3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

Profile
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青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

Facebook

3b. 世界一周ノート 第42回:南米 その4

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南米のバスを乗り継いで、僕はイグアスの地へと辿り着いた。イグアスといっても、アルゼンチン側からの観光となった。ブラジルへの入国ビザは手続きが面倒で、残された時間からブラジルへの入国は諦めることになった。ブラジル国境のバスターミナルでは闇両替人の多さに驚いたりして、ますます興味が湧く中での断念だった。
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それでもブラジル・パラグアイ・アルゼンチンの三国国境地点に立って、なんとなく眺めた濁った川の色は長閑で、僕が繰り返してきた麻薬検閲のことなんてすっかり忘れてしまう気がした。
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世界三大瀑布制覇、なんとなく定めた目標の終着地点で僕はイグアスの滝を見た。名所、悪魔の喉笛は洪水のせいで立ち入り禁止となっていたものの、その濁流・広大な眺めには圧倒された。途中、大きなトカゲに園内で遭遇したりするなど、南米ジャングルを心ゆくまで味わうことができた。見てしまうとどうでもいいような景色だったけれど、そこが憧れの地であったということはこの旅で何度も起きた。名だたる観光地を経て、際立っていく無関心が写真を撮る手にも伝わっているような気がした。
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taki02_R

イグアスの滝に2日間滞在し、僕はバスで最後の目的地「ブエノスアイレス」へと向かった。値引きのきかないバス料金は日本なみに高く、快適な旅になるとはいえガラガラのバスで過ごす20時間は少し物足りない気がした。車窓から見渡すジャングルやスコール、湿地で輝く大量の蛍も寂しかった。
朝、目覚めると市内に入るバスは大渋滞で全く動かなくなっていた。どうやら市内で行われているストが原因らしい。僕はスペイン語がわからず、多分電力供給に対する不満が募ってどうのこうの・・・という内容だろうと察してバスの中で待っていた。2時間たっても完全にバスは動かず、乗客たちはバスを降り始めた。皆、荷物を受け取って大渋滞の隙間を縫って歩き出したのだ。僕も例に漏れずそうすることにした。
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jutai_R

しばらく歩くとストをしている住民たちが居た。ドラム缶で火を起こしてプラカードを持って歩いていた。僕はついてないなと思いながら、30分ほど歩いてなんとか市内へと着くことができた。街並は美しく、ヨーロッパさながらの落ち着いた雰囲気があった。きれいな街だなと思った。
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ホテルの料金はやはり日本人宿が一番安く、僕は有名な日本人宿に腰をおろした。オーナーに今日の出来事(バスが止まった)を伝えると、そこが最も治安の悪い場所だったことがわかった。言われてみれば汚い人が多かったけれど、何も感じはしなかった・・・。治安の悪い場所というものに免疫が完全になくなっている僕は、ヨハネスブルクで体内危険察知能力を完全に失ってしまっているようだった。
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とにかく安い牛肉をスーパーで買いまくって、赤ワインを飲んで過ごす最後の日々が始まった。そこが最後の場所だとは到底自覚がなく、この自堕落な生活がいつまでも続く気がしていた。気付けば残金も残り僅か、米ドルも数えるほどになっていた。日記を書くことも面倒で、「帰国」という二文字だけがなんとなーく、ドミトリーの暗闇の中を浮遊していた。

次回最終回、ブエノスの街、帰国を記します。


世界一周ノート_R
上海→杭州→南寧→ハノイ→ホーチミン→シェムリアプ→チェンマイ→ルアンパバーン→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島→マニラ→シンガポール→ジョホールバル→シドニー→チェンナイ→ムンバイ→アグラ→デリー→バラナシ→ブッダガヤ→コルカタ→ダージリン→ポカラ→ルンビニ→ガヤ→カトマンズ→ポカラ→イスタンブール→カッパドキア→パムッカレ→ボドラム→ギアテネ→メテオラ→ソフィア→ブタペスト→ザコパネ→クラクフ→サラエヴォ→ザグレブ→ヴェネチア→ローマ→ミラノ→バルセロナ→タンジェ→フェズ→マラケシュ→カサブランカ→カイロ→ギザ→アジスアベベ→ヨハネスブルグ→ケープタウン→ドバイ→ニューヨーク→リマ→ナスカ→マチュピチュ→ウユニ→ラパス→コパカバーナ→サンタクルス→アスンシオン→イグアス→ブエノスアイレス・・・

3b. 世界一周ノート 第42回:南米 その4


3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

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aoki_s

青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

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3b. 世界一周ノート 第42回:南米 その4

taki03_R

南米のバスを乗り継いで、僕はイグアスの地へと辿り着いた。イグアスといっても、アルゼンチン側からの観光となった。ブラジルへの入国ビザは手続きが面倒で、残された時間からブラジルへの入国は諦めることになった。ブラジル国境のバスターミナルでは闇両替人の多さに驚いたりして、ますます興味が湧く中での断念だった。
yami_ryogae_R

それでもブラジル・パラグアイ・アルゼンチンの三国国境地点に立って、なんとなく眺めた濁った川の色は長閑で、僕が繰り返してきた麻薬検閲のことなんてすっかり忘れてしまう気がした。
3ten_kokkyou_R

世界三大瀑布制覇、なんとなく定めた目標の終着地点で僕はイグアスの滝を見た。名所、悪魔の喉笛は洪水のせいで立ち入り禁止となっていたものの、その濁流・広大な眺めには圧倒された。途中、大きなトカゲに園内で遭遇したりするなど、南米ジャングルを心ゆくまで味わうことができた。見てしまうとどうでもいいような景色だったけれど、そこが憧れの地であったということはこの旅で何度も起きた。名だたる観光地を経て、際立っていく無関心が写真を撮る手にも伝わっているような気がした。
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イグアスの滝に2日間滞在し、僕はバスで最後の目的地「ブエノスアイレス」へと向かった。値引きのきかないバス料金は日本なみに高く、快適な旅になるとはいえガラガラのバスで過ごす20時間は少し物足りない気がした。車窓から見渡すジャングルやスコール、湿地で輝く大量の蛍も寂しかった。
朝、目覚めると市内に入るバスは大渋滞で全く動かなくなっていた。どうやら市内で行われているストが原因らしい。僕はスペイン語がわからず、多分電力供給に対する不満が募ってどうのこうの・・・という内容だろうと察してバスの中で待っていた。2時間たっても完全にバスは動かず、乗客たちはバスを降り始めた。皆、荷物を受け取って大渋滞の隙間を縫って歩き出したのだ。僕も例に漏れずそうすることにした。
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しばらく歩くとストをしている住民たちが居た。ドラム缶で火を起こしてプラカードを持って歩いていた。僕はついてないなと思いながら、30分ほど歩いてなんとか市内へと着くことができた。街並は美しく、ヨーロッパさながらの落ち着いた雰囲気があった。きれいな街だなと思った。
kireinamachinami01_R

ホテルの料金はやはり日本人宿が一番安く、僕は有名な日本人宿に腰をおろした。オーナーに今日の出来事(バスが止まった)を伝えると、そこが最も治安の悪い場所だったことがわかった。言われてみれば汚い人が多かったけれど、何も感じはしなかった・・・。治安の悪い場所というものに免疫が完全になくなっている僕は、ヨハネスブルクで体内危険察知能力を完全に失ってしまっているようだった。
tiann_warui_R

とにかく安い牛肉をスーパーで買いまくって、赤ワインを飲んで過ごす最後の日々が始まった。そこが最後の場所だとは到底自覚がなく、この自堕落な生活がいつまでも続く気がしていた。気付けば残金も残り僅か、米ドルも数えるほどになっていた。日記を書くことも面倒で、「帰国」という二文字だけがなんとなーく、ドミトリーの暗闇の中を浮遊していた。

次回最終回、ブエノスの街、帰国を記します。


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上海→杭州→南寧→ハノイ→ホーチミン→シェムリアプ→チェンマイ→ルアンパバーン→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島→マニラ→シンガポール→ジョホールバル→シドニー→チェンナイ→ムンバイ→アグラ→デリー→バラナシ→ブッダガヤ→コルカタ→ダージリン→ポカラ→ルンビニ→ガヤ→カトマンズ→ポカラ→イスタンブール→カッパドキア→パムッカレ→ボドラム→ギアテネ→メテオラ→ソフィア→ブタペスト→ザコパネ→クラクフ→サラエヴォ→ザグレブ→ヴェネチア→ローマ→ミラノ→バルセロナ→タンジェ→フェズ→マラケシュ→カサブランカ→カイロ→ギザ→アジスアベベ→ヨハネスブルグ→ケープタウン→ドバイ→ニューヨーク→リマ→ナスカ→マチュピチュ→ウユニ→ラパス→コパカバーナ→サンタクルス→アスンシオン→イグアス→ブエノスアイレス・・・