4. 世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第50回 リスボン


Sunset Destination Hostel, Lisbon (トリップアドバイザー提供)

ポルトガル共和国・国旗

(画像:Wikipedia)

見どころと特徴

入り江を背景に広がる歴史的建築とモダンな建物がおりなす街並みは美しい。世界遺産級の教会や修道院が建ち並ぶ旧市街を散策してもいいし、ミュージアムに飾られた日本の南蛮屏風から歴史に思いを馳せるのもいい。一日の終わりには地中海に沈む夕日を眺めながらポルトガルワインを。

ポルトガルは輝かしい歴史にいろどられた史跡群や食事の魅力、物価の安さ、なによりも独特のリラックスした雰囲気などが知られるようになり、近年日本からの観光客も急増中。欧州でもミラノやブリュッセルとならぶ屈指の観光都市となっている。
リスボンはポルトガルの首都。どこか懐かしいイメージがあるかもしれないが、300万人もの人口が集中し、中心部の人口密度は東京都やロンドンをもしのぐという大都市である。
Baixa---Chiado--ポルトガル-


リスボンの街歩きは、上り坂できついが入り江沿いからスタートしたい。
地下鉄のテレイロ・ド・パソ駅(Terreiro do Paco)かカイル・ド・ソドレ駅(Cais do Sodre)から北、ロッソ駅(Rosso)方面に向かうとバイシャ(Baixa)通りへ。
通りの周辺はクラシックな街並みとショーウインドウが連なるリスボン一の繁華街。カフェやレストラン、ギフトショップなど地元民や旅人でにぎわう。


Cidade Baixa (トリップアドバイザー提供)

人の多さと坂道、日射しなど歩いているうちに疲労がたまってくることも。
サンタ・ジュスタ(Santa Justa)のリフトという展望エレベーターがあるので、そこから街を一望したらカフェで休もう。

Santa Justa Elevator (トリップアドバイザー提供)

バイシャ通りから北に向かうとリベルダーテ(Liberdade)通りを抜けて巨大なロータリーをもつポンバル侯爵広場へ出る。あたりはホテルやオフィスの集まるビジネス街になっている。ロータリーの更に北はエドゥアルド(Eduardo)VII世公園というよく整備された庭園がある。

バイシャ通りのすぐ西側はバイロ・アルト(Bairro Alto)。
こちらも賑やかなエリアだがどことなく落ち着いた雰囲気で、クラシックな街並みが楽しい。夜はこのエリアの老舗カフェやバーを目当てに人が集まってくる。

Bairro Alto (トリップアドバイザー提供)

史跡も多く残されており、サン・ロケ(Sao Roque)教会は天正遣欧少年使節が滞在した場所。
このエリアで散策した後は、ケーブルカーでサン・ペードロ・デ・アルカンタラ()展望台に上ってみよう。Tripadvisorでも高評価をほこる名所で、クラシックな街並みと海や緑が生み出す絶景をたんのうできる。

Igreja de Sao Roque (トリップアドバイザー提供)


Miradouro Sao Pedro de Alcantara (トリップアドバイザー提供)

一方、バイシャ通りから東に向かうと古びた街並みの続くアルファマ(Alfama)エリアに出る。
細い通りと入り組んだ坂道や石段、赤茶けた屋根の続く通りは絵はがきのよう。勾配がきついのでのんびりめぐりたい。丘の上にそびえ立つ、絵本から飛び出てきたようなサン・ジョルジェ城(Castle of S. Jorge)はリスボン名所の1つ。
城から東に向かうと火曜日と土曜日には有名な泥棒市が催される。アンティークや雑貨などがそろう蚤の市で、見て歩くだけでも楽しい。

Alfama (トリップアドバイザー提供)


Castelo de Sao Jorge (トリップアドバイザー提供)

アルファマから坂を下りて入り江沿いへ。
城壁のような概観とバラ窓が有名なカテドラル、6月には祝祭が開かれる聖アントニオ教会、通称「くちばしの家」と呼ばれる尖った石の邸宅など名物建築が続く。

Se de Lisboa (トリップアドバイザー提供)

入り江沿いを西へ歩くとリベイラ(Ribeira)市場がある。古くからの生鮮市場を改装した施設で、ローカルフードがそろう。鮮魚売場や巨大なフードコートにテンションが上がる。

Mercado da Ribeira (トリップアドバイザー提供)

更に西、国立古美術館(MNAA)はポルトガルで最も格の高いミュージアム。かつての海洋大国時代を彷彿とさせるような数々の美術品が収蔵されている。ボッシュやデューラーなどの著名作品に並んで目玉となっているのが日本美術で、壮麗な狩野派の南蛮屏風や蒔絵の漆器などが所蔵されている。

Museu Nacional de Arte Antiga (トリップアドバイザー提供)

再び東側、中心部に向かって戻ると夕陽の時間。
街を見渡せるバーにでも入って赤く染まる空を見ながらのんびり過ごしたい。

Lisbon Tram and Funicular Network (トリップアドバイザー提供)


中心部からテージョ川沿い、西に6kmほど離れた場所にあるのは世界遺産ともなっている歴史地区ベレン(Belem)。
ポルトガルの大航海時代の史跡が数多く残るスポットで、リスボン観光のハイライトともいえる。
建造に1世紀以上を要したというジェロニモス(Jeronimos)修道院や大西洋をにらみつけるベレンの塔など見どころは多い。カフェやレストランも多いので、まったりと時間をとって歩きたい。

Mosteiro dos Jeronimos (トリップアドバイザー提供)


La torre di Belem, Lisbon (トリップアドバイザー提供)




da Prata 52 (トリップアドバイザー提供)

ポルトガル料理は山海の恵みを生かした素朴な味わいで、西洋料理の伝統を受け継ぎつつハーブを多用するところにユニークさがある。
よく使われる食材としては、オリーブオイル、トマト、パプリカ、タマネギ、ニンニク、ジャガイモ、山羊のチーズなど。サフランやコリアンダー、イタリアンパセリなどもひんぱんに食卓にのぼる。また米の多食も特徴的で、リゾットや炊き込みごはんなど日本人にもなじみやすい。
名物料理は、干し鱈を使った炒め物やコロッケ、シーフードのリゾット、ブイヤベースのようなスープや煮物、ウサギや子羊のロースト、各種のシチューなど。どれも深く優しい味わい。

ポルトガルはワインの名産地。重厚な赤ワインが多めの印象があるが、実際にはシーフードにあうフレッシュなものや発泡性までバラエティに富んでいる。夕陽を見ながらキンキンに冷えた白ワインでシーフードにかぶりつけば最高の気分。有名なマデイラワインもぜひ本場で味わってみたい。

ポルトガルのスイーツはマカオでもおなじみのエッグタルト。他にも各種のタルト類やプリンなど濃厚なカスタードを使ったものが多い。


Wine Bar do Castelo (トリップアドバイザー提供)


Casa Pasteis de Belem (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
15年9月現在ポルトガル行きの直行便はない。
中東系のエミレーツ、エディハドといったあたりが最安で、時期によっては8万円台となる。一方で所要時間は30時間に達することも。
所要時間短めのルートとしては、エールフランスのパリ乗り継ぎ、トルコ航空のイスタンブール乗り継ぎ、ANAのフランクフルト便など。その場合でも10万円台でおさまることが多い。

マイレージや値崩れしやすいロンドン/パリなどへの格安チケットでいったんヨーロッパにさえ入ってしまえば、イージージェットやブエリングといったLCCで安く行ける。
周辺国もめぐるならスペインやイタリアなどを発着地にするオープンジョーの活用もおすすめ。

(パッケージツアー)
中東系エアラインやトルコ航空を使った比較的安めのツアーが多い。5日間で9万円程度。2人旅なら航空券代とさほど変わらないこともあり、検討価値は高い。

(陸路)
高速バスや鉄道で近隣国から向かうことができる。
鉄道の場合はスペインから。イルン駅もしくはマドリッドから夜行列車でむかう。
バスはやはり隣国スペインとの路線が多いが、フランスやドイツとの直通ラインもある。

(空港)
リスボンの空港はポルテラ空港(LIS:Aeroporto da Portela)。ポルトガリア航空のハブ空港となっている。
市街海岸沿いから10km程度とアクセスもよく、設備も充実していることから評価は高い。

ポルトガル航空やエールフランス、ブエリングの乗り入れるターミナル1と主にイージージェットが利用するターミナル2に分かれる。

空港からはメトロ、空港バス、タクシーなどの手段がある。空港が近いのでどの手段でも費用は高くない(メトロならわずか1.4ユーロ)。所要も20分程度。




tabinoteメンバーも愛用!空港滞在時間が長くなりがちな節約旅行でこそ、ラウンジのありがたさが身にしみます。海外旅行には必携の「プライオリティ・パス」
世界100カ国300都市、600ヵ所以上の空港にあるVIPラウンジが無料で使えます。年会費10,800円(税込)の楽天プレミアムカードなら年会費399ドルのプライオリティ・パスが付いてきます。


地理と気候

欧州の西端に位置するポルトガルの中でも更に最西端、大西洋に面している。
街は大西洋から入り江となるテージョ(Tejo)川の河口付近を起点に北へと拡がっている。
地中海性気候で、年間を通じて温暖。冬には雨が多く、夏は日射しが強い。

ベストシーズンは5月~9月。空は晴れわたり絶好の観光日和がつづく。
毎年6月13日は聖アントニオ祭が催され、街は屋台やパレードで活気づく。
7~8月はハイシーズンでホテルが高めとなるので、オフシーズン(11~3月頃)をねらう手も。

日本との時差は9時間。日本の正午が午前3時。
サマータイム(3月最終日曜~10月最終日曜)期間は時差8時間。


(画像:Google)


言語と通貨

ポルトガル語が基本。周辺国に比べて移民の存在感は高くない。
通貨はユーロ。1ドル=136円程度(15年9月時点)。

西ヨーロッパの中では最も物価水準が低い国の1つで、ランチが5~6ユーロ、ディナーでも10ユーロ、スーパーで水やビールが1ユーロ未満、ワインが2ユーロとどれもうれしくなるような安さ。ホテル代はピンキリだが3つ星ホテルで50ユーロ~、タクシー初乗りが3ユーロと、アジアの大都市に滞在するよりも安く済むかもしれない。

クレジットカードの通用度はそれなりに高く、多額の現金を持ち歩かないという意味からも積極的な利用を推奨。ユーロの両替は日本で行うのが鉄則。
6~23%の付加価値税がかかるが、免税店であれば1日1店あたり61.35ユーロ以上の買い物で旅行者への払戻制度がある(14%まで)。

チップの習慣があるものの、小銭程度で十分。タクシーは1割程度かおつりの切り上げ、ホテルのベルボーイやベッドメイクには1ユーロ程度、レストランは代金の5%~1割程度。サービス料が含まれていれば不要。


(画像:Wikipedia)


ビザと治安

欧州の中でも比較的安全な方とされるが、観光国であり旅行者をねらった置き引き、スリなどの犯罪は多い。
路面電車でのスリ、アルファマやべレン地区などの観光地では単独またはグループ犯でのスリ被害が報告されている。また、エドゥアルドVII世公園、カイス・ド・ソドレ駅周辺は娼婦や麻薬の売人、チンピラが集まるエリアであり、夜間の一人歩きは勧められない。

ポルトガルは、許可制ではあるものの一般人の銃器所持が認められている国でもある。不用意に相手を挑発することは厳禁。

観光目的の場合、90日以内の滞在はビザ免除。


市内交通

市街は広いが、様々な公共交通機関が発達しており旅行者も安心して利用できる。

Lisbon Tram and Funicular Network (トリップアドバイザー提供)

(メトロ・バス・トラム)
メトロ(地下鉄)はリスボン市交通局、バスとトラム、ケーブルカーは公営のCarris(Companhia Carris de Ferro de Lisboa)による運営。

メトロは初乗り1.4ユーロ(Carris運営のバス、トラムも乗車可能)。バスの場合乗車して購入すると1.8ユーロ。双方に乗れる1日パスが6ユーロ。

プリペイド式のカードが便利。メトロの発行する「viva viagem」とCarris発行の「7 Colinas」はいずれも同じ機能のカード。カード代は0.5ユーロで、メトロ駅の自販機やCarris窓口などで買うことができる。6ユーロチャージすればメトロ・バス・トラム乗り放題の一日乗車券として使える。また、任意の金額をチャージしてプリペイドカードとして使うこともできる。一日乗車券としての使途とプリペイド利用は併用できないので注意(プリペイド残金があるうちに一日乗車券として使うことはできない)。

リスボアカードはメトロやバスに乗り放題で、ミュージアムの入場券も附帯するお得なパス。24時間有効で18.5ユーロとviva viagemよりも高めだが、短期滞在ではこちらがお得かもしれない。

(タクシー)
まれにメーターを使わなかったりわざと遠回りするようなタクシーも報告されているものの、おおむね安心して利用できる。クリーム色と、黒/緑の初音ミク風カラーがある。
流しのタクシーもそれなりに走っているがタクシーパーキングや観光地、ホテル前なら確実。
市内初乗り3.25ユーロ。以降1km毎に0.47ユーロ。深夜は割増しレート。
市内の移動ならだいたい10ユーロ程度でおさまる。
また、配車アプリのUberも利用できる。

(レンタサイクル・バイク)
美しい海岸線を眺めながらのサイクリングは最高。ただし坂がきついので、体力に自信のある人向き。市街には一部自転車専用レーンもある。
個人の自転車貸しサービス、Spinlisterもある。リスボンにはかなり多くの登録者がいる。
坂の多いリスボン、楽して移動したいならレンタルバイクもおすすめ。交通マナーはあまりよくないので乗るなら慎重に。


ホテルとシーズン


Palacete Chafariz D’El Rei (トリップアドバイザー提供)

ホテルの供給は十分で、レートも西欧の都市ではかなり安め。
3つ星ホテルが1万円程度、4つ星レベルでも1.5万円程度で宿泊できる。
ホステルならドミトリーで安いものなら千円台。個室でも2~3千円。
ポルトガルならではの宿としては、個人の邸宅を改装した物件や古城を改装したポサーダと呼ばれる豪華なホテルもある。

7~8月は欧州各地から観光客が訪れるハイシーズンで、レートも高めになる。

個人宅の部屋貸しサービスAirbnbの利用もお勧め。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ポルトガルの大手携帯会社は、Vodafone、TMN、NOS(旧Optimus)など。LTEも普及しているが、対応端末は限られる。
プリペイドSIMの購入は簡単で、空港や市中の通信キャリアカウンターで購入できる。

最大手TMNの場合、月間2ギガが12.99ユーロ、6ギガが20.49ユーロ。
Vodafoneの場合、月間1ギガが10.49ユーロ、2ギガが14.99ユーロ、5ギガが20.49ユーロとなっている。
NOSの場合、4週間1ギガで12.5ユーロ、8週間2ギガで25ユーロなど。

(WiFi)
WiFiの普及度合いは他のヨーロッパの都市に比べてやや遅れている。
スターバックスでは無料WiFiが提供されており、WiFiマークの貼ったカフェも増えつつあるものの、ネット接続には少し苦労するかもしれない。SIMフリーのスマホを持っていくかレンタルルーターの利用も検討したい。

4. 世界あの街この街: リスボン


4. 世界あの街この街

このコーナーでは旅行先として人気の様々な都市を詳しく紹介していきます。

第50回 リスボン


Sunset Destination Hostel, Lisbon (トリップアドバイザー提供)

ポルトガル共和国・国旗

(画像:Wikipedia)

見どころと特徴

入り江を背景に広がる歴史的建築とモダンな建物がおりなす街並みは美しい。世界遺産級の教会や修道院が建ち並ぶ旧市街を散策してもいいし、ミュージアムに飾られた日本の南蛮屏風から歴史に思いを馳せるのもいい。一日の終わりには地中海に沈む夕日を眺めながらポルトガルワインを。

ポルトガルは輝かしい歴史にいろどられた史跡群や食事の魅力、物価の安さ、なによりも独特のリラックスした雰囲気などが知られるようになり、近年日本からの観光客も急増中。欧州でもミラノやブリュッセルとならぶ屈指の観光都市となっている。
リスボンはポルトガルの首都。どこか懐かしいイメージがあるかもしれないが、300万人もの人口が集中し、中心部の人口密度は東京都やロンドンをもしのぐという大都市である。
Baixa---Chiado--ポルトガル-


リスボンの街歩きは、上り坂できついが入り江沿いからスタートしたい。
地下鉄のテレイロ・ド・パソ駅(Terreiro do Paco)かカイル・ド・ソドレ駅(Cais do Sodre)から北、ロッソ駅(Rosso)方面に向かうとバイシャ(Baixa)通りへ。
通りの周辺はクラシックな街並みとショーウインドウが連なるリスボン一の繁華街。カフェやレストラン、ギフトショップなど地元民や旅人でにぎわう。


Cidade Baixa (トリップアドバイザー提供)

人の多さと坂道、日射しなど歩いているうちに疲労がたまってくることも。
サンタ・ジュスタ(Santa Justa)のリフトという展望エレベーターがあるので、そこから街を一望したらカフェで休もう。

Santa Justa Elevator (トリップアドバイザー提供)

バイシャ通りから北に向かうとリベルダーテ(Liberdade)通りを抜けて巨大なロータリーをもつポンバル侯爵広場へ出る。あたりはホテルやオフィスの集まるビジネス街になっている。ロータリーの更に北はエドゥアルド(Eduardo)VII世公園というよく整備された庭園がある。

バイシャ通りのすぐ西側はバイロ・アルト(Bairro Alto)。
こちらも賑やかなエリアだがどことなく落ち着いた雰囲気で、クラシックな街並みが楽しい。夜はこのエリアの老舗カフェやバーを目当てに人が集まってくる。

Bairro Alto (トリップアドバイザー提供)

史跡も多く残されており、サン・ロケ(Sao Roque)教会は天正遣欧少年使節が滞在した場所。
このエリアで散策した後は、ケーブルカーでサン・ペードロ・デ・アルカンタラ()展望台に上ってみよう。Tripadvisorでも高評価をほこる名所で、クラシックな街並みと海や緑が生み出す絶景をたんのうできる。

Igreja de Sao Roque (トリップアドバイザー提供)


Miradouro Sao Pedro de Alcantara (トリップアドバイザー提供)

一方、バイシャ通りから東に向かうと古びた街並みの続くアルファマ(Alfama)エリアに出る。
細い通りと入り組んだ坂道や石段、赤茶けた屋根の続く通りは絵はがきのよう。勾配がきついのでのんびりめぐりたい。丘の上にそびえ立つ、絵本から飛び出てきたようなサン・ジョルジェ城(Castle of S. Jorge)はリスボン名所の1つ。
城から東に向かうと火曜日と土曜日には有名な泥棒市が催される。アンティークや雑貨などがそろう蚤の市で、見て歩くだけでも楽しい。

Alfama (トリップアドバイザー提供)


Castelo de Sao Jorge (トリップアドバイザー提供)

アルファマから坂を下りて入り江沿いへ。
城壁のような概観とバラ窓が有名なカテドラル、6月には祝祭が開かれる聖アントニオ教会、通称「くちばしの家」と呼ばれる尖った石の邸宅など名物建築が続く。

Se de Lisboa (トリップアドバイザー提供)

入り江沿いを西へ歩くとリベイラ(Ribeira)市場がある。古くからの生鮮市場を改装した施設で、ローカルフードがそろう。鮮魚売場や巨大なフードコートにテンションが上がる。

Mercado da Ribeira (トリップアドバイザー提供)

更に西、国立古美術館(MNAA)はポルトガルで最も格の高いミュージアム。かつての海洋大国時代を彷彿とさせるような数々の美術品が収蔵されている。ボッシュやデューラーなどの著名作品に並んで目玉となっているのが日本美術で、壮麗な狩野派の南蛮屏風や蒔絵の漆器などが所蔵されている。

Museu Nacional de Arte Antiga (トリップアドバイザー提供)

再び東側、中心部に向かって戻ると夕陽の時間。
街を見渡せるバーにでも入って赤く染まる空を見ながらのんびり過ごしたい。

Lisbon Tram and Funicular Network (トリップアドバイザー提供)


中心部からテージョ川沿い、西に6kmほど離れた場所にあるのは世界遺産ともなっている歴史地区ベレン(Belem)。
ポルトガルの大航海時代の史跡が数多く残るスポットで、リスボン観光のハイライトともいえる。
建造に1世紀以上を要したというジェロニモス(Jeronimos)修道院や大西洋をにらみつけるベレンの塔など見どころは多い。カフェやレストランも多いので、まったりと時間をとって歩きたい。

Mosteiro dos Jeronimos (トリップアドバイザー提供)


La torre di Belem, Lisbon (トリップアドバイザー提供)




da Prata 52 (トリップアドバイザー提供)

ポルトガル料理は山海の恵みを生かした素朴な味わいで、西洋料理の伝統を受け継ぎつつハーブを多用するところにユニークさがある。
よく使われる食材としては、オリーブオイル、トマト、パプリカ、タマネギ、ニンニク、ジャガイモ、山羊のチーズなど。サフランやコリアンダー、イタリアンパセリなどもひんぱんに食卓にのぼる。また米の多食も特徴的で、リゾットや炊き込みごはんなど日本人にもなじみやすい。
名物料理は、干し鱈を使った炒め物やコロッケ、シーフードのリゾット、ブイヤベースのようなスープや煮物、ウサギや子羊のロースト、各種のシチューなど。どれも深く優しい味わい。

ポルトガルはワインの名産地。重厚な赤ワインが多めの印象があるが、実際にはシーフードにあうフレッシュなものや発泡性までバラエティに富んでいる。夕陽を見ながらキンキンに冷えた白ワインでシーフードにかぶりつけば最高の気分。有名なマデイラワインもぜひ本場で味わってみたい。

ポルトガルのスイーツはマカオでもおなじみのエッグタルト。他にも各種のタルト類やプリンなど濃厚なカスタードを使ったものが多い。


Wine Bar do Castelo (トリップアドバイザー提供)


Casa Pasteis de Belem (トリップアドバイザー提供)


日本からの行き方

(空路)
15年9月現在ポルトガル行きの直行便はない。
中東系のエミレーツ、エディハドといったあたりが最安で、時期によっては8万円台となる。一方で所要時間は30時間に達することも。
所要時間短めのルートとしては、エールフランスのパリ乗り継ぎ、トルコ航空のイスタンブール乗り継ぎ、ANAのフランクフルト便など。その場合でも10万円台でおさまることが多い。

マイレージや値崩れしやすいロンドン/パリなどへの格安チケットでいったんヨーロッパにさえ入ってしまえば、イージージェットやブエリングといったLCCで安く行ける。
周辺国もめぐるならスペインやイタリアなどを発着地にするオープンジョーの活用もおすすめ。

(パッケージツアー)
中東系エアラインやトルコ航空を使った比較的安めのツアーが多い。5日間で9万円程度。2人旅なら航空券代とさほど変わらないこともあり、検討価値は高い。

(陸路)
高速バスや鉄道で近隣国から向かうことができる。
鉄道の場合はスペインから。イルン駅もしくはマドリッドから夜行列車でむかう。
バスはやはり隣国スペインとの路線が多いが、フランスやドイツとの直通ラインもある。

(空港)
リスボンの空港はポルテラ空港(LIS:Aeroporto da Portela)。ポルトガリア航空のハブ空港となっている。
市街海岸沿いから10km程度とアクセスもよく、設備も充実していることから評価は高い。

ポルトガル航空やエールフランス、ブエリングの乗り入れるターミナル1と主にイージージェットが利用するターミナル2に分かれる。

空港からはメトロ、空港バス、タクシーなどの手段がある。空港が近いのでどの手段でも費用は高くない(メトロならわずか1.4ユーロ)。所要も20分程度。




tabinoteメンバーも愛用!空港滞在時間が長くなりがちな節約旅行でこそ、ラウンジのありがたさが身にしみます。海外旅行には必携の「プライオリティ・パス」
世界100カ国300都市、600ヵ所以上の空港にあるVIPラウンジが無料で使えます。年会費10,800円(税込)の楽天プレミアムカードなら年会費399ドルのプライオリティ・パスが付いてきます。


地理と気候

欧州の西端に位置するポルトガルの中でも更に最西端、大西洋に面している。
街は大西洋から入り江となるテージョ(Tejo)川の河口付近を起点に北へと拡がっている。
地中海性気候で、年間を通じて温暖。冬には雨が多く、夏は日射しが強い。

ベストシーズンは5月~9月。空は晴れわたり絶好の観光日和がつづく。
毎年6月13日は聖アントニオ祭が催され、街は屋台やパレードで活気づく。
7~8月はハイシーズンでホテルが高めとなるので、オフシーズン(11~3月頃)をねらう手も。

日本との時差は9時間。日本の正午が午前3時。
サマータイム(3月最終日曜~10月最終日曜)期間は時差8時間。


(画像:Google)


言語と通貨

ポルトガル語が基本。周辺国に比べて移民の存在感は高くない。
通貨はユーロ。1ドル=136円程度(15年9月時点)。

西ヨーロッパの中では最も物価水準が低い国の1つで、ランチが5~6ユーロ、ディナーでも10ユーロ、スーパーで水やビールが1ユーロ未満、ワインが2ユーロとどれもうれしくなるような安さ。ホテル代はピンキリだが3つ星ホテルで50ユーロ~、タクシー初乗りが3ユーロと、アジアの大都市に滞在するよりも安く済むかもしれない。

クレジットカードの通用度はそれなりに高く、多額の現金を持ち歩かないという意味からも積極的な利用を推奨。ユーロの両替は日本で行うのが鉄則。
6~23%の付加価値税がかかるが、免税店であれば1日1店あたり61.35ユーロ以上の買い物で旅行者への払戻制度がある(14%まで)。

チップの習慣があるものの、小銭程度で十分。タクシーは1割程度かおつりの切り上げ、ホテルのベルボーイやベッドメイクには1ユーロ程度、レストランは代金の5%~1割程度。サービス料が含まれていれば不要。


(画像:Wikipedia)


ビザと治安

欧州の中でも比較的安全な方とされるが、観光国であり旅行者をねらった置き引き、スリなどの犯罪は多い。
路面電車でのスリ、アルファマやべレン地区などの観光地では単独またはグループ犯でのスリ被害が報告されている。また、エドゥアルドVII世公園、カイス・ド・ソドレ駅周辺は娼婦や麻薬の売人、チンピラが集まるエリアであり、夜間の一人歩きは勧められない。

ポルトガルは、許可制ではあるものの一般人の銃器所持が認められている国でもある。不用意に相手を挑発することは厳禁。

観光目的の場合、90日以内の滞在はビザ免除。


市内交通

市街は広いが、様々な公共交通機関が発達しており旅行者も安心して利用できる。

Lisbon Tram and Funicular Network (トリップアドバイザー提供)

(メトロ・バス・トラム)
メトロ(地下鉄)はリスボン市交通局、バスとトラム、ケーブルカーは公営のCarris(Companhia Carris de Ferro de Lisboa)による運営。

メトロは初乗り1.4ユーロ(Carris運営のバス、トラムも乗車可能)。バスの場合乗車して購入すると1.8ユーロ。双方に乗れる1日パスが6ユーロ。

プリペイド式のカードが便利。メトロの発行する「viva viagem」とCarris発行の「7 Colinas」はいずれも同じ機能のカード。カード代は0.5ユーロで、メトロ駅の自販機やCarris窓口などで買うことができる。6ユーロチャージすればメトロ・バス・トラム乗り放題の一日乗車券として使える。また、任意の金額をチャージしてプリペイドカードとして使うこともできる。一日乗車券としての使途とプリペイド利用は併用できないので注意(プリペイド残金があるうちに一日乗車券として使うことはできない)。

リスボアカードはメトロやバスに乗り放題で、ミュージアムの入場券も附帯するお得なパス。24時間有効で18.5ユーロとviva viagemよりも高めだが、短期滞在ではこちらがお得かもしれない。

(タクシー)
まれにメーターを使わなかったりわざと遠回りするようなタクシーも報告されているものの、おおむね安心して利用できる。クリーム色と、黒/緑の初音ミク風カラーがある。
流しのタクシーもそれなりに走っているがタクシーパーキングや観光地、ホテル前なら確実。
市内初乗り3.25ユーロ。以降1km毎に0.47ユーロ。深夜は割増しレート。
市内の移動ならだいたい10ユーロ程度でおさまる。
また、配車アプリのUberも利用できる。

(レンタサイクル・バイク)
美しい海岸線を眺めながらのサイクリングは最高。ただし坂がきついので、体力に自信のある人向き。市街には一部自転車専用レーンもある。
個人の自転車貸しサービス、Spinlisterもある。リスボンにはかなり多くの登録者がいる。
坂の多いリスボン、楽して移動したいならレンタルバイクもおすすめ。交通マナーはあまりよくないので乗るなら慎重に。


ホテルとシーズン


Palacete Chafariz D’El Rei (トリップアドバイザー提供)

ホテルの供給は十分で、レートも西欧の都市ではかなり安め。
3つ星ホテルが1万円程度、4つ星レベルでも1.5万円程度で宿泊できる。
ホステルならドミトリーで安いものなら千円台。個室でも2~3千円。
ポルトガルならではの宿としては、個人の邸宅を改装した物件や古城を改装したポサーダと呼ばれる豪華なホテルもある。

7~8月は欧州各地から観光客が訪れるハイシーズンで、レートも高めになる。

個人宅の部屋貸しサービスAirbnbの利用もお勧め。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
ポルトガルの大手携帯会社は、Vodafone、TMN、NOS(旧Optimus)など。LTEも普及しているが、対応端末は限られる。
プリペイドSIMの購入は簡単で、空港や市中の通信キャリアカウンターで購入できる。

最大手TMNの場合、月間2ギガが12.99ユーロ、6ギガが20.49ユーロ。
Vodafoneの場合、月間1ギガが10.49ユーロ、2ギガが14.99ユーロ、5ギガが20.49ユーロとなっている。
NOSの場合、4週間1ギガで12.5ユーロ、8週間2ギガで25ユーロなど。

(WiFi)
WiFiの普及度合いは他のヨーロッパの都市に比べてやや遅れている。
スターバックスでは無料WiFiが提供されており、WiFiマークの貼ったカフェも増えつつあるものの、ネット接続には少し苦労するかもしれない。SIMフリーのスマホを持っていくかレンタルルーターの利用も検討したい。