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Contents

1. 旅行業界最新ニュース
2a. 連載:「タビノート」 下川裕治
2b. 連載:「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和
3. tabinote旅行記 チェンナイ編
4. 世界あの街この街:第六回 上海
5. 旅の本屋 のまど:イベント情報:9月19日(木)近藤雄生さん スライド&トークショー
6. 読者からのお便り
7. 編集後記


1. 旅行業界最新ニュース

カタール航空がワンワールドに正式加盟

成田―ドーハ、関空―ドーハにそれぞれ1日1便運行しているカタール航空が、ワンワールド・アライアンスに10月30日から正式加盟すると発表した。このことにより日本航空やブリティッシュ・エアウェイズなどワンワールド加盟エアラインとマイレージやラウンジの共有、コードシェア便の利用などが可能となる。
カタール航空

ANAのジャンボが「里帰りフライト」

2014年3月31日をもって全機退役となるジャンボジェットB747が、かつて就航していた羽田~函館・小松・広島・鹿児島・長崎、沖縄~名古屋路線に「里帰りフライト」をすることがわかった。期間は10月27日~12月8日、スケジュールは同社特設ウェブサイトで確認できる。
ANA特設サイト

2020年東京オリンピック決定。首都圏の空港事情は

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が正式に決定した。これにより海外からの訪問客が増加することは確実で、成田・羽田両空港の発着枠増加や、羽田空港C滑走路の延伸工事、国際ターミナル拡張などが進められることが期待されている。また、羽田空港と成田空港を東京都心で結ぶ都心直結線も現実味を帯びてきた。この路線が開通すると、羽田から東京行きが現在の27~36分のところ18分、成田から東京行きが53~55分のところ36分となる見込み。

ANA、B787利用の長距離国際線でプレミアムエコノミー導入

ANAは9月1日の羽田-フランクフルト線を皮切りに、ボーイング787-8型機の長距離国際線にプレミアムエコノミークラスを導入開始した。シートは現在欧米路線を運行しているB777-300ERのものと同様で、シートピッチが通常のエコノミーと比べて約10%拡大し、座席レイアウトもエコノミーの横9席(3-3-3配列)に対し横7席(2-3-2)となる。

春秋航空日本、成田―高松、広島、佐賀線就航を申請

中国・上海を拠点とするLCC大手の春秋航空などが出資する春秋航空日本は、国土交通省航空局に対し、成田―高松、広島、佐賀線への就航許可を申請したと発表。認可されれば2014年5月末より就航を開始する予定。各路線とも1日2往復4便から始め、将来的には台湾など国際線進出も視野に入れていくという。就航時の機材はボーイング737-800型機3機、以後5年間で20機体制まで拡大していく予定。
春秋航空日本

バニラ・エア、公式サイトオープン

エアアジア・ジャパンから名称変更するANA傘下のLCC、バニラ・エアが公式サイトをオープンした。現在は「コンセプト」、「会社概要」、「ごあいさつ」といった基本的なコンテンツのみだが、路線発表後に充実していくと思われる。なお、バニラ・エアは既にFacebookページをオープンしており、2400人以上のファンを集めている。
バニラ・エア

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2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

料金設定はないがクラスはある?

 マイレージを貯めようとすると、どうしてもサブクラスといわれるものが気になってくる。サブクラスというのは、エコノミーやビジネスといったクラスよりさらに細かいクラス分けである。エコノミークラスのなかにも、さまざまなクラスがあるわけだ。サブクラスの違いで、日程変更や利用期間などの制約が変わってくる。マイレージも貯まるクラス、貯まらないクラス、あるいは半分だけ貯まるクラスなどがある。その条件は運賃に反映される。
 バンコクと日本を往復することが多い。スターアライアンスのユナイテッド航空にマイルを貯めている。
 バンコクと東京を結ぶフライトで、スターアライアンスに加盟しているのは、ユナイテッド航空、全日空、タイ国際航空の直行便のほか、シンガポール航空、エバー航空、中国国際航空などの経由便がある。運賃とマイルの加算率を考えて、北京経由の中国国際航空にしばしば乗る。
 中国国際航空でユナイテッド航空のマイレージプラスに100%貯まるのは、エコノミーのLクラス以上である。僕はそのLクラスを利用することが多い。
 先日、バンコクから東京まで乗った。バンコクの空港で飛行機に乗り込み、ふと搭乗券を見ると、クラスがWになっていた。客室乗務員に、「Wクラスも100%貯まるのでしょいか?」と訊いてみた。が、マイレージの話はわからないので、飛行機を降りてから問い合わせてくれ、といわれた。こういうことは珍しくない。
 帰国後、中国国際航空に訊いてみた。Wクラスは100%加算だった。しかしなぜ、Wクラスに変わったのだろうか。
 「それはバンコクの管轄なので」
 バンコクでチケットを買った代理店に訊いてみた。
 「W? そんなクラスはないというか、料金がないんだけど……」
 バンコクの代理店も気になったようだった。数日後、バンコクからメールが届いた。
 「バンコクの中国国際航空の社員もよくわからないらしい。ただ、バンコクー北京線には新しい機材を導入して、そこには、座席間隔が広いエコノミー席があるのだという。よく乗るお客さんには、そこに移すようなコンピュータの設定を変えたらしい」
 プレミアエコノミーという席だ。それがWクラスということらしいのだ。なんだかすべてが憶測での話なのだが、料金設定はないがクラスはあるということらしい。
 マイレージの世界は、ますますわかりにくくなってきている。

北京空港
北京空港。やたら大きく、乗り換えに時間がかかる

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2b.「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和

Profile
プロフィール

吉田友和(よしだともかず)

1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行にして夫婦で世界一周旅行を敢行。旅の過程を一冊にまとめた『世界一周デート』で、2005年に旅行作家としてデビュー。「週末海外」というライフスタイルを提唱。国内外を旅をしながら、執筆活動を続けている。その他、『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』(講談社)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『LCCで行く! アジア新自由旅行』(幻冬舎)、『めざせプチ秘境!』(角川書店)、『3日もあれば海外旅行』(光文社)など著書多数。
旅行作家★吉田友和 Official Web

しりとりで旅する 第6回 吉田友和

た タイ

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 この国に関しては書きたいことが山ほどあるのに、いざ書き始めようとすると一向に筆が進まない。タイである。現時点では、一番のお気に入りだと前号で紹介した。
 初めての海外旅行は世界一周だった。その世界一周で、一番最初に訪れたのがタイだった。以来、訪問回数は数え切れないほどで、バンコクをテーマに本を書いたり、ガイドブックを編集したこともある。
 タイの何が旅人を惹きつけるのだろうか。物価が安く、食事が美味しくて、気候がいい。海あり、山あり、遺跡あり、シティライフありと全方位的に旅行者を狙い撃ちできるだけの観光資源を持ち、遊ぶところは尽きない。英語の通用度は比較的高く、ホテルや交通手段、通信インフラなども整っている。ある程度の快適さが保証されつつも、適度に異国情緒や刺激も味わえる旅先。こうしてタイの魅力を列挙してみると、いいことづくめに思えてくる。
 一方で、遊びではなく、仕事で訪れると、タイのまた違った一面が垣間見られる。たとえば飲食店の取材へ行くとする。日本人的律儀さを発揮して、10分前、遅くても5分前にはお店へ到着すると、約束していた担当者が不在で拍子抜けさせられる。次のアポもあるので携帯に電話をかけてみると、「あれっ、今日でしたっけ?」とすっとぼけた声が返ってきたのには絶句させられた。
 そこまでいい加減ではなくとも、遅刻などはまったく珍しいことではない。最初のうちこそ戸惑ったが、慣れるとだんだん気にならなくなってくるのは不思議だ。というより、自分自身もすっかりタイ人化して、シビアに時計を見なくなってしまう。
 バンコクは渋滞のひどい街で、タクシーに乗っていてクルマが全然前へ進まなくなることがある。このままでは約束の時間に間に合わない……とアセアセしそうになるところだが、「まあ、そのうち着くでしょう」とドーンと構えた方が得策だったりするのだ。いまのところ、遅刻して大きな問題になったことは一度もない。自分の不真面目さを正当化するつもりはないのだが、タイにいるとつい気がゆるんでしまうのは事実だ。
 何度も行っているせいか、時には痛い目にも遭う。数年前、バンコクの空港が反政府デモに占拠され、乗る予定だった飛行機が飛ばないというアクシデントに遭遇した。空港閉鎖は思いのほか長引き、一週間近く足止めを食らってしまった。その週の日本での仕事をすべてキャンセルする羽目に陥ったのは痛恨の出来事だったが、すぐに「まあ、そのうち再開するでしょう」と諦めの境地に達した。我ながら、タイのゆるい空気に感化され過ぎているなあと苦笑する。いまだから書くと、大好きなバンコクにいられることを密かに喜んだのも正直なところである。
 マイペンライという言葉がある。大丈夫、気にするな、なんとかなるさ、といった意味の有名なタイ語の1つだ。この一言が、タイ人の楽天的な気質を見事に表しているという意見には僕は同意する。結局のところ、これこそがタイの最大の魅力なのかもしれない。日本で忙しない社会に揉まれ、人付き合いや面倒なしがらみに疲れた中でタイを訪れると、心に張り詰めていたものが霧散していく。言うなれば、リハビリの地である。そういう場所が一箇所でもあるのはやはり心強い。

※タイ→次回は「い」がつく旅の話です!


タイ
東南アジアのタイは日本との関係も親密。
巨大なスワンナブーム国際空港は東南アジア有数のハブ空港。日本からの航空便も多く、直行便なら東京から7時間程度でバンコクに到着する。経済は高成長がつづき、開発や都市化も著しく、都心では高層ビル・高級ホテルやレストラン・巨大なショッピングセンターなどが立ち並ぶ。一方で地方・郊外に出ると、農村や自然、ビーチが拡がる牧歌的な風景が残る。
街歩きや史跡めぐり、ユニークなタイフードなど魅力が多く、旅行者の人気は高い。首都バンコクは世界でもトップクラスの観光都市。
-編集部

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3. tabinote旅行記

はじめに

tabinoteスタッフの田口です。
このコーナーでは毎号スタッフの旅行記を掲載していきますが、今後は読者の方の旅行記も掲載していくつもりです。われこそはという方がいらしたら、ぜひこちらまでお寄せください。採用の方には薄謝を差し上げます。
また、tabinoteは自分だけのユニークな旅行プラン作成のお手伝いをするサービスです。このメルマガを読んでどこかへ行きたくなったら、ぜひtabinoteまでご相談ください。

インドへの憧れ

旅行好きでインドに行ってみたいと思ったことのない人はあまりいないだろう。かくいう僕も椎名誠や妹尾河童の旅行記を読んでずいぶん憧れたもののなかなか機会がなく、今回おなじみエアアジアを使いようやく行くことができた。
「インドを訪れた人は、大好きになって何度も行きたくなるか、二度と行かないと思うかのどちらか」とよく言われるが、果たして僕はどちらになるのだろうか。

チェンナイ ―南インドの玄関口―

初インドの行き先は、有名な「コルカタ」、「デリー」、「ムンバイ」といった有名都市をあえて外し、「チェンナイ」という南インドの街にした。エアアジアが就航しているという以外に理由は特にないのだが、強いてあげれば「普通の都市が好き」だからかもしれない。もちろん国を代表する首都や観光地にも興味はあるが、例えば名古屋、チェンマイ(タイ)、台南(台湾)、ボストン(アメリカ)といった国内第3、第4の街は、その国のよそ行きでない普通の暮らしを見ることができるような気がするからだ。あと、南インドは悪名高い物乞いや偽ガイドなどが比較的少ないという情報もあった。というわけで、「南インドの玄関口でインド第4の都市」、「昔はマドラスと呼ばれていた」以外の知識をほとんどもたないまま、クアラルンプール発のチェンナイ行きに乗り込んだ。

まずはカレーを食うぞ

まったく土地勘のない街なので、どこが繁華街かもわからずホテル選びには苦労したが、Expediaのユーザー評価を参考にThe Accord Metropolitanというホテルに泊まることにした。
チェンナイ空港からのアクセスはあまりよくないので、はじめての国ということもあり普段は利用しないホテルの送迎サービスを利用することにした。

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40分ほどで到着したホテルは1泊6800円~とさほど高くはないにもかかわらず、部屋はきれいでWi-Fiも無料、レストランの食事もおいしく当たりだった。

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荷物を置いたらまずはカレーだ。ネットで当たりをつけたショッピングモールにオートリクシャー(三輪タクシー)で向かう。ちなみにリクシャーにメーターは付いているが使うドライバーは皆無(言っても使わない)、すべて事前交渉制となる。何度も利用したが相場もかなり適当(雨が降っているから50ルピー増し)だ。とは言え市内なら高くてもせいぜい300ルピー(450円)なので僕はそこまでしつこく値切りはしなかった。

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着いたのはSpencer Plazaという老舗モール。カプセル型のエレベーターがレトロでいいかんじだ。
モール内も香港ほどではないが、雑多な店舗が密集するかなりカオスな空間。

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すぐにフードコート発見。地元民いっぱいで期待できる。通常フードコートでは店舗に出向いて現金・もしくはクーポンで精算する形が多いが、ここは席に着くと、周囲の店の店員が次々にメニューを持ってくるのでその中から選ぶだけでいい。精算もテーブルでOKだ。

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いよいよ待望のカレーだが……。

正直口にあわず結構残してしまった。南インドではカレーよりもビリヤニ―やロティを選んだほうがいいかもしれない。
そういえば、インドでは絶対に左手を使わず右手だけでナンやご飯を食べると聞いていたけど、結構左手使っている人いた。南部はおおらかなのかな?

圧倒的だったカーパーレーシュワラ寺院

翌日は市内観光をすることにした。目的地はこれもネットで調べたシヴァ神を祀るヒンズー教のカーパーレーシュワラ寺院。

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リクシャーのドライバーが途中だからと、これも観光名所のサントメ聖堂の前を通ってくれた。

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かなり遠くからでも目立つ、40メートル近くある寺院のシンボル極彩色のゴープラム(塔門)

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4面に色とりどりのヒンドゥー教の神や聖人像が彫刻されていてまさに圧巻。双眼鏡がほしかった……。
境内は参拝客で溢れ、お供え物の花束を売る店が目立った。日本では親しみのないヒンズー教の信仰現場が見られてとても興味深かった。

しかし暑い、行ったのは最も気温が高くなるという6月で毎日40度近く湿度も高い、日中は汗びっしょりで本当につらかった。できれば1月など過ごしやすい季節に行った方がいいかもしれない。

電車に乗って街歩き

3日目は特に目的もなく街をブラブラすることにした。

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とりあえず近郊鉄道の駅に向かう。付近はかなりやさぐれた感じだ。

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電車の扉は開けっ放し。落ちないか心配だ。

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が、車内に入ってみるとわりと空いてる。どうやらみんな暑いから扉側に出て冷風を浴びていただけと判明。

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またもや適当な駅で降りて通りを歩いてみる。インドらしい街並みだ。

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カラフルなフルーツを並べた商店。観光客の姿はほとんど見えない。

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インド名物チャイ。日本でよくあるジンジャーやスパイスが入ったものではなく、煮詰めたミルクティーといった感じで甘くてとてもおいしい。暑いところを歩く疲れを癒してくれるので散策中3杯も飲んじゃった。

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やはり牛は神聖な動物。街中あちこちを我が物顔で歩いていた。

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カメラを構えると照れて逃げるんだけど隠すと寄ってくる。もう一度構えたら今度は笑顔で収まってくれた。

というわけでほとんど街歩きに費やした初インドだったが、予想以上に快適で不快なことはほとんどなかった。やはり勝因はある程度のランクのホテルに泊まったことだと思う。チェンナイ、そして南インド、もう一度行ってみたいと思わせる場所だった。

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4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第六回 上海

外灘の夜景(tabinote提供)
Shangihai[1]

中華人民共和国・国旗

(画像:Wikipedia)

見どころと特徴

海を越えたら上海。ショッピング、グルメ等多様な楽しみ。世界有数の大都市だが庶民的な通りもあり、ちょっとした街歩きも楽しい。外灘(バンド・ワイタン)は歴史的建造物が弧を描く黄浦江沿いに立ち並ぶ異国情緒あふれる一角で、夜景の美しさで有名。

上海の中心地域は環状路の中山路に囲まれており、東西に延びる延安路・淮海路・南京路などと南北の高架路・西蔵路などにより分割されている。南京路と西蔵路の交差点が人民広場となっており、ここを起点に考えると街歩きもスムーズ。

南京路附近(tabinote提供)
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人民広場から南京東路~外灘のあたりはアジアでも随一の繁華街。百貨店やブランドショップ、レストランなどがひしめく。
外灘はおしゃれなカフェやバーが点在。黄浦江の下を通る水中観光トンネルを通って川の東側、浦東に出ると、東方明珠塔や国際金融中心、金茂タワーといった超高層建物群や巨大ショッピングセンターがあらわれる。天気が良ければ高層ビルの展望台から上海を見下ろすのもいい。

上海外灘観光隧道の写真
上海外灘観光隧道 (トリップアドバイザー提供)

金茂タワー(tabinote提供)
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再び黄浦江の西岸に戻り、人民広場から南東にむかうと明代の庭園豫園があり、周辺にはお土産屋や名物小籠包店などがひしめく。
南西に向かうと上海随一の高級ショッピングエリア、新天地。更に南に向かうとレトロな街並みを再現した田子坊にたどりつく。

新天地(tabinote提供)
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人民広場から南京路を西に向かうと静安寺。淮海路を下るといつ途切れるとも知れない商店街・繁華街が続く。
静安寺から南、淮海路までの間(衡山路駅近辺)はナイトストリートとして知られており、百貨店、レストラン、カフェや地元の食堂など、商店が途切れることは無い。このあたり、復興西路近辺はフランス租界の跡が拡がり、街並みも美しい。

朝早くホテルを出ても、ここまで歩いたら夕暮れになっている。衡山路をうろつくのも良し、外灘に戻って夜景を見るのもいい。

上海はアートの街でもある。人民広場には巨大な上海博物館があり、古代や中世の青銅器、美術品や陶磁器、少数民族の展示などここ一箇所で中国文化を概観できる。入館無料という点もすばらしい。上海美術館も隣接。地味だが、同じく隣接する上海城市規画展示館は上海の街並みを完璧に再現したジオラマが見事で見学者の評価は高い。
虹橋の紅坊国際国際芸術区やM50といった現代アートを体験できる施設も多い。

上海城市規画展示館の写真
上海城市規画展示館 (トリップアドバイザー提供)

M50(tabinote提供)
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カフェやレストランの話ばかりで疲れそう?通り添いにはローカル食堂や市場も多く、ひなびた街歩きも十分可能なのでご安心を。

上海は祭りやイベントも盛ん。
2月は爆竹が賑やかな春節や灯籠が美しい元宵節(ランタン祭り)が有名。5~6月の端午節はドラゴンボート・レースレースが沢山の観客を惹きつける。暑い夏をやり過ごして迎える中秋節も花火が賑やか。6月の上海国際映画祭や秋のビエンナーレ、国際芸術祭などアート方面も魅力。

郊外では、ひなびた水郷の朱家角がお勧め。日程に余裕があれば、やはり蘇州、杭州には足を伸ばしておきたい。風光明媚な蘇州は鉄道でわずか30分。

日本からの行き方

(空路)
日本から中国への空路は多く、地方空港からも連日直行便が就航している。

LCCは上海の春秋航空が茨城空港と浦東国際空港を結んでいる。価格はキャンペーンで片道6千円程度をうたっているが、サーチャージが乗ると往復3万弱になる。復路は現地8時発。

羽田発の場合は虹橋空港着で、中国東方か上海航空が3万円台後半と安い。ただし復路午前発となる。次いで大韓航空・アシアナの韓国系が4万円台後半で続くが、仁川乗り換えで時間的にはロスが多い。日系は7万円~と高い。

成田発の場合はデルタの直行便が最安だが、往路夜、復路午前とスケジュール的には厳しい。大韓航空・アシアナの韓国系が同程度の価格だが仁川などで乗り継ぎがある。直行でスケジュール的に有利なのは中国東方で、5.5万円程度。日系のJAL、ANAも7万弱となっている。
以上から、関東の場合は値段で茨城の春秋航空、スケジュールで成田の中国東方が優先度高い。

関西の場合は中国東方か上海航空。共に3.5万円程度で往路・復路共に選択肢は多い。

中国東方は中部国際の他、新千歳、広島、岡山、福岡など各地方空港から直行便を飛ばしている。

(海路)
大阪、神戸との間でフェリーが就航している。
大阪、神戸を隔週火曜正午に出るのは新鑑真号で、船内2泊し木曜昼頃到着。2等室で片道2万円、往復3万円。
大阪発の蘇州号は金曜正午発日曜上海着で運賃は同じ。

(パッケージツアー)
シーズンにもよるが、3泊4日の往復直行便サーチャージ込みで3万円程度から。格安ツアーは往路夜発、復路午前発、または2名から催行などの制約があることが殆ど。

(空港)
上海 浦東国際空港は東アジアを代表する巨大空港。
500m離れた2つのターミナルを無料シャトルバスが結んでいる。
市内へは世界初の実用リニアモーターカー、エアポートバスが利用できる他、タクシーもある。
リニアは地下鉄2号線の龍陽駅までを10分以内で結ぶ。普通席50元、交通カード(後述)利用なら40元。
エアポートバスは行き先別に15~30分間隔で運行、所要80分、30元程度。
タクシーは市内中心部まで所要60分、200元未満。

上海リニア(tabinote提供)
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虹橋空港は日本の地方空港のようなこぢんまりした空港。地下鉄の虹橋一号航站楼駅とつながっている。タクシーの場合は市内中心部まで所要30分・40元程度。

地理と気候

日本との時差はマイナス1時間。
北緯31度と鹿児島と同程度の緯度であるが、大陸性の気候は厳しい。夏は気温こそ東京と同程度だがより蒸し暑く、冬は東京よりも概ね寒い。四季はあるものの春秋は短い。
雨が少ない春・秋が過ごしやすい。真冬の渡航には防寒着が必要。

(画像:Google提供)

言語と通貨

公用語は中国語(普通話)。
外国人が多い店、レストラン、ホテルなどは英語が通じることも多いが、一般・街中ではあまり期待できない。空港や地下鉄の外国人カウンターも英語で問題無い。タクシーは中国語オンリーと考えて良い。中国語(簡体字表記)の地図か、筆談ができるようにペンと紙をもっていればOK。日本の漢字と現地の漢字は異なるため地名が日本語表記の地図は通じない場合も。

通貨は人民元(RMB)。1人民元=16.4円(13年9月時点)。概ね1人民元=15円と見ておけば良い。
物価は中国でも最も高い部類。
ホテルや外国人が来るようなレストランは高く、ほとんど東京と変わらない水準だが、ローカル食堂や中華系ファストフードなどは安い。交通費も割安。タクシーは初乗り3kmで13元+1元の燃油料(計14元)。地下鉄初乗り3元程度。

両替はATMによる国際キャッシングか、日本か空港内の銀行など到着地で少額を両替し、レートの良い市内の銀行で必要な分を都度両替するのがお勧め。
外国人が行くような店ではクレジットカードも通じる。
チップ文化は無い。

(Wikipedia提供)

ビザと治安

外国人が多く中国の顔という意識がもたれており、公安(警官)の数は多い。そのため中国の中でも治安は良い方。ただしあくまで外国としてはの部類であり、夜間や裏通りなどには注意が必要。
また、日本人に被害の多い犯罪は窃盗、置き引き、スリ、ぼったくり店への誘導など。日本語で親しげに話しかけてくる相手には注意。「茶館」、「酒吧」という看板のバーにはぼったくり店もある。
反日感情が高まる時期やイベントがあった場合(3月1日;1919年の独立運動記念日)や光復節(8月15日;韓国の独立記念日)などの時期は注意。

観光目的の場合、15日以内の滞在はビザ免除。16日以上の滞在では観光ビザの申請を。

市内交通

(タクシー)
街中を普通に流しのタクシー(VWマークのワーゲンが多い)が走っており、ほとんどぼったくりも無く概ね安全。料金が安いので地元の人もちゅうちょせず使う。そのため雨の日や休日の夜などは捕まえにくく、こちらが止めた車に割り込まれることも。
初乗りは3kmで13元+1元の燃油料。3km以降1kmごとに2.4元。
支払いは現金か交通カード。おつりがない場合が多いので交通カードを用意しておくと安心。

交通カードはタクシーはもちろん地下鉄、バス、フェリーなどでも使えるSUICA、PASMO的なリチャージ式のカード。購入場所は浦東・虹橋空港の駅やコンビニの他、ほとんどの地下鉄駅、一部のコンビニやバスターミナルなどで購入できる。20元の預かり金(デポジット)が必要。

(画像:上海公共交通卡股份有限公司)

(地下鉄/鉄道)
上海メトロが市内を東西南北網羅しており、現在13路線。
切符の代わりにトークン(コイン)を用いるだけで利用の仕方は日本と同じ。上述交通カードの利用がお勧め。
乗車前に保安検査がある。

中国は列車大国で、全土を鉄道が結んでいる。遙か彼方のウルムチやチベットまで鉄道が通じている。
蘇州まではわずか30分、杭州は2時間と近郊に行くにも便利。
切符の購入にはパスポートが必要。

上海駅(tabinote提供)
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(バス)
市内をバスが縦横無尽に網羅しているが、ラッシュと中国語表記が中心なことからなかなかハードルは高い。
一方、近郊に行くには長距離バスが便利。上海駅前の広場が巨大なバスステーションになっている。

ホテルとシーズン

いわゆる外国人向けの高級ホテル代は東京と同レベルと考えて良い。
外資系の4つ星ホテルならツインで2~3万円程度は覚悟する必要がある。
ただしルームチャージ換算なので、1人旅でもツインの料金が必要だったりするが、2名3名の場合は割安。

一方で近年日本のビジネスホテルに近い形態のシングル中心のホテル(経済型酒店)が増加しており、3千円程度で宿泊できる。
また、中心部にはユースホステルもあり、こちらも2千円程度から宿泊できるなど意外に選択肢は広い。
外国人利用の多いホステルでは中国で閲覧できないサイトが見れるなど情報収集にも便利。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
空港の携帯ショップ、路上の売店、コンビニの他、家電量販店等でSIMが購入できる。
プリペイドを購入して設定してもらう場合には携帯会社のショップが心強い。China Unicom(中国聯通)、China Mobile(中国移動)などの事業者がある。
中国の場合は、アクティベートやリチャージの度にSMSでのやりとりが有り、中国語のメッセージを解釈する必要がある。そのため、SMSなどの解読が面倒な場合は店員にやってもらえると便利。できれば空港で滞在期間中チャージしなくて済むよう多めにチャージしておくか、ホテルの近くの店で顔見知りをつくり気軽に頼めるようにしておけると良い。

(Wifi)
空港や新天地、田子坊といった外国人の多い地域、ホテルのロビー、カフェなどで無料Wifiが開放されていることが多い。「Dunkin Donuts」「Costa Coffee」「Coffee Bean」、「wagas」などのチェーンでは無料Wifiを提供している。

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5. 旅の本屋 のまど:イベント情報:9月19日(木)近藤雄生さん スライド&トークショー

 

Profile
プロフィール

旅の本屋 のまど

東京・西荻窪にある旅の本屋です。音楽、映画、思想、料理、宗教など、さまざまなジャンルから「旅」を感じさせてくれる本をセレクトしています。「旅」に関するイベントも定期的に開催中!
所在地:〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-12-10司ビル1F
営業時間:12:00 ~ 22:00 定休日:水曜日
HP:http://www.nomad-books.co.jp/

新刊『終わりなき旅の終わり ~ さらば、遊牧夫婦』発刊記念
◆旅行作家 近藤雄生さん スライド&トークショー◆
「旅の終わり方を求めて ~ 『遊牧夫婦』シリーズ完結!」

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新刊『終わりなき旅の終わり ~ さらば、遊牧夫婦』(ミシマ社)の発売を記念して、ノンフィクション作家の近藤雄生さんをお招きして、5年半におよぶ遊牧生活を終わりにした経緯についてスライドを交えながらたっぷりと語っていただきます。『遊牧夫婦』『中国でお尻を手術。』の2作では、日本を出発してからオーストラリア、東南アジアを経て、中国で腰をすえて「旅」ではなく「生活」を始めた夫婦二人の悪戦苦闘ぶりが描かれていましたが、その続編にあたる新刊では、モンゴルからロシア、
チベット経由で中央アジアを経てユーラシア大陸を横断。その後、トルコからヨーロッパを経てアフリカへ旅した最後の1年間の旅が描かれています。5年半にも及ぶ長い夫婦の旅は、最後、一体どういう風に終わりを迎えたのか?本作で『遊牧夫婦』シリーズの完結を迎えた近藤さんの貴重な体験談を生で聞けるチャンスです。近藤さんのファンの方はもちろん、世界一周旅や長期の放浪生活について興味のある方はぜひご参加ください!

※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサイン会も行います。

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●近藤雄生(こんどうゆうき)

1976年東京生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院修了後、旅をしながら文章を書いていこうと決意し、2003年に妻とともに日本をたつ。オーストラリアでのイルカ・ボランティアに始まり、東南アジア縦断(2004)、中国雲南省で中国語の勉強(2005)、上海で腰をすえたライター活動(2006-2007)、その後ユーラシア大陸を横断して、ヨーロッパ、アフリカへ。2008年秋に帰国し、現在京都在住。著書に『旅に出よう』(岩波ジュニア新書)、『遊牧夫婦』、『中国でお尻を手術。』(ミシマ社)がある。

◆近藤雄生HP
http://www.yukikondo.jp/

0919kondosan

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【開催日時】  9月19日(木)  19:30 ~ (開場19:00)
【参加費】   900円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】  旅の本屋のまど店内
【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627
 e-mail :info@nomad-books.co.jp
 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
 
※定員になり次第締め切らせていただきます。

【お問い合わせ先】
 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
 http://www.nomad-books.co.jp
 主催:旅の本屋のまど
 協力:ミシマ社

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6. 読者からのお便り

質問

・・・初めてのインドです。
ニューデリー、アグラ、ジャイプール、バラナシを廻ってカルカッタから帰国、というプランを考えているのですが、どのようなチケットにすればよいかわかりません。できればニューデリーから入国しカルカッタから出国としたいと思いますが(またはその逆)、カルカッタに着いた後ニューデリーに戻った方がよければそうします。
現地での移動は鉄道がよいのか車がいいかについても知りたいです。
(***さん)


お答え

tabinote渡部です。
ご希望の日程ですと8泊9日、コルカタが入るとややタイトです。

日本からの航空券はオープンジョーというデリーIN、コルカタOUTが可能なものがあります。格安チケットと呼ばれるもので、安い時期なら5万円程度と思います。ただしアジアの乗り継ぎ都市で1STOP・2STOPするなど、所要時間はややかかります。
こちらで乗り換え地滞在含め1泊程度ロスを見ておく必要があります。

デリーは旅行会社も多く、デリーを起点にアグラ、ジャイプールを周遊するツアーがありますので、そちらを利用すると良いでしょう。専用車で効率良く廻ってくれます。鉄道もありますが速度の速い特急は一日の本数も限られており、アグラ、ジャイプールを周遊するなら車が良いと思います。ツアーが2泊3日程度です。

デリーに戻り、ヴァラナシまで飛行機国内線で1時間強です。現地で2泊程度滞在可能です。
ヴァラナシからコルカタは鉄道でも飛行機でもかまいませんが、飛行機なら2時間程度です。コルカタでも2泊程度ほしいところです。

以上で7泊、デリーでの一泊をプラスしてなんとか8泊でいけるかというところです。

問題はデリーIN、コルカタOUTのチケットです。この手格安チケットは比較的すぐに売り切れてしまいますため、日程によってはデリーに戻る必要が出てきます。

金額的にはやや高めですが、デリーへの直行便(日系:JALでも全日空でも10万程度)を利用してコルカタからデリーに戻った方が結果的に現地での滞在・観光時間は長く持てるかもしれません。

日程が固まりましたらあらためてご連絡下さい。

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7. 編集後記

tabinoteワタベです。
今号は連載陣がタイ関連、旅行記と読者の質問がインド関連、世界あの街が中国と、期せずしてアジア成分の濃い内容となりました。
さて、編集の田口はバーニングマンの余韻をひきずったまま、まだアメリカに滞在しています。
おそらく、連載の下川さん、吉田さんも移動中に原稿を書いていただいていると思います。
そして私は、愛媛・松山空港でこの後記を書いています。
普段にもまして、さまざまな土地から集まったテキストを束ねた今号、楽しんでいただけましたでしょうか。

松山ですが、ジェットスター松山線の開設記念キャンペーンを利用し、破格の値段でチケットを取ることが出来ました。四国は何度か行っていますが、松山空港は初めてです。今回は四万十市に行きたいと思い、調べてみるとバス・電車で松山から四万十に移動するのは大変とわかり、レンタカーを借りました。しかし、高速道はトンネルや真ん中をポールで隔てた対面通行がおそろしく、高速を降りた四万十の川沿い一般道は曲がりくねった狭い道で、なかなか怖い思いをしました。
ジェットスター高松線の開設もあり、四国の北西・瀬戸内側は比較的行きやすくなったと思いますが、南部・高知の方はもう少し道路が充実すると便利になりますね。高知空港にLCCが乗り入れないかなーなんて思います。

さて、9月に入り、サイトのリニューアルとサービス本格化の準備を進めております。
サイトは、目的ごとに旅先を絞り込んだり、読者・識者の投稿によるおすすめ旅程を掲載できるようなコーナーを新たに設け、より入り口の部分から旅プランづくりに関与できるようリニューアルを進めています。
また、メルマガ・旅程検索の有料化準備も進めています。
メルマガは有料化後も一部を無料でお楽しみいただけるように準備しており、勝手に有料に移行するようなことはありませんのでご安心下さい。

次号は9/24(火)発行の予定です。

tabinoteメールマガジン 2013/09/10号 Vol.006

こちらは2013年9月10日発行のtabinoteメールマガジンとなります。
ニュース、記事内容、イベント情報等現在ご利用できないものもありますのでご注意下さい。
tabinoteメールマガジンは隔週火曜日発行です。
ご購読のお申し込みはこちらから。

Contents

1. 旅行業界最新ニュース
2a. 連載:「タビノート」 下川裕治
2b. 連載:「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和
3. tabinote旅行記 チェンナイ編
4. 世界あの街この街:第六回 上海
5. 旅の本屋 のまど:イベント情報:9月19日(木)近藤雄生さん スライド&トークショー
6. 読者からのお便り
7. 編集後記


1. 旅行業界最新ニュース

カタール航空がワンワールドに正式加盟

成田―ドーハ、関空―ドーハにそれぞれ1日1便運行しているカタール航空が、ワンワールド・アライアンスに10月30日から正式加盟すると発表した。このことにより日本航空やブリティッシュ・エアウェイズなどワンワールド加盟エアラインとマイレージやラウンジの共有、コードシェア便の利用などが可能となる。
カタール航空

ANAのジャンボが「里帰りフライト」

2014年3月31日をもって全機退役となるジャンボジェットB747が、かつて就航していた羽田~函館・小松・広島・鹿児島・長崎、沖縄~名古屋路線に「里帰りフライト」をすることがわかった。期間は10月27日~12月8日、スケジュールは同社特設ウェブサイトで確認できる。
ANA特設サイト

2020年東京オリンピック決定。首都圏の空港事情は

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が正式に決定した。これにより海外からの訪問客が増加することは確実で、成田・羽田両空港の発着枠増加や、羽田空港C滑走路の延伸工事、国際ターミナル拡張などが進められることが期待されている。また、羽田空港と成田空港を東京都心で結ぶ都心直結線も現実味を帯びてきた。この路線が開通すると、羽田から東京行きが現在の27~36分のところ18分、成田から東京行きが53~55分のところ36分となる見込み。

ANA、B787利用の長距離国際線でプレミアムエコノミー導入

ANAは9月1日の羽田-フランクフルト線を皮切りに、ボーイング787-8型機の長距離国際線にプレミアムエコノミークラスを導入開始した。シートは現在欧米路線を運行しているB777-300ERのものと同様で、シートピッチが通常のエコノミーと比べて約10%拡大し、座席レイアウトもエコノミーの横9席(3-3-3配列)に対し横7席(2-3-2)となる。

春秋航空日本、成田―高松、広島、佐賀線就航を申請

中国・上海を拠点とするLCC大手の春秋航空などが出資する春秋航空日本は、国土交通省航空局に対し、成田―高松、広島、佐賀線への就航許可を申請したと発表。認可されれば2014年5月末より就航を開始する予定。各路線とも1日2往復4便から始め、将来的には台湾など国際線進出も視野に入れていくという。就航時の機材はボーイング737-800型機3機、以後5年間で20機体制まで拡大していく予定。
春秋航空日本

バニラ・エア、公式サイトオープン

エアアジア・ジャパンから名称変更するANA傘下のLCC、バニラ・エアが公式サイトをオープンした。現在は「コンセプト」、「会社概要」、「ごあいさつ」といった基本的なコンテンツのみだが、路線発表後に充実していくと思われる。なお、バニラ・エアは既にFacebookページをオープンしており、2400人以上のファンを集めている。
バニラ・エア

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2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

料金設定はないがクラスはある?

 マイレージを貯めようとすると、どうしてもサブクラスといわれるものが気になってくる。サブクラスというのは、エコノミーやビジネスといったクラスよりさらに細かいクラス分けである。エコノミークラスのなかにも、さまざまなクラスがあるわけだ。サブクラスの違いで、日程変更や利用期間などの制約が変わってくる。マイレージも貯まるクラス、貯まらないクラス、あるいは半分だけ貯まるクラスなどがある。その条件は運賃に反映される。
 バンコクと日本を往復することが多い。スターアライアンスのユナイテッド航空にマイルを貯めている。
 バンコクと東京を結ぶフライトで、スターアライアンスに加盟しているのは、ユナイテッド航空、全日空、タイ国際航空の直行便のほか、シンガポール航空、エバー航空、中国国際航空などの経由便がある。運賃とマイルの加算率を考えて、北京経由の中国国際航空にしばしば乗る。
 中国国際航空でユナイテッド航空のマイレージプラスに100%貯まるのは、エコノミーのLクラス以上である。僕はそのLクラスを利用することが多い。
 先日、バンコクから東京まで乗った。バンコクの空港で飛行機に乗り込み、ふと搭乗券を見ると、クラスがWになっていた。客室乗務員に、「Wクラスも100%貯まるのでしょいか?」と訊いてみた。が、マイレージの話はわからないので、飛行機を降りてから問い合わせてくれ、といわれた。こういうことは珍しくない。
 帰国後、中国国際航空に訊いてみた。Wクラスは100%加算だった。しかしなぜ、Wクラスに変わったのだろうか。
 「それはバンコクの管轄なので」
 バンコクでチケットを買った代理店に訊いてみた。
 「W? そんなクラスはないというか、料金がないんだけど……」
 バンコクの代理店も気になったようだった。数日後、バンコクからメールが届いた。
 「バンコクの中国国際航空の社員もよくわからないらしい。ただ、バンコクー北京線には新しい機材を導入して、そこには、座席間隔が広いエコノミー席があるのだという。よく乗るお客さんには、そこに移すようなコンピュータの設定を変えたらしい」
 プレミアエコノミーという席だ。それがWクラスということらしいのだ。なんだかすべてが憶測での話なのだが、料金設定はないがクラスはあるということらしい。
 マイレージの世界は、ますますわかりにくくなってきている。

北京空港
北京空港。やたら大きく、乗り換えに時間がかかる

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2b.「旅のしりとりエッセイ」 吉田友和

Profile
プロフィール

吉田友和(よしだともかず)

1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行にして夫婦で世界一周旅行を敢行。旅の過程を一冊にまとめた『世界一周デート』で、2005年に旅行作家としてデビュー。「週末海外」というライフスタイルを提唱。国内外を旅をしながら、執筆活動を続けている。その他、『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』(講談社)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『LCCで行く! アジア新自由旅行』(幻冬舎)、『めざせプチ秘境!』(角川書店)、『3日もあれば海外旅行』(光文社)など著書多数。
旅行作家★吉田友和 Official Web

しりとりで旅する 第6回 吉田友和

た タイ

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 この国に関しては書きたいことが山ほどあるのに、いざ書き始めようとすると一向に筆が進まない。タイである。現時点では、一番のお気に入りだと前号で紹介した。
 初めての海外旅行は世界一周だった。その世界一周で、一番最初に訪れたのがタイだった。以来、訪問回数は数え切れないほどで、バンコクをテーマに本を書いたり、ガイドブックを編集したこともある。
 タイの何が旅人を惹きつけるのだろうか。物価が安く、食事が美味しくて、気候がいい。海あり、山あり、遺跡あり、シティライフありと全方位的に旅行者を狙い撃ちできるだけの観光資源を持ち、遊ぶところは尽きない。英語の通用度は比較的高く、ホテルや交通手段、通信インフラなども整っている。ある程度の快適さが保証されつつも、適度に異国情緒や刺激も味わえる旅先。こうしてタイの魅力を列挙してみると、いいことづくめに思えてくる。
 一方で、遊びではなく、仕事で訪れると、タイのまた違った一面が垣間見られる。たとえば飲食店の取材へ行くとする。日本人的律儀さを発揮して、10分前、遅くても5分前にはお店へ到着すると、約束していた担当者が不在で拍子抜けさせられる。次のアポもあるので携帯に電話をかけてみると、「あれっ、今日でしたっけ?」とすっとぼけた声が返ってきたのには絶句させられた。
 そこまでいい加減ではなくとも、遅刻などはまったく珍しいことではない。最初のうちこそ戸惑ったが、慣れるとだんだん気にならなくなってくるのは不思議だ。というより、自分自身もすっかりタイ人化して、シビアに時計を見なくなってしまう。
 バンコクは渋滞のひどい街で、タクシーに乗っていてクルマが全然前へ進まなくなることがある。このままでは約束の時間に間に合わない……とアセアセしそうになるところだが、「まあ、そのうち着くでしょう」とドーンと構えた方が得策だったりするのだ。いまのところ、遅刻して大きな問題になったことは一度もない。自分の不真面目さを正当化するつもりはないのだが、タイにいるとつい気がゆるんでしまうのは事実だ。
 何度も行っているせいか、時には痛い目にも遭う。数年前、バンコクの空港が反政府デモに占拠され、乗る予定だった飛行機が飛ばないというアクシデントに遭遇した。空港閉鎖は思いのほか長引き、一週間近く足止めを食らってしまった。その週の日本での仕事をすべてキャンセルする羽目に陥ったのは痛恨の出来事だったが、すぐに「まあ、そのうち再開するでしょう」と諦めの境地に達した。我ながら、タイのゆるい空気に感化され過ぎているなあと苦笑する。いまだから書くと、大好きなバンコクにいられることを密かに喜んだのも正直なところである。
 マイペンライという言葉がある。大丈夫、気にするな、なんとかなるさ、といった意味の有名なタイ語の1つだ。この一言が、タイ人の楽天的な気質を見事に表しているという意見には僕は同意する。結局のところ、これこそがタイの最大の魅力なのかもしれない。日本で忙しない社会に揉まれ、人付き合いや面倒なしがらみに疲れた中でタイを訪れると、心に張り詰めていたものが霧散していく。言うなれば、リハビリの地である。そういう場所が一箇所でもあるのはやはり心強い。

※タイ→次回は「い」がつく旅の話です!


タイ
東南アジアのタイは日本との関係も親密。
巨大なスワンナブーム国際空港は東南アジア有数のハブ空港。日本からの航空便も多く、直行便なら東京から7時間程度でバンコクに到着する。経済は高成長がつづき、開発や都市化も著しく、都心では高層ビル・高級ホテルやレストラン・巨大なショッピングセンターなどが立ち並ぶ。一方で地方・郊外に出ると、農村や自然、ビーチが拡がる牧歌的な風景が残る。
街歩きや史跡めぐり、ユニークなタイフードなど魅力が多く、旅行者の人気は高い。首都バンコクは世界でもトップクラスの観光都市。
-編集部

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3. tabinote旅行記

はじめに

tabinoteスタッフの田口です。
このコーナーでは毎号スタッフの旅行記を掲載していきますが、今後は読者の方の旅行記も掲載していくつもりです。われこそはという方がいらしたら、ぜひこちらまでお寄せください。採用の方には薄謝を差し上げます。
また、tabinoteは自分だけのユニークな旅行プラン作成のお手伝いをするサービスです。このメルマガを読んでどこかへ行きたくなったら、ぜひtabinoteまでご相談ください。

インドへの憧れ

旅行好きでインドに行ってみたいと思ったことのない人はあまりいないだろう。かくいう僕も椎名誠や妹尾河童の旅行記を読んでずいぶん憧れたもののなかなか機会がなく、今回おなじみエアアジアを使いようやく行くことができた。
「インドを訪れた人は、大好きになって何度も行きたくなるか、二度と行かないと思うかのどちらか」とよく言われるが、果たして僕はどちらになるのだろうか。

チェンナイ ―南インドの玄関口―

初インドの行き先は、有名な「コルカタ」、「デリー」、「ムンバイ」といった有名都市をあえて外し、「チェンナイ」という南インドの街にした。エアアジアが就航しているという以外に理由は特にないのだが、強いてあげれば「普通の都市が好き」だからかもしれない。もちろん国を代表する首都や観光地にも興味はあるが、例えば名古屋、チェンマイ(タイ)、台南(台湾)、ボストン(アメリカ)といった国内第3、第4の街は、その国のよそ行きでない普通の暮らしを見ることができるような気がするからだ。あと、南インドは悪名高い物乞いや偽ガイドなどが比較的少ないという情報もあった。というわけで、「南インドの玄関口でインド第4の都市」、「昔はマドラスと呼ばれていた」以外の知識をほとんどもたないまま、クアラルンプール発のチェンナイ行きに乗り込んだ。

まずはカレーを食うぞ

まったく土地勘のない街なので、どこが繁華街かもわからずホテル選びには苦労したが、Expediaのユーザー評価を参考にThe Accord Metropolitanというホテルに泊まることにした。
チェンナイ空港からのアクセスはあまりよくないので、はじめての国ということもあり普段は利用しないホテルの送迎サービスを利用することにした。

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40分ほどで到着したホテルは1泊6800円~とさほど高くはないにもかかわらず、部屋はきれいでWi-Fiも無料、レストランの食事もおいしく当たりだった。

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荷物を置いたらまずはカレーだ。ネットで当たりをつけたショッピングモールにオートリクシャー(三輪タクシー)で向かう。ちなみにリクシャーにメーターは付いているが使うドライバーは皆無(言っても使わない)、すべて事前交渉制となる。何度も利用したが相場もかなり適当(雨が降っているから50ルピー増し)だ。とは言え市内なら高くてもせいぜい300ルピー(450円)なので僕はそこまでしつこく値切りはしなかった。

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着いたのはSpencer Plazaという老舗モール。カプセル型のエレベーターがレトロでいいかんじだ。
モール内も香港ほどではないが、雑多な店舗が密集するかなりカオスな空間。

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すぐにフードコート発見。地元民いっぱいで期待できる。通常フードコートでは店舗に出向いて現金・もしくはクーポンで精算する形が多いが、ここは席に着くと、周囲の店の店員が次々にメニューを持ってくるのでその中から選ぶだけでいい。精算もテーブルでOKだ。

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いよいよ待望のカレーだが……。

正直口にあわず結構残してしまった。南インドではカレーよりもビリヤニ―やロティを選んだほうがいいかもしれない。
そういえば、インドでは絶対に左手を使わず右手だけでナンやご飯を食べると聞いていたけど、結構左手使っている人いた。南部はおおらかなのかな?

圧倒的だったカーパーレーシュワラ寺院

翌日は市内観光をすることにした。目的地はこれもネットで調べたシヴァ神を祀るヒンズー教のカーパーレーシュワラ寺院。

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リクシャーのドライバーが途中だからと、これも観光名所のサントメ聖堂の前を通ってくれた。

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かなり遠くからでも目立つ、40メートル近くある寺院のシンボル極彩色のゴープラム(塔門)

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4面に色とりどりのヒンドゥー教の神や聖人像が彫刻されていてまさに圧巻。双眼鏡がほしかった……。
境内は参拝客で溢れ、お供え物の花束を売る店が目立った。日本では親しみのないヒンズー教の信仰現場が見られてとても興味深かった。

しかし暑い、行ったのは最も気温が高くなるという6月で毎日40度近く湿度も高い、日中は汗びっしょりで本当につらかった。できれば1月など過ごしやすい季節に行った方がいいかもしれない。

電車に乗って街歩き

3日目は特に目的もなく街をブラブラすることにした。

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とりあえず近郊鉄道の駅に向かう。付近はかなりやさぐれた感じだ。

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電車の扉は開けっ放し。落ちないか心配だ。

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が、車内に入ってみるとわりと空いてる。どうやらみんな暑いから扉側に出て冷風を浴びていただけと判明。

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またもや適当な駅で降りて通りを歩いてみる。インドらしい街並みだ。

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カラフルなフルーツを並べた商店。観光客の姿はほとんど見えない。

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インド名物チャイ。日本でよくあるジンジャーやスパイスが入ったものではなく、煮詰めたミルクティーといった感じで甘くてとてもおいしい。暑いところを歩く疲れを癒してくれるので散策中3杯も飲んじゃった。

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やはり牛は神聖な動物。街中あちこちを我が物顔で歩いていた。

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カメラを構えると照れて逃げるんだけど隠すと寄ってくる。もう一度構えたら今度は笑顔で収まってくれた。

というわけでほとんど街歩きに費やした初インドだったが、予想以上に快適で不快なことはほとんどなかった。やはり勝因はある程度のランクのホテルに泊まったことだと思う。チェンナイ、そして南インド、もう一度行ってみたいと思わせる場所だった。

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4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第六回 上海

外灘の夜景(tabinote提供)
Shangihai[1]

中華人民共和国・国旗

(画像:Wikipedia)

見どころと特徴

海を越えたら上海。ショッピング、グルメ等多様な楽しみ。世界有数の大都市だが庶民的な通りもあり、ちょっとした街歩きも楽しい。外灘(バンド・ワイタン)は歴史的建造物が弧を描く黄浦江沿いに立ち並ぶ異国情緒あふれる一角で、夜景の美しさで有名。

上海の中心地域は環状路の中山路に囲まれており、東西に延びる延安路・淮海路・南京路などと南北の高架路・西蔵路などにより分割されている。南京路と西蔵路の交差点が人民広場となっており、ここを起点に考えると街歩きもスムーズ。

南京路附近(tabinote提供)
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人民広場から南京東路~外灘のあたりはアジアでも随一の繁華街。百貨店やブランドショップ、レストランなどがひしめく。
外灘はおしゃれなカフェやバーが点在。黄浦江の下を通る水中観光トンネルを通って川の東側、浦東に出ると、東方明珠塔や国際金融中心、金茂タワーといった超高層建物群や巨大ショッピングセンターがあらわれる。天気が良ければ高層ビルの展望台から上海を見下ろすのもいい。

上海外灘観光隧道の写真
上海外灘観光隧道 (トリップアドバイザー提供)

金茂タワー(tabinote提供)
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再び黄浦江の西岸に戻り、人民広場から南東にむかうと明代の庭園豫園があり、周辺にはお土産屋や名物小籠包店などがひしめく。
南西に向かうと上海随一の高級ショッピングエリア、新天地。更に南に向かうとレトロな街並みを再現した田子坊にたどりつく。

新天地(tabinote提供)
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人民広場から南京路を西に向かうと静安寺。淮海路を下るといつ途切れるとも知れない商店街・繁華街が続く。
静安寺から南、淮海路までの間(衡山路駅近辺)はナイトストリートとして知られており、百貨店、レストラン、カフェや地元の食堂など、商店が途切れることは無い。このあたり、復興西路近辺はフランス租界の跡が拡がり、街並みも美しい。

朝早くホテルを出ても、ここまで歩いたら夕暮れになっている。衡山路をうろつくのも良し、外灘に戻って夜景を見るのもいい。

上海はアートの街でもある。人民広場には巨大な上海博物館があり、古代や中世の青銅器、美術品や陶磁器、少数民族の展示などここ一箇所で中国文化を概観できる。入館無料という点もすばらしい。上海美術館も隣接。地味だが、同じく隣接する上海城市規画展示館は上海の街並みを完璧に再現したジオラマが見事で見学者の評価は高い。
虹橋の紅坊国際国際芸術区やM50といった現代アートを体験できる施設も多い。

上海城市規画展示館の写真
上海城市規画展示館 (トリップアドバイザー提供)

M50(tabinote提供)
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カフェやレストランの話ばかりで疲れそう?通り添いにはローカル食堂や市場も多く、ひなびた街歩きも十分可能なのでご安心を。

上海は祭りやイベントも盛ん。
2月は爆竹が賑やかな春節や灯籠が美しい元宵節(ランタン祭り)が有名。5~6月の端午節はドラゴンボート・レースレースが沢山の観客を惹きつける。暑い夏をやり過ごして迎える中秋節も花火が賑やか。6月の上海国際映画祭や秋のビエンナーレ、国際芸術祭などアート方面も魅力。

郊外では、ひなびた水郷の朱家角がお勧め。日程に余裕があれば、やはり蘇州、杭州には足を伸ばしておきたい。風光明媚な蘇州は鉄道でわずか30分。

日本からの行き方

(空路)
日本から中国への空路は多く、地方空港からも連日直行便が就航している。

LCCは上海の春秋航空が茨城空港と浦東国際空港を結んでいる。価格はキャンペーンで片道6千円程度をうたっているが、サーチャージが乗ると往復3万弱になる。復路は現地8時発。

羽田発の場合は虹橋空港着で、中国東方か上海航空が3万円台後半と安い。ただし復路午前発となる。次いで大韓航空・アシアナの韓国系が4万円台後半で続くが、仁川乗り換えで時間的にはロスが多い。日系は7万円~と高い。

成田発の場合はデルタの直行便が最安だが、往路夜、復路午前とスケジュール的には厳しい。大韓航空・アシアナの韓国系が同程度の価格だが仁川などで乗り継ぎがある。直行でスケジュール的に有利なのは中国東方で、5.5万円程度。日系のJAL、ANAも7万弱となっている。
以上から、関東の場合は値段で茨城の春秋航空、スケジュールで成田の中国東方が優先度高い。

関西の場合は中国東方か上海航空。共に3.5万円程度で往路・復路共に選択肢は多い。

中国東方は中部国際の他、新千歳、広島、岡山、福岡など各地方空港から直行便を飛ばしている。

(海路)
大阪、神戸との間でフェリーが就航している。
大阪、神戸を隔週火曜正午に出るのは新鑑真号で、船内2泊し木曜昼頃到着。2等室で片道2万円、往復3万円。
大阪発の蘇州号は金曜正午発日曜上海着で運賃は同じ。

(パッケージツアー)
シーズンにもよるが、3泊4日の往復直行便サーチャージ込みで3万円程度から。格安ツアーは往路夜発、復路午前発、または2名から催行などの制約があることが殆ど。

(空港)
上海 浦東国際空港は東アジアを代表する巨大空港。
500m離れた2つのターミナルを無料シャトルバスが結んでいる。
市内へは世界初の実用リニアモーターカー、エアポートバスが利用できる他、タクシーもある。
リニアは地下鉄2号線の龍陽駅までを10分以内で結ぶ。普通席50元、交通カード(後述)利用なら40元。
エアポートバスは行き先別に15~30分間隔で運行、所要80分、30元程度。
タクシーは市内中心部まで所要60分、200元未満。

上海リニア(tabinote提供)
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虹橋空港は日本の地方空港のようなこぢんまりした空港。地下鉄の虹橋一号航站楼駅とつながっている。タクシーの場合は市内中心部まで所要30分・40元程度。

地理と気候

日本との時差はマイナス1時間。
北緯31度と鹿児島と同程度の緯度であるが、大陸性の気候は厳しい。夏は気温こそ東京と同程度だがより蒸し暑く、冬は東京よりも概ね寒い。四季はあるものの春秋は短い。
雨が少ない春・秋が過ごしやすい。真冬の渡航には防寒着が必要。

(画像:Google提供)

言語と通貨

公用語は中国語(普通話)。
外国人が多い店、レストラン、ホテルなどは英語が通じることも多いが、一般・街中ではあまり期待できない。空港や地下鉄の外国人カウンターも英語で問題無い。タクシーは中国語オンリーと考えて良い。中国語(簡体字表記)の地図か、筆談ができるようにペンと紙をもっていればOK。日本の漢字と現地の漢字は異なるため地名が日本語表記の地図は通じない場合も。

通貨は人民元(RMB)。1人民元=16.4円(13年9月時点)。概ね1人民元=15円と見ておけば良い。
物価は中国でも最も高い部類。
ホテルや外国人が来るようなレストランは高く、ほとんど東京と変わらない水準だが、ローカル食堂や中華系ファストフードなどは安い。交通費も割安。タクシーは初乗り3kmで13元+1元の燃油料(計14元)。地下鉄初乗り3元程度。

両替はATMによる国際キャッシングか、日本か空港内の銀行など到着地で少額を両替し、レートの良い市内の銀行で必要な分を都度両替するのがお勧め。
外国人が行くような店ではクレジットカードも通じる。
チップ文化は無い。

(Wikipedia提供)

ビザと治安

外国人が多く中国の顔という意識がもたれており、公安(警官)の数は多い。そのため中国の中でも治安は良い方。ただしあくまで外国としてはの部類であり、夜間や裏通りなどには注意が必要。
また、日本人に被害の多い犯罪は窃盗、置き引き、スリ、ぼったくり店への誘導など。日本語で親しげに話しかけてくる相手には注意。「茶館」、「酒吧」という看板のバーにはぼったくり店もある。
反日感情が高まる時期やイベントがあった場合(3月1日;1919年の独立運動記念日)や光復節(8月15日;韓国の独立記念日)などの時期は注意。

観光目的の場合、15日以内の滞在はビザ免除。16日以上の滞在では観光ビザの申請を。

市内交通

(タクシー)
街中を普通に流しのタクシー(VWマークのワーゲンが多い)が走っており、ほとんどぼったくりも無く概ね安全。料金が安いので地元の人もちゅうちょせず使う。そのため雨の日や休日の夜などは捕まえにくく、こちらが止めた車に割り込まれることも。
初乗りは3kmで13元+1元の燃油料。3km以降1kmごとに2.4元。
支払いは現金か交通カード。おつりがない場合が多いので交通カードを用意しておくと安心。

交通カードはタクシーはもちろん地下鉄、バス、フェリーなどでも使えるSUICA、PASMO的なリチャージ式のカード。購入場所は浦東・虹橋空港の駅やコンビニの他、ほとんどの地下鉄駅、一部のコンビニやバスターミナルなどで購入できる。20元の預かり金(デポジット)が必要。

(画像:上海公共交通卡股份有限公司)

(地下鉄/鉄道)
上海メトロが市内を東西南北網羅しており、現在13路線。
切符の代わりにトークン(コイン)を用いるだけで利用の仕方は日本と同じ。上述交通カードの利用がお勧め。
乗車前に保安検査がある。

中国は列車大国で、全土を鉄道が結んでいる。遙か彼方のウルムチやチベットまで鉄道が通じている。
蘇州まではわずか30分、杭州は2時間と近郊に行くにも便利。
切符の購入にはパスポートが必要。

上海駅(tabinote提供)
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(バス)
市内をバスが縦横無尽に網羅しているが、ラッシュと中国語表記が中心なことからなかなかハードルは高い。
一方、近郊に行くには長距離バスが便利。上海駅前の広場が巨大なバスステーションになっている。

ホテルとシーズン

いわゆる外国人向けの高級ホテル代は東京と同レベルと考えて良い。
外資系の4つ星ホテルならツインで2~3万円程度は覚悟する必要がある。
ただしルームチャージ換算なので、1人旅でもツインの料金が必要だったりするが、2名3名の場合は割安。

一方で近年日本のビジネスホテルに近い形態のシングル中心のホテル(経済型酒店)が増加しており、3千円程度で宿泊できる。
また、中心部にはユースホステルもあり、こちらも2千円程度から宿泊できるなど意外に選択肢は広い。
外国人利用の多いホステルでは中国で閲覧できないサイトが見れるなど情報収集にも便利。

ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
空港の携帯ショップ、路上の売店、コンビニの他、家電量販店等でSIMが購入できる。
プリペイドを購入して設定してもらう場合には携帯会社のショップが心強い。China Unicom(中国聯通)、China Mobile(中国移動)などの事業者がある。
中国の場合は、アクティベートやリチャージの度にSMSでのやりとりが有り、中国語のメッセージを解釈する必要がある。そのため、SMSなどの解読が面倒な場合は店員にやってもらえると便利。できれば空港で滞在期間中チャージしなくて済むよう多めにチャージしておくか、ホテルの近くの店で顔見知りをつくり気軽に頼めるようにしておけると良い。

(Wifi)
空港や新天地、田子坊といった外国人の多い地域、ホテルのロビー、カフェなどで無料Wifiが開放されていることが多い。「Dunkin Donuts」「Costa Coffee」「Coffee Bean」、「wagas」などのチェーンでは無料Wifiを提供している。

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5. 旅の本屋 のまど:イベント情報:9月19日(木)近藤雄生さん スライド&トークショー

 

Profile
プロフィール

旅の本屋 のまど

東京・西荻窪にある旅の本屋です。音楽、映画、思想、料理、宗教など、さまざまなジャンルから「旅」を感じさせてくれる本をセレクトしています。「旅」に関するイベントも定期的に開催中!
所在地:〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-12-10司ビル1F
営業時間:12:00 ~ 22:00 定休日:水曜日
HP:http://www.nomad-books.co.jp/

新刊『終わりなき旅の終わり ~ さらば、遊牧夫婦』発刊記念
◆旅行作家 近藤雄生さん スライド&トークショー◆
「旅の終わり方を求めて ~ 『遊牧夫婦』シリーズ完結!」

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新刊『終わりなき旅の終わり ~ さらば、遊牧夫婦』(ミシマ社)の発売を記念して、ノンフィクション作家の近藤雄生さんをお招きして、5年半におよぶ遊牧生活を終わりにした経緯についてスライドを交えながらたっぷりと語っていただきます。『遊牧夫婦』『中国でお尻を手術。』の2作では、日本を出発してからオーストラリア、東南アジアを経て、中国で腰をすえて「旅」ではなく「生活」を始めた夫婦二人の悪戦苦闘ぶりが描かれていましたが、その続編にあたる新刊では、モンゴルからロシア、
チベット経由で中央アジアを経てユーラシア大陸を横断。その後、トルコからヨーロッパを経てアフリカへ旅した最後の1年間の旅が描かれています。5年半にも及ぶ長い夫婦の旅は、最後、一体どういう風に終わりを迎えたのか?本作で『遊牧夫婦』シリーズの完結を迎えた近藤さんの貴重な体験談を生で聞けるチャンスです。近藤さんのファンの方はもちろん、世界一周旅や長期の放浪生活について興味のある方はぜひご参加ください!

※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサイン会も行います。

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●近藤雄生(こんどうゆうき)

1976年東京生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院修了後、旅をしながら文章を書いていこうと決意し、2003年に妻とともに日本をたつ。オーストラリアでのイルカ・ボランティアに始まり、東南アジア縦断(2004)、中国雲南省で中国語の勉強(2005)、上海で腰をすえたライター活動(2006-2007)、その後ユーラシア大陸を横断して、ヨーロッパ、アフリカへ。2008年秋に帰国し、現在京都在住。著書に『旅に出よう』(岩波ジュニア新書)、『遊牧夫婦』、『中国でお尻を手術。』(ミシマ社)がある。

◆近藤雄生HP
http://www.yukikondo.jp/

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【開催日時】  9月19日(木)  19:30 ~ (開場19:00)
【参加費】   900円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい
【会場】  旅の本屋のまど店内
【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627
 e-mail :info@nomad-books.co.jp
 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)
 
※定員になり次第締め切らせていただきます。

【お問い合わせ先】
 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)
 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
 http://www.nomad-books.co.jp
 主催:旅の本屋のまど
 協力:ミシマ社

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6. 読者からのお便り

質問

・・・初めてのインドです。
ニューデリー、アグラ、ジャイプール、バラナシを廻ってカルカッタから帰国、というプランを考えているのですが、どのようなチケットにすればよいかわかりません。できればニューデリーから入国しカルカッタから出国としたいと思いますが(またはその逆)、カルカッタに着いた後ニューデリーに戻った方がよければそうします。
現地での移動は鉄道がよいのか車がいいかについても知りたいです。
(***さん)


お答え

tabinote渡部です。
ご希望の日程ですと8泊9日、コルカタが入るとややタイトです。

日本からの航空券はオープンジョーというデリーIN、コルカタOUTが可能なものがあります。格安チケットと呼ばれるもので、安い時期なら5万円程度と思います。ただしアジアの乗り継ぎ都市で1STOP・2STOPするなど、所要時間はややかかります。
こちらで乗り換え地滞在含め1泊程度ロスを見ておく必要があります。

デリーは旅行会社も多く、デリーを起点にアグラ、ジャイプールを周遊するツアーがありますので、そちらを利用すると良いでしょう。専用車で効率良く廻ってくれます。鉄道もありますが速度の速い特急は一日の本数も限られており、アグラ、ジャイプールを周遊するなら車が良いと思います。ツアーが2泊3日程度です。

デリーに戻り、ヴァラナシまで飛行機国内線で1時間強です。現地で2泊程度滞在可能です。
ヴァラナシからコルカタは鉄道でも飛行機でもかまいませんが、飛行機なら2時間程度です。コルカタでも2泊程度ほしいところです。

以上で7泊、デリーでの一泊をプラスしてなんとか8泊でいけるかというところです。

問題はデリーIN、コルカタOUTのチケットです。この手格安チケットは比較的すぐに売り切れてしまいますため、日程によってはデリーに戻る必要が出てきます。

金額的にはやや高めですが、デリーへの直行便(日系:JALでも全日空でも10万程度)を利用してコルカタからデリーに戻った方が結果的に現地での滞在・観光時間は長く持てるかもしれません。

日程が固まりましたらあらためてご連絡下さい。

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7. 編集後記

tabinoteワタベです。
今号は連載陣がタイ関連、旅行記と読者の質問がインド関連、世界あの街が中国と、期せずしてアジア成分の濃い内容となりました。
さて、編集の田口はバーニングマンの余韻をひきずったまま、まだアメリカに滞在しています。
おそらく、連載の下川さん、吉田さんも移動中に原稿を書いていただいていると思います。
そして私は、愛媛・松山空港でこの後記を書いています。
普段にもまして、さまざまな土地から集まったテキストを束ねた今号、楽しんでいただけましたでしょうか。

松山ですが、ジェットスター松山線の開設記念キャンペーンを利用し、破格の値段でチケットを取ることが出来ました。四国は何度か行っていますが、松山空港は初めてです。今回は四万十市に行きたいと思い、調べてみるとバス・電車で松山から四万十に移動するのは大変とわかり、レンタカーを借りました。しかし、高速道はトンネルや真ん中をポールで隔てた対面通行がおそろしく、高速を降りた四万十の川沿い一般道は曲がりくねった狭い道で、なかなか怖い思いをしました。
ジェットスター高松線の開設もあり、四国の北西・瀬戸内側は比較的行きやすくなったと思いますが、南部・高知の方はもう少し道路が充実すると便利になりますね。高知空港にLCCが乗り入れないかなーなんて思います。

さて、9月に入り、サイトのリニューアルとサービス本格化の準備を進めております。
サイトは、目的ごとに旅先を絞り込んだり、読者・識者の投稿によるおすすめ旅程を掲載できるようなコーナーを新たに設け、より入り口の部分から旅プランづくりに関与できるようリニューアルを進めています。
また、メルマガ・旅程検索の有料化準備も進めています。
メルマガは有料化後も一部を無料でお楽しみいただけるように準備しており、勝手に有料に移行するようなことはありませんのでご安心下さい。

次号は9/24(火)発行の予定です。