2a. 連載:「タビノート」 下川裕治  2016/1/26号 Vol.064


2a. 連載:「タビノート」 下川裕治

月に何回か飛行機に乗る。最近はLCCの割合が増えている。そんな体験をメールマガジンの形でお届けする。

Profile
shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。

たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

LCCはホームページに似ている

 できるだけ多くの会社のLCCに乗ろうと企てているわけではない。LCCはサービスを省略することが基本姿勢だから、比較する要素が少ない。しかし同じ路線でも、毎回のように、搭乗するLCCが変わってしまう。理由はその料金と予約システムである。
 新規に乗り入れるLCCは、必ずといっていいほど、最安値を打ち出してくる。ときにサイトの不具合も起きる。その結果に過ぎないのだ。
 先月、タイのイサンにいた。ブアヤイという町のホテルで、パソコンを開いた。翌日、列車に乗ってウボンラーチャターニーに出るつもりだった。そこからバンコクに戻るLCCを予約しようとした。
 タイライオンエアが最安値で出てきた。3000円ほどだった。しかしタイライオンエアのサイトは、なかなかチケットを買うことができないことが多かった。途中から先に進めなくなったり、突然、トップページに戻っていまうことがよくあった。
 500円ほど高かったが、ノックエアにしようと思った。そのときは少し風邪気味で、早く予約を終え、寝たかった。翌朝は5時台の列車に乗らなくてはならない。
 しかしうまくいかなかった。予約はできるのだが、支払いの画面から先に進まない。何回やっても同じだった。
 「どうしようか……」
 困ってタイライオンエアにアクセスした。なんだか予約がスムーズに進む。サイトも改善され、わかりにくい表現もなくなっていた。そしてあっという間に、購入までが完了してしまった。
 タイから台湾に向かった。そこから帰国する。さて、どうしようか。航空券を検索すると、タイガーエア台湾が最安値をつけていた。
 タイガーエア台湾は2014年に運航を開始した。出資はチャイナエアラインが90%、タイガーエアが10%。チャイナエアラインの子会社のようなLCCである。台北―成田間に就航したのは、昨年の4月である。それから8ヵ月。最安値の位置を確保していた。
 当日、台湾桃園国際に向かった。チェックインカウンターには、長い列ができていた。タイガーエア台湾の成田便だけでなく、関空、厦門、張家界行きが同じカウンターだから、しかたなかった。やがて改善されていくのかもしれない。
 まず飛行機を飛ばし、追って修正していく。LCCの就航は、ホームページの立ちあげの発想にも似ている。

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タイライオンエアのフライトは、軽食もつく