4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第30回 ブラックロック・シティ

ブラックロック・シティ
ブラックロック・シティ (トリップアドバイザー提供)

バーニングマン

(画像:burningman.com)

  • 訪問目的:[アート][イベント・祭り][大自然]
  • 予算(最低価格):25万円~
  • 日程:10日間~
  • 来場者数:69,613人(2013年)

見どころと特徴

ブラックロック・シティとは毎年8月下旬に1週間だけ、アメリカ・ネバダ州の人里離れたプラヤ砂漠に突如出現する人口都市である。
その正体は、バーニングマンという巨大イベントの会場だ。世界中から人が集まり、1週間だけの街を作って共同生活を営み、会期が終わると全てを無に返して去っていくという実験的なこのイベントは、1986年にサンフランシスコ近郊のベイカーズ・ビーチで始まり、現在は毎回5万人以上の人が集まる巨大なイベントとなっている。


black rock city Center Camp   Google マップ
(地図)


会場となるプラヤ砂漠は、ネバダ州リノ市の約150km 北北東に位置する乾湖である。

ブラックロック・シティは外部の世界から完全に遮断されており、電気、水道、電話、ガスなどの生活基盤は一切整備されておらず、携帯電話などの通信手段も圏外である。 売店や食堂なども一切ない。主催者側が用意するのは、仮設トイレと氷(有料)のみである。したがって、参加者は、水、食料、衣類、住居、燃料など、をすべて事前に準備しなければならない。準備なしで参加するのは自殺行為と言えよう。

また、この街では貨幣経済が忌むべきものとされており、見返りを求めない「贈与(Give)」の精神で市民が助け合いサバイブしていく世界だ。住民たちは会期中思い思いの形で自らを表現し、楽しみ、助け合い、この一週間を過ごし、現実に帰っていくのである。

2013-08-27 17.06.42
(画像:tabinote)

ブラックロック・シティは、中心に木材で作られた巨大な人形(Manと呼ばれる)が屹立し、その周囲に扇状に市街が形成される。
ちなみにManは毎年、金曜日の夜に盛大に燃やされて無に帰っていく。このイベントが「Burnign Man」と呼ばれる所以である。

2013-08-31 21.46.12
(画像:tabinote)

参加者はBurner(バーナー)と呼ばれ、思い思いの表現活動を行なう。アート作品を展示する者、ワークショップを開く者、踊る者、歌う者、本当に様々な人々がおり、周囲を散策しているだけで飽きない。
とは言え、参加者は必ず何か表現活動をしなければいけないというわけではない。周りの人と話したり、イベントに参加したりするだけでも構わないし、あるいは単に酒を飲んでいるだけの人もたくさんいる。だがやはりなにか表現できることを考えていったほうがおもしろいだろう。

2013-08-27 17.25.58
(画像:tabinote)

ちなみに筆者(tabinote田口)たちのキャンプではメンバーの結婚パレード(プロポーズは前回のバーニングマン)を行った。全員思い思いの(破廉恥な)衣装に身を包み、テントからマンまで闊歩したのだが、途中たくさんの人達がパレードに参加してくれ、多くの人に祝福され、当人たちはもちろん筆者たち参列者にとっても忘れられないイベントになった。


バーニングマン終了後、まっすぐロサンゼルスやラスベガスに向かうのもいいが、周囲には興味深いスポットがある。

ブラックロック砂漠には多くのトレイルや温泉、自然保護区があり、トレイルを何ヶ月もかけてキャンプしながら横断する強者もいるという。枯れた平坦な砂漠湖底が超高速車の実験に最適ということで数々の記録が残されていたりもするなど、クルマ好きにも興味を引く土地。

2013-09-02 07.46.45
(画像:tabinote)

最も有名なのは、吹き出す温泉が生み出す奇観、フライガイザー。私有地内にあるため遠くから眺めるしかできないが、鉱物や温泉で棲息する藻が生み出す極彩色の光景はこの世のモノとは思えないほど。
1024px-Fly_geyser
(画像:Wikipedia)

そして、「エリア51」ことグレーム・レイク空軍基地はラスベガスに向かう途中にある。
墜落したUFOと宇宙人を回収したという「ロズウェル事件」の舞台ともウワサされる「ムー」読者垂涎の地。
空軍管轄の区域内は立ち入りはもちろん撮影も禁止だが、現地ツアーがあったり好事家向けにUFOグッズを売ったりする売店もある模様。エリア51観光の拠点として人気のモーテル「Little A’Le’Inn」にも立ち寄ってみたい。
Gisela_Giardino_-_Area_51_(by-sa)
(画像:Wikipedia)

VELTRA


前述したとおり会場には一切店舗などは存在しないので、参加者はあらかじめ1週間分の食料を確保しておく必要がある。最寄り都市のリノで1,2泊して食料やキャンプ用品などの準備にあてるのが普通だ。リノにはウォルマートをはじめ巨大スーパーマーケットが多数あるので、そこですべての食料・飲料・キャンプ用品(テント・寝袋・調理道具・自転車)などを準備しよう。ブラックロック・シティにゴミを残すのはご法度なので、ホットドッグや缶詰など後始末のしやすいものを選ぶといいだろう。筆者は日本からそうめんや袋ラーメンを持ち込んだ。
また、(発電機を持ち込まない限り)冷蔵庫もないので生鮮食品にも注意が必要だ。
万一食料や飲料が余った場合は会場を出る際にボランティアに寄付することができる。

2013-08-26 21.39.48
(画像:tabinote)


日本からの行き方・参加方法

(チケット購入)
通常の旅行地と異なり、チケットを入手しなければブラックロック・シティに入ることはできない。
オフィシャルサイトにチケットの予約期間と入手方法が公開されている。

2014年の場合、1月中旬から先行販売(Pre-Sale;650ドル、3,000枚限定)、2月中旬からは指定グループ向け販売(Directed Group Sale;380ドル、過去に展示実績のあるグループへの優先販売、15,000枚)、および個人向け販売(Individual Sale;380ドル、38,000枚)が開始される。

日本人が通常入手可能と思われるのは個人向け販売。38,000枚と狭き門のためあっという間に売り切れる。

4月以降はSTEP(Secure Ticket Exchange Program)という公認のチケット売買システムにより入手が可能となる。7月以降、買えなかった人の救済措置として最終セール(OMG Sale;380ドル、3,000枚)がある。

入場チケット以外に、クルマで現地に訪れる際に必要な自動車パス(Vehicle Pass;40ドル)がある。このパスがないと入場できないので注意。オートバイの場合には必要ない。

詳しくはバーニングマンオフィシャル、または日本語で詳細にバーニングマン参加方法が解説されたmagarisugi.netにて。

(アクセス方法)
拠点となる街はネバダ州のリノ。
ブラックロック・シティはリノから北に200km程度離れている。
アメリカ合衆国 ネバダ リノ から ブラック・ロック・シティ   Google マップ

リノまでの直行便はないので、ロサンゼルス、サンフランシスコ、デンバーなどを経由して向かうことになる。
便数の多さや価格からロサンゼルス便がお得。成田発ロサンゼルス行きの直行便はデルタ航空やユナイテッドで10万円台から。所要10時間程度で到着する。
日程に余裕があれば中華系、アジア系が8万円台をつけることもある。

ロサンゼルスからリノまではユナイテッド、アメリカン、デルタなど。それぞれ3万円程度。

レンタカーを借りて、陸路でリノに向かう場合は、サンフランシスコを拠点にした方がよいかもしれない。
ロサンゼルスからリノまで800km以上、所要10時間はかかり、交代での運転ならともかく1人ならサクラメントあたりで宿泊した方がいい。
サンフランシスコであればリノまで350km程度で、リノまで4時間ほど。ただしアメリカでの運転に慣れていない場合は夜の移動は避けたほうがいいだろう。

空路であれレンタカーであれ、リノまでたどり着けばブラックロック・シティまであと一歩だが、かなりの渋滞を覚悟する必要がある。

2013-08-26 08.23.48
(画像:tabinote)

さて、バーニングマンに参加するには宿泊設備やキッチンをそなえたキャンピングカー(RV)や荷物をたくさん運べるトラックの利用が便利。
リノ空港にはBudget、Hertz、AVISなどの大手レンタカーのカウンターがあり、各社のサイトにて日本から予約も可能だが、せいぜいSUVやミニバン程度で、キャンピングカーのレンタルはない。バーニングマンの時期は混み合うので、キャンピングカーを希望する場合はサンフランシスコなどで調達していくことになる。
費用の目安は、8人乗りのミニバンが100~150ドル/日、キャンピングカーが300~500ドル/日といったところ。
ちなみに、バーニングマンに参加する場合(日程でバレる)はレートが高くなったり保証金が積み増しされたりする。また、キレイに洗車して返却しないと高額なペナルティをとられることになるので要注意。ブラックロック・シティに入る前に座席や床をビニールで養生しておくのがコツ。それでも砂漠の砂は入り込んでしまうので、リノにたくさんある洗車場で砂漠の砂を払い落とそう。

レンタカーがない、運転できない、仲間がいないという場合には、Burner Expressという会場直行バスがある。サンフランシスコ、リノから期間中毎日運行。

(パッケージツアー)
物資の調達など、バーニングマンに全くの個人で参加するのは難しい。
かといって通常のパッケージツアーは存在しない。
同行者が見つからなければ、参加者を公募しているサークルなどに連絡をとる方法がある。

やはりmagarisugi.netで、現地(リノ/サンフランシスコ)発着の現地ツアーを紹介している(2015年は未定)。
magarisugi.netでも紹介されているGreen Tortoise社のバスツアーの場合、入場チケット別で909ドル。チケット手配も依頼でき、食事もセットで手軽。

また、SNS型の共同旅程構築サービス、Trippiesではバーニングマンへの参加ツアーが企画されることがある。

地理と気候

会場はネバダ州のブラックロック砂漠。
8月~9月は砂漠性気候で昼夜の寒暖差が激しい。昼は直射日光が照りつけ35度~40度、夜には5度程度になる。気温変化に対応できる服装が必要。
昼はTシャツ&短パン(または全裸)、夜はダウンジャケットとあたたかい寝袋があれば問題ないだろう。
また、大気が乾燥しており砂埃も想像を絶するひどさのため、喉の保護や給水に気を配る必要がある。サングラスと帽子は必須。

ブラックロック・シティと日本の時差はアメリカ西海岸のサマータイムが適用され、マイナス16時間となる。日本の正午が前日の午後8時。


【画像:Google提供】

言語と通貨

参加者は世界中から集まっているが、コミュニケーションは英語が基本。

会場内での宣伝・商業活動は全面的に禁止されている。

唯一の例外は氷。参加者の安全のため、センターキャンプおよび3:00、9:00プラザで氷が販売されている。1袋あたり3ドル。
また、センターキャンプでソフトドリンクも販売されている。

また、爆発物、花火、銃器、エアガンなどの持ち込みは禁止。ゴミとなって環境を汚すモノも禁止。歯を磨いたり体を洗ったりする時に出る生活排水(グレイウォーターと呼ばれる)はビニールシートなどを使って蒸発させるか保管して持ち帰る必要がある。

上掲コンセプトでも触れたように、バーニングマンは先に与え、見返りを求めない寄付と贈答の文化から成り立っている。サバイバルに必要なもの意外に、ギフトとして分け与えられるもの・コトを準備していきたい。日本ならではのアクセサリーやステッカーなどを用意しておくと便利だ。

治安とビザ

「危険なイベント」というイメージがあるかもしれないが、会場内にはセキュリティが目を光らせており、犯罪のおそれはない(カーキ色の服を着て胸にバーニングマンのロゴがついているのがセキュリティスタッフ)。本物の保安官も巡回している。
もちろん違法な薬物の使用も(建前上は)禁止されている。

独特の雰囲気や酒などにおぼれて羽目を外し、自分を見失うことが最大のリスクといえる。また、過酷な環境のため健康管理には十分に注意すること。

夜は真っ暗になるため懐中電灯・ヘッドライトは必須。

アメリカ入国にはESTA(電子渡航認証システム)による申請が必要。

観光目的の場合、アメリカへの90日以内の滞在はビザ免除。商用や第三国を経由しての入国などではビザが必要。
ビザ免除のためにはESTA(電子渡航認証システム)による事前申請が必要。ESTAは2年間有効で渡航72時間前までに申請が推奨されている。ESTAを取得していないと入国できないため早めの準備がお勧め。

市内交通

ブラックロック・シティには、いわゆる公共交通機関やタクシーの類は存在しない。会場は広いため自転車を用意しておくと便利。リノのウォルマートで120ドルくらいで買えるが、市内には中古自転車屋も存在する。会期終了後はボランティアに寄付しよう。

ホテルとシーズン

ブラックロック・シティの会場にはホテルはなく、キャンピングカーもしくはテント生活となる。テントもウォルマートで30ドルくらいからある。

リノのホテル事情は悪くない。ホテル代は中級・3つ星クラスで6千円~9千円。カジノ付の高級ホテルなら1万5千円を超える。
バーニングマン前後は多少値上がりすることもあるが、よくディスカウントされている。
ネバダ州の条例により、21歳未満の場合ホテルにひとりで泊まることはできない。

ベッド&ブレックファースト形式のいわゆる民宿や個人宅の部屋貸しサービスAirbnbの利用もお勧め。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ブラックロック・シティの中には携帯の電波は届かない。どうしても外部との接続が必要であれば衛星携帯を持ち込むしかない。

会場入り前やイベント後に携帯が必要な場合は、プリペイドSIMか国際ローミング、レンタルルーターを利用することになる。
かつて、アメリカではまともなプリペイドSIMを手に入れようと思ったらほぼT-Mobile一択であったが、AT&Tが実用的なサービスをはじめるなど選択肢が拡がってきた。
T-MobileやAT&TのSIMはBestBuyやWalMartで購入できるが、設定をまかせるなら直営店が無難。リノの空港には購入できる店舗は無く、市街に向かう必要がある。
または、amazon.comで事前に入手・セットしていくという手もある。

バーニングマン参加がメインの目的とすると、日本からレンタルルーターを借りていくのはムダが多い。プリペイドSIMの入手も簡単ではないため、結局海外パケホーダイなどの国際ローミングサービスを使うのが手軽かもしれない。

(Wifi)
ブラックロック・シティの中には、一部にフリーのWiFiスポットがあるとされているが、基本使えないと思ったほうがよい。

リノのホテルやカフェ、マクドナルドやスターバックスといったチェーン店は無料WiFiを提供している。

4. 世界あの街この街: ブラックロック・シティ


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第30回 ブラックロック・シティ

ブラックロック・シティ
ブラックロック・シティ (トリップアドバイザー提供)

バーニングマン

(画像:burningman.com)

  • 訪問目的:[アート][イベント・祭り][大自然]
  • 予算(最低価格):25万円~
  • 日程:10日間~
  • 来場者数:69,613人(2013年)

見どころと特徴

ブラックロック・シティとは毎年8月下旬に1週間だけ、アメリカ・ネバダ州の人里離れたプラヤ砂漠に突如出現する人口都市である。
その正体は、バーニングマンという巨大イベントの会場だ。世界中から人が集まり、1週間だけの街を作って共同生活を営み、会期が終わると全てを無に返して去っていくという実験的なこのイベントは、1986年にサンフランシスコ近郊のベイカーズ・ビーチで始まり、現在は毎回5万人以上の人が集まる巨大なイベントとなっている。


black rock city Center Camp   Google マップ
(地図)


会場となるプラヤ砂漠は、ネバダ州リノ市の約150km 北北東に位置する乾湖である。

ブラックロック・シティは外部の世界から完全に遮断されており、電気、水道、電話、ガスなどの生活基盤は一切整備されておらず、携帯電話などの通信手段も圏外である。 売店や食堂なども一切ない。主催者側が用意するのは、仮設トイレと氷(有料)のみである。したがって、参加者は、水、食料、衣類、住居、燃料など、をすべて事前に準備しなければならない。準備なしで参加するのは自殺行為と言えよう。

また、この街では貨幣経済が忌むべきものとされており、見返りを求めない「贈与(Give)」の精神で市民が助け合いサバイブしていく世界だ。住民たちは会期中思い思いの形で自らを表現し、楽しみ、助け合い、この一週間を過ごし、現実に帰っていくのである。

2013-08-27 17.06.42
(画像:tabinote)

ブラックロック・シティは、中心に木材で作られた巨大な人形(Manと呼ばれる)が屹立し、その周囲に扇状に市街が形成される。
ちなみにManは毎年、金曜日の夜に盛大に燃やされて無に帰っていく。このイベントが「Burnign Man」と呼ばれる所以である。

2013-08-31 21.46.12
(画像:tabinote)

参加者はBurner(バーナー)と呼ばれ、思い思いの表現活動を行なう。アート作品を展示する者、ワークショップを開く者、踊る者、歌う者、本当に様々な人々がおり、周囲を散策しているだけで飽きない。
とは言え、参加者は必ず何か表現活動をしなければいけないというわけではない。周りの人と話したり、イベントに参加したりするだけでも構わないし、あるいは単に酒を飲んでいるだけの人もたくさんいる。だがやはりなにか表現できることを考えていったほうがおもしろいだろう。

2013-08-27 17.25.58
(画像:tabinote)

ちなみに筆者(tabinote田口)たちのキャンプではメンバーの結婚パレード(プロポーズは前回のバーニングマン)を行った。全員思い思いの(破廉恥な)衣装に身を包み、テントからマンまで闊歩したのだが、途中たくさんの人達がパレードに参加してくれ、多くの人に祝福され、当人たちはもちろん筆者たち参列者にとっても忘れられないイベントになった。


バーニングマン終了後、まっすぐロサンゼルスやラスベガスに向かうのもいいが、周囲には興味深いスポットがある。

ブラックロック砂漠には多くのトレイルや温泉、自然保護区があり、トレイルを何ヶ月もかけてキャンプしながら横断する強者もいるという。枯れた平坦な砂漠湖底が超高速車の実験に最適ということで数々の記録が残されていたりもするなど、クルマ好きにも興味を引く土地。

2013-09-02 07.46.45
(画像:tabinote)

最も有名なのは、吹き出す温泉が生み出す奇観、フライガイザー。私有地内にあるため遠くから眺めるしかできないが、鉱物や温泉で棲息する藻が生み出す極彩色の光景はこの世のモノとは思えないほど。
1024px-Fly_geyser
(画像:Wikipedia)

そして、「エリア51」ことグレーム・レイク空軍基地はラスベガスに向かう途中にある。
墜落したUFOと宇宙人を回収したという「ロズウェル事件」の舞台ともウワサされる「ムー」読者垂涎の地。
空軍管轄の区域内は立ち入りはもちろん撮影も禁止だが、現地ツアーがあったり好事家向けにUFOグッズを売ったりする売店もある模様。エリア51観光の拠点として人気のモーテル「Little A’Le’Inn」にも立ち寄ってみたい。
Gisela_Giardino_-_Area_51_(by-sa)
(画像:Wikipedia)

VELTRA


前述したとおり会場には一切店舗などは存在しないので、参加者はあらかじめ1週間分の食料を確保しておく必要がある。最寄り都市のリノで1,2泊して食料やキャンプ用品などの準備にあてるのが普通だ。リノにはウォルマートをはじめ巨大スーパーマーケットが多数あるので、そこですべての食料・飲料・キャンプ用品(テント・寝袋・調理道具・自転車)などを準備しよう。ブラックロック・シティにゴミを残すのはご法度なので、ホットドッグや缶詰など後始末のしやすいものを選ぶといいだろう。筆者は日本からそうめんや袋ラーメンを持ち込んだ。
また、(発電機を持ち込まない限り)冷蔵庫もないので生鮮食品にも注意が必要だ。
万一食料や飲料が余った場合は会場を出る際にボランティアに寄付することができる。

2013-08-26 21.39.48
(画像:tabinote)


日本からの行き方・参加方法

(チケット購入)
通常の旅行地と異なり、チケットを入手しなければブラックロック・シティに入ることはできない。
オフィシャルサイトにチケットの予約期間と入手方法が公開されている。

2014年の場合、1月中旬から先行販売(Pre-Sale;650ドル、3,000枚限定)、2月中旬からは指定グループ向け販売(Directed Group Sale;380ドル、過去に展示実績のあるグループへの優先販売、15,000枚)、および個人向け販売(Individual Sale;380ドル、38,000枚)が開始される。

日本人が通常入手可能と思われるのは個人向け販売。38,000枚と狭き門のためあっという間に売り切れる。

4月以降はSTEP(Secure Ticket Exchange Program)という公認のチケット売買システムにより入手が可能となる。7月以降、買えなかった人の救済措置として最終セール(OMG Sale;380ドル、3,000枚)がある。

入場チケット以外に、クルマで現地に訪れる際に必要な自動車パス(Vehicle Pass;40ドル)がある。このパスがないと入場できないので注意。オートバイの場合には必要ない。

詳しくはバーニングマンオフィシャル、または日本語で詳細にバーニングマン参加方法が解説されたmagarisugi.netにて。

(アクセス方法)
拠点となる街はネバダ州のリノ。
ブラックロック・シティはリノから北に200km程度離れている。
アメリカ合衆国 ネバダ リノ から ブラック・ロック・シティ   Google マップ

リノまでの直行便はないので、ロサンゼルス、サンフランシスコ、デンバーなどを経由して向かうことになる。
便数の多さや価格からロサンゼルス便がお得。成田発ロサンゼルス行きの直行便はデルタ航空やユナイテッドで10万円台から。所要10時間程度で到着する。
日程に余裕があれば中華系、アジア系が8万円台をつけることもある。

ロサンゼルスからリノまではユナイテッド、アメリカン、デルタなど。それぞれ3万円程度。

レンタカーを借りて、陸路でリノに向かう場合は、サンフランシスコを拠点にした方がよいかもしれない。
ロサンゼルスからリノまで800km以上、所要10時間はかかり、交代での運転ならともかく1人ならサクラメントあたりで宿泊した方がいい。
サンフランシスコであればリノまで350km程度で、リノまで4時間ほど。ただしアメリカでの運転に慣れていない場合は夜の移動は避けたほうがいいだろう。

空路であれレンタカーであれ、リノまでたどり着けばブラックロック・シティまであと一歩だが、かなりの渋滞を覚悟する必要がある。

2013-08-26 08.23.48
(画像:tabinote)

さて、バーニングマンに参加するには宿泊設備やキッチンをそなえたキャンピングカー(RV)や荷物をたくさん運べるトラックの利用が便利。
リノ空港にはBudget、Hertz、AVISなどの大手レンタカーのカウンターがあり、各社のサイトにて日本から予約も可能だが、せいぜいSUVやミニバン程度で、キャンピングカーのレンタルはない。バーニングマンの時期は混み合うので、キャンピングカーを希望する場合はサンフランシスコなどで調達していくことになる。
費用の目安は、8人乗りのミニバンが100~150ドル/日、キャンピングカーが300~500ドル/日といったところ。
ちなみに、バーニングマンに参加する場合(日程でバレる)はレートが高くなったり保証金が積み増しされたりする。また、キレイに洗車して返却しないと高額なペナルティをとられることになるので要注意。ブラックロック・シティに入る前に座席や床をビニールで養生しておくのがコツ。それでも砂漠の砂は入り込んでしまうので、リノにたくさんある洗車場で砂漠の砂を払い落とそう。

レンタカーがない、運転できない、仲間がいないという場合には、Burner Expressという会場直行バスがある。サンフランシスコ、リノから期間中毎日運行。

(パッケージツアー)
物資の調達など、バーニングマンに全くの個人で参加するのは難しい。
かといって通常のパッケージツアーは存在しない。
同行者が見つからなければ、参加者を公募しているサークルなどに連絡をとる方法がある。

やはりmagarisugi.netで、現地(リノ/サンフランシスコ)発着の現地ツアーを紹介している(2015年は未定)。
magarisugi.netでも紹介されているGreen Tortoise社のバスツアーの場合、入場チケット別で909ドル。チケット手配も依頼でき、食事もセットで手軽。

また、SNS型の共同旅程構築サービス、Trippiesではバーニングマンへの参加ツアーが企画されることがある。

地理と気候

会場はネバダ州のブラックロック砂漠。
8月~9月は砂漠性気候で昼夜の寒暖差が激しい。昼は直射日光が照りつけ35度~40度、夜には5度程度になる。気温変化に対応できる服装が必要。
昼はTシャツ&短パン(または全裸)、夜はダウンジャケットとあたたかい寝袋があれば問題ないだろう。
また、大気が乾燥しており砂埃も想像を絶するひどさのため、喉の保護や給水に気を配る必要がある。サングラスと帽子は必須。

ブラックロック・シティと日本の時差はアメリカ西海岸のサマータイムが適用され、マイナス16時間となる。日本の正午が前日の午後8時。


【画像:Google提供】

言語と通貨

参加者は世界中から集まっているが、コミュニケーションは英語が基本。

会場内での宣伝・商業活動は全面的に禁止されている。

唯一の例外は氷。参加者の安全のため、センターキャンプおよび3:00、9:00プラザで氷が販売されている。1袋あたり3ドル。
また、センターキャンプでソフトドリンクも販売されている。

また、爆発物、花火、銃器、エアガンなどの持ち込みは禁止。ゴミとなって環境を汚すモノも禁止。歯を磨いたり体を洗ったりする時に出る生活排水(グレイウォーターと呼ばれる)はビニールシートなどを使って蒸発させるか保管して持ち帰る必要がある。

上掲コンセプトでも触れたように、バーニングマンは先に与え、見返りを求めない寄付と贈答の文化から成り立っている。サバイバルに必要なもの意外に、ギフトとして分け与えられるもの・コトを準備していきたい。日本ならではのアクセサリーやステッカーなどを用意しておくと便利だ。

治安とビザ

「危険なイベント」というイメージがあるかもしれないが、会場内にはセキュリティが目を光らせており、犯罪のおそれはない(カーキ色の服を着て胸にバーニングマンのロゴがついているのがセキュリティスタッフ)。本物の保安官も巡回している。
もちろん違法な薬物の使用も(建前上は)禁止されている。

独特の雰囲気や酒などにおぼれて羽目を外し、自分を見失うことが最大のリスクといえる。また、過酷な環境のため健康管理には十分に注意すること。

夜は真っ暗になるため懐中電灯・ヘッドライトは必須。

アメリカ入国にはESTA(電子渡航認証システム)による申請が必要。

観光目的の場合、アメリカへの90日以内の滞在はビザ免除。商用や第三国を経由しての入国などではビザが必要。
ビザ免除のためにはESTA(電子渡航認証システム)による事前申請が必要。ESTAは2年間有効で渡航72時間前までに申請が推奨されている。ESTAを取得していないと入国できないため早めの準備がお勧め。

市内交通

ブラックロック・シティには、いわゆる公共交通機関やタクシーの類は存在しない。会場は広いため自転車を用意しておくと便利。リノのウォルマートで120ドルくらいで買えるが、市内には中古自転車屋も存在する。会期終了後はボランティアに寄付しよう。

ホテルとシーズン

ブラックロック・シティの会場にはホテルはなく、キャンピングカーもしくはテント生活となる。テントもウォルマートで30ドルくらいからある。

リノのホテル事情は悪くない。ホテル代は中級・3つ星クラスで6千円~9千円。カジノ付の高級ホテルなら1万5千円を超える。
バーニングマン前後は多少値上がりすることもあるが、よくディスカウントされている。
ネバダ州の条例により、21歳未満の場合ホテルにひとりで泊まることはできない。

ベッド&ブレックファースト形式のいわゆる民宿や個人宅の部屋貸しサービスAirbnbの利用もお勧め。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ブラックロック・シティの中には携帯の電波は届かない。どうしても外部との接続が必要であれば衛星携帯を持ち込むしかない。

会場入り前やイベント後に携帯が必要な場合は、プリペイドSIMか国際ローミング、レンタルルーターを利用することになる。
かつて、アメリカではまともなプリペイドSIMを手に入れようと思ったらほぼT-Mobile一択であったが、AT&Tが実用的なサービスをはじめるなど選択肢が拡がってきた。
T-MobileやAT&TのSIMはBestBuyやWalMartで購入できるが、設定をまかせるなら直営店が無難。リノの空港には購入できる店舗は無く、市街に向かう必要がある。
または、amazon.comで事前に入手・セットしていくという手もある。

バーニングマン参加がメインの目的とすると、日本からレンタルルーターを借りていくのはムダが多い。プリペイドSIMの入手も簡単ではないため、結局海外パケホーダイなどの国際ローミングサービスを使うのが手軽かもしれない。

(Wifi)
ブラックロック・シティの中には、一部にフリーのWiFiスポットがあるとされているが、基本使えないと思ったほうがよい。

リノのホテルやカフェ、マクドナルドやスターバックスといったチェーン店は無料WiFiを提供している。