3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その4

 
tabinoteワタベです。2014年6月のキナバル山登山、数回に渡ってレポートします。今回が4回目となります。

前号まではこちらをご覧下さい。
 その1:上陸編
 その2:徘徊編
 その3:とりつき編

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(画像:tabinote)


三日目:ラバン・ラタ

標高3,001m、5km地点を越えて更に進む。

ひたすら登り続けていよいよ八合目にあたるラバン・ラタ小屋(Laban Rata;3,273m)。
9時50分。午前7時半にスタートしたので所要2時間20分、目標通過タイムの午前10時に間に合った!
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(画像:tabinote)

ラバン・ラタ小屋は高級リゾートホテルグループのステラが運営するハイソな山小屋。普通はツアーでしか宿泊できず、個別予約しようとしても最低3万円は下らない。
さすがに内部は快適そうで、高度3,000mからキナバルの岩肌と下界を臨むグッドビュー。
ビュッフェコーナーやバーまである。ビールは25リンギット(750円くらい!)とさすがにお高い。
10分ほど休憩。ガイドは持参したパンを、私は柿の種で補給。
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IMG_20140614_094938_s
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(画像:tabinote)

宿泊者は年配の白人が多く、上下完璧な登山着にハイカットの登山靴、トレッキングポールといったフル装備。
現地人並みの軽装でピーナッツをぼりぼり食べている私はいかにも場違いだった。

さて、ラバン・ラタでの休憩を終え、意を決して先に進む。


ラバン・ラタの裏から始まる登山ルートは延々と続く木の階段
見ただけで気力が萎える…。
1.5~2段飛ばしくらいの絶妙な高さの急階段が果てなく続いており、一歩毎に体力を奪い取っていく。

写真では十分に伝わらないのが残念なこの傾斜…。
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(画像:tabinote)

なんとか止まらず登ろうと思ったが、心拍数が推定180くらいに上がってきた。
ぜぇぜぇ。

しかしこの高度でなんちゅう階段だよ。マジで45度くらいあるのでは…。
ぜぇぜぇ。

登山マラソンの人はこれを走って上がるのか?信じられない…。
ぜぇぜぇ。

間違いなくこれまで最長の階段。いつまで続くんだろう…。

たまらず休憩。

おかしい、休んでもずーっと心臓がバクバクしたままで、心拍数が下がらない。
いやー、これはキツイ…。

もしかして、これは低酸素状態というやつでは…?
とにかくいくら吸っても肺の空気が足りないような感覚。

もう標高3,000mオーバー、既に私にとっては未知の高度である。
吸ってダメなら吐いてみよう、ということで、空手にある呼吸法「息吹」を試してみる。
息吹とは全身(特に下腹の丹田)に力を溜めつつ、腹の底から一気に呼気を吐く呼吸法。なんでも思う存分吐いた後は新鮮な空気を取り込めて呼吸がラクになるとか。
「カーッ!!」
息を吐いた瞬間、色彩がネガフィルムのように反転し暗くなった。
典型的な貧血時の症状。ヤバイ、やり方が悪かったのか余計苦しくなった…。

とにかく膝に手をついて休み、ひたすら呼気を吐いて身体が酸素を取り入れるのを待った。
徐々に呼吸が整っていくが、しかし行く手にそびえるのは壁のような階段。
せめて今が1/3とか1/2とかわかれば気力もわくのだが…、あとどのくらい続くのかわからないのでペース配分もできない。いつまで続くんだ!

少し息が落ち着いてくる。
もしかしたらオーバーペースだっただけかもしれない。
ガイドは後からゆっくりと登ってくる。あのペースで行けばいいのか。
息をととのえてゆっくり、ゆっくり登ると徐々に心拍が落ち着いてきた。
大丈夫、低酸素状態ならこんなに早く慣れないはずだ。

長い間かけてようやく階段地獄を抜ける。
いやー、今思い起こしてもこの階段が一番きつかった。


登頂

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(画像:tabinote)

さて、階段を越えると同時に森林限界。
緑は下方に遠ざかり、灰色の岩肌がむき出しになって果てしなく上方へと続いている。
足元は平滑な岩場になった。
日本の山のように土も赤い火山岩もない、一面の灰色。
ここから高度にしてあと600mくらいか?いよいよキナバル山のラスボス面だ。
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(画像:tabinote)

このあたりからはもうすべすべの岩場。
平滑な岩肌は油断すると滑る。靴の裏全体の摩擦力を利用するように根気よく登るが、全然スピードがでない。
何カ所かロープがはってあり、それを頼りに登るも全身の力をもっていかれるようでかえって疲労。
ロープは使わずに、ジグザグ登りの方が体力を消耗しないと判断し足だけで登る(その代わり歩行距離は増える…)。

「雨が降ったら登山中止」の意味がわかった。ここまで来ると斜度20度か30度はある平滑な急坂で、流れる水を遮る土も木も無い。雨が降ったらツルツルだろう
空は時折分厚い雲が出て油断できないが、ここまで来たら天気保って欲しいなと祈るばかり。
ひたすらこんな斜面が続く(場所によっては勾配25度~30度あります)。
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(画像:tabinote)

7km地点。標高3,653mのSayat Sayat小屋へ到着。ゴールまであと1,700m。
Sayat Sayatには登山口と同様に登山者のチェックゲートがある。無人だったためそのまま通過。
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(画像:tabinote)

このあたりから疲労感がなくなってきた。
ジグザグゆっくり登りのおかげか、階段やロープで失ったスタミナが回復してくる。


更に登る。
キナバル山を象徴するサウス・ピーク(3,933m)の麓。標高3,776m。
富士山の最高地点・剣が峰と同じ高さまで来たが…、あいにく霧でサウス・ピークどころかほとんど何も見えず。
このあたりにドンキー・イヤーという奇岩があるはずなんだけど、何も見えず。

青い服はガイド。
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(画像:tabinote)

8km地点、標高3,929m。ゴールまであと700m。富士山の高さを超えた。
ラバン・ラタまではいい感じだったのにその後だいぶスローペースになってしまった。
現在11時30分、ここまで来れば13時という制限時間内の登頂成功は確実。
今雨が降ってもシカトして登ってやる!

柿の種と水の補給を済ませ、最後のスパート(といってもトボトボ歩くだけ)。
IMG_20140614_112813_s
(画像:tabinote)

最後の案内表記。8.5km地点、標高4,008m。
ゴールまであと200m、高さにしてあと87m。
IMG_20140614_121149_s
(画像:tabinote)

ここから頂上までがまたキツかった…。
完全に手を使わないと登れないうず高い岩場。
急に霧が深くなり、自分と手元周辺くらいしか見えなくなってきた。
手間取りながらもなんとか登ると、頂上を示す看板が見えた。

そして、いよいよ標高4,095mの最高地点ロウズ・ピーク到着!
時間は11時50分。所要4時間20分、やったぜ間に合った!
スタート時間が早かったとはいえ後続にも抜かれず、この日一番乗り。
IMG_20140614_120201_s
IMG_20140614_115800_s
(画像:tabinote)

さて、山頂の向こう側にはさぞかし感動の絶景が…と思ったら何も見えない!
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IMG_20140614_120617_s
SDIM0048_s
(画像:tabinote)

雲で視界は360度見事なほど乳白色。
あれれ、こんなはずでは…。

せっかく苦労して登ったのに、無念!
このストリートビューで私の落胆をお察し下さい。
IMGP2436

(あと1回だけ続きます)

3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その4


3a. tabinote旅行記 エアアジアXで行く! キナバル山日帰り登頂-その4

 
tabinoteワタベです。2014年6月のキナバル山登山、数回に渡ってレポートします。今回が4回目となります。

前号まではこちらをご覧下さい。
 その1:上陸編
 その2:徘徊編
 その3:とりつき編

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(画像:tabinote)


三日目:ラバン・ラタ

標高3,001m、5km地点を越えて更に進む。

ひたすら登り続けていよいよ八合目にあたるラバン・ラタ小屋(Laban Rata;3,273m)。
9時50分。午前7時半にスタートしたので所要2時間20分、目標通過タイムの午前10時に間に合った!
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(画像:tabinote)

ラバン・ラタ小屋は高級リゾートホテルグループのステラが運営するハイソな山小屋。普通はツアーでしか宿泊できず、個別予約しようとしても最低3万円は下らない。
さすがに内部は快適そうで、高度3,000mからキナバルの岩肌と下界を臨むグッドビュー。
ビュッフェコーナーやバーまである。ビールは25リンギット(750円くらい!)とさすがにお高い。
10分ほど休憩。ガイドは持参したパンを、私は柿の種で補給。
IMG_20140614_094950_s
IMG_20140614_094938_s
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(画像:tabinote)

宿泊者は年配の白人が多く、上下完璧な登山着にハイカットの登山靴、トレッキングポールといったフル装備。
現地人並みの軽装でピーナッツをぼりぼり食べている私はいかにも場違いだった。

さて、ラバン・ラタでの休憩を終え、意を決して先に進む。


ラバン・ラタの裏から始まる登山ルートは延々と続く木の階段
見ただけで気力が萎える…。
1.5~2段飛ばしくらいの絶妙な高さの急階段が果てなく続いており、一歩毎に体力を奪い取っていく。

写真では十分に伝わらないのが残念なこの傾斜…。
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(画像:tabinote)

なんとか止まらず登ろうと思ったが、心拍数が推定180くらいに上がってきた。
ぜぇぜぇ。

しかしこの高度でなんちゅう階段だよ。マジで45度くらいあるのでは…。
ぜぇぜぇ。

登山マラソンの人はこれを走って上がるのか?信じられない…。
ぜぇぜぇ。

間違いなくこれまで最長の階段。いつまで続くんだろう…。

たまらず休憩。

おかしい、休んでもずーっと心臓がバクバクしたままで、心拍数が下がらない。
いやー、これはキツイ…。

もしかして、これは低酸素状態というやつでは…?
とにかくいくら吸っても肺の空気が足りないような感覚。

もう標高3,000mオーバー、既に私にとっては未知の高度である。
吸ってダメなら吐いてみよう、ということで、空手にある呼吸法「息吹」を試してみる。
息吹とは全身(特に下腹の丹田)に力を溜めつつ、腹の底から一気に呼気を吐く呼吸法。なんでも思う存分吐いた後は新鮮な空気を取り込めて呼吸がラクになるとか。
「カーッ!!」
息を吐いた瞬間、色彩がネガフィルムのように反転し暗くなった。
典型的な貧血時の症状。ヤバイ、やり方が悪かったのか余計苦しくなった…。

とにかく膝に手をついて休み、ひたすら呼気を吐いて身体が酸素を取り入れるのを待った。
徐々に呼吸が整っていくが、しかし行く手にそびえるのは壁のような階段。
せめて今が1/3とか1/2とかわかれば気力もわくのだが…、あとどのくらい続くのかわからないのでペース配分もできない。いつまで続くんだ!

少し息が落ち着いてくる。
もしかしたらオーバーペースだっただけかもしれない。
ガイドは後からゆっくりと登ってくる。あのペースで行けばいいのか。
息をととのえてゆっくり、ゆっくり登ると徐々に心拍が落ち着いてきた。
大丈夫、低酸素状態ならこんなに早く慣れないはずだ。

長い間かけてようやく階段地獄を抜ける。
いやー、今思い起こしてもこの階段が一番きつかった。


登頂

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(画像:tabinote)

さて、階段を越えると同時に森林限界。
緑は下方に遠ざかり、灰色の岩肌がむき出しになって果てしなく上方へと続いている。
足元は平滑な岩場になった。
日本の山のように土も赤い火山岩もない、一面の灰色。
ここから高度にしてあと600mくらいか?いよいよキナバル山のラスボス面だ。
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(画像:tabinote)

このあたりからはもうすべすべの岩場。
平滑な岩肌は油断すると滑る。靴の裏全体の摩擦力を利用するように根気よく登るが、全然スピードがでない。
何カ所かロープがはってあり、それを頼りに登るも全身の力をもっていかれるようでかえって疲労。
ロープは使わずに、ジグザグ登りの方が体力を消耗しないと判断し足だけで登る(その代わり歩行距離は増える…)。

「雨が降ったら登山中止」の意味がわかった。ここまで来ると斜度20度か30度はある平滑な急坂で、流れる水を遮る土も木も無い。雨が降ったらツルツルだろう
空は時折分厚い雲が出て油断できないが、ここまで来たら天気保って欲しいなと祈るばかり。
ひたすらこんな斜面が続く(場所によっては勾配25度~30度あります)。
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(画像:tabinote)

7km地点。標高3,653mのSayat Sayat小屋へ到着。ゴールまであと1,700m。
Sayat Sayatには登山口と同様に登山者のチェックゲートがある。無人だったためそのまま通過。
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(画像:tabinote)

このあたりから疲労感がなくなってきた。
ジグザグゆっくり登りのおかげか、階段やロープで失ったスタミナが回復してくる。


更に登る。
キナバル山を象徴するサウス・ピーク(3,933m)の麓。標高3,776m。
富士山の最高地点・剣が峰と同じ高さまで来たが…、あいにく霧でサウス・ピークどころかほとんど何も見えず。
このあたりにドンキー・イヤーという奇岩があるはずなんだけど、何も見えず。

青い服はガイド。
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8km地点、標高3,929m。ゴールまであと700m。富士山の高さを超えた。
ラバン・ラタまではいい感じだったのにその後だいぶスローペースになってしまった。
現在11時30分、ここまで来れば13時という制限時間内の登頂成功は確実。
今雨が降ってもシカトして登ってやる!

柿の種と水の補給を済ませ、最後のスパート(といってもトボトボ歩くだけ)。
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(画像:tabinote)

最後の案内表記。8.5km地点、標高4,008m。
ゴールまであと200m、高さにしてあと87m。
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(画像:tabinote)

ここから頂上までがまたキツかった…。
完全に手を使わないと登れないうず高い岩場。
急に霧が深くなり、自分と手元周辺くらいしか見えなくなってきた。
手間取りながらもなんとか登ると、頂上を示す看板が見えた。

そして、いよいよ標高4,095mの最高地点ロウズ・ピーク到着!
時間は11時50分。所要4時間20分、やったぜ間に合った!
スタート時間が早かったとはいえ後続にも抜かれず、この日一番乗り。
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(画像:tabinote)

さて、山頂の向こう側にはさぞかし感動の絶景が…と思ったら何も見えない!
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(画像:tabinote)

雲で視界は360度見事なほど乳白色。
あれれ、こんなはずでは…。

せっかく苦労して登ったのに、無念!
このストリートビューで私の落胆をお察し下さい。
IMGP2436

(あと1回だけ続きます)