3a. tabinote旅行記 香港エクスプレスで行く中国! 東莞(ドンガン)の巨大ゴーストモールに行ってみた 1

 
最近旅行記が連続しているtabinoteのアドベンチャー担当、ワタベです。
またまた今回から連載でお届けします。


プロローグ

メルマガバックナンバー通り、山登りライブなど盛りだくさんの予定を詰め込んだ3月の香港行。

実はこの時中国にも行くことにしていた。
立ち寄り先として、どうしても外せないと感じていたのが香港からもほど近い、中国東莞(ドンガン)の超巨大ショッピングセンター「華南モール」。
新华南MALL 生活城
(画像:公式サイト)

Wikipediaによると、2005年開業で、総賃貸面積は約66万m2。これは開業当時世界最大の規模。
ちなみに、東京ドームが4.6万m2、船橋ららぽーとの商業施設面積が10万m2。
日本最大のショッピングモールである越谷のイオンレイクタウンが24万m2なので、その3倍弱…、といえばスケールが伝わるだろうか。
イオンとドーム
(参考:大きさ比較-赤枠がイオンクレイタウン、左下青囲みが東京ドーム;画像出典Google)


しかし、このモールが有名となったのはその規模ではなく、テナントがほとんど入らずに廃墟化したから。
上掲のWikipediaを見てももはや営業しているのかどうかわからない記述…。

入居するテナントが少なく、入れ替わりもあるため、1500ほどもある小売スペースの多くはずっと空きスペースになっているのが実情である。2013年の時点では、モール側の主張する店舗入居率は20%であり、事実上機能停止状態と言われている。
-Wikipedia:2014年8月15日記述

 
私がこのモールを知ったのは、CNNの記事がどこかネットから流れてきたのを見たのがきっかけ。日付を見るとちょうど香港行きの1年前頃だった。
「世界最大の商店街」は今やゴーストタウン、不動産バブルのツケ 中国」(CNN)

もともと香港は宿代も高いので、中国に移動して国境沿いの深センか広州に数泊しようかと思ってたところ。CNNの記事をきっかけに、いっそドンガンに泊まってゴーストモールの実態を見てみよう、と決めた。もちろんtabinoteのネタにも最適だし!


行き方

ドンガンへは、香港から広州行きの鉄道で行くことができる。
その鉄道は私も昔利用したことがあり、楽勝だなと思っていたところ、Googleマップを開いて唸った。

ドンガンは一つの市とはいえ、神奈川県ほどの広さがある。そしてモールは鉄道駅から遠いのだ。香港広州鉄道の通る東莞駅(常平;チャンピン駅)とモールの距離はGoogleマップによるとおよそ40km。チャンピンからの移動経路を調べてみるがよくわからず、英語の「1,000香港ドルくらいでタクシーをチャーターするのが一番いいぜ」とかいう適当なQ&Aが出てくる始末
廃墟冷やかしに行くのにそんなに出せないよ!

さらに調べたところ、日本語で書かれたブログ(訪問記)を見つける。
(この「世界、大人の社会科見学(旧:とにかく安く旅行したい)」さんの情報は大変参考になりました。この場をお借りしお礼申し上げます )
世界第2のショッピングモール、広東省東莞市の華南モールに向かった件/世界、大人の社会科見学

どうやら華南モールは香港から「東莞汽車総站」という長距離バスターミナルに向かい、更に市バスに乗り換えて行けばいいらしい。
上掲のブログでは、香港・中国国境の羅湖から40番のバスで東莞汽車総站に着くとの記述がある。そこから市バスに乗りモールまではバス停1つ分。市バスに乗らず、東莞汽車総站から徒歩でもいけないことはないらしい(むしろ、徐々に現れる朽ちた看板や煤けた案内表示などを体験するにはそれがおすすめとか)。

個人ブログを参考にしないと行き方一つわからないのは、華南モール公式サイトの交通案内がさっぱり要領を得ないから。
こんな地図(↓)でわかるかよ!
新華南MALL生活城_map
(画像:公式サイト)


滞在手段とドンガンの治安問題

さて、悩んだのが、日帰りで帰るか現地に泊まるか。

実はドンガンは「中国で治安の悪い街ランキング」で堂々1位に選ばれた悪名高い都市。

「東莞=要注意地域」という方式は中国ではかなり有名……。東莞へ旅行に行くと、すまし顔の上海人やブッキラボウな北京人までもが親切に感じられる……とさえ言われます。スリや引ったくり、売春、詐欺、コピー製品が町中に溢れかえっているのですから、夜道は歩かない、大金を持たないなど、自己防衛が必要です。政府は多くの治安部隊をこの土地に送り込んでいるようですが、問題はなかなか解決に向かわないようです。
-「中国の都市別治安ランキング」/All About

 
スリはともかく治安部隊って何だよ!

もともとドンガンは「世界の工場」を代表する新興都市・深センに隣接し、深センの発展に伴って巨大工場がボコボコできたことから発展した街で、2010年の人口は822万人とほぼ1千万にせまる勢い。現在ドンガンに住む住民のほとんどはもともとの華南部住民ではなく、内陸からの出稼ぎ労働者。必然的に荒っぽい連中が多い模様…。
また、日本語でドンガンを検索すると売春情報だらけ。要するに、工場労働者ってのはほとんど男なので、それを見越した産業が発達してるということになる。特に、東莞駅(チャンピン駅)の近くでホテルに泊まると客引きがひっきりなしに押し寄せる羽目になるらしい。

どんな世紀末都市なのかと思うが、香港に戻るバスは早い時間で終わり、日帰りはきついことが判明。
そもそも目的のモール見学が中途半端に終わる可能性もある。

広州まで移動して広州泊という手もあるが、広州も危険ランキング2位になっている。広州には安全なイメージしかないので、この危険度ランキングって結構いい加減なんでは…。
などと迷っているうちに出発の時が来た。


香港から、いよいよ華南モールへ:出境

さて、香港エクスプレス航空で香港へ。
香港3日目、所用を済ませて(メルマガバックナンバー参照)いよいよドンガン行きの日。

香港で予約できたホテルは前々々回旅行記で触れたOZO。
香港島のワンチャイとセントラルの間あたりにありどこへ行くにも便利だったが、そのホテルから東莞汽車総站行きのバスが出る国境沿いの街・羅湖までは地下鉄を乗り継ぎ90分もかかるという。
面倒だなと思い慣れない中国語検索を駆使していると、ホテルのすぐ傍にある旅行会社(香港中国旅行社)でドンガン行きのバスを手配しているという情報を入手。

販売しているチケットは、ホテルからも徒歩で行ける香港島のフェリー乗り場からドンガンの東莞城市候機楼まで行く高速バスで、片道100香港ドル。
東莞城市候機楼とは、航空会社のオフィスが入った集合ビルで、どうも華南モールの中にあるらしい。ということは香港からモールまで直行である。なんだ、これでいいじゃん。

ということで、日帰りか宿泊かは決めず、でたとこ勝負で行ってみることにした。
バスは予約制なので、チケットの空き具合によっては現地に夕方着かもしれない。そうなったらその時だ…。

ホテルをチェックアウトし、tabinote田口と別れ、荷物をまとめて近くの香港中国旅行社オフィスに向かった。
午前便もまだ間に合う時間だったが、満席とのことで午後発のバスチケットをゲット。
IMG_20140323_120155
(画像:tabinote)

徒歩でカートを引きながらバス乗り場(フェリー乗り場)に向かう。
直通バスとはいえ、香港からのバスは中国国境の深セン・皇崗までで、ここで乗り換えることになる。そのためどのバスも行き先表示は「皇崗」となっており見分けが付かないが、実際にはどの皇崗行きに乗っても問題無い。一応バス乗り場の受付の女性にチケットを示し、乗るバスを確認。

バスを皇崗で降り、香港出境・中国入国検査を受ける。
IMG_20140323_130236
(画像:tabinote)

中国側のバスセンターでドンガン行きのバス停に並ぶ。香港中国旅行社の腕章を付けた係員がいたので、チケットを見せてバス停を確認。ほどなくバスが来たので乗り込む。

車内は…ガラガラ!これなら午前発の便でも乗れたんじゃないの?と思うほど。
数名しか乗せないバスは定刻も定かでないまま出発した。
中国国境を越えた後も香港からのローミングで携帯の電波が通じていたので、Googleマップを見ながら移動経路を追う。バスは確実にドンガンの中心部へ。
Screenshot_2014-03-23-14-31-14
(画像:tabinote)

ドンガン市は、中国の典型的な大都市という感じで、巨大な車幅の高速道路越しにビルが途切れること無く続いている。

市街地で一気に客が降り、とうとう私一人になった。

運転手が何か尋ねてくる。どこまで行くのかと聞くので、華南モールと答えると、このバスは華南モールには行かないという。
そんなわけねえだろ、チケットにもバスにも「東莞城市候機楼」って書いてあるし、東莞城市候機楼は華南モールの中でしょ、と尋ねると、運転手はなんと路肩に停車して、意外なことを言い始めた…。

(続く)

3a. tabinote旅行記 香港エクスプレスで行く中国! 東莞(ドンガン)の巨大ゴーストモールに行ってみた 1


3a. tabinote旅行記 香港エクスプレスで行く中国! 東莞(ドンガン)の巨大ゴーストモールに行ってみた 1

 
最近旅行記が連続しているtabinoteのアドベンチャー担当、ワタベです。
またまた今回から連載でお届けします。


プロローグ

メルマガバックナンバー通り、山登りライブなど盛りだくさんの予定を詰め込んだ3月の香港行。

実はこの時中国にも行くことにしていた。
立ち寄り先として、どうしても外せないと感じていたのが香港からもほど近い、中国東莞(ドンガン)の超巨大ショッピングセンター「華南モール」。
新华南MALL 生活城
(画像:公式サイト)

Wikipediaによると、2005年開業で、総賃貸面積は約66万m2。これは開業当時世界最大の規模。
ちなみに、東京ドームが4.6万m2、船橋ららぽーとの商業施設面積が10万m2。
日本最大のショッピングモールである越谷のイオンレイクタウンが24万m2なので、その3倍弱…、といえばスケールが伝わるだろうか。
イオンとドーム
(参考:大きさ比較-赤枠がイオンクレイタウン、左下青囲みが東京ドーム;画像出典Google)


しかし、このモールが有名となったのはその規模ではなく、テナントがほとんど入らずに廃墟化したから。
上掲のWikipediaを見てももはや営業しているのかどうかわからない記述…。

入居するテナントが少なく、入れ替わりもあるため、1500ほどもある小売スペースの多くはずっと空きスペースになっているのが実情である。2013年の時点では、モール側の主張する店舗入居率は20%であり、事実上機能停止状態と言われている。
-Wikipedia:2014年8月15日記述

 
私がこのモールを知ったのは、CNNの記事がどこかネットから流れてきたのを見たのがきっかけ。日付を見るとちょうど香港行きの1年前頃だった。
「世界最大の商店街」は今やゴーストタウン、不動産バブルのツケ 中国」(CNN)

もともと香港は宿代も高いので、中国に移動して国境沿いの深センか広州に数泊しようかと思ってたところ。CNNの記事をきっかけに、いっそドンガンに泊まってゴーストモールの実態を見てみよう、と決めた。もちろんtabinoteのネタにも最適だし!


行き方

ドンガンへは、香港から広州行きの鉄道で行くことができる。
その鉄道は私も昔利用したことがあり、楽勝だなと思っていたところ、Googleマップを開いて唸った。

ドンガンは一つの市とはいえ、神奈川県ほどの広さがある。そしてモールは鉄道駅から遠いのだ。香港広州鉄道の通る東莞駅(常平;チャンピン駅)とモールの距離はGoogleマップによるとおよそ40km。チャンピンからの移動経路を調べてみるがよくわからず、英語の「1,000香港ドルくらいでタクシーをチャーターするのが一番いいぜ」とかいう適当なQ&Aが出てくる始末
廃墟冷やかしに行くのにそんなに出せないよ!

さらに調べたところ、日本語で書かれたブログ(訪問記)を見つける。
(この「世界、大人の社会科見学(旧:とにかく安く旅行したい)」さんの情報は大変参考になりました。この場をお借りしお礼申し上げます )
世界第2のショッピングモール、広東省東莞市の華南モールに向かった件/世界、大人の社会科見学

どうやら華南モールは香港から「東莞汽車総站」という長距離バスターミナルに向かい、更に市バスに乗り換えて行けばいいらしい。
上掲のブログでは、香港・中国国境の羅湖から40番のバスで東莞汽車総站に着くとの記述がある。そこから市バスに乗りモールまではバス停1つ分。市バスに乗らず、東莞汽車総站から徒歩でもいけないことはないらしい(むしろ、徐々に現れる朽ちた看板や煤けた案内表示などを体験するにはそれがおすすめとか)。

個人ブログを参考にしないと行き方一つわからないのは、華南モール公式サイトの交通案内がさっぱり要領を得ないから。
こんな地図(↓)でわかるかよ!
新華南MALL生活城_map
(画像:公式サイト)


滞在手段とドンガンの治安問題

さて、悩んだのが、日帰りで帰るか現地に泊まるか。

実はドンガンは「中国で治安の悪い街ランキング」で堂々1位に選ばれた悪名高い都市。

「東莞=要注意地域」という方式は中国ではかなり有名……。東莞へ旅行に行くと、すまし顔の上海人やブッキラボウな北京人までもが親切に感じられる……とさえ言われます。スリや引ったくり、売春、詐欺、コピー製品が町中に溢れかえっているのですから、夜道は歩かない、大金を持たないなど、自己防衛が必要です。政府は多くの治安部隊をこの土地に送り込んでいるようですが、問題はなかなか解決に向かわないようです。
-「中国の都市別治安ランキング」/All About

 
スリはともかく治安部隊って何だよ!

もともとドンガンは「世界の工場」を代表する新興都市・深センに隣接し、深センの発展に伴って巨大工場がボコボコできたことから発展した街で、2010年の人口は822万人とほぼ1千万にせまる勢い。現在ドンガンに住む住民のほとんどはもともとの華南部住民ではなく、内陸からの出稼ぎ労働者。必然的に荒っぽい連中が多い模様…。
また、日本語でドンガンを検索すると売春情報だらけ。要するに、工場労働者ってのはほとんど男なので、それを見越した産業が発達してるということになる。特に、東莞駅(チャンピン駅)の近くでホテルに泊まると客引きがひっきりなしに押し寄せる羽目になるらしい。

どんな世紀末都市なのかと思うが、香港に戻るバスは早い時間で終わり、日帰りはきついことが判明。
そもそも目的のモール見学が中途半端に終わる可能性もある。

広州まで移動して広州泊という手もあるが、広州も危険ランキング2位になっている。広州には安全なイメージしかないので、この危険度ランキングって結構いい加減なんでは…。
などと迷っているうちに出発の時が来た。


香港から、いよいよ華南モールへ:出境

さて、香港エクスプレス航空で香港へ。
香港3日目、所用を済ませて(メルマガバックナンバー参照)いよいよドンガン行きの日。

香港で予約できたホテルは前々々回旅行記で触れたOZO。
香港島のワンチャイとセントラルの間あたりにありどこへ行くにも便利だったが、そのホテルから東莞汽車総站行きのバスが出る国境沿いの街・羅湖までは地下鉄を乗り継ぎ90分もかかるという。
面倒だなと思い慣れない中国語検索を駆使していると、ホテルのすぐ傍にある旅行会社(香港中国旅行社)でドンガン行きのバスを手配しているという情報を入手。

販売しているチケットは、ホテルからも徒歩で行ける香港島のフェリー乗り場からドンガンの東莞城市候機楼まで行く高速バスで、片道100香港ドル。
東莞城市候機楼とは、航空会社のオフィスが入った集合ビルで、どうも華南モールの中にあるらしい。ということは香港からモールまで直行である。なんだ、これでいいじゃん。

ということで、日帰りか宿泊かは決めず、でたとこ勝負で行ってみることにした。
バスは予約制なので、チケットの空き具合によっては現地に夕方着かもしれない。そうなったらその時だ…。

ホテルをチェックアウトし、tabinote田口と別れ、荷物をまとめて近くの香港中国旅行社オフィスに向かった。
午前便もまだ間に合う時間だったが、満席とのことで午後発のバスチケットをゲット。
IMG_20140323_120155
(画像:tabinote)

徒歩でカートを引きながらバス乗り場(フェリー乗り場)に向かう。
直通バスとはいえ、香港からのバスは中国国境の深セン・皇崗までで、ここで乗り換えることになる。そのためどのバスも行き先表示は「皇崗」となっており見分けが付かないが、実際にはどの皇崗行きに乗っても問題無い。一応バス乗り場の受付の女性にチケットを示し、乗るバスを確認。

バスを皇崗で降り、香港出境・中国入国検査を受ける。
IMG_20140323_130236
(画像:tabinote)

中国側のバスセンターでドンガン行きのバス停に並ぶ。香港中国旅行社の腕章を付けた係員がいたので、チケットを見せてバス停を確認。ほどなくバスが来たので乗り込む。

車内は…ガラガラ!これなら午前発の便でも乗れたんじゃないの?と思うほど。
数名しか乗せないバスは定刻も定かでないまま出発した。
中国国境を越えた後も香港からのローミングで携帯の電波が通じていたので、Googleマップを見ながら移動経路を追う。バスは確実にドンガンの中心部へ。
Screenshot_2014-03-23-14-31-14
(画像:tabinote)

ドンガン市は、中国の典型的な大都市という感じで、巨大な車幅の高速道路越しにビルが途切れること無く続いている。

市街地で一気に客が降り、とうとう私一人になった。

運転手が何か尋ねてくる。どこまで行くのかと聞くので、華南モールと答えると、このバスは華南モールには行かないという。
そんなわけねえだろ、チケットにもバスにも「東莞城市候機楼」って書いてあるし、東莞城市候機楼は華南モールの中でしょ、と尋ねると、運転手はなんと路肩に停車して、意外なことを言い始めた…。

(続く)