度両替するのがお勧め。
現地のATMは故障やカードを受け付けないなどのトラブルも多いので、日本円・人民元問わず多少の現金を携行していった方がよい。
外国人が行くような店ではクレジットカードも通じる。
チップ文化は無い。

(Wikipedia提供)


ビザと治安

中国を代表する大都市かつ観光地であるが、治安は良い方でありあまりトラブル情報は報告されていない。
ただし、あくまで外国としては安全ということであり、繁華街、観光地、夜間や裏通りなどには注意が必要。
現地ツアー会社の中には、チケット代をぼったくったり土産物屋をえんえん巡るようなところもあるので、よく評判をチェックしておきたい。

観光目的の場合、15日以内の滞在はビザ免除。16日以上の滞在では観光ビザの申請を。


市内交通

(地下鉄)
2011年に開業した真新しい地下鉄。
市を東西に貫く1号線と、南北に貫く2号線が開業している。2018年までに6号線までの開業が計画されている。
運賃は行き先によって2元~4元。プリペイド式の「長安通」というカードがあり(SUICAや香港のオクトパスカードと同じFeliCa方式)、これを使うと割引となる。カード代は50元(うち18元がカード代、32元がチャージ分)。「長安通」は地下鉄の他バスや商店でも使うことができる。

(タクシー)
街中を普通に流しのタクシー(緑色のサンタナやシトロエン)が走っており、料金が安いので地元の人もちゅうちょせず使う。
初乗りは2kmで6元。以降1kmごとに1.5元。プラス乗車ごとに燃油代1元・さらに夜間加算、停車中加算、8キロ以上の場合の戻り空車補償がある。
メーターなのでぼったくりはない(とされている)。

公共の乗り物ではないが、三輪車やバイタクもある。価格は交渉制だが、交渉力か語学に自信があれば使ってみてもいいかもしれない。

(バス)
バスは縦横無尽に市内を結んでおり、使いこなせれば便利。
エアコン無しのワンマンバスは1元、エアコンバスは2元が相場。「長安通」も使え、割引となる。
バスはおおむね混み合い、運転も荒い。

市バスとは別に主要な観光地を巡る観光バスがある。
観光1号線から9号線まであり、料金は定額のものと従量制にわかれる。

(鉄道)
中国は列車大国で、全土を鉄道が結んでいる。
市街の中心に位置するのは西安駅。西安駅から北に13kmほど行くと中国でも最大規模を誇る西安北駅がある。西安北駅は地下鉄2号線ともつながっている。
Xi'an_North_Railway_Station
(画像:Wikipedia)

(レンタサイクル・バイク)
街をのんびり散策するのに便利。公共のレンタサイクルがあり、6:30から21時まで貸し出している。1時間以内は無料、1~2時間で1元、2~3時間で2元。3時間以上は1時間につき3元。24時間以上は30元となっている。


ホテル

中国を代表する大都市かつ観光都市でもあり、宿の選択肢は多い。ホテル代もおおむね安め。外資系の5つ星ホテルでも1.5万円程度。3つ星ホテルで5千円程度。
日本のビジネスホテルに近い形態のシングル中心のホテル(経済型酒店)も豊富で、ツインが3千円程度。

バックパッカーが多く立ち寄る街でもあり、ゲストハウスも多い。
ドミトリーが1,000円未満、個室でも1,500円~2,000円程度。
一般に国慶節(10月1日)、春節(旧正月)の季節は混み合い価格も上昇する。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
路上の携帯会社のカウンター、家電量販店、売店、コンビニ等でSIMが購入できる。
中国の場合は特にプリペイドという概念がなく(全てがプリペイド)、SIMにチャージされた金額が月々引き落とされていく仕組み。残金が足りなければ使えなくなるだけというシンプルさ。
なお、LTEはTD-LTEという独自方式なのでSIMをそのまま挿しても使えないことが多い。現地でWiFiルーターを借りればLTEの恩恵を受け取れる。

大手の事業者はChina Unicom(中国聯通)、China Telecom(中国電信)、China Mobile(中国移動)。
China Unicomの3GはW-CDMA(ドコモやソフトバンク方式)、China TelecomはCDMA2000(au方式)。China Mobileの3GはTD-SCDMAという中国独自方式となっている。持ち込むスマートフォンの対応規格を確認しておくこと。
中国の場合は、アクティベートやリチャージの度にSMSでのやりとりがあり、中国語のメッセージを解釈する必要があるためSIMの利用はややハードルが高い。携帯会社のカウンターで設定してもらうことをおすすめする。ゲストハウスのスタッフに頼むという方法もある。

China Unicomの場合、通話可能なSIMが7.99ドル(英語版ショッピングサイトは米建て価格表示)。月額20元で30元分のチャージおよび100Mのデータ、500Mの夜間専用データ通信が含まれる。12.99ドルのブランは月額25元、50元分のチャージおよび300Mのデータ、1ギガの夜間専用データ通信。39.99ドルのデータ通信専用プランは180日有効で3ギガ。

China Telecomの場合は、通話やショートメール、データ通信の組み合わせで価格が決まるプランなど様々。データは1Mあたり0.05元(1Gで50元)など。

China Mobileの場合は、国内通話50分、500Mのプランが月58元。同500分、1Gで138元、データ通信専用150Mが20元、同100元で3Gなど。LTE対応が主流でキャンペーンも多い模様だが、上述の通り中国独自形式なので注意。

中国国内からYouTubeやFacebook・TwitterなどのSNSに接続する場合には閲覧規制がかかる。GmailなどGoogleの各種サービスも制限されている。日本の携帯を海外パケット放題でそのまま使うか、近隣国(香港など)でSIMを買い国際ローミングすれば接続制限を回避できる。VPN(Virtual Private Network)で回避する方法もあるが、うまくいかないこともある。

などなど…中国でのSIM入手や使いこなしは上記の通り結構面倒なので、携帯会社の海外定額を利用するか、日本からWiFiルーターを借りて行くのも手。日本でWiFiルーターを借りた場合は1日あたり600円と比較的安め。

(Wifi)
カフェやレストランで無料WiFiが開放されている。各国同様、スターバックスでも使える。
なお、空港の無料WiFiは中国の電話番号がないと接続できない。