4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第53回 コペンハーゲン


コペンハーゲンオペラハウス (トリップアドバイザー提供)

デンマーク・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

石畳と歴史ある建物、水と緑がおりなす街並みが美しく、にぎやかながらも落ち着いた雰囲気で北欧屈指の人気都市となっている。色鮮やかなニューハウン地区やチボリ公園のようなクリーンな見どころもあれば、クリスチャニアのようなダークスポットもあり、女子旅にも野郎旅にも対応可能な奥深い都市。

Copenhagen_googlepng
(画像:Google)

コペンハーゲンの市街はコンパクトで、徒歩でも十分巡れてしまう。ほとんどの見どころは市街を東西にむすぶ大通りストロイエ(Stroeget)沿い。
街歩きはホテルが多く集まる中央駅から。

Central Station (トリップアドバイザー提供)

駅を超えるとコペンハーゲンの中心でありランドマークの市庁舎。高さ105mの塔が堂々と広場を見下ろす。
市庁舎からすぐ、チボリ公園(Tivoli)はコペンハーゲン最大の観光名所の1つ。1843年にオープンした世界でも最初の市民向けアミューズメントパークで、あのアンデルセンも足繁く訪れ、ウォルト・ディズニーもここでディズニーランドの着想を得たという。建物は歴史を感じさせる気品があり、緑や水が効果的に配された園内は美しい。とはいえ懐かし系のほのぼの施設ではなく、絶叫系など最新のアミューズメントマシンも備えており、夜は華やかにライトアップされる。大人から子供まで楽しめるスポット。


Tivoli Gardens (トリップアドバイザー提供)

チボリ公園の隣にあるのはニイ・カールスベア美術館(Ny Carlsberg Glyptotek)。19世紀にカールスバーグの創業家が開いたもので、ギリシャやローマなどの古代美術とロダンやセザンヌなどの近代美術、2つの時代それぞれで世界的なコレクションを誇る。特に彫刻や彫像が豊富で、ロダンは35点を収蔵する。庭園も美しくゆったりなごめる。

Ny Carlsberg Glyptotek (トリップアドバイザー提供)

デンマークの歴史は古く、初代デンマーク王は6世紀までさかのぼる。
国立博物館は先史時代からヴァイキング時代、栄光の中世から現代までを包括するデンマーク最大のミュージアム。
かつては王宮の一部であった建物自体も芸術的。


The National Museum of Denmark (トリップアドバイザー提供)

クリスチャンスボー城(Christiansborg Slot)はかつての王宮跡。12世紀に建造され、以降数度の改築を繰り返してきた。デンマーク最高の格式をほこる建物として、現在は国会議事堂、内閣府、最高裁判所の三権施設がおかれているほか、迎賓館としても使われている。
地下は建造当時の痕跡が廃墟化し、良好な状態で保存されている(建て替え時に偶然発見された)。

Paleis Christiansborg (Christiansborg Slot) (トリップアドバイザー提供)

そして市庁舎から1kmほど続くにぎやかな通りが北欧最大規模のショッピングスポット、ストロイエ(Stroeget)だ。クリスチャンスボー城のすぐ北を通っている。
石畳を歴史ある建物が取り囲む欧州らしい光景で、チェーン店からハイブランドまでが集まるお土産選びにも散策にも便利なエリア。オープンエアのカフェで人通りや大道芸を眺めるのも楽しい。

Stroeget (トリップアドバイザー提供)

高さ35mの円塔(Rundetaarn)はもともと天体観測所として建てられたもの。現在ではれんが造りの外観や市街を見下ろす展望塔として人気のフォトスポットとなっている。

Rundetaarn (トリップアドバイザー提供)

ストロイエを抜けて北東方面、アメリエンボー宮殿(Amalienborg)はかつての貴族の邸宅跡で、4つの棟から構成されている。後に接収され王宮となり、現在でもデンマーク女王・マルグレーテ2世が暮らしている。こちらで有名なのは衛兵の交代式、女王在宮時の毎日正午に実施される。

Amalienborg (トリップアドバイザー提供)

ストロイエの北、広大な庭園の向こうに位置するのはローゼンボー離宮(Rosenborg Castle)。デンマーク王室のコレクションを公開するミュージアムとなっており、王冠や勲章などの宝物が公開されている。邸内も豪華の一言。

Rosenborg Castle (トリップアドバイザー提供)

アメリエンボー宮殿の北に位置するのはデザインミュージアム。手工芸から工業製品まで、地域や時代を超えた広範な展示があり、アジアの美術品も「デザイン」という文脈でコレクションされている。人気の北欧デザインも豊富。建物はかつての市民病院跡で、クラシカルな雰囲気が美しい。併設のカフェやショップも楽しい。

Designmuseum Danmark (トリップアドバイザー提供)


ニューハウン(Nyhavn)は港沿いにカラフルな住宅がならぶ人気スポット。実に写真映えするため、コペンハーゲンの代名詞的光景となっている。その歴史は17世紀にさかのぼり、当時は船乗り、酒場、娼婦などが行き来するあわただしい商業港であった。現在では観光スポットとして住宅がリノベーションされ、レストランやバーが建ち並ぶ。特に陽の長い夏は海と住宅とのコントラストが美しく、ビール片手に散策する住民や旅行者でにぎわう。

Nyhavn (トリップアドバイザー提供)

カステレット要塞はかつてコペンハーゲンを守っていた砦の跡。現在では広大な緑地に彫像が拝された美しい庭園として整備され、市民のなごみスポットとなっている。

Kastellet (トリップアドバイザー提供)

カステレット要塞の先につつましく位置するのが人魚像。かつてはコペンハーゲンのシンボルとして有名であったが、現在ではむしろ世界3大がっかり名所の1つとして知られるようになってしまった(あとの2つはシンガポールのマーライオンとブリュッセルの小便小僧)。像は幾度か破壊されているが、その度に修復・復活している。そういった目で見るとわびさび感もあって意外に悪くない。

The Little Mermaid (Den Lille Havfrue) (トリップアドバイザー提供)


市街の南東側、運河の向こうにひろがるのはクリスチャンハウン地区。歴史的な建物と運河のコントラストが美しい。
この地区を見下ろしているのが救世主教会(Church of Our Saviour)。高さ90mもの尖塔が開放されており、長い階段をのぼると絶景のごほうびが待っている。

Church of Our Saviour (トリップアドバイザー提供)

コペンハーゲンのオペラハウスは4万m2もの広大な面積をほこり、砂岩や大理石で建てられたモダンな建物。外観だけでなく内部も凝りまくっており、メイン観客席の天井は10万5千枚(1.5kg相当)もの黄金レリーフで飾られている。

The Copenhagen Opera House (トリップアドバイザー提供)


特別編・自由都市クリスチャニア
クリスチャニアの旗

(画像:Wikipedia)



Christiania (トリップアドバイザー提供)

クリスチャニアは地下鉄クリスチャンハウン駅から徒歩5分。欧州でも最大規模のヒッピータウンで、海外のガイドブックではコペンハーゲンの観光スポットとしてほぼ筆頭に挙げられている。一方日本のガイドブックでは治安の問題が懸念されあまりおおっぴらに紹介されていない。

1971年にヒッピーが軍の空きバラックを占拠して暮らし始めたのがはじまりで、クルマの入場禁止、非暴力など独自のスローガンを掲げ、自由都市として存続してきた。市当局との対立や和解の歴史を経て、現在ではクリスチャニア基金が一帯および権利を保有している。基金の財源はクリスチャニア・シェアというある種の寄付。シェアを購入しても特になんの権利ももらえないが、パーティーに招待されたりするという特典はある。


(画像:christianiafolkeaktie.dk)

内部はカラフルなペインティングで彩られた家が並び、屋台、ギャラリー、お土産屋などがある。
ドラッグはコペンハーゲンの法令上禁止となっている。だが、ここはコペンハーゲンではなく自由都市クリスチャニア。どちらの論理が通じるかは行ってみなければわからない。なお、クリスチャニアの論理でもハードドラッグは禁止である。

Christiania (トリップアドバイザー提供)

写真撮影が禁止されているエリアもあり、昼でも売人が集う通りもある(その名もプッシャー・ストリート)。入り口に掲げられた注意事項をよく読んで、内部の論理を尊重して行動したい。

Christiania (トリップアドバイザー提供)


デンマークは1940年から45年までナチスドイツの占領下にあった。
当時の様子を示すミュージアムや史跡が残されている。

ユダヤミュージアムといえばユダヤ人迫害の歴史を伝えるものが多いが、コペンハーゲンではひと味違う。
1939年、当時の国王クリスチャン10世は国土や都市の荒廃を避けるために国境線を越えたドイツ軍に降伏。ただし国王は一筋縄ではいかない人物で、国民と一体となってナチスに対する静かな抵抗を続けた。1943年、デンマーク国民はナチスのユダヤ人収容命令に抵抗、多くのユダヤ系市民を隣国の中立国スウェーデンに脱出させた。この出来事は正義を尊ぶデンマーク人の誇りとなっており、ミュージアムでも展示の主役となっている。国立博物館のそば。

Danish Jewish Museum (Dansk Jodisk Museum)


中央駅からわずか2駅、Enghave駅近くにそびえるのはカールスバーグの工場。世界で最初に建てられたカールスバーグの醸造所で、もちろん現役で稼働中。「Visit Carlsberg」というミュージアムが併設されており、ビールの歴史を学んだり、生産プロセスを学んだり、試飲したり、試飲したり、試飲したりして楽しめる。

Visit Carlsberg / Carlsberg Visitor Centre

フレデリクスボー城(Frederiksborg Palace)は市街の北西40kmほどの場所にある。幾度かの改築を経ており、現在の建物は19世紀にビール王カールスバーグ家の援助で再建されたもの。重厚な建物だけでなく、バロック様式の優美な庭園で知られている。
現在では歴史ミュージアムとなっており、絵画や彫刻など王室のコレクションも公開されている。


Frederiksborg Slot

クロンボー城(Kronborg Castle)はデンマークで最も有名な城。ハムレットに登場する城のモデルとして知られ、夏にはハムレットの野外劇が上演される。王の居城でもあり、海峡を監視する砦でもあった。建物は優雅さを保ちつつも、張り巡らされた堀や大砲など軍事史跡としての威容を誇っている。コペンハーゲンの北およそ30km、鉄道でも1本、バスで1時間程度。

Kronborg Castle

ARKEN近代美術館(ARKEN Museum of Modern Art)は市街の西20kmほどにある。
ダミアン・ハーストやグレーソン・ペリーのコレクションで知られ、展示物から建物そのものまでとにかくスタイリッシュ。某観光情報サイトでも名だたるミュージアムをおしのけてコペンハーゲンのトップにランクされるなど、観覧者の評価はきわめて高い。

Arken Museum of Modern Art (トリップアドバイザー提供)

コペンハーゲンから西に40kmほど、デンマーク発祥の地ともされる古都ロスキレは壮麗な大聖堂で有名。

Roskilde Cathedral (トリップアドバイザー提供)

しかし、この地で大聖堂以上に評価が高いのはヴァイキング船博物館。
発掘されたヴァイキング船の実物展示や上映、体験コーナーなど、大人も子供も楽しめる施設として人気がある。併設のカフェで名物のフィッシュケーキを味わおう。

Viking Ship Museum (トリップアドバイザー提供)



Voulez Vous (トリップアドバイザー提供)

デンマーク産のチーズや豚肉は日本でもおなじみ。デンマークは酪農王国で、乳製品と豚肉が名高い。海の幸にも恵まれており、地元のニシンやサーモン、ウナギなども食卓にのぼる。
隣接するドイツ料理の影響が大きく、ソーセージやライ麦パン、ジャガイモを多用する。伝統的なデンマーク料理は煮込みやグリルなどシンプルな調理法が多い。

名物料理は豪華なオープン・サンドのスモーブロー。具材はハムやソーセージ、レバーペースト、チーズや魚のマリネなど多種多様。さらに白パンやライ麦パンなど多くの組み合わせがある。美しく盛りつけられたサンドイッチに軽食のイメージはなく、芸術的なよそおい。

北欧はプロテスタントの影響力が強く美食には遠いイメージもあったが、近年は地産食材に着目した新たなムーブメントが生まれている。その代表格が世界一の称号を得たコペンハーゲンのレストラン「ノーマ」。地元の食材をコンセプチュアルに調理するというアイデアが評価され、予約待ちのリストは数万人分ともいわれる。

飲み物はビールが主役で、日本にも輸入されている軽い飲み口のカールスバーグの他、どっしりとした地ビールも多い。
じゃがいもからつくった蒸留酒のアクアビットも味わってみたい。


Noma (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
成田からスカンジナビア航空の直行便がある。往路は水曜日以外毎日、復路は火曜日以外毎日就航。成田を昼に出て同日の夕方に着くので便利。所要11時間、13万円~。

乗り継ぎ便ではカタール、エミレーツなどの中東系が安く7万円を切ることもあるが、乗り継ぎの所要時間はかなり長い。
価格と所要時間のバランスがいいのはアエロフロートのモスクワ経由便、KLMオランダのアムステルダム経由便、フィンエアーのヘルシンキ便など。いずれも所要14時間程度で10万円を切る。

(陸路)
鉄道でもバスでもドイツ経由が主流。
価格はドイツからのLCCの方が安いこともしばしば。
鉄道の場合はハンブルグからの直行便(高速鉄道ICE)が所要5時間程度
Euroline社の国際バスの場合、ベルリンから所要8時間程度。

(パッケージツアー)
中東系のエアラインを使ったツアーが安く、カタールやエミレーツ利用で5日間の場合6万円台という激安ツアーもある(2名参加の1名価格)。ただしドーハやドバイでの乗り継ぎがあるため現地は実質1~2日と過酷なスケジュール。まともに観光時間がとれるスカンジナビア航空便ツアーなら14万円程度(同)が相場となる。

北欧の人気都市、ヘルシンキやストックホルムを周遊するツアーもある。こちらは日程的にフィンエアー利用が多い。6日間で10万円~。

いずれもコペンハーゲンの高いホテル代を考えると検討価値は高い。

(空港)
コペンハーゲン国際空港(CPH)は市街中心部の南東7kmほどと近い。地名をとって通称カストラップ(Kastrup)空港とも呼ばれる。
1925年開港の歴史ある空港だが、建物はモダンで機能的。スカイトラック社のエアポートランキングでも上位に位置する。
ターミナルは1~3まであり、1は国内線、2と3が国際線。ターミナル3が最も新しい。KLMオランダのアムステルダム便、フィンエアーのヘルシンキ便はターミナル2。スカンジナビア航空の成田直行便は3を利用する。

空港のターミナル3と鉄道が直結しており、コペンハーゲン中央駅まで15分程度。料金はシングルチケットで36デンマーククローネ(660円程度)。
メトロもターミナル3と直結。市街まで15分程度。料金は同じく36デンマーククローネ。
タクシーの場合は300デンマーククローネ程度。


地理と気候

欧州のドイツに接するユラン半島とスカンジナビア半島の間、バルト海には多くの島々がある。デンマークはユラン半島と島々から成っており、コペンハーゲンが位置するのはスカンジナビア半島にほど近い(橋も架かっている)シェラン島の東。

北緯55度とアラスカや樺太の北端にあたる高緯度だが、暖流の影響で緯度からイメージするほど寒くはない。とはいえ冬は昼でも氷点下のこともあるなどそれなりの対策は必要。

ベストシーズンはやはり夏、6月~8月の間。昼間は過ごしやすく白夜で活動時間も長い(昼の長さは17時間ほど)。高緯度で日射しが強いので対策を。
降水量は年間を通して少ないものの、天気は変わりやすい。冬は寒さだけでなく、日照も短い(昼の長さはわずか7~8時間)ためかなり薄暗いイメージ。

デンマークと日本の時差はマイナス8時間。日本の正午が午前4時。サマータイムは3月最終日曜~10月最終日曜で、この間の時差はマイナス7時間。

Google マップ
(画像:Google)


言語と通貨

公用語はデンマーク語。多くのデンマーク人は英語が話せるものの、街の看板やサインはデンマーク語表記が多い。

通貨はユーロではなくデンマーククローネ(DKK)。1デンマーククローネ=18.1円(15年10月時点)。およそ20円と覚えておけばよい。


(画像:Wikipedia)

物価の高さは悩みどころで、何をするにもおおむね東京以上。安いのはビールぐらいというサイフに厳しい街。
ホテルは3つ星で1.5万円~、中級ホテルで2万円代もザラ。タクシーは初乗りで800円程度。特に高いのは外食で、レストランなら25%の税金と15%のサービス料がのるため自動的に4割増しとなる。ランチの目安はレストランなら3千円程度、ディナーでは手ごろな店でも5千円は下らない(それでいて内容は結構しょぼかったり…)。テイクアウトのサンドイッチやファーストフードならなんとか千円以内でおさまる。

高い消費税は手厚い福祉を実現するために必要とされているが旅行者には関係ない話。一応、1店舗につき1日300デンマーククローネ以上の買い物をした場合には19%の税が還付される制度がある。ただしホテルや食事は対象外となってしまう。

日本国内でデンマーククローネが両替出来る場所は限られ、レートも不利。
クレジットカードの通用度が高いのでなるべくカードを使い、現金は現地でクレジットカードからキャッシングするのがよい。再両替レートは悪いので、なるべく使い切ってしまおう。

物価の高さは料金にサービス料が含まれているためでもある。そのためチップの必要はほとんどなく、何か特別な用事を頼んだときのみで十分。


治安とビザ

欧州の中では安全とされているが、やはり外国。犯罪の発生率自体は日本を大きく上回る。
旅行者がよく巻き込まれる犯罪としては、スリや置き引きなど。空港やコペンハーゲン中央駅、安ホテルのロビーやレストランでは身辺に注意すること。
ナイトスポットやクラブ近辺では薬物中毒者やギャングなども出歩いている。

特に夜~早朝の中央駅西側ホテル集中地区、線路沿いの西南、長距離バス発着場やハルム広場の南側などが要注意。陽が落ちれば人通りも少なくなり、スリの被害が多くなる。
クリスチャニアではエリアのルールを守り、なるべくツアーでの行動をおすすめしたい。エリア内では大麻をはじめとしたドラッグが公然と流通しているが、くれぐれも好奇心で手を出さないように。日本の大麻取締法には国外犯処罰規定があり、旅先での一服ももちろん違法。

90日以内の観光・出張滞在はビザ不要。


市内交通

コペンハーゲンの観光名所はかなり集中しているため、徒歩か自転車でなんとかなってしまうかもしれない。公共交通としてはメトロ、バス(水上バス)、鉄道がある。

ミュージアム巡りが目的で子連れなら、72のミュージアムやアトラクションが無料となり、バス、鉄道、メトロに乗り放題となるコペンハーゲン・カードを検討してもいいかも。24時間有効のカードが48ユーロ、48時間で67ユーロ、72時間で79ユーロ。大人1人につき10歳未満の子供2人までがタダとなる。

(タクシー)
メーター制で、安心して利用できる。英語で問題ない。
初乗りは38クローネ(電話で配車した場合)。1kmごとに昼間およそ15クローネ、夜間19クローネ追加。メーター料金は消費税とチップ込み。

(メトロ・バス・鉄道)
すべて料金は共通体系、欧州に多いゾーン制で、市内がかなり細かく区切られている。
市の中心部はゾーン1、周辺はゾーン2か3が割り当てられている。空港はゾーン4に属する。
チケットはシングルチケット、回数券、1日/3日有効のシティパスなどオプションが多く、何が得なのかわかりにくい。自転車を借りるならシングルチケットか回数券、自転車を借りないならばシティパスが便利かもしれない。
シングルチケットと回数券は時間内でのバス・メトロ・近郊鉄道(エスト-)間の相互乗り換えが可能で、1~3ゾーンなら1時間以内、4~6ゾーン以内なら1時間半以内。

改札はなく、チケットは乗車時に黄色いマシンで時刻を記録しなければならない。忘れると無賃乗車扱いで高額の罰金を課せられる。

(鉄道)
鉄道路線は中央駅を中心に拡がっている。
近郊鉄道はエスト-(S-tog)と呼ばれ、赤字に白抜き文字でSのマークが目印。郊外に向かうだけでなく市内にも駅が多く、メトロとチケットも共通。

(レンタサイクル)
Pendlercyklen
(画像:Bycyklen)

欧州の諸都市と同じく自転車にやさしい街コペンハーゲン。街のサイズも自転車移動にぴったり。
路面には自転車専用レーンがもうけられており、市内交通の主役といった趣。
旅行者でも使いやすいレンタルサービスが「Bycyklen」。ネットで登録することで街中のレンタルステーションにある自転車を利用できる。GPSナビ付の白い電動サイクルはスタイリッシュ。料金は1時間25デンマーククローネ。月極の場合登録料70クローネで1時間あたり6クローネになる。

個人の自転車貸しサービス、Spinlisterもおすすめ。コペンハーゲンにはかなり多くの登録者がいる。


ホテル


Scandic Palace Hotel (トリップアドバイザー提供)

北欧の例に漏れず、物価も高いがホテルも高め。ホテル供給は決して少なくないが、人気都市であるためレートは高止まりしている。
3つ星クラスでも1万円以内で探すのはかなり難しく、2万円レベルもザラ。ホステル、ゲストハウスならだいぶ手ごろになるが、それでも個室が5~6千円台、ドミトリーでも3千円を下回るものはほとんどない。
ホテルは中央駅の西~北側に集中している。

個人宅の部屋貸しサービスAirbnbならホテルの半額以下で個室が探せるが、レビューや立地をよく見てからにしよう。



ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
デンマークの大手通信事業者はBiBoB、Call me、Fullrate、Telenorなど。プリペイドは3 DK(香港でおなじみ)、OiSTER Mobile、One Mobile、Labaraなどが多い。

3 DKの場合、月間10ギガで99デンマーククローネなど。
OiSTER Mobileの場合、月間1ギガ49クローネ、5ギガ69クローネなど。
One Mobileの場合、月間1ギガ50クローネ、4ギガ100クローネ、20ギガ200クローネなど。
Labaraの場合、2ギガで月間49クローネ、4ギガ79クローネなど。

(WiFi)
レストラン、カフェ、公共交通機関などWiFiの場所は豊富にあり、接続に困ることはない

4. 世界あの街この街: コペンハーゲン


4.世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第53回 コペンハーゲン


コペンハーゲンオペラハウス (トリップアドバイザー提供)

デンマーク・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

石畳と歴史ある建物、水と緑がおりなす街並みが美しく、にぎやかながらも落ち着いた雰囲気で北欧屈指の人気都市となっている。色鮮やかなニューハウン地区やチボリ公園のようなクリーンな見どころもあれば、クリスチャニアのようなダークスポットもあり、女子旅にも野郎旅にも対応可能な奥深い都市。

Copenhagen_googlepng
(画像:Google)

コペンハーゲンの市街はコンパクトで、徒歩でも十分巡れてしまう。ほとんどの見どころは市街を東西にむすぶ大通りストロイエ(Stroeget)沿い。
街歩きはホテルが多く集まる中央駅から。

Central Station (トリップアドバイザー提供)

駅を超えるとコペンハーゲンの中心でありランドマークの市庁舎。高さ105mの塔が堂々と広場を見下ろす。
市庁舎からすぐ、チボリ公園(Tivoli)はコペンハーゲン最大の観光名所の1つ。1843年にオープンした世界でも最初の市民向けアミューズメントパークで、あのアンデルセンも足繁く訪れ、ウォルト・ディズニーもここでディズニーランドの着想を得たという。建物は歴史を感じさせる気品があり、緑や水が効果的に配された園内は美しい。とはいえ懐かし系のほのぼの施設ではなく、絶叫系など最新のアミューズメントマシンも備えており、夜は華やかにライトアップされる。大人から子供まで楽しめるスポット。


Tivoli Gardens (トリップアドバイザー提供)

チボリ公園の隣にあるのはニイ・カールスベア美術館(Ny Carlsberg Glyptotek)。19世紀にカールスバーグの創業家が開いたもので、ギリシャやローマなどの古代美術とロダンやセザンヌなどの近代美術、2つの時代それぞれで世界的なコレクションを誇る。特に彫刻や彫像が豊富で、ロダンは35点を収蔵する。庭園も美しくゆったりなごめる。

Ny Carlsberg Glyptotek (トリップアドバイザー提供)

デンマークの歴史は古く、初代デンマーク王は6世紀までさかのぼる。
国立博物館は先史時代からヴァイキング時代、栄光の中世から現代までを包括するデンマーク最大のミュージアム。
かつては王宮の一部であった建物自体も芸術的。


The National Museum of Denmark (トリップアドバイザー提供)

クリスチャンスボー城(Christiansborg Slot)はかつての王宮跡。12世紀に建造され、以降数度の改築を繰り返してきた。デンマーク最高の格式をほこる建物として、現在は国会議事堂、内閣府、最高裁判所の三権施設がおかれているほか、迎賓館としても使われている。
地下は建造当時の痕跡が廃墟化し、良好な状態で保存されている(建て替え時に偶然発見された)。

Paleis Christiansborg (Christiansborg Slot) (トリップアドバイザー提供)

そして市庁舎から1kmほど続くにぎやかな通りが北欧最大規模のショッピングスポット、ストロイエ(Stroeget)だ。クリスチャンスボー城のすぐ北を通っている。
石畳を歴史ある建物が取り囲む欧州らしい光景で、チェーン店からハイブランドまでが集まるお土産選びにも散策にも便利なエリア。オープンエアのカフェで人通りや大道芸を眺めるのも楽しい。

Stroeget (トリップアドバイザー提供)

高さ35mの円塔(Rundetaarn)はもともと天体観測所として建てられたもの。現在ではれんが造りの外観や市街を見下ろす展望塔として人気のフォトスポットとなっている。

Rundetaarn (トリップアドバイザー提供)

ストロイエを抜けて北東方面、アメリエンボー宮殿(Amalienborg)はかつての貴族の邸宅跡で、4つの棟から構成されている。後に接収され王宮となり、現在でもデンマーク女王・マルグレーテ2世が暮らしている。こちらで有名なのは衛兵の交代式、女王在宮時の毎日正午に実施される。

Amalienborg (トリップアドバイザー提供)

ストロイエの北、広大な庭園の向こうに位置するのはローゼンボー離宮(Rosenborg Castle)。デンマーク王室のコレクションを公開するミュージアムとなっており、王冠や勲章などの宝物が公開されている。邸内も豪華の一言。

Rosenborg Castle (トリップアドバイザー提供)

アメリエンボー宮殿の北に位置するのはデザインミュージアム。手工芸から工業製品まで、地域や時代を超えた広範な展示があり、アジアの美術品も「デザイン」という文脈でコレクションされている。人気の北欧デザインも豊富。建物はかつての市民病院跡で、クラシカルな雰囲気が美しい。併設のカフェやショップも楽しい。

Designmuseum Danmark (トリップアドバイザー提供)


ニューハウン(Nyhavn)は港沿いにカラフルな住宅がならぶ人気スポット。実に写真映えするため、コペンハーゲンの代名詞的光景となっている。その歴史は17世紀にさかのぼり、当時は船乗り、酒場、娼婦などが行き来するあわただしい商業港であった。現在では観光スポットとして住宅がリノベーションされ、レストランやバーが建ち並ぶ。特に陽の長い夏は海と住宅とのコントラストが美しく、ビール片手に散策する住民や旅行者でにぎわう。

Nyhavn (トリップアドバイザー提供)

カステレット要塞はかつてコペンハーゲンを守っていた砦の跡。現在では広大な緑地に彫像が拝された美しい庭園として整備され、市民のなごみスポットとなっている。

Kastellet (トリップアドバイザー提供)

カステレット要塞の先につつましく位置するのが人魚像。かつてはコペンハーゲンのシンボルとして有名であったが、現在ではむしろ世界3大がっかり名所の1つとして知られるようになってしまった(あとの2つはシンガポールのマーライオンとブリュッセルの小便小僧)。像は幾度か破壊されているが、その度に修復・復活している。そういった目で見るとわびさび感もあって意外に悪くない。

The Little Mermaid (Den Lille Havfrue) (トリップアドバイザー提供)


市街の南東側、運河の向こうにひろがるのはクリスチャンハウン地区。歴史的な建物と運河のコントラストが美しい。
この地区を見下ろしているのが救世主教会(Church of Our Saviour)。高さ90mもの尖塔が開放されており、長い階段をのぼると絶景のごほうびが待っている。

Church of Our Saviour (トリップアドバイザー提供)

コペンハーゲンのオペラハウスは4万m2もの広大な面積をほこり、砂岩や大理石で建てられたモダンな建物。外観だけでなく内部も凝りまくっており、メイン観客席の天井は10万5千枚(1.5kg相当)もの黄金レリーフで飾られている。

The Copenhagen Opera House (トリップアドバイザー提供)


特別編・自由都市クリスチャニア
クリスチャニアの旗

(画像:Wikipedia)



Christiania (トリップアドバイザー提供)

クリスチャニアは地下鉄クリスチャンハウン駅から徒歩5分。欧州でも最大規模のヒッピータウンで、海外のガイドブックではコペンハーゲンの観光スポットとしてほぼ筆頭に挙げられている。一方日本のガイドブックでは治安の問題が懸念されあまりおおっぴらに紹介されていない。

1971年にヒッピーが軍の空きバラックを占拠して暮らし始めたのがはじまりで、クルマの入場禁止、非暴力など独自のスローガンを掲げ、自由都市として存続してきた。市当局との対立や和解の歴史を経て、現在ではクリスチャニア基金が一帯および権利を保有している。基金の財源はクリスチャニア・シェアというある種の寄付。シェアを購入しても特になんの権利ももらえないが、パーティーに招待されたりするという特典はある。


(画像:christianiafolkeaktie.dk)

内部はカラフルなペインティングで彩られた家が並び、屋台、ギャラリー、お土産屋などがある。
ドラッグはコペンハーゲンの法令上禁止となっている。だが、ここはコペンハーゲンではなく自由都市クリスチャニア。どちらの論理が通じるかは行ってみなければわからない。なお、クリスチャニアの論理でもハードドラッグは禁止である。

Christiania (トリップアドバイザー提供)

写真撮影が禁止されているエリアもあり、昼でも売人が集う通りもある(その名もプッシャー・ストリート)。入り口に掲げられた注意事項をよく読んで、内部の論理を尊重して行動したい。

Christiania (トリップアドバイザー提供)


デンマークは1940年から45年までナチスドイツの占領下にあった。
当時の様子を示すミュージアムや史跡が残されている。

ユダヤミュージアムといえばユダヤ人迫害の歴史を伝えるものが多いが、コペンハーゲンではひと味違う。
1939年、当時の国王クリスチャン10世は国土や都市の荒廃を避けるために国境線を越えたドイツ軍に降伏。ただし国王は一筋縄ではいかない人物で、国民と一体となってナチスに対する静かな抵抗を続けた。1943年、デンマーク国民はナチスのユダヤ人収容命令に抵抗、多くのユダヤ系市民を隣国の中立国スウェーデンに脱出させた。この出来事は正義を尊ぶデンマーク人の誇りとなっており、ミュージアムでも展示の主役となっている。国立博物館のそば。

Danish Jewish Museum (Dansk Jodisk Museum)


中央駅からわずか2駅、Enghave駅近くにそびえるのはカールスバーグの工場。世界で最初に建てられたカールスバーグの醸造所で、もちろん現役で稼働中。「Visit Carlsberg」というミュージアムが併設されており、ビールの歴史を学んだり、生産プロセスを学んだり、試飲したり、試飲したり、試飲したりして楽しめる。

Visit Carlsberg / Carlsberg Visitor Centre

フレデリクスボー城(Frederiksborg Palace)は市街の北西40kmほどの場所にある。幾度かの改築を経ており、現在の建物は19世紀にビール王カールスバーグ家の援助で再建されたもの。重厚な建物だけでなく、バロック様式の優美な庭園で知られている。
現在では歴史ミュージアムとなっており、絵画や彫刻など王室のコレクションも公開されている。


Frederiksborg Slot

クロンボー城(Kronborg Castle)はデンマークで最も有名な城。ハムレットに登場する城のモデルとして知られ、夏にはハムレットの野外劇が上演される。王の居城でもあり、海峡を監視する砦でもあった。建物は優雅さを保ちつつも、張り巡らされた堀や大砲など軍事史跡としての威容を誇っている。コペンハーゲンの北およそ30km、鉄道でも1本、バスで1時間程度。

Kronborg Castle

ARKEN近代美術館(ARKEN Museum of Modern Art)は市街の西20kmほどにある。
ダミアン・ハーストやグレーソン・ペリーのコレクションで知られ、展示物から建物そのものまでとにかくスタイリッシュ。某観光情報サイトでも名だたるミュージアムをおしのけてコペンハーゲンのトップにランクされるなど、観覧者の評価はきわめて高い。

Arken Museum of Modern Art (トリップアドバイザー提供)

コペンハーゲンから西に40kmほど、デンマーク発祥の地ともされる古都ロスキレは壮麗な大聖堂で有名。

Roskilde Cathedral (トリップアドバイザー提供)

しかし、この地で大聖堂以上に評価が高いのはヴァイキング船博物館。
発掘されたヴァイキング船の実物展示や上映、体験コーナーなど、大人も子供も楽しめる施設として人気がある。併設のカフェで名物のフィッシュケーキを味わおう。

Viking Ship Museum (トリップアドバイザー提供)



Voulez Vous (トリップアドバイザー提供)

デンマーク産のチーズや豚肉は日本でもおなじみ。デンマークは酪農王国で、乳製品と豚肉が名高い。海の幸にも恵まれており、地元のニシンやサーモン、ウナギなども食卓にのぼる。
隣接するドイツ料理の影響が大きく、ソーセージやライ麦パン、ジャガイモを多用する。伝統的なデンマーク料理は煮込みやグリルなどシンプルな調理法が多い。

名物料理は豪華なオープン・サンドのスモーブロー。具材はハムやソーセージ、レバーペースト、チーズや魚のマリネなど多種多様。さらに白パンやライ麦パンなど多くの組み合わせがある。美しく盛りつけられたサンドイッチに軽食のイメージはなく、芸術的なよそおい。

北欧はプロテスタントの影響力が強く美食には遠いイメージもあったが、近年は地産食材に着目した新たなムーブメントが生まれている。その代表格が世界一の称号を得たコペンハーゲンのレストラン「ノーマ」。地元の食材をコンセプチュアルに調理するというアイデアが評価され、予約待ちのリストは数万人分ともいわれる。

飲み物はビールが主役で、日本にも輸入されている軽い飲み口のカールスバーグの他、どっしりとした地ビールも多い。
じゃがいもからつくった蒸留酒のアクアビットも味わってみたい。


Noma (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
成田からスカンジナビア航空の直行便がある。往路は水曜日以外毎日、復路は火曜日以外毎日就航。成田を昼に出て同日の夕方に着くので便利。所要11時間、13万円~。

乗り継ぎ便ではカタール、エミレーツなどの中東系が安く7万円を切ることもあるが、乗り継ぎの所要時間はかなり長い。
価格と所要時間のバランスがいいのはアエロフロートのモスクワ経由便、KLMオランダのアムステルダム経由便、フィンエアーのヘルシンキ便など。いずれも所要14時間程度で10万円を切る。

(陸路)
鉄道でもバスでもドイツ経由が主流。
価格はドイツからのLCCの方が安いこともしばしば。
鉄道の場合はハンブルグからの直行便(高速鉄道ICE)が所要5時間程度
Euroline社の国際バスの場合、ベルリンから所要8時間程度。

(パッケージツアー)
中東系のエアラインを使ったツアーが安く、カタールやエミレーツ利用で5日間の場合6万円台という激安ツアーもある(2名参加の1名価格)。ただしドーハやドバイでの乗り継ぎがあるため現地は実質1~2日と過酷なスケジュール。まともに観光時間がとれるスカンジナビア航空便ツアーなら14万円程度(同)が相場となる。

北欧の人気都市、ヘルシンキやストックホルムを周遊するツアーもある。こちらは日程的にフィンエアー利用が多い。6日間で10万円~。

いずれもコペンハーゲンの高いホテル代を考えると検討価値は高い。

(空港)
コペンハーゲン国際空港(CPH)は市街中心部の南東7kmほどと近い。地名をとって通称カストラップ(Kastrup)空港とも呼ばれる。
1925年開港の歴史ある空港だが、建物はモダンで機能的。スカイトラック社のエアポートランキングでも上位に位置する。
ターミナルは1~3まであり、1は国内線、2と3が国際線。ターミナル3が最も新しい。KLMオランダのアムステルダム便、フィンエアーのヘルシンキ便はターミナル2。スカンジナビア航空の成田直行便は3を利用する。

空港のターミナル3と鉄道が直結しており、コペンハーゲン中央駅まで15分程度。料金はシングルチケットで36デンマーククローネ(660円程度)。
メトロもターミナル3と直結。市街まで15分程度。料金は同じく36デンマーククローネ。
タクシーの場合は300デンマーククローネ程度。


地理と気候

欧州のドイツに接するユラン半島とスカンジナビア半島の間、バルト海には多くの島々がある。デンマークはユラン半島と島々から成っており、コペンハーゲンが位置するのはスカンジナビア半島にほど近い(橋も架かっている)シェラン島の東。

北緯55度とアラスカや樺太の北端にあたる高緯度だが、暖流の影響で緯度からイメージするほど寒くはない。とはいえ冬は昼でも氷点下のこともあるなどそれなりの対策は必要。

ベストシーズンはやはり夏、6月~8月の間。昼間は過ごしやすく白夜で活動時間も長い(昼の長さは17時間ほど)。高緯度で日射しが強いので対策を。
降水量は年間を通して少ないものの、天気は変わりやすい。冬は寒さだけでなく、日照も短い(昼の長さはわずか7~8時間)ためかなり薄暗いイメージ。

デンマークと日本の時差はマイナス8時間。日本の正午が午前4時。サマータイムは3月最終日曜~10月最終日曜で、この間の時差はマイナス7時間。

Google マップ
(画像:Google)


言語と通貨

公用語はデンマーク語。多くのデンマーク人は英語が話せるものの、街の看板やサインはデンマーク語表記が多い。

通貨はユーロではなくデンマーククローネ(DKK)。1デンマーククローネ=18.1円(15年10月時点)。およそ20円と覚えておけばよい。


(画像:Wikipedia)

物価の高さは悩みどころで、何をするにもおおむね東京以上。安いのはビールぐらいというサイフに厳しい街。
ホテルは3つ星で1.5万円~、中級ホテルで2万円代もザラ。タクシーは初乗りで800円程度。特に高いのは外食で、レストランなら25%の税金と15%のサービス料がのるため自動的に4割増しとなる。ランチの目安はレストランなら3千円程度、ディナーでは手ごろな店でも5千円は下らない(それでいて内容は結構しょぼかったり…)。テイクアウトのサンドイッチやファーストフードならなんとか千円以内でおさまる。

高い消費税は手厚い福祉を実現するために必要とされているが旅行者には関係ない話。一応、1店舗につき1日300デンマーククローネ以上の買い物をした場合には19%の税が還付される制度がある。ただしホテルや食事は対象外となってしまう。

日本国内でデンマーククローネが両替出来る場所は限られ、レートも不利。
クレジットカードの通用度が高いのでなるべくカードを使い、現金は現地でクレジットカードからキャッシングするのがよい。再両替レートは悪いので、なるべく使い切ってしまおう。

物価の高さは料金にサービス料が含まれているためでもある。そのためチップの必要はほとんどなく、何か特別な用事を頼んだときのみで十分。


治安とビザ

欧州の中では安全とされているが、やはり外国。犯罪の発生率自体は日本を大きく上回る。
旅行者がよく巻き込まれる犯罪としては、スリや置き引きなど。空港やコペンハーゲン中央駅、安ホテルのロビーやレストランでは身辺に注意すること。
ナイトスポットやクラブ近辺では薬物中毒者やギャングなども出歩いている。

特に夜~早朝の中央駅西側ホテル集中地区、線路沿いの西南、長距離バス発着場やハルム広場の南側などが要注意。陽が落ちれば人通りも少なくなり、スリの被害が多くなる。
クリスチャニアではエリアのルールを守り、なるべくツアーでの行動をおすすめしたい。エリア内では大麻をはじめとしたドラッグが公然と流通しているが、くれぐれも好奇心で手を出さないように。日本の大麻取締法には国外犯処罰規定があり、旅先での一服ももちろん違法。

90日以内の観光・出張滞在はビザ不要。


市内交通

コペンハーゲンの観光名所はかなり集中しているため、徒歩か自転車でなんとかなってしまうかもしれない。公共交通としてはメトロ、バス(水上バス)、鉄道がある。

ミュージアム巡りが目的で子連れなら、72のミュージアムやアトラクションが無料となり、バス、鉄道、メトロに乗り放題となるコペンハーゲン・カードを検討してもいいかも。24時間有効のカードが48ユーロ、48時間で67ユーロ、72時間で79ユーロ。大人1人につき10歳未満の子供2人までがタダとなる。

(タクシー)
メーター制で、安心して利用できる。英語で問題ない。
初乗りは38クローネ(電話で配車した場合)。1kmごとに昼間およそ15クローネ、夜間19クローネ追加。メーター料金は消費税とチップ込み。

(メトロ・バス・鉄道)
すべて料金は共通体系、欧州に多いゾーン制で、市内がかなり細かく区切られている。
市の中心部はゾーン1、周辺はゾーン2か3が割り当てられている。空港はゾーン4に属する。
チケットはシングルチケット、回数券、1日/3日有効のシティパスなどオプションが多く、何が得なのかわかりにくい。自転車を借りるならシングルチケットか回数券、自転車を借りないならばシティパスが便利かもしれない。
シングルチケットと回数券は時間内でのバス・メトロ・近郊鉄道(エスト-)間の相互乗り換えが可能で、1~3ゾーンなら1時間以内、4~6ゾーン以内なら1時間半以内。

改札はなく、チケットは乗車時に黄色いマシンで時刻を記録しなければならない。忘れると無賃乗車扱いで高額の罰金を課せられる。

(鉄道)
鉄道路線は中央駅を中心に拡がっている。
近郊鉄道はエスト-(S-tog)と呼ばれ、赤字に白抜き文字でSのマークが目印。郊外に向かうだけでなく市内にも駅が多く、メトロとチケットも共通。

(レンタサイクル)
Pendlercyklen
(画像:Bycyklen)

欧州の諸都市と同じく自転車にやさしい街コペンハーゲン。街のサイズも自転車移動にぴったり。
路面には自転車専用レーンがもうけられており、市内交通の主役といった趣。
旅行者でも使いやすいレンタルサービスが「Bycyklen」。ネットで登録することで街中のレンタルステーションにある自転車を利用できる。GPSナビ付の白い電動サイクルはスタイリッシュ。料金は1時間25デンマーククローネ。月極の場合登録料70クローネで1時間あたり6クローネになる。

個人の自転車貸しサービス、Spinlisterもおすすめ。コペンハーゲンにはかなり多くの登録者がいる。


ホテル


Scandic Palace Hotel (トリップアドバイザー提供)

北欧の例に漏れず、物価も高いがホテルも高め。ホテル供給は決して少なくないが、人気都市であるためレートは高止まりしている。
3つ星クラスでも1万円以内で探すのはかなり難しく、2万円レベルもザラ。ホステル、ゲストハウスならだいぶ手ごろになるが、それでも個室が5~6千円台、ドミトリーでも3千円を下回るものはほとんどない。
ホテルは中央駅の西~北側に集中している。

個人宅の部屋貸しサービスAirbnbならホテルの半額以下で個室が探せるが、レビューや立地をよく見てからにしよう。



ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
デンマークの大手通信事業者はBiBoB、Call me、Fullrate、Telenorなど。プリペイドは3 DK(香港でおなじみ)、OiSTER Mobile、One Mobile、Labaraなどが多い。

3 DKの場合、月間10ギガで99デンマーククローネなど。
OiSTER Mobileの場合、月間1ギガ49クローネ、5ギガ69クローネなど。
One Mobileの場合、月間1ギガ50クローネ、4ギガ100クローネ、20ギガ200クローネなど。
Labaraの場合、2ギガで月間49クローネ、4ギガ79クローネなど。

(WiFi)
レストラン、カフェ、公共交通機関などWiFiの場所は豊富にあり、接続に困ることはない