2b.「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和
吉田友和(よしだともかず)
1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行にして夫婦で世界一周旅行を敢行。旅の過程を一冊にまとめた『世界一周デート』で、2005年に旅行作家としてデビュー。「週末海外」というライフスタイルを提唱。国内外を旅しながら、執筆活動を続けている。その他、『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』(講談社)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『LCCで行く! アジア新自由旅行』(幻冬舎)、『めざせプチ秘境!』(角川書店)、『3日もあれば海外旅行』(光文社)など著書多数。
旅行作家★吉田友和 Official Web
しりとりで旅する 第37回 吉田友和
ゆ 夢
もう10年以上も前の話になるが、チベットを旅していたときのことだ。ガイドブックに「野犬に注意」と書かれていたのを読んで眠りについたら、犬に噛まれる夢を見て「うわあああ」と情けない声を上げながら飛び起きた。隣で寝ていた奥さんは、何事かと驚いたらしい。夢の内容なんてすぐに忘れてしまうものだが、あまりにお馬鹿な展開で、いまでも我が家で語り草となっている。
僕はよく夢を見る。ほとんど毎日と言っていい。内容は様々だし、すぐに忘却してしまうのだが、旅をしている夢がとにかく多い。旅先で寝ていても、またどこか別の場所を旅する夢を見たりする。犬に噛まれる、なんて悪夢にもしばしば見舞われるが、夢の中でも大好きな旅にまみれていられるのは幸せなことなのかもしれない。