3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

Profile
aoki_s

青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

Facebook

第14回:バリ・ウブド

(編集部注:第8回バンコク第9回シドニーの間をつなぐ、シドニー移動前のエピソードです)
photo7
バリは楽園だった。それは僕が失っていた観光地への感覚だった。
安宿、土産物屋、そして怪しいマッサージ、日本語が堪能な客引きに、日本人女性を狙うジゴロ、そしてマジックマッシュルーム。
今まで通りすぎて来たアジアの魅惑、そして嫌悪していた魅惑が再び目の前に現れて、僕はバリを楽園のように捉えていた。
ホテルは出会った旅人と1泊1500円のツインルームをシェアした。それでも朝食・プール付きの豪華さは、この旅史上最も心休まる宿泊先だった。
photo3
photo5

バリではウブドや棚田をレンタルバイクで訪れ、海を散歩し、夜の街を散歩しては土産物屋を冷やかして歩いた。
漫画ドラゴンボールのモデルとなったと言われるその景観は、日本人がすっぽりとおさまってしまうような居心地を孕んでいた。
出会った欧米系の旅人たちはこぞってバリを喧しがって、次なる開拓地としてロンボック島を話題にしていた。僕には時間がなく、訪れることは出来なかったけれど、バリからフェリーで4時間程のその島は自然が多く残り、喧騒から逃れられる場所として人気を集めていた。
それでも僕にとってバリは充実したリゾートとして目に映り、スマトラ島からジャワ島へとインドネシアを縦断した疲れを癒してくれた。
photo2

そんな毎日の中で、僕はインドネシアを出る前にもう1度マジックマッシュルームを食べることにした。価格は500円もせず、トバ湖の半額だった。そして今度はオムレツではなく、コーラシェイクで摂取した。

砂浜に寝転び海を眺めていると、光が眩しく幻覚が見え始めた。
思考の速度が速まって、それからは前回と同じ展開だった。
ただ、ひとつの奇妙な考えが僕を捉えて離さなかった。

それはそれは多くの思考が消え去って、かなりの時間が経ったと思い、iPodの画面を見ると、全く時間が経っていないことがわかった。
僅かな時間で、効果的に思考の鍛練を積むことが出来る。端的に言うとマジックマッシュルームへの僕の印象はそんな感じだった。

そしてふと、「精神と時の部屋」と同じだと僕は思った。そう、ドラゴンボールに登場するそれだ。キャラクターたちはその部屋で修行をし、絶大な力を得て帰還する。そして実際の時間軸では僅かな時間しか経っていない。

もし、鳥山明がバリを訪れていたとして、マジックマッシュルームを食べていたとしたら・・・
これが単なる薬物中毒の虚言だとは僕は思わない。あくまで仮定の話なのだけれど。

もしかしたら脳みそがふやふやになってしまったかもしれない僕は、そんな事を考えながら1ヶ月を費やしたインドネシアを後にすることにした。
photo6

次回はフィリピン、デング熱発症を記します。


世界一周ノート
とりあえずの予定コース:上海→杭州→南寧→ベトナム→ハノイ→ホーチミン→カンボジア→チェンマイ→ラオス→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島・・・シドニー…、以降インド、トルコ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、南米と巡る予定

3b. 世界一周ノート 第14回:バリ・ウブド


3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

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青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

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第14回:バリ・ウブド

(編集部注:第8回バンコク第9回シドニーの間をつなぐ、シドニー移動前のエピソードです)
photo7
バリは楽園だった。それは僕が失っていた観光地への感覚だった。
安宿、土産物屋、そして怪しいマッサージ、日本語が堪能な客引きに、日本人女性を狙うジゴロ、そしてマジックマッシュルーム。
今まで通りすぎて来たアジアの魅惑、そして嫌悪していた魅惑が再び目の前に現れて、僕はバリを楽園のように捉えていた。
ホテルは出会った旅人と1泊1500円のツインルームをシェアした。それでも朝食・プール付きの豪華さは、この旅史上最も心休まる宿泊先だった。
photo3
photo5

バリではウブドや棚田をレンタルバイクで訪れ、海を散歩し、夜の街を散歩しては土産物屋を冷やかして歩いた。
漫画ドラゴンボールのモデルとなったと言われるその景観は、日本人がすっぽりとおさまってしまうような居心地を孕んでいた。
出会った欧米系の旅人たちはこぞってバリを喧しがって、次なる開拓地としてロンボック島を話題にしていた。僕には時間がなく、訪れることは出来なかったけれど、バリからフェリーで4時間程のその島は自然が多く残り、喧騒から逃れられる場所として人気を集めていた。
それでも僕にとってバリは充実したリゾートとして目に映り、スマトラ島からジャワ島へとインドネシアを縦断した疲れを癒してくれた。
photo2

そんな毎日の中で、僕はインドネシアを出る前にもう1度マジックマッシュルームを食べることにした。価格は500円もせず、トバ湖の半額だった。そして今度はオムレツではなく、コーラシェイクで摂取した。

砂浜に寝転び海を眺めていると、光が眩しく幻覚が見え始めた。
思考の速度が速まって、それからは前回と同じ展開だった。
ただ、ひとつの奇妙な考えが僕を捉えて離さなかった。

それはそれは多くの思考が消え去って、かなりの時間が経ったと思い、iPodの画面を見ると、全く時間が経っていないことがわかった。
僅かな時間で、効果的に思考の鍛練を積むことが出来る。端的に言うとマジックマッシュルームへの僕の印象はそんな感じだった。

そしてふと、「精神と時の部屋」と同じだと僕は思った。そう、ドラゴンボールに登場するそれだ。キャラクターたちはその部屋で修行をし、絶大な力を得て帰還する。そして実際の時間軸では僅かな時間しか経っていない。

もし、鳥山明がバリを訪れていたとして、マジックマッシュルームを食べていたとしたら・・・
これが単なる薬物中毒の虚言だとは僕は思わない。あくまで仮定の話なのだけれど。

もしかしたら脳みそがふやふやになってしまったかもしれない僕は、そんな事を考えながら1ヶ月を費やしたインドネシアを後にすることにした。
photo6

次回はフィリピン、デング熱発症を記します。


世界一周ノート
とりあえずの予定コース:上海→杭州→南寧→ベトナム→ハノイ→ホーチミン→カンボジア→チェンマイ→ラオス→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島・・・シドニー…、以降インド、トルコ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、南米と巡る予定