4. 世界あの街この街: シェムリアップ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第34回 シェムリアップ

Angkor_Wat_Sunrise
(画像:Wikipedia)

カンボジア王国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

アンコールワット観光の起点となる街で、近年発展がめざましい。バザールでの街歩きも人気で、物価も安いので長期滞在も。
シェムリアップの街歩きの中心はオールド・マーケット。
中心部の道は碁盤状になっているので、国道6号やシヴォタ通りといった主要道とシェムリアップ川の位置を掴んでおけばそれほど迷うことはない。
シェムリアップ国際空港 から Cambodia Landmine Museum   Google マップ
(画像:Google;A-空港、B-オールド・マーケット、C:シヴォタ通り、D:アンコールワット)

ホテルで荷物を置いたら、まずは6号沿いを通ってオールド・マーケットへ。
アジアの典型的な市場だが、地元民から観光客まで幅広い客層で活気がある。屋台で朝食を食べたり山盛りの果物や魚を見たりしながらぶらつけばいつの間にか時間が過ぎていく。雑貨やシルクなどの土産物屋も多い。

Psar Chaa – Old Market (トリップアドバイザー提供)

この界隈でおしゃれなカフェやレストランが集まる一角がパブ・ストリート。きれいめのレストランや屋台、土産物屋に両替、旅行代理店や書店までなんでもそろう観光客の御用達スポット。夜は更に賑やかになる。

Pub Street (トリップアドバイザー提供)

シヴォタ通り(Sivatha)はシェムリアップのメイン通り。ホテルやゲストハウスが多く集まり屋台が並ぶツーリストエリアとなっている。6号との交差点付近には近代的なモールやホテルが建ち並ぶ。
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Lucky Mall Shopping Center (画像:globaltravelmate.com)

なお、6号を東のシアヌーク・ヴィラ方面に歩くとオオコウモリが棲息していることで有名な木がある。日が暮れたら飛び立つ姿を見に行ってみよう。コウモリはフルーツバットと呼ばれ、カレーの材料になることも…。

夜はシヴォタ通りと南側にナイトマーケットが開く。そこからオールド・マーケットまでも近い。ビールでも飲んで早めに寝よう。
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(画像:angkornightmarket.com)


さて、翌朝は早起きしてアンコールワット観光。
前日に宿のフロントに頼んでチャーターしておいたトゥクトゥクに乗って、一路アンコール遺跡へ。
検問を通過してしばらくすると、遺跡をシルエットに空が赤く染まる光景が見られる。

(トリップアドバイザー提供)

ツアー客が慌ただしく見物する中、アンコール・トムも含めて一人のんびり回ろう。

Terrace of the Elephants (トリップアドバイザー提供)


Ta Prohm (トリップアドバイザー提供)

帰路、アンコール国立博物館に寄ってもいい。市中心部に戻る道沿いにあり、アンコール遺跡からの出土品を展示してある。近代的な建物でミュージアムショップもお土産探しにいい。

Angkor National Museum (トリップアドバイザー提供)


郊外にもいくつか立ち寄りたい遺跡がある。
バンテイアイ・スレイはシェムリアップから北に40kmほど。精密な細工と赤い砂岩づくりで知られ、朝日に照らされると美しく映える。小ぶりだが保存状態もよく、アンコール遺跡よりも感銘をうけるという意見も。

Banteay Srei (トリップアドバイザー提供)

アンコールワットから東に50kmほど、「東のアンコール」と称される巨大遺跡がベン・メリア。
深い森に覆われ、遺跡も修復が施されず朽ち果てかけているが、逆になんとも言えないわびさびと秘境感がある。

Beng Mealea (トリップアドバイザー提供)

日程に余裕があればぜひ訪れたいのがシェムリアップのはるか北に位置する山岳寺院プリア・ヴィヘア。
標高500m以上の地点に建造されたヒンドゥー寺院。
円錐形の美しい山の斜面に建つため標高の印象以上に高度感があり、断崖からカンボジアの大地をはるか遠くまで見渡せる。

Preah Vihear Temple (トリップアドバイザー提供)

なお、プリア・ヴィヘアはタイ国境と目と鼻の先。かねてからキナ臭い地域であったが、2008年の世界遺産登録後に緊張が高まり銃撃戦となった。現在も「渡航の是非を検討してください」状態であるが、2013年に国際司法裁判所がカンボジアへの帰属判決を出したこともあり緊張緩和の方向にある。

素晴らしいのはわかったけどもう遺跡は見飽きたな・・・、というリアリストのあなたには現代史を学べる場所がある。
地雷博物館はシェムリアップから北に35kmほど、バンテイアイ・スレイに行く途中にある。かつてクメール・ルージュの兵士であった活動家のアキ・ラー館長が独力で運営するミュージアムで、地雷撤去活動や地雷によって負傷した孤児の世話を行っている。

Cambodia Landmine Museume (トリップアドバイザー提供)

キリング・フィールドはポル・ポト時代の刑務所跡。キリング・フィールドといえばプノンペンが有名だが、シェムリアップはじめカンボジア各地にある。シェムリアップの場合は収容所跡に寺院(ワット・トメイ)が建っている。

Wat Thmey(Killing Field) (トリップアドバイザー提供)

観光に疲れたら、また街にもどって足裏でも揉んでもらおう。
夜はいたるところに屋台が建ち並び、平和のすばらしさを実感できる。
パブ・ストリートの夜は昼にも増して賑やか。

Pub Street (トリップアドバイザー提供)

VELTRA



Khmer Kitchen Restaurant (トリップアドバイザー提供)

カンボジア料理はインドシナ半島の周辺国同様、東南アジア特有のフレーバーを持っている。すわなち、魚醤や唐辛子、ココナツミルクを多用し、麺料理や炒め物に中国の影響が、スパイス使いにインドの影響が見られる。また、フランスの食文化も根を下ろしている。
一言で言うと、辛くないタイ料理、ハーブを控えたベトナム料理といったところで、魚醤のコクが効いた味は日本人にとっても親しみやすい。スープなどは特有の甘酸っぱい味付けをすることもある。

首都プノンペンでは魚介系材料が豊富な一方、シェムリアップでは肉を多用する。いわゆるゲテモノ系食材もある。

代表的な料理は、多種多様なスープ類(ソムロー)、雷魚やナマズといった淡水魚の煮物やフライ、マイルドな鳥のカレー、春巻き、クィティウというビーフン麺(スープ麺や焼きそば)、甘辛い豚肉や鶏肉を乗せたバーイ・サイッなど。
屋台にも肉乗せご飯から焼きそばや肉まん、ベトナムのバインミーと同じフランスパンのサンドイッチなど様々な選択肢がある。果物をその場で潰してつくるフレッシュジュースも現地人には人気だが、衛生面には気をつけた方がよい。

Sandan (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
現在日本からカンボジアへの定期直行便はないため、東アジア、東南アジアの都市からシェムリアップを目指すことになる。

平均的に価格が安く便数も多いのはエアアジアとベトナム航空、そして中国東方航空。価格と所要時間のバランスからはアジア系もおすすめ。
ベトナム航空では4万円台の便もあるが、乗り継ぎで一泊が必要となるような激遅便がほとんど。乗り継ぎがスムーズな便(ホーチミン経由など)なら往復共に10時間程度でたどり着くが、こうした便はおおむね高めとなっている。
エアアジアはクアラルンプール経由。安い時期なら往復で5万円を切るが、通常6万円程度。キャンペーンが利用できれば往復3万円も可能。
ベトナム航空と並びLCC以上に安いことも多い中国東方航空は、上海経由便が往復共に所要10時間程度、価格も5万円程度とバランスがよい。関空なら最安値となることも。

アジア系の航空会社では、大韓航空やキャセイパシフィックなど。いずれも6万円程度だが所要時間は短く、お得度も高い。

また、バンコクやホーチミンまでの足が安く確保できればそこからシェムリアップまではLCCで数千円程度。

(陸路)
陸路で有名なのはバンコクからの国際直通バス。カオサンの旅行代理店ではシェムリアップ行きのバスチケットを扱っており、バスのグレードによって10ドルから30ドル程度まで様々。
日程に余裕があるなら非常にお得。

ホーチミンからシェムリアップに向かうバスもあり、こちらもバスのグレードによって20ドルくらいから。トイレ、軽食、WiFi付の豪華バスなら30ドル程度。

(空港)

(画像:Wikipedia)

シェムリアップの空の玄関はシェムリアップ国際空港(REP)、別名アンコール国際空港。
カンボジアの伝統的な建築様式に倣った外観で、平屋づくりの小規模な空港だが設備は新しい。到着してイミグレーションを抜けるとカフェや携帯ショップがある。
出国ロビーには高級免税店がずらりとならび、ラウンジもある。

空港から市街までは8kmと近く、所要20分程度。
タクシーで市街まで定額9ドル。三輪バイクの場合7ドル~。空港バスはない。


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地理と気候

カンボジアはインドシナ半島の南側に位置し、東にベトナム、西にタイ、北にラオスと国境を接している。シェムリアップは巨大なトンレサップ湖の北に位置し、首都プノンペンよりもタイ国境の方が近い。

典型的な熱帯モンスーン型気候で、年間通じて30度近くとなり、雨季と乾季に分かれる。
ベストシーズンは11月~4月の乾季で、日中の気温は高いものの過ごしやすい。
雨季の旅行は暑さと蒸し暑さで体力を消耗する他、大雨で交通に支障が出ることもありできれば避けたい。ただし、雨に濡れて緑豊かなアンコールワットをみたいならばあえて雨季に行くという手も。


(画像:Google提供)

言語と通貨

公用語はクメール語(カンボジア語)。
観光客が行くような場所ではだいたい英語で用が足りる。
フランス領であったが、フランス語を話せるのは一部の高齢者など限られている。

通貨はカンボジア・リエル(KHR)。通貨記号は「៛」。補助通貨はない。
米ドルが流通しており、特に旅行者が行くような場所の支払いはおおむね米ドルで足りてしまう。リエルは1ドル以下の支払いやおつり、ローカル食堂などの支払いで利用する。
1USD=100円=4,000リエルと覚えておけばよい。1,000リエルで25円、10,000リエルで250円。高額のドル札は使いにくいので1ドル札を多く持っておくと便利。

カンボジアの物価は食費を中心におおむね安めだが、シェムリアップは観光地で何をするにも高め。アンコールワット周辺は特に高い。
物価は徐々に上がってきており、ぼったくりにも注意。
ローカルレストランの場合、おかず乗せ丼や麺のような安い食事で1~2ドル程度。夕飯でお酒を付けると10ドル程度。ビールが1本2ドル、ミネラルウォーターが1ドル。
バイタクを1日チャーターすると20ドル程度、タクシーなら25ドル程度。

日本国内でカンボジア・リエルをあらかじめ両替する場所はないため、現地での両替もしくはATMでの引き出しとなる。ATMから現地引き出すとUSドルが出てくる。
だが、上掲通り米ドルがあれば十分(リエルはおつりとして勝手に貯まっていく…)。

クレジットカードの通用度は低く、外国人が行くような高級レストランやショップ、ホテルに限られる。

チップは基本不要。ベルボーイに1ドル程度。ガイドやドライバーには1~3ドル程度。

商品・サービス代金には10%のVAT(付加価値税)が載せられている場合がある。還付制度はない。


(画像:banknotes.com)

ビザと治安

シェムリアップは観光地であるが、ビザが必要。パスポートの有効期間がカンボジア入国予定日から6カ月以上残存していることが条件。
事前にカンボジア大使館で申請する場合(郵送可)、30日のシングルビザが3,600円、マルチビザが1年で4,700円。
電子申請も可能。クレジットカードで支払いでき、37ドル。
シェムリアップ国際空港でアライバルビザも取得可能。

なお。シェムリアップ国際空港から入国した場合、少なくとも国内で1泊しなければならないという法令がある。そのため同日中の出国はできないので注意。

シェムリアップは観光地なので、引ったくりやスリ、置引き、ぼったくりなどの被害があとを絶たない。
特に、バイタクに乗っている際にひったくられたという被害が多く報告されている。また、アジアで多いいかさま賭博に巻き込まれることも。親しげに話しかけてくる相手はほぼ詐欺師。

アンコールワットで注意すべきはおしかけガイド。勝手に隣を歩き始め雑談のつもり応じていると最後に法外な料金を請求してくるのが典型的な手口。他にスリや置き引きも多い。
ガイドを利用するときにはライセンスを確認する、バイタクも登録番号が記載されたベストを着ている運転手を利用し、荷物から目を離さないなど警戒を怠らないようにすること。

国家資格のガイドライセンス(Mr. Pen Day Tours;トリップアドバイザー提供)

交通事情は悪く、事故も頻発している。
また、政治的な話題、歴史、王族の話題などはいずれも地雷なので避けた方が良い。
上掲通り、北部タイ国境のプリア・ヴィヘア寺院周辺は「渡航の是非を検討」扱いとなっている。

市内交通

地下鉄や軌道電車はおろか市内バスもないシェムリアップではタクシーかバイタク(トゥクトゥク)が主な移動手段となる。
終日チャーターするのが手軽。
市内の交通状況は非常に悪い。昼夜問わずクラクションがなりまくり、バイクが割り込んでくる。

(三輪バイク・タクシー)
一般の流しのタクシーはない。乗用車の場合は旅行会社やホテルなどを通して予約するのが主流。
終日チャーターの場合30ドル程度。

三輪バイク(トゥクトゥク)の場合は終日15ドルといったところ。
バイタクの場合は10ドル程度。いずれも交渉制。
他、ルモーというバイクに荷車をつけた2~4人乗りもある。

なお、強気でふっかけてくるドライバーが多く、上記の料金はかなり値切れた場合と考えておこう。

(バス)
市内交通というより現地ツアーとなるが、市内からアンコールワットまで遺跡見学の観光バスが運行している。日本語のガイドつきもある。

(レンタサイクル・バイク)
ホテルやゲストハウスによっては自転車を貸し出している。
市内からアンコール遺跡までは直線6km程度、自転車で1時間もかからない。一日借りていわゆるママチャリタイプなら1~2ドル程度、スポーツバイクで5ドル程度。
電気スクーターの場合一日12ドル。

運転は自己責任で。シェムリアップの交通事情や道路は良くない。

ホテル

ラッフルズやメリディアンといった高級リゾートホテルからゲストハウスまで選択肢は広い。
高級リゾートホテルでは一泊300ドル以上、プールやスパのついた4つ星クラスで100ドル程度。
そこまで出せない、という場合もご安心を。清潔で快適な中級ホテルでも50ドル程度で泊まることができる。
一方で安宿も多く、ゲストハウスなら個室でも15ドル程度で見つかる。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
シェムリアップ国際空港に携帯各社のブースがあり、外国人でもその場でSIMを購入できる。
カンボジアの携帯サービスはCellcard、Smart、Metfone、qb、Beelineなど。
回線品質はともかく、過当競争のためか東南アジアの周辺国と比べても激安で通話やデータ通信が利用できるのが特徴。

プランは頻繁に変わるので注意。

最大手Cellcardは最も電波状態が良いとされる。1ヶ月有効の3.5ギガのプリペイドツーリストSIMが5ドル。一週間1ギガでも2ドルと非常に安い。音声通話もついている(月5ドル3.5ギガカードの場合100分)。

Smartはデータ通信に注力しており旅行者にも人気。40日間有効の1.5ギガパッケージが5ドル。4G LTEにも対応している。無料残高が5ドルついてくるので、1.5ギガを使い切っても残金でデータを購入できる(たとえば1ヶ月2ギガを残高の3ドルで買えば合計3.5ギガ使える)。

Metfoneの場合月5ドルで2.5ギガなど。

qbのTravel SIM Liteは一見旅行者向け。費用はわずか1ドル、通話も3セント/分と激安だが、データは1メガ/10セントもする(1ギガ使うと100ドル)のでスマートフォンには向かない。スマホ向けはqb Passport SIMがベスト。20ドルで5ギガもしくは5ドルで2ギガ。

Beelineの場合1ギガ3ドル、3ギガ5ドルなど。

現地のSIMが安いためか、日本からWiFiルーターを借りていっても比較的安くすむ。5日間で1900円~。

(WiFi)
ほとんどのホテルやゲストハウス、カフェでフリーWiFiを提供している。
シェムリアップ国際空港のWiFiも無料。
アンコールワット遺跡など郊外では3G電波が入らない場所も多いため、Googleマップを使う場合にはWiFiでGoogleマップを見ながら地図データをキャッシュしておきたい。