2b.「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和
吉田友和(よしだともかず)
1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行にして夫婦で世界一周旅行を敢行。旅の過程を一冊にまとめた『世界一周デート』で、2005年に旅行作家としてデビュー。「週末海外」というライフスタイルを提唱。国内外を旅しながら、執筆活動を続けている。その他、『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』(講談社)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『LCCで行く! アジア新自由旅行』(幻冬舎)、『めざせプチ秘境!』(角川書店)、『3日もあれば海外旅行』(光文社)など著書多数。
旅行作家★吉田友和 Official Web
しりとりで旅する 第26回 吉田友和
ご 誤解
搭乗口前には険悪な空気が漂っていた。先日、新千歳空港から成田空港行きの国内線に乗った。そのときの話である。
某LCCの最終便に予約を入れていた。前日に取ったにもかかわらず、運賃がわずか6,500円と格安なのにほくそ笑みながら空港へ辿り着いたら、格安ならではの罠が待ち受けていたのだ。
思えば、手荷物検査の時点から暗雲は立ち込めていた。新千歳空港はしばしば利用するが、近頃は海外からの訪問者も増えたせいか、混雑度合いが以前よりも増している印象を受ける。検査場の入口には途方もない長蛇の列ができていた。出発時間が迫っている乗客を優先させようとANAのスタッフが呼びかけをしているぐらいだった。