3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その5

 
tabinoteワタベです。2014年6月のキナバル山登山記です。今回がラストとなります。

前号まではこちらをご覧下さい。
 その1:上陸編
 その2:徘徊編
 その3:とりつき編
 その4:登頂編


三日目:頂上

日頃の行いのせいか、せっかく苦労して登頂したのに視界は真っ白!

くつろぐガイド
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(画像:tabinote)

霧が晴れるのを待とうかと思ったが、雨が降るかもしれないので早く降りようとガイドがせきたてる。
早く帰りたいだけちゃうんか…?と思ったが、確かに霧がだんだん濃密になってきたような…。
ここで降られるとだいぶ悲惨なことになるのは明らかなので、結局頂上には5~6分ほど滞在しただけで下山を始めた。

制限時間はクリアしたので、帰りは写真など撮りつつゆったり気分で降りるつもりだったが…、ガイドが斜面を駆け下りる速さが半端ない。登りでは私と同様に結構息を切らせていた気もするんだけど、下りは別人のよう。飛ぶように降りていく。早く帰りたいだけちゃうんか…。


再びサウス・ピーク(3,933m)の麓へ戻ってきた。

ここでなんと、急に霧が晴れて視界が開けてきた。
おそらく頂上付近に雲が上がっていったのだと思う。その雲をすっぽりと抜けたようだ。
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IMG_20140614_121926_s
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(画像:tabinote)

さすがの絶景。
ここまでろくすっぽ景色が見れず、ただ疲れたという感想しかなかったところ。
そうそう、こういうのを観るためにわざわざ苦労したんですよ…。
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(画像:tabinote)

このストリートビューで私の喜びをご共有下さい。
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三日目:下山

サウス・ピークの麓で空と雲、下界とのコントラストを堪能。
見晴らし一杯に拡がるどこまでも灰色の岩肌はやはり異様で、異世界のようだ。
更に空気がクリアになり、奇岩ドンキーイヤー(ロバの耳;4,054m)が見える。
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(画像:tabinote)

すると、下から登山者が登ってきた。
私より遅れて出発した日帰り登山者たち4名。この時点で12時20分くらいか。
1人は朝話しかけられた白人男性。50リットルくらいの巨大なザックを背負っている。
他2人もおそらくグループで、1人は痩せた女性。もう1人はややぽっちゃりした女性、かなり疲労した様子。
あと1人はアジア系の女性だったが、もしかしてこの人がガイド?

「あと300m!」と声をかけると男性と痩せた女性が笑い返した。
ぽっちゃりした女性は応じる余力もない模様。精根尽きたような感じで登っていく。
あの男性と痩せた女性はおそらくぽっちゃり女性につきあってペースを合わせていたんだろう。2人だけならサクサク登って私を追い抜いていたかもしれない。
今登頂すればさぞかしすばらしい絶景が味わえるだろうが、再び引き返して登る気力は無かった。

登山者達
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(画像:tabinote)


サウス・ピークでもうしばらく滞在したかったが、ガイドはどんどん先に行っている。
写真を撮っているうちに再び厚い雲が出てきたので、下山することにした。
このあたりはおそらく斜度25度以上。下りは勝手に加速度がつきスピードをおさえられなくなる。一歩ごとに脚への負担がものすごい。
ガイドは平地を走るようなフォームでどんどん降りる。さすがは地元民。

暇そうに先で待つガイド
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傾斜がおかしい
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(画像:tabinote)

岩の斜面を駆け下り、登りで地獄を見た木の階段を下る。
登るときも辛かったが、下りもえげつない。
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(画像:tabinote)


ラバン・ラタ小屋(Laban Rata;3,273m)へ帰還。
先行したガイドがちゃっかり休んでいた。
ここでビールを飲みたかったが、完全に降りるまで何があるかわからないのでガマン。
最後の行動食、柿の種を食う。ガイドにあげようかと思ったけど食い尽くしてしまった…。

この先、下山は意外に時間がかかった。
ご来光を見てラバン・ラタで休憩し下山する通常の宿泊登山組と重なってしまったからだ。
登りで体力を使い果たしたのか、下りで足の筋肉を破壊されたのか、酸素不足なのか、その全部か、とにかく敗残兵のような足取りの下山者多数。トレッキングポールに体重を預けるようにして一歩一歩慎重に降りており、狭い登山道では追い越すことも難しい。
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(画像:tabinote)

下山中で天候悪化の気配。
実際霧雨が降ってきた。ガイドの懸念があたったようだ。
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(画像:tabinote)

宿泊組をなんとか追い越して駆け下り、15時20分頃に登山口のティンポポンゲートまで帰還!
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ゲートをくぐり、売店で速攻ビールを買う。
3日ぶり?4日ぶり?とにかくうまかった。
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(画像:tabinote)

三日目:公園事務所へ戻る

世界攻略者さんの時のガイドと違い、私のガイドは最後まで着かず離れずでアシストしてくれた。

ここでやっとガイド代を払う。
全くせびられなかったが、チップも上乗せした。

ここからは公園事務所にクルマで戻ることになっている。
迎えのクルマが来るまでガイドと少し世間話。
キナバルのガイドは300名くらいで、全員顔見知りだそう。ガイド総数は150名~200名とネットにはあったが、それよりも多いようだ。
ガイド歴9年で900回登った(!)と言っていたので、そのうち日帰り登山のガイドはどのくらいかと聞くと、年に2~3回とのこと。
「お前はこれまでガイドした『普通の登山者で』一番早くラバン・ラタ(8合目)に着いた。なかなかだったな」と軽く上から目線の温かいコメント。
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(画像:tabinote)

「普通の登山者」というのは、キナバルの場合登山マラソンがあるからだ。
マラソンに出るような選手は信じられないスピードで登る。
そのガイド自身は出場経験が無いとのことだが、コースの下見か何かで選手をガイドしたことがあるらしい。
そのタイムを聞いたら「登頂まで3時間くらい」とのこと。ということは10時半頃には登頂していたということになる。
あのラバン・ラタの階段地獄を走って登らないと間に合わないだろう。スゴイ人たちがいるものだ。

しばらくして迎えのクルマが来た。他の日帰り登山者を待たずに出発。
公園事務所に下山報告に行く。
タグは記念にもらえた。
また、事務所では登頂証明書を購入できる。白黒とカラーがあり、カラーはちょっと高い。
ただし、登頂の有無を特にガイドが証言するわけでもなく完全な自己申告制
登れなくとも買えるのでは…。
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(画像:tabinote)

受付で聞いたところ、今日の日帰り登山者は5組10名とのこと。1日4グループが上限という情報があったが、申し込み状況や登山希望者のスペックによって枠は柔軟に運用されているようだ。これまでずっと天候が悪かったので、日帰り希望者があふれていたのかもしれない。
そのうち、成功したのは私とサウス・ピーク前で会ったあの3名(4名中アジア系の1名はガイドと想定)だけだろう。
それ以外にはラバン・ラタまですれ違った登山者はいなかった。12時過ぎにラバン・ラタを通過したとしても制限時間オーバーだろう。今回は10名中4名が登頂、成功率4割のチャレンジだったということになる。

崩壊した靴
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(画像:tabinote)

登頂証明を受け取り、キナバル公園を出て宿へ戻る。
預かってもらっていた荷物を受け取り、バス乗り場に向かう。
売店で水を買う。何か食うかと思ったが、タイミングよくコタ・キナバル行きの乗り合いバスが来たので、空腹ながらそのまま乗車。16時半にキナバル公園を離れた。

なんと車窓から見たキナバル山は晴れている!
こんなことなら急いで下山せずもっと頂上にいれば良かったと思ったが、それは結果論。
それにしても目まぐるしい天候…。


「登山」というワンテーマのために海外に来たのは初めてだった。
この時まで私の登山経験は標高1,000メートル程度の低山ばかり。
初の高所、雨季の短期滞在のハンデ、現地一発申し込みの不安などなど、無謀な挑戦だったかもしれないが一応景色も堪能でき、終わってみればすべて楽しい思い出。

達成感がわきあがってきて、気分は最高。ホントにやってよかった。
願わくは、もうちょっと天気が良ければ。いずれ乾季に最高の条件で再訪したい。

バスに揺られて、あと1時間でコタ・キナバル。
明日はガッツリ街歩きの予定だが、筋肉痛が心配だ。
ビールでも飲んで予定を考えよう…。

(了)

おまけ

さて、5回に渡ってお送りしたキナバル登山の記録はここまでです。
クアラルンプールからわずかな費用と時間で行けるボルネオ&キナバル旅行、ご参考いただければ幸いです。

おまけで皆さんにご提案するのは、「3日で行けるキナバル山ツアー!」
運良く登頂許可がとれることが前提ですが、1日目にキナバル公園で翌日の登頂許可を取り、2日目で登ってしまうという超弾丸プランです。

1日目:
・前日23:45羽田発のエアアジアX523便にて朝6時にクアラルンプール着、エアアジア5106便に乗り継ぎ12時コタ・キナバル着。
・空港からタクシーでキナバル公園行きのPadang Bus Terminalまで。ターミナルから所要2時間でキナバル公園着。
・管理事務所で翌日の日帰り登山を申し込み。近隣のロッジ泊。
2日目:
・朝7時から登山、16~17時下山。乗り合いバスにて20時頃コタ・キナバル着。コタ・キナバル泊。
3日目:
・9時半発のエアアジア5111便にてクアラルンプールへ。14時半のエアアジアX522便にて22時半に羽田戻り。

日本から行く一般的なキナバル登山ツアーは、某社の場合最低4名催行、かつ5日間で16万円程度です。
一方弾丸プランなら気軽な一人催行。費用もエアアジアの往復が6万円+登山関連1万円+キナバル公園とコタ・キナバルの宿代1万円=合計8万円ほどと激安。
エアアジアのバーゲンを利用できれば総額5万円未満となり、ちょっと東京から北アルプスに行くくらいの手軽さでキナバルに登れます。
ぜひ、この世のものとは思えない絶景を体験していただきたい(私はあまり見れませんでしたが…)。
重要なのは日程です。雨の少ない1~4月を選びましょう。

日帰り登山に必要な体力レベルですが、実はちゃんと登山をしている人の水準からすればたいしたことありません。
富士山の御殿場ルートを日帰りで登れるような方(新五合目~頂上)なら大丈夫でしょう。
(キナバル山は標高差2,229m・距離8.7km、富士御殿場ルートは標高差2,250m・距離10.5km)
この後、9月に富士山を登った私の感覚ですが、御殿場ルートの方が体力的・精神的にキツイかもしれません…。

ガイド帯同必須で岩場や危険箇所もないため、山登りの技術は何も要りません。そういう意味では海外旅行でプチ冒険をしたいという初心者向きかも。必要なのはひたすらの登りにめげない根性と鈍感さだけです。
たとえ制限時間をオーバーして頂上まで行けなくとも、八合目の山小屋村ラバン・ラタまで達すれば十分に見応えある絶景を体験できます。

体力があり余りすぎちゃってどうにかして!という方にはいっそマラソンとの掛け持ちもおすすめ。
登山マラソンはハードすぎますが、毎年コタ・キナバルで平地を走る大会が開かれています。
ボルネオ・インターナショナルマラソン

マラソンエントリーして、翌々日くらいに登山とか、達成感あると思います。
まあ、達成感を得たからなんだって言われると困るのですが…。


このコーナーでは毎号スタッフや皆さんの旅行記を掲載します。われこそはという方がいらしたら、ぜひこちらまでお寄せください。採用の方には薄謝を差し上げます。

3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その5(最終回)


3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その5

 
tabinoteワタベです。2014年6月のキナバル山登山記です。今回がラストとなります。

前号まではこちらをご覧下さい。
 その1:上陸編
 その2:徘徊編
 その3:とりつき編
 その4:登頂編


三日目:頂上

日頃の行いのせいか、せっかく苦労して登頂したのに視界は真っ白!

くつろぐガイド
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(画像:tabinote)

霧が晴れるのを待とうかと思ったが、雨が降るかもしれないので早く降りようとガイドがせきたてる。
早く帰りたいだけちゃうんか…?と思ったが、確かに霧がだんだん濃密になってきたような…。
ここで降られるとだいぶ悲惨なことになるのは明らかなので、結局頂上には5~6分ほど滞在しただけで下山を始めた。

制限時間はクリアしたので、帰りは写真など撮りつつゆったり気分で降りるつもりだったが…、ガイドが斜面を駆け下りる速さが半端ない。登りでは私と同様に結構息を切らせていた気もするんだけど、下りは別人のよう。飛ぶように降りていく。早く帰りたいだけちゃうんか…。


再びサウス・ピーク(3,933m)の麓へ戻ってきた。

ここでなんと、急に霧が晴れて視界が開けてきた。
おそらく頂上付近に雲が上がっていったのだと思う。その雲をすっぽりと抜けたようだ。
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(画像:tabinote)

さすがの絶景。
ここまでろくすっぽ景色が見れず、ただ疲れたという感想しかなかったところ。
そうそう、こういうのを観るためにわざわざ苦労したんですよ…。
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このストリートビューで私の喜びをご共有下さい。
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三日目:下山

サウス・ピークの麓で空と雲、下界とのコントラストを堪能。
見晴らし一杯に拡がるどこまでも灰色の岩肌はやはり異様で、異世界のようだ。
更に空気がクリアになり、奇岩ドンキーイヤー(ロバの耳;4,054m)が見える。
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すると、下から登山者が登ってきた。
私より遅れて出発した日帰り登山者たち4名。この時点で12時20分くらいか。
1人は朝話しかけられた白人男性。50リットルくらいの巨大なザックを背負っている。
他2人もおそらくグループで、1人は痩せた女性。もう1人はややぽっちゃりした女性、かなり疲労した様子。
あと1人はアジア系の女性だったが、もしかしてこの人がガイド?

「あと300m!」と声をかけると男性と痩せた女性が笑い返した。
ぽっちゃりした女性は応じる余力もない模様。精根尽きたような感じで登っていく。
あの男性と痩せた女性はおそらくぽっちゃり女性につきあってペースを合わせていたんだろう。2人だけならサクサク登って私を追い抜いていたかもしれない。
今登頂すればさぞかしすばらしい絶景が味わえるだろうが、再び引き返して登る気力は無かった。

登山者達
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(画像:tabinote)


サウス・ピークでもうしばらく滞在したかったが、ガイドはどんどん先に行っている。
写真を撮っているうちに再び厚い雲が出てきたので、下山することにした。
このあたりはおそらく斜度25度以上。下りは勝手に加速度がつきスピードをおさえられなくなる。一歩ごとに脚への負担がものすごい。
ガイドは平地を走るようなフォームでどんどん降りる。さすがは地元民。

暇そうに先で待つガイド
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傾斜がおかしい
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(画像:tabinote)

岩の斜面を駆け下り、登りで地獄を見た木の階段を下る。
登るときも辛かったが、下りもえげつない。
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ラバン・ラタ小屋(Laban Rata;3,273m)へ帰還。
先行したガイドがちゃっかり休んでいた。
ここでビールを飲みたかったが、完全に降りるまで何があるかわからないのでガマン。
最後の行動食、柿の種を食う。ガイドにあげようかと思ったけど食い尽くしてしまった…。

この先、下山は意外に時間がかかった。
ご来光を見てラバン・ラタで休憩し下山する通常の宿泊登山組と重なってしまったからだ。
登りで体力を使い果たしたのか、下りで足の筋肉を破壊されたのか、酸素不足なのか、その全部か、とにかく敗残兵のような足取りの下山者多数。トレッキングポールに体重を預けるようにして一歩一歩慎重に降りており、狭い登山道では追い越すことも難しい。
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(画像:tabinote)

下山中で天候悪化の気配。
実際霧雨が降ってきた。ガイドの懸念があたったようだ。
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宿泊組をなんとか追い越して駆け下り、15時20分頃に登山口のティンポポンゲートまで帰還!
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ゲートをくぐり、売店で速攻ビールを買う。
3日ぶり?4日ぶり?とにかくうまかった。
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三日目:公園事務所へ戻る

世界攻略者さんの時のガイドと違い、私のガイドは最後まで着かず離れずでアシストしてくれた。

ここでやっとガイド代を払う。
全くせびられなかったが、チップも上乗せした。

ここからは公園事務所にクルマで戻ることになっている。
迎えのクルマが来るまでガイドと少し世間話。
キナバルのガイドは300名くらいで、全員顔見知りだそう。ガイド総数は150名~200名とネットにはあったが、それよりも多いようだ。
ガイド歴9年で900回登った(!)と言っていたので、そのうち日帰り登山のガイドはどのくらいかと聞くと、年に2~3回とのこと。
「お前はこれまでガイドした『普通の登山者で』一番早くラバン・ラタ(8合目)に着いた。なかなかだったな」と軽く上から目線の温かいコメント。
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「普通の登山者」というのは、キナバルの場合登山マラソンがあるからだ。
マラソンに出るような選手は信じられないスピードで登る。
そのガイド自身は出場経験が無いとのことだが、コースの下見か何かで選手をガイドしたことがあるらしい。
そのタイムを聞いたら「登頂まで3時間くらい」とのこと。ということは10時半頃には登頂していたということになる。
あのラバン・ラタの階段地獄を走って登らないと間に合わないだろう。スゴイ人たちがいるものだ。

しばらくして迎えのクルマが来た。他の日帰り登山者を待たずに出発。
公園事務所に下山報告に行く。
タグは記念にもらえた。
また、事務所では登頂証明書を購入できる。白黒とカラーがあり、カラーはちょっと高い。
ただし、登頂の有無を特にガイドが証言するわけでもなく完全な自己申告制
登れなくとも買えるのでは…。
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(画像:tabinote)

受付で聞いたところ、今日の日帰り登山者は5組10名とのこと。1日4グループが上限という情報があったが、申し込み状況や登山希望者のスペックによって枠は柔軟に運用されているようだ。これまでずっと天候が悪かったので、日帰り希望者があふれていたのかもしれない。
そのうち、成功したのは私とサウス・ピーク前で会ったあの3名(4名中アジア系の1名はガイドと想定)だけだろう。
それ以外にはラバン・ラタまですれ違った登山者はいなかった。12時過ぎにラバン・ラタを通過したとしても制限時間オーバーだろう。今回は10名中4名が登頂、成功率4割のチャレンジだったということになる。

崩壊した靴
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(画像:tabinote)

登頂証明を受け取り、キナバル公園を出て宿へ戻る。
預かってもらっていた荷物を受け取り、バス乗り場に向かう。
売店で水を買う。何か食うかと思ったが、タイミングよくコタ・キナバル行きの乗り合いバスが来たので、空腹ながらそのまま乗車。16時半にキナバル公園を離れた。

なんと車窓から見たキナバル山は晴れている!
こんなことなら急いで下山せずもっと頂上にいれば良かったと思ったが、それは結果論。
それにしても目まぐるしい天候…。


「登山」というワンテーマのために海外に来たのは初めてだった。
この時まで私の登山経験は標高1,000メートル程度の低山ばかり。
初の高所、雨季の短期滞在のハンデ、現地一発申し込みの不安などなど、無謀な挑戦だったかもしれないが一応景色も堪能でき、終わってみればすべて楽しい思い出。

達成感がわきあがってきて、気分は最高。ホントにやってよかった。
願わくは、もうちょっと天気が良ければ。いずれ乾季に最高の条件で再訪したい。

バスに揺られて、あと1時間でコタ・キナバル。
明日はガッツリ街歩きの予定だが、筋肉痛が心配だ。
ビールでも飲んで予定を考えよう…。

(了)

おまけ

さて、5回に渡ってお送りしたキナバル登山の記録はここまでです。
クアラルンプールからわずかな費用と時間で行けるボルネオ&キナバル旅行、ご参考いただければ幸いです。

おまけで皆さんにご提案するのは、「3日で行けるキナバル山ツアー!」
運良く登頂許可がとれることが前提ですが、1日目にキナバル公園で翌日の登頂許可を取り、2日目で登ってしまうという超弾丸プランです。

1日目:
・前日23:45羽田発のエアアジアX523便にて朝6時にクアラルンプール着、エアアジア5106便に乗り継ぎ12時コタ・キナバル着。
・空港からタクシーでキナバル公園行きのPadang Bus Terminalまで。ターミナルから所要2時間でキナバル公園着。
・管理事務所で翌日の日帰り登山を申し込み。近隣のロッジ泊。
2日目:
・朝7時から登山、16~17時下山。乗り合いバスにて20時頃コタ・キナバル着。コタ・キナバル泊。
3日目:
・9時半発のエアアジア5111便にてクアラルンプールへ。14時半のエアアジアX522便にて22時半に羽田戻り。

日本から行く一般的なキナバル登山ツアーは、某社の場合最低4名催行、かつ5日間で16万円程度です。
一方弾丸プランなら気軽な一人催行。費用もエアアジアの往復が6万円+登山関連1万円+キナバル公園とコタ・キナバルの宿代1万円=合計8万円ほどと激安。
エアアジアのバーゲンを利用できれば総額5万円未満となり、ちょっと東京から北アルプスに行くくらいの手軽さでキナバルに登れます。
ぜひ、この世のものとは思えない絶景を体験していただきたい(私はあまり見れませんでしたが…)。
重要なのは日程です。雨の少ない1~4月を選びましょう。

日帰り登山に必要な体力レベルですが、実はちゃんと登山をしている人の水準からすればたいしたことありません。
富士山の御殿場ルートを日帰りで登れるような方(新五合目~頂上)なら大丈夫でしょう。
(キナバル山は標高差2,229m・距離8.7km、富士御殿場ルートは標高差2,250m・距離10.5km)
この後、9月に富士山を登った私の感覚ですが、御殿場ルートの方が体力的・精神的にキツイかもしれません…。

ガイド帯同必須で岩場や危険箇所もないため、山登りの技術は何も要りません。そういう意味では海外旅行でプチ冒険をしたいという初心者向きかも。必要なのはひたすらの登りにめげない根性と鈍感さだけです。
たとえ制限時間をオーバーして頂上まで行けなくとも、八合目の山小屋村ラバン・ラタまで達すれば十分に見応えある絶景を体験できます。

体力があり余りすぎちゃってどうにかして!という方にはいっそマラソンとの掛け持ちもおすすめ。
登山マラソンはハードすぎますが、毎年コタ・キナバルで平地を走る大会が開かれています。
ボルネオ・インターナショナルマラソン

マラソンエントリーして、翌々日くらいに登山とか、達成感あると思います。
まあ、達成感を得たからなんだって言われると困るのですが…。


このコーナーでは毎号スタッフや皆さんの旅行記を掲載します。われこそはという方がいらしたら、ぜひこちらまでお寄せください。採用の方には薄謝を差し上げます。