4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第36回 モスクワ

聖ワシリイ大聖堂の写真
聖ワシリイ大聖堂 (トリップアドバイザー提供)

ロシア連邦・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

クレムリン、赤の広場、聖ワシリイ教会など壮大で豪華な史跡が数多く存在し、他の欧州の大都市とはひと味違った独特の雰囲気が人気。
美術館のように美しいというメトロやグム百貨店も評価が高い。社会主義的な史跡やアートに興味があれば、クレムリンの武器庫やレーニン廟、KGB博物館、そしてセブン・シスターズと呼ばれる高層建築を巡ってみるのもいいかも。

モスクワ市の面積は994km2と広大。東京都(23区の面積は621m2)と地図を重ねてみると、モスクワ市の市境となる大環状道路は東京外環自動車道の更に外側に位置している。クレムリンを中心に環状道路が囲み、放射状に道路が郊外に延びている構造となっている。
ただし観光客にとっての見どころは中心部に集中しており、メトロが張り巡らされているので移動は便利。
モスクワGoogle-マップ
(画像:Google、編集:tabinote)


街歩きは、クレムリンを中心に考えると迷いにくい。
まずは、クレムリンを背にして北東から。このエリアはモスクワで最も古い街区で、古い建物や城壁跡が残っている。放射状に伸びるミャスニースカヤ通り(肉屋通りの意味)およびマシ・ポリヴァエヴォイ通り目印にすると迷いにくい。旧KGB本部やモスクワ中央郵便局、工業技術博物館などいかにもロシア的な、重厚でクラシックな建物が並ぶ。
通りを北東に進むとサンクトペテルブルクに向かうレニングラード駅、その前にそびえ建つヒルトン・モスクワはセブン・シスターズ(※)と呼ばれたスターリン時代の7大高層建築の1つ。近くの運輸機関建設省(鉄道省)も同じくセブン・シスターズの1つ。
※社会主義の優位性を示すべく表現された重厚で権威的な建築様式。


ヒルトン モスクワ レニングラードスカヤ (トリップアドバイザー提供)

続いて市の北西部、クレムリンとベラルーシ駅とをつなぐモスクワ一の目抜き通り、トゥヴェルスカヤ通り(レニングラード通り)へ。街路沿いはレストランやブランドショップ、劇場、コンサートホール、博物館などが建ち並び、いつも大勢の人と車でにぎわう。ボリショイ劇場はクレムリンのちょうど真北あたり。
赤の広場を背に北西、リッツカールトンから歩き始めればモスクワ芸術座、エルモーロワ劇場など風格ある建物が並んでいる。芸術座の付近はレストラン街となっており、英語メニューも多いので安心。エリセーフスキーは帝政時代からの有名な食料品店で、華麗な内装が有名。エリセーフスキーの北にはプシーキン広場があり、ここのマクドナルドはロシア第1号店。

Yeliseev’s Food Hall (Yeliseevskiy Gastronom) (トリップアドバイザー提供)

北西部から逆時計回りに南下し市の西部へ。
プシーキン広場から環状路の美しいノヴィンスキー並木通りを西に向かう。この通りとその内側(クレムリン側)には小さな博物館が多い。ゴーリキーの家博物館、トルストイの家博物館、チェーホフの家博物館、さらにはマトリョーシカ博物館など硬軟問わず多くのミュージアムがある。
なお、すぐ近くにゴーリキー博物館、トルストイ博物館というものが別にあるのでファンの方は要注意。
ノヴィンスキー通りの外側、ひときわ高い尖塔はセブン・シスターズの文化人アパート。

アルバート通り (トリップアドバイザー提供)

そして市の南西部へ移動。ノヴィンスキー並木通りは、セブン・シスターズの一角である外務省を過ぎるとスモレンスキー通りと名を変える。この通りの内側はやはり博物館や美術館、レストランの建ち並ぶ人気のエリアで、モスクワのサン・ジェルマンと呼ばれる。このエリアのシンボルは救世主キリスト聖堂。街歩きも楽しいが、ここではせっかくなので世界に誇るモスクワの美術館を見学したい。ロシア美術の殿堂トレチャコフ美術館、ルノアールやモネなど印象派の世界的コレクションで知られるプシーキン記念美術館はこのあたり。

トレチャコフ美術館 (クリムスキー・ヴァル) (トリップアドバイザー提供)

更に南西に向かうと雀が丘と呼ばれる高台の地域になっており、展望台から市街を見渡すことが出来る。結婚式の名所としても有名。巨大な尖塔を持つモスクワ大学もこのエリア。モスクワ大学はセブン・シスターズでも最大の規模で、尖塔の高さは236mに達する。

Lomonosov Moscow State University (MGU) (トリップアドバイザー提供)

そしていよいよ中心の中の中心、クレムリンと赤の広場へ。

モスクワのクレムリン (トリップアドバイザー提供)
クレムリンは城壁で囲まれた部分だけでも面積26万平方メートル(東京ドーム5個分以上)という広大さ。宮殿、尖塔などの史跡から大統領官邸までが集まるロシアのへそ。中心部のウスペンスキー大聖堂は壮麗なフレスコ画で有名。武器庫やダイヤモンド庫といった見どころも。
赤の広場は、それを取り囲むクレムリン、レーニン廟、歴史博物館、聖ワシリイ、グム百貨店といったロシアを代表する美しい建物に囲まれている。広場の中心でのんびりと歴史を想像したい。

赤の広場 (トリップアドバイザー提供)


グム百貨店 (トリップアドバイザー提供)


郊外観光では壮麗な聖セルギエフ大修道院が有名なセルギエフ・ポサードに立ち寄りたい。市中心から北東に70kmほどで、日帰りツアーでも行くことができる。
北東方面は黄金の環と呼ばれる歴史ある街が点在し、中でもウラジミールやスズダリは世界遺産が多く残ることから観光客も多い。

セルギエフパサド (トリップアドバイザー提供)

モダンなロシアに興味があるなら、市中心から東に30kmほどのシチョルコヴォへ。ここはロシアの宇宙開発拠点で、遠心加速器に乗ってロケットの加速度(G)体験が出来る。また、近くのモニノにはロシア最大の航空博物館、モニノ空軍博物館がある。

シチョルコヴォ (Veltra提供)

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Hachapuriの写真
Hachapuri (トリップアドバイザー提供)

ロシアは土地が広大であり、食文化も多様。
有名なボルシチはウクライナの郷土料理が発祥。ビーフストロガノフやコトレータ(カツレツ)は西欧の影響が強い。餃子そっくりなペリメニや肉の串焼きなどはアジアや中東と共通性がある。
モスクワの属する西側地方では貴族的な文化が発達し、近代にフランスやオーストリアの出稼ぎコックを招き入れてきた経緯からフランス料理の影響を残した豪華な食文化が残っている。コース料理の配膳方法は、寒冷地で料理を温かいうちに個別に出すというロシアでの影響がフランスに逆輸入され、世界に広まったもの。

ロシア料理全般では、寒冷地であり保存食を多用することや、煮込み・スープ料理の豊富さに特徴がある。味付けは塩やサワークリームの風味をいかしたシンプルなもの。ビーツ、ライ麦、サワークリーム、様々な香草などは多くの皿に顔を出す食材。

ロシアを代表する飲み物は紅茶と度数の高い蒸留酒であるウォッカ。日本ではジャムを入れるとされているロシアンティーだが、現地ではジャムはお茶請けに供するものであり混ぜて飲むわけではない。実際にはコーヒーやワイン、ビールといった醸造酒も多く飲まれている。

Turandotの写真
Turandot (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
モスクワの空港は3つだが、日本からの国際便があるのは2つ、ドモジェドヴォ国際空港とシェレメチェボ国際空港。

モスクワへの直行便は日本航空の成田-ドモジェドヴォ便が週4日(月水金日)。ロシアのS7航空とのコードシェアとなっている。
ロシアのフラッグ・キャリアであるアエロフロートが成田-シェレメチェボ便を毎日運行している。
アエロフロートはモスクワを経由してロンドン、パリなどのヨーロッパ主要都市を結んでおり、高確率で欧州行きの最安値をたたき出すことで一部に有名。

また、夏期のみ(13年は5/25~9/29)トランスアエロ航空が成田-ドモジェドヴォ便を就航している。週1~2便程度。

欧州の都市を経由する場合は無数に選択肢があるが、費用的・所要時間的にモスクワ直行便が最も合理的。ポピュラーなルートはヘルシンキやウィーンなど。フィンランド航空は直行便が豊富。北欧からサンクトペテルブルグに向かい、国内線でモスクワというルートも。

(陸路・海路)
陸路で有名なのは北京とモスクワを結ぶ中露国際鉄道。総距離7,900km、5泊にわたる鉄道旅行となる。
船で中国に渡り、鉄道を使えば航空機を使わずにヨーロッパに行くことが出来る。かつては最も安くヨーロッパに向かう手段として(またはヨーロッパの旅行者がもっとも安くアジアに向かう手段として)バックパッカーに利用された。もちろん現在でも乗ることが出来る。
ロシアに直行する船舶は境港からウラジオストクに向かうものもある。

(パッケージツアー)
アエロフロート利用の4泊5日ツアーが燃油込みで最安14万円程度。サンクトペテルブルグを周遊すると20万程度になる(1人参加はいずれもプラス5万円程度)。
ホテル代の高さや後述するビザ取得の手間を考えると、パッケージツアーの利点は高い。現地フリーのツアーであれば個人旅行と自由度も大差なく、後述するバウチャー、ビザの手間も省ける。

(空港)
上述通り、モスクワの空港は3つ。

ドモジェドヴォ国際空港(DME)
JAL便が到着するモスクワ最大の空港。モスクワ中心部から南に36km。
空港からは高速鉄道(Aeroexpress)が便利。午前5時から深夜0時半まで30分おきに運行し、中心部のパヴェレツ(Paveletskaya)駅まで45分。料金は320ルーブル。
タクシーの場合は市中心部まで1~2時間程度。モスクワ市内は慢性的に渋滞している。到着ロビー内のタクシーカウンターで手配する。料金はメーターでは無く、目的地によって決まるゾーン制をとっているため定額。市中心までおおよそ2,000ルーブル。声がけしてくるのは白タク、相手にしてはいけない。
他に、マルシュルートカ(Marshrutka)という乗り合いバスや、リムジンバスがあり、それぞれ地下鉄ドモジェドフスカヤ駅までを結んでいる。所要40分程度、80ルーブル。
高速鉄道の運行時間外の到着や、地下鉄の駅からホテルが遠い場合には送迎を頼んでおいた方が無難。

シェレメチェボ国際空港(SVO)
アエロフロート便の到着する空港。モスクワ中心部より北西におよそ29km。かつては古くてサービスの悪い社会主義スタイルの権化のような空港だったが、ターミナルは近代化し高速鉄道が直結するなど、利便性を高めている。2013年にはチューリッヒやレイキャビークを抑え欧州地区のエアポート・サービス・クオリティ・アワードを受賞した。

市内への交通手段・費用・所要時間はドモジェドヴォ空港とほぼ同じ。

ヴヌコヴォ国際空港(VKO)
モスクワ中心部から南西に28km。開港は1941年と第二次大戦のまっただ中。ウクライナ、トルコなど一部の国際線と国内線がメイン。
開港こそ古いものの、改修されたターミナルは近代的で機能的。
市の中心まではやはり高速鉄道が結んでおり、アクセスに支障は無い。




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地理と気候

モスクワとの時差はマイナス5時間。日本の正午が午前7時。サマータイムは2011年に廃止され、現在は無い。

北緯55度に位置し、欧州の主要都市の中でも高緯度に位置する。内陸に位置し、冬の寒さは非常に厳しい。
ベストシーズンは夏場の6月~8月。
10月から3月は昼でもマイナス気温となる。ただしモスクワは年末年始冬の芸術祭で混み合う。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はロシア語。独特のキリル文字を用い、文法も難解な言語として知られる。

街中に英語の表示は少なく、観光客を相手にするような場所を除けば英語はほぼ通じない。ホテル、カフェ、チケット売場などが英語で問題無い。外国語が義務教育で必修化されていることから、若者には英語が通じることもある。

通貨はルーブル(RUB)。1ルーブル=2.3円(14年12月時点)。およそ2~3円と覚えておけばよい。

(Wikipedia提供)

ロシアの1人あたりGDPは日本の半分以下だが、物価はかなり高め。
Tripadvisorの「旅行者物価指数」によると、ホテル・タクシー・ディナー・カクテル代すべて東京とほぼ同じ水準となっている。

Tripadvisorは外国人料金が考慮されているかどうか不明だが、旅行代理店などを通した場合のホテル代は東京よりも遙かに高い。
比較的安いのは食品類で、ペットボトルの水が20ルーブル、牛乳が40ルーブル、ビールが30ルーブル程度。ただし外食は高めで、カフェのコーヒーが200ルーブル、ランチは600ルーブル程度が相場。タクシー代は日本とほぼ同じ。
 
商品価格には18%の消費税(VAT:Value Added Tax)が上乗せされている。旅行者向けの還付制度はない。

両替は万国共通でATMによる国際キャッシングが有利。
日本国内でロシアルーブルが両替出来る場所は、成田空港もしくはトラベレックスなど限られている。
日本円からの両替は空港で出来る可能性があるが、両替所に日本円の在庫があるかどうかは不確実。米ドルもしくはユーロを持参した方が良い。
ロシア国内ではルーブルでの支払いが義務づけられている。
再両替は紙幣のみ、両替時にもらう両替証明書が必要。再両替のレートは一般に良くない。

基本的には現金社会で、クレジットカードが使える場所は多くない。旅行者が訪れる高めのレストラン、ホテル、高級ブランド店、グム百貨店の一部の店など。その場合でもVISAかMASTERを推奨。

もともとチップの習慣はあまりなかったが、高級レストランでは代金の10%程度。サービス料が加算されていれば不要。ポーターには30~50ルーブル程度。公衆トイレは有料制。


治安

残念ながらそれほど安全とはいえない状況。
旅行者をねらった犯罪としては、スリ、置き引き、詐欺、スキミングなど。暴行や拳銃を利用した強盗事件も少なくない。夜間の1人歩きは避けること。
写真撮影に関するトラブルもあり、軍事施設や官庁、空港、駅、鉄道鉄橋などにはカメラを向けない方がよい。軍人や警察官も写真は避けた方が無難。不良警官が多く、タカリの口実をあたえるはめになる。パスポートやビザの常時携帯も必須。

民族問題を背景にしたテロが大都市でもたびたび発生しており、2010年には地下鉄で、2011年にはドモジェドヴォ国際空港で多数の死者を出す爆発が起きている。
また、排外主義的なグループがアジア系の外国人を襲うという事件も報道されている。スキンヘッドの集団やサッカーのサポーターなどには近づかないこと。
ヒットラーの誕生日(4/20)、メーデー(5/1~2)、戦勝記念日(5/9)、民族統一の日・10月革命記念日(11月初頭)は酔っ払いが増えたり排外主義的グループが活発化するなど危険な時期。


【ロシア超特別編:ビザと個人手配について】

他の情報と同様、本項はメルマガ発行時点の調査にもとづきます。他の項目にもまして、ビザや入国関連の手続きは急に制度が変わる可能性があります。出入国の手続きについては必ずご自身での確認をお願いいたします。また、以下にご紹介する「空バウチャー」での入国は自己責任でお願いいたします。

全ての旅行者はビザが必要。
ロシア個人旅行の最大の難関がビザと言われている。

観光ビザの申請には、旅行会社が発行する旅行確認書・バウチャーが必要となり、観光ルート・移動手段・宿泊場所・観光プログラム・支払済み証明などの記載が必須。このため、モスクワについてふらりと宿を探す…ということは事実上不可能となっている。

また、郵送申請不可能で直接5箇所の領事部(東京、札幌、函館、大阪、新潟の5箇所)に持ち込む必要があるというところもハードルをかさ上げしている。
さらに、申請時間は平日の9:30~12:30まで。朝から大量のパスポートを抱えた旅行代理店の担当者が順番待ちしている中、処理速度は旧ソ連さながらの非効率で、12:30になると何十名順番待ちがいようと問答無用で窓口閉鎖という理不尽さ。
ビザ申請自体は無料だが、10営業日以内の発行は4,000円、3営業日で1万円と、急ぎになるほど手数料がかさむ仕組み。

以上のような事情のため、パッケージツアーを利用するか、個人旅行であってもビザ・ホテル・移動含めた手配一式をロシアに強い旅行代理店に依頼するのが主流となっている。
旅行代理店は、鉄道やホテルの手配に加えビザ発行を1万円程度で行ってくれる。

現実に英語が通じにくく移動が難しいこともあり、パッケージツアーの利便性は高い。

難点は、ホテルの選択肢がほとんどないこと。モスクワは後述する通り世界一ホテル代が高い都市と言われるほどで、旅行会社の用意するホテルはおおむね高め。その割には古く不便な場所にあったりする。そもそも当局が「外国人が泊まってもよいホテル」をある程度高級なものにしぼっているためやむを得ないのだが、行く気が起きないほど高ければ意味が無い…。

実際にはExpediaなどで手ごろな価格のホテルもある。そういったホテルを自由に選びたい、なるべく安くあげたい、どうしてもおしきせの旅はしたくないという場合は、裏技として空バウチャーを発行してくれる代行業者の存在がある。このバウチャーに記載されたホテル・旅程を出国時にチェックするようなことはない(ではいったい何のための制度…)。
とりあえず、この空バウチャーがあれば申請書類は整うので、それを持ってロシア大使館に個人でビザ申請することは可能。
実際にビザに掲載される情報は滞在都市と滞在期間。有効期限内であれば出入国日がずれても良く、フライト情報がビザに記載されることはない(したがって入国時にチェックされるようなこともない)。ホテルの宿泊証明もビザに記載されるわけではない。したがって、バウチャーさえあれば航空便やホテルは自由に個人手配できる。

確実さを求めるならビザ申請代行業者を利用する手も。ホテルを自分で選んだ場合は、そのホテルに招待状を発行してもらい、代行業者にその情報を伝える。
ロシアビザセンターは、ホテルも航空券の予約も全く不要でビザ申請を受けてくれる。

ロシアに3日以上滞在する場合には外国人登録(レギストラーツィヤ)が必要。通常ホテルに依頼する。
知人宅などに滞在する場合には、受け入れ先に当地の郵便局・役所などでの申請を依頼する。この登録証を携帯していないことで悪徳警官にたかられたという事例も発生している。


市内交通

(タクシー)
正規のタクシーは黄色い車体、ドアや天井にサインが付いている。料金はメーター制だが各社統一されていない。20ルーブル/1km程度。
街頭には白タクの方が多い。値段は交渉制。
道路事情は悪く、慢性的に渋滞している。

(地下鉄)
モスクワのメトロは11路線、総延長300kmを超え、乗客もおよそ650万人/日と世界2位の規模(世界1位は東京;総延長330km・乗客870万人/日)。古くに建てられた駅はロシア様式の建築美が見物。
地下鉄はロシア鉄道と同じ1,520mmの超広軌だが、車両自体は日本の地下鉄と変わらない。

モスクワ メトロ (トリップアドバイザー提供)


モスクワ メトロ (トリップアドバイザー提供)

案内はロシア語のみで、薄暗く地下深い。ロシア語の路線図を持っていると便利。
キップはカード式、料金は距離にかかわらず統一で、1回券28ルーブル。10回券265ルーブル。このほかにICカード式もある。自動改札にカードをタッチしてホーム側に入る。

(鉄道)
モスクワ市内の主要駅は9つ。長距離列車のターミナル駅となっており、行き先の地名にちなんで名づけられている(レニングラード駅はレニングラード行き)。したがって、モスクワにモスクワ駅は無い。ターミナル駅は地下鉄駅と近く乗り換えは便利。

キップは、ツアー会社を経由した場合日本で発券されている。
現地の窓口でもパスポートを提示し購入は可能で、当然現地の方が大幅に安い。ただし行き先、席クラス、日付などで価格が異なる複雑な体系で、ロシア語が話せないと購入は困難。
改札はなく、直接プラットホームに向かい自分の登場する列車を待つ仕組み。駅構内にホームと列車の対応が掲載されているがロシア語なので注意。

ロシアは鉄道大国で、駅や車両は絵になるが撮影は厳禁。また、ターミナル駅周辺の治安はあまり良くない。

近郊列車であれば自動販売機でキップを購入可能。

(バス・トラム)
トラム、トローリーバス、路線バスが市内を縦横に結んでおり、キップも料金体系も共通。
キップは街のあちこちにあるキオスクで売られており、路線図も購入できる。メトロと同じく定額制で1回25ルーブル。
運転手から購入すると28ルーブルと高いが、降りるバス停で教えてくれるので便利。
先頭一番前のドアから乗車し、自動改札機にキップを通して印字、バーを押して印字後のキップを受け取り乗車する仕組み。
マルシュルートカという乗り合いバスもある。料金は30ルーブル程度で、バスのキップは使えない。

メトロ3号線終点のシチョールコフスカヤ駅に巨大な長距離バスターミナルがある。窓口でキップを買う定員制。


ホテル

ビザの件で触れた通り、モスクワのホテル代は世界一高いと言われ、清貧を常とする個人旅行者には厳しい。
イギリスのB2B旅行代理店、ホッグ・ロビンソン・グループ(Hogg Robinson Group)の調査によると、モスクワの商用利用の平均宿泊費は1泊263ユーロとニューヨークやパリを抑えて1位(ちなみに2位はナイジェリアのラゴスで234ユーロ!)。

商用で泊まるのは比較的ランクの高いホテルが多いと思われるが、個人旅行者の選択肢も少ない。最低でも概ね一泊2万円は見ておいた方が良く、一泊5万、7万というホテルもめずらしくない。

ホテルがパッケージとなったツアーであればビザの申請も含め何も考える必要は無いが、その分費用は不明瞭になる。

もう少し自由に選びたい場合は個別手配となる。旅行代理店が、外国人が宿泊可能なホテルのリストを用意しておりそこから選ぶことになる。価格は外国人料金で高めだが費用の透明性はある。ただし、ExpediaやTripadvisorなどのサイトに出ている人気のホテルがリストに無かったり、料金が違ったりといったことも。

「Expediaとかでホテルを自由に選べないの?」
もちろん可能。その場合はホテル情報をビザ代行業者に伝えるか、空バウチャーでビザ申請することになる。
モスクワ市は広いので、ネットで予約する場合は交通の便を良く確認しておきたい。
ホステルやAirbnbの場合は、ビザ申請の際の記入方法などを宿(ホスト)に確認しておこう。

宿泊時は、外国人登録(レギストラーツィヤ)の手続きを忘れずに。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ロシア全土をカバーしている携帯会社はヴィンペルコム(ブランド:Beeline)、メガフォン(Megafone、Yota[LTEネットワーク])、モバイル・テレシステムズ(MTS)など。
国土が広大なので、州(エリア)を超えるとローミング扱いになる。

後述の通り、公衆無線LAN網が充実しているため、インターネット接続のみであればそちらを選択するという手も。3Gはあまり速くない。

ネット上で「最もおすすめ」とされているのがアジアでもよく見かけるBeeline(元はロシア資本)。料金プランは、1ヶ月300メガ150ルーブル、同2ギガ390ルーブル、同3ギガ600ルーブルなど。
MTSは1日無制限50ルーブル、1ヶ月3ギガ350ルーブルなど。
Megafonは1日無制限24ルーブル(200メガ以降速度制限)、2ギガ210ルーブルなど。
初期費用(SIM代)がおおむね200ルーブル程度。

大手携帯販売店、Euroset(表記:Евросеть)の店舗がドモジェドヴォ国際空港やシェレメチェボ空港にあり、各社のプリペイドSIMを購入できる。

(Euroset看板)

モスクワでの滞在期間やモスクワ以外の滞在地(あれば)を伝え、英語表記にしたSIMフリー端末を出してプランを選んでもらい、設定まで依頼する。
シェレメチェボには、Eurosetとは別の大手販売店のSvyaznoy(Связной)がある他、Beeline、Megafon、MTSの各キャリアのカウンターもある。

(Svyaznoy社看板)

(WiFi)
WiFiの充実度は素晴らしく、カフェ、バー、鉄道駅、さらには地下鉄車内(2014年12月にサービススタートしたばかり)など、多くの場所でWiFiが通じている。他国同様にマクドナルド、スターバックスでも使える。
ホテルのWifiは有料で高いことも。

市街の多くの地点をBeeline(Gloden Telecom)による公衆無線LANがカバーしている。有料スポットと無料スポットがあり、有料プランの選択肢は、1ヶ月500ルーブル、1日100ルーブル、1時間あたり50ルーブルの3種類。

ドモジェドヴォ国際空港、シェレメチェボ空港それぞれで無線LANを提供している。

4. 世界あの街この街: モスクワ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第36回 モスクワ

聖ワシリイ大聖堂の写真
聖ワシリイ大聖堂 (トリップアドバイザー提供)

ロシア連邦・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

クレムリン、赤の広場、聖ワシリイ教会など壮大で豪華な史跡が数多く存在し、他の欧州の大都市とはひと味違った独特の雰囲気が人気。
美術館のように美しいというメトロやグム百貨店も評価が高い。社会主義的な史跡やアートに興味があれば、クレムリンの武器庫やレーニン廟、KGB博物館、そしてセブン・シスターズと呼ばれる高層建築を巡ってみるのもいいかも。

モスクワ市の面積は994km2と広大。東京都(23区の面積は621m2)と地図を重ねてみると、モスクワ市の市境となる大環状道路は東京外環自動車道の更に外側に位置している。クレムリンを中心に環状道路が囲み、放射状に道路が郊外に延びている構造となっている。
ただし観光客にとっての見どころは中心部に集中しており、メトロが張り巡らされているので移動は便利。
モスクワGoogle-マップ
(画像:Google、編集:tabinote)


街歩きは、クレムリンを中心に考えると迷いにくい。
まずは、クレムリンを背にして北東から。このエリアはモスクワで最も古い街区で、古い建物や城壁跡が残っている。放射状に伸びるミャスニースカヤ通り(肉屋通りの意味)およびマシ・ポリヴァエヴォイ通り目印にすると迷いにくい。旧KGB本部やモスクワ中央郵便局、工業技術博物館などいかにもロシア的な、重厚でクラシックな建物が並ぶ。
通りを北東に進むとサンクトペテルブルクに向かうレニングラード駅、その前にそびえ建つヒルトン・モスクワはセブン・シスターズ(※)と呼ばれたスターリン時代の7大高層建築の1つ。近くの運輸機関建設省(鉄道省)も同じくセブン・シスターズの1つ。
※社会主義の優位性を示すべく表現された重厚で権威的な建築様式。


ヒルトン モスクワ レニングラードスカヤ (トリップアドバイザー提供)

続いて市の北西部、クレムリンとベラルーシ駅とをつなぐモスクワ一の目抜き通り、トゥヴェルスカヤ通り(レニングラード通り)へ。街路沿いはレストランやブランドショップ、劇場、コンサートホール、博物館などが建ち並び、いつも大勢の人と車でにぎわう。ボリショイ劇場はクレムリンのちょうど真北あたり。
赤の広場を背に北西、リッツカールトンから歩き始めればモスクワ芸術座、エルモーロワ劇場など風格ある建物が並んでいる。芸術座の付近はレストラン街となっており、英語メニューも多いので安心。エリセーフスキーは帝政時代からの有名な食料品店で、華麗な内装が有名。エリセーフスキーの北にはプシーキン広場があり、ここのマクドナルドはロシア第1号店。

Yeliseev’s Food Hall (Yeliseevskiy Gastronom) (トリップアドバイザー提供)

北西部から逆時計回りに南下し市の西部へ。
プシーキン広場から環状路の美しいノヴィンスキー並木通りを西に向かう。この通りとその内側(クレムリン側)には小さな博物館が多い。ゴーリキーの家博物館、トルストイの家博物館、チェーホフの家博物館、さらにはマトリョーシカ博物館など硬軟問わず多くのミュージアムがある。
なお、すぐ近くにゴーリキー博物館、トルストイ博物館というものが別にあるのでファンの方は要注意。
ノヴィンスキー通りの外側、ひときわ高い尖塔はセブン・シスターズの文化人アパート。

アルバート通り (トリップアドバイザー提供)

そして市の南西部へ移動。ノヴィンスキー並木通りは、セブン・シスターズの一角である外務省を過ぎるとスモレンスキー通りと名を変える。この通りの内側はやはり博物館や美術館、レストランの建ち並ぶ人気のエリアで、モスクワのサン・ジェルマンと呼ばれる。このエリアのシンボルは救世主キリスト聖堂。街歩きも楽しいが、ここではせっかくなので世界に誇るモスクワの美術館を見学したい。ロシア美術の殿堂トレチャコフ美術館、ルノアールやモネなど印象派の世界的コレクションで知られるプシーキン記念美術館はこのあたり。

トレチャコフ美術館 (クリムスキー・ヴァル) (トリップアドバイザー提供)

更に南西に向かうと雀が丘と呼ばれる高台の地域になっており、展望台から市街を見渡すことが出来る。結婚式の名所としても有名。巨大な尖塔を持つモスクワ大学もこのエリア。モスクワ大学はセブン・シスターズでも最大の規模で、尖塔の高さは236mに達する。

Lomonosov Moscow State University (MGU) (トリップアドバイザー提供)

そしていよいよ中心の中の中心、クレムリンと赤の広場へ。

モスクワのクレムリン (トリップアドバイザー提供)
クレムリンは城壁で囲まれた部分だけでも面積26万平方メートル(東京ドーム5個分以上)という広大さ。宮殿、尖塔などの史跡から大統領官邸までが集まるロシアのへそ。中心部のウスペンスキー大聖堂は壮麗なフレスコ画で有名。武器庫やダイヤモンド庫といった見どころも。
赤の広場は、それを取り囲むクレムリン、レーニン廟、歴史博物館、聖ワシリイ、グム百貨店といったロシアを代表する美しい建物に囲まれている。広場の中心でのんびりと歴史を想像したい。

赤の広場 (トリップアドバイザー提供)


グム百貨店 (トリップアドバイザー提供)


郊外観光では壮麗な聖セルギエフ大修道院が有名なセルギエフ・ポサードに立ち寄りたい。市中心から北東に70kmほどで、日帰りツアーでも行くことができる。
北東方面は黄金の環と呼ばれる歴史ある街が点在し、中でもウラジミールやスズダリは世界遺産が多く残ることから観光客も多い。

セルギエフパサド (トリップアドバイザー提供)

モダンなロシアに興味があるなら、市中心から東に30kmほどのシチョルコヴォへ。ここはロシアの宇宙開発拠点で、遠心加速器に乗ってロケットの加速度(G)体験が出来る。また、近くのモニノにはロシア最大の航空博物館、モニノ空軍博物館がある。

シチョルコヴォ (Veltra提供)

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Hachapuri (トリップアドバイザー提供)

ロシアは土地が広大であり、食文化も多様。
有名なボルシチはウクライナの郷土料理が発祥。ビーフストロガノフやコトレータ(カツレツ)は西欧の影響が強い。餃子そっくりなペリメニや肉の串焼きなどはアジアや中東と共通性がある。
モスクワの属する西側地方では貴族的な文化が発達し、近代にフランスやオーストリアの出稼ぎコックを招き入れてきた経緯からフランス料理の影響を残した豪華な食文化が残っている。コース料理の配膳方法は、寒冷地で料理を温かいうちに個別に出すというロシアでの影響がフランスに逆輸入され、世界に広まったもの。

ロシア料理全般では、寒冷地であり保存食を多用することや、煮込み・スープ料理の豊富さに特徴がある。味付けは塩やサワークリームの風味をいかしたシンプルなもの。ビーツ、ライ麦、サワークリーム、様々な香草などは多くの皿に顔を出す食材。

ロシアを代表する飲み物は紅茶と度数の高い蒸留酒であるウォッカ。日本ではジャムを入れるとされているロシアンティーだが、現地ではジャムはお茶請けに供するものであり混ぜて飲むわけではない。実際にはコーヒーやワイン、ビールといった醸造酒も多く飲まれている。

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Turandot (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
モスクワの空港は3つだが、日本からの国際便があるのは2つ、ドモジェドヴォ国際空港とシェレメチェボ国際空港。

モスクワへの直行便は日本航空の成田-ドモジェドヴォ便が週4日(月水金日)。ロシアのS7航空とのコードシェアとなっている。
ロシアのフラッグ・キャリアであるアエロフロートが成田-シェレメチェボ便を毎日運行している。
アエロフロートはモスクワを経由してロンドン、パリなどのヨーロッパ主要都市を結んでおり、高確率で欧州行きの最安値をたたき出すことで一部に有名。

また、夏期のみ(13年は5/25~9/29)トランスアエロ航空が成田-ドモジェドヴォ便を就航している。週1~2便程度。

欧州の都市を経由する場合は無数に選択肢があるが、費用的・所要時間的にモスクワ直行便が最も合理的。ポピュラーなルートはヘルシンキやウィーンなど。フィンランド航空は直行便が豊富。北欧からサンクトペテルブルグに向かい、国内線でモスクワというルートも。

(陸路・海路)
陸路で有名なのは北京とモスクワを結ぶ中露国際鉄道。総距離7,900km、5泊にわたる鉄道旅行となる。
船で中国に渡り、鉄道を使えば航空機を使わずにヨーロッパに行くことが出来る。かつては最も安くヨーロッパに向かう手段として(またはヨーロッパの旅行者がもっとも安くアジアに向かう手段として)バックパッカーに利用された。もちろん現在でも乗ることが出来る。
ロシアに直行する船舶は境港からウラジオストクに向かうものもある。

(パッケージツアー)
アエロフロート利用の4泊5日ツアーが燃油込みで最安14万円程度。サンクトペテルブルグを周遊すると20万程度になる(1人参加はいずれもプラス5万円程度)。
ホテル代の高さや後述するビザ取得の手間を考えると、パッケージツアーの利点は高い。現地フリーのツアーであれば個人旅行と自由度も大差なく、後述するバウチャー、ビザの手間も省ける。

(空港)
上述通り、モスクワの空港は3つ。

ドモジェドヴォ国際空港(DME)
JAL便が到着するモスクワ最大の空港。モスクワ中心部から南に36km。
空港からは高速鉄道(Aeroexpress)が便利。午前5時から深夜0時半まで30分おきに運行し、中心部のパヴェレツ(Paveletskaya)駅まで45分。料金は320ルーブル。
タクシーの場合は市中心部まで1~2時間程度。モスクワ市内は慢性的に渋滞している。到着ロビー内のタクシーカウンターで手配する。料金はメーターでは無く、目的地によって決まるゾーン制をとっているため定額。市中心までおおよそ2,000ルーブル。声がけしてくるのは白タク、相手にしてはいけない。
他に、マルシュルートカ(Marshrutka)という乗り合いバスや、リムジンバスがあり、それぞれ地下鉄ドモジェドフスカヤ駅までを結んでいる。所要40分程度、80ルーブル。
高速鉄道の運行時間外の到着や、地下鉄の駅からホテルが遠い場合には送迎を頼んでおいた方が無難。

シェレメチェボ国際空港(SVO)
アエロフロート便の到着する空港。モスクワ中心部より北西におよそ29km。かつては古くてサービスの悪い社会主義スタイルの権化のような空港だったが、ターミナルは近代化し高速鉄道が直結するなど、利便性を高めている。2013年にはチューリッヒやレイキャビークを抑え欧州地区のエアポート・サービス・クオリティ・アワードを受賞した。

市内への交通手段・費用・所要時間はドモジェドヴォ空港とほぼ同じ。

ヴヌコヴォ国際空港(VKO)
モスクワ中心部から南西に28km。開港は1941年と第二次大戦のまっただ中。ウクライナ、トルコなど一部の国際線と国内線がメイン。
開港こそ古いものの、改修されたターミナルは近代的で機能的。
市の中心まではやはり高速鉄道が結んでおり、アクセスに支障は無い。




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地理と気候

モスクワとの時差はマイナス5時間。日本の正午が午前7時。サマータイムは2011年に廃止され、現在は無い。

北緯55度に位置し、欧州の主要都市の中でも高緯度に位置する。内陸に位置し、冬の寒さは非常に厳しい。
ベストシーズンは夏場の6月~8月。
10月から3月は昼でもマイナス気温となる。ただしモスクワは年末年始冬の芸術祭で混み合う。


(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はロシア語。独特のキリル文字を用い、文法も難解な言語として知られる。

街中に英語の表示は少なく、観光客を相手にするような場所を除けば英語はほぼ通じない。ホテル、カフェ、チケット売場などが英語で問題無い。外国語が義務教育で必修化されていることから、若者には英語が通じることもある。

通貨はルーブル(RUB)。1ルーブル=2.3円(14年12月時点)。およそ2~3円と覚えておけばよい。

(Wikipedia提供)

ロシアの1人あたりGDPは日本の半分以下だが、物価はかなり高め。
Tripadvisorの「旅行者物価指数」によると、ホテル・タクシー・ディナー・カクテル代すべて東京とほぼ同じ水準となっている。

Tripadvisorは外国人料金が考慮されているかどうか不明だが、旅行代理店などを通した場合のホテル代は東京よりも遙かに高い。
比較的安いのは食品類で、ペットボトルの水が20ルーブル、牛乳が40ルーブル、ビールが30ルーブル程度。ただし外食は高めで、カフェのコーヒーが200ルーブル、ランチは600ルーブル程度が相場。タクシー代は日本とほぼ同じ。
 
商品価格には18%の消費税(VAT:Value Added Tax)が上乗せされている。旅行者向けの還付制度はない。

両替は万国共通でATMによる国際キャッシングが有利。
日本国内でロシアルーブルが両替出来る場所は、成田空港もしくはトラベレックスなど限られている。
日本円からの両替は空港で出来る可能性があるが、両替所に日本円の在庫があるかどうかは不確実。米ドルもしくはユーロを持参した方が良い。
ロシア国内ではルーブルでの支払いが義務づけられている。
再両替は紙幣のみ、両替時にもらう両替証明書が必要。再両替のレートは一般に良くない。

基本的には現金社会で、クレジットカードが使える場所は多くない。旅行者が訪れる高めのレストラン、ホテル、高級ブランド店、グム百貨店の一部の店など。その場合でもVISAかMASTERを推奨。

もともとチップの習慣はあまりなかったが、高級レストランでは代金の10%程度。サービス料が加算されていれば不要。ポーターには30~50ルーブル程度。公衆トイレは有料制。


治安

残念ながらそれほど安全とはいえない状況。
旅行者をねらった犯罪としては、スリ、置き引き、詐欺、スキミングなど。暴行や拳銃を利用した強盗事件も少なくない。夜間の1人歩きは避けること。
写真撮影に関するトラブルもあり、軍事施設や官庁、空港、駅、鉄道鉄橋などにはカメラを向けない方がよい。軍人や警察官も写真は避けた方が無難。不良警官が多く、タカリの口実をあたえるはめになる。パスポートやビザの常時携帯も必須。

民族問題を背景にしたテロが大都市でもたびたび発生しており、2010年には地下鉄で、2011年にはドモジェドヴォ国際空港で多数の死者を出す爆発が起きている。
また、排外主義的なグループがアジア系の外国人を襲うという事件も報道されている。スキンヘッドの集団やサッカーのサポーターなどには近づかないこと。
ヒットラーの誕生日(4/20)、メーデー(5/1~2)、戦勝記念日(5/9)、民族統一の日・10月革命記念日(11月初頭)は酔っ払いが増えたり排外主義的グループが活発化するなど危険な時期。


【ロシア超特別編:ビザと個人手配について】

他の情報と同様、本項はメルマガ発行時点の調査にもとづきます。他の項目にもまして、ビザや入国関連の手続きは急に制度が変わる可能性があります。出入国の手続きについては必ずご自身での確認をお願いいたします。また、以下にご紹介する「空バウチャー」での入国は自己責任でお願いいたします。

全ての旅行者はビザが必要。
ロシア個人旅行の最大の難関がビザと言われている。

観光ビザの申請には、旅行会社が発行する旅行確認書・バウチャーが必要となり、観光ルート・移動手段・宿泊場所・観光プログラム・支払済み証明などの記載が必須。このため、モスクワについてふらりと宿を探す…ということは事実上不可能となっている。

また、郵送申請不可能で直接5箇所の領事部(東京、札幌、函館、大阪、新潟の5箇所)に持ち込む必要があるというところもハードルをかさ上げしている。
さらに、申請時間は平日の9:30~12:30まで。朝から大量のパスポートを抱えた旅行代理店の担当者が順番待ちしている中、処理速度は旧ソ連さながらの非効率で、12:30になると何十名順番待ちがいようと問答無用で窓口閉鎖という理不尽さ。
ビザ申請自体は無料だが、10営業日以内の発行は4,000円、3営業日で1万円と、急ぎになるほど手数料がかさむ仕組み。

以上のような事情のため、パッケージツアーを利用するか、個人旅行であってもビザ・ホテル・移動含めた手配一式をロシアに強い旅行代理店に依頼するのが主流となっている。
旅行代理店は、鉄道やホテルの手配に加えビザ発行を1万円程度で行ってくれる。

現実に英語が通じにくく移動が難しいこともあり、パッケージツアーの利便性は高い。

難点は、ホテルの選択肢がほとんどないこと。モスクワは後述する通り世界一ホテル代が高い都市と言われるほどで、旅行会社の用意するホテルはおおむね高め。その割には古く不便な場所にあったりする。そもそも当局が「外国人が泊まってもよいホテル」をある程度高級なものにしぼっているためやむを得ないのだが、行く気が起きないほど高ければ意味が無い…。

実際にはExpediaなどで手ごろな価格のホテルもある。そういったホテルを自由に選びたい、なるべく安くあげたい、どうしてもおしきせの旅はしたくないという場合は、裏技として空バウチャーを発行してくれる代行業者の存在がある。このバウチャーに記載されたホテル・旅程を出国時にチェックするようなことはない(ではいったい何のための制度…)。
とりあえず、この空バウチャーがあれば申請書類は整うので、それを持ってロシア大使館に個人でビザ申請することは可能。
実際にビザに掲載される情報は滞在都市と滞在期間。有効期限内であれば出入国日がずれても良く、フライト情報がビザに記載されることはない(したがって入国時にチェックされるようなこともない)。ホテルの宿泊証明もビザに記載されるわけではない。したがって、バウチャーさえあれば航空便やホテルは自由に個人手配できる。

確実さを求めるならビザ申請代行業者を利用する手も。ホテルを自分で選んだ場合は、そのホテルに招待状を発行してもらい、代行業者にその情報を伝える。
ロシアビザセンターは、ホテルも航空券の予約も全く不要でビザ申請を受けてくれる。

ロシアに3日以上滞在する場合には外国人登録(レギストラーツィヤ)が必要。通常ホテルに依頼する。
知人宅などに滞在する場合には、受け入れ先に当地の郵便局・役所などでの申請を依頼する。この登録証を携帯していないことで悪徳警官にたかられたという事例も発生している。


市内交通

(タクシー)
正規のタクシーは黄色い車体、ドアや天井にサインが付いている。料金はメーター制だが各社統一されていない。20ルーブル/1km程度。
街頭には白タクの方が多い。値段は交渉制。
道路事情は悪く、慢性的に渋滞している。

(地下鉄)
モスクワのメトロは11路線、総延長300kmを超え、乗客もおよそ650万人/日と世界2位の規模(世界1位は東京;総延長330km・乗客870万人/日)。古くに建てられた駅はロシア様式の建築美が見物。
地下鉄はロシア鉄道と同じ1,520mmの超広軌だが、車両自体は日本の地下鉄と変わらない。

モスクワ メトロ (トリップアドバイザー提供)


モスクワ メトロ (トリップアドバイザー提供)

案内はロシア語のみで、薄暗く地下深い。ロシア語の路線図を持っていると便利。
キップはカード式、料金は距離にかかわらず統一で、1回券28ルーブル。10回券265ルーブル。このほかにICカード式もある。自動改札にカードをタッチしてホーム側に入る。

(鉄道)
モスクワ市内の主要駅は9つ。長距離列車のターミナル駅となっており、行き先の地名にちなんで名づけられている(レニングラード駅はレニングラード行き)。したがって、モスクワにモスクワ駅は無い。ターミナル駅は地下鉄駅と近く乗り換えは便利。

キップは、ツアー会社を経由した場合日本で発券されている。
現地の窓口でもパスポートを提示し購入は可能で、当然現地の方が大幅に安い。ただし行き先、席クラス、日付などで価格が異なる複雑な体系で、ロシア語が話せないと購入は困難。
改札はなく、直接プラットホームに向かい自分の登場する列車を待つ仕組み。駅構内にホームと列車の対応が掲載されているがロシア語なので注意。

ロシアは鉄道大国で、駅や車両は絵になるが撮影は厳禁。また、ターミナル駅周辺の治安はあまり良くない。

近郊列車であれば自動販売機でキップを購入可能。

(バス・トラム)
トラム、トローリーバス、路線バスが市内を縦横に結んでおり、キップも料金体系も共通。
キップは街のあちこちにあるキオスクで売られており、路線図も購入できる。メトロと同じく定額制で1回25ルーブル。
運転手から購入すると28ルーブルと高いが、降りるバス停で教えてくれるので便利。
先頭一番前のドアから乗車し、自動改札機にキップを通して印字、バーを押して印字後のキップを受け取り乗車する仕組み。
マルシュルートカという乗り合いバスもある。料金は30ルーブル程度で、バスのキップは使えない。

メトロ3号線終点のシチョールコフスカヤ駅に巨大な長距離バスターミナルがある。窓口でキップを買う定員制。


ホテル

ビザの件で触れた通り、モスクワのホテル代は世界一高いと言われ、清貧を常とする個人旅行者には厳しい。
イギリスのB2B旅行代理店、ホッグ・ロビンソン・グループ(Hogg Robinson Group)の調査によると、モスクワの商用利用の平均宿泊費は1泊263ユーロとニューヨークやパリを抑えて1位(ちなみに2位はナイジェリアのラゴスで234ユーロ!)。

商用で泊まるのは比較的ランクの高いホテルが多いと思われるが、個人旅行者の選択肢も少ない。最低でも概ね一泊2万円は見ておいた方が良く、一泊5万、7万というホテルもめずらしくない。

ホテルがパッケージとなったツアーであればビザの申請も含め何も考える必要は無いが、その分費用は不明瞭になる。

もう少し自由に選びたい場合は個別手配となる。旅行代理店が、外国人が宿泊可能なホテルのリストを用意しておりそこから選ぶことになる。価格は外国人料金で高めだが費用の透明性はある。ただし、ExpediaやTripadvisorなどのサイトに出ている人気のホテルがリストに無かったり、料金が違ったりといったことも。

「Expediaとかでホテルを自由に選べないの?」
もちろん可能。その場合はホテル情報をビザ代行業者に伝えるか、空バウチャーでビザ申請することになる。
モスクワ市は広いので、ネットで予約する場合は交通の便を良く確認しておきたい。
ホステルやAirbnbの場合は、ビザ申請の際の記入方法などを宿(ホスト)に確認しておこう。

宿泊時は、外国人登録(レギストラーツィヤ)の手続きを忘れずに。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ロシア全土をカバーしている携帯会社はヴィンペルコム(ブランド:Beeline)、メガフォン(Megafone、Yota[LTEネットワーク])、モバイル・テレシステムズ(MTS)など。
国土が広大なので、州(エリア)を超えるとローミング扱いになる。

後述の通り、公衆無線LAN網が充実しているため、インターネット接続のみであればそちらを選択するという手も。3Gはあまり速くない。

ネット上で「最もおすすめ」とされているのがアジアでもよく見かけるBeeline(元はロシア資本)。料金プランは、1ヶ月300メガ150ルーブル、同2ギガ390ルーブル、同3ギガ600ルーブルなど。
MTSは1日無制限50ルーブル、1ヶ月3ギガ350ルーブルなど。
Megafonは1日無制限24ルーブル(200メガ以降速度制限)、2ギガ210ルーブルなど。
初期費用(SIM代)がおおむね200ルーブル程度。

大手携帯販売店、Euroset(表記:Евросеть)の店舗がドモジェドヴォ国際空港やシェレメチェボ空港にあり、各社のプリペイドSIMを購入できる。

(Euroset看板)

モスクワでの滞在期間やモスクワ以外の滞在地(あれば)を伝え、英語表記にしたSIMフリー端末を出してプランを選んでもらい、設定まで依頼する。
シェレメチェボには、Eurosetとは別の大手販売店のSvyaznoy(Связной)がある他、Beeline、Megafon、MTSの各キャリアのカウンターもある。

(Svyaznoy社看板)

(WiFi)
WiFiの充実度は素晴らしく、カフェ、バー、鉄道駅、さらには地下鉄車内(2014年12月にサービススタートしたばかり)など、多くの場所でWiFiが通じている。他国同様にマクドナルド、スターバックスでも使える。
ホテルのWifiは有料で高いことも。

市街の多くの地点をBeeline(Gloden Telecom)による公衆無線LANがカバーしている。有料スポットと無料スポットがあり、有料プランの選択肢は、1ヶ月500ルーブル、1日100ルーブル、1時間あたり50ルーブルの3種類。

ドモジェドヴォ国際空港、シェレメチェボ空港それぞれで無線LANを提供している。