3a. tabinote旅行記 トルコ・女一人旅 Vol.03
英賀ナオコ
日芸写真学科在学中。メキシコ育ちの転勤族。
カメラは主にNikon、FE2、35mmフィルムカメラ。好きなタイプは、ほっといても1人で生きていけそうな人。
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はじめに
tabinoteハマです。5回に渡って連載している英賀ナオコさんのトルコ・女一人旅、3回目になります。
現在大学で写真を学んでいる彼女の、素晴らしい写真と文才をお楽しみ頂ければと思います。
無料で読めるメールマガジンでは毎回コラムを2本掲載していきますが、サイトの方にも新規に2本づつ掲載していきますので(リンクはコラム下にあります)、どちらもご覧頂ければと思います!
坂の道
トルコは坂が多い。
青空が広がる日、坂の街を歩いてみた。
家の玄関の前で団欒をする奥様方。仕事をしているお父さん達。遊ぶ子供達。「メルハバ!」と挨拶して坂を上がる。
おじさんが仕事を休んでネコを撫でていた。あまりにも絵になっているから、写真を撮っていい?と聞いた。
撮っていいよ。と、おじさんは言って真面目な顔でカメラに目を向ける。
私はおじさんがネコを撫でている姿を撮りたかったのだけど、おじさんがあまりにも緊張してポーズをとるから、シャッターを押した。
撮り終わると優しい顔でネコを撫でるおじさん。
気を取り直して坂を登る。
息が切れてきた。
振り返ると海が見えた。青い海と家と生活をする人々。
思わず息を吸って、吐いた。
エリフさん
今回旅の初めの三日間をマルマラゲストハウスで過ごした。その後は系列店のサラハンホテルに行ったのだが、マルマラゲストハウスがとても好きになったのはエリフさんの存在が大きかったのかもしれない。
エリフさんは親日家だ。
まだマルマラゲストハウスができる前、家族で住み込みでバックパッカーが多いドミトリーハウスで働いていたらしい。その頃は日本人のバックパッカーが多く、彼女は彼等から日本語を教わったという。
「読み書きはできないけど、聞いたり話したりはできるようになったの。彼等のおかげね」とエリフさんは言う。
日本には3回来たことがある。
日本っていう国も、日本人も大好きだという。
「最近、個人でトルコに来る日本人が昔より減った気がするの」
と、エリフさんは言った。
「日本人はヨーロッパが好きだよね。トルコは、ヨーロッパ、アジア、イスラム、オスマン帝国、なんでもあるのに!トルコのほうが絶対面白いよ!!」
そう言ってから、小さい声で
「って、日本人に言っといて」
と笑うエリフさんに、私は小さい声で「言っとくね」と返した。
後日、エリフさんの家でご飯をご馳走になった。
私がトルコが好きになったのもこのエリフさんに出会ったことも大きいな、と日本に帰ってきて彼女と彼女の旦那さん、息子のメテちゃんの写真を見て思った。
またエリフさんに会いたい。