3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

Profile
aoki_s

青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

Facebook

3b. 世界一周ノート 第41回:南米 その3

バス_R

南米のバスは長いと、僕は色々な旅人から聞いていた。ボリビアの首都ラパスからサンタクルスへ、僕は覚悟してバスに乗った。
深夜バスは快適で、車内食も出た。まずは10時間ほどのバス移動は何事もなくクリアできた。バスターミナルでは次の目的地、パラグアイのアスンシオンへは40時間とも50時間とも言われた。それでも他に選択肢のない僕はチケットを買わざるをえなかった。南米一の悪路と言われる路線は憂鬱で楽しみだった。そして、インドネシア・スマトラ島と似た感覚に襲われた僕はやってきたバスを見て少し拍子抜けしてしまった。バスのスペックが高かったからだ。南米はバスの値段が高いので、納得と言えば納得なのだけれど僕はそれを見て今回のバスはだいぶ楽になるなと思った。
乗り込んでもその予想は裏切られることなく、少し蒸すかなといった程度の快適なバスの旅が待っていた。

車内食_R

問題は両替だった。僕は残り僅かな米ドルと大量のボリビアボリ(日本円両替の場所がなく仕方なく大量投資)で今後をどのようにやりくりするか悩んでいた。恐らく国境を跨ぐのは深夜、僕は両替をせずにいたことを後悔していた。深夜の国境での両替は絶望的でどうせ翌朝に連れて行かれる両替所なんてレートが悪いに決まっていることが目に見えていたからだ。

パラグアイ入国_R

深夜3時、僕はイミグレに到着した揺れで目が覚めた。イミグレは驚く程小さいほったて小屋で、異常に暗かった。順番に名前が呼ばれ、スタンプを押してバスに乗り込もうとした時に異様な光景が目に入ってきた。老婆がお土産を売っていたのだ。そして、その薄汚いテーブルの上に並ぶ土産物と一緒に$マークの貼り紙があった。闇両替がイミグレの敷地内で営業を行っていたのだ。僕は興味本位でレートを聞くと、想像を絶するくらい何故かレートがよかった。僕は舞い上がって全ボリビアボリを老婆に差し出した。日本円両替で損した分の半分を取り返せたことに僕は感嘆し、起き抜けに清々しい表情を浮かべていた。
何か得をした気分も束の間、パラグアイへのイミグレを越えてから、物々しい雰囲気が流れ始めた。そう、執拗な検閲だった。バスは30分に一度くらいのペースで停車させられ、中には警官が入ってきて数名の乗客を指差して外に連行した。そしてその乗客のスーツケースをくまなく調べるということが何回も続いた。麻薬密売の大動脈というだけのことはある厳重っぷりだった。そしてパラグアイへの入国審査で緊張のピークが訪れた。全員一列に並ばされ、警官の前で荷物を全てチェックされるという大規模な検査が行われた。背後には大型犬が2匹、常にうろうろと乗客たちの匂いを嗅いでいた。幸い、逮捕者は出なかった。検閲の後、乗客たちは緊張感とストレスから解放され妙な一体感で包まれていた。朝焼けに包まれながら、僕たちはついにボリビアを出国した。

犬_R

朝焼け_R

パラグアイのアスンシオンまで36時間、バスの故障や食料不足(バスが遅れて水と食料がなくなり、何もない荒野を走り続けて乗客たちのプチストが起きた)を乗り越えてついにたどりついたその地でも、僕はまだ大動脈の上にいた。イグアスへの乗り継ぎバスを待つ間、マテ茶をすする僕に一人の男が話しかけてきた。その男は片言の英語で僕に「これをやる。おまえは日本人だろ?日本人はチェックが甘い。だからこれを。俺はこの後ボリビアに向かうから持っていられない」と言った。まさかと思ったけれど、そのまさかだった。掌くらいの小さなお菓子箱には大量の大麻が詰まっていた。僕はもちろんそれをことわると、男はわざと僕の見える場所にその箱を捨てて去っていった。オーストラリアドルに換算したらいったいいくらなんだ!?なんてことを考えながら僕はその箱を眺めていた。捨てる程あるということか、僕がたまたま頭のおかしい男に出会ったのかはわからないけれど、確かにその箱には大量の大麻が独特の匂いを放って詰まっていた。

バスの故障_R

例のぶつ_R
(例のぶつ)

僕は更に治安の悪いと言われているブラジル国境方面へのバスへと乗り込んだ。

次回はイグアスの滝で世界三大瀑布制覇!を記します。


世界一周ノート
上海→杭州→南寧→ハノイ→ホーチミン→シェムリアプ→チェンマイ→ルアンパバーン→バンコク→パンガン島→ペナン島→マラッカ→スマトラ島→ジャワ島→マニラ→シンガポール→ジョホールバル→シドニー→チェンナイ→ムンバイ→アグラ→デリー→バラナシ→ブッダガヤ→コルカタ→ダージリン→ポカラ→ルンビニ→ガヤ→カトマンズ→ポカラ→イスタンブール→カッパドキア→パムッカレ→ボドラム→ギアテネ→メテオラ→ソフィア→ブタペスト→ザコパネ→クラクフ→サラエヴォ→ザグレブ→ヴェネチア→ローマ→ミラノ→バルセロナ→タンジェ→フェズ→マラケシュ→カサブランカ→カイロ→ギザ→アジスアベベ→ヨハネスブルグ→ケープタウン→ドバイ→ニューヨーク→リマ→ナスカ→マチュピチュ→ウユニ→ラパス→コパカバーナ→サンタクルス→アスンシオン・・・

3b. 世界一周ノート 第41回:南米 その3


3b. 世界一周ノート 青木大地

仕事をやめ、2013年10月から1年間の予定で世界一周の旅に出ました。

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青木大地(あおき・だいち)

1986年生まれ。日本大学 芸術学部 卒業。
卒業後、大手レンタルビデオメーカーに勤務。店舗、営業を経て世界旅行のため退社。
念願のフリーライターとしてとりあえず1年は過ごせそうです。
同名義のFacebookもよければ見てください。

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3b. 世界一周ノート 第41回:南米 その3

バス_R

南米のバスは長いと、僕は色々な旅人から聞いていた。ボリビアの首都ラパスからサンタクルスへ、僕は覚悟してバスに乗った。
深夜バスは快適で、車内食も出た。まずは10時間ほどのバス移動は何事もなくクリアできた。バスターミナルでは次の目的地、パラグアイのアスンシオンへは40時間とも50時間とも言われた。それでも他に選択肢のない僕はチケットを買わざるをえなかった。南米一の悪路と言われる路線は憂鬱で楽しみだった。そして、インドネシア・スマトラ島と似た感覚に襲われた僕はやってきたバスを見て少し拍子抜けしてしまった。バスのスペックが高かったからだ。南米はバスの値段が高いので、納得と言えば納得なのだけれど僕はそれを見て今回のバスはだいぶ楽になるなと思った。
乗り込んでもその予想は裏切られることなく、少し蒸すかなといった程度の快適なバスの旅が待っていた。

車内食_R

問題は両替だった。僕は残り僅かな米ドルと大量のボリビアボリ(日本円両替の場所がなく仕方なく大量投資)で今後をどのようにやりくりするか悩んでいた。恐らく国境を跨ぐのは深夜、僕は両替をせずにいたことを後悔していた。深夜の国境での両替は絶望的でどうせ翌朝に連れて行かれる両替所なんてレートが悪いに決まっていることが目に見えていたからだ。

パラグアイ入国_R

深夜3時、僕はイミグレに到着した揺れで目が覚めた。イミグレは驚く程小さいほったて小屋で、異常に暗かった。順番に名前が呼ばれ、スタンプを押してバスに乗り込もうとした時に異様な光景が目に入ってきた。老婆がお土産を売っていたのだ。そして、その薄汚いテーブルの上に並ぶ土産物と一緒に$マークの貼り紙があった。闇両替がイミグレの敷地内で営業を行っていたのだ。僕は興味本位でレートを聞くと、想像を絶するくらい何故かレートがよかった。僕は舞い上がって全ボリビアボリを老婆に差し出した。日本円両替で損した分の半分を取り返せたことに僕は感嘆し、起き抜けに清々しい表情を浮かべていた。
何か得をした気分も束の間、パラグアイへのイミグレを越えてから、物々しい雰囲気が流れ始めた。そう、執拗な検閲だった。バスは30分に一度くらいのペースで停車させられ、中には警官が入ってきて数名の乗客を指差して外に連行した。そしてその乗客のスーツケースをくまなく調べるということが何回も続いた。麻薬密売の大動脈というだけのことはある厳重っぷりだった。そしてパラグアイへの入国審査で緊張のピークが訪れた。全員一列に並ばされ、警官の前で荷物を全てチェックされるという大規模な検査が行われた。背後には大型犬が2匹、常にうろうろと乗客たちの匂いを嗅いでいた。幸い、逮捕者は出なかった。検閲の後、乗客たちは緊張感とストレスから解放され妙な一体感で包まれていた。朝焼けに包まれながら、僕たちはついにボリビアを出国した。

犬_R

朝焼け_R

パラグアイのアスンシオンまで36時間、バスの故障や食料不足(バスが遅れて水と食料がなくなり、何もない荒野を走り続けて乗客たちのプチストが起きた)を乗り越えてついにたどりついたその地でも、僕はまだ大動脈の上にいた。イグアスへの乗り継ぎバスを待つ間、マテ茶をすする僕に一人の男が話しかけてきた。その男は片言の英語で僕に「これをやる。おまえは日本人だろ?日本人はチェックが甘い。だからこれを。俺はこの後ボリビアに向かうから持っていられない」と言った。まさかと思ったけれど、そのまさかだった。掌くらいの小さなお菓子箱には大量の大麻が詰まっていた。僕はもちろんそれをことわると、男はわざと僕の見える場所にその箱を捨てて去っていった。オーストラリアドルに換算したらいったいいくらなんだ!?なんてことを考えながら僕はその箱を眺めていた。捨てる程あるということか、僕がたまたま頭のおかしい男に出会ったのかはわからないけれど、確かにその箱には大量の大麻が独特の匂いを放って詰まっていた。

バスの故障_R

例のぶつ_R
(例のぶつ)

僕は更に治安の悪いと言われているブラジル国境方面へのバスへと乗り込んだ。

次回はイグアスの滝で世界三大瀑布制覇!を記します。


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